コモンモードチョークコイル及び出力装置
【課題】 デジタルアンプを使用した出力装置において、接続方式をSEPP接続またはBTL接続に切り替え可能で、部品点数の削減、実装面積の削減、製造工数の削減及び生産管理工数の削減が可能で、かつ不使用オープンパターンによる不要輻射を防止することができるコモンモードチョークコイル及び出力装置を提供すること。
【解決手段】 デジタルアンプとスピーカ等出力部品およびコモンモードチョークコイルからなる出力装置において使用されるコア9,10および巻線部を有するホビン11,12よりなる2つのコモンモードチョークコイルにおいて、前記2つのコモンモードチョークコイルが電気的に分離された状態または電気的に結合された状態の両状態を選択可能とするようにコア10を移動可能とした。
【解決手段】 デジタルアンプとスピーカ等出力部品およびコモンモードチョークコイルからなる出力装置において使用されるコア9,10および巻線部を有するホビン11,12よりなる2つのコモンモードチョークコイルにおいて、前記2つのコモンモードチョークコイルが電気的に分離された状態または電気的に結合された状態の両状態を選択可能とするようにコア10を移動可能とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルアンプ出力段に使用するコモンモードチョークコイル及びこのコモンモードチョークコイルを有する出力装置に関し、特にスピーカなどの出力部品の接続方式を変換可能なコモンモードチョークコイル及びそれを使用した出力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルアンプによりスピーカなどの出力部品を駆動する場合、接続方式としては下記非特許文献1に示されるように、SEPP(Single-Ended-Push-Pull)接続とBTL(Bridge-Tied-Load)接続が用いられる。また、スピーカの入力側にはコモンモードノイズ吸収用にコモンモードチョークコイルが挿入される。
【0003】
SEPP接続方式のデジタルアンプによる出力装置の2チャンネル分の基本回路図を図33に示す。デジタルアンプ1,2の出力段には、夫々コモンモードノイズ吸収用にコモンモードチョークコイル3,4を有している。インダクタL1、コンデンサC1及びインダクタL2、コンデンサC2は、それぞれデジタルアンプ1,2の出力段に設けられたローパスフィルタを構成する。6,7は負荷スピーカである。1つのアンプで1つの負荷スピーカを駆動するのがSEPP接続方式である。コモンモードチョークコイルは、各チャンネルにつき1つ必要である。
【0004】
上記デジタルアンプ1,2を用いてBTL接続方式の出力装置の1チャンネル分を構成した場合の回路図を図34に示す。2台のデジタルアンプ1,2で1つの負荷スピーカ8を駆動するのがBTL接続方式である。出力段にはコモンモードチョークコイル5を1つ有し、インダクタL1、コンデンサC1及びインダクタL2、コンデンサC2は、デジタルアンプ1,2の出力段に設けられたローパスフィルタを構成する。BTL接続方式の理論上の実効出力はSEPP接続方式の4倍である。出力経路に流れる電流はSEPP接続方式の2倍となるため、コモンモードチョークコイル5はコモンモードチョークコイル3、4よりも電流容量が2倍のものを選定する必要がある。
【0005】
【非特許文献1】新日本無線NJU8711アプリケーションノートVer.2003-09-18
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば、回路基板の共通化のため、SEPP接続方式による2チャンネル分の出力装置の回路及びBTL接続方式による1チャンネル分の出力装置の回路を同一基板上で構成し電気的に切替えて使用しようとする場合、図35に示すように、SEPP接続方式2チャンネル用コモンモードチョークコイルを2つ、BTL接続方式1チャンネル用コモンモードチョークコイル1つをそれぞれ実装する必要があるので、部品点数の増加により製造工数が増加し、かつ実装面積も増大するという問題があった。また、SEPP接続方式からBTL接続方式に切替えた時には、コモンモードチョークコイル3,4が不要となって無駄になる上に、使用していない回路パターンがオープンとなり、このオープンパターンがアンテナとなって不要輻射が発生するという問題があった。
【0007】
また、例えば同様に基板を共通化する目的で、図36に示すように、同一基板上にSEPP接続方式出力装置2チャンネルまたはBTL接続方式出力装置1チャンネルを実装可能な回路基板構成とした場合は、SEPP接続方式の時はコモンモードチョークコイル3,4及び負荷スピーカ6,7を実装し、BTL接続方式の時はコモンモードチョークコイル5及び負荷スピーカ8を実装する必要があり、出力装置の製造過程において接続方式によって部品を付替えする必要があり、生産管理工数が増えるという問題があった。また、図35の場合と同様に、不使用パターンがオープンとなり、このオープンパターンがアンテナとなって不要輻射が発生するという問題があった。
【0008】
そこで、本発明の課題は、デジタルアンプを使用した出力装置において上記のような問題を解決するため、接続方式をSEPP接続またはBTL接続に切り替え可能で、部品点数の削減、実装面積の削減、製造工数の削減及び生産管理工数の削減が可能で、かつ不使用オープンパターンによる不要輻射を防止することができるコモンモードチョークコイル及び出力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を達成するために、本発明のコモンモードチョークコイルは、デジタルアンプと出力部品および前記出力部品の入力側に挿入される2つのコモンモードチョークコイルに分離可能なコモンモードチョーク複合体とからなる出力装置において使用されるコアおよびその外周に形成された巻線部よりなるコモンモードチョークコイルにおいて、前記2つのコモンモードチョークコイルが電気的に分離された状態または電気的に結合された状態の両状態を選択可能とするように前記コアまたは前記巻線部の少なくとも一方を移動可能としている。
【0010】
ここで、前記コモンモードチョークコイルの前記コアのみが移動可能であってもよいし、前記コア及び前記巻線部の両方が移動可能であってもよい。
【0011】
また、本発明のコモンモードチョークコイルは、デジタルアンプと出力部品および前記出力部品の入力側に挿入される2つのコモンモードチョークコイルからなる出力装置において使用されるコアおよびその外周に形成された巻線部よりなるコモンモードチョークコイルにおいて、前記2つのコモンモードチョークコイルが電気的に分離された状態または電気的に結合された状態の両状態を選択可能とするように移動可能で、かつ前記コアに磁気的に結合可能な共通コア部を設けてもよい。
【0012】
ここで、前記コアまたは前記共通コア部は非磁性体と磁性体を組み合わせて構成されていてもよい。
【0013】
また、前記コアまたは前記共通コア部の形状がトロイダルリング状であってもよい。
【0014】
また、前記共通コア部が円柱形状であり、少なくともその両端部分においてその中心軸と並行な面により3分割され、その中央部分が磁性体、その両側が非磁性体であってもよい。
【0015】
また、前記共通コア部が円柱形状であり、少なくともその両端部分においてその中心軸と並行な面により5分割され、その中央部分が磁性体、その両側が非磁性体、その外側が磁性体であり、前記2つのコモンモードチョークコイルが電気的に分離された状態では、それぞれのコモンモードチョークコイルのコアが閉磁路を構成してもよい。
【0016】
本発明の出力装置は上記のいずれかに記載のコモンモードチョークコイルを有している。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、デジタルアンプを用いてSEPP接続方式とBTL接続方式を同一基板上に構成可能とした出力装置において、出力部に上記のように電気的に結合された状態または電気的に分離された状態の両状態を選択可能な2つのコモンモードチョークコイルを使用することにしたので、従来のようにSEPP接続方式とBTL接続方式を切替える際にSEPP接続方式用コモンモードチョークコイル2つとBTL接続方式用コモンモードチョークコイル1つをそれぞれ別個に必要とせず、部品点数削減、製造工数削減、実装面積削減ができる。また、不使用パターンが生じないため、不使用パターンによる不要輻射を防止することができる。
【0018】
また、従来のように接続方式の違いを共通の基板を用いて構成する場合にコモンモードチョークコイル及び負荷スピーカを夫々個別に実装する必要がなくなり、アンプの製造過程において接続方式によって部品を付替えする必要がないので、生産管理工数が削減できる。また、不使用パターンが生じないため、不使用パターンによる不要輻射を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0020】
図1は、本発明によるコモンモードチョークコイルの第1の実施例を示す外観の斜視図である。図1は、出力装置に使用される2つのコモンモードチョークコイルを示し、コ字型のコア9,10にそれぞれボビン11,12が装着されて2つのコモンモードチョークコイルを構成する。ボビン11には、2本の銅線13,14が2本同時に同一巻方向に巻線されている。ボビン12には、2本の銅線15,16が2本同時に同一巻方向に巻線されている。図1において符号に−1を付加して表示しているのは各銅線の巻始めを示し、符号に−2を付加して表示しているのは各銅線の巻終りを示す。これら2つのコイルを用いて、コアを移動させ、かつ、銅線の接続方法を変えることにより2つのコモンモードチョークコイルを電気的に分離された状態または電気的に結合された状態としてSEPP接続方式とBTL接続方式とに夫々適合するコモンモードチョークコイルを得ることができる。
【0021】
