コンクリート構造物の配筋装置と配筋方法。
【課題】 円筒状に配置した主鉄筋の周囲にPC鋼より線を容易にらせん状に巻きつけることのできる方法を提供する。
【解決手段】 PC鋼より線のコイルを搭載するターンテーブルと、ターンテーブルの周囲に位置して、構造物の帯鉄筋の配置直径に近い円周上の複数個所に配置してあり、PC鋼より線を上下一列に積み上げる案内をする積み上げガイド2と、積み上げガイドと積み上げガイドの間に、複数個所に配置してあり、PC鋼より線を、帯鉄筋の設計間隔よりも狭い間隔で係合するフック42群を備えた仮受けスタンド4と、複数の仮受けスタンドを、フックに係合させたPC鋼より線とともに吊り上げる吊り枠5と、設置枠に懸垂しており、PC鋼より線を、帯鉄筋の設計間隔で係合するフック群を備えた整列ハンガーと、複数の整列ハンガーを、フックに係合させたPC鋼より線とともに吊り上げて、主鉄筋の周囲に吊り下ろして設置する設置枠43と、より構成する。
【解決手段】 PC鋼より線のコイルを搭載するターンテーブルと、ターンテーブルの周囲に位置して、構造物の帯鉄筋の配置直径に近い円周上の複数個所に配置してあり、PC鋼より線を上下一列に積み上げる案内をする積み上げガイド2と、積み上げガイドと積み上げガイドの間に、複数個所に配置してあり、PC鋼より線を、帯鉄筋の設計間隔よりも狭い間隔で係合するフック42群を備えた仮受けスタンド4と、複数の仮受けスタンドを、フックに係合させたPC鋼より線とともに吊り上げる吊り枠5と、設置枠に懸垂しており、PC鋼より線を、帯鉄筋の設計間隔で係合するフック群を備えた整列ハンガーと、複数の整列ハンガーを、フックに係合させたPC鋼より線とともに吊り上げて、主鉄筋の周囲に吊り下ろして設置する設置枠43と、より構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート構造物の配筋装置と配筋方法とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
主鉄筋の周囲に、PC鋼より線をコイル状、らせん状に配置して帯鉄筋として利用すると、鉄筋を円形に加工する方法に比較して次のような利点がある。
(1)鉄筋は工場での加工が必要であるが、PC鋼より線は現場で形成できるので輸送が簡単で経済的である。
(2)鉄筋を大きい半径で曲げるには大型の加工機が必要であるが、PC鋼より線ならば加工機を必要とせず、現場で所要の配置直径のコイルを形成できる。
(3)PC鋼より線は数百メートルの長さをつなぎ目のない、連続した引張材として配置することができるので、円形断面における直径、または矩形断面における一辺が2メートルを超え、高さが4メートルを超えるような大型の柱状構造物において、鉛直方向に配置した主鉄筋の外側に巻きつけて連続した帯鉄筋として配置するとすぐれた拘束効果を期待することができる。
【0003】
以上のような利点を備えているので、大型柱状構造物の帯筋にPC鋼より線を用いる方法はすでに知られている。
しかし従来の方法は、主鉄筋の外側にPC鋼より線を連続的に巻き付ける施工方法であり、主としてスリップフォーム工法などの移動型枠工法および移動足場工法の装置と組み合わせて使用されている。
PC鋼より線は、本来はプレストレストコンクリート用緊張材として製造されている高強度鋼材であり、本発明のように鉄筋として用いる場合、必ずしもPC鋼より線と同等の強度を必要としない。しかし本発明の用途に対する要求性能に合致するように、柔軟性があり、PC鋼より線と比較して強度の低い鋼材を少量生産すると、大量生産されているPC鋼より線と比較して製造コストが高くなり、また納期も長くなる傾向がある。このため、柔軟性のある鉄筋として、必要以上に強度の高いPC鋼より線が用いられている背景がある。しかし将来、本発明の用途での使用量が増加し、大量生産により製造コストが下がる状況になれば、PC鋼より線と同様の柔軟性を有し、PC鋼より線と比較して強度の低い鋼材を用いてもよい。ここではこのような鋼材を含めて、現状の使用状況に合わせ、PC鋼より線と呼ぶ。
主鉄筋群を平面図上で一部が重なり合った複数の円形に配列し、通常の鉄筋を円形に曲げ加工して帯鉄筋とし、円形配列主鉄筋の周囲に帯鉄筋をコイル状に配置すると、帯鉄筋による拘束効果が効率よく行われるため、主鉄筋と帯鉄筋を格子状に配列した通常配筋の場合と比較して、帯鉄筋の量を大幅に減らすことができることが知られている。このように、主鉄筋群を平面図上で一部が重なり合った複数の円形に配列した、いわゆる「インターロッキング配筋」に通常の鉄筋を曲げ加工して用いる場合の施工方法については、[特許文献3]に記載されており、公知の技術である。
【特許文献1】特開平8−158652号公報
【特許文献2】特開平11−93420号公報
【特許文献3】特許第3527913号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしPC鋼より線を使用して円筒状に配置した主鉄筋の周囲にPC鋼より線をらせん状に巻きつける従来の方法では次のような問題がある。
(1)PC鋼より線を主鉄筋の外側に巻きつける装置は、比較的大規模な移動型枠工法および移動足場工法の装置と組み合わせて用いられるのが一般的であり、高さが30メートルを超えるような構造物の構築の場合には有利であるが、それ以下の規模の場合には装置の設置、撤去などの費用と工費がかさみ、有利性が発揮できない。
(2)従来のPC鋼より線の巻きつけ装置は、主鉄筋a群を平面図上で一部が重なりあった複数の円形で配列した、いわゆる「インターロッキング配筋」の場合には適用することはできない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記のような課題を解決するために、本発明のコンクリート構造物の配筋装置は、コンクリート構造物の鉛直方向に配置した主鉄筋の周囲に、所定の間隔を介して帯鉄筋としてPC鋼より線を配筋する配筋装置であって、PC鋼より線のコイルを搭載するターンテーブルと、ターンテーブルの周囲に位置して、前記の帯鉄筋の配置直径に近い円周上の複数個所に配置してあり、PC鋼より線を上下一列に積み上げる案内をする積み上げガイドと、積み上げガイドと積み上げガイドの間に、複数個所に配置してあり、PC鋼より線を、帯鉄筋の設計間隔よりも狭い間隔で係合するフック群を備えた仮受けスタンドと、複数の仮受けスタンドを、フックに係合させたPC鋼より線とともに吊り上げる吊り枠と、設置枠に懸垂しており、PC鋼より線を、帯鉄筋の設計間隔で係合するフック群を備えた整列ハンガーと、複数の整列ハンガーを、フックに係合させたPC鋼より線とともに吊り上げて、主鉄筋の周囲に吊り下ろして設置する設置枠と、より構成したことを特徴とするコンクリート構造物の配筋装置である。
また本発明は、上記の配筋装置を使用し、ターンテーブル上に搭載したPC鋼より線をコイル状態から引き出し、ターンテーブルの周囲に配置した積み上げガイドに沿って積み上げることによって、帯鉄筋の設計配置直径とほぼ等しい円周線上に積み上げ、次に積み上げガイドに積み上げたPC鋼より線1本づつを、帯鉄筋の設計間隔よりも狭い間隔で、仮受けスタンドのフックに係合し、吊り枠によって複数の仮受けスタンドを、フックに係合したPC鋼より線とともに吊り上げて別の場所に移し、次に仮受けスタンドのフックに係合したPC鋼より線1本づつを、帯鉄筋の設計間隔に等しい間隔で、設置枠に懸垂した整列ハンガーのフックに係合し、設置枠によって複数の整列ハンガーを、フックに係合したPC鋼より線とともに吊り上げて、先行して設置した鉛直方向の主鉄筋群の周囲に吊り下ろして設置し、PC鋼より線を主鉄筋に取りつけて行うことを特徴とする、コンクリート構造物の配筋方法である。
