説明

コンタクトレンズ装着液

【課題】コンタクトレンズの装着しにくさを改良し、装用中の眼に生じる乾燥感等の不快感を改善するコンタクトレンズ装着液を提供する。
【解決手段】(a)下記(a−1)及び(a−2)からなる高分子化合物と、
(a−1)ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン及びカルボキシビニルポリマーから選ばれるポリビニル系高分子化合物
(a−2)メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースから選ばれるセルロース系高分子化合物
(b)下記(b−1)ビタミンA、パルミチン酸レチノール、酢酸レチノール、ビタミンA油、パントテン酸、パンテノール、トコフェロール(ビタミンE)、酢酸トコフェロール及びコハク酸トコフェロールから選ばれる1種以上の成分とを含有してなることを特徴とするコンタクトレンズ装着液(但し、ベンジルアルコールを含有するものを除く)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンタクトレンズ装着液に関し、さらに詳しくは、高分子化合物と特定の化合物とを含有し、コンタクトレンズの装着感を改善し得るコンタクトレンズ装着液に関する。
【背景技術】
【0002】
コンタクトレンズの装用は、異物を眼に挿入するという観点から、装着時又は装用時に乾燥感や異物感を感じる等、様々な問題がある。これらの問題を解決するために、コンタクトレンズ装着液が開発されている。例えば、セルロース系高分子化合物、ポリビニル系高分子化合物等の高分子化合物を配合して組成物の粘度を上げ、装着感を改善したコンタクトレンズ装着液が知られているが、高分子化合物特有のベタツキを生じ、使用感は満足できるものではない。また、装用中の眼の乾燥感を改善するような装着液は知られていない。
【0003】
従って、コンタクトレンズの装着時、装用中の使用感に優れ、眼の乾燥感を改善し得るコンタクトレンズ装着液の開発が望まれていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、コンタクトレンズの装着しにくさを改良し、装用中の眼に生じる乾燥感等の不快感を改善するコンタクトレンズ装着液を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、(a)高分子化合物と、(b)脂溶性ビタミン類、糖類、精油類、ボルネオール、ゲラニオール、リナロール、シネオール、アネトール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、コンドロイチン多硫酸エステル、エタノールアミン類、流動パラフィン、低級アルコール類、クロタミトン、アスコルビン酸及び/又はその塩、トロメタモール、グルタミン酸及び/又はその塩、アルギン酸及び/又はその塩、アミノカプロン酸、ベルベリン及び/又はその塩から選ばれる1種以上とを配合することにより、高分子化合物特有のべたつきがなく、使用感に優れるコンタクトレンズ装着液が得られることを知見した。更に、装用中に生じる眼の乾燥感等の不快感を改善することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
即ち、本発明は、(a)高分子化合物と、(b)脂溶性ビタミン類、糖類、精油類、ボルネオール、ゲラニオール、リナロール、シネオール、アネトール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、コンドロイチン多硫酸エステル、エタノールアミン類、流動パラフィン、低級アルコール類、クロタミトン、アスコルビン酸及び/又はその塩、トロメタモール、グルタミン酸及び/又はその塩、アルギン酸及び/又はその塩、アミノカプロン酸、ベルベリン及び/又はその塩から選ばれる1種以上とを含有することを特徴とするコンタクトレンズ装着液を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明のコンタクトレンズ装着液によれば、ハードコンタクトレンズ、酸素透過型ハードコンタクトレンズ、ソフトコンタクトレンズ等の各種コンタクトレンズを装着する際に、濡れ性が発揮されて、コンタクトレンズ表面の乾燥によって角膜や結膜に傷がつくことを防止でき、装着時のべたつき感がなく、容易にコンタクトレンズを装着することができる。さらに、装用中の眼の乾燥感や異物感などの不快感が改善される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明につき更に詳しく説明すると、本発明のコンタクトレンズ装着液は、高分子化合物と特定の化合物とを必須成分として含有するものである。
【0009】
ここで、本発明のコンタクトレンズ装着液に用いられる高分子化合物としては、例えばポリビニルアルコール,ポリビニルピロリドン,カルボキシビニルポリマー,ポリビニルメチルエーテル等のポリビニル系高分子化合物、メチルセルロース,ヒドロキシエチルセルロース,ヒドロキシプロピルメチルセルロース,ヒドロキシエチルセルロース,ヒドロキシプロピルセルロース,エチルセルロース,カルボキシメチルセルロース等のセルロース系高分子化合物、ポリエチレングリコール,ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコールなどが挙げられる。これらの中でも、好ましくは、ポリビニル系高分子化合物、セルロース系高分子化合物などであり、特に好ましくは、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等である。