図2に、図1に示した2つのコイルを用いてBTL接続方式に適合するコモンモードチョークコイル21(図4参照)を構成した場合、すなわちホビン11とホビン12からなる2つのコモンモードチョークコイルを電気的に結合した状態としたときの外観の斜視図を示す。2つのコ字型のコア9,10のそれぞれのコア断面17とコア断面19、コア断面18とコア断面20をそれぞれ互いに接合させることにより、コア9とコア10によりロの字型の閉磁路コア構造が構成されている。図3は、図2に示すコモンモードチョークコイルの回路図を示し、図4は、図2に示すコモンモードチョークコイルを使用したBTL接続方式の出力装置の回路図を示す。
【0022】
ここで、図4に示すように、BTL接続方式時には、2本の銅線13,14の巻始め13−1及び14−1と巻終り13−2及び14−2、銅線15,16の巻始め15−1及び16−1と巻終り15−2及び16−2を夫々短絡させ(図1参照)、電流容量を単一のコモンモードチョークコイルの2倍とし、かつ2つが結合され1つのコモンモードチョークコイル21が構成されるようにしている。このコモンモードチョークコイル21を、図4のようにBTL接続方式のデジタルアンプ1および2出力段のローパスフィルタの後段と負荷スピーカ8の間に接続することにより、デジタルアンプ1及び2から発生するコモンモードノイズを除去することができる。
【0023】
次に、図5に、図1に示す2つのコイルを用いてSEPP接続方式に適合するコモンモードチョークコイル22(図7参照)を構成した場合、すなわちホビン11とホビン12からなる2つのコモンモードチョークコイルを電気的に分離した状態としたときの外観の斜視図を示す。2つのコ字型のコア9,10のそれぞれのコア断面17とコア断面19、コア断面18とコア断面20を、それぞれ対向させないことにより、コア9とコア10が分離された構成となっている。図6は、図5に示すコモンモードチョークコイルの回路図を示し、図7は、図5に示すコモンモードチョークコイルを使用したSEPP接続方式の出力装置の回路図を示す。
【0024】
SEPP接続方式時には、2本の銅線13,14の巻始め13−1及び14−1と巻終り13−2及び14−2、銅線15,16の巻始め15−1及び16−1と巻終り15−2及び16−2は夫々短絡せず、コア断面17及び断面19、断面18及び断面20を互いに接合しないようにコア10をボビン12の巻き軸方向(図5のX軸方向)にずらすことによって、図6に示すように、夫々独立した2つのコモンモードチョークコイルを得る。この際、コア9及びボビン11及びボビン12は固定したまま移動させない。このコモンモードチョークコイル22を図7のようにSEPP接続方式のデジタルアンプ1及び2の出力段のローパスフィルタ後段と負荷スピーカ6及び7のそれぞれの間に接続することにより、デジタルアンプ1及び2から発生するコモンモードノイズを除去することができる。また、コア9とコア10を分離させることにより、2つのコモンモードチョークコイル間の結合を少なくし、チャンネル間セパレーションを確保することができる。
【0025】
このようにホビンに巻く銅線の短絡・非短絡を設定しコアを移動させることによって、SEPP接続方式及びBTL接続方式両方に適合可能なコモンモードチョークコイルを実現できる。従来、3つ必要としていたコモンモードチョークコイルが2つで賄われるため、実装点数、作業工数、管理工数、部品実装面積が削減できる。
【0026】
なおコア10の移動方向については、本実施例では図5に示すX軸方向としたが、ボビン12の内径部分を大きくすることにより、移動方向をY軸方向又はZ軸方向としても同様の効果を得ることができる。また、ボビン12の内径部分を円筒状にし、かつコア10のボビン12と接触する部分を円筒状にすることによって、図8のようにX軸を中心軸としてコア10を90度又は180度回転させることによっても同様の効果を得ることができる。コア9についても、コア10と同様にX軸を中心軸としてコア10とは逆に90度又は180度回転させることによって、図9の状態にすることによりチャンネル間セパレーションはさらに向上する。BTL接続方式に適合させるために、図8又は図9の状態から図2の状態に切替える。図10は、このときのコア9および10の回転を円滑に行うための構造の一例を示す図9のX軸方向から見たときのコア断面17と19、18と20がそれぞれ接合するときの側面図であり、上記接合面のYZ面内での切線23が斜めとなるよう構成したものである。
【実施例2】
【0027】
次に、本発明によるコモンモードチョークコイルの第2の実施例について説明する。本実施例においても、2つのコモンモードチョークコイルの基本構成は図1と同じである。但し、本実施例においては、コアとボビンの両方を移動させることによってBTL接続方式とSEPP接続方式への対応を切り替える。BTL接続方式に適合するコモンモードチョークコイルの構成は図2と同じである。SEPP接続方式に適合するコモンモードチョークコイルとしたときの外観の斜視図を図11に示す。コア10及びボビン12の相対位置関係は固定したまま、それらをX軸方向にずらすことにより、コア9とコア10が磁気的に分離された構成となり、図6に示したように、夫々独立した2つのコモンモードチョークコイルを得る。本実施例ではコア10及びボビン12の移動方向を図11に示すX軸方向としたが、移動方向をY軸方向又はZ軸方向としても同様の効果を得ることができる。
【実施例3】
【0028】
上記実施例1及び実施例2では、コア9及びコア10の形状がコ字型であったが、本実施例においてはコアの形状をロ字型としている。図12は、本実施例におけるコモンモードチョークコイルを示す外観の斜視図であり、出力装置に使用される2つのコモンモードチョークコイルを示している。ロ字型のコア24,25に、それぞれボビン11,12が装着されて2つのコモンモードチョークコイルを構成する。実施例1と同様に、ボビン11には、2本の銅線13,14が2本同時に同一巻方向に巻線されている。ボビン12には、2本の銅線15,16が2本同時に同一巻方向に巻線されている。図12において符号に−1を付加して表示しているのは、各銅線の巻始めを示し、符号に−2を付加して表示しているのは、各銅線の巻終りを示す。これら2つのコイルを用いて、コアを移動させ、かつ、銅線の接続方法を変えることにより、2つのコモンモードチョークコイルを電気的に分離された状態または電気的に結合された状態としてSEPP接続方式とBTL接続方式とに夫々適合するコモンモードチョークコイルを得ることができる。
【0029】
図13に、図12に示した2つのコイルを用いてBTL接続方式に適合するコモンモードチョークコイルを構成した場合の外観の斜視図を示す。図12の状態のコモンモードチョークコイルの回路図は、図3と同様であり、図12の状態のコモンモードチョークコイルを使用したBTL接続方式の出力装置の回路図は図4と同様である。
【0030】
実施例1と同様に、2本の銅線13,14の巻始め13−1及び14−1と巻終り13−2及び14−2、銅線15,16の巻始め15−1及び16−1と巻終り15−2及び16−2を夫々短絡させ、電流容量を単一のコモンモードチョークコイルの2倍とし、かつ2つが結合され1つのコモンモードチョークコイル21が構成されるようにしている。このコモンモードチョークコイル21を、図4のようにBTL接続方式のデジタルアンプ1および2出力段のローパスフィルタの後段と負荷スピーカ8の間に接続することにより、デジタルアンプ1及び2から発生するコモンモードノイズを除去することができる。
【0031】
図14に、図12に示した2つのコイルを用いてSEPP接続方式に適合するコモンモードチョークコイル22(図7参照)を構成した場合の外観の斜視図を示す。SEPP接続方式時には、2本の銅線13,14の巻始め13−1及び14−1と巻終り13−2及び14−2、銅線15,16の巻始め15−1及び16−1と巻終り15−2及び16−2は夫々短絡せず、コア24と25が互いに接合しないようにコア25を図14のY軸方向にずらすことによって、図6に示したものと同様な夫々独立した2つのコモンモードチョークコイルを得る。この際、コア25とボビン12は固定されている。このコモンモードチョークコイル22を、図7のようにSEPP接続方式のデジタルアンプ1及び2の出力段のローパスフィルタ後段と負荷スピーカ6及び7のそれぞれの間に接続することにより、デジタルアンプ1及び2から発生するコモンモードノイズを除去することができる。また、コア24とコア25を分離させることにより、2つのコモンモードチョークコイル間の結合を少なくし、チャンネル間セパレーションを確保することができる。
【0032】
なお、コア25及びボビン12の移動方向については、本実施例3では図14に示すY軸方向としたが、移動方向をX軸方向又はZ軸方向としても同様の効果を得ることができる。また、ボビン12の内径部分を円筒状にし、かつコア25のボビン12と接触する部分を円筒状にすることによって図15のようにX軸を中心軸としてコア25を90度又は180度回転させることによっても同様の効果を得ることができる。
【0033】
さらに、コア24についてもコア25と同様に、X軸を中心軸としてコア25とは逆に90度又は180度回転させることによって図16の状態にすることにより、チャンネル間セパレーションはさらに向上する。BTL接続方式に適合させるために、図15又は図16の状態から図13の状態に切替えるが、実施例1の図10と同様に、コア24および25の回転を円滑に行うため、図16のX軸方向から見たときのコア24と25が接合するときの接合面のYZ面内での切線が斜めとなるよう構成してもよい。
【実施例4】
【0034】
本実施例のコモンモードチョークコイルは、出力装置において使用される2つのコモンモードチョークコイルが電気的に分離された状態または電気的に結合された状態の両状態を選択可能とするように移動可能で、かつ上記2つのコモンモードチョークコイルのコアに磁気的に結合可能な共通コア部を設けている。
【0035】
