説明

コンテナ反転装置およびこれを備えた塵芥収集車

【課題】塵芥投入箱の側面下部に斜め前後方向にブラケットを延設することなく、ごみが収容されたコンテナを反転させてコンテナ内のごみを塵芥投入箱に投入するコンテナ反転装置およびこれを備えた塵芥収集車の提供。
【解決手段】塵芥投入箱2の両側方下部に垂直に設けられたブラケット10と、ブラケット10の上部に回動自在に軸支され、トルクシャフト16で左右が連結されたリフトアーム11と、ブラケット10の下部に一端部が軸支され、他端部がリフトアーム11の中途部に軸支され、伸縮動作によりリフトアーム11を回動させる伸縮シリンダ13とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭や工場などから発生したごみを塵芥収容箱内に投入するに際し、ごみが収容されたコンテナを反転させてコンテナ内のごみを塵芥投入箱に投入するコンテナ反転装置およびこれを備えた塵芥収集車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、塵芥収集車の塵芥投入箱後部の支持台にごみが収容されたコンテナを保持した後、この支持台をコンテナとともに上方に持ち上げ、コンテナの上部開口が塵芥投入箱の投入開口部に臨む位置まで反転させることで、コンテナ内のごみを塵芥投入箱に投入するコンテナ反転装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図6は従来のコンテナ反転装置を備えた塵芥収集車後部の部分拡大側面図である。図6に示すように、従来のコンテナ反転装置50は、塵芥投入箱2の投入口3の下端縁に設けられている。塵芥投入箱2の側面の下部にはブラケット51が固定されている。ブラケット51は、後方斜め上方に向かって延設されている。このブラケット51の先端部には、コンテナCを持ち上げるリフトアーム52の上端部が、ピン53によって回動自在に軸支されている。
【0004】
また、ブラケット51の基端部には、伸縮シリンダ54の基端部が軸支されている。この伸縮シリンダ54のロッド端はリフトアーム52の中途部に軸支されており、伸縮シリンダ54の伸縮動作によりリフトアーム52がピン53を中心に回動するように構成されている。これらのブラケット51、リフトアーム52、伸縮シリンダ54は、塵芥投入箱2の両側面に左右対称に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3143288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記従来のコンテナ反転装置では、図6に示すようにブラケット51および伸縮シリンダ54が塵芥投入箱2の側面下部に斜め前後方向に延設されており、塵芥投入箱2の側面下部の多くのスペースを占めているため、無駄なスペースが多い。また、コンテナ反転装置50に隣接してスイッチ55を設ける場合、サイドカバー56の適所に凹部を形成し、そこにスイッチ55を設けなければならなかった。さらに、サイドポケット57を設けようとすれば、ブラケット51に合わせて切欠きを形成する必要があり、サイドポケット57として構成できないときもあった。
【0007】
そこで、本発明においては、塵芥投入箱の側面下部に斜め前後方向にブラケットを延設することなく、ごみが収容されたコンテナを反転させてコンテナ内のごみを塵芥投入箱に投入するコンテナ反転装置およびこれを備えた塵芥収集車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のコンテナ反転装置は、塵芥が投入される塵芥投入箱の両側方下部に垂直に設けられたブラケットと、ブラケットの上部に回動自在に軸支され、トルクシャフトで左右が連結されたリフトアームと、ブラケットの下部に一端部が軸支され、他端部がリフトアームの中途部に軸支され、伸縮動作によりリフトアームを回動させる伸縮シリンダとを有するものである。
【0009】
本発明のコンテナ反転装置によれば、塵芥投入箱の両側方下部に垂直に設けられたブラケットの下部に一端部が軸支され、他端部がリフトアームの中途部に軸支された伸縮シリンダによって、リフトアームを回動させ、このリフトアームの回動によりコンテナを後方開口部へ向けて反転させて、コンテナ内のごみを塵芥投入箱に投入することができる。