【0010】
上記高分子化合物の分子量としては、特に制限されるものではないが、好ましい分子量は、重量平均分子量が5,000〜2,000,000である。さらに好ましくは、例えば上記ポリビニル系高分子化合物の場合、重量平均分子量10,000〜300,000が更に好ましく、特に好ましくは20,000〜150,000である。また、例えば上記セルロース系高分子化合物の場合は、重量平均分子量10,000〜1,000,000が好ましい。
【0011】
本発明のコンタクトレンズ装着液には、上記高分子化合物を1種又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができるが、2種以上の高分子化合物を併用すると、使用感が更に向上するのでより好ましく、2種以上併用する場合、上記ポリビニル系高分子化合物と上記セルロース系高分子化合物とを組み合わせると、より好適であり、中でもポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン及びカルボキシビニルポリマーから選ばれる1種以上と上記セルロース系高分子化合物とを併用すると、特に好適である。
【0012】
本発明のコンタクトレンズ装着液における上記高分子化合物の含有量は、特に制限されるものではないが、通常、好ましくは0.01〜10g/100mL、特に好ましくは0.05〜5g/100mL、さらに好ましくは0.1〜4g/100mLである。この範囲で、特に良好な使用感と溶液の安定性が得られる。
【0013】
本発明の第二の構成成分について以下に説明する。脂溶性ビタミン類としては、例えばビタミンA、パルミチン酸レチノール、酢酸レチノール、ビタミンA油などのビタミンA類、トコフェロール(ビタミンE)、酢酸トコフェロール、コハク酸トコフェロールなどのビタミンE類等が挙げられ、これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。これらの中でも好ましくは、パルミチン酸レチノール、酢酸レチノール、酢酸トコフェロール等が挙げられ、特に好ましくはパルミチン酸レチノール、酢酸トコフェロール等である。
【0014】
本発明のコンタクトレンズ装着液に上記脂溶性ビタミン類を配合する場合、その配合量は、特に制限されるものではないが、通常、装着液中に好ましくは0.001〜0.5g/100mL配合することができ、より好ましくは0.005〜0.2g/100mL、特に好ましくは0.01〜0.1g/100mLの範囲である。配合量が少なすぎると、本発明が目的とする効果が十分に得られ難くなる場合があり、多すぎると、コンタクトレンズ装着液の安定性、他の成分の配合に制限が生じるなどの事態が生じる場合がある。
【0015】
糖類としては、例えばマンニトール、キシリトール、グルコース、マルトース、ラクトース、シュクロース、ソルビトール及びこれらの誘導体等が挙げられ、これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。これらの中でも、特に好ましくはマンニトール、キシリトール、グルコース等である。本発明のコンタクトレンズ装着液に上記糖類を配合する場合、その配合量は、特に制限されるものではないが、上記同様の理由により、通常、装着液中に好ましくは0.01〜10g/100mL配合することができ、より好ましくは0.05〜5g/100mLの範囲である。
【0016】
精油類としては、例えばハッカ油、ベルガモット油、ユーカリ油、ローズ油、ラベンダー油、スペアミント油、ウイキョウ油などが挙げられ、これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。また、ゲラニオール、d−ボルネオール、dl−ボルネオール、リナロール、シネオール、アネトール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコールなどの精油成分は合成したものでもよい。本発明のコンタクトレンズ装着液に上記精油類又は上記精油成分を配合する場合、その配合量は、特に制限されるものではないが、上記同様の理由により、通常、装着液中に好ましくは0.0001〜0.2g/100mL配合することができ、より好ましくは0.001〜0.1g/100mLの範囲である。
【0017】
コンドロイチン多硫酸エステルとしては、例えばヘパリン類似物質、ヘパリンナトリウムなどが挙げられ、これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。本発明のコンタクトレンズ装着液に上記コンドロイチン多硫酸エステルを配合する場合、その配合量は、特に制限されるものではないが、上記同様の理由により、通常、装着液中に好ましくは0.001〜5g/100mL配合することができ、より好ましくは0.01〜0.5g/100mLの範囲である。
【0018】
エタノールアミン類としては、例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどが挙げられ、これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。本発明のコンタクトレンズ装着液に上記エタノールアミン類を配合する場合、その配合量は、特に制限されるものではないが、上記同様の理由により、通常、装着液中に好ましくは0.1〜10g/100mL配合することができ、より好ましくは0.5〜5g/100mLである。