本実施例の基本構成の外観の斜視図を図17に示す。実施例1の図1と同様に、コ字型のコア9,10にそれぞれボビン11,12が装着されて2つのコモンモードチョークコイルを構成する。ボビン11には、2本の銅線13,14が2本同時に同一巻方向に巻線されている。ボビン12には2本の銅線15,16が2本同時に同一巻方向に巻線されている。本実施例においては共通コア部33を有し、共通コア部33は、略立方体形状のコア26と27を棒状の非磁性体28の両端に設置して構成され、コア26および27の表面形状はそれぞれ対向して設置されるコア9,10の断面17,18,19,20の形状とほぼ一致するように形成されている。本実施例においては共通コア部33を移動させ、かつ、銅線の接続方法を変えることによりSEPP接続方式とBTL接続方式とに夫々適合するコモンモードチョークコイルを得る。
【0036】
図18に、図17に示した2つのコモンモードチョークコイルと共通コア部33を用いてBTL接続方式に適合するコモンモードチョークコイルを構成した場合の外観の斜視図を示す。図18の状態のコモンモードチョークコイルの回路図は図3と同様であり、図18の状態のコモンモードチョークコイルを使用したBTL接続方式の出力装置の回路図は図4と同様である。
【0037】
BTL接続方式時には、実施例1と同様に、2本の銅線13,14の巻始め13−1及び14−1と巻終り13−2及び14−2、銅線15,16の巻始め15−1及び16−1と巻終り15−2及び16−2を夫々短絡させ、コアの断面17及び断面29、断面18と断面30、断面19と断面31、断面20と断面32を互いに接合させることにより、コア9、コア10、コア26、コア27を併せて1つのロ字型の閉磁路コア構造となり、電流容量を単一のコモンモードチョークコイルの2倍とし、かつ2つが結合され1つのコモンモードチョークコイルが構成されるようにしている。このコモンモードチョークコイルは、図4の21のようにBTL接続方式のデジタルアンプ1および2出力段のローパスフィルタの後段と負荷スピーカ8の間に接続することにより、デジタルアンプ1及び2から発生するコモンモードノイズを除去することができる。
【0038】
図19に、図17に示した2つのコモンモードチョークコイルと共通コア部33を用いてSEPP接続方式に適合するコモンモードチョークコイルを構成した場合の外観の斜視図を示す。SEPP接続方式時には、2本の銅線13,14の巻始め13−1及び14−1と巻終り13−2及び14−2、銅線15,16の巻始め15−1及び16−1と巻終り15−2及び16−2は夫々短絡せず、共通コア部33とコア9,10が互いに接合しないように共通コア部33をX軸方向にずらすことによって、図6に示したものと同様な夫々独立した2つのコモンモードチョークコイルを得る。
【0039】
この際、コア9及びボビン11、コア10及びボビン12は、固定したまま移動させない。このコモンモードチョークコイルを、図7のようにSEPP接続方式のデジタルアンプ1及び2の出力段のローパスフィルタ後段と負荷スピーカ6及び7のそれぞれの間に接続することにより、デジタルアンプ1及び2から発生するコモンモードノイズを除去することができる。また、コア9とコア10を分離させることにより、2つのコモンモードチョークコイル間の結合を少なくし、チャンネル間セパレーションを確保することができる。コア33の可動方向はZ軸方向に可動させることによっても同様の効果を得ることができる。
【0040】
実施例4では共通コア部33は棒状であったが、共通コア部を図20に示すようなトロイダルリング形状にしても同様の効果が得られる。コア26及びコア27は、半円形の非磁性体34,35で保持され、トロイダルリング形状の共通コア部36を構成する。非磁性体34及び35は、トロイダルリングの中心線に対して対称に位置する。共通コア部36と図17に示す2つのコモンモードチョークコイルとにより1つの部品と成し、共通コア部36を移動させ、かつ、銅線の接続方法を変えることにより、SEPP接続方式とBTL接続方式とに夫々適合するコモンモードチョークコイルを得る。BTL接続方式に適合させる場合は、コア26,27がコア9と10の断面と接合する位置になるようにし、SEPP接続方式に適合させる時は、共通コア部36をトロイダルリングの中心軸を回転軸として回転させ、コア26,27がコア9、10の断面と互いに接合しないようにずらすことで同様の効果を得ることができる。
【実施例5】
【0041】
本発明による第5の実施例のコモンモードチョークコイルの基本構成の外観の斜視図を図21に示す。本実施例に使用するボビン11および12の形状およびそこに巻かれている銅線13,14,15,16およびその巻線形状は実施例1の図1に示したものと同じである。但し、本実施例においては、ホビン11および12を貫通するコアは1つの棒状の複合コア40からなり、複合コア40は直方体棒状のコア37および38とコア37と38に挟まれた直方体形状の非磁性体39により構成されている。本実施例においては、複合コア40を移動させ、かつ、銅線13および14,15,16の接続方法を変えることによりSEPP接続方式とBTL接続方式とに夫々適合するコモンモードチョークコイルを得る。
【0042】
図22は、本実施例においてBTL接続方式に適合するコモンモードチョークコイルを構成した場合の外観の斜視図を示す。銅線13,14,15,16の結線を実施例1のBTL接続方式の場合と同様に設定し、複合コア40を構成するコア37がホビン11と12を同時に貫通する位置に複合コア40を設置することにより、図3と同様な電流容量が2倍のコモンモードチョークとなる。このコモンモードチョークコイルを、図4のコモンモードチョークコイル21ようにBTL接続方式の出力装置に使用し、デジタルアンプから発生するコモンモードノイズを除去することができる。
【0043】
図23は、本実施例においてSEPP接続方式に適合するコモンモードチョークコイルを構成した場合の外観の斜視図を示す。銅線13,14,15,16の結線を実施例1のSEPP接続方式の場合と同様に設定し、複合コア40を構成する非磁性体39がホビン11と12の中間に設置しコア37及びコア38が、それぞれホビン11及びホビン12の内側に位置するように複合コア40を移動することにより、図6と同様な夫々独立した2つのコモンモードチョークコイルを得る。この際、ホビン11と12の相対位置は固定したまま、複合コア40を移動させる。この2つのコモンモードチョークコイルを図7のコモンモードチョークコイル22のようにSEPP接続方式の出力装置に使用しデジタルアンプから発生するコモンモードノイズを除去することができる。
【0044】
上記例においては、複合コア40は棒状であったが、複合コアをトロイダルリング形状の複合コアとしても同様の効果が得られる。図24は、このようなトロイダルリング形状の複合コアの一例を示す平面図である。トロイダルリング形状の複合コア45は半円状のコア41、42及びそれらに挟まれた非磁性体43,44により構成される。非磁性体43,44は、互いにトロイダルリングの中心線に対して対称な位置にある。複合コア45は図21と同様なホビン11と12を貫通するように設置され、複合コア45を移動させ、かつ、銅線の接続方法を変えることにより、SEPP接続方式とBTL接続方式とに夫々適合するコモンモードチョークコイルを得る。図25および図26は、それぞれBTL接続方式とSEPP接続方式とに夫々適合するコモンモードチョークコイルの構成を示す平面図である。
【0045】
BTL接続方式に適合させる場合の複合コア45は、図25に示すように可動コア45を構成するコア42がホビン11および12の内側を同時に貫通する位置に設置する。SEPP接続方式に適合させる場合は、図26に示すように複合コア45を構成する非磁性体44がホビン11と12の間に位置するように設置することで同様の効果を得ることができる。
【実施例6】
【0046】
本発明による第6の実施例のコモンモードチョークコイルの基本構成の外観の斜視図を図27に示す。本実施例に使用するボビン11および12の形状およびそこに巻かれている銅線13,14およびその巻線形状は実施例1の図1に示したものと同じである。また、実施例4の図17と同様に2つのコモンモードチョークコイルのコアに磁気的に結合可能な共通コア部を設けている。但し本実施例においては、共通コア部49は円柱状であり、その中心軸と並行な面により3分割され、その中央部分が磁性体48、その両側が非磁性体46および47である。また、共通コア部49はその中心軸で回転するように構成されている。また、コ字型のコア9,10の断面17,18,19,20は蒲鉾型に凹状になっており、共通コア部49の曲面と勘合するように成形されている。本実施例も共通コア部49を移動させ、かつ、銅線の接続方法を変えることによりSEPP接続方式とBTL接続方式とに夫々適合するコモンモードチョークコイルを得る。
【0047】
図28は、本実施例によりBTL接続方式に適合するコモンモードチョークコイルを構成した場合の外観の斜視図を示す。銅線13,14,15,16の結線を実施例1のBTL接続方式の場合と同様に設定し、コア断面17,18,19、20が可動コアの磁性体48と接合する位置に可動コアを回転させ設置させることにより、コア9、コア10、磁性体48により日の字型の閉磁路コアが構成され、図3と同様な電流容量が2倍のコモンモードチョークとなる。このコモンモードチョークコイルを図4のコモンモードチョークコイル21のようにBTL接続方式の出力装置に使用し、デジタルアンプから発生するコモンモードノイズを除去することができる。
【0048】
図29は、本実施例によりSEPP接続方式に適合するコモンモードチョークコイル22を構成した場合の外観の斜視図を示す。銅線13,14,15,16の結線を実施例1のSEPP接続方式の場合と同様に設定し、コア断面17、断面18、断面19、断面20と磁性体48が接合しないように共通コア部49を回転させることで、図6と同様な夫々独立した2つのコモンモードチョークコイルを得る。この際、コア9及びボビン11、コア10及びボビン12は固定したまま移動させない。この2つのコモンモードチョークコイルを、図7のコモンモードチョークコイル22のようにSEPP接続方式の出力装置に使用しデジタルアンプから発生するコモンモードノイズを除去することができる。
【0049】