また本発明の配筋方法は、上記の配筋装置を使用し、ターンテーブル上に搭載したPC鋼より線をコイル状態から引き出し、ターンテーブルの周囲に配置した積み上げガイドに沿って積み上げることによって、帯鉄筋の設計配置直径とほぼ等しい円周線上に積み上げ、次に積み上げガイドに積み上げたPC鋼より線1本づつを、帯鉄筋の設計間隔よりも狭い間隔で、仮受けスタンドのフックに係合し、吊り枠によって複数の仮受けスタンドを、フックに係合したPC鋼より線とともに吊り上げて別の場所に移し、複数の吊り枠を、仮受けスタンドとPC鋼より線とともに相互に接近させてPC鋼より線の一部を、平面的に重ね合わせ、次に仮受けスタンドのフックに係合したPC鋼より線1本づつを、帯鉄筋の設計間隔に等しい間隔で、かつPC鋼より線の一部を平面的に重ね合わせた状態で、設置枠に懸垂した整列ハンガーのフックに係合し、設置枠によって複数の整列ハンガーを、一部を平面的に重ね合わせた状態でフックに係合したPC鋼より線とともに吊り上げて、先行して設置した鉛直方向の主鉄筋群の周囲に吊り下ろして設置し、PC鋼より線を主鉄筋に取りつけて行うことを特徴とする、コンクリート構造物の配筋方法である。
【発明の効果】
【0006】
本発明のコンクリート構造物の配筋装置と方法は以上説明したようになるから次のような効果を得ることができる。
(1)通常の鉄筋と比較して柔軟性のあるPC鋼より線を使用して、主鉄筋群とらせん鉄筋を係合した鉄筋構造を簡単に形成することができる。
(2)らせん鉄筋の一部が重なり合うような複雑な構造の配筋も、技能工の熟練に頼ることなく、マニュアル化して正確に配筋を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下図面を参照にしながら本発明の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【実施例】
【0008】
<1>全体の構成。
本発明の方法と装置は、ターンテーブル、積み上げガイド、仮受けスタンド、吊り枠、整列ハンガー、および設置枠を使用する。
【0009】
<2>ターンテーブル1。
本発明の対象とするPC鋼より線pは、鉄筋と比較して柔軟性があり、200〜300m程度に切断してコイル状に巻き取った状態で運搬する。
運搬の際にはコイルの直径が小さい方が有利であり、その直径は目的とする構造物の帯鉄筋の配列直径とは一致していない。
そこでPC鋼より線pをターンテーブル1の上に搭載し、コイルから引き出して目的の構造物の帯鉄筋の配列直径と等しい直径に巻きなおす必要がある。
ターンテーブル1は、このようなPC鋼より線pのコイルを仮り置きして巻きなおすための回転台である。
【0010】
<3>積み上げガイド2。
積み上げガイド2は、ターンテーブル1を包囲する状態でその周囲の複数個所に設置する。
複数の積み上げガイド2の配置位置は、構築目的の構造物の帯鉄筋の配列直径にほぼ等しい円周線上である。
そして、積み上げガイド2は平行して鉛直に設置した2枚、あるいは2本のガイド材21で構成する。
ガイド板の間隔は、PC鋼より線p1本の直径よりも多少大きい程度の間隔として形成するので、2枚のガイド板の間に2本のPC鋼より線pが同一平面に並列して入ることはなく、PC鋼より線pを挿入した場合には、PC鋼より線pが一列に整然と積み上げられる。
内側のガイド板、すなわちターンテーブル1側の板を、外側のものよりも短く形成し、かつ上端は内側に倒してPC鋼より線pがスムーズに挿入できるように形成する。
【0011】
<4>仮受けスタンド。
仮受けスタンド4は、地面に自立することが可能な架台であり、かつ吊り上げ用の腕41突設して、後述する吊り枠によって吊り上げが可能であるように構成する。
仮受けスタンド4は、主鉄筋a群を平面図上で単一の円形に配列した場合は不要であり、一部が重なり合った複数の円形に配列した場合に使用する。
仮受けスタンド4には、複数の回転フック42を、水平ピンを介して取りつけてある。
この水平ピンは、PC鋼より線の位置よりもコイルの外側方向にずれた位置にあるため、通常は自重によって回転フック42が外側方向に避けて懸垂し、PC鋼より線を上下方向に移動するときの障害とならない。この回転フック42にPC鋼より線を係合するときは、作業者がPC鋼より線を回転フック42より上に引き上げた状態で回転フック42を内側に押し込み、PC鋼より線から手を離す。
この回転フック42は、直径6mm程度の丸棒をU字状に曲げ、両端に水平ピンを通すための座金を接合し、このU字状丸棒の平行部分を同一方向に2個所で直角に曲げて、全体をL字状に形成したもので、フックの先端は丸棒が連続してつながっており、ピン側は2枚の座金がピン穴の中心軸を共有して向き合っている。
このフック42の上下間の間隔は、帯鉄筋の設計間隔よりも狭い間隔に設定してある。
フック42の間隔が狭すぎてフック42の回転が阻害される場合には、フック42の位置をずらして複数列に配置すればよい。
実施例では水平ピンを介してフック42を鉛直板43に取り付け、この鉛直板43を2枚、配置してある。
この鉛直板43の上端に高さ調整ボルト44を取りつけておけば、フック42の位置を微妙に調整することができる。
このようなわずかな位置の調整が必要である理由は、PC鋼より線が全長が連続したらせん形であるために、仮受けスタンド4の位置によって配置する高さがわずかに異なるからである。
この仮受けスタンド4は、積み上げガイド2と積み上げガイド2の間の均等な位置に、複数個所に配置してある。
【0012】
<5>吊り枠。
複数の仮受けスタンド4のフック42にPC鋼より線を係合させると、PC鋼より線のコイルができる。このコイルを仮受けスタンド4とともに吊り上げる。
そのために、例えばH型鋼と鋼管によって構成した井桁状の吊り枠5を使用する。
この吊り枠5から垂らしたワイヤに、仮受けスタンド4の腕41を取り付ければ、仮受けスタンド4と、帯鉄筋の設計配置直径にほぼ等しい直径のコイル状に形成した状態のPC鋼より線を吊り上げることができる。
なお吊り枠は、主鉄筋a群を平面図上で単一の円形に配列した場合は不要であり、一部が重なり合った複数の円形に配列した場合に使用する。
【0013】
<6>整列ハンガー3。
整列ハンガーは、棒状体のハンガー柱31と、そのハンガー柱31に、間隔を介して取り付けた回転自在の回転フック32とより構成する。
1本のハンガー柱31の長さは、設置枠への着脱の作業性と、種々のコイル高さに対応できるように考慮して例えば50cm程度の長さに設定する。
そして、整列ハンガー3の上端には上端フック33を、下端にはリング34を形成しておき、下段の整列ハンガーの上端フック33を、上段の整列ハンガーのリング34に係合することにより、順次延長できるように構成する。
