説明

コンテナのトラッキング

船上のコンテナ内のモニタ装置モジュール(10)はトラッキングプロキシ(12)によりポーリングされる。このようにモニタデータが収集され、トラッキングプロキシは正しいコンテナの組が存在することをリアルタイムで確認することができる。また、トラッキングプロキシ(12)は、より高い値の報告メッセージを比較的低い帯域幅で衛星通信システム(13)を介してゲートウェイ(15)に送信する。ゲートウェイ(15)は、メッセージをトラッキングセンタのような様々なシステムに送信する。また、ゲートウェイ(15)は、そのグループ内の分散型トラッキングプロキシ(12)を定期的にポーリングして認証する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合コンテナのようなコンテナのトラッキングに関する。
【背景技術】
【0002】
複合一環輸送により、或る輸送モードから別の輸送モードに切り換える際に貨物をそのコンテナから積み卸したり積み直すことを必要としない輸送サービスが提供されている。例えば、果物を運搬するコンテナは、或る国で梱包され、船に次に列車に積み込まれ、開梱したり再梱包する必要なく、その目的地へとトラックで搬送することができる。
【0003】
最近の複合コンテナ輸送市場の成長により、盗難、コンテナの紛失、コンテナの遅延、及びコンテナがテロリストに利用されて武器を国内に密輸する場合があるという認識が増している。
【0004】
本明細書におけるコンテナの定義は、標準的な複合コンテナ(20フィート、40フィート及び45フィート長)に限定されるものでなく、あらゆるタイプのコンテナ及びトラック又はトレーラのような輸送車両を含むことができる。
【0005】
米国特許公開公報US20030038172には、複合コンテナのような項目をトラッキングするためのシステムが記載されている。これは対象物を識別しかつ対象物間で対話する。RFIDタグを用いて前記項目を識別する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、改良されたコンテナのトラッキングを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、トラッキングプロキシからなるトラッキングシステムであって、前記プロキシに関連する無線ローカルエリア内の少なくとも1つのコンテナモニタ装置と通信するためのローカルエリアインタフェースと、モニタ装置データを受信しかつそれを用いて報告メッセージを生成するためのプロセッサと、前記報告メッセージをリモートホストにアップロードするためのリモート通信インタフェースとを備えるトラッキングシステムが提供される。
【0008】
或る実施例では、前記プロセッサが報告メッセージに地理的位置データを挿入する。
別の実施例では、位置モニタ装置を更に備え、前記プロセッサが位置モニタ装置からの入力を用いて位置データを決定する。
【0009】
更に別の実施例では、前記プロセッサがモニタ装置データを解析処理して特定イベントを検出し、かつそれに従って通知を生成し、該通知を報告メッセージに挿入する。
【0010】
或る実施例では、前記ローカルエリアインタフェースがモニタ装置と送信し、各モニタ装置が次に電子タグと通信する。
別の実施例では、前記ローカルエリアインタフェースが、モバイルネットワークプロトコルを用いて前記モニタ装置と通信する。
更に別の実施例では、前記プロトコルがSMSを使用する。
【0011】
或る実施例では、前記プロセッサがモニタ装置データからコンテナの識別名を読み取る。
別の実施例では、前記プロセッサがモニタ装置との双方向通信を実行する。
更に別の実施例では、前記プロセッサがモニタ装置に質問して状態データを決定する。
【0012】
或る実施例では、前記プロセッサがモニタ装置のリモートコンフィギュレーションを実行する。
【0013】
別の実施例では、前記ローカルエリアインタフェースが船舶システムからの入力を受信し、前記プロセッサが船舶システム及び位置の情報を決定し、かつ該情報をプロセッサが報告メッセージに挿入する。
更に別の実施例では、前記プロセッサが電子積荷目録に従って有効なコンテナモニタ装置を決定する。
【0014】
或る実施例では、前記プロキシがハートビートメッセージをコンテナモニタ装置と交換して通信エラーを検出し、検出したデータを報告メッセージに挿入する。
別の実施例では、前記プロセッサがポーリングメッセージに対する応答の不存在を通信エラーとして取り扱う。
