説明

コンタクトレンズ

【課題】容易に製造可能であると共に、レンズの変形特性を損なうことなく、装着および取外しや紛失時の捜索をより容易且つ確実に行うことの出来る、新規な構造のコンタクトレンズを提供すること。
【解決手段】レンズ中央部分32に光学部14を設けると共に、該光学部14の周囲に周辺部16を設け、更に、該周辺部16の所定領域に対して磁性金属粉40を分散状態で内在せしめ、該磁性金属粉40の分散領域によって視認可能なマーク38を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソフトタイプやハードタイプ、或いはそれらの要素を組み合わせたタイプのコンタクトレンズに係り、特に、レンズの装着や取り外しおよび紛失時の捜索をより容易且つ確実に行い得るコンタクトレンズに関するものである。
【背景技術】
【0002】
良く知られているように、コンタクトレンズを装用する際には、一方の手の指にコンタクトレンズを載せた状態で、他方の手で眼を大きく見開いて、コンタクトレンズを眼表面に重ね合わせて装用する。
【0003】
一方、コンタクトレンズを取り外す際には、ソフトコンタクトレンズの場合には、レンズを手指で直接左右から摘んで取り外したり、指を眼瞼に添えて上下の眼瞼の端でレンズを挟んで押し出すようにして取り外す。また、ハードコンタクトレンズの場合には、眼の耳側の端を外側(耳側)方向に引っ張りながら瞬目をすることによって、眼瞼でレンズを押し出すようにして取り外す。
【0004】
ところで、これらコンタクトレンズの装用および取り外しには或る程度の慣れが必要であり、コンタクトレンズの使用を開始してから日の浅いユーザーにとっては、容易なものではなかった。また、習熟したユーザーであっても、ソフトコンタクトレンズは手指で直接に把持することからレンズを破損するおそれが大きく、ハードコンタクトレンズは、取り外しに際して眼から押し出されたレンズを受け止め損なうと、レンズが床に衝突して破損したり、紛失したりするおそれがあった。更に、何れのタイプのレンズでも、装用時には手指がレンズに直接に触れることから、手指に付着した細菌がレンズを介して眼内に侵入するおそれがあった。
【0005】
そこで、例えば特許文献1(実開平7−1418号公報)には、レンズ内に金属板を埋設したコンタクトレンズが開示されている。このようにすれば、金属板に磁石による磁気吸引力を及ぼすことによって、レンズを吸引することが出来ることから、レンズの取り外しを容易に行うことが出来る。それと共に、例えばレンズを落とした場合でも、磁石でレンズを吸い寄せることが出来ることから、レンズの捜索を容易にすることが出来る。
【0006】
ところが、特許文献1に記載の如きコンタクトレンズにおいては、金属板を埋設するものであることから、金属の大きな剛性によってコンタクトレンズ本来の変形特性が阻害されるおそれがあり、特に角膜形状に沿って変形することが前提とされるソフトコンタクトレンズへの適用は困難であった。また、変形し難いハードコンタクトレンズであっても、装用者の角膜表面形状に対応した薄膜形状に成形されるレンズ形状に対応するように金属板を高精度に加工することは困難であり、コンタクトレンズ程に薄肉の金属板をレンズに埋設する際の金属板の取扱いが難しいなどの問題もあることから、現実的ではない。
【0007】
また、特許文献2(実開平6−68029号公報)には、レンズに金属粒子を埋め込んで埋包せしめたコンタクトレンズが開示されている。このようなコンタクトレンズも、磁気吸引力を用いて引き寄せることが可能となることから、前記特許文献1に記載のレンズと同様に、レンズを探し出すことが容易となる。しかし、金属粒子のレンズへの埋め込みは非常に困難である。
【0008】
【特許文献1】実開平7−1418号公報
【特許文献2】実開平6−68029号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ここにおいて、本発明は上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、容易に製造可能であると共に、レンズの変形特性を損なうことなく、装着および取外しや紛失時の捜索をより容易且つ確実に行うことの出来る、新規な構造のコンタクトレンズを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下、前述の如き課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。
【0011】
すなわち、本発明の第一の態様は、レンズ中央部分に光学部が設けられていると共に、該光学部の周囲に周辺部が設けられているコンタクトレンズにおいて、前記周辺部の所定領域に対して磁性金属粉が分散状態で内在せしめられており、該磁性金属粉の分散領域によって視認可能なマークが形成されていることを、特徴とする。
【0012】
本態様に従う構造とされたコンタクトレンズにおいては、周辺部に磁性金属粉が内在せしめられていることから、磁気吸引力を用いてレンズを引き寄せることが出来る。従って、レンズを磁石に吸着せしめた状態で眼に近づけて装用したり、眼に装用されているレンズに磁石を近づけて引き寄せることによって眼から取り外したりすることが出来て、装用および取り外しをより容易に行うことが出来る。そして、そのような装用や取り外しを、レンズを吸引せしめた磁石を取り扱うことによって行えることから、装用および取り外しをより確実に行うことが出来て、レンズを取りこぼしたりするおそれを軽減することが出来る。それと共に、レンズに直接に触れることなく装用および取り外しを行えることから、衛生面の向上も図られ得る。更に、何等かの原因でレンズを床面などに落とした場合でも、磁石でレンズを吸い寄せることが可能であることから、レンズをより容易に発見することも可能となる。
【0013】
そして、特に本態様に従う構造とされたコンタクトレンズにおいては、そのような磁性金属粉が、レンズの光学特性に実質的に影響を及ぼさない周辺部に内在せしめられていることから、レンズの光学特性を損なうことも回避されている。ここにおいて、内在とは、周辺部を構成するコンタクトレンズ材料中に磁性金属粉が混在や散在等の各種態様で存在していることを言うものであり、磁性金属粉がレンズ表面に露出していても、レンズ表面に露出することなく完全にレンズ材料中に埋め込まれていても良い。
【0014】
加えて、特に本態様に従う構造とされたコンタクトレンズにおいては、かかる磁性金属粉の分散領域によって、視認可能なマークが形成されている。これにより、レンズの外観を損なうことが無いばかりか、むしろマークを形成したことによって、例えばレンズが左右何れの眼に装用されるものであるかの識別や、トーリックレンズやバイフォーカルレンズのような周方向の位置決めが必要とされるレンズの周方向位置の識別、或いは、レンズの製造番号やロット番号等の管理情報の表示等が可能とされる。換言すれば、本発明によれば、装用や取り外し、或いは紛失時の捜索をより容易且つ確実に行うことの出来るマーク付きコンタクトレンズを提供することが可能となるのである。そして、マークが磁性金属粉で形成されていることから、微小なマークを形成することが可能となる。更に、マークの表面がレンズ表面に露出せしめられる場合でも、マーク表面をレンズ表面に沿って形成することが容易となる。これにより、レンズ表面を滑らかに形成することが出来て、マークが眼瞼などへ引っ掛かることに起因して異物感が生じるおそれや、繰り返しの擦り洗いによる磨耗に起因してマークが消失するようなことも回避されている。更にまた、磁性金属粉が分散状態で内在せしめられていることによって、マーク自体がコンタクトレンズの変形に併せて容易に変形可能とされており、コンタクトレンズの変形特性等の物性への悪影響を回避しつつ、マークを形成することが可能とされているのである。