【0019】
本発明のコンタクトレンズに流動パラフィンを配合する場合、その配合量は、特に制限されるものではないが、上記同様の理由により、通常、装着液中に好ましくは0.1〜10g/100mL配合することができ、より好ましくは0.5〜5g/100mLの範囲である。
【0020】
低級アルコール類としては、例えば炭素数2〜6の1価アルコール等が好適であり、具体的には、例えばエチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール等が挙げられ、これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。これらの中でも、特に好ましくはエチルアルコールである。本発明のコンタクトレンズ装着液に上記低級アルコール類を配合する場合、その配合量は、特に制限されるものではないが、上記同様の理由により、通常、装着液中における低級アルコール類の含有量は、0.001〜10g/100mLが好ましく、0.01〜5g/100mLが特に好ましく、最も好ましくは0.1〜2g/100mLの範囲である。
【0021】
本発明のコンタクトレンズ装着液にクロタミトンを配合する場合、その配合量は、特に制限されるものではないが、上記同様の理由により、通常、装着液中に好ましくは0.01〜5g/100mL配合することができ、より好ましくは0.1〜3g/100mLの範囲である。
【0022】
アスコルビン酸又はその塩としては、例えばL−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸ナトリウムなどが挙げられ、これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。本発明のコンタクトレンズ装着液に上記アスコルビン酸又はその塩を配合する場合、その配合量は、特に制限されるものではないが、上記同様の理由により、通常、装着液中に好ましくは0.001〜3g/100mL配合することができ、より好ましくは0.01〜1g/100mLの範囲である。
【0023】
本発明のコンタクトレンズ装着液にトロメタモールを配合する場合、その配合量は、特に制限されるものではないが、上記同様の理由により、通常、装着液中に好ましくは0.01〜10g/100mL配合することができ、より好ましくは0.1〜5g/100mLの範囲である。
【0024】
グルタミン酸又はその塩としては、例えばL−グルタミン酸、L−グルタミン酸ナトリウムなどが挙げられ、これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。本発明のコンタクトレンズ装着液に上記グルタミン酸又はその塩を配合する場合、その配合量は、特に制限されるものではないが、上記同様の理由により、通常、装着液中に好ましくは0.01〜10g/100mL配合することができ、より好ましくは0.1〜5g/100mLの範囲である。
【0025】
アルギン酸又はその塩としては、例えばアルギン酸、アルギン酸ナトリウムなどが挙げられ、これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。本発明のコンタクトレンズ装着液に上記アルギン酸又はその塩を配合する場合、その配合量は、特に制限されるものではないが、上記同様の理由により、通常、装着液中に好ましくは0.01〜10g/100mL配合することができ、より好ましくは0.1〜5g/100mLの範囲である。
【0026】
アミノカプロン酸としては、イプシロン−アミノカプロン酸などが挙げられ、本発明のコンタクトレンズ装着液にアミノカプロン酸を配合する場合、その配合量は、特に制限されるものではないが、上記同様の理由により、通常、装着液中に0.01〜10g/100mL配合することができ、好ましくは0.1〜5g/100mLの範囲である。
【0027】
ベルベリン又はその塩としては、例えばベルベリン、塩化ベルベリン、硫酸ベルベリン等が挙げられ、これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。本発明のコンタクトレンズ装着液にベルベリン又はその塩を配合する場合、その配合量は、特に制限されるものではないが、上記同様の理由により、通常、装着液中に0.0001〜0.05g/100mL配合することができ、好ましくは0.0005〜0.025g/100mLの範囲である。
【0028】
本発明のコンタクトレンズ装着液には、前記した必須成分以外に、本発明の効果を妨げない限り、通常の眼科用剤などに慣用されている各種添加成分、例えば薬剤、防腐剤、等張化剤、緩衝剤、安定化剤、キレート剤、溶解補助剤、pH調整剤、香料等を更に含有させることができ、これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。これらは通常使用量において配合することができる。
【0029】
より具体的には、薬剤としては、例えばグリチルリチン酸二カリウム,アラントイン,アズレンスルホン酸ナトリウム,硫酸亜鉛,塩化リゾチーム等の抗炎症剤、水溶性ビタミン,塩酸ジフェンヒドラミン,マレイン酸クロルフェニラミンなどの抗ヒスタミン剤、塩酸エピネフリン,塩酸ナファゾリン,塩酸テトラヒドロゾリンなどの充血除去成分、L−アスパラギン酸カリウム,L−アスパラギン酸マグネシウム,アミノエチルスルホン酸などのアミノ酸類、コンドロイチン硫酸ナトリウム,ヒアルロン酸ナトリウム等の酸性ムコ多糖類(多硫酸エステルを除く)、サルファ剤,イオウ,イソプロピルメチルフェノール,ヒノキチオール等の殺菌剤、リドカイン,塩酸リドカイン,塩酸プロカイン,塩酸ジブカイン等の局所麻酔剤、メチル硫酸ネオスチグミン等のその他の有効成分などが挙げられる。