更に別の実施例では、前記プロセッサがポーリングメッセージに認証要求を入れ、かつ該要求が正しく応答されない場合に通信エラーを表示する。
【0015】
或る実施例では、前記ローカルエリアインタフェースが手動で起動されるセキュリティアラート装置と通信し、前記プロセッサが手動での起動に応答して自動的にセキュリティアラート報告メッセージを生成する。
別の実施例では、前記ローカルエリアインタフェースがセキュリティコードを送信するモバイル装置を無線セキュリティアラート装置として取り扱う。
【0016】
更に別の実施例では、前記システムがトラッキングプロキシから報告メッセージを受け取るためのトラッキングゲートウェイを更に備える。
或る実施例では、前記トラッキングゲートウェイが複数の分散型トラッキングプロキシと通信する。
別の実施例では、前記トラッキングゲートウェイが、受け取った報告メッセージに基づくトラッキング情報をトラッキングアプリケーションにアップロードする。
更に別の実施例では、前記トラッキングゲートウェイが多数の冗長経路を介してトラッキング情報を送信する。
【0017】
或る実施例では、前記トラッキングゲートウェイが定期的にトラッキングプロキシをポーリングする。
別の実施例では、前記トラッキングゲートウェイが各プロキシへの認証要求を含み、かつ要求が有効に応答されない場合にエラーを表示する。
【0018】
更に別の実施例では、ローカル制御端末を更に備え、該端末において前記プロセッサが状態及びイベントデータを受け取り、かつ該データを用い報告メッセージを生成する。
或る実施例では、コンテナモニタ装置により送信される状態及びイベントメッセージがローカル制御端末上に表示される。
別の実施例では、前記ローカル制御端末がモニタ装置を直接質問するためのインタフェースを有する。
更に別の実施例では、前記ローカル制御端末がモバイルネットワークを介して通信するハンドヘルド装置である。
【0019】
或る実施例では、前記プロキシが専用モバイルネットワークを有する船舶に配置され、かつこのネットワーク内で前記ローカル制御端末が通信する。
【0020】
別の実施例では、前記プロセッサが、報告メッセージに含まれるイベントの性質に従って報告メッセージのアップロードを行うための経路を動的に選択する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明は、添付図面を参照しつつ、単なる実施例として以下に記載される実施形態の詳細な説明からより明確に理解される。
本発明は、モニタ装置を有するコンテナの位置を、前記コンテナを輸送する輸送機関の移動可能な携帯電話ネットワークを利用することによって追跡することができる。この移動ネットワークは船舶内にGSM(SMS及びGPRS)の有効範囲を提供し、かつ衛星を用いて陸上のGSMネットワークと連携する。このようにして前記コンテナは、ある位置から別の位置まで連続的にモニタすることができる。
【0022】
要約すれば、船上衛星接続ピコネットワークはトラッキングプロキシを備えている。このトラッキングプロキシの役割は、モニタ装置からデータを収集し、かつトラッキングセンタとの情報交換を強化するために報告メッセージを生成することである。例えば、船倉の奧深くに配置されたモニタ対象のコンテナがGPS衛星を「見る」ことができない場合には、前記トラッキングプロキシが、前記トラッキングセンタに送信される報告メッセージ内に位置情報を挿入することができる。前記報告メッセージはトラッキングプロキシゲートウエイに送信され、その役割は、いくつかの船載型トラッキングプロキシとトラッキングセンタ又はセキュリティモニタセンタとの間の情報の流れを強化することである。
【0023】
主としてコンテナを追跡しかつモニタするために使用される船上システムは、同様に船舶自体を追跡するのに使用することができる。トラッキングプロキシ12は、位置情報及び船舶に関連する他のイベント及びデータを含むSMSメッセージを生成することができる。この機能を用いて、長距離識別及び追跡(LRIT)の要件を満足させることができる。
【0024】
GPRSのようなより新しいパケットベースの技術が利用可能な場合には、これらの技術を同じ端末により、SMSと共に又はその代わりに用いてIPパケットを交換することができる。
【0025】
このトラッキングプロキシ12により、特にGSM有効範囲が国際的な無線の規則及び法律の制限内で従来の地上GSMネットワークではカバーされない船舶、港及び他の領域におけるコンテナを含むように拡張されている場合に、SMSメッセージストリームが強化される。