【0015】
ここにおいて、磁性金属粉によって形成されるマークの具体的な形状や大きさ等は何等限定されるものではなく、文字や記号、或いは図形や模様等が任意に採用可能である。また、マークの大きさとしても、レンズ周方向の一部に形成されていても良いし、或いは、周方向の全体に連続して形成されていても良い。従って、例えば周辺部の全体に磁性金属粉を内在せしめてマークを形成することも可能であり、そのような場合には、周辺部の全体に帯状に広がる円環形状のマークとして認識される。
【0016】
加えて、本態様において、磁性金属粉を分散状態でレンズの所定領域に内在させるに際しては、レンズ材料となじみのある樹脂、好適にはレンズ材料と同一の樹脂をマトリックスとして分散させることが好ましい。従って、例えば、従来公知の重合成形において、重合性モノマー内に予め磁性金属粉を分散状態で配合して重合成形することによって、マークを容易に形成することも出来る。なお、凝集を防止するために、磁性金属粉の表面に樹脂コートや絶縁膜などの前処理を施す等しても良い。
【0017】
本発明の第二の態様は、前記第一の態様に係るコンタクトレンズにおいて、前記レンズ中央部分が硬質材料で形成されている一方、レンズ外周部分が親水性を有する軟質材料で形成されていることを、特徴とする。
【0018】
本態様に従う構造とされたコンタクトレンズにおいては、所謂多種材コンタクトレンズに有利に適用することが出来る。即ち、コンタクトレンズ材料として用いられる硬質材料は疎水性を有することから、レンズ成形時に磁性金属粉を巧く分散させることが困難であるが、本態様においては、周辺部が形成されるレンズ外周部分を親水性を有する軟質材料で形成することによって、周辺部内に磁性金属粉を巧く分散せしめて内在せしめることが出来る。また、本態様においては、磁気吸引力を用いてレンズを取り外すことが可能とされることから、光学部が硬質で吸盤のように眼球に張り付く一方、それを引き剥がす周辺部が軟質であることから取り外しが困難とされる多種材コンタクトレンズの取り外しをより容易にすることが出来る。ここにおいて、好適には、光学部、即ち、視力等の光学的な矯正効果を発揮する領域の全体が硬質材料で形成されて、その外周部分が軟質材料で形成される。これにより、光学部の変形を抑えることが出来て、安定した光学特性を得ることが出来る。また、光学部と周辺部を接続するジャンクション位置がレンズ前後面で異なる場合には、それらのうちで内周側に位置する前面乃至は後面ジャンクション位置よりも内周側を硬質材料で形成することが好ましい。
【0019】
本発明の第三の態様は、前記第一又は第二の態様に係るコンタクトレンズにおいて、前記磁性金属粉がレンズ周方向で偏在せしめられていることを、特徴とする。
【0020】
本態様に従う構造とされたコンタクトレンズにおいては、周辺部の重量がレンズ周方向で偏らされることから、レンズの重心位置が偏倚せしめられる。これにより、装用時には重力作用によって、重心位置を下方に位置せしめて、レンズの周方向の位置決めを行うことが出来る。従って、装用時において周方向の位置決めが必要とされるトーリックレンズや多焦点レンズに特に有利に適用することが出来る。
【0021】
そして、本態様のコンタクトレンズにおいては、磁性金属粉が周辺部に内在せしめられていることから、プリズムバラストのようにレンズ下部を厚肉に形成するようなことも不要とされる。これにより、レンズ形状を異ならせることなく周方向の位置決めを実現することが出来て、装用感の低下のおそれ等も有利に回避され得る。但し、本態様を従来公知のプリズムバラストやスラブオフ等の周方向位置決め機構と組み合わせて用いることも勿論可能である。そのような場合には、それら従来公知の周方向位置決め機構との相乗効果によって、より安定した周方向の位置決め効果を得ることが出来る。
【0022】
本発明の第四の態様は、前記第一乃至第三の何れか一つの態様に係るコンタクトレンズにおいて、前記磁性金属粉がレンズ径方向で一定幅をもってレンズの全周に亘って内在せしめられていることを、特徴とする。
【0023】
本態様に従う構造とされたコンタクトレンズにおいては、周辺部の全周に亘って延びる円環形状のマークを形成することが出来る。これにより、磁性金属粉の総量を多く確保することが出来て、磁気吸引力を有利に得ることが出来る。それと共に、周辺部の全周に磁気吸引力が及ぼされることから、より安定した取り外しを行うことも可能となる。なお、本態様を、前記第三の態様と組み合わせて用いることも勿論可能である。即ち、磁性金属粉をレンズの全周に亘って分散せしめつつ、且つ、その分散量をレンズ周方向で異ならせる等しても良い。
【0024】
本発明の第五の態様は、前記第一乃至第四の何れか一つの態様に係るコンタクトレンズにおいて、前記磁性金属粉として、複数種類の色を有するものが組み合わせて用いられていることを、特徴とする。
【0025】
本態様に従う構造とされたコンタクトレンズにおいては、マークの色として多数の色を得ることが出来る。これにより、マークの外観の多様性や、マークの視認性の向上を図ることが出来る。更に、異なる色の磁性金属粉を混合して、その混合量を調節することによって、より多数の色を得ることも出来る。
【0026】
本発明の第六の態様は、前記第一乃至第五の何れか一つの態様に係るコンタクトレンズにおいて、前記磁性金属粉として、着色されたものが用いられていることを、特徴とする。本態様においても、マークの色として多数の色を得ることが出来て、マークの外観の多様性や、マークの視認性の向上を図ることが出来る。
【0027】
本発明の第七の態様は、前記第一乃至第六の何れか一つの態様に係るコンタクトレンズにおいて、前記磁性金属粉として、粒径が1nm〜5μmのものが用いられていることを、特徴とする。
【0028】
本態様に従う構造とされたコンタクトレンズにおいては、製造がより容易になると共に、良好な装用感を得ることが出来る。即ち、磁性金属粉の粒経が1nmよりも小さいと磁性金属粉の製造や取扱いが困難となる一方、粒経が5μmよりも大きいと磁性金属粉がレンズ表面に露出した場合に装用感を著しく損なう可能性がある。
【0029】
本発明の第八の態様は、前記第一乃至第七の何れか一つの態様に係るコンタクトレンズにおいて、レンズ前面に重ね合わされる変形容易な吸盤状部分を備えていると共に該吸盤状部分におけるレンズ前面への重ね合わせ面上に磁場を形成する永久磁石を備えているレンズ装脱具と組み合わされたことを、特徴とする。
【0030】
本態様に従う構造とされたコンタクトレンズにおいては、レンズ装脱具を用いることによって、容易且つ確実に装用および取り外しを行うことが出来る。即ち、本態様のレンズ装脱具においては、永久磁石が備えられていることによって、レンズに内在せしめられた磁性金属粉に磁気吸引力を及ぼして、レンズを引き寄せることが出来る。これにより、例えば眼に装用されたレンズを取り外す際には、レンズ装脱具を眼に装用されたレンズに近づけて吸い寄せることによって取り外すことが可能となり、レンズの取り外しをより容易且つ確実に行うことが出来る。更に、本態様のレンズ装脱具は、レンズに直接に接触せしめられる吸盤状部分が変形容易とされていることから、レンズに対して柔らかく接触せしめることが出来る。これにより、レンズ装脱具を接触せしめた際にレンズに大きな力が及ぼされることも軽減されており、装用者の安心感や眼球への当接時の安全性を向上せしめることが出来ると共に、レンズを破損するおそれも軽減することが出来る。更にまた、レンズをレンズ装脱具に磁気吸引力で吸着せしめた状態で取り扱うことが可能となることから、不用意にレンズを落とすおそれも軽減されると共に、手指がレンズに直接触れる機会を減らすことも出来て、衛生面の向上を図ることも出来る。
【0031】