【0010】
また、本発明のコンテナ反転装置は、塵芥投入箱の側面下部に伸縮シリンダを作動させるスイッチを備えることが望ましい。本発明のコンテナ反転装置によれば、塵芥投入箱の側面下部に斜め前後方向にブラケットおよび伸縮シリンダが配置されないので、塵芥投入箱の側面下部にスペースが空く。したがって、この位置に伸縮シリンダを作動させるスイッチを配置することができる。また、この塵芥投入箱の側面下部には、サイドポケットを備えることが可能である。
【発明の効果】
【0011】
(1)塵芥投入箱の両側方下部に垂直に設けられたブラケットと、ブラケットの上部に回動自在に軸支され、トルクシャフトで左右が連結されたリフトアームと、ブラケットの下部に一端部が軸支され、他端部がリフトアームの中途部に軸支され、伸縮動作によりリフトアームを回動させる伸縮シリンダとを有するコンテナ反転装置によれば、塵芥投入箱の側面下部に斜め前後方向にブラケットおよび伸縮シリンダが配置されないので、狭い路地での走行性が向上する。また、従来のように斜め前後方向に延設されたブラケットとは異なり、ブラケットを上下方向に延設することができるため、車体に対して上下方向の位置を設定しやすくなる。
【0012】
(2)塵芥投入箱の側面下部にブラケットに隣接して伸縮シリンダを作動させるスイッチを備えたことにより、リフトアームにコンテナを保持した状態で、すぐ傍のスイッチを操作すれば伸縮シリンダを作動させることが可能となり、作業性が向上する。
【0013】
(3)塵芥投入箱の側面下部にサイドポケットを備えたことにより、塵芥投入箱の側面下部に空いたスペースを物入れとして有効活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態におけるコンテナ反転装置を備えた塵芥収集車後部の部分拡大側面図である。
【図2】図1のコンテナ反転装置の背面図である。
【図3】図1のコンテナ反転装置の平面図である。
【図4】図1のA−A矢視図である。
【図5】図1のロック装置の拡大図である。
【図6】従来のコンテナ反転装置を備えた塵芥収集車後部の部分拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は本発明の実施の形態におけるコンテナ反転装置を備えた塵芥収集車の後部拡大側面図、図2は図1のコンテナ反転装置の背面図、図3は図1のコンテナ反転装置の平面図、図4は図1のA−A矢視図、図5は図1のロック装置の拡大図である。
【0016】
図1において、本発明の実施の形態における塵芥収集車は、車体上に塵芥収容箱1が搭載され、この塵芥収容箱1の後端の後方開口部1aに連接された塵芥投入箱2を備えている。塵芥投入箱2の後部には、塵芥を投入する投入口3が開口されている。また、この投入口3の後方には、ごみが収容されたコンテナCを保持し、反転させて、このコンテナC内のごみを塵芥投入箱2に投入するコンテナ反転装置4が設けられている。
【0017】
塵芥投入箱2内には図示しない塵芥積込装置が装備されており、投入口3から塵芥投入箱2内に投入された塵芥を圧縮して塵芥収容箱1に積み込むようになっている。塵芥投入箱2内には、前後方向に摺動自在な排出板(図示せず。)が装備されている。この排出板と塵芥収容箱1の前部との間には図示しない伸縮シリンダが連設されている。この伸縮シリンダの伸縮作動により排出板が塵芥収容箱1内を車体の前後方向に往復動することで、塵芥積込装置による塵芥収容箱へのごみの積み込み時におけるごみの圧縮および塵芥収容箱1内に収容されたごみの排出が行われる。
【0018】
コンテナ反転装置4は、塵芥投入箱2の両側方下部に垂直に設けられたブラケット10と、コンテナCを反転させるリフトアーム11と、コンテナCをリフトアーム11に保持するロック装置12と、リフトアーム11を回動させる伸縮シリンダ13と、伸縮シリンダ13を作動させるスイッチ14と有する。ブラケット10、リフトアーム11、ロック装置12および伸縮シリンダ13は、塵芥投入箱2の後方の左右両側に左右対称に設けられている。スイッチ14は、塵芥投入箱2の側面下部にコンテナ反転装置4に隣接して設けられている。
【0019】