【0026】
図1に関し、本発明の通信システム1は以下の構成を有する。
10:多数のコンテナは、モニタ装置即ちSMS又はGPRSチャネルを用いてGSMエアインタフェースを通じて定期的に情報を報告するGSM/GPSモジュールを装備している。これらのモニタ装置は、コンテナ内部でRFIDタグ24との通信を可能にするRFIDタグリーダを装備することができる。
【0027】
11:船上BTS及びその関連するアンテナシステムにより、コンテナを収納することができる船上のあらゆる位置にGSM無線の利用を提供する。
【0028】
12:BTS11と衛星通信システム13との間の船上トラッキングプロキシにより、コンテナモジュール10からのSMSメッセージを傍受しかつそれを用いてアップロードのための報告メッセージを生成することができる。また、トラッキングプロキシ12はGPS受信機20、手動で起動されるアラームシステム21及び船上設備を管理するために使用されるローカル制御端末22とのインタフェースを支援する。これは、GPS受信機20からの入力を用いて、位置データを報告メッセージ内に挿入する。
【0029】
13:船舶設備と陸上設備との間のデータリンクを提供する従来の船上衛星通信システム(「SatCom」)。これがプロキシ12により用いられて前記報告メッセージをゲートウエイ15にアップロードする。
【0030】
14:船上SatComシステム13の対をなす陸上部分である航空地球局(GES)。
【0031】
15:GES14とGSMネットワーク(PLMN)又はIPネットワークのような従来の陸上ネットワーク間の固定されたトラッキングプロキシゲートウエイ。これは多数の分散型トラッキングプロキシ12から報告メッセージを受信し、かつ対応するトラッキング情報を様々なシステムへ送信する。
【0032】
16:メッセージをコンテナのモニタ装置へ送信し又はそれから受信し、かつコンテナの状態及び位置をモニタするために使用されるトラッキングアプリケーションをホストする多数のトラッキングセンタ。
【0033】
17:セキュリティに関連するメッセージをゲートウエイ15から受け取る多数のセキュリティモニタセンタ。
【0034】
18:トラッキングセンタ16により支援されたインターネットポータルを介してトラッキングデータを一般にアクセスする多数のトラッキングアプリケーションクライアント。
【0035】
20:GPS受信機、又は位置、速度、方位及びトラッキングプロキシ12に関連する他の情報を表示するために使用される既存の船上ナビゲーションシステム25。このデータがプロキシ12により使用されて、報告メッセージの「値」を増大させる。
【0036】
21:手動で起動されるアラートシステム。これは、ハードワイヤードとすることができる。別の実施例では、アラートコードを送信するようにプログラムされた従来の移動電話とすることができる。
【0037】
22:トラッキングプロキシ12の動作及びメンテナンスのためのローカル制御端末。
【0038】
23:船舶上でRFIDタグ24と通信するために使用されるRFIDタグリーダ。
【0039】
システムの動作
各コンテナは、コンテナ内のセンサ及び位置をモニタするためのコンテナGPS受信機とインタフェースする1つ又は複数のGSM/GPRSモジュール10を装備している。これらのセンサは、一般に以下のパラメータをモニタする。
【0040】
・コンテナのドア状態。前記GSMモジュールは全てのドアの開閉動作をログ記録し、周期的に又はドアのイベントが発生したときにドアの活動を報告するように構成することができる。シールを壊すことなくコンテナを開けようとしてドアを取り外す試みは、同様にドアのイベントを発生させることになる。
【0041】
・コンテナ温度。前記GSMモジュールは温度変化をログ記録し、かつ周期的に又は予め設定された温度閾値に到達すると即座に、これらの変化を報告するように構成することができる。
【0042】
・コンテナ位置。前記GPS受信機は、位置情報を周期的に又は要求に応じて前記GSMモジュールに送信する。この位置情報は、前記GSMモジュールが周期的に又はコンフィグラブルな大きさだけ位置が変化した時に報告する。
【0043】
・速度の検出。GPSモジュール10は、アップデート毎に速度を表示し、この速度はモニタされかつログ記録することができる。この速度がコンフィグラブルな閾値を超えた場合には、警報を報告させることができる。