整列ハンガー3に設ける回転フック32は、仮受けスタンド4に取り付けた回転フック42と同一部材であり、ハンガー柱31に水平ピンを介して複数段において取り付けてある。
回転フック32は、仮受けスタンド4に取りつけた回転フック42と同様、水平ピンはPC鋼より線の位置よりコイルの外側方向にずれた位置にあるため、通常は自重によってコイルの外側方向に避けて懸垂している。このため、PC鋼より線を回転フック32からはずして主鉄筋aと固定し、設置枠6とともに整列ハンガー3を撤去する際に、回転フック32がPC鋼より線pに引っ掛かることがない。
フックにPC鋼より線Pを係合する場合には作業者が回転して引き起こし、その上にPC鋼より線Pを係合する。
この回転フック32の間隔は、構築する目的の構造物の帯鉄筋の設計間隔と等しい間隔で配置する。
【0014】
<7>主鉄筋群。
本発明は、鉛直方向に配置された複数本の主鉄筋a群を平面図上で円形に配列した場合を対象としている。この主鉄筋a群の配列が単一の円形の場合と、一部が重なり合った複数の円形とした、いわゆるインターロッキング配筋の場合があり、本発明の配筋方法はそのいずれの場合にも採用することができる。
【0015】
<8>設置枠。
設置枠6は主鉄筋a群の配列が単一の円形の場合は1つのリングを、一部が重なり合った複数の円形の場合は複数のコイルを一括して吊り上げる装置であり、コイルの1周を4等分した位置に整列ハンガー3の上端フック33を引っ掛けるためのコイルを有する。主鉄筋a群はコンクリート面から鉛直上方に、コイルの高さより高く立ち上がっているので、設置枠6は配列された主鉄筋a群の鉄筋と鉄筋の間に挿入して吊り下ろすことができる構造となっている。
【0016】
<1>施工方法。
次に、主鉄筋a群を平面図上で単一の円形に配列した場合について、本発明の配筋方法の順序を説明する。
【0017】
<2>PC鋼より線pをターンテーブル1上へ搭載。
PC鋼より線pのコイルをターンテーブル1の上に搭載し、コイルの一端から引き出した後に目的の構造物の帯鉄筋の配列直径と等しい直径に巻きなおす。
そのためにターンテーブル1を回転してPC鋼より線pを引き出す。
【0018】
<3>ターンテーブル1から積み上げガイド2への移転。(図2)
コイル状態から引き出したPC鋼より線pは、積み上げガイド2の2枚のガイド材21の間に積み上げる。
複数個所の積み上げガイド2は、構築目的の構造物の帯鉄筋の配列直径にほぼ等しい直径で配置してある。
そのために、PC鋼より線pは、構築目的の構造物の帯鉄筋の配列直径とほぼ等しい直径で、PC鋼より線pの直径を厚さとする円筒状に積み上げられる。
【0019】
<4>整列ハンガー3の吊り下ろし。
複数本の整列ハンガー3を、共通の設置枠6に吊り下げ、積み上げガイドで形成されたPC鋼より線の円周上に吊り下ろす。
整列ハンガー3を吊り下ろす位置は、PC鋼より線のコイルの外側である。
【0020】
<5>積み上げガイド2から整列ハンガー3へ。(図7)
PC鋼より線pを1本づつを、設置枠から吊り下ろした状態の整列ハンガー3のフック32に係合する。
その際には、PC鋼より線のコイルの周囲に立った作業者が、PC鋼より線を上方から順番に一段づつ回転フック32の位置まで人力で引き上げて行う。
その結果、PC鋼より線pは、整列ハンガー3の内側に、一定間隔を介して配列され、この間隔は目的の構築物の帯鉄筋の設計間隔と等しい。
積み上げガイド2からの移転を人にたよる場合に、整列ハンガー3の長さが長いと手が届かず、高い足場が必要となり不経済である。
そこで前記したようにハンガー柱31の長さを短くしておき、その下端のリング34に下の段の整列ハンガー3の上端フック33を係合して、徐々に設置枠6を引き上げながら延長してゆく。
1本の整列ハンガー3は常に作業者の手の届く範囲に位置しているからPC鋼より線pの取り付け状態に応じてクレーンで設置枠6を徐々に引き上げながらPC鋼より線pの係合を行う。
【0021】
<6>主鉄筋aの配筋。
一方、構造物を構築する現場では鉛直方向の主鉄筋aはひとつの円を描いた状態で円周上に配列してある。
【0022】
<7>整列ハンガーの吊りおろし。(図8)
PC鋼より線Pの全長を整列ハンガー3に取り付けたら、クレーンで設置枠6を引き上げ、整列ハンガー3とそれにコイル状に係合しているPC鋼より線を引き上げる。
そして、円周状に配置した主鉄筋a群をPC鋼より線pが包囲する状態で、その上方から設置枠6を静かに吊り下ろす。
【0023】
<8>らせん状のPC鋼より線pと主鉄筋aとの結束。
円周状に配置した主鉄筋a群の外周に、整列ハンガー3を介してPC鋼より線pが配置されていることになる。
そこで、整列ハンガー3のフックからPC鋼より線pを外し、主鉄筋aに細い鉄線などによって結束する。
こうして主鉄筋a群の外面に、らせん状に形成した複数段のPC鋼より線pを整然と固定することができる。
結束が終わったら、設置枠6を整列ハンガー3とともに吊り上げて撤去する。
【0024】
<9>コンクリートの打設。
主鉄筋a群の外周に型枠を組み立て、内部にコンクリートを打設する。
こうして目的の鉄筋コンクリートの構造物が完成する。
【0025】
<10>重合配置の場合。
以上は、主鉄筋a群を平面図上で単一の円形に配列した場合について説明したが、次に一部が重なり合った複数の円形に配列した場合、いわゆるインターロッキング配筋の場合について、その相違点を中心に説明する。
PC鋼より線をターンテーブルに搭載し、積み上げガイド2の中に積み上げるまでは、前記の工程と同様である。
【0026】
<11>積み上げガイドから仮受けスタンド4へ。(図4)
仮受けスタンド4は、積み上げガイド2と積み上げガイド2の間に、例えば4個所に配置してある。
そこで、積み上げガイド2に整然と積み上げたPC鋼より線を上から順に仮受けスタンド4のフック42に1本づつ係合する。
PC鋼より線を係合する際には、フック42をコイルの内側方向へ押して行う。
その結果、PC鋼より線は仮受けスタンド4のフック42に一定間隔を介して配列されるが、この間隔は帯鉄筋の設計間隔よりも狭い。
あえて、設計間隔よりも狭い間隔でPC鋼より線を仮受けスタンド4に取り付ける理由は、作業者が地上に立ったまま手が届く範囲でPC鋼より線で仮りのコイルを形成し、そのコイルを吊り上げるためである。
もし、仮受けスタンド4のフック42の間隔が帯鉄筋の設計間隔と等しいと、作業者は上段のPC鋼より線の位置に手が届かず、その内部に足場を組み立てる必要が生じ、作業者は足場を上下しながら作業を行う必要が生じ、きわめて不経済な作業となる。
【0027】
<12>仮受けスタンド4群の吊り上げ。(図5)
PC鋼より線の全長を仮受けスタンド4のフックに係合したら、例えば4個所の仮受けスタンド4によって支持したPC鋼より線のコイルが形成される。
その状態で、仮受けスタンド4の腕に吊り枠5のワイヤを取り付ける。
そして複数の仮受けスタンド4をフック42に係合させたPC鋼より線とともに吊り上げる。
仮受けスタンド4は、帯鉄筋の設計円周上に、かつ複数個所に配置してあるから、PC鋼より線もほぼ帯鉄筋の設計円を描いたコイルとして円筒状に形成される。
その状態で、他の作業ヤードに吊り下ろす。
仮受けスタンド4はその脚部によって自立が可能であるから、PC鋼より線をコイル状態に維持したままヤードに設置される。