ブラケット10は、塵芥投入箱2の両側方下部に後方に突出させて上下方向に延設されている。ブラケット10の上端部にはリフトアーム11の上端部がピン15によって回動自在に軸支されている。また、ブラケット10の下端部には伸縮シリンダ13の基端部がピン13aによって軸支されている。一方、伸縮シリンダ13のロッド端はリフトアーム11の中途部にピン13bによって軸支されている。この伸縮シリンダ13の伸縮動作によりリフトアーム11はピン15を中心に回動する。
【0020】
また、図2および図3に示すように左右のリフトアーム11は、回動が同調するようにトルクシャフト16によって連結されている。トルクシャフト16には、ブラケット17を介してローラ18が設けられている。ローラ18は、コンテナCを持ち上げて反転させる際に、コンテナCの側面を支持する支持部を構成する。また、ローラ18は、コンテナCを支持した際にこのコンテナCとの摩擦抵抗を緩和する。さらに、左右のリフトアーム11の内側には、トルクシャフト16の両端部にかけて取付板19がそれぞれ設けられている。ロック装置12は、この取付板19に設けられている。
【0021】
ロック装置12は、図5に示すようにブラケット20を介してピン20aにより軸支された略逆J字状の上ロック部材22と、ブラケット21を介してピン21aにより軸支された略V字状の下ロック部材23とから構成されている。上ロック部材22と下ロック部材23とは同一垂直面上に上下に配置されている。また、下ロック部材23の一端に形成された長孔24には、上ロック部材22の一端にブラケット25を介して固設されたピン26が遊嵌されている。
【0022】
このように構成されたロック装置12は、図5において実線で示す固縛位置と、二点鎖線で示す開放位置とを採ることができ、固縛位置において上ロック部材22と下ロック部材23とで形成された開口部27内でコンテナCの一側面に配設された保持ピンC1を保持する。
【0023】
また、ロック装置12には、上ロック部材22と下ロック部材23とが固縛位置にあるときに、開放位置への動作を阻止し、固縛位置で保持するロックピン28が設けられている。ロックピン28は、図5に示すように、下ロック部材23の途中部下端に形成された切欠部23aに係脱自在に配置されており、図2および図3に示すようにロックレバー29の回動により係脱操作を行うように構成されている。なお、ロックピン29は、付勢部材30により通常ロック装置12を固縛位置で保持する方向に付勢されている。
【0024】
また、図2に示すように、塵芥投入箱2の投入口3の下縁部の適所にも、前述のローラ18と同様のローラ31が、ブラケット32を介して設けられている。これらのローラ31もローラ18と同様に、コンテナCを持ち上げて反転させる際に、コンテナCの側面を支持する支持部を構成する。また、ローラ31は、コンテナCを支持した際にこのコンテナCとの摩擦抵抗を緩和する。
【0025】
また、本実施形態における塵芥収集車は、図1および図4に示すように、塵芥投入箱2の両側面下部にサイドポケット33を備えている。サイドポケット33は、塵芥投入箱2の側面に突設されたブラケット34にヒンジ35を介して回動自在に設けられている。また、サイドポケット33の内側(塵芥投入箱2側)に突設されたブラケット36と塵芥投入箱2の側面に突設されたブラケット37とが付勢部材38によって連結されている。サイドポケット33は、この付勢部材38によって図4に実線にて示す収納位置へ付勢されている。
【0026】
次に、上記構成のコンテナ反転装置4の動作について説明する。
【0027】
まず、ロック装置12が図5の二点鎖線で示す開放位置にある状態で、ごみを収容したコンテナCをコンテナ反転装置4に近接配置し、コンテナCの保持ピンC1をロック装置12の上ロック部材22の下端部に当接させながらコンテナ反転装置4側に押圧していく。この作用により、上ロック部材22および下ロック部材23が開放位置から固縛位置に作動し、コンテナCの保持ピンC1がロック装置12に固縛されるとともに、ロックピン29が付勢部材の付勢力により下ロック部材23の切欠部23aに係止し、固縛状態が保持される。
【0028】