本発明の第九の態様は、前記第八の態様に係るコンタクトレンズにおいて、前記吸盤状部分には、レンズ前面への重ね合わせ面の中央に開口する空気孔が形成されており、該吸盤状部分の背後には、該空気孔が連通せしめられた空気室が形成されていると共に、該空気室の周壁には、外力を及ぼすことによって該空気室を大気連通させる大気開放用弁が設けられていると共に、該空気室に前記永久磁石が配設されていることを、特徴とする。
【0032】
本態様に従う構造とされたコンタクトレンズにおいては、磁石による磁気吸引力に加えて、吸盤状部分による負圧吸引力を用いることによって、コンタクトレンズをより強固に吸着支持することが出来る。これにより、レンズ装脱具からのレンズの脱落をより有利に防ぐことが出来る。それと共に、大気開放用弁を操作することによって吸盤状部分による負圧吸引力を解除して、レンズの吸着状態を解除出来ることから、レンズ装脱具からのレンズの取り外しも容易に行うことが出来る。
【0033】
本発明の第十の態様は、前記第八又は第九の態様に係るコンタクトレンズにおいて、前記吸盤状部分が前記レンズ前面よりも小さな外径寸法とされており、該吸盤状部分が前記周辺部において該レンズ前面に重ね合わされるようになっていることを、特徴とする。
【0034】
本態様に従う構造とされたコンタクトレンズにおいては、レンズ装脱具の吸盤状部分が、コンタクトレンズの光学部に接触することが回避乃至は軽減されている。これにより、レンズ装脱具のレンズへの接触に際して、光学部を傷つけるおそれを軽減することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0036】
先ず、図1に、本発明の第一の実施形態としてのコンタクトレンズ10の正面図をモデル的に示し、図2に、コンタクトレンズ10の縦断面図をモデル的に示す。コンタクトレンズ10は、全体として略球殻形状を有しており、良く知られているように眼球の角膜の表面に重ね合わされた状態で装用されるようになっている。なお、装用とは、人体に装着して使用することをいう。また、本実施形態のコンタクトレンズ10は、レンズ中心軸12が光軸とされており、このレンズ中心軸12周りの回転体形状とされていることから、図2においては、半径方向の縦断面のみを示す。
【0037】
より詳細には、コンタクトレンズ10は、従来のものと同様に、正面視において中央部分に円形状の光学部(optical zone)14が形成されていると共に、光学部14の周りに円環形状の周辺部(peripheral zone)16が形成されている。また、周辺部16の外周縁部には、エッジ部18が形成されている。
【0038】
光学部14は、光学部前面20および光学部後面22を有している。光学部後面22は、装着される角膜表面の形状に対して、レンズ装用状態下で略相似形状となるように、レンズ中心軸12上でレンズ後方(図2中の右方)に曲率中心が設定されて、適当な曲率半径をもった凹形の縦断面形状を有するベースカーブ面とされている。かかるベースカーブ面(光学部後面22)の縦断面形状は、角膜の形状やその他の装用条件或いは要求される光学特性等を考慮して、例えば、曲率半径を一定とした円弧形状の他、曲率半径を径方向で変化させた円錐曲線形状等の各種湾曲凹形状が適宜に採用され得る。特に本実施形態においては、乱視矯正用の光学特性を付与するために、光学部後面22において、適当な円柱度数が、適当な円柱軸角度をもって発現されるようにトーリック面が形成されている。
【0039】
一方、光学部前面20は、上述の如く設定されたベースカーブ面22と協働して目的とするレンズ度数を与え得る湾曲面形状として設定されている。具体的には、レンズ中心軸12上でレンズ後方に曲率中心が設定されて、適当な曲率半径をもった縦断面形状を有する湾曲凸状面とされている。なお、光学部前面(フロントカーブ面)20は、ベースカーブ面22の形状や装用条件或いは要求されるレンズ度数等の光学特性等を考慮して決定される。例えば、曲率半径を一定とした円弧形状の他、曲率半径を径方向で変化させた円錐曲線形状等の各種湾曲凹形状が適宜に採用され得る。
【0040】
これら光学部前面20および光学部後面22によって、視力矯正のための適当なレンズ度数等の光学特性が与えられた光学部14が形成されている。なお、光学部14は、装用者の眼に対する光学的効果が期待される領域であって、その外周縁部、即ち周辺部16との境界は、一般にレンズ前面およびレンズ後面においてそれぞれ縦断面上での曲率の変化点としてとらえることが出来るが、例えば、光学部のレンズ面が半径方向で漸変するような縦断面形状で設計される場合や、境界が径方向に所定幅をもって形成されてレンズ前後面間で光学部と周辺部を滑らかに繋ぐ接続領域等によって形成される場合等において、レンズ前後面における光学部と周辺部の境界は、形状的に線(line)として必ずしも明確である必要はない。
【0041】
一方、周辺部16は、正面視においてレンズ中心軸12を中心として同心の円環形状で広がっており、周辺部前面26および周辺部後面28を有している。ここにおいて、光学部14の外周縁部と周辺部16の内周縁部との接続部位であるジャンクション30は、その前後面において、滑らかに接続されている。即ち、光学部前面20の外周縁部と周辺部前面26の内周縁部、および光学部後面22の外周縁部と周辺部後面28の内周縁部が、それぞれ、ジャンクション30において滑らかに接続されている。具体的には、かかる前後面は、何れも、縦断面において折れ点を持たないように、二次曲線や三次曲線といった多次曲線、三角関数や円錐曲線等をもって、共通接線を有するように滑らかに接続されていることが望ましい。
【0042】
上述の如き、全体として略球殻形状とされたコンタクトレンズ10は、二種類の異なる材料によって形成されている。具体的には、レンズ光軸12方向の正面視(図1参照)で中央に位置する円形領域が、硬質材料で形成された中央部分32とされている。一方、中央部分32の周りを取り囲み、レンズ光軸12方向の正面視で外周に位置する円環形状とされた領域が、親水性を有する軟質材料で形成された外周部分34とされている。即ち、これら中央部分32と外周部分34は、レンズ光軸12を中心とする同軸的な回転体形状とされている。
【0043】
ここにおいて、中央部分32を形成する硬質材料としては、そのヤング率:Yc が、3MPa<Yc ≦3000MPa、より好ましくは、100MPa≦Yc ≦1500MPaのものが好適に採用される。一方、外周部分34を形成する軟質材料としては、そのヤング率:Yp が、0.2MPa≦Yc ≦3MPa、より好ましくは、0.2MPa≦Yc ≦2MPaのものが好適に採用される。
【0044】
また、中央部分32を形成する硬質材料としては、従来から公知の各種ハードコンタクトレンズ用材料が採用可能であり、例えばメチルメタクリレート(MMA)等も採用可能であるが、好適には、シロキサニルメタクリレート(SMA)やフルオロメタクリレート(FMA)、酢酸酪酸セルロース(CAB)、シリコーン共重合体、フルオロシリコーンアクリレート、フルオロカーボン重合体、シリコーンゴムなどの酸素透過性ハードコンタクトレンズ材料が採用される。
【0045】
一方、外周部分34を形成する軟質材料としては、従来から公知の各種ソフトコンタクトレンズ用材料が採用可能であり、例えばヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、N−ビニルピロリドン(N−VP)、ジメチルアクリルアミド(DMAA)、グリセロールメタクリレート(GMA)などの含水性ソフトコンタクトレンズ材料が採用可能である。
【0046】