【0028】
<13>コイルの重合。(図9.10)
最初に形成したPC鋼より線のコイルを仮受けスタンド4と共に他の作業ヤードに移動した後、ターンテーブルの中に新たなPC鋼より線を搭載し、積み上げガイド2の間に新たな仮受けスタンド4を設置して、前回と同様にして第2のコイルを形成し、これを仮受けスタンド4とともに吊り枠5で吊って、最初のコイルを置いたヤードに移動し、地面に限りなく接近させた状態で吊りながら、地面に置いてある最初のコイルと一部が重なり合うように、中心を接近させる。
隣接するPC鋼より線pを接近させても、PC鋼より線pはその両端の高さがわずかに異なるから、一方のPC鋼より線pの間に、隣接するPC鋼より線pを挿入させて位置させることができる。
こうして、複数のらせん状のPC鋼より線p群がその一部を平面的に重さね合せた状態で配置される。
【0029】
<14>整列ハンガーへの移動。(図7)
PC鋼より線を平面的に重合配置した場合、作業者はPC鋼より線の各コイルの内部に入って、PC鋼より線の1本づつを、仮受けスタンド4のフック42からはずす。
そして設置枠から吊り下ろした状態の整列ハンガー3のフック32に係合しなおす。
1本の整列ハンガー3は常に作業者の手の届く範囲に位置しているからPC鋼より線pの取り付け状態に応じてクレーンで設置枠6を徐々に引き上げながらPC鋼より線pの係合を行う。
1本の整列ハンガー3の各回転フック32にPC鋼より線を係合したら、下段整列ハンガー3を延長してゆく。
PC鋼より線は平面的に重合しているから、PC鋼より線の各コイルに入った作業者は、勝手な速度でPC鋼より線を整列ハンガー3のフック32に係合することはできず、重合しているPC鋼より線の順序を、お互いに確認しながら係合を行う必要がある。
【0030】
<15>主鉄筋aの配置。
構造物を構築する現場では鉛直方向の主鉄筋aを平面図上で円形に配列するが、インターロッキング配筋の場合には主鉄筋a群は、平面的にはその一部を重合させた複数の円形状に配置してある。
【0031】
<15>整列ハンガーの吊りおろし。(図11)
PC鋼より線Pの全長を整列ハンガー3に取り付けたら、クレーンで設置枠を引き上げ、整列ハンガー3とそれにコイル状に係合しているPC鋼より線を引き上げる。
その場合に、図の例のようにPC鋼より線のコイルは複数組が平面的に重合しているから、複数のコイルを一括して吊り上げることができる設置枠6を用いてすべてを一体で吊り上げる必要がある。
そして、複数のPC鋼より線のコイルを、円周状に配置した主鉄筋a群をPC鋼より線pが包囲する状態で、その上方から静かに吊り下ろす。
【0032】
<16>PC鋼より線pと主鉄筋aとの結束。
らせん状のPC鋼より線pを順次、整列ハンガー3のフックから外して、主鉄筋aに結束する。
この場合には高い位置のPC鋼より線は、高い位置で主鉄筋に結束しなければならないから、作業者は足場の上に上がって作業を行う必要がある。
結束が終わったら、設置枠6を整列ハンガー3とともに吊り上げて撤去する。
【0033】
<17>コンクリートの打設。
周囲に型枠を組み立て、内部にコンクリートを打設してインターロッキング配筋の構造物の構築を完了する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】ターンテーブルからPC鋼より線を引き出す状態の説明図。
【図2】ターンテーブルから積み上げガイドにPC鋼より線を移す状態の説明図。
【図3】仮受けスタンドの説明図
【図4】仮受けスタンドのフックの配置状態の説明図。
【図5】仮受けスタンドとPC鋼より線を吊り上げる状態の説明図。
【図6】整列ハンガーの説明図。
【図7】積み上げガイドから整列ハンガーへ移す状態の説明図。
【図8】設置枠を主鉄筋群に対して吊り下ろす状態の説明図。
【図9】複数のPC鋼より線のコイルを接近させる状態の説明図。
【図10】複数のPC鋼より線のコイルを重合させた状態の平面図。
【図11】インターロッキング配筋の周囲にらせん状PC鋼より線を配置する状態の説明図。
【符号の説明】
【0035】
1:ターンテーブル
2:積み上げガイド
3:整列ハンガー
4:仮受けスタンド
a:主筋
p:PC鋼より線
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート構造物の配筋装置と配筋方法とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
主鉄筋の周囲に、PC鋼より線をコイル状、らせん状に配置して帯鉄筋として利用すると、鉄筋を円形に加工する方法に比較して次のような利点がある。
(1)鉄筋は工場での加工が必要であるが、PC鋼より線は現場で形成できるので輸送が簡単で経済的である。
(2)鉄筋を大きい半径で曲げるには大型の加工機が必要であるが、PC鋼より線ならば加工機を必要とせず、現場で所要の配置直径のコイルを形成できる。
(3)PC鋼より線は数百メートルの長さをつなぎ目のない、連続した引張材として配置することができるので、円形断面における直径、または矩形断面における一辺が2メートルを超え、高さが4メートルを超えるような大型の柱状構造物において、鉛直方向に配置した主鉄筋の外側に巻きつけて連続した帯鉄筋として配置するとすぐれた拘束効果を期待することができる。
【0003】
以上のような利点を備えているので、大型柱状構造物の帯筋にPC鋼より線を用いる方法はすでに知られている。
しかし従来の方法は、主鉄筋の外側にPC鋼より線を連続的に巻き付ける施工方法であり、主としてスリップフォーム工法などの移動型枠工法および移動足場工法の装置と組み合わせて使用されている。
PC鋼より線は、本来はプレストレストコンクリート用緊張材として製造されている高強度鋼材であり、本発明のように鉄筋として用いる場合、必ずしもPC鋼より線と同等の強度を必要としない。しかし本発明の用途に対する要求性能に合致するように、柔軟性があり、PC鋼より線と比較して強度の低い鋼材を少量生産すると、大量生産されているPC鋼より線と比較して製造コストが高くなり、また納期も長くなる傾向がある。このため、柔軟性のある鉄筋として、必要以上に強度の高いPC鋼より線が用いられている背景がある。しかし将来、本発明の用途での使用量が増加し、大量生産により製造コストが下がる状況になれば、PC鋼より線と同様の柔軟性を有し、PC鋼より線と比較して強度の低い鋼材を用いてもよい。ここではこのような鋼材を含めて、現状の使用状況に合わせ、PC鋼より線と呼ぶ。
主鉄筋群を平面図上で一部が重なり合った複数の円形に配列し、通常の鉄筋を円形に曲げ加工して帯鉄筋とし、円形配列主鉄筋の周囲に帯鉄筋をコイル状に配置すると、帯鉄筋による拘束効果が効率よく行われるため、主鉄筋と帯鉄筋を格子状に配列した通常配筋の場合と比較して、帯鉄筋の量を大幅に減らすことができることが知られている。このように、主鉄筋群を平面図上で一部が重なり合った複数の円形に配列した、いわゆる「インターロッキング配筋」に通常の鉄筋を曲げ加工して用いる場合の施工方法については、[特許文献3]に記載されており、公知の技術である。
【特許文献1】特開平8−158652号公報
【特許文献2】特開平11−93420号公報