【0044】
・コンテナ湿度。GSMモジュール10は湿度変化をログ記録し、かつこれらの変化を周期的に又は予め設定された湿度閾値に達すると即座に、報告するように構成することができる。
【0045】
・コンテナの出力状態。冷凍機能付コンテナは通常内蔵型の発電器又はバッテリ又は船舶からの外部電源により給電する。
【0046】
・GSM/GPSモジュールのバッテリ。GSM/GPSモジュール10は一般に1個又は複数の乾電池で給電する。前記モジュールは乾電池の電圧をモニタして、そのレベルがコンフィグラブルなレベルまで低下すると警報を報告する。
【0047】
・タンパ表示。いずれかの船上コンテナ設備が不正にいじくられようとした場合、前記GSMモジュールは即座に表示(警報)を前記トラッキングセンタに送信する。
【0048】
・電子的又は物理的シールの破壊。
【0049】
・衝撃の検出。コンテナが落下したり落とされた場合、加速度計が衝撃のレベルを検出することができる、それが前記GSMモジュールによりログ記録されかつ報告される。
【0050】
・圧力。コンテナ圧力は、温度及び湿度について上述したようにログ記録されかつ報告することができる。これは特に、液体又はガスを運搬するコンテナについて適用される。
【0051】
・コンテナの内部又は外部における各放射線レベルをモニタするために使用される放射線検出。
【0052】
・コンテナ内の様々なガスの濃度レベルをモニタするために使用されるガスの検出。
【0053】
・化学・生物及び核兵器の検出。
【0054】
・RF識別タグ(RFIDタグ)はコンテナの識別及び追跡のために広くコンテナに使用される。GSMモジュール10は、前記タグからデータを読み取り、このデータをトラッキングセンタに周期的に又は要求に応じて送信するRFIDタグリーダを装備することができる。
【0055】
・GSM有効範囲。GSMモジュール10は、コンテナがGSMネットワークの範囲外に移動していることを示す表示を与えることができる受信信号強度の変化を報告するように構成することができる。GSMモジュール10は、GSM有効範囲の開始時間及び終了時間を記録しかつログすることができる。また、これは、誤った構成、システムの故障、偶発的な損害又はタンパリングにより生じる前記GSMネットワークの出力のあらゆる低下を記録する。前記ログを調べることによって、前記GSMモジュールが有効範囲外にあったこと及びその時間の長さを決定することができる。
【0056】
・GPS有効範囲。位置のアップデートによって、前記GPS受信機は手持ちの衛星の数を表示する。これにより、位置情報の品質及び精度の指標が得られる。この情報がGSMモジュールにより使用されて、GPS有効範囲の減少又はGPS有効範囲の完全な喪失を報告することができる。
【0057】
・予定された経路からのずれ。中間地点を含む経路情報及びスケジュールをトラッキングプロキシ12にダウンロードすることができ、かつ船舶が前記経路からずれたりスケジュールを逸した場合にはイベントが生成される。
【0058】
トラッキングプロキシ12は、モニタ装置10及び場合によってはリーダ23を介していくつかのFIDタグ24から受信した情報に基づいて報告メッセージを生成する。以下は、モニタ装置10とトラッキングプロキシ12間に現れるトラッキング及び状態メッセージの一例である。
【0059】
【表1】

【0060】
SMS Header:前記メッセージのルーティング情報
Lat:緯度
Lon:経度
UTC:時間表示
Fix:GPSフィックスの品質;0=無効、1=GPSフィックス、2=ディファレンシャルGPSフィックス
Sat:前記フィックスに使用される衛星の数
Status:例えばドアの開放、冷凍の故障のような離散的入力毎に1ビット
A/D:例えば温度センサのようなアナログ−デジタル変換器
【0061】
前記トラッキングプロキシにより一旦処理されると、トラッキングゲートウェイ15に送られるメッセージは、トラッキングプロキシ12が無効な位置データを有効なデータで置き換えかつそれ自身の識別名を付けている場合には、以下の様式を有する。
【0062】
【表2】

【0063】
SMS Header:SMSが別のまたは多数の宛先に送信される場合に前記トラッキングプロキシにより変更される、前記メッセージのルーティング情報。
Lat:緯度。元のフィックスデータが無効である場合に前記トラッキングプロキシの緯度で置き換えられる。