上記例においては共通コア部49は磁性体を非磁性体で挟む3層構造であったが、本実施例における共通コア部は図30のコア形状の他の例に示すように両端部だけその中心軸と並行な面により5分割され、その中央部分が磁性体50、51その両側が非磁性体54、その外側が磁性体52,53となるように構成された円柱状の共通コア部55であってもよい。なお、図30では円柱の長手方向の中央部では3層構造であり中央部が非磁性体、その両側が磁性体である。
【0050】
この場合も共通コア部55を回転させ、かつ、銅線の接続方法を変えることによりSEPP接続方式とBTL接続方式とに夫々適合するコモンモードチョークコイルを得る。BTL接続方式に適合させる場合の共通コア部55の位置は、図31の斜視図に示すように共通コア部55を構成する磁性体50、51が2つのコアの断面17、18、19、20と接合する位置に設置する。こうすることでコア9、コア10、磁性体50、磁性体51によってロの字コアが形成され閉磁路構造となり図3に示す回路のコモンモードチョークコイルを得る。
【0051】
SEPP接続方式に適合させる場合の共通コア部55の位置は、図32の斜視図に示すように共通コア部55を構成する非磁性体を挟んだ外側の磁性体52,53が2つのコアの断面17,18,19,20と接合する位置に設置することで、コア9と磁性体52、コア10と磁性体53によって夫々独立にロ字型のコアが形成され、閉磁路構造となり図6に示す回路と同様なコモンモードチョークコイルを得る。SEPP接続方式においてもコアが閉磁路構造をとるのでチャンネルセパレーションはさらに良好となる。
【0052】
以上のように、本発明では、デジタルアンプを使用した出力装置において、接続方式をSEPP接続またはBTL接続に切り替え可能で、部品点数の削減、実装面積の削減、製造工数の削減及び生産管理工数の削減が可能で、かつ不使用オープンパターンによる不要輻射を防止することができるコモンモードチョークコイル及び出力装置が得られる。
【0053】
本発明において使用するコアおよび磁性体の材料としては、金属系ダストコアやフェライトコアなどを使用でき、非磁性材料としてはプラスチックやセラミック材料などを使用できる。また、本発明に用いる出力部品としては主としてオーディオ装置に使用されるスピーカ、イヤホーン等であるがこれらに限定されるものではなく、同様な回路構成が使用される様々な出力装置に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明によるコモンモードチョークコイルの第1の実施例を示す外観の斜視図。
【図2】第1の実施例のBTL接続方式に適合するコモンモードチョークコイルを構成した場合の外観の斜視図。
【図3】第1の実施例のBTL接続方式に適合するコモンモードチョークコイルを構成した場合のコモンモードチョークコイルの回路図。
【図4】第1の実施例のBTL接続方式に適合するコモンモードチョークコイルを使用したBTL接続方式の出力装置の回路図。
【図5】第1の実施例のSEPP接続方式に適合するコモンモードチョークコイルを構成した場合の外観の斜視図。
【図6】第1の実施例のSEPP接続方式に適合するコモンモードチョークコイルを構成した場合のコモンモードチョークコイルの回路図。
【図7】第1の実施例のSEPP接続方式に適合するコモンモードチョークコイルを使用したSEPP接続方式の出力装置の回路図。
【図8】第1の実施例のコアを移動してSEPP接続方式に適合するコモンモードチョークコイルを構成した場合の他の例の外観の斜視図。
【図9】第1の実施例のコアを移動してSEPP接続方式に適合するコモンモードチョークコイルを構成した場合の他の例の外観の斜視図。
【図10】BTL接続方式に適合するコモンモードチョークコイルを構成した場合のコア接合部分を示す側面図。
【図11】本発明によるコモンモードチョークコイルの第2の実施例のSEPP接続方式に適合するコモンモードチョークコイルを構成した場合を示す外観の斜視図。
【図12】本発明によるコモンモードチョークコイルの第3の実施例を示す外観の斜視図。
【図13】第3の実施例のBTL接続方式に適合するコモンモードチョークコイルを構成した場合の外観の斜視図。
【図14】第3の実施例のSEPP接続方式に適合するコモンモードチョークコイルを構成した場合の外観の斜視図。
【図15】第3の実施例のコアを移動してSEPP接続方式に適合するコモンモードチョークコイルを構成した場合の他の例の外観の斜視図。
【図16】第3の実施例のコアを移動してSEPP接続方式に適合するコモンモードチョークコイルを構成した場合の他の例の外観の斜視図。
【図17】本発明によるコモンモードチョークコイルの第4の実施例を示す外観の斜視図。
【図18】第4の実施例のBTL接続方式に適合するコモンモードチョークコイルを構成した場合の外観の斜視図。
【図19】第4の実施例のSEPP接続方式に適合するコモンモードチョークコイルを構成した場合の外観の斜視図。
【図20】第4の実施例において使用される共通コア部の他の形態例。
【図21】本発明によるコモンモードチョークコイルの第5の実施例を示す外観の斜視図。
【図22】第5の実施例のBTL接続方式に適合するコモンモードチョークコイルを構成した場合の外観の斜視図。
【図23】第5の実施例のSEPP接続方式に適合するコモンモードチョークコイルを構成した場合の外観の斜視図。
【図24】第5の実施例に使用するコア形状の他の例を示す平面図。
【図25】第5の実施例のコア形状の他の例のBTL接続方式に適合するコモンモードチョークコイルを構成した場合の外観の平面図。
【図26】第5の実施例のコア形状の他の例のSEPP接続方式に適合するコモンモードチョークコイルを構成した場合の外観の平面図。
【図27】本発明によるコモンモードチョークコイルの第6の実施例を示す外観の斜視図。
【図28】第6の実施例のBTL接続方式に適合するコモンモードチョークコイルを構成した場合の外観の斜視図。
【図29】第6の実施例のSEPP接続方式に適合するコモンモードチョークコイルを構成した場合の外観の斜視図。
【図30】第6の実施例に使用するコア形状の他の例を示す斜視図。
【図31】第6の実施例のコア形状の他の例を使用してBTL接続方式に適合するコモンモードチョークコイルを構成した場合の外観の斜視図。
【図32】第6の実施例のコア形状の他の例を使用してSEPP接続方式に適合するコモンモードチョークコイルを構成した場合の外観の斜視図。
【図33】SEPP接続方式のデジタルアンプによる出力装置の2チャンネル分の基本回路図。
【図34】2つのデジタルアンプを用いてBTL接続方式の出力装置の1チャンネル分を構成した場合の回路図。
【図35】従来のSEPP接続方式の出力装置の2チャンネル及びBTL接続方式の出力装置1チャンネルを同一基板上で構成し電気的に切替える場合の回路図。
【図36】基板を共通化する目的で同一基板上にSEPP接続方式での出力装置2チャンネル及びBTL接続方式の出力装置1チャンネルを実現させるため従来のコモンモードチョークコイルを用いた場合の回路図。
【符号の説明】
【0055】
1,2 デジタルアンプ
3,4,5,21,22 コモンモードチョークコイル
6,7,8 負荷スピーカ
9,10,24,25,26,27,37,38,41,42 コア
11,12 ボビン
13,14,15,16 銅線
13−1,14−1,15−1,16−1 巻始め
13−2,14−2,15−2,16−2 巻終り
17,18,19,20,29,30,31,32 断面
23 切線
28,33,34,35,39,43,44,46,47,54 非磁性体
33,36,49,55 共通コア部
40,45 複合コア
48,50,51,52,53 磁性体
L1,L2 インダクタ
C1,C2 コンデンサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルアンプ出力段に使用するコモンモードチョークコイル及びこのコモンモードチョークコイルを有する出力装置に関し、特にスピーカなどの出力部品の接続方式を変換可能なコモンモードチョークコイル及びそれを使用した出力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルアンプによりスピーカなどの出力部品を駆動する場合、接続方式としては下記非特許文献1に示されるように、SEPP(Single-Ended-Push-Pull)接続とBTL(Bridge-Tied-Load)接続が用いられる。また、スピーカの入力側にはコモンモードノイズ吸収用にコモンモードチョークコイルが挿入される。
【0003】
SEPP接続方式のデジタルアンプによる出力装置の2チャンネル分の基本回路図を図33に示す。デジタルアンプ1,2の出力段には、夫々コモンモードノイズ吸収用にコモンモードチョークコイル3,4を有している。インダクタL1、コンデンサC1及びインダクタL2、コンデンサC2は、それぞれデジタルアンプ1,2の出力段に設けられたローパスフィルタを構成する。6,7は負荷スピーカである。1つのアンプで1つの負荷スピーカを駆動するのがSEPP接続方式である。コモンモードチョークコイルは、各チャンネルにつき1つ必要である。
【0004】
上記デジタルアンプ1,2を用いてBTL接続方式の出力装置の1チャンネル分を構成した場合の回路図を図34に示す。2台のデジタルアンプ1,2で1つの負荷スピーカ8を駆動するのがBTL接続方式である。出力段にはコモンモードチョークコイル5を1つ有し、インダクタL1、コンデンサC1及びインダクタL2、コンデンサC2は、デジタルアンプ1,2の出力段に設けられたローパスフィルタを構成する。BTL接続方式の理論上の実効出力はSEPP接続方式の4倍である。出力経路に流れる電流はSEPP接続方式の2倍となるため、コモンモードチョークコイル5はコモンモードチョークコイル3、4よりも電流容量が2倍のものを選定する必要がある。
【0005】
【非特許文献1】新日本無線NJU8711アプリケーションノートVer.2003-09-18
