説明

コンクリート打設用時間管理システムとその時間管理方法

【課題】本発明は、コンクリート打設用時間管理システムに関し、従来のコンクリート打設用時間管理方法では、打設層ごとに作業者が記録しており、測定や記録を忘れたり打ち重ね時間を誤記したりして、手間が掛かるとともに記載ミスがあることが課題であって、それを解決することである。
【解決手段】型枠内にコンクリートを打設する作業工区4内に、前記コンクリートの打設時に使用される締め固め用の振動機の振動を検知するようにセットされる加速度センサー装置3と、該加速度センサー装置に接続したコンクリート打設現場側の無線発信装置と、該無線発信装置のデータを受信する管理側の無線受信装置と、該無線受信装置に接続された管理サーバ6と、該管理サーバに接続された端末コンピュータ6bとで構成され、前記振動機の振動の開始と終了を前記加速度センサー装置3で検知して、コンクリートの打設管理を行うコンクリート打設用時間管理システム1とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の柱,壁,梁,床を構築する際に、コンクリートの打設を工区毎に且つ制限される打ち重ね時間内に手順よく施工するように管理する、コンクリート打設用時間管理システムと時間管理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、RC(鉄筋コンクリート)造建物を構築する際に、その柱,壁,梁,床に現場でコンクリートを打設するには、コンクリートの打継ぎに不都合が生じないように、コンクリート打設管理をする。該コンクリート打設管理項目の一つに打ち重ね時間の管理がある。従来は、部材毎,打設層毎に、打設開始時刻と打設終了時刻とを紙や携帯端末(PDF等)に記録し、次層のコンクリート打設開始までの時間を計算しながら、コンクリート打設を進捗させている。尚、コンクリートの打設時間管理ではないが、生コンクリートの搬送時間管理システムとして特許文献1に記載されたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−46086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のコンクリート打設用時間管理方法においては、部材毎のコンクリート打設開始時刻及び終了時刻を管理者が逐一記録する必要があり、測定や記録することを忘れる恐れがある。また、次層打設開始までの時間を部材毎に計算する必要があり、手間が掛かる。更には、計算の間違いや部材の間違いなども生じる。管理帳票を作成するのに、記録した情報を転記する作業が必要であり、転記の際の誤記の恐れもある。本発明は、このような従来の課題を解決するために提案されるものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るコンクリート打設用時間管理システムの上記課題を解決して目的を達成するための要旨は、型枠内にコンクリートを打設する作業工区内に、前記コンクリートの打設時に使用される締め固め用の振動機の振動を検知するようにセットされる加速度センサー装置と、該加速度センサー装置に接続したコンクリート打設現場側の無線発信装置と、該無線発信装置のデータを受信する管理側の無線受信装置と、該無線受信装置に接続された管理サーバと、該管理サーバに接続された端末コンピュータとで構成され、前記振動機の振動の開始と終了を前記加速度センサー装置で検知して、前記管理サーバに接続された端末コンピュータでコンクリートの打設管理を行うことである。
【0006】
前記管理サーバには、ネットワークを介してコンクリート打設側の現場管理装置が接続されていることを含むものである。
【0007】
本発明に係るコンクリート打設用時間管理方法の上記課題を解決して目的を達成するための要旨は、型枠内にコンクリートを打設する作業工区内に、前記コンクリートの打設時に使用される締め固め用の振動機の振動を検知するようにセットされる加速度センサー装置と、該加速度センサー装置に接続したコンクリート打設現場側の無線発信装置と、該無線発信装置のデータを受信する管理側の無線受信装置と、該無線受信装置に接続された管理サーバと、該管理サーバに接続された端末コンピュータとで構成された管理サーバとで構成されるコンクリート打設用時間管理システムを構築し、前記振動機の振動の開始と終了を前記加速度センサー装置で検知して、前記管理サーバでコンクリートの打設管理を行うことである。
【0008】