そして、これら中央部分32と外周部分34は、コンタクトレンズ10の径方向中間部分においてレンズ中心軸12周りに広がる円形の境界面36によって区画されている。この異種材料の接合部である境界面36は、周辺部16内に位置せしめられており、特に本実施形態では、周辺部16の径方向(幅方向)の略中央部分からやや光学部16寄りに位置せしめられている。即ち、境界面36は、光学部14と周辺部16とを接続するジャンクション30よりもレンズ径方向外側に位置せしめられており、本実施形態におけるコンタクトレンズ10の光学部14は、硬質材料で形成された中央部分32内に形成されている一方、周辺部16は、中央部分32において光学部14を囲む硬質材料と、外周部分34を形成する軟質材料によって形成されている。
【0047】
これにより、境界面36は、レンズ前面において周辺部前面26上に境界線として露呈されると共に、レンズ後面において周辺部後面28上に境界線として露呈されている。なお、本実施形態では、境界面36が、レンズ光軸12と略平行な円筒面とされているが、境界面36は、レンズ光軸12に対して傾斜したテーパー状面などであっても良い。また、境界面36の位置は限定されるものではなく、光学部14や周辺部16の大きさを含めて、装用者の角膜直径や瞳孔径、角膜形状等を考慮の上、適宜に設定される。
【0048】
さらに、本実施形態におけるコンタクトレンズ10の周辺部16には、外部から視認可能なマーク38が形成されている。マーク38は、コンタクトレンズ10の前後面や周方向位置、コンタクトレンズ10が左眼用および右眼用の何れであるか等を識別するためや、レンズの外観を装飾するために付されるものである。特に本実施形態においては、マーク38はレンズ径方向に延びる矩形状とされており、コンタクトレンズ10が目的とする周方向位置に位置せしめられた状態で6時の位置を指し示すようになっている。なお、本実施形態においては、マーク38は、周辺部16のうち、軟質材料で形成された外周部分34に形成されている。
【0049】
ここにおいて、マーク38は、磁性金属粉40が周辺部16の所定領域に分散状態で内在せしめられることによって形成されており、特に本実施形態においては、前述のように、外周部分34においてレンズ径方向に延びる矩形領域に磁性金属粉40が内在せしめられることによって、矩形のマーク38が形成されている。かかる磁性金属粉40としては、例えば、鉄、コバルト、ニッケル、鉄−シリコン系合金、鉄−窒素系合金、鉄−ニッケル系合金、鉄−炭素系合金、鉄−ホウ素系合金、鉄−コバルト系合金、鉄−リン系合金、鉄−ニッケル−コバルト系合金、鉄−アルミニウム−シリコン系合金などが好適に採用される。
【0050】
さらに、磁性金属粉40の粒経としては、好ましくは1nm〜5μm、より好ましくは、10nm〜3μmのものが用いられる。蓋し、磁性金属粉40の粒経が1nmよりも小さいと、磁性金属粉40の製造や取扱いが困難となる一方、粒経が5μmよりも大きいと、磁性金属粉40がレンズ表面に露出した場合に装用感を著しく損なう可能性があるからである。
【0051】
また、磁性金属粉40、換言すれば、マーク38は、周辺部前面26上に露出せしめられた状態で周辺部16内に埋め込まれて形成されている。これにより、マーク38は、周辺部後面28上には露出すること無く形成されている。更に、周辺部前面26上に露出せしめられたマーク表面42は、周辺部前面26に沿う湾曲面形状とされていることによって、周辺部前面26は、全体として凹凸の無い円滑面とされている。
【0052】
そして、本実施形態における磁性金属粉40の比重は、外周部分34を形成するレンズ材料の比重よりも大きく、コンタクトレンズ10は、レンズ周方向の一部にかかる磁性金属粉40が内在せしめられていることによって、レンズの周方向でマーク38の形成部位が他の部位に比して重くされている。これにより、コンタクトレンズ10を眼球へ装着した場合には、重力作用によってマーク38が形成された部位が下方に位置するように回転せしめられ、マーク38が下方に位置する周方向位置に位置決めされることとなる。
【0053】
なお、上述の如き硬質部材で形成された中央部分32と軟質部材で形成された外周部分34との二種材から成り、外周部分32内に磁性金属粉40が埋め込まれることによってマーク38が内在せしめられたコンタクトレンズ10は、例えば以下の如き方法で製造することが出来る。
【0054】
先ず、図3(a)に示すように、目的とするコンタクトレンズ10のレンズ前面に対応する形状のレンズ成形面44を備えたレンズ成形用雌型46を用意する。そして、レンズ成形用雌型46のレンズ成形面44においてマーク38を形成する位置に、マーク38に対応する形状で磁性金属粉40を接着等により貼着する。
【0055】
次に、図3(b)に示すように、レンズ成形用雌型46のレンズ成形面44によって形成された受け皿状の領域にコンタクトレンズ10の外周部分34の材料となる重合性モノマー47を注入した後に、目的とするコンタクトレンズ10のレンズ後面に対応する形状のレンズ成形面48を備えたレンズ成形用雄型50を嵌め入れることにより型合わせして、重合性モノマー47が充填されて密閉された成形キャビティ52を形成する。その後、両型46,48の型合わせ状態を保持して、重合性モノマー47の重合処理を行う。
【0056】
そして、重合性モノマー47の重合の後、レンズ成形用雌型46とレンズ成形用雄型50を型開きすることにより、レンズ成形用雌型46のレンズ成形面44に貼着されていたマーク38が外周部分34に転写されたコンタクトレンズを得ることが出来る。なお、この段階で得られるコンタクトレンズは全体が外周部分34を形成する軟質材料で形成されているが、本発明におけるコンタクトレンズは必ずしも二種材のものに限定されることはなく、全体が単一の軟質材料から形成されたソフトコンタクトレンズでも良いのであって、そのような場合には、以上の如き製造方法によって目的とするコンタクトレンズを得ることが出来る。また、重合性モノマー47として硬質材料を用いることによって、本発明に従う構造とされたマーク38を備えたハードコンタクトレンズを得ることも出来る。
【0057】
そして、本実施形態におけるコンタクトレンズ10のように、外周部分34が軟質材料で形成されて、中央部分32が硬質材料で形成された二種材のコンタクトレンズを得るためには、上述の製造方法により得られた軟質材料から形成されたコンタクトレンズにおける中央部分32に対応する部位に貫通孔を形成した後、モールド成形法や切削法等の適当な方法で別途に製造した硬質材料からなる中央部分32を接着などにより貫通孔内に固着する。これにより、中央部分32が硬質材料で形成される一方、外周部分34が軟質材料で形成されて、外周部分34に磁性金属粉40からなるマーク38が内在せしめられたコンタクトレンズ10を得ることが出来る。
【0058】
このような構造とされたコンタクトレンズ10においては、磁性金属粉40でマーク38を形成することから、微小なマークを容易に形成することが可能となる。そして、マーク38自体が外周部分34の変形に伴って変形可能とされることから、外周部分34の変形を阻害するおそれも回避されて、良好な装用感を安定して得ることが出来る。加えて、マーク38が形成されることによって、コンタクトレンズ10の重心がレンズ中心軸12から偏倚せしめられている。これにより、眼球への装用時には、マーク38が下方に位置せしめられることとなり、本実施形態におけるコンタクトレンズ10においては、マーク38によってバラスト機構と同様の周方向位置決め効果を得ることが出来るのである。そこにおいて、本実施形態におけるコンタクトレンズ10によれば、マーク38が周辺部16に内在せしめられていることから、従来公知のプリズムバラストやスラブオフ等のようにレンズ形状を変形せしめること無しにバラスト機構を実現することが可能とされており、装用感を損なうことなく周方向の位置決め効果を得ることが出来るのである。
【0059】
