説明

コンソ−ルボックス

【課題】 ドア開時にその表面に沿って隙間を通して内部に物が滑り落ちるのを確実に防止できるコンソールボックスを提供する。
【解決手段】 コンソールボックスのボックス本体の上面を閉鎖するドア10は、開放時にボックス本体のドア基端側の後壁に沿った位置に回動するようになっている。先端部に駆動ピン34aが側方へ突設された駆動レバー34をドア10の後端部に下設すると共に、開放したドア10の表面に背後から交差方向に当接し、かつ駆動ピン34aが係入する長溝35を備えた溝付レバー36が下設された閉鎖板30を揺動自在にボックス本体の後壁の外側に支持する。長溝35は、ドア10の開放過程で溝付レバー36の駆動ピン34aに対する従動により閉鎖板30の先端部をドア10の表面に当接させる形状に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ボックス本体の上面を閉鎖するドアが、開放時にボックス本体の後壁に沿った位置に回動するようになった自動車のコンソールボックスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】本出願人は、この種のコンソールボックスとして、ボックス本体の側壁にヒンジ結合されたアームの先端部にドア側部の後端部をヒンジ結合させ、ドア側部における後端部よりも先方寄りの位置にガイドピンを突設すると共に、このガイドピンをガイドするガイド溝を形成した側板を設け、ガイド溝が後方へ略水平に向い、次いでさらに後端部の回動経路に追従して後方へ弓状に膨らむ形状に形成したのを特開平9−150678号公報により提案している。
【0003】これにより、ボックス本体の容量を削減すること無くドアを後壁に沿った位置に開放可能となる。また、後壁の背後に必要なドアの移動経路の幅を狭くでき、さらにガイド溝が水平部を有することによりドアの開放が穏やかに行われる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような構成のコンソールボックスドアでは、後壁の背後に必要なドアの移動経路の幅を狭くできることにより、その隙間に小物等も落ちにくくなるが、依然ドア開時にカード、コイン等の特に薄物が隙間に滑り落ちる可能性がある点で改良の余地が残されている。この問題を解決するために、ドア後端部のドア開時の移動経路に沿って可撓性のシートを配置することが考えられるが、シートに弛みが生じると隙間を生じることになる。
【0005】本発明は、このような点に鑑みて、ドア開時にその表面に沿って隙間を通して内部に物が滑り落ちるのを確実に防止できる冒頭に述べた類のコンソールボックスを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、この目的を達成するために、請求項1により、ボックス本体の上面を閉鎖するドアが開放時にボックス本体のドア基端側の後壁に沿った位置に回動するように、基端部がボックス本体の側壁にヒンジ結合されたアームの先端部にドア側部の後端部をヒンジ結合させ、ドア側部における後端部よりも先方寄りの位置にガイドピンを突設すると共に、このガイドピンをガイドするガイド溝を形成した側板を側壁に設け、ガイド溝が、ドアを上方へ開放させつつ後壁に沿った位置に下降させるように、後方へ略水平に向い、次いでさらに後端部の回動経路に追従して後方へ弓状に膨らむ形状に形成されたコンソールボックスにおいて、先端部に駆動ピンが側方へ突設された駆動レバーをドア後端部に下設すると共に、開放したドア表面に背後から交差方向に当接し、かつ駆動ピンが係入する長溝を備えた溝付レバーが下設された閉鎖部材を揺動自在にボックス本体の後壁の外側に支持し、長溝が、ドアの開放過程で溝付レバーの駆動ピンに対する従動により閉鎖部材の先端部をドア表面に当接させる形状に形成されたことを特徴とする。
【0007】ドアの開放過程で、駆動レバーの駆動ピンの移動に溝付レバーが従動することにより、閉鎖部材は、揺動によりドア表面に交差方向から当接し、ドア後端部の後方側に開放時に生じる隙間からコンソールボックス内部へ通じる落下路を閉鎖する。
【0008】
【発明の実施の形態】図1乃至図6を基に本発明の実施の形態の一例による自動車のコンソールボックスについて説明する。図6において、10は、ノブ4で運転席側から助手席側へ開放されるコンソールボックス1のボックス本体2用のドアである。図4に示すように、ボックス本体2の両側の側壁2aの上下前後の中間部分にはピン12が突設され、アーム13の基端部に形成されたピン孔13a及び側板20のピン孔20aにスペーサ12aを介して回転自在に挿通され、アーム13を揺動可能に支持している。アーム13の先端部は、L字形部材16の水平面に載置されてねじ止めされた連結部材17の側壁にねじ止めされる。ドア10の裏面の後端寄りにねじ止めされるヒンジ板14aの後端部に突設されたピン14が、L字形部材16の垂直面のピン孔16aに挿入される。これにより、図5に示すように、アーム13にドア10の後端部がリンク式にヒンジ結合される。ボックス本体2の先端フランジ部にはドア10に対するストッパ19がセットされる。
【0009】側板20は、側壁2aに突設された3個所のねじ座2bにねじ止めされ、アーム13をその回動を許容するようにカバーすると共に、ヒンジ板14aの先方よりに突設されたガイドピン15をガイドし、かつ略水平に後方へ向う水平部分23a及び後方、即ち助手席側へ弓状に膨らむ弓状部分23bより構成されたガイド溝23が形成されている。これらの各部13、14a、16、20等は両側の対称位置にも取付けられている。
【0010】ノブ4を摘まんで閉鎖状態から上後方へドア10を操作すると、ガイドピン15がガイド溝23の水平部分23aに沿って後方へ滑動することにより、ドア10はリンク式にアーム13を下方へ回動させて、ボックス本体2の上面を徐々に開放しつつ下降する。さらに、ドア10を下後方へ操作すると、ガイドピン15は弓状部分23bに沿って下降し、ドア10はさらに開放しつつ下降して後壁2dに沿った位置に並置され、完全に開口する。