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば、回路基板の共通化のため、SEPP接続方式による2チャンネル分の出力装置の回路及びBTL接続方式による1チャンネル分の出力装置の回路を同一基板上で構成し電気的に切替えて使用しようとする場合、図35に示すように、SEPP接続方式2チャンネル用コモンモードチョークコイルを2つ、BTL接続方式1チャンネル用コモンモードチョークコイル1つをそれぞれ実装する必要があるので、部品点数の増加により製造工数が増加し、かつ実装面積も増大するという問題があった。また、SEPP接続方式からBTL接続方式に切替えた時には、コモンモードチョークコイル3,4が不要となって無駄になる上に、使用していない回路パターンがオープンとなり、このオープンパターンがアンテナとなって不要輻射が発生するという問題があった。
【0007】
また、例えば同様に基板を共通化する目的で、図36に示すように、同一基板上にSEPP接続方式出力装置2チャンネルまたはBTL接続方式出力装置1チャンネルを実装可能な回路基板構成とした場合は、SEPP接続方式の時はコモンモードチョークコイル3,4及び負荷スピーカ6,7を実装し、BTL接続方式の時はコモンモードチョークコイル5及び負荷スピーカ8を実装する必要があり、出力装置の製造過程において接続方式によって部品を付替えする必要があり、生産管理工数が増えるという問題があった。また、図35の場合と同様に、不使用パターンがオープンとなり、このオープンパターンがアンテナとなって不要輻射が発生するという問題があった。
【0008】
そこで、本発明の課題は、デジタルアンプを使用した出力装置において上記のような問題を解決するため、接続方式をSEPP接続またはBTL接続に切り替え可能で、部品点数の削減、実装面積の削減、製造工数の削減及び生産管理工数の削減が可能で、かつ不使用オープンパターンによる不要輻射を防止することができるコモンモードチョークコイル及び出力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を達成するために、本発明のコモンモードチョークコイルは、デジタルアンプと出力部品および前記出力部品の入力側に挿入される2つのコモンモードチョークコイルに分離可能なコモンモードチョーク複合体とからなる出力装置において使用されるコアおよびその外周に形成された巻線部よりなるコモンモードチョークコイルにおいて、前記2つのコモンモードチョークコイルが電気的に分離された状態または電気的に結合された状態の両状態を選択可能とするように前記コアまたは前記巻線部の少なくとも一方を移動可能としている。
【0010】
ここで、前記コモンモードチョークコイルの前記コアのみが移動可能であってもよいし、前記コア及び前記巻線部の両方が移動可能であってもよい。
【0011】
また、本発明のコモンモードチョークコイルは、デジタルアンプと出力部品および前記出力部品の入力側に挿入される2つのコモンモードチョークコイルからなる出力装置において使用されるコアおよびその外周に形成された巻線部よりなるコモンモードチョークコイルにおいて、前記2つのコモンモードチョークコイルが電気的に分離された状態または電気的に結合された状態の両状態を選択可能とするように移動可能で、かつ前記コアに磁気的に結合可能な共通コア部を設けてもよい。
【0012】
ここで、前記コアまたは前記共通コア部は非磁性体と磁性体を組み合わせて構成されていてもよい。
【0013】
また、前記コアまたは前記共通コア部の形状がトロイダルリング状であってもよい。
【0014】
また、前記共通コア部が円柱形状であり、少なくともその両端部分においてその中心軸と並行な面により3分割され、その中央部分が磁性体、その両側が非磁性体であってもよい。
【0015】
また、前記共通コア部が円柱形状であり、少なくともその両端部分においてその中心軸と並行な面により5分割され、その中央部分が磁性体、その両側が非磁性体、その外側が磁性体であり、前記2つのコモンモードチョークコイルが電気的に分離された状態では、それぞれのコモンモードチョークコイルのコアが閉磁路を構成してもよい。
【0016】
本発明の出力装置は上記のいずれかに記載のコモンモードチョークコイルを有している。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、デジタルアンプを用いてSEPP接続方式とBTL接続方式を同一基板上に構成可能とした出力装置において、出力部に上記のように電気的に結合された状態または電気的に分離された状態の両状態を選択可能な2つのコモンモードチョークコイルを使用することにしたので、従来のようにSEPP接続方式とBTL接続方式を切替える際にSEPP接続方式用コモンモードチョークコイル2つとBTL接続方式用コモンモードチョークコイル1つをそれぞれ別個に必要とせず、部品点数削減、製造工数削減、実装面積削減ができる。また、不使用パターンが生じないため、不使用パターンによる不要輻射を防止することができる。
【0018】
また、従来のように接続方式の違いを共通の基板を用いて構成する場合にコモンモードチョークコイル及び負荷スピーカを夫々個別に実装する必要がなくなり、アンプの製造過程において接続方式によって部品を付替えする必要がないので、生産管理工数が削減できる。また、不使用パターンが生じないため、不使用パターンによる不要輻射を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0020】
図1は、本発明によるコモンモードチョークコイルの第1の実施例を示す外観の斜視図である。図1は、出力装置に使用される2つのコモンモードチョークコイルを示し、コ字型のコア9,10にそれぞれボビン11,12が装着されて2つのコモンモードチョークコイルを構成する。ボビン11には、2本の銅線13,14が2本同時に同一巻方向に巻線されている。ボビン12には、2本の銅線15,16が2本同時に同一巻方向に巻線されている。図1において符号に−1を付加して表示しているのは各銅線の巻始めを示し、符号に−2を付加して表示しているのは各銅線の巻終りを示す。これら2つのコイルを用いて、コアを移動させ、かつ、銅線の接続方法を変えることにより2つのコモンモードチョークコイルを電気的に分離された状態または電気的に結合された状態としてSEPP接続方式とBTL接続方式とに夫々適合するコモンモードチョークコイルを得ることができる。
【0021】
図2に、図1に示した2つのコイルを用いてBTL接続方式に適合するコモンモードチョークコイル21(図4参照)を構成した場合、すなわちホビン11とホビン12からなる2つのコモンモードチョークコイルを電気的に結合した状態としたときの外観の斜視図を示す。2つのコ字型のコア9,10のそれぞれのコア断面17とコア断面19、コア断面18とコア断面20をそれぞれ互いに接合させることにより、コア9とコア10によりロの字型の閉磁路コア構造が構成されている。図3は、図2に示すコモンモードチョークコイルの回路図を示し、図4は、図2に示すコモンモードチョークコイルを使用したBTL接続方式の出力装置の回路図を示す。
【0022】
ここで、図4に示すように、BTL接続方式時には、2本の銅線13,14の巻始め13−1及び14−1と巻終り13−2及び14−2、銅線15,16の巻始め15−1及び16−1と巻終り15−2及び16−2を夫々短絡させ(図1参照)、電流容量を単一のコモンモードチョークコイルの2倍とし、かつ2つが結合され1つのコモンモードチョークコイル21が構成されるようにしている。このコモンモードチョークコイル21を、図4のようにBTL接続方式のデジタルアンプ1および2出力段のローパスフィルタの後段と負荷スピーカ8の間に接続することにより、デジタルアンプ1及び2から発生するコモンモードノイズを除去することができる。
【0023】
次に、図5に、図1に示す2つのコイルを用いてSEPP接続方式に適合するコモンモードチョークコイル22(図7参照)を構成した場合、すなわちホビン11とホビン12からなる2つのコモンモードチョークコイルを電気的に分離した状態としたときの外観の斜視図を示す。2つのコ字型のコア9,10のそれぞれのコア断面17とコア断面19、コア断面18とコア断面20を、それぞれ対向させないことにより、コア9とコア10が分離された構成となっている。図6は、図5に示すコモンモードチョークコイルの回路図を示し、図7は、図5に示すコモンモードチョークコイルを使用したSEPP接続方式の出力装置の回路図を示す。
【0024】
SEPP接続方式時には、2本の銅線13,14の巻始め13−1及び14−1と巻終り13−2及び14−2、銅線15,16の巻始め15−1及び16−1と巻終り15−2及び16−2は夫々短絡せず、コア断面17及び断面19、断面18及び断面20を互いに接合しないようにコア10をボビン12の巻き軸方向(図5のX軸方向)にずらすことによって、図6に示すように、夫々独立した2つのコモンモードチョークコイルを得る。この際、コア9及びボビン11及びボビン12は固定したまま移動させない。このコモンモードチョークコイル22を図7のようにSEPP接続方式のデジタルアンプ1及び2の出力段のローパスフィルタ後段と負荷スピーカ6及び7のそれぞれの間に接続することにより、デジタルアンプ1及び2から発生するコモンモードノイズを除去することができる。また、コア9とコア10を分離させることにより、2つのコモンモードチョークコイル間の結合を少なくし、チャンネル間セパレーションを確保することができる。
【0025】
このようにホビンに巻く銅線の短絡・非短絡を設定しコアを移動させることによって、SEPP接続方式及びBTL接続方式両方に適合可能なコモンモードチョークコイルを実現できる。従来、3つ必要としていたコモンモードチョークコイルが2つで賄われるため、実装点数、作業工数、管理工数、部品実装面積が削減できる。
【0026】