前記管理サーバと、コンクリート打設する現場の管理装置とをネットワークで接続して、コンクリート打設現場でリアルタイムにコンクリートの打ち重ね時間を管理することを含むものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明のコンクリート打設用時間管理システムと、その時間管理方法によれば、打設担当者が、部材毎にコンクリートの打設開始時刻と終了時刻とを記録する必要が無く、自動でコンクリート打ち重ね時間が取得され管理される。
また、コンクリート打設工区全体の打ち重ね時間が管理サーバのモニター画面を見るだけで、管理者が一目で把握して管理できるようになる。
更に、コンクリート打ち重ねの時間データを使って管理帳票が即時に出力できる。コンクリート打設時だけでなく、土砂の埋め戻し工事管理にも適用できる、等数々の優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係るコンクリート打設用時間管理システム1の一部を使用している状態示す平面図である。
【図2】同本発明のコンクリート打設用時間管理システム1の一部を使用している状態示す斜視図である。
【図3】同本発明のコンクリート打設用時間管理システム1の一部を示す説明図である。
【図4】加速度センサー装置によるコンクリートの打設を検知してそのデ−タを表示する説明図である。
【図5】本発明に係るコンクリート打設用時間管理システム1の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係るコンクリート打設用時間管理システム1は、図1に示すように、例えば、柱や壁,梁,床の構築に際して、コンクリート打設箇所の近傍に、加速度センサー装置を配設してコンクリート打設に伴う振動を検知することで、コンクリートの打設開始若しくは打設終了の時刻を知るようにして、コンクリートの打設時間管理を行うものである。
【実施例1】
【0012】
本発明にかかるコンクリート打設用時間管理システム1は、図1乃至図3に示すように、例えば、柱2等の型枠内にコンクリートを打設する作業工区4内に、前記コンクリートの打設時に使用される締め固め用の振動機の振動を検知するようにセットされる加速度センサー装置3と、該加速度センサー装置3に接続したコンクリート打設現場側の無線発信装置5aと、該無線発信装置5aのデータを受信する管理側の無線受信装置5bと、該無線受信装置にネットワークを介して接続された管理サーバ6(以下、図5参照)と、該管理サーバ6にネットワークを介して接続される現場事務所等における端末コンピュータ6b等とで構成され、前記振動機の振動の開始と終了を前記加速度センサー装置3で検知して、前記管理サーバ6にネットワークで接続された携帯端末6a,端末コンピュータ6bでコンクリートの打設管理を行うものである。
【0013】
前記管理サーバ6には、図5に示すように、社内LANやインターネット等の有線・無線ネットワークを介してコンクリート打設側の現場管理装置である携帯端末(例えば、PDA:Personal Digital Assistant)6aが接続されている。
【0014】
前記加速度センサー装置3は、図1乃至図2に示すように、例えば、柱2においては、コンクリートを打設する用意ができた型枠から上に突出している主筋7に万力などを利用した取付金具などによって取り付け固定する。
【0015】
前記加速度センサー装置3からの振動データは、無線の送受信装置5a,5bを介して管理サーバ6に送られて、この管理サーバ6で打設時間や打ち重ね時間が計算される。
【0016】
前記管理サーバ6からのデータが、現場事務所の端末コンピュータ6bに出力され、印刷装置6cで印刷することができ、モニタ6dで帳票などを表示でき、それをコンクリート打設担当者などが確認することができる。
【0017】
前記携帯端末6aは、コンクリート打設の現場において、管理作業員が携帯するものであり、図3に示すように、その画面には、作業工区毎の柱2とその柱2のコンクリート打設に関する状態(打設中,残り時間など)とが表示される。また、この携帯端末6aには、携帯している管理者への警報手段(図示せず)が設けられており、例えば、コンクリートの打設時間が迫っているときに、段階的な警告音を発するようにしたり、合わせて警告の黄色ランプや赤色ランプ(LED:発光ダイオードなど)が点滅するようにしたり、鳴動時間の違いや音の強弱による段階的警告の振動が発せられるようにしたりする手段である。
【0018】
上記のようなコンクリート打設用時間管理システム1を構築し、コンクリート打設用時間管理方法について説明する。所望のコンクリート打設する作業工区4において、柱の型枠から上に突出している主筋に加速度センサー装置3を固着する。そして、該加速度センサー装置3及び無線発信機5aの電源をそれぞれONにする。管理サーバ6を立ち上げておくのは勿論である。
【0019】