【0030】
防腐剤としては、例えば塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、グルコン酸クロルヘキシジン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸エステル等が挙げられる。等張化剤としては、例えば塩化カリウム,塩化ナトリウム、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、プロピレングリコール、グリセリン等が挙げられる。
【0031】
緩衝剤としては、例えば、ホウ酸又はその塩(ホウ砂等)、クエン酸又はその塩(クエン酸ナトリウム等)、リン酸又はその塩(リン酸一水素ナトリウム等)、酒石酸又はその塩(酒石酸ナトリウム等)、グルコン酸又はその塩(グルコン酸ナトリウム等)、酢酸又はその塩(酢酸ナトリウム等)、各種アミノ酸等又はそれらの組み合わせが挙げられる。安定化剤、キレート剤としては、例えば、エデト酸ナトリウム、シクロデキストリン、亜硫酸塩、クエン酸又はその塩(クエン酸ナトリウム等)等が挙げられる。
【0032】
溶解補助剤としては、例えば、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール等が挙げられる。pH調整剤としては、例えば、塩酸、クエン酸又はその塩、ホウ酸又その塩、リン酸又はその塩、酢酸又はその塩、酒石酸又はその塩、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。
【0033】
本発明のコンタクトレンズ装着液は、上記必須成分及び必要に応じて上記任意成分を配合するものであり、その粘度が特に制限されるものではないが、コンタクトレンズ装着液としての使用性を考慮すれば、通常35℃における粘度が2〜50センチポアズ、特に5〜30センチポアズであることが望ましい。なお、粘度測定は、日本薬局方に記載された粘度測定法に準じて測定することができる。
【0034】
本発明のコンタクトレンズ装着液の製造方法は、特に制限されるものではなく、例えば上記各成分を滅菌精製水、イオン交換水等の水に溶解させた後、pH調整剤(pH5〜8が好ましい)、等張化剤(浸透圧比0.8〜2が好ましい)により適宜調整することによって、コンタクトレンズ装着液を得ることができる。
【0035】
本発明のコンタクトレンズ装着液は、その用法、使用量が特に制限されるものではなく、コンタクトレンズ装着液の常用量を常法にしたがって使用することによって、ハードコンタクトレンズ、酸素透過型ハードコンタクトレンズ、ソフトコンタクトレンズ等の各種コンタクトレンズを装着する際に、濡れ性が発揮されて、コンタクトレンズ表面の乾燥によって角膜や結膜に傷がつくことを防止でき、装着時のべたつき感がなく、容易にコンタクトレンズを装着することができる。さらに、装用中の眼の乾燥感や異物感などの不快感が改善される。
【実施例】
【0036】
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
【0037】
[実施例1〜38及び比較例1〜3]
表1〜7に示す組成となるように表中の各配合成分を常法に準じて滅菌精製水に溶解した後、各溶液を無菌ろ過して、ポリプロピレン製の滴下口を有するポリエチレン製もしくはポリエチレンテレフタレート製の容器にそれぞれ充填して、コンタクトレンズ装着液を調製した。各組成物は、水酸化ナトリウム又は塩酸でpH7に調整し、容器に収納した。これらのコンタクトレンズ装着液について、装用感試験を実施した。結果を表1〜7に併記する。
【0038】
<装用感試験>
コンタクトレンズ使用者(ハードコンタクトレンズ使用者1人、酸素透過型ハードコンタクトレンズ使用者3人、ソフトコンタクトレンズ使用者3人)が、それぞれ各コンタクトレンズ装着液を使用して常法によりそれぞれのコンタクトレンズを装着し、装着のしやすさ、及び装用中の使用感を下記評価基準に基づいて評価した。
【0039】
[装着のしやすさ]
5:装着液を使用しない場合と比べて非常に装着しやすい
4:装着液を使用しない場合と比べて装着しやすい
3:装着液を使用しない場合と比べてやや装着しやすい
2:装着液を使用しない場合と比べて装着しやすさが変わらない
1:装着液を使用しない場合と比べて装着しにくくなった
【0040】
[装用中の使用感]
5:装着液を使用しない場合と比べて異物感や乾燥感等の不快感が非常に改善
4:装着液を使用しない場合と比べて異物感や乾燥感等の不快感が改善
3:装着液を使用しない場合と比べて異物感や乾燥感等の不快感がやや改善
2:装着液を使用しない場合と比べて異物感や乾燥感等の不快感が変わらない
1:装着液を使用しない場合と比べて異物感や乾燥感等の不快感が感じられる
【0041】
上記5段階評価での平均値が4以上のものについては◎とし、3以上4未満のものについては○とし、2以上3未満のものについては△とし、2未満のものについては×として使用感を評価した。なお、コンタクトレンズ装着液としては○以上が好ましく、より好ましくは◎である。
【0042】
【表1】

