説明

コルゲートフィンの切断装置

【課題】コルゲートフィンを切断する切断装置において、刃先部の変形や切断不良等のおそれがなく、確実な切断が可能なコルゲートフィンの切断装置を提供する。
【解決手段】リブ12aの上面を押圧する先端部46が設けられ、リブ12aの両側において、切断箇所のリブ12aと隣接するリブ12との間に存在する平面部15に当接可能なコーナー刃部48が設けられ、上下動ブロック45に取り付けられて上下動する可動刃42と、下方に向けて開口する開口穴52が設けられ、開口穴52の両側面が可動刃42のコーナー刃部48とともに各平面部15を切断可能な切断部54として設けられたダイ44とを具備し、可動刃42は、先端部46が各コーナー刃部48よりも下方に突出して設けられ、可動刃42が下降して先端部46がリブ12aを下方に向けて押し潰してダイ44の開口穴52内に押し込み、その後コーナー刃部48が各平面部15を切断部54と共に切断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属製の板状体に形成されるリブが所定間隔おきに複数個立設されて成るコルゲートフィンを所定位置で切断するコルゲートフィンの切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図4にコルゲートフィンの一例を示す。なお、ここで図示しているコルゲートフィンは、一例として板状体に対してリブが垂直方向に立設される平板フィンである。
コルゲートフィン10はアルミニウム等から成る金属製の板状体9に、複数の連続したリブ12が形成されているものであって、主に自動車のラジエータ、エアコン、EGR等の熱交換器に用いられている。
【0003】
また、コルゲートフィンのなかには、リブ12の一部が両隣のリブ方向に交互にオフセットして、平面視千鳥状に形成されたオフセットフィン14が知られている(図5参照)。
このようなオフセットフィン14の製造装置としては、特許文献1や特許文献2に記載されているような装置が知られている。
【0004】
長尺な金属製の板状体にオフセットフィン14を金型装置内で成形した後、オフセットフィン14を所定位置で切断するため、金型装置の下流側には、切断装置18が設けられている。
図6に示すように、切断装置18は、切断対象のオフセットフィン14が配置されるダイ20と、ダイ20の上方に配置され、ダイ20方向に向けて上下動する上下動ブロック22と、上下動ブロック22においてダイ20に向けて突出して取り付けられているカットオフパンチ24とが設けられている。
カットオフパンチ24の拡大図は図6の丸で囲んだ部分に図示されている。
【0005】
カットオフパンチ24は、オフセットフィン14の切断位置のリブ12aの両側を同時に切断し、このリブ12aを完全にオフセットフィン14から切り離してしまうような構成となっている。つまり、カットオフパンチ24を側面視すると、下方に向けて開口するコの字状の形状となっており、内部に切り離してしまうリブ12aが収納されるような収納空間25が形成されている。収納空間25の両側面が刃先部26,26となっており、刃先部26,26は、切り離すリブ12aと隣接するリブ12との間の隙間x内に進入可能な厚さとなっている。
【0006】
一方、ダイ20には、カットオフパンチ24が設けられている箇所と対向する位置に下方に向けて開口した開口穴29が形成されている。その開口穴29の両内壁面が、カットオフパンチ24の刃先部26,26と共にオフセットフィン14を切断するための切断部28として形成されている。
【0007】
なお、上下動ブロック22には、切断時にオフセットフィン14のリブ同士の隙間に進入してオフセットフィン14の位置決めを行う2本のパイロットパンチ30が設けられている。
このパイロットパンチ30は、切断位置となるリブ12aの両側方向のいずれかの箇所それぞれに配置されている。
【0008】
切断装置18の所定位置に、切断対象となるオフセットフィン14が搬送されてくると、上下動ブロック22が下降して、カットオフパンチ24の2つの刃先部26,26が、所定の一列のリブ12aの両側において、隣接するリブとの隙間x内に進入し、所定の一列のリブ12aがカットオフパンチ24の収納空間25内に収納されていく。
そして、カットオフパンチ24の2つの刃先部26,26と、ダイ20に形成されている切断部28とによって、カットオフパンチ24の収納空間25内に収納されているリブ12aの両側の平面部15で切断され、オフセットフィン14の切断が終了する。収納空間25内収納されてオフセットフィン14から切り離されたリブ12aは、ダイ20の開口穴29内に落下して処理される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−301616号公報
【特許文献2】特開2006−136905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
オフセットフィンは、リブの両側の一部が、隣接するリブ方向にオフセットしているものであるが、この隣接するリブ同士の隙間が非常に狭いものとなっている。このため、カットオフパンチの刃先部も薄いものにせざるを得ない。
したがって、このように刃先部が薄い場合には、カットオフパンチの変形や切断不良等が生じるおそれがあるという課題がある。
なお、このような課題は、特にオフセットフィンの場合に顕著であるが、一般的なコルゲートフィンの場合でも同様の課題がある。
【0011】