ところで、本実施形態におけるコンタクトレンズ10は、レンズ装脱具としてのスポイト60と組み合わせて好適に用いられる。図4乃至図6に、スポイト60を示す。スポイト60は、棒状に延びる本体部62の先端に、吸盤状部分としての吸盤64を備えた構造とされている。
【0060】
より詳細には、スポイト60は、吸盤64を備える筒部材66に、軸部材68が挿通された構造とされている。図7及び図8に、筒部材66を示す。筒部材66は、シリコン樹脂などの気密性と弾性を有する部材から形成されており、略一定の角丸四角の外形断面形状をもってストレートに延びると共に、その中央部分に略一定の円形断面形状をもってストレートに延びる内部空間が形成された略筒形状の筒部70を有している。更に、筒部70の一方の端部に、吸盤64が一体的に形成されている。なお、筒部70における吸盤64との接続部分は、吸盤64に向けて次第に縮径せしめられたテーパ形状とされている。ここにおいて、吸盤64の外径寸法は、コンタクトレンズ10におけるレンズ前面よりも小さく、且つ、コンタクトレンズ10において硬質材料で形成された中央部分32の外径寸法よりも大きくされている。更に、特に本実施形態においては、吸盤64の吸着面71の中央部分には、吸盤64を貫通する貫通孔が形成されており、かかる貫通孔内に、円環板形状を有する永久磁石72が固着されている。かかる永久磁石72の中央孔によって、吸盤64の吸着面71の中央部分には、吸着面71上に開口すると共に筒部70の内部空間と連通せしめられた空気孔74が形成されている。また、筒部70において吸盤64が形成された側と反対側の端部には開口部76が形成されており、これにより、筒部70の内部空間は、一方の端部が空気孔74を通じて外部と連通せしめられると共に、他方の端部が開口部76を通じて外部空間と連通せしめられている。
【0061】
一方、軸部材68は、図9及び図10に示すように、ロッド状部78の一方の端部に、全体として棒状の挿入部80が一体的に設けられた形状とされている。ロッド状部78は、筒部材66における筒部70の断面の外形と等しくされて角部が丸く面取りされた略四角形状断面の中実形状とされている。挿入部80は、全体として上方(図10中、上方)に開口する略円筒形状とされており、かかる挿入部80の外径寸法は、筒部材66における筒部70の内径寸法と略等しくされている。更に、挿入部80の底面を形成する底板82におけるロッド状部78と反対側の端部には、連通孔84が底板82の厚さ方向に貫設されている。ここにおいて、連通孔84におけるロッド状部78側の内周面には、底板82の厚さ方向の略中間部分から上方に向けて広がる傾斜面86が形成されている。
【0062】
また、挿入部80の突出先端部88の外面には、突出先端方向(図10中、左方向)と下方に開口せしめられた凹状部90が形成されている。更に、挿入部80とロッド状部78との間には、挿入部80の断面積よりもやや小さな断面積を有する柱状の接続部92がこれら挿入部80およびロッド状部78と一体的に形成されており、かかる接続部92によって、挿入部80とロッド状部78が一体的に接続されている。更に、接続部92の上面の中央部分には、挿入部80の内部空間とロッド状部78の接続部92側の端部との間に跨って上方に開口する凹状の通気孔94が形成されている。
【0063】
そして、このような構造とされた軸部材68の挿入部80に、操作部材96が半収容状態で載置されている。図11及び図12に、操作部材96を示す。操作部材96は、略一定の矩形断面形状をもってストレートに延びる梁部98の一方の端部に、下方(図12中、下方)に突出する支点部100が形成されている一方、他方の端部に、下方に突出する作用部102が一体的に形成された形状とされている。支点部100は、円柱形状とされている一方、作用部102は、支点部100の突出寸法よりも大きな突出寸法を有する平板形状とされている。ここにおいて、操作部材96の厚さ寸法(図11中、上下方向寸法)は、全体として略一定とされて、軸部材68の挿入部80の軸直方向(図9中、上下方向)の開口寸法よりも僅かに小さな厚さ寸法とされている。従って、円柱形状とされた支点部100の径寸法は、梁部98の厚さ寸法と等しくされていると共に、平板形状とされた作用部102の厚さ寸法は、梁部98の厚さ寸法と等しくされている。また、作用部102の長手方向(図12中、左右方向)寸法は、軸部材68における挿入部80の連通孔84の長手方向(図10中、左右方向)寸法よりも僅かに小さくされている。
【0064】
而して、図6に示すように、軸部材68の挿入部80の底面82上に、操作部材96が支点部100の突出先端面を底面82に重ね合わせると共に、作用部102の突出先端部分を連通孔84内に差し入れた状態で載置せしめられる。これにより、操作部材96は、軸部材68の挿入部80に半収容状態で載置される。そして、操作部材96が載置された挿入部80が、筒部材66の開口部76から筒部70内に挿入されて、開口部76側の端面が軸部材68のロッド状部78の挿入部80側の端面に当接するまで挿し込まれる。これにより、筒部材66の弾性によって挿入部80の挿入状態が保持されて、以て、スポイト60が構成されている。
【0065】
このような組み付け状態において、筒部材66の開口部76が、軸部材68のロッド状部78の挿入部80側の端面で覆蓋されている。また、挿入部80の連通孔84が、筒部材66の筒部70の内周面104で覆蓋されている。なお、ロッド状部78の挿入部80側の端面から、挿入部80の突出先端部88の突出端面までの軸方向長さ寸法は、筒部材66の内部空間の軸方向長さ寸法よりもやや小さくされている。これにより、挿入部80の突出先端部88は、筒部70の内部空間の端面を形成する吸盤64の背面からやや離隔して位置せしめられている。そして、突出先端部88が筒部70の内部空間の軸直方向の全体に亘って広がっていることによって、筒部70の内部空間が突出先端部88によって区画されており、吸盤64の背面、換言すれば、筒部70の内部空間の開口部76と反対側の端面、と突出先端部88および筒部70の内周面104との間に、空気室106が形成されている。このように、本実施形態においては、筒部70の内周面104によって空気室106の周壁が形成されている。また、空気室106の一方の端面が、永久磁石72を含んで構成されている。
【0066】
このような構造とされたスポイト60を用いて前述のコンタクトレンズ10を眼球から取り外す場合には、先ず、図13(a)に示すように、スポイト60の吸盤64を、眼球:Eに装用されたコンタクトレンズ10のレンズ前面に重ね合わせて、コンタクトレンズ10に向けて押し付ける。そこにおいて、特に本実施形態においては、コンタクトレンズ10のマーク38が磁性金属粉40で形成されていると共に、スポイト60の吸盤64の中央部分に、永久磁石72が設けられている。これにより、吸盤64においてコンタクトレンズ10への重ね合わせ面となる吸着面71上に磁場が形成されて、マーク38延いてはコンタクトレンズ10に対して吸盤64に向かう磁気吸引力を生ぜしめることが可能とされており、コンタクトレンズ10を吸盤64に引き寄せることが可能とされている。その結果、磁気吸引力を用いて、コンタクトレンズ10を吸盤64に吸着せしめることが可能とされる。それと共に、吸盤64の吸盤としての負圧吸引力も併せて作用することから、コンタクトレンズ10の吸盤64への吸着状態をより強固に発現せしめることが出来る。
【0067】