なおコア10の移動方向については、本実施例では図5に示すX軸方向としたが、ボビン12の内径部分を大きくすることにより、移動方向をY軸方向又はZ軸方向としても同様の効果を得ることができる。また、ボビン12の内径部分を円筒状にし、かつコア10のボビン12と接触する部分を円筒状にすることによって、図8のようにX軸を中心軸としてコア10を90度又は180度回転させることによっても同様の効果を得ることができる。コア9についても、コア10と同様にX軸を中心軸としてコア10とは逆に90度又は180度回転させることによって、図9の状態にすることによりチャンネル間セパレーションはさらに向上する。BTL接続方式に適合させるために、図8又は図9の状態から図2の状態に切替える。図10は、このときのコア9および10の回転を円滑に行うための構造の一例を示す図9のX軸方向から見たときのコア断面17と19、18と20がそれぞれ接合するときの側面図であり、上記接合面のYZ面内での切線23が斜めとなるよう構成したものである。
【実施例2】
【0027】
次に、本発明によるコモンモードチョークコイルの第2の実施例について説明する。本実施例においても、2つのコモンモードチョークコイルの基本構成は図1と同じである。但し、本実施例においては、コアとボビンの両方を移動させることによってBTL接続方式とSEPP接続方式への対応を切り替える。BTL接続方式に適合するコモンモードチョークコイルの構成は図2と同じである。SEPP接続方式に適合するコモンモードチョークコイルとしたときの外観の斜視図を図11に示す。コア10及びボビン12の相対位置関係は固定したまま、それらをX軸方向にずらすことにより、コア9とコア10が磁気的に分離された構成となり、図6に示したように、夫々独立した2つのコモンモードチョークコイルを得る。本実施例ではコア10及びボビン12の移動方向を図11に示すX軸方向としたが、移動方向をY軸方向又はZ軸方向としても同様の効果を得ることができる。
【実施例3】
【0028】
上記実施例1及び実施例2では、コア9及びコア10の形状がコ字型であったが、本実施例においてはコアの形状をロ字型としている。図12は、本実施例におけるコモンモードチョークコイルを示す外観の斜視図であり、出力装置に使用される2つのコモンモードチョークコイルを示している。ロ字型のコア24,25に、それぞれボビン11,12が装着されて2つのコモンモードチョークコイルを構成する。実施例1と同様に、ボビン11には、2本の銅線13,14が2本同時に同一巻方向に巻線されている。ボビン12には、2本の銅線15,16が2本同時に同一巻方向に巻線されている。図12において符号に−1を付加して表示しているのは、各銅線の巻始めを示し、符号に−2を付加して表示しているのは、各銅線の巻終りを示す。これら2つのコイルを用いて、コアを移動させ、かつ、銅線の接続方法を変えることにより、2つのコモンモードチョークコイルを電気的に分離された状態または電気的に結合された状態としてSEPP接続方式とBTL接続方式とに夫々適合するコモンモードチョークコイルを得ることができる。
【0029】
図13に、図12に示した2つのコイルを用いてBTL接続方式に適合するコモンモードチョークコイルを構成した場合の外観の斜視図を示す。図12の状態のコモンモードチョークコイルの回路図は、図3と同様であり、図12の状態のコモンモードチョークコイルを使用したBTL接続方式の出力装置の回路図は図4と同様である。
【0030】
実施例1と同様に、2本の銅線13,14の巻始め13−1及び14−1と巻終り13−2及び14−2、銅線15,16の巻始め15−1及び16−1と巻終り15−2及び16−2を夫々短絡させ、電流容量を単一のコモンモードチョークコイルの2倍とし、かつ2つが結合され1つのコモンモードチョークコイル21が構成されるようにしている。このコモンモードチョークコイル21を、図4のようにBTL接続方式のデジタルアンプ1および2出力段のローパスフィルタの後段と負荷スピーカ8の間に接続することにより、デジタルアンプ1及び2から発生するコモンモードノイズを除去することができる。
【0031】
図14に、図12に示した2つのコイルを用いてSEPP接続方式に適合するコモンモードチョークコイル22(図7参照)を構成した場合の外観の斜視図を示す。SEPP接続方式時には、2本の銅線13,14の巻始め13−1及び14−1と巻終り13−2及び14−2、銅線15,16の巻始め15−1及び16−1と巻終り15−2及び16−2は夫々短絡せず、コア24と25が互いに接合しないようにコア25を図14のY軸方向にずらすことによって、図6に示したものと同様な夫々独立した2つのコモンモードチョークコイルを得る。この際、コア25とボビン12は固定されている。このコモンモードチョークコイル22を、図7のようにSEPP接続方式のデジタルアンプ1及び2の出力段のローパスフィルタ後段と負荷スピーカ6及び7のそれぞれの間に接続することにより、デジタルアンプ1及び2から発生するコモンモードノイズを除去することができる。また、コア24とコア25を分離させることにより、2つのコモンモードチョークコイル間の結合を少なくし、チャンネル間セパレーションを確保することができる。
【0032】
なお、コア25及びボビン12の移動方向については、本実施例3では図14に示すY軸方向としたが、移動方向をX軸方向又はZ軸方向としても同様の効果を得ることができる。また、ボビン12の内径部分を円筒状にし、かつコア25のボビン12と接触する部分を円筒状にすることによって図15のようにX軸を中心軸としてコア25を90度又は180度回転させることによっても同様の効果を得ることができる。
【0033】
さらに、コア24についてもコア25と同様に、X軸を中心軸としてコア25とは逆に90度又は180度回転させることによって図16の状態にすることにより、チャンネル間セパレーションはさらに向上する。BTL接続方式に適合させるために、図15又は図16の状態から図13の状態に切替えるが、実施例1の図10と同様に、コア24および25の回転を円滑に行うため、図16のX軸方向から見たときのコア24と25が接合するときの接合面のYZ面内での切線が斜めとなるよう構成してもよい。
【実施例4】
【0034】
本実施例のコモンモードチョークコイルは、出力装置において使用される2つのコモンモードチョークコイルが電気的に分離された状態または電気的に結合された状態の両状態を選択可能とするように移動可能で、かつ上記2つのコモンモードチョークコイルのコアに磁気的に結合可能な共通コア部を設けている。
【0035】
本実施例の基本構成の外観の斜視図を図17に示す。実施例1の図1と同様に、コ字型のコア9,10にそれぞれボビン11,12が装着されて2つのコモンモードチョークコイルを構成する。ボビン11には、2本の銅線13,14が2本同時に同一巻方向に巻線されている。ボビン12には2本の銅線15,16が2本同時に同一巻方向に巻線されている。本実施例においては共通コア部33を有し、共通コア部33は、略立方体形状のコア26と27を棒状の非磁性体28の両端に設置して構成され、コア26および27の表面形状はそれぞれ対向して設置されるコア9,10の断面17,18,19,20の形状とほぼ一致するように形成されている。本実施例においては共通コア部33を移動させ、かつ、銅線の接続方法を変えることによりSEPP接続方式とBTL接続方式とに夫々適合するコモンモードチョークコイルを得る。
【0036】
図18に、図17に示した2つのコモンモードチョークコイルと共通コア部33を用いてBTL接続方式に適合するコモンモードチョークコイルを構成した場合の外観の斜視図を示す。図18の状態のコモンモードチョークコイルの回路図は図3と同様であり、図18の状態のコモンモードチョークコイルを使用したBTL接続方式の出力装置の回路図は図4と同様である。
【0037】
BTL接続方式時には、実施例1と同様に、2本の銅線13,14の巻始め13−1及び14−1と巻終り13−2及び14−2、銅線15,16の巻始め15−1及び16−1と巻終り15−2及び16−2を夫々短絡させ、コアの断面17及び断面29、断面18と断面30、断面19と断面31、断面20と断面32を互いに接合させることにより、コア9、コア10、コア26、コア27を併せて1つのロ字型の閉磁路コア構造となり、電流容量を単一のコモンモードチョークコイルの2倍とし、かつ2つが結合され1つのコモンモードチョークコイルが構成されるようにしている。このコモンモードチョークコイルは、図4の21のようにBTL接続方式のデジタルアンプ1および2出力段のローパスフィルタの後段と負荷スピーカ8の間に接続することにより、デジタルアンプ1及び2から発生するコモンモードノイズを除去することができる。
【0038】
図19に、図17に示した2つのコモンモードチョークコイルと共通コア部33を用いてSEPP接続方式に適合するコモンモードチョークコイルを構成した場合の外観の斜視図を示す。SEPP接続方式時には、2本の銅線13,14の巻始め13−1及び14−1と巻終り13−2及び14−2、銅線15,16の巻始め15−1及び16−1と巻終り15−2及び16−2は夫々短絡せず、共通コア部33とコア9,10が互いに接合しないように共通コア部33をX軸方向にずらすことによって、図6に示したものと同様な夫々独立した2つのコモンモードチョークコイルを得る。
【0039】
この際、コア9及びボビン11、コア10及びボビン12は、固定したまま移動させない。このコモンモードチョークコイルを、図7のようにSEPP接続方式のデジタルアンプ1及び2の出力段のローパスフィルタ後段と負荷スピーカ6及び7のそれぞれの間に接続することにより、デジタルアンプ1及び2から発生するコモンモードノイズを除去することができる。また、コア9とコア10を分離させることにより、2つのコモンモードチョークコイル間の結合を少なくし、チャンネル間セパレーションを確保することができる。コア33の可動方向はZ軸方向に可動させることによっても同様の効果を得ることができる。
【0040】
実施例4では共通コア部33は棒状であったが、共通コア部を図20に示すようなトロイダルリング形状にしても同様の効果が得られる。コア26及びコア27は、半円形の非磁性体34,35で保持され、トロイダルリング形状の共通コア部36を構成する。非磁性体34及び35は、トロイダルリングの中心線に対して対称に位置する。共通コア部36と図17に示す2つのコモンモードチョークコイルとにより1つの部品と成し、共通コア部36を移動させ、かつ、銅線の接続方法を変えることにより、SEPP接続方式とBTL接続方式とに夫々適合するコモンモードチョークコイルを得る。BTL接続方式に適合させる場合は、コア26,27がコア9と10の断面と接合する位置になるようにし、SEPP接続方式に適合させる時は、共通コア部36をトロイダルリングの中心軸を回転軸として回転させ、コア26,27がコア9、10の断面と互いに接合しないようにずらすことで同様の効果を得ることができる。