そこで本発明は上記課題を解決すべくなされ、その目的とするところは、コルゲートフィンを切断する切断装置において、刃先部の変形や切断不良等のおそれがなく、確実な切断が可能なコルゲートフィンの切断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明にかかるコルゲートフィンの切断装置によれば、複数のリブが連続して形成されたコルゲートフィンを所定位置で切断するコルゲートフィンの切断装置において、上下動可能な上下動ブロックと、切断位置に存するリブの上面を押圧する先端部が設けられ、且つ切断位置のリブの両側において、切断位置のリブと隣接するリブとの間に存在する平面部に当接可能なコーナー刃部が設けられ、前記上下動ブロックに取り付けられて上下動ブロックの動作と共に上下動する可動刃と、該可動刃に対してコルゲートフィンを挟んで対向する位置に下方に向けて開口する開口穴が設けられ、開口穴の両側面が前記可動刃のコーナー刃部とともに各前記平面部を切断可能な切断部として設けられたダイとを具備し、 前記可動刃は、前記先端部が各前記コーナー刃部よりも下方に突出して設けられており、前記上下動ブロックが下降して先端部が切断位置のリブを下方に向けて押し潰しつつ前記ダイの開口穴内に押し込んだ後、コーナー刃部が各前記平面部を前記ダイの切断部と共に切断するように設けられていることを特徴としている。
この構成を採用することによって、可動刃のコーナー刃部は、切断位置のリブが押し潰されてからダイの切断部と共に平面部を切断すればよいので、切断位置のリブと隣接するリブとの間の隙間に進入できるような薄いものでなくてもよい。このため、切断する際に刃が変形したり、また切断不良となることを防止し、確実にコルゲートフィンの切断が行える。なお、リブの幅方向とは、形成されたリブの山の側面同士をつなぐ方向であり、金属製の板状体の移送方向と一致する方向である。
【0013】
また、前記可動刃の先端部が切断位置のリブの上面に当接した際に、切断位置のリブと隣接するリブと更にこのリブと隣接するリブとの間の隙間に進入してコルゲートフィンの位置決めを行う2本のパイロットパンチを具備することを特徴としてもよい。
これによれば、切断位置に存するリブに隣接するリブの外側(切断位置から離間する側)でコルゲートフィンを保持できるので、切断時にコルゲートフィンがずれたりせずに正確な切断を行える。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、刃の変形や切断不良を防止して確実にコルゲートフィンを切断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係るコルゲートフィンの切断装置の側面図である。
【図2】図1の切断装置において、可動刃の先端部がリブを押し潰していくところを示す側面図である。
【図3】図1の切断装置において、可動刃のコーナー刃部が押し潰したリブの両端を切断しているところを示す側面図である。
【図4】コルゲートフィンの外観構成を示す説明図である。
【図5】オフセットフィンの外観構成を示す説明図である。
【図6】従来の切断装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係るコルゲートフィンの切断装置(以下、単に切断装置と称する場合もある)の好適な実施の形態を以下に説明する。なお、以下本実施形態では、オセットフィンの切断装置について説明する。また、従来の技術で説明した構成要素と同一の構成要素については同一の符号を付し、説明を省略する場合もある。
【0017】
図1は切断装置の全体構成を示す側面図である。
切断装置40は、図示しないオフセットフィン製造装置によって連続して製造されてくるオフセットフィン14を所定箇所で所定長さに切断する装置である。
オフセットフィン14は図面左側から右側(移送方向A)に向けて移送されている。
【0018】
切断装置40は、オフセットフィン14の上方に配置されている上下動可能な可動刃42と、オフセットフィン14を挟んで可動刃42と対向する位置に配置されてオフセットフィン14が載置されるダイ44とを有している。
可動刃42は、図示しない駆動装置によって上下動する上下動ブロック45に、下方に向けて突出するように設けられており、駆動装置の駆動により上下動する。駆動装置の例としては油圧シリンダー等がある。
【0019】
可動刃42について説明する。
可動刃42の下端部には、下方に向けて尖鋭となっている先端部46が形成されている。この先端部46は、尖鋭に形成されてはいるが、この先端部でオフセットフィン14を切断するための刃としての機能は有しておらず、切断位置のリブ12aを押し潰すための機能を有している。
可動刃42の先端部46よりも上方には、先端部46の両側(移送方向Aの上流側及び下流側)において、水平面とこの水平面から上方に向けて直角に立ち上がる鉛直面とから構成されているコーナー刃部48,48が形成されている。
【0020】
可動刃42の2箇所に設けられているコーナー刃部48が、オフセットフィン14を切断するための刃として機能する。
このコーナー刃部48は、後述するダイ44の切断部54と共に、先端部46によって押し潰されたリブ12aの両側に隣接するリブ12との間の平面部15を切断する。
このようにコーナー刃部48,48は、リブ12同士の間に進入するような薄い刃ではなく、直角なコーナーで形成された刃であるので、刃の破損や変形、あるいは切断不良となるようなことなく確実な切断が行える。
【0021】
続いて、ダイ44の構成について説明する。
ダイ44には、可動刃42と対向する位置に開口穴52が形成されている。開口穴52は、ダイ44を上下方向に貫通して形成されており、可動刃42の先端部46によって押し潰されるリブ12が押し込められることができる空間を有している。
そして、開口穴52の上端部両側の内壁面には、可動刃42のコーナー刃部48、48と噛み合ってオフセットフィン14の平面部15を切断するための切断部54,54が形成されている。