そこにおいて、特に本実施形態におけるスポイト60は、コンタクトレンズ10への接触部位となる吸盤64が容易に変形可能とされていることから、吸盤64がコンタクトレンズ10のレンズ前面形状に沿うように変形することによって、スポイト60の押し付けに際してコンタクトレンズ10に過大な力が加わるおそれも軽減されており、コンタクトレンズ10を損傷するおそれも軽減されている。加えて、吸盤64の外径寸法がコンタクトレンズ10の中央部分32の径寸法よりも大きくされていることから、吸盤64が、周辺部前面26において、軟質材料で形成された外周部分34に重ね合わされるようになっている。これにより、吸盤64が光学部前面20に重ね合わされることが回避されており、光学部前面20に傷を付けるおそれも軽減されている。
【0068】
そして、図13(b)に示すように、コンタクトレンズ10を吸着せしめたスポイト60を、眼球から離隔せしめることによって、コンタクトレンズ10を眼球から取り外すことが出来る。ここにおいて、本実施形態におけるコンタクトレンズ10とスポイト60を用いれば、前述の如き磁気吸引力と負圧吸引力との協働による強固な吸着状態が維持されることから、コンタクトレンズ10の眼球への吸着力を上回る吸着力を安定して得ることが出来て、コンタクトレンズ10を眼球から引き剥がすに際してコンタクトレンズ10が吸盤64から外れてしまうようなおそれも軽減されており、より安定した取り外しを行うことが可能とされている。
【0069】
それと共に、特に本実施形態のように、光学部14を含む中央部分32が硬質材料で形成される一方、周辺部16を含む外周部分34が軟質材料で形成された所謂多種材コンタクトレンズにおいては、中央部分32が硬質で吸盤のように眼球に張り付く一方、それを引き剥がす外周部分32が軟質であることから、中央部分32に有効な引き剥がし力を及ぼし難く、引き剥がしが困難となり易い。そこにおいて、特に本実施形態におけるコンタクトレンズ10とスポイト60を用いれば、マーク38を介して外周部分32に磁気吸引力を及ぼして、外周部分32を吸引することによって、有効な引き剥がし力を得ることが出来ることから、一般的に取り外しが困難とされる多種材コンタクトレンズの取り外しに際して、極めて有効な効果を発揮し得るのである。
【0070】
次に、このようにして眼球から取り外したコンタクトレンズ10をスポイト60から取り外す際には、図14に示すように、筒部70における吸盤64からやや離れた位置を手指で押圧する。これにより、操作部材96の作用部102が、支点部100を支点として連通孔84の外方(図14中、下方)に押し出されて、連通孔84を封止していた筒部70の内周面104が作用部102によって外方に押し出される。その結果、空気室106が、連通孔84および通気孔94を通じて外部空間と連通せしめられて大気連通せしめられる。このことから明らかなように、本実施形態においては、連通孔84、作用部102、および内周面104を含んで、大気開放用弁が構成されている。更に、軸部材68の突出先端部88に形成された凹状部90によって、空気室106と連通孔84がより容易に連通せしめられるようになっている。そして、空気室106と空気孔74を通じて連通せしめられている、吸盤64の吸着面71とコンタクトレンズ10との吸着面間が大気連通せしめられることとなり、以て、吸盤64の負圧吸引力が解除されて、コンタクトレンズ10をスポイト60から取り外すことが出来る。
【0071】
このようなスポイト60を本実施形態におけるコンタクトレンズ10と組み合わせて用いれば、前述の如き磁気吸引力と負圧吸引力によってコンタクトレンズ10の装脱をより容易に行うことが出来る。そして、コンタクトレンズ10を眼球から取り外した後も、吸盤64への吸着状態が維持されることから、コンタクトレンズ10を脱落して損傷したり紛失したりするおそれも軽減することが出来る。また、手指がコンタクトレンズ10に直接に接触する機会が減らされることから、衛生面の向上も図られ得るのである。
【0072】
次に、図15に、本発明の第二の実施形態としてのコンタクトレンズ110を示す。なお、以下の説明において、前記第一の実施形態と実質的に同一の部材乃至は部位については、図中に同一の符号を付すことにより、説明を省略する。
【0073】
コンタクトレンズ110は、前記第一の実施形態に係るコンタクトレンズ10と同様に、硬質材料で形成された中央部分32と、軟質材料で形成された外周部分34から形成されており、中央部分32に光学部14が形成されている一方、光学部14の外側の全周に亘って周辺部16が形成されている。
【0074】
そして、本実施形態におけるコンタクトレンズ110においては、外周部分34に、3つのマーク112a,112b,112cが周方向に所定距離を隔てて形成されている。ここにおいて、各マーク112a,112b,112cは、それぞれ、前述の第一の実施形態におけるマーク38と略同様の形状とされており、コンタクトレンズ110の径方向に所定寸法に亘って延びる矩形状とされている。
【0075】
ここにおいて、各マーク112a,112b,112cは、前述のマーク38と同様に、外周部分34に内在せしめられた磁性金属粉40によって形成されているが、特に本実施形態においては、各マーク112a,112b,112cを形成する磁性金属粉40として、互いに異なる色を有する磁性金属粉が用いられている。例えば、本実施形態においては、マーク112aは磁性金属粉40として鉄が用いられることによって白色の外観を呈しており、マーク112bは磁性金属粉40としてコバルトが用いられることによって青色、マーク112cは磁性金属粉40としてニッケルが用いられることによって銀白色の外観を呈している。これにより、コンタクトレンズ110の視認性をより高めることが出来て、例えば床面にコンタクトレンズ110を落とした場合などにも、より容易に発見することが出来る。
【0076】
更に、3つのマーク112a,112b,112cは外周部分34の周方向で適度に近接して形成されており、特に本実施形態においては、中心角=45°の円弧の範囲内に納まるように形成されている。これにより、外周部分34の周方向での重さの偏倚がより顕著に生ぜしめられており、眼球への装用時の周方向位置決め効果をより安定して発揮することも可能とされる。
【0077】
本実施形態から明らかなように、マークの形成個数は、何等限定されるものではない。なお、特に本実施形態においては、3つのマーク112a,112b,112cが外周部分34の周方向で近接した位置に形成されることによってより有効なバラスト効果が発揮されるようにされていたが、例えば、このような矩形状のマークを外周部分34の全周に亘って複数個形成することも勿論可能である。
【0078】
さらに、本実施形態においては、各マーク112a,112b、112cを形成する磁性金属粉40として異なる磁性金属粉を用いることによって、各マーク112a,112b,112cに異なる色が与えられていたが、例えば、異なる色を有する多種の磁性金属粉を用いるのに代えて、或いは加えて、磁性金属粉を従来公知の適当な顔料で着色するなどしても良い。このようにすれば、マークの色として、より多数の色を得ることが出来て、意匠上の効果をより高めることが出来る。
【0079】
次に、図16に、本発明の第三の実施形態としてのコンタクトレンズ120を示す。本実施形態におけるコンタクトレンズ120は、前述の第一及び第二の実施形態としてのコンタクトレンズ10、110とは異なり、光学部14および周辺部16を含む全体が単一の軟質材料によって形成されたソフトコンタクトレンズとされている。なお、かかる軟質材料としては、前述の第一の実施形態としてのコンタクトレンズ10の外周部分34を形成する軟質材料が適宜に採用可能である。このように、本発明は、必ずしも多種材のコンタクトレンズのみに限定されるものではなく、本実施形態の如く全体が軟質材料から形成されたソフトコンタクトレンズや、或いは全体が硬質材料から形成されたハードコンタクトレンズを採用することも可能である。なお、かかる硬質材料としては、前述の第一の実施形態としてのコンタクトレンズ10の中央部分32を形成する硬質材料が適宜に採用可能である。