【特許文献3】特許第3527913号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしPC鋼より線を使用して円筒状に配置した主鉄筋の周囲にPC鋼より線をらせん状に巻きつける従来の方法では次のような問題がある。
(1)PC鋼より線を主鉄筋の外側に巻きつける装置は、比較的大規模な移動型枠工法および移動足場工法の装置と組み合わせて用いられるのが一般的であり、高さが30メートルを超えるような構造物の構築の場合には有利であるが、それ以下の規模の場合には装置の設置、撤去などの費用と工費がかさみ、有利性が発揮できない。
(2)従来のPC鋼より線の巻きつけ装置は、主鉄筋a群を平面図上で一部が重なりあった複数の円形で配列した、いわゆる「インターロッキング配筋」の場合には適用することはできない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記のような課題を解決するために、本発明のコンクリート構造物の配筋装置は、コンクリート構造物の鉛直方向に配置した主鉄筋の周囲に、所定の間隔を介して帯鉄筋としてPC鋼より線を配筋する配筋装置であって、PC鋼より線のコイルを搭載するターンテーブルと、ターンテーブルの周囲に位置して、前記の帯鉄筋の配置直径に近い円周上の複数個所に配置してあり、PC鋼より線を上下一列に積み上げる案内をする積み上げガイドと、積み上げガイドと積み上げガイドの間に、複数個所に配置してあり、PC鋼より線を、帯鉄筋の設計間隔よりも狭い間隔で係合するフック群を備えた仮受けスタンドと、複数の仮受けスタンドを、フックに係合させたPC鋼より線とともに吊り上げる吊り枠と、設置枠に懸垂しており、PC鋼より線を、帯鉄筋の設計間隔で係合するフック群を備えた整列ハンガーと、複数の整列ハンガーを、フックに係合させたPC鋼より線とともに吊り上げて、主鉄筋の周囲に吊り下ろして設置する設置枠と、より構成したことを特徴とするコンクリート構造物の配筋装置である。
また本発明は、上記の配筋装置を使用し、ターンテーブル上に搭載したPC鋼より線をコイル状態から引き出し、ターンテーブルの周囲に配置した積み上げガイドに沿って積み上げることによって、帯鉄筋の設計配置直径とほぼ等しい円周線上に積み上げ、次に積み上げガイドに積み上げたPC鋼より線1本づつを、帯鉄筋の設計間隔よりも狭い間隔で、仮受けスタンドのフックに係合し、吊り枠によって複数の仮受けスタンドを、フックに係合したPC鋼より線とともに吊り上げて別の場所に移し、次に仮受けスタンドのフックに係合したPC鋼より線1本づつを、帯鉄筋の設計間隔に等しい間隔で、設置枠に懸垂した整列ハンガーのフックに係合し、設置枠によって複数の整列ハンガーを、フックに係合したPC鋼より線とともに吊り上げて、先行して設置した鉛直方向の主鉄筋群の周囲に吊り下ろして設置し、PC鋼より線を主鉄筋に取りつけて行うことを特徴とする、コンクリート構造物の配筋方法である。
また本発明の配筋方法は、上記の配筋装置を使用し、ターンテーブル上に搭載したPC鋼より線をコイル状態から引き出し、ターンテーブルの周囲に配置した積み上げガイドに沿って積み上げることによって、帯鉄筋の設計配置直径とほぼ等しい円周線上に積み上げ、次に積み上げガイドに積み上げたPC鋼より線1本づつを、帯鉄筋の設計間隔よりも狭い間隔で、仮受けスタンドのフックに係合し、吊り枠によって複数の仮受けスタンドを、フックに係合したPC鋼より線とともに吊り上げて別の場所に移し、複数の吊り枠を、仮受けスタンドとPC鋼より線とともに相互に接近させてPC鋼より線の一部を、平面的に重ね合わせ、次に仮受けスタンドのフックに係合したPC鋼より線1本づつを、帯鉄筋の設計間隔に等しい間隔で、かつPC鋼より線の一部を平面的に重ね合わせた状態で、設置枠に懸垂した整列ハンガーのフックに係合し、設置枠によって複数の整列ハンガーを、一部を平面的に重ね合わせた状態でフックに係合したPC鋼より線とともに吊り上げて、先行して設置した鉛直方向の主鉄筋群の周囲に吊り下ろして設置し、PC鋼より線を主鉄筋に取りつけて行うことを特徴とする、コンクリート構造物の配筋方法である。
【発明の効果】
【0006】
本発明のコンクリート構造物の配筋装置と方法は以上説明したようになるから次のような効果を得ることができる。
(1)通常の鉄筋と比較して柔軟性のあるPC鋼より線を使用して、主鉄筋群とらせん鉄筋を係合した鉄筋構造を簡単に形成することができる。
(2)らせん鉄筋の一部が重なり合うような複雑な構造の配筋も、技能工の熟練に頼ることなく、マニュアル化して正確に配筋を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下図面を参照にしながら本発明の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【実施例】
【0008】
<1>全体の構成。
本発明の方法と装置は、ターンテーブル、積み上げガイド、仮受けスタンド、吊り枠、整列ハンガー、および設置枠を使用する。
【0009】
<2>ターンテーブル1。
本発明の対象とするPC鋼より線pは、鉄筋と比較して柔軟性があり、200〜300m程度に切断してコイル状に巻き取った状態で運搬する。
運搬の際にはコイルの直径が小さい方が有利であり、その直径は目的とする構造物の帯鉄筋の配列直径とは一致していない。
そこでPC鋼より線pをターンテーブル1の上に搭載し、コイルから引き出して目的の構造物の帯鉄筋の配列直径と等しい直径に巻きなおす必要がある。
ターンテーブル1は、このようなPC鋼より線pのコイルを仮り置きして巻きなおすための回転台である。
【0010】
<3>積み上げガイド2。
積み上げガイド2は、ターンテーブル1を包囲する状態でその周囲の複数個所に設置する。
複数の積み上げガイド2の配置位置は、構築目的の構造物の帯鉄筋の配列直径にほぼ等しい円周線上である。
そして、積み上げガイド2は平行して鉛直に設置した2枚、あるいは2本のガイド材21で構成する。
ガイド板の間隔は、PC鋼より線p1本の直径よりも多少大きい程度の間隔として形成するので、2枚のガイド板の間に2本のPC鋼より線pが同一平面に並列して入ることはなく、PC鋼より線pを挿入した場合には、PC鋼より線pが一列に整然と積み上げられる。
内側のガイド板、すなわちターンテーブル1側の板を、外側のものよりも短く形成し、かつ上端は内側に倒してPC鋼より線pがスムーズに挿入できるように形成する。
【0011】
<4>仮受けスタンド。
仮受けスタンド4は、地面に自立することが可能な架台であり、かつ吊り上げ用の腕41突設して、後述する吊り枠によって吊り上げが可能であるように構成する。
仮受けスタンド4は、主鉄筋a群を平面図上で単一の円形に配列した場合は不要であり、一部が重なり合った複数の円形に配列した場合に使用する。
仮受けスタンド4には、複数の回転フック42を、水平ピンを介して取りつけてある。
この水平ピンは、PC鋼より線の位置よりもコイルの外側方向にずれた位置にあるため、通常は自重によって回転フック42が外側方向に避けて懸垂し、PC鋼より線を上下方向に移動するときの障害とならない。この回転フック42にPC鋼より線を係合するときは、作業者がPC鋼より線を回転フック42より上に引き上げた状態で回転フック42を内側に押し込み、PC鋼より線から手を離す。