【0011】このように構成されたコンソールボックス1は、特開平9−150678号公報に記載されたものと基本的には同一構成であるが、本発明により以下に詳述するように、ボックス本体2の後壁2dの外側に落下防止用閉鎖部材が設けられている。即ち、図1に示すように、この部材として閉鎖板30は、反り返った形状で曲げ弾性を呈して開放したドア10の表面へ交差方向から当接する先端部31と、下端部にピン孔30aが形成された両側の側板32と、長溝35を備えて中央部裏面に下設された溝付レバー36とを備えている。
【0012】ドア10の周囲は、両側の側板20に形成されたラグ25にねじ止めされるロの字形のアッパパネル9で囲まれると共に、その後部両側の裏面には、下端部にピン孔37aを備えたブラケット37が下設されている。このピン孔37aにピン孔30aからピン33がトーションばね38を介して挿入されることにより、閉鎖板30は揺動自在に支持されている。溝付レバー36の長溝35には、ドア10の後端部中央の裏面に下設されて斜め後方へ延びる駆動レバー34の先端部に側方へ突設された駆動ピン34aが係入する。駆動レバー34及び溝付レバー36の形状は、ドア10の開放時にその後端部が溝付レバー36に干渉しないように設定されている。
【0013】長溝35は、ドア10の開放初期に図6に示すように閉鎖板30の下方へ回動して隙間39を生じるまで溝付レバー36を駆動しない非駆動領域35a、閉鎖板30の先方へ揺動させる駆動領域35b及びドア10の以後の開放過程中閉鎖位置を保持するように殆ど揺動位置を変更させないようにする保持領域35cを備えている。トーションばね38は、閉鎖板30を前方へ付勢して非駆動領域35aに駆動ピン34aを当接させることにより、ガタ発生に伴う異音の発生を抑制している。
【0014】このように構成された閉鎖板30は、図2Aに示すドア10の閉鎖状態において、駆動ピン34aが長溝35の非駆動領域35aの上端部に在ることにより通常位置を占めている。ドア10が図3に点線で示す位置に開放される間は、駆動ピン34aは非駆動領域35aに沿って移動するだけで溝付レバー36は駆動されない。さらに開放されると、駆動領域35bで急峻に溝付レバー36が駆動され、閉鎖板30がドア10に向けて揺動し、その先端部31がドア10の表面へ交差方向に当接し、アッパパネル9及びドア10間の隙間39をその下方で閉鎖する。続いて、2点鎖線で示す状態を経由して図2Bに示す完全開放位置へ開放する過程では駆動ピン34aが保持領域35cをほぼ静止状態で滑動し、先端部31はほとんど移動せず、撓みを伴って閉鎖状態を確保する。
【0015】
【発明の効果】以上、本発明によれば、ドアがリンクアームとして構成され、ガイド溝のガイドにより上方へ開放しつつ後壁に沿った位置に回動するコンソールボックスにおいて、ドア表面に特に薄物を置いたまま開放した際にコンソールボックスの内部へ落下するのが防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態によるコンソールボックスの要部の分解斜視図である。
【図2】同コンソールボックスの動作を説明するもので、同図Aは閉鎖状態の側面図、同図Bは完全開放状態の概略側面図である。
【図3】同コンソールボックスの途中の開放位置の動作を説明する概略側面図である。
【図4】同コンソールボックスの基本構造部分の分解斜視図である。
【図5】同基本構造部分の閉鎖状態を示す側面図である。
【図6】同コンソールボックスの斜視図である。
【符号の説明】
2 ボックス本体
10 ドア
13 アーム
30 閉鎖板
34 駆動レバー
34a 駆動ピン
35 長溝
36 溝付レバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】 ボックス本体の上面を閉鎖するドアが開放時にボックス本体のドア基端側の後壁に沿った位置に回動するように、基端部がボックス本体の側壁にヒンジ結合されたアームの先端部にドア側部の後端部をヒンジ結合させ、ドア側部における後端部よりも先方寄りの位置にガイドピンを突設すると共に、このガイドピンをガイドするガイド溝を形成した側板を側壁に設け、ガイド溝が、ドアを上方へ開放させつつ後壁に沿った位置に下降させるように、後方へ略水平に向い、次いでさらに後端部の回動経路に追従して後方へ弓状に膨らむ形状に形成されたコンソールボックスにおいて、先端部に駆動ピンが側方へ突設された駆動レバーをドア後端部に下設すると共に、開放したドア表面に背後から交差方向に当接し、かつ前記駆動ピンが係入する長溝を備えた溝付レバーが下設された閉鎖部材を揺動自在にボックス本体の後壁の外側に支持し、前記長溝が、ドアの開放時に前記溝付レバーの前記駆動ピンに対する従動により前記閉鎖部材の先端部を前記ドア表面に当接させる形状に形成された、ことを特徴とするコンソールボックス。

【図 1】
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【図 2】
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【図 3】
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【図 5】
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【図 6】
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【図 4】
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