【0080】
そして、本実施形態におけるコンタクトレンズ120においては、周辺部16に磁性金属粉40から形成されたマーク122が内在せしめられている。ここにおいて、マーク122の外観形状は文字とされており、特に本実施形態においては、「右」の1文字とされている。これにより、コンタクトレンズ120が右眼用のコンタクトレンズであることを表示するようになっている。このように、本発明におけるマークの外観形状は何等限定されるものではない。
【0081】
ここにおいて、図示は省略するが、左眼用のコンタクトレンズに、コンタクトレンズ120と同様にして、「左」の文字をマークとして付与することも勿論可能である。そのような場合には、前記第二の実施形態において示したように、磁性金属粉40として異なる色を有する磁性金属粉を用いたり、磁性金属粉40を互いに異なる顔料で着色する等して、左右のマークを異なる色で形成することがより好ましい。このようにすれば、左右の区別をより明確にすることが出来る。
【0082】
次に、図17に、本発明の第四の実施形態としてのコンタクトレンズ130を示す。コンタクトレンズ130は、前述の第一の実施形態におけるコンタクトレンズ10と同様に、硬質材料で形成された中央部分32と、軟質材料で形成された外周部分34から形成された多種材コンタクトレンズとされており、外周部分34を含んで周辺部16が形成されている。
【0083】
そして、特に本実施形態におけるコンタクトレンズ130は、外周部分34の全体に亘って、磁性金属粉40が内在せしめられている。これにより、コンタクトレンズ130には、外周部分34の径方向幅寸法と等しい一定の径方向幅寸法をもって全周に延びる円環形状のマーク132が形成されている。ここにおいて、マーク132を形成する磁性金属粉40が外周部分34の全体に亘って内在せしめられていることから、図18に示すように、マーク132は外周部分34の厚さ方向の全体に亘る厚さ寸法を有し、マーク132の表面は、レンズ前面およびレンズ後面の両側に露出せしめられている。
【0084】
このような構造とされたコンタクトレンズ130においては、外周部分34の周方向の全体に亘って磁性金属粉40が内在せしめられていることから、コンタクトレンズ130の周方向の全体に対して磁気吸引力を及ぼすことが出来る。これにより、より安定した吸引を行なうことが出来る。また、本実施形態から明らかなように、本発明におけるマークとしては、全周に亘って連続する形状のものであっても良い。更に、特に本実施形態においては、外周部分34で構成された周辺部16の外側部分の全体にのみ磁性金属粉40が内在せしめられているが、例えば、周辺部16の全体に亘って磁性金属粉40を内在せしめることによって、周辺部16の全体に広がる円環形状のマークを形成するなどしても良い。
【0085】
なお、このような構造とされたコンタクトレンズ130は、例えば以下の如き方法で製造することが出来る。
【0086】
先ず、図19(a)に示すように、有底円筒形状を有する成形容器134内に、水溶性の不活性物質を配合して調整された軟質材料を充填すると共に、かかる軟質材料内に、磁性金属粉40を分散せしめて重合成形することによって、軟質材料によって形成された厚肉円板形状のレンズブランクス136を成形する。
【0087】
次に、図19(b)に示すように、レンズブランクス136の略中央を軸方向に貫通する貫通孔138を機械加工等によって形成して、レンズブランクス136を略円筒形状に加工する。その後、軟質材料からなるレンズブランクス136に形成された貫通孔138にガス透過性の硬質材料を充填して重合成形する。
【0088】
これにより、中央が硬質材料によって形成されると共に、外周が軟質材料によって一体的に形成されて、外周に磁性金属粉が内在せしめられたレンズブランクス140を得ることが出来る。このようなレンズブランクス140を得ることが出来れば、その後は、従来から公知の加工装置と加工方法に従い、レンズブランクス140に対して切削を施して、コンタクトレンズ130を目的とする形状に加工する。
【0089】
さらに、得られたコンタクトレンズ130を適当な浸透圧の処理水に浸漬して、軟質材料に配合された水溶性の不活性物質を水で置換する。これにより、加工時には硬質とされていた軟質材料を、殆ど容積や形状を変化させることなく、含水させて軟質とすることが出来る。以って、中央部分が硬質材料によって形成されると共に、外周部分が全体に亘って磁性金属粉を分散状態で内在せしめた軟質材料によって形成されたコンタクトレンズ130を得ることが出来る。
【0090】
次に、図20に、本発明の第五の実施形態としてのコンタクトレンズ150を示す。コンタクトレンズ150は、前述の第一の実施形態としてのコンタクトレンズ10と同様に、硬質材料から形成された中央部分32と、軟質材料から形成された外周部分34から形成されており、外周部分34に、複数のマーク152が内在せしめられている。
【0091】
本実施形態における各マーク152は、複数の小マーク154が集合して形成された花柄形状とされており、外周部分34に不規則に配設されることによって、コンタクトレンズ150の意匠上の効果が高められている。このように、本発明におけるマーク形状としては、本実施形態の如き特定の図柄を採用すること等も可能である。ここにおいて、前述のように、各マーク152に適当な色を割り当てて、これら複数のマーク152を多数の色で形成することも勿論可能である。更には、各マーク152を構成する小マーク154の色を互いに異ならせることによって、1つのマーク152を多数の色で形成する等しても良い。
【0092】
次に、図21に、本発明の第六の実施形態としてのコンタクトレンズ160を示す。コンタクトレンズ160は、硬質材料から形成された中央部分32が、レンズ中心軸12から偏倚せしめられた位置に形成されており、光学部14の中心軸164がレンズ中心軸12から外れた位置に形成されている。そして、外周部分34の外周縁部に、周方向に所定寸法に亘って延びる帯状のマーク162が形成されている。
【0093】
本実施形態から明らかなように、本発明におけるコンタクトレンズとしては、光学部と周辺部が同一中心軸上に形成されていないものを採用することも可能であるし、更には、図示は省略するが、光学部や周辺部が楕円などの非回転体形状を有するものを採用することも可能である。そして、このように光学部14と周辺部16が同一中心軸上に位置せしめられていないコンタクトレンズ160においては、重心位置がレンズ中心軸から偏倚せしめられる場合があることから、所期の周方向位置に位置決めするためには、プリズムバラストやスラブオフなどの特定形状を更に付与することが必要とされていたが、本実施形態におけるコンタクトレンズ160によれば、マーク162によるバラスト効果が発揮されることから、そのような特定形状を付与せずとも、コンタクトレンズ160を所期の周方向位置に安定して位置決めすることが出来るのである。
【0094】
また、図22に、本発明の第七の実施形態としてのコンタクトレンズ170を示す。コンタクトレンズ170は、光学部14および周辺部16を含む全体が軟質材料から形成されたソフトコンタクトレンズとされている。
【0095】
そして、コンタクトレンズ170の周辺部16には、外周縁部から中心方向に向けて次第に少量になるように磁性金属粉40が内在せしめられていることによって、マーク172が形成されている。かかるマーク172は、装用時に黒目を大きく見せる所謂ディファインレンズの模様であり、本実施形態におけるコンタクトレンズ170を装用することによって、黒目を大きく見せることが出来る。そして、本実施形態においては、そのようなディファインレンズの模様を磁性金属粉40を用いて形成することによって、コンタクトレンズ170を磁気吸引力を用いて吸着保持することが可能とされる。