この回転フック42は、直径6mm程度の丸棒をU字状に曲げ、両端に水平ピンを通すための座金を接合し、このU字状丸棒の平行部分を同一方向に2個所で直角に曲げて、全体をL字状に形成したもので、フックの先端は丸棒が連続してつながっており、ピン側は2枚の座金がピン穴の中心軸を共有して向き合っている。
このフック42の上下間の間隔は、帯鉄筋の設計間隔よりも狭い間隔に設定してある。
フック42の間隔が狭すぎてフック42の回転が阻害される場合には、フック42の位置をずらして複数列に配置すればよい。
実施例では水平ピンを介してフック42を鉛直板43に取り付け、この鉛直板43を2枚、配置してある。
この鉛直板43の上端に高さ調整ボルト44を取りつけておけば、フック42の位置を微妙に調整することができる。
このようなわずかな位置の調整が必要である理由は、PC鋼より線が全長が連続したらせん形であるために、仮受けスタンド4の位置によって配置する高さがわずかに異なるからである。
この仮受けスタンド4は、積み上げガイド2と積み上げガイド2の間の均等な位置に、複数個所に配置してある。
【0012】
<5>吊り枠。
複数の仮受けスタンド4のフック42にPC鋼より線を係合させると、PC鋼より線のコイルができる。このコイルを仮受けスタンド4とともに吊り上げる。
そのために、例えばH型鋼と鋼管によって構成した井桁状の吊り枠5を使用する。
この吊り枠5から垂らしたワイヤに、仮受けスタンド4の腕41を取り付ければ、仮受けスタンド4と、帯鉄筋の設計配置直径にほぼ等しい直径のコイル状に形成した状態のPC鋼より線を吊り上げることができる。
なお吊り枠は、主鉄筋a群を平面図上で単一の円形に配列した場合は不要であり、一部が重なり合った複数の円形に配列した場合に使用する。
【0013】
<6>整列ハンガー3。
整列ハンガーは、棒状体のハンガー柱31と、そのハンガー柱31に、間隔を介して取り付けた回転自在の回転フック32とより構成する。
1本のハンガー柱31の長さは、設置枠への着脱の作業性と、種々のコイル高さに対応できるように考慮して例えば50cm程度の長さに設定する。
そして、整列ハンガー3の上端には上端フック33を、下端にはリング34を形成しておき、下段の整列ハンガーの上端フック33を、上段の整列ハンガーのリング34に係合することにより、順次延長できるように構成する。
整列ハンガー3に設ける回転フック32は、仮受けスタンド4に取り付けた回転フック42と同一部材であり、ハンガー柱31に水平ピンを介して複数段において取り付けてある。
回転フック32は、仮受けスタンド4に取りつけた回転フック42と同様、水平ピンはPC鋼より線の位置よりコイルの外側方向にずれた位置にあるため、通常は自重によってコイルの外側方向に避けて懸垂している。このため、PC鋼より線を回転フック32からはずして主鉄筋aと固定し、設置枠6とともに整列ハンガー3を撤去する際に、回転フック32がPC鋼より線pに引っ掛かることがない。
フックにPC鋼より線Pを係合する場合には作業者が回転して引き起こし、その上にPC鋼より線Pを係合する。
この回転フック32の間隔は、構築する目的の構造物の帯鉄筋の設計間隔と等しい間隔で配置する。
【0014】
<7>主鉄筋群。
本発明は、鉛直方向に配置された複数本の主鉄筋a群を平面図上で円形に配列した場合を対象としている。この主鉄筋a群の配列が単一の円形の場合と、一部が重なり合った複数の円形とした、いわゆるインターロッキング配筋の場合があり、本発明の配筋方法はそのいずれの場合にも採用することができる。
【0015】
<8>設置枠。
設置枠6は主鉄筋a群の配列が単一の円形の場合は1つのリングを、一部が重なり合った複数の円形の場合は複数のコイルを一括して吊り上げる装置であり、コイルの1周を4等分した位置に整列ハンガー3の上端フック33を引っ掛けるためのコイルを有する。主鉄筋a群はコンクリート面から鉛直上方に、コイルの高さより高く立ち上がっているので、設置枠6は配列された主鉄筋a群の鉄筋と鉄筋の間に挿入して吊り下ろすことができる構造となっている。
【0016】
<1>施工方法。
次に、主鉄筋a群を平面図上で単一の円形に配列した場合について、本発明の配筋方法の順序を説明する。
【0017】
<2>PC鋼より線pをターンテーブル1上へ搭載。
PC鋼より線pのコイルをターンテーブル1の上に搭載し、コイルの一端から引き出した後に目的の構造物の帯鉄筋の配列直径と等しい直径に巻きなおす。
そのためにターンテーブル1を回転してPC鋼より線pを引き出す。
【0018】
<3>ターンテーブル1から積み上げガイド2への移転。(図2)
コイル状態から引き出したPC鋼より線pは、積み上げガイド2の2枚のガイド材21の間に積み上げる。
複数個所の積み上げガイド2は、構築目的の構造物の帯鉄筋の配列直径にほぼ等しい直径で配置してある。
そのために、PC鋼より線pは、構築目的の構造物の帯鉄筋の配列直径とほぼ等しい直径で、PC鋼より線pの直径を厚さとする円筒状に積み上げられる。
【0019】
<4>整列ハンガー3の吊り下ろし。
複数本の整列ハンガー3を、共通の設置枠6に吊り下げ、積み上げガイドで形成されたPC鋼より線の円周上に吊り下ろす。
整列ハンガー3を吊り下ろす位置は、PC鋼より線のコイルの外側である。
【0020】
<5>積み上げガイド2から整列ハンガー3へ。(図7)
PC鋼より線pを1本づつを、設置枠から吊り下ろした状態の整列ハンガー3のフック32に係合する。
その際には、PC鋼より線のコイルの周囲に立った作業者が、PC鋼より線を上方から順番に一段づつ回転フック32の位置まで人力で引き上げて行う。
その結果、PC鋼より線pは、整列ハンガー3の内側に、一定間隔を介して配列され、この間隔は目的の構築物の帯鉄筋の設計間隔と等しい。
積み上げガイド2からの移転を人にたよる場合に、整列ハンガー3の長さが長いと手が届かず、高い足場が必要となり不経済である。
そこで前記したようにハンガー柱31の長さを短くしておき、その下端のリング34に下の段の整列ハンガー3の上端フック33を係合して、徐々に設置枠6を引き上げながら延長してゆく。
1本の整列ハンガー3は常に作業者の手の届く範囲に位置しているからPC鋼より線pの取り付け状態に応じてクレーンで設置枠6を徐々に引き上げながらPC鋼より線pの係合を行う。
【0021】
<6>主鉄筋aの配筋。
一方、構造物を構築する現場では鉛直方向の主鉄筋aはひとつの円を描いた状態で円周上に配列してある。
【0022】
<7>整列ハンガーの吊りおろし。(図8)
PC鋼より線Pの全長を整列ハンガー3に取り付けたら、クレーンで設置枠6を引き上げ、整列ハンガー3とそれにコイル状に係合しているPC鋼より線を引き上げる。
そして、円周状に配置した主鉄筋a群をPC鋼より線pが包囲する状態で、その上方から設置枠6を静かに吊り下ろす。
【0023】
<8>らせん状のPC鋼より線pと主鉄筋aとの結束。
円周状に配置した主鉄筋a群の外周に、整列ハンガー3を介してPC鋼より線pが配置されていることになる。
そこで、整列ハンガー3のフックからPC鋼より線pを外し、主鉄筋aに細い鉄線などによって結束する。