【実施例5】
【0041】
本発明による第5の実施例のコモンモードチョークコイルの基本構成の外観の斜視図を図21に示す。本実施例に使用するボビン11および12の形状およびそこに巻かれている銅線13,14,15,16およびその巻線形状は実施例1の図1に示したものと同じである。但し、本実施例においては、ホビン11および12を貫通するコアは1つの棒状の複合コア40からなり、複合コア40は直方体棒状のコア37および38とコア37と38に挟まれた直方体形状の非磁性体39により構成されている。本実施例においては、複合コア40を移動させ、かつ、銅線13および14,15,16の接続方法を変えることによりSEPP接続方式とBTL接続方式とに夫々適合するコモンモードチョークコイルを得る。
【0042】
図22は、本実施例においてBTL接続方式に適合するコモンモードチョークコイルを構成した場合の外観の斜視図を示す。銅線13,14,15,16の結線を実施例1のBTL接続方式の場合と同様に設定し、複合コア40を構成するコア37がホビン11と12を同時に貫通する位置に複合コア40を設置することにより、図3と同様な電流容量が2倍のコモンモードチョークとなる。このコモンモードチョークコイルを、図4のコモンモードチョークコイル21ようにBTL接続方式の出力装置に使用し、デジタルアンプから発生するコモンモードノイズを除去することができる。
【0043】
図23は、本実施例においてSEPP接続方式に適合するコモンモードチョークコイルを構成した場合の外観の斜視図を示す。銅線13,14,15,16の結線を実施例1のSEPP接続方式の場合と同様に設定し、複合コア40を構成する非磁性体39がホビン11と12の中間に設置しコア37及びコア38が、それぞれホビン11及びホビン12の内側に位置するように複合コア40を移動することにより、図6と同様な夫々独立した2つのコモンモードチョークコイルを得る。この際、ホビン11と12の相対位置は固定したまま、複合コア40を移動させる。この2つのコモンモードチョークコイルを図7のコモンモードチョークコイル22のようにSEPP接続方式の出力装置に使用しデジタルアンプから発生するコモンモードノイズを除去することができる。
【0044】
上記例においては、複合コア40は棒状であったが、複合コアをトロイダルリング形状の複合コアとしても同様の効果が得られる。図24は、このようなトロイダルリング形状の複合コアの一例を示す平面図である。トロイダルリング形状の複合コア45は半円状のコア41、42及びそれらに挟まれた非磁性体43,44により構成される。非磁性体43,44は、互いにトロイダルリングの中心線に対して対称な位置にある。複合コア45は図21と同様なホビン11と12を貫通するように設置され、複合コア45を移動させ、かつ、銅線の接続方法を変えることにより、SEPP接続方式とBTL接続方式とに夫々適合するコモンモードチョークコイルを得る。図25および図26は、それぞれBTL接続方式とSEPP接続方式とに夫々適合するコモンモードチョークコイルの構成を示す平面図である。
【0045】
BTL接続方式に適合させる場合の複合コア45は、図25に示すように可動コア45を構成するコア42がホビン11および12の内側を同時に貫通する位置に設置する。SEPP接続方式に適合させる場合は、図26に示すように複合コア45を構成する非磁性体44がホビン11と12の間に位置するように設置することで同様の効果を得ることができる。
【実施例6】
【0046】
本発明による第6の実施例のコモンモードチョークコイルの基本構成の外観の斜視図を図27に示す。本実施例に使用するボビン11および12の形状およびそこに巻かれている銅線13,14およびその巻線形状は実施例1の図1に示したものと同じである。また、実施例4の図17と同様に2つのコモンモードチョークコイルのコアに磁気的に結合可能な共通コア部を設けている。但し本実施例においては、共通コア部49は円柱状であり、その中心軸と並行な面により3分割され、その中央部分が磁性体48、その両側が非磁性体46および47である。また、共通コア部49はその中心軸で回転するように構成されている。また、コ字型のコア9,10の断面17,18,19,20は蒲鉾型に凹状になっており、共通コア部49の曲面と勘合するように成形されている。本実施例も共通コア部49を移動させ、かつ、銅線の接続方法を変えることによりSEPP接続方式とBTL接続方式とに夫々適合するコモンモードチョークコイルを得る。
【0047】
図28は、本実施例によりBTL接続方式に適合するコモンモードチョークコイルを構成した場合の外観の斜視図を示す。銅線13,14,15,16の結線を実施例1のBTL接続方式の場合と同様に設定し、コア断面17,18,19、20が可動コアの磁性体48と接合する位置に可動コアを回転させ設置させることにより、コア9、コア10、磁性体48により日の字型の閉磁路コアが構成され、図3と同様な電流容量が2倍のコモンモードチョークとなる。このコモンモードチョークコイルを図4のコモンモードチョークコイル21のようにBTL接続方式の出力装置に使用し、デジタルアンプから発生するコモンモードノイズを除去することができる。
【0048】
図29は、本実施例によりSEPP接続方式に適合するコモンモードチョークコイル22を構成した場合の外観の斜視図を示す。銅線13,14,15,16の結線を実施例1のSEPP接続方式の場合と同様に設定し、コア断面17、断面18、断面19、断面20と磁性体48が接合しないように共通コア部49を回転させることで、図6と同様な夫々独立した2つのコモンモードチョークコイルを得る。この際、コア9及びボビン11、コア10及びボビン12は固定したまま移動させない。この2つのコモンモードチョークコイルを、図7のコモンモードチョークコイル22のようにSEPP接続方式の出力装置に使用しデジタルアンプから発生するコモンモードノイズを除去することができる。
【0049】
上記例においては共通コア部49は磁性体を非磁性体で挟む3層構造であったが、本実施例における共通コア部は図30のコア形状の他の例に示すように両端部だけその中心軸と並行な面により5分割され、その中央部分が磁性体50、51その両側が非磁性体54、その外側が磁性体52,53となるように構成された円柱状の共通コア部55であってもよい。なお、図30では円柱の長手方向の中央部では3層構造であり中央部が非磁性体、その両側が磁性体である。
【0050】
この場合も共通コア部55を回転させ、かつ、銅線の接続方法を変えることによりSEPP接続方式とBTL接続方式とに夫々適合するコモンモードチョークコイルを得る。BTL接続方式に適合させる場合の共通コア部55の位置は、図31の斜視図に示すように共通コア部55を構成する磁性体50、51が2つのコアの断面17、18、19、20と接合する位置に設置する。こうすることでコア9、コア10、磁性体50、磁性体51によってロの字コアが形成され閉磁路構造となり図3に示す回路のコモンモードチョークコイルを得る。
【0051】
SEPP接続方式に適合させる場合の共通コア部55の位置は、図32の斜視図に示すように共通コア部55を構成する非磁性体を挟んだ外側の磁性体52,53が2つのコアの断面17,18,19,20と接合する位置に設置することで、コア9と磁性体52、コア10と磁性体53によって夫々独立にロ字型のコアが形成され、閉磁路構造となり図6に示す回路と同様なコモンモードチョークコイルを得る。SEPP接続方式においてもコアが閉磁路構造をとるのでチャンネルセパレーションはさらに良好となる。
【0052】
以上のように、本発明では、デジタルアンプを使用した出力装置において、接続方式をSEPP接続またはBTL接続に切り替え可能で、部品点数の削減、実装面積の削減、製造工数の削減及び生産管理工数の削減が可能で、かつ不使用オープンパターンによる不要輻射を防止することができるコモンモードチョークコイル及び出力装置が得られる。
【0053】
本発明において使用するコアおよび磁性体の材料としては、金属系ダストコアやフェライトコアなどを使用でき、非磁性材料としてはプラスチックやセラミック材料などを使用できる。また、本発明に用いる出力部品としては主としてオーディオ装置に使用されるスピーカ、イヤホーン等であるがこれらに限定されるものではなく、同様な回路構成が使用される様々な出力装置に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明によるコモンモードチョークコイルの第1の実施例を示す外観の斜視図。
【図2】第1の実施例のBTL接続方式に適合するコモンモードチョークコイルを構成した場合の外観の斜視図。
【図3】第1の実施例のBTL接続方式に適合するコモンモードチョークコイルを構成した場合のコモンモードチョークコイルの回路図。
【図4】第1の実施例のBTL接続方式に適合するコモンモードチョークコイルを使用したBTL接続方式の出力装置の回路図。
【図5】第1の実施例のSEPP接続方式に適合するコモンモードチョークコイルを構成した場合の外観の斜視図。
【図6】第1の実施例のSEPP接続方式に適合するコモンモードチョークコイルを構成した場合のコモンモードチョークコイルの回路図。
【図7】第1の実施例のSEPP接続方式に適合するコモンモードチョークコイルを使用したSEPP接続方式の出力装置の回路図。
【図8】第1の実施例のコアを移動してSEPP接続方式に適合するコモンモードチョークコイルを構成した場合の他の例の外観の斜視図。
【図9】第1の実施例のコアを移動してSEPP接続方式に適合するコモンモードチョークコイルを構成した場合の他の例の外観の斜視図。
【図10】BTL接続方式に適合するコモンモードチョークコイルを構成した場合のコア接合部分を示す側面図。