そして、作業現場に生コンクリート車が到着してその生コンクリートがコンクート圧送車に送られ、該コンクリート圧送車から柱2の型枠内にコンクリートが打設され、作業員が振動機(棒状バイブレータ)を前記打設されたコンクリート中に差し込んで、コンクリートの充填を密にする。
【0020】
前記振動機の振動が主筋7を通して上部の加速度センサー装置3に伝達する。該加速度センサー装置3が、図4に示すように、前記振動機の加速度を検知する。コンクリートの打設の終了に伴い、振動機による加振が終了すると、加速度センサー装置3にて検知される加速度が小さくなり、打重時間の開始となる。
【0021】
前記打重時間は、管理サーバにおいて予め設定されており、次のコンクリートの打設(打継ぎ)までの時間が算出され、それが、有線・無線で端末コンピュータ6bやPDA6aにデータとして送られる。
【0022】
前記端末コンピュータ6bにおいては、モニタ6dに作業工区4の各柱2のコンクリート打設状況が一覧され、コンクリート打設時間や終了時間等のデータが定められた書式の帳票にして印刷装置6cで印刷できる。また、前記PDA6aでは、図3に示すように、作業工区4全体が画面に表示され、それぞれの柱2におけるコンクリート打設状況が一覧され、作業現場で工事の進捗状況が把握される。管理者は、記録紙などに一々記録する必要が無くなる。更に、コンクリートの打継ぎする時間が迫ってくると、管理者に段階的な警告表示や警告音が発せられるので、コンクリートの打継ぎをうっかり忘れるなどの恐れも無い。
【0023】
このようにして、前記振動機の振動の開始と終了とを前記加速度センサー装置3で検知して、前記管理サーバ6を介して端末コンピュータ6bやPDA6aによって、事務所やコンクリート打設現場でリアルタイムにコンクリートの打ち重ね時間を管理できるようになるものである。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明に係るコンクリート打設用時間管理システムと時間管理方法は、土砂の埋め戻しの時間管理などにも適用できるものである。
【符号の説明】
【0025】
1 コンクリート打設用時間管理システム、
2 柱、
3 加速度センサー装置、
4 工区、
5a 無線発信装置、 5b 無線受信装置、
6 管理サーバ、 6a PDA、
6b 端末コンピュータ、 6c 印刷装置、
6d モニタ、
7 主筋。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
型枠内にコンクリートを打設する作業工区内に、前記コンクリートの打設時に使用される締め固め用の振動機の振動を検知するようにセットされる加速度センサー装置と、該加速度センサー装置に接続したコンクリート打設現場側の無線発信装置と、該無線発信装置のデータを受信する管理側の無線受信装置と、該無線受信装置に接続された管理サーバと、該管理サーバに接続された端末コンピュータとで構成され、前記振動機の振動の開始と終了を前記加速度センサー装置で検知してコンクリートの打設管理を行うこと、
を特徴とするコンクリート打設用時間管理システム。
【請求項2】
管理サーバには、ネットワークを介してコンクリート打設側の現場管理装置が接続されていること、
を特徴とする請求項1に記載のコンクリート打設用時間管理システム。
【請求項3】
型枠内にコンクリートを打設する作業工区内に、前記コンクリートの打設時に使用される締め固め用の振動機の振動を検知するようにセットされる加速度センサー装置と、該加速度センサー装置に接続したコンクリート打設現場側の無線発信装置と、該無線発信装置のデータを受信する管理側の無線受信装置と、該無線受信装置に接続された管理サーバと、該管理サーバに接続された端末コンピュータとで構成されるコンクリート打設用時間管理システムを構築し、
前記振動機の振動の開始と終了を前記加速度センサー装置で検知して、前記管理サーバに接続された端末コンピュータでコンクリートの打設管理を行うこと、
を特徴とするコンクリート打設用時間管理方法。
【請求項4】
管理サーバと、コンクリート打設する現場の管理装置とをネットワークで接続して、コンクリート打設現場でリアルタイムにコンクリートの打ち重ね時間を管理すること、
を特徴とする請求項3に記載のコンクリート打設用時間管理方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−229529(P2012−229529A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−96923(P2011−96923)
【出願日】平成23年4月25日(2011.4.25)
【出願人】(000166432)戸田建設株式会社 (328)