Lon:経度。元のフィックスデータが無効である場合に前記トラッキングプロキシの緯度で置き換えられる。
UTC:時間表示
Fix:GPSフィックスの品質;0=無効、1=GPSフィックス、2=ディファレンシャルGPSフィックス、3=トラッキングプロキシフィックス。
Sat:前記フィックスに使用される衛星の数。Fix=3の場合に前記トラッキングプロキシにより挿入される。
Status:例えばドアの開放、冷凍の故障のような状態入力毎に1ビット
A/D:例えば温度センサのようなアナログ−デジタル変換器
TP−Id.:前記トラッキングプロキシの識別
【0064】
トラッキングプロキシ12は、別の実施例では、多くのトラッキングプロキシ装置10からのデータを統合して、大幅に低い帯域幅の合計報告メッセージを生成することができる。また、報告メッセージは、ローカル端末22の入力に応答してトラッキングプロキシ12により生成することができる。これを達成するため、乗組員がコンテナの識別及び関連するパラメータをローカル制御端末22上で入力することができる。
【0065】
任意により、コンテナは複数のモジュールを備えることができる。これにより、高い価値のコンテナにはより高い信頼性が与えられ、かつタンパの検出がより良好に行われる。例えば、2個のモジュール10を備える場合、それらは連続的なハートビートメッセージを用いて互いにモニタするように構成することができる。一方のモジュール10は、他方のモジュール10が前記ハートビートに応答しない場合に、警報を報告することになる。また、ハートビートメッセージは、コンテナモジュール10とトラッキングプロキシ12間で交換することができる。トラッキングプロキシ12がコンフィグラブルなタイムアウト内にハートビートを受け取らない場合、アラートメッセージを関連するトラッキングセンタまたはセキュリティモニタセンタに送ることができる。
【0066】
周波数及び先に列挙したパラメータの閾値の報告は、トラッキングセンタ16内のトラッキングアプリケーションにより、又はトラッキングプロキシにより遠隔位置から構成することができる。これは、GPRSチャネルを通じてSMS又はIPを用いてコンテナのGSMモジュール10にコンフィギュレーションメッセージを送ることによって達成される。
【0067】
コンテナモジュール10が報告すべきイベントを有する場合には、SMSメッセージが船上BTS11を介してトラッキングプロキシ12に送られる。トラッキングプロキシ12は報告メッセージを生成し、かつそれを衛星リンクを介してトラッキングプロキシゲートウェイ15にアップロードする。
【0068】
トラッキングプロキシ12又はトラッキングプロキシ15は、位置座標のような情報を前記メッセージに送る前に挿入することができる。また、トラッキングプロキシ12又はトラッキングプロキシゲートウェイ15は、前記メッセージを1つ又は複数の追加のトラッキングセンタ又はセキュリティモニタセンタに送る必要があるかどうかを決定し、そうである場合には、他のセンタのために前記メッセージの複製を作成することができる。これは、ドアの開放またはタンパ検出のような緊急のイベントを関連当局に報告する必要がある、セキュリティに敏感なコンテナをトラッキングする場合に特に有用である。どのセンタが前記メッセージを受け取る必要があるかの決定は、最新の位置または地域の規則のような情報に依存することができる。一般に、セキュリティメッセージは、船舶の船籍のある国、目的港/国または直近の国にあるセキュリティモニタセンタに送られることになる。この情報は、トラッキングプロキシにおいて局所的に又は遠隔に構成することができる。SMS及び/又は他のメッセージプロトコルを用いて前記メッセージをトラッキング又はセキュリティモニタセンタに送ることができる。別の実施例では、このルーティング機能がGSMモジュール又はトラッキングセンタにおいて実行することができる。GSMモジュール10は、関連するトラッキングセンター又はセキュリティモニタセンタのアドレスをもって無線通信(over-the-air)で構成することができる。このモジュールのリモートコンフィギュレーションは、前記トラッキングプロキシにより又は前記トラッキング/セキュリティセンタにより行うことができる。
【0069】