【図11】本発明によるコモンモードチョークコイルの第2の実施例のSEPP接続方式に適合するコモンモードチョークコイルを構成した場合を示す外観の斜視図。
【図12】本発明によるコモンモードチョークコイルの第3の実施例を示す外観の斜視図。
【図13】第3の実施例のBTL接続方式に適合するコモンモードチョークコイルを構成した場合の外観の斜視図。
【図14】第3の実施例のSEPP接続方式に適合するコモンモードチョークコイルを構成した場合の外観の斜視図。
【図15】第3の実施例のコアを移動してSEPP接続方式に適合するコモンモードチョークコイルを構成した場合の他の例の外観の斜視図。
【図16】第3の実施例のコアを移動してSEPP接続方式に適合するコモンモードチョークコイルを構成した場合の他の例の外観の斜視図。
【図17】本発明によるコモンモードチョークコイルの第4の実施例を示す外観の斜視図。
【図18】第4の実施例のBTL接続方式に適合するコモンモードチョークコイルを構成した場合の外観の斜視図。
【図19】第4の実施例のSEPP接続方式に適合するコモンモードチョークコイルを構成した場合の外観の斜視図。
【図20】第4の実施例において使用される共通コア部の他の形態例。
【図21】本発明によるコモンモードチョークコイルの第5の実施例を示す外観の斜視図。
【図22】第5の実施例のBTL接続方式に適合するコモンモードチョークコイルを構成した場合の外観の斜視図。
【図23】第5の実施例のSEPP接続方式に適合するコモンモードチョークコイルを構成した場合の外観の斜視図。
【図24】第5の実施例に使用するコア形状の他の例を示す平面図。
【図25】第5の実施例のコア形状の他の例のBTL接続方式に適合するコモンモードチョークコイルを構成した場合の外観の平面図。
【図26】第5の実施例のコア形状の他の例のSEPP接続方式に適合するコモンモードチョークコイルを構成した場合の外観の平面図。
【図27】本発明によるコモンモードチョークコイルの第6の実施例を示す外観の斜視図。
【図28】第6の実施例のBTL接続方式に適合するコモンモードチョークコイルを構成した場合の外観の斜視図。
【図29】第6の実施例のSEPP接続方式に適合するコモンモードチョークコイルを構成した場合の外観の斜視図。
【図30】第6の実施例に使用するコア形状の他の例を示す斜視図。
【図31】第6の実施例のコア形状の他の例を使用してBTL接続方式に適合するコモンモードチョークコイルを構成した場合の外観の斜視図。
【図32】第6の実施例のコア形状の他の例を使用してSEPP接続方式に適合するコモンモードチョークコイルを構成した場合の外観の斜視図。
【図33】SEPP接続方式のデジタルアンプによる出力装置の2チャンネル分の基本回路図。
【図34】2つのデジタルアンプを用いてBTL接続方式の出力装置の1チャンネル分を構成した場合の回路図。
【図35】従来のSEPP接続方式の出力装置の2チャンネル及びBTL接続方式の出力装置1チャンネルを同一基板上で構成し電気的に切替える場合の回路図。
【図36】基板を共通化する目的で同一基板上にSEPP接続方式での出力装置2チャンネル及びBTL接続方式の出力装置1チャンネルを実現させるため従来のコモンモードチョークコイルを用いた場合の回路図。
【符号の説明】
【0055】
1,2 デジタルアンプ
3,4,5,21,22 コモンモードチョークコイル
6,7,8 負荷スピーカ
9,10,24,25,26,27,37,38,41,42 コア
11,12 ボビン
13,14,15,16 銅線
13−1,14−1,15−1,16−1 巻始め
13−2,14−2,15−2,16−2 巻終り
17,18,19,20,29,30,31,32 断面
23 切線
28,33,34,35,39,43,44,46,47,54 非磁性体
33,36,49,55 共通コア部
40,45 複合コア
48,50,51,52,53 磁性体
L1,L2 インダクタ
C1,C2 コンデンサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタルアンプと出力部品および前記出力部品の入力側に挿入される2つのコモンモードチョークコイルに分離可能なコモンモードチョーク複合体とからなる出力装置において使用されるコアおよびその外周に形成された巻線部よりなるコモンモードチョークコイルにおいて、前記2つのコモンモードチョークコイルが電気的に分離された状態または電気的に結合された状態の両状態を選択可能とするように前記コアまたは前記巻線部の少なくとも一方を移動可能としたことを特徴とするコモンモードチョークコイル。
【請求項2】
前記コモンモードチョークコイルの前記コアのみが移動可能であることを特徴とする請求項1記載のコモンモードチョークコイル。
【請求項3】
前記コア及び前記巻線部の両方が移動可能であることを特徴とする請求項1記載のコモンモードチョークコイル。
【請求項4】
デジタルアンプと出力部品および前記出力部品の入力側に挿入される2つのコモンモードチョークコイルからなる出力装置において使用されるコアおよびその外周に形成された巻線部よりなるコモンモードチョークコイルにおいて、前記2つのコモンモードチョークコイルが電気的に分離された状態または電気的に結合された状態の両状態を選択可能とするように移動可能で、かつ前記コアに磁気的に結合可能な共通コア部を設けたことを特徴とするコモンモードチョークコイル。
【請求項5】
前記コアまたは前記共通コア部は非磁性体と磁性体を組み合わせて構成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載のコモンモードチョークコイル。
【請求項6】
前記コアまたは前記共通コア部の形状がトロイダルリング状であることを特徴とする請求項5記載のコモンモードチョークコイル。
【請求項7】
前記共通コア部が円柱形状であり、少なくともその両端部分においてその中心軸と並行な面により3分割され、その中央部分が磁性体、その両側が非磁性体であることを特徴とする請求項4記載のコモンモードチョークコイル。
【請求項8】
前記共通コア部が円柱形状であり、少なくともその両端部分においてその中心軸と並行な面により5分割され、その中央部分が磁性体、その両側が非磁性体、その外側が磁性体であり、前記2つのコモンモードチョークコイルが電気的に分離された状態ではそれぞれのコモンモードチョークコイルのコアが閉磁路を構成することを特徴とする請求項4記載のコモンモードチョークコイル。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載のコモンモードチョークコイルを有することを特徴とする出力装置。
【請求項1】
デジタルアンプと出力部品および前記出力部品の入力側に挿入される2つのコモンモードチョークコイルに分離可能なコモンモードチョーク複合体とからなる出力装置において使用されるコアおよびその外周に形成された巻線部よりなるコモンモードチョークコイルにおいて、前記2つのコモンモードチョークコイルが電気的に分離された状態または電気的に結合された状態の両状態を選択可能とするように前記コアまたは前記巻線部の少なくとも一方を移動可能としたことを特徴とするコモンモードチョークコイル。
【請求項2】
前記コモンモードチョークコイルの前記コアのみが移動可能であることを特徴とする請求項1記載のコモンモードチョークコイル。
【請求項3】
前記コア及び前記巻線部の両方が移動可能であることを特徴とする請求項1記載のコモンモードチョークコイル。
【請求項4】
デジタルアンプと出力部品および前記出力部品の入力側に挿入される2つのコモンモードチョークコイルからなる出力装置において使用されるコアおよびその外周に形成された巻線部よりなるコモンモードチョークコイルにおいて、前記2つのコモンモードチョークコイルが電気的に分離された状態または電気的に結合された状態の両状態を選択可能とするように移動可能で、かつ前記コアに磁気的に結合可能な共通コア部を設けたことを特徴とするコモンモードチョークコイル。
【請求項5】
前記コアまたは前記共通コア部は非磁性体と磁性体を組み合わせて構成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載のコモンモードチョークコイル。
【請求項6】
前記コアまたは前記共通コア部の形状がトロイダルリング状であることを特徴とする請求項5記載のコモンモードチョークコイル。
【請求項7】
前記共通コア部が円柱形状であり、少なくともその両端部分においてその中心軸と並行な面により3分割され、その中央部分が磁性体、その両側が非磁性体であることを特徴とする請求項4記載のコモンモードチョークコイル。
【請求項8】
前記共通コア部が円柱形状であり、少なくともその両端部分においてその中心軸と並行な面により5分割され、その中央部分が磁性体、その両側が非磁性体、その外側が磁性体であり、前記2つのコモンモードチョークコイルが電気的に分離された状態ではそれぞれのコモンモードチョークコイルのコアが閉磁路を構成することを特徴とする請求項4記載のコモンモードチョークコイル。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載のコモンモードチョークコイルを有することを特徴とする出力装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【公開番号】特開2007−311388(P2007−311388A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−136128(P2006−136128)
【出願日】平成18年5月16日(2006.5.16)
【出願人】(000134257)NECトーキン株式会社 (1,832)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年5月16日(2006.5.16)
【出願人】(000134257)NECトーキン株式会社 (1,832)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]