【0043】
【表2】

【0044】
【表3】

【0045】
【表4】

【0046】
【表5】

【0047】
【表6】

【0048】
【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)下記(a−1)及び(a−2)からなる高分子化合物と、
(a−1)ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン及びカルボキシビニルポリマーから選ばれるポリビニル系高分子化合物
(a−2)メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースから選ばれるセルロース系高分子化合物
(b)下記(b−1)ビタミンA、パルミチン酸レチノール、酢酸レチノール、ビタミンA油、パントテン酸、パンテノール、トコフェロール(ビタミンE)、酢酸トコフェロール及びコハク酸トコフェロールから選ばれる1種以上の成分とを含有してなることを特徴とするコンタクトレンズ装着液。
【請求項2】
(a)下記(a−1)及び(a−2)からなる高分子化合物と、
(a−1)ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン及びカルボキシビニルポリマーから選ばれるポリビニル系高分子化合物
(a−2)メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースから選ばれるセルロース系高分子化合物
(b)下記(b−1)ビタミンA、パルミチン酸レチノール、酢酸レチノール、ビタミンA油、パントテン酸、パンテノール、トコフェロール(ビタミンE)、酢酸トコフェロール及びコハク酸トコフェロールから選ばれる1種以上の成分とを含有してなることを特徴とするコンタクトレンズ装着液(但し、ベンジルアルコールを含有するものを除く)。
【請求項3】
(a)成分の含有量が、コンタクトレンズ装着液中0.01〜10g/100mLである請求項1又は2記載のコンタクトレンズ装着液。
【請求項4】
(b−1)成分の含有量が、コンタクトレンズ装着液中0.001〜0.5g/100mLである請求項1〜3のいずれか1項記載のコンタクトレンズ装着液。
【請求項5】
ハードコンタクトレンズ、酸素透過型ハードコンタクトレンズ又はソフトコンタクトレンズ用である、請求項1〜4のいずれか1項記載のコンタクトレンズ装着液。
【請求項6】
(a)下記(a−1)及び(a−2)からなる高分子化合物と、
(a−1)ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン及びカルボキシビニルポリマーから選ばれるポリビニル系高分子化合物
(a−2)メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースから選ばれるセルロース系高分子化合物
(b)下記(b−2)〜(b−5)からなる群から選ばれる1種以上の成分とを含有してなることを特徴とするコンタクトレンズ装着液。
(b−2)トロメタモール
(b−3)イプシロン−アミノカプロン酸
(b−4)ウイキョウ油、ハッカ油、ベルガモット油、ユーカリ油、ラベンダー油及びスペアミント油
(b−5)グルタミン酸及びその塩
【請求項7】
(a)成分の含有量が、コンタクトレンズ装着液中0.01〜10g/100mLである請求項6記載のコンタクトレンズ装着液。
【請求項8】
上記(b)成分が、(b−2)トロメタモールである請求項6又は7記載のコンタクトレンズ装着液。
【請求項9】
(b−2)成分の含有量が、コンタクトレンズ装着液中0.01〜10g/100mLである請求項8記載のコンタクトレンズ装着液。
【請求項10】
上記(b)成分が、(b−3)イプシロン−アミノカプロン酸及びイプシロン−アミノカプロン酸塩から選ばれる1種以上の成分である請求項6又は7記載のコンタクトレンズ装着液。
【請求項11】
(b−3)成分の含有量が、コンタクトレンズ装着液中0.01〜10g/100mLである請求項10記載のコンタクトレンズ装着液。
【請求項12】
ハードコンタクトレンズ、酸素透過型ハードコンタクトレンズ又はソフトコンタクトレンズ用である、請求項6〜11のいずれか1項記載のコンタクトレンズ装着液。

【公開番号】特開2012−145967(P2012−145967A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−105859(P2012−105859)
【出願日】平成24年5月7日(2012.5.7)
【分割の表示】特願2001−260839(P2001−260839)の分割
【原出願日】平成13年8月30日(2001.8.30)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】