こうして主鉄筋a群の外面に、らせん状に形成した複数段のPC鋼より線pを整然と固定することができる。
結束が終わったら、設置枠6を整列ハンガー3とともに吊り上げて撤去する。
【0024】
<9>コンクリートの打設。
主鉄筋a群の外周に型枠を組み立て、内部にコンクリートを打設する。
こうして目的の鉄筋コンクリートの構造物が完成する。
【0025】
<10>重合配置の場合。
以上は、主鉄筋a群を平面図上で単一の円形に配列した場合について説明したが、次に一部が重なり合った複数の円形に配列した場合、いわゆるインターロッキング配筋の場合について、その相違点を中心に説明する。
PC鋼より線をターンテーブルに搭載し、積み上げガイド2の中に積み上げるまでは、前記の工程と同様である。
【0026】
<11>積み上げガイドから仮受けスタンド4へ。(図4)
仮受けスタンド4は、積み上げガイド2と積み上げガイド2の間に、例えば4個所に配置してある。
そこで、積み上げガイド2に整然と積み上げたPC鋼より線を上から順に仮受けスタンド4のフック42に1本づつ係合する。
PC鋼より線を係合する際には、フック42をコイルの内側方向へ押して行う。
その結果、PC鋼より線は仮受けスタンド4のフック42に一定間隔を介して配列されるが、この間隔は帯鉄筋の設計間隔よりも狭い。
あえて、設計間隔よりも狭い間隔でPC鋼より線を仮受けスタンド4に取り付ける理由は、作業者が地上に立ったまま手が届く範囲でPC鋼より線で仮りのコイルを形成し、そのコイルを吊り上げるためである。
もし、仮受けスタンド4のフック42の間隔が帯鉄筋の設計間隔と等しいと、作業者は上段のPC鋼より線の位置に手が届かず、その内部に足場を組み立てる必要が生じ、作業者は足場を上下しながら作業を行う必要が生じ、きわめて不経済な作業となる。
【0027】
<12>仮受けスタンド4群の吊り上げ。(図5)
PC鋼より線の全長を仮受けスタンド4のフックに係合したら、例えば4個所の仮受けスタンド4によって支持したPC鋼より線のコイルが形成される。
その状態で、仮受けスタンド4の腕に吊り枠5のワイヤを取り付ける。
そして複数の仮受けスタンド4をフック42に係合させたPC鋼より線とともに吊り上げる。
仮受けスタンド4は、帯鉄筋の設計円周上に、かつ複数個所に配置してあるから、PC鋼より線もほぼ帯鉄筋の設計円を描いたコイルとして円筒状に形成される。
その状態で、他の作業ヤードに吊り下ろす。
仮受けスタンド4はその脚部によって自立が可能であるから、PC鋼より線をコイル状態に維持したままヤードに設置される。
【0028】
<13>コイルの重合。(図9.10)
最初に形成したPC鋼より線のコイルを仮受けスタンド4と共に他の作業ヤードに移動した後、ターンテーブルの中に新たなPC鋼より線を搭載し、積み上げガイド2の間に新たな仮受けスタンド4を設置して、前回と同様にして第2のコイルを形成し、これを仮受けスタンド4とともに吊り枠5で吊って、最初のコイルを置いたヤードに移動し、地面に限りなく接近させた状態で吊りながら、地面に置いてある最初のコイルと一部が重なり合うように、中心を接近させる。
隣接するPC鋼より線pを接近させても、PC鋼より線pはその両端の高さがわずかに異なるから、一方のPC鋼より線pの間に、隣接するPC鋼より線pを挿入させて位置させることができる。
こうして、複数のらせん状のPC鋼より線p群がその一部を平面的に重さね合せた状態で配置される。
【0029】
<14>整列ハンガーへの移動。(図7)
PC鋼より線を平面的に重合配置した場合、作業者はPC鋼より線の各コイルの内部に入って、PC鋼より線の1本づつを、仮受けスタンド4のフック42からはずす。
そして設置枠から吊り下ろした状態の整列ハンガー3のフック32に係合しなおす。
1本の整列ハンガー3は常に作業者の手の届く範囲に位置しているからPC鋼より線pの取り付け状態に応じてクレーンで設置枠6を徐々に引き上げながらPC鋼より線pの係合を行う。
1本の整列ハンガー3の各回転フック32にPC鋼より線を係合したら、下段整列ハンガー3を延長してゆく。
PC鋼より線は平面的に重合しているから、PC鋼より線の各コイルに入った作業者は、勝手な速度でPC鋼より線を整列ハンガー3のフック32に係合することはできず、重合しているPC鋼より線の順序を、お互いに確認しながら係合を行う必要がある。
【0030】
<15>主鉄筋aの配置。
構造物を構築する現場では鉛直方向の主鉄筋aを平面図上で円形に配列するが、インターロッキング配筋の場合には主鉄筋a群は、平面的にはその一部を重合させた複数の円形状に配置してある。
【0031】
<15>整列ハンガーの吊りおろし。(図11)
PC鋼より線Pの全長を整列ハンガー3に取り付けたら、クレーンで設置枠を引き上げ、整列ハンガー3とそれにコイル状に係合しているPC鋼より線を引き上げる。
その場合に、図の例のようにPC鋼より線のコイルは複数組が平面的に重合しているから、複数のコイルを一括して吊り上げることができる設置枠6を用いてすべてを一体で吊り上げる必要がある。
そして、複数のPC鋼より線のコイルを、円周状に配置した主鉄筋a群をPC鋼より線pが包囲する状態で、その上方から静かに吊り下ろす。
【0032】
<16>PC鋼より線pと主鉄筋aとの結束。
らせん状のPC鋼より線pを順次、整列ハンガー3のフックから外して、主鉄筋aに結束する。
この場合には高い位置のPC鋼より線は、高い位置で主鉄筋に結束しなければならないから、作業者は足場の上に上がって作業を行う必要がある。
結束が終わったら、設置枠6を整列ハンガー3とともに吊り上げて撤去する。
【0033】
<17>コンクリートの打設。
周囲に型枠を組み立て、内部にコンクリートを打設してインターロッキング配筋の構造物の構築を完了する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】ターンテーブルからPC鋼より線を引き出す状態の説明図。
【図2】ターンテーブルから積み上げガイドにPC鋼より線を移す状態の説明図。
【図3】仮受けスタンドの説明図
【図4】仮受けスタンドのフックの配置状態の説明図。
【図5】仮受けスタンドとPC鋼より線を吊り上げる状態の説明図。
【図6】整列ハンガーの説明図。
【図7】積み上げガイドから整列ハンガーへ移す状態の説明図。
【図8】設置枠を主鉄筋群に対して吊り下ろす状態の説明図。
【図9】複数のPC鋼より線のコイルを接近させる状態の説明図。
【図10】複数のPC鋼より線のコイルを重合させた状態の平面図。
【図11】インターロッキング配筋の周囲にらせん状PC鋼より線を配置する状態の説明図。
【符号の説明】
【0035】
1:ターンテーブル
2:積み上げガイド
3:整列ハンガー
4:仮受けスタンド
a:主筋
p:PC鋼より線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート構造物の鉛直方向に配置した主鉄筋の周囲に、所定の間隔を介して帯鉄筋としてPC鋼より線を配筋する配筋装置であって、
PC鋼より線のコイルを搭載するターンテーブルと、
ターンテーブルの周囲に位置して、前記の帯鉄筋の配置直径に近い円周上の複数個所に配置してあり、PC鋼より線を上下一列に積み上げる案内をする積み上げガイドと、