モジュール10からの最初のメッセージ及び/又はトラッキングプロキシ10により生成される他のあらゆるメッセージは、LCT22の画面上に表示することができる。これによって船舶の人員は、コンテナのパラメータをモニタしかつ必要な場合に直接介入することができる。また、LCT22によって、乗組員は、トラッキング装置を備えていないか又はそのトラッキング装置が故障しているコンテナのために、状態及びイベントを入力することができる。これらの手動で入力されるメッセージが送られるアドレスは、通常船舶の積荷目録で各コンテナ毎に入力される。そうでない場合は、前記プロキシは船会社のアドレスのようなデフォルトの宛先のアドレスで構成することができる。また、LCT22は、トラッキングセンタ16またはセキュリティモニタセンタ17から受け取ったメッセージを表示することができる。
【0070】
任意により、トラッキングプロキシ12は、船舶の積荷目録の電子コピーにアクセスすることができる。これを用いて、積荷目録に申告されたものでアップデートした位置を有するコンテナをクロスチェックすることができる。申告されているコンテナと位置のアップデートを送るコンテナとの間における全ての不一致は、トラッキングプロキシにアラート報告メッセージを送信させる。
【0071】
トラッキングプロキシ12は、手動で起動されるアラームシステムへのインタフェースを有する。これにより乗組員は、ハイジャックが行われようとしているような緊急の場合に、アラートをセキュリティモニタセンタに送ることができる。乗組員は一般に、隠しボタンを押すことにより、又は携帯電話のような無線装置を用いることにより、警報装置を起動する。トラッキングプロキシ12は、アラートが起こされていることを示す表示を船上に生成することなく、予め決められたSMS報告メッセージを指定されたセキュリティセンタに送信する。この機能はSOLAS(船舶保安警報システム)の要件を満足している。
【0072】
トラッキングセンタに到達するメッセージはログ記録されて、各コンテナ毎及び人間の介入を必要とする重要なイベントが起こった場合に警報される関係者毎にイベントの履歴報告が提供される。また、トラッキングプロキシ12及びトラッキングプロキシゲートウェイ15はメッセージをログ記録して、トラッキングセンタ又はセキュリティモニタセンタが届かない状態になる場合における冗長度を提供することができる。
【0073】
また、トラッキングプロキシ12は、局所的にトラッキング装置をモニタすることができる。トラッキング装置は、状態をトラッキングプロキシ12に周期的に報告することができ、又はトラッキングプロキシ12により周期的にポーリングすることができる。トラッキングプロキシ12は、トラッキングプロキシゲートウェイ12又はドアの開放のような例外が起こっている場合には、他のモニタセンタに指示を送るだけである。これによって前記システムは、不必要にも衛星の帯域幅を用いて非常に頻繁にコンテナの状態をチェックすることができる。
【0074】
トラッキングアプリケーションが、船上の多くのコンテナをモニタしかつトラッキングプロキシ12が作動状態にあって連続的にアクセス可能なことを確認する必要がある場合には、トラッキングプロキシ12は定期的に合計状態報告をトラッキングアプリケーションに送ることができる。例えば、100個のコンテナを船上で60秒毎にポーリングすることができ、かつ単一の合計状態報告を60秒毎にトラッキングアプリケーションに送信して、各コンテナ及びトラッキングプロキシとの接触が60秒毎に行われていることを保証しつつ、衛星の費用を100対1で節約することができる。局所的に交換されたモニタメッセージの記録は、トラッキングプロキシゲートウェイに送信されて、ローカルトラフィックについて課金記録及び統計を生成できるようにすることができる。前記モジュールのポーリングは、プロキシ12が認証要求を提示しかつ前記要求が正しく応答されない場合に自動的にエラーの報告メッセージを生成することを含むことができる。
【0075】
船上GSMシステム及び陸上GSMシステムの有効範囲が、コンテナ上のGSMモジュール10はほとんど全ての環境下でトラッキングセンタと通信し得ることを保証する。GSMの通信範囲が利用できないような稀な場合には、GSM BTS及びトラッキングプロキシ12をエミュレートする小型のハンドヘルド無線装置がコンテナ内のモジュールと通信して、モニタされたパラメータの最新状態を読み取り、かつGSMモジュールの報告スキームを構成することができる。
【0076】