この後、スイッチ14を操作して伸縮シリンダ13を伸長させると、リフトアーム11が上方に回動し、ロック装置12に固縛されたコンテナCが若干後ろ下がりに傾斜し、コンテナCの側面がローラ18に支持された状態で持ち上げられる。そして、さらに、リフトアーム11が上方に回動することで、コンテナCが反転し、このコンテナCの上部開口が下向き状態で塵芥投入箱2の投入口3に臨み、コンテナC内のごみが塵芥投入箱2に投入される。このとき、コンテナCの側面はローラ31に支持され、コンテナCの保持ピンC1がロック装置12の開口部27の止端まで滑ることで、コンテナCが投入口3に向かって降下し、開口部27の止端に衝突する際の衝撃により、コンテナC内の塵芥を投入口3に残らず投入できるようにしている。
【0029】
上記構成のコンテナ反転装置4では、塵芥投入箱2の側面下部に図6に示す従来の斜め前後方向のブラケット51および伸縮シリンダ54が配置されず、従来のように斜め前後方向に延設されたブラケット51とは異なり、ブラケット10を上下方向に延設するため、このブラケット10は車体に対して上下方向の位置を設定しやすく、容易に取り付け可能である。
【0030】
また、このコンテナ反転装置4では、サイドカバー56の適所に凹部を形成し、この凹部にスイッチ14を設けることなく、塵芥投入箱2の側面下部にブラケット10に隣接して伸縮シリンダ13を作動させるスイッチ14を備えているので、リフトアーム11にコンテナCを保持した状態で、すぐ傍のスイッチ14を操作すれば伸縮シリンダ13を作動させて、コンテナCを反転させることが可能であり、スイッチ14の取り付けが容易である。
【0031】
また、このコンテナ反転装置4では、塵芥投入箱2の側面下部に図6に示す従来の斜め前後方向のブラケット51および伸縮シリンダ54が配置されないので、塵芥投入箱2の側面下部にサイドポケット33を備えることができ、塵芥投入箱2の側面下部に空いたスペースを物入れとして有効活用できている。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明のコンテナ反転装置は、家庭や工場などから発生したごみを塵芥収容箱内に収集するに際し、ごみが収容されたコンテナを反転させてコンテナ内のごみを塵芥投入箱に投入する装置として有用である。
【符号の説明】
【0033】
C コンテナ
1 塵芥収容箱
2 塵芥投入箱
3 投入口
4 コンテナ反転装置
10 ブラケット
11 リフトアーム
12 ロック装置
13 伸縮シリンダ
14 スイッチ
16 トルクシャフト
17 ブラケット
18 ローラ
19 取付板
20,21 ブラケット
22 上ロック部材
23 下ロック部材
28 ロックピン
29 ロックレバー
30 付勢部材
31 ローラ
32 ブラケット
33 サイドポケット
38 付勢部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塵芥が投入される塵芥投入箱の両側方下部に垂直に設けられたブラケットと、
前記ブラケットの上部に回動自在に軸支され、トルクシャフトで左右が連結されたリフトアームと、
前記ブラケットの下部に一端部が軸支され、他端部が前記リフトアームの中途部に軸支され、伸縮動作により前記リフトアームを回動させる伸縮シリンダと
を有するコンテナ反転装置。
【請求項2】
前記塵芥投入箱の側面下部に前記ブラケットに隣接して前記伸縮シリンダを作動させるスイッチを備えた請求項1記載のコンテナ反転装置。
【請求項3】
前記塵芥投入箱の側面下部にサイドポケットを備えた請求項1または2に記載のコンテナ反転装置。
【請求項4】
塵芥が投入される塵芥投入箱を備えた塵芥収集車であって、
前記塵芥投入箱の両側方下部に垂直に設けられたブラケットと、
前記ブラケットの上部に回動自在に軸支され、トルクシャフトで左右が連結されたリフトアームと、
前記ブラケットの下部に一端部が軸支され、他端部が前記リフトアームの中途部に軸支され、伸縮動作により前記リフトアームを回動させる伸縮シリンダと
を有するコンテナ反転装置を備えた塵芥収集車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−152975(P2011−152975A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−14782(P2010−14782)
【出願日】平成22年1月26日(2010.1.26)
【出願人】(000002358)新明和工業株式会社 (919)
【Fターム(参考)】