積み上げガイドと積み上げガイドの間に、複数個所に配置してあり、PC鋼より線を、帯鉄筋の設計間隔よりも狭い間隔で係合するフック群を備えた仮受けスタンドと、
複数の仮受けスタンドを、フックに係合させたPC鋼より線とともに吊り上げる吊り枠と、
設置枠に懸垂しており、PC鋼より線を、帯鉄筋の設計間隔で係合するフック群を備えた整列ハンガーと、
複数の整列ハンガーを、フックに係合させたPC鋼より線とともに吊り上げて、主鉄筋の周囲に吊り下ろして設置する設置枠と、
より構成した、コンクリート構造物の配筋装置。
【請求項2】
仮受けスタンドは、
自立するとともに、吊り枠によって吊り上げが可能であり、
複数の回転フックを取りつけてある、
請求項1記載の、コンクリート構造物の配筋装置。
【請求項3】
請求項1記載の配筋装置を使用して、
主鉄筋群を平面図上で単一の円形に配列したコンクリート構造物に対して行う配筋方法であって、
ターンテーブル上に搭載したPC鋼より線をコイル状態から引き出し、
ターンテーブルの周囲に配置した積み上げガイドに沿って積み上げることによって、帯鉄筋の設計配置直径とほぼ等しい円周線上に積み上げ、
PC鋼より線1本づつを、
帯鉄筋の設計間隔に等しい間隔で、設置枠に懸垂した整列ハンガーのフックに係合し、
設置枠によって複数の整列ハンガーを、フックに係合したPC鋼より線とともに吊り上げて、
先行して設置した鉛直方向の主鉄筋群の周囲に吊り下ろして設置し、
PC鋼より線を主鉄筋に取りつけて行う、
コンクリート構造物の配筋方法。
【請求項4】
請求項1記載の配筋装置を使用し、
主鉄筋群を平面図上で一部が重なり合った複数の円形に配列したコンクリート構造物に対して行う配筋方法であって、
ターンテーブル上に搭載したPC鋼より線をコイル状態から引き出し、
ターンテーブルの周囲に配置した積み上げガイドに沿って積み上げることによって、帯鉄筋の設計配置直径とほぼ等しい円周線上に積み上げ、
次に積み上げガイドに積み上げたPC鋼より線1本づつを、帯鉄筋の設計間隔よりも狭い間隔で、仮受けスタンドのフックに係合し、
吊り枠によって複数の仮受けスタンドを、フックに係合したPC鋼より線とともに吊り上げて別の場所に移し、
ターンテーブルに新たなコイルを搭載し、
新たな仮受けスタンドを配置して、
最初と同様にして第二のコイルを形成し、
そのコイルを仮受けスタンドとともに吊り枠で吊り上げて、
最初のコイルと平面的に一部が重なり合うように中心を接近させ、
次に仮受けスタンドのフックに係合したPC鋼より線1本づつを、
帯鉄筋の設計間隔に等しい間隔で、かつPC鋼より線の一部を平面的に重ね合わせた状態で、設置枠に懸垂した整列ハンガーのフックに係合し、
設置枠によって複数の整列ハンガーを、一部を平面的に重ね合わせた状態でフックに係合したPC鋼より線とともに吊り上げて、
先行して設置した鉛直方向の主鉄筋群の周囲に吊り下ろして設置し、
PC鋼より線を主鉄筋に取りつけて行う、
コンクリート構造物の配筋方法。
【請求項1】
コンクリート構造物の鉛直方向に配置した主鉄筋の周囲に、所定の間隔を介して帯鉄筋としてPC鋼より線を配筋する配筋装置であって、
PC鋼より線のコイルを搭載するターンテーブルと、
ターンテーブルの周囲に位置して、前記の帯鉄筋の配置直径に近い円周上の複数個所に配置してあり、PC鋼より線を上下一列に積み上げる案内をする積み上げガイドと、
積み上げガイドと積み上げガイドの間に、複数個所に配置してあり、PC鋼より線を、帯鉄筋の設計間隔よりも狭い間隔で係合するフック群を備えた仮受けスタンドと、
複数の仮受けスタンドを、フックに係合させたPC鋼より線とともに吊り上げる吊り枠と、
設置枠に懸垂しており、PC鋼より線を、帯鉄筋の設計間隔で係合するフック群を備えた整列ハンガーと、
複数の整列ハンガーを、フックに係合させたPC鋼より線とともに吊り上げて、主鉄筋の周囲に吊り下ろして設置する設置枠と、
より構成した、コンクリート構造物の配筋装置。
【請求項2】
仮受けスタンドは、
自立するとともに、吊り枠によって吊り上げが可能であり、
複数の回転フックを取りつけてある、
請求項1記載の、コンクリート構造物の配筋装置。
【請求項3】
請求項1記載の配筋装置を使用して、
主鉄筋群を平面図上で単一の円形に配列したコンクリート構造物に対して行う配筋方法であって、
ターンテーブル上に搭載したPC鋼より線をコイル状態から引き出し、
ターンテーブルの周囲に配置した積み上げガイドに沿って積み上げることによって、帯鉄筋の設計配置直径とほぼ等しい円周線上に積み上げ、
PC鋼より線1本づつを、
帯鉄筋の設計間隔に等しい間隔で、設置枠に懸垂した整列ハンガーのフックに係合し、
設置枠によって複数の整列ハンガーを、フックに係合したPC鋼より線とともに吊り上げて、
先行して設置した鉛直方向の主鉄筋群の周囲に吊り下ろして設置し、
PC鋼より線を主鉄筋に取りつけて行う、
コンクリート構造物の配筋方法。
【請求項4】
請求項1記載の配筋装置を使用し、
主鉄筋群を平面図上で一部が重なり合った複数の円形に配列したコンクリート構造物に対して行う配筋方法であって、
ターンテーブル上に搭載したPC鋼より線をコイル状態から引き出し、
ターンテーブルの周囲に配置した積み上げガイドに沿って積み上げることによって、帯鉄筋の設計配置直径とほぼ等しい円周線上に積み上げ、
次に積み上げガイドに積み上げたPC鋼より線1本づつを、帯鉄筋の設計間隔よりも狭い間隔で、仮受けスタンドのフックに係合し、
吊り枠によって複数の仮受けスタンドを、フックに係合したPC鋼より線とともに吊り上げて別の場所に移し、
ターンテーブルに新たなコイルを搭載し、
新たな仮受けスタンドを配置して、
最初と同様にして第二のコイルを形成し、
そのコイルを仮受けスタンドとともに吊り枠で吊り上げて、
最初のコイルと平面的に一部が重なり合うように中心を接近させ、
次に仮受けスタンドのフックに係合したPC鋼より線1本づつを、
帯鉄筋の設計間隔に等しい間隔で、かつPC鋼より線の一部を平面的に重ね合わせた状態で、設置枠に懸垂した整列ハンガーのフックに係合し、
設置枠によって複数の整列ハンガーを、一部を平面的に重ね合わせた状態でフックに係合したPC鋼より線とともに吊り上げて、
先行して設置した鉛直方向の主鉄筋群の周囲に吊り下ろして設置し、
PC鋼より線を主鉄筋に取りつけて行う、
コンクリート構造物の配筋方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−291576(P2006−291576A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−113826(P2005−113826)
【出願日】平成17年4月11日(2005.4.11)
【出願人】(000192626)神鋼鋼線工業株式会社 (44)
【出願人】(303056368)東急建設株式会社 (225)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月11日(2005.4.11)
【出願人】(000192626)神鋼鋼線工業株式会社 (44)
【出願人】(303056368)東急建設株式会社 (225)
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