【0096】
また、レンズ装脱具の具体的な構造についても、前述の如き構造に限定されるものではない。例えば、図23に示すレンズ装脱具の第二の実施形態としてのスポイト180のように、軸部材68の突出先端部88を永久磁石で形成するなどしても良い。このようにすれば、前述の第一の実施形態としてのスポイト60に比して、大きな永久磁石を備えることが出来ることから、本発明に従うコンタクトレンズに対してより大きな磁気吸引力を及ぼすことが出来る。また、吸盤64の吸着面71に永久磁石が設けられていないことによって、吸着面71の全体が変形容易とされることから、吸盤64による負圧吸引効果もより有利に発揮せしめられる。
【0097】
更にまた、図24に示すレンズ装脱具の第三の実施形態としてのスポイト190のように、操作部材96を永久磁石で形成するなどしても良い。このようにすれば、製造が容易になると共に、より大きな永久磁石を備えることが出来る。
【0098】
以上、本発明の幾つかの実施形態について詳述してきたが、これらはあくまでも例示であって、本発明は、これら実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものではない。
【0099】
例えば、磁性金属粉40の内在状態としては、前述のレンズ前面に露出せしめられた状態(図2参照)や、レンズ前面およびレンズ後面に露出せしめられた状態(図18参照)の他、図25に示すように、レンズ前面やレンズ後面に露出することなく、外周部分34内に完全に内在せしめられていても良い。このようにすれば、レンズ表面形状をより円滑にすることが出来て、装用感を損なうおそれも軽減することが出来る。また、磁性金属粉40が外周部分34から漏れ出すおそれも軽減することが出来る。
【0100】
なお、図25に示すように、磁性金属粉40が外周部分34内に完全に内在せしめられたコンタクトレンズは、例えば前記第一の実施形態としてのコンタクトレンズ10と略同様の製造方法(図3参照)に従って形成することが出来る。即ち、レンズ成形用雌型46のレンズ成形面44に磁性金属粉40を所望の形状で印刷付着せしめると共に、レンズ成形面44の表面状態を、例えば表面粗さや表面コーティング材の選定などによって適当に調節する。これにより、成形キャビティ52内に充填される重合性モノマー47をレンズ成形面44と磁性金属粉40との間に回り込ませることが可能となって、磁性金属粉40を外周部分34の表裏何れの面にも露出しない完全な埋設状態とすることが出来る。
【0101】
また、レンズ装脱具における吸盤状部分は、必ずしも吸盤として作用するものである必要はない。従って、磁気吸引力のみを用いてコンタクトレンズを吸着保持するものであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明の第一の実施形態としてのコンタクトレンズを示す正面説明図。
【図2】図1のII−II断面でレンズ中心軸から片方のみを示す説明図。
【図3】図1に示したコンタクトレンズの製造方法を説明するための説明図。
【図4】図1に示したコンタクトレンズと組み合わせて用いられるレンズ装脱具の上面図。
【図5】同レンズ装脱具の正面図。
【図6】図4におけるVI−VI断面図。
【図7】図4に示したレンズ装脱具を構成する筒部材の上面図。
【図8】図7におけるVIII−VIII断面図。
【図9】図4に示したレンズ装脱具を構成する軸部材の上面図。
【図10】図9におけるX−X断面図。
【図11】図4に示したレンズ装脱具を構成する操作部材の上面図。
【図12】図11におけるXII−XII断面図。
【図13】図4に示したレンズ装脱具によるコンタクトレンズの吸着方法を説明するための説明図。
【図14】図4に示したレンズ装脱具からのコンタクトレンズの取り外し方法を説明するための説明図。
【図15】本発明の第二の実施形態としてのコンタクトレンズを示す正面説明図。
【図16】本発明の第三の実施形態としてのコンタクトレンズを示す正面説明図。
【図17】本発明の第四の実施形態としてのコンタクトレンズを示す正面説明図。
【図18】図17のXVIII−XVIII断面でレンズ中心軸から片方のみを示す説明図。
【図19】図17に示したコンタクトレンズの製造方法を説明するための説明図。
【図20】本発明の第五の実施形態としてのコンタクトレンズを示す正面説明図。
【図21】本発明の第六の実施形態としてのコンタクトレンズを示す正面説明図。
【図22】本発明の第七の実施形態としてのコンタクトレンズを示す正面説明図。
【図23】異なる態様のレンズ装脱具を示す縦断面図。
【図24】更に異なる態様のレンズ装脱具を示す縦断面図。
【図25】磁性金属粉の内在状態の異なる態様を説明するための断面説明図。
【符号の説明】
【0103】
10:コンタクトレンズ、14:光学部、16:周辺部、30:ジャンクション、32:中央部分、34:外周部分、36:境界面、38:マーク、40:磁性金属粉

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズ中央部分に光学部が設けられていると共に、該光学部の周囲に周辺部が設けられているコンタクトレンズにおいて、
前記周辺部の所定領域に対して磁性金属粉が分散状態で内在せしめられており、該磁性金属粉の分散領域によって視認可能なマークが形成されていることを特徴とするコンタクトレンズ。
【請求項2】
前記レンズ中央部分が硬質材料で形成されている一方、レンズ外周部分が親水性を有する軟質材料で形成されている請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項3】
前記磁性金属粉がレンズ周方向で偏在せしめられている請求項1又は2に記載のコンタクトレンズ。
【請求項4】
前記磁性金属粉がレンズ径方向で一定幅をもってレンズの全周に亘って内在せしめられている請求項1乃至3の何れか一項に記載のコンタクトレンズ。
【請求項5】
前記磁性金属粉として、複数種類の色を有するものが組み合わせて用いられている請求項1乃至4の何れか一項に記載のコンタクトレンズ。
【請求項6】
前記磁性金属粉として、着色されたものが用いられている請求項1乃至5の何れか一項に記載のコンタクトレンズ。
【請求項7】
前記磁性金属粉として、粒径が1nm〜5μmのものが用いられている請求項1乃至6の何れか一項に記載のコンタクトレンズ。
【請求項8】
レンズ前面に重ね合わされる変形容易な吸盤状部分を備えていると共に該吸盤状部分におけるレンズ前面への重ね合わせ面上に磁場を形成する永久磁石を備えているレンズ装脱具と組み合わされた請求項1乃至7の何れか一項に記載のコンタクトレンズ。
【請求項9】
前記吸盤状部分には、レンズ前面への重ね合わせ面の中央に開口する空気孔が形成されており、該吸盤状部分の背後には、該空気孔が連通せしめられた空気室が形成されていると共に、該空気室の周壁には、外力を及ぼすことによって該空気室を大気連通させる大気開放用弁が設けられていると共に、該空気室に前記永久磁石が配設されている請求項8に記載のコンタクトレンズ。
【請求項10】
前記吸盤状部分が前記レンズ前面よりも小さな外径寸法とされており、該吸盤状部分が前記周辺部において該レンズ前面に重ね合わされるようになっている請求項8又は9に記載のコンタクトレンズ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2009−98457(P2009−98457A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−270531(P2007−270531)
【出願日】平成19年10月17日(2007.10.17)
【出願人】(000138082)株式会社メニコン (150)
【Fターム(参考)】