GSMモジュールは、任意により、或るコンテナ又は互いに異なるコンテナのGSMモジュール10がローカルアドホックネットワークを確立することにより互いに通信できるようにする短距離無線装置(例えば、WLAN802.11又はブルートゥース)を備えることができる。これによって、GSMモジュール10のピアツーピアモニタが可能となり、特定のコンテナとGSMネットワーク間に代わりの通信経路が提供される。任意により、前記トラッキングプロキシは、それに接続された802.11又は類似のアクセスポイントを持つことができ、それによってこれらの短距離無線リンクを用いてこれらのモジュールと直接通信することができる。
【0077】
トラッキングプロキシ12及びトラッキングプロキシゲートウェイ15はモニタすることができ、かつLCT22を用いて局所的に又は従来の操作及びメンテナンスセンタから遠隔位置から構成することができる。トラッキングプロキシ12及びトラッキングプロキシゲートウェイ15は衛星リンクの状態を連続的にモニタし、かつ警報メッセージをトラッキングセンタ又はセキュリティモニタセンタに送るように構成される。トラッキングプロキシ及びトラッキングプロキシゲートウェイは、必要な場合に課金センタにおける後処理のために課金記録を生成することができる。
【0078】
また、ゲートウェイ15は、そのプロキシ12のそれぞれに認証要求を生成し、かつ要求が合わない場合にエラーの報告メッセージを生成する。また、定期的なポーリング信号が応答されない場合に、エラーメッセージを生成する。
【0079】
本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、その構成及び詳細において様々に変化させることができる。例えば、前記BTSは、限定するものではないが、以下のものを含む他の無線プロトコルを支援することができる。
− CDMA(IS95)及びCDMA(CDMA2000,CDMA20001X等)の進化形
− UMTS及びUMTSの進化形
− GPRS,HSCSD,EDGEのようなGSMの進化形
− TDMA
− TD−SCDMA
− 無線LAN,RFC802.11
− ブルートゥース
− RFID無線プロトコル
【0080】
他の変形例では、本発明は、あらゆる船舶、陸上、海上、空中で使用することができ、また陸上のネットワークで利用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の船内通信システムを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラッキングプロキシからなるトラッキングシステムであって、
前記プロキシに関連する無線ローカルエリア内の少なくとも1つのコンテナモニタ装置と通信するためのローカルエリアインタフェースと、
モニタ装置データを受信しかつそれを用いて報告メッセージを生成するためのプロセッサと、
前記報告メッセージをリモートホストにアップロードするためのリモート通信インタフェースとを備えるトラッキングシステム。
【請求項2】
前記プロセッサが前記報告メッセージに地理的位置データを挿入する請求項1に記載のトラッキングシステム。
【請求項3】
位置モニタ装置を更に備え、前記プロセッサが前記位置モニタ装置からの入力を用いて前記位置データを決定する請求項2に記載のトラッキングシステム。
【請求項4】
前記プロセッサがモニタ装置データを解析処理して特定イベントを検出し、かつそれに従って通知を生成し、前記通知を前記報告メッセージに挿入する請求項1乃至3のいずれかに記載のトラッキングシステム。
【請求項5】
前記ローカルエリアインタフェースがモニタ装置と送信し、前記各モニタ装置が次に電子タグと通信する請求項1乃至4のいずれかに記載のトラッキングシステム。
【請求項6】
前記ローカルエリアインタフェースがモバイルネットワークプロトコルを用いて前記モニタ装置と通信する請求項5に記載のトラッキングシステム。
【請求項7】
前記プロトコルがSMSを使用する請求項6に記載のトラッキングシステム。
【請求項8】
前記プロセッサがモニタ装置データからコンテナの識別名を読み出す請求項1乃至7のいずれかに記載のトラッキングシステム。
【請求項9】
前記プロセッサがモニタ装置との双方向通信を行う請求項1乃至8のいずれかに記載のトラッキングシステム。
【請求項10】
前記プロセッサがモニタ装置に質問して状態データを決定する請求項9に記載のトラッキングシステム。
【請求項11】
前記プロセッサがモニタ装置のリモートコンフィギュレーションを実行する請求項9又は10に記載のトラッキングシステム。
【請求項12】