【0022】
可動刃42が下降してくると、コーナー刃部48,48がダイ44の開口穴52内に進入し、このときコーナー刃部48,48との開口穴52の内壁面の切断部54,54との間でオフセットフィン14の平面部15が切断される。
【0023】
なお、上下動ブロック45の可動刃42の移送方向Aの上流側及び下流側には、パイロットパンチ49、49が設けられている。2本のパイロットパンチ49、49は、切断時にオフセットフィン14のリブ12同士の隙間に進入してオフセットフィン14の位置決めを行う。
各パイロットパンチ49の上端部はスプリング55を介して上下動ブロック45に取り付けられている。したがって、パイロットパンチ49が、リブ12同士の隙間に進入してオフセットフィン14の位置決めを行った後、さらに上下動ブロック45が下降した場合であってもスプリング55が圧縮するので、上下動ブロック45の下降分を吸収できる。
【0024】
なお、図面では、パイロットパンチ49の位置としては、切断位置のリブ12aから2つ離れたリブ12の外側(移送方向Aの上流側及び下流側)に配置されている所を図示している。しかし、このパイロットパンチ49は、切断位置のリブ12aに隣接するリブ12の外側(移送方向Aの上流側及び下流側)の隙間に進入するように配置されていると尚よい。このように、切断位置に隣接した位置にパイロットパンチ49を配置することにより、切断するオフセットフィン14の固定がより確実に行われる。
【0025】
次に、図1〜3に基づいて、オフセットフィンの切断工程について説明する。
上下動ブロック45を下降させていき、可動刃42の先端部46が切断位置のリブ12aの上面に当接する(図1の状態)。
その後、図2に示すように、さらに上下動ブロック45を下降させていくと、可動刃42の先端部46が切断位置のリブ12を上方から押圧し、押し潰していく。このとき、可動刃42の先端部46は、切断位置のリブ12aの上面の平坦になった箇所を押圧していく。すると、先端部46は自動調芯的な作用によりリブ12aの幅方向の中心を押圧し、リブ12aを押し潰していく。
【0026】
押し潰されたリブ12aは、開口穴52内に徐々に収納されていく。
そして、図3に示すように、可動刃42のコーナー刃部48,48が、ダイ44の開口穴52の上端部に形成されている切断部54とともに、押し潰されているリブ12aと隣接するリブ12との連結された部位である平面部15を切断する。
切断され、他の箇所と切り離されたリブ12aは、可動刃42によって開口穴52内に押し込められ、開口穴52の下方へ落下していく。
【0027】
なお、図1〜図3においては上下動ブロック45は下降していくが、この間パイロットパンチ49は、常にリブ12とリブ12との間の隙間に挿入されて位置決めを行っている。
【0028】
そして、オフセットフィン14の切断終了後、図示しない送り装置によって、切断後のオフセットフィン14は移送方向Aに沿って移送される。
【0029】
なお、本実施形態ではオフセットフィンを切断する装置について説明したが、この切断装置の切断対象となるものはオフセットフィンに限定するものではない。
【0030】
以上本発明につき好適な実施形態を挙げて種々説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施し得るのはもちろんである。
【符号の説明】
【0031】
12 リブ
14 オフセットフィン
15 平面部
40 切断装置
42 可動刃
44 ダイ
45 上下動ブロック
46 先端部
48 コーナー刃部
49 パイロットパンチ
50 切断部
52 開口穴
54 切断部
55 スプリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のリブが連続して形成されたコルゲートフィンを所定位置で切断するコルゲートフィンの切断装置において、
上下動可能な上下動ブロックと、
切断位置に存するリブの上面を押圧する先端部が設けられ、且つ切断位置のリブの両側において、切断位置のリブと隣接するリブとの間に存在する平面部に当接可能なコーナー刃部が設けられ、前記上下動ブロックに取り付けられて上下動ブロックの動作と共に上下動する可動刃と、
該可動刃に対してコルゲートフィンを挟んで対向する位置に下方に向けて開口する開口穴が設けられ、開口穴の両側面が前記可動刃のコーナー刃部とともに各前記平面部を切断可能な切断部として設けられたダイとを具備し、
前記可動刃は、
前記先端部が各前記コーナー刃部よりも下方に突出して設けられており、
前記上下動ブロックが下降して先端部が切断位置のリブを下方に向けて押し潰しつつ前記ダイの開口穴内に押し込んだ後、コーナー刃部が各前記平面部を前記ダイの切断部と共に切断するように設けられていることを特徴とするコルゲートフィンの切断装置。
【請求項2】
前記可動刃の先端部が切断位置のリブの上面に当接した際に、切断位置のリブと隣接するリブと更にこのリブと隣接するリブとの間の隙間に進入してコルゲートフィンの位置決めを行う2本のパイロットパンチを具備することを特徴とする請求項1記載のコルゲートフィンの切断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−240151(P2012−240151A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−112023(P2011−112023)
【出願日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(390034809)日高精機株式会社 (22)
【Fターム(参考)】