前記ローカルエリアインタフェースが船舶システムからの入力を受信し、前記プロセッサが船舶システム及び位置の情報を決定し、かつ前記プロセッサが前記情報を前記報告メッセージに挿入する請求項1乃至11のいずれかに記載のトラッキングシステム。
【請求項13】
前記プロセッサが、電子積荷目録に従って有効なコンテナモニタ装置を決定する請求項1乃至12のいずれかに記載のトラッキングシステム。
【請求項14】
前記プロキシがハートビートメッセージをコンテナモニタ装置と交換して通信エラーを検出し、検出したデータを前記報告メッセージに挿入する請求項1乃至13のいずれかに記載のトラッキングシステム。
【請求項15】
前記プロセッサが、ポーリングメッセージに対する応答の不存在を通信エラーとして取り扱う請求項14に記載のトラッキングシステム。
【請求項16】
前記プロセッサがポーリングメッセージに認証要求を入れ、かつ前記要求が正しく応答されない場合に通信エラーを表示する請求項13又は15に記載のトラッキングシステム。
【請求項17】
前記ローカルエリアインタフェースが手動で起動されるセキュリティアラート装置と通信し、前記プロセッサが手動での起動に応答して自動的にセキュリティアラート報告メッセージを生成する請求項1乃至16のいずれかに記載のトラッキングシステム。
【請求項18】
前記ローカルエリアインタフェースが、セキュリティコードを送信するモバイル装置を前記無線セキュリティアラート装置として取り扱う請求項17に記載のトラッキングシステム。
【請求項19】
前記トラッキングプロキシから報告メッセージを受信するためのトラッキングゲートウェイを更に備える請求項1乃至18のいずれかに記載のトラッキングシステム。
【請求項20】
前記トラッキングゲートウェイが複数の分散型トラッキングプロキシと通信する請求項19に記載のトラッキングシステム。
【請求項21】
前記トラッキングゲートウェイが、受信した報告メッセージに基づくトラッキング情報をトラッキングアプリケーションにアップロードする請求項19又は20に記載のトラッキングシステム。
【請求項22】
前記トラッキングゲートウェイが前記トラッキング情報を多数の冗長経路を介して送信する請求項21に記載のトラッキングシステム。
【請求項23】
前記トラッキングゲートウェイが前記トラッキングプロキシをポーリングする請求項20乃至22のいずれかに記載のトラッキングシステム。
【請求項24】
前記トラッキングゲートウェイが各プロキシへの認証要求を含み、かつ要求が有効に応答されない場合にエラーを表示する請求項23に記載のトラッキングシステム。
【請求項25】
ローカル制御端末を更に備え、かつ前記プロセッサが前記端末において状態及びイベントデータを受け取り、かつ前記データを用い前記報告メッセージを生成する請求項1乃至24のいずれかに記載のトラッキングシステム。
【請求項26】
コンテナモニタ装置により送信された状態及びイベントメッセージが前記ローカル制御端末上に表示される請求項25に記載のトラッキングシステム。
【請求項27】
前記ローカル制御端末が前記モニタ装置を直接質問するためのインタフェースを有する請求項25又は26に記載のトラッキングシステム。
【請求項28】
前記ローカル制御端末がモバイルネットワークを介して通信するハンドヘルド装置である請求項27に記載のトラッキングシステム。
【請求項29】
前記プロキシが専用モバイルネットワークを有する船舶上に配置され、かつこのネットワーク内で前記ローカル制御端末が通信する請求項28に記載のトラッキングシステム。
【請求項30】
前記プロセッサが、前記報告メッセージに含まれるイベントの性質に従って報告メッセージのアップロードを行うための経路を動的に選択する請求項1乃至29のいずれかに記載のトラッキングシステム。

【図1】
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【公表番号】特表2007−513846(P2007−513846A)
【公表日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−539067(P2006−539067)
【出願日】平成16年11月8日(2004.11.8)
【国際出願番号】PCT/IE2004/000155
【国際公開番号】WO2005/045718
【国際公開日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(506044915)スリーヴ・ミッシュ・インベンションズ・リミテッド (2)
【Fターム(参考)】