説明

コンテナ積載方法

【課題】 荷役車両に対して斜めに配置された状態で地上に置かれたコンテナを、持ち上げて広い場所まで移動して車台上に積載することができるコンテナ積載方法を提供する。
【解決手段】 荷役車輌の案内ローラ6の外側に支持ローラ7を設け、この支持ローラ7で支持して荷役車両1に対して斜めに配置された状態で地上に置かれたコンテナ10を積降装置5で地面から一時的に短距離引き上げた状態で、荷役車両1を障害物の存在しない広いコンテナ積載用空間Sに移動させる。そして、コンテナ積載用空間Sでコンテナ10を地面に降ろし、コンテナ10のコンテナ縦中心線Cと荷役車両1の車台縦中心線Cとが一致するように荷役車両1を移動させ、積降装置5でコンテナ10を再度引き上げて車台4上に積載する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテナ積載方法に関し、特に、地上に載置されたコンテナを荷台車両の車台上に積載する際に用いられるコンテナ積載方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車台上と地上との間でコンテナを積降するように構成された図5に示すような荷役車両100が提案され、実用化されている。かかる荷役車両100には、コンテナ200を積降するための積降装置110が設けられるとともに、車台の後端左右に一対の案内ローラ120が軸支されている。また、コンテナ200の底部には、前後方向に延在する主桁が設けられており、このコンテナ200を荷役車両100に積載する際には、積降装置110でコンテナ200を引き上げるとともに、コンテナ100の主桁を案内ローラ120で車台上の所定位置に案内して積載するようにしていた。
【0003】
ところで、図5(a)に示すように荷役車両100からコンテナ200を降ろして所定の場所に設置した後、コンテナ200の周囲に図5(b)に示すような障害物(建物や建機等)300が置かれる場合がある。かかる場合には、コンテナ200に対して荷役車両100を斜めに(荷役車両100の車台前後方向における中心線(以下「車台縦中心線」という)Cと、コンテナ200の前後方向における中心線(以下「コンテナ縦中心線」という)Cと、が交差する状態で)しか寄せることができないことがある。
【0004】
このような場合に、従来は荷役車両100に積降装置110を介してコンテナ200を連結し、荷役車両100を走行させてコンテナ200を比較的広い場所まで引き摺って移動させた後、積降装置110でコンテナ200を引き上げて車台に積載する、という方法を採用していた。また、現在においては、荷役車両100の案内ローラ120に特定の傾斜案内片を設けることにより、引き上げる途中でコンテナ200の位置合わせ(センタリング)を行う技術も提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2004−42853号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前記したようにコンテナ200を広い場所まで引き摺って移動させた後に引き上げる方法を採用すると、コンテナ200の底部が地面(多くは不整地)との摩擦により損傷してしまう、という問題があった。また、図5(b)に示すように車台縦中心線Cとコンテナ縦中心線Cとの交差角αが大きい場合には、前記した特許文献1に記載の技術を採用しても、コンテナ200の位置合わせをするのは困難であった。
【0006】
本発明の課題は、荷役車両に対して斜めに配置された状態(荷役車両の車台縦中心線とコンテナ縦中心線とが交差している状態)で地上に載置されたコンテナを、損傷させることなく容易かつ確実に車台上に積載することができるコンテナ積載方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、前記積降装置で引き上げた前記コンテナを車台上の所定位置に案内する案内ローラが前記車台の後端左右に水平回転軸を中心に回転自在に設けられてなる荷役車両に、前記荷役車両の車台縦中心線とコンテナ縦中心線とが交差している状態で地面に載置されたコンテナを積載する方法であって、
前記積降装置で引き上げた前記コンテナの底部を下方から支持して前記コンテナを地面から一時的に離隔させるための支持部材を、前記各案内ローラの外方に所定長延在するように設ける支持部材設置工程と、
前記積降装置で前記コンテナを引き上げ、前記コンテナの底部を前記支持部材で下方から支持することにより、前記コンテナを地面から一時的に離隔させるコンテナ引上工程と、
前記積降装置で前記コンテナを地面から離隔させた状態で、前記荷役車両を障害物の存在しないコンテナ積載用空間に移動させる車両移動工程と、
前記コンテナ積載用空間において前記積降装置で前記コンテナを地面に降ろして前記積降装置と前記コンテナを離すコンテナ降下工程と、
前記コンテナ積載用空間において地面に載置した前記コンテナのコンテナ縦中心線と、前記荷役車両の車台縦中心線と、が一致するように前記荷役車両を移動させる位置合わせ工程と、
前記積降装置で前記コンテナを引き上げ、前記コンテナを前記案内ローラで前記車台上の所定位置に案内して積載する積載工程と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、コンテナを積降するための積降装置が設けられるとともに、前記積降装置で引き上げた前記コンテナを車台上の所定位置に案内する案内ローラが前記車台の後端左右に水平回転軸を中心に回転自在に設けられてなる荷役車両に、前記荷役車両の車台縦中心線とコンテナ縦中心線とが交差している状態で地面に載置されたコンテナを積載する方法であって、
前記積降装置で引き上げた前記コンテナの底部を下方から支持して前記コンテナを地面から一時的に離隔させるための支持ローラを、前記各案内ローラの外方に所定長延在するように水平回転軸を中心に回転自在に設ける支持ローラ設置工程と、
前記積降装置で前記コンテナを引き上げ、前記コンテナの底部を前記支持ローラで下方から支持することにより、前記コンテナを地面から一時的に離隔させるコンテナ引上工程と、
前記積降装置で前記コンテナを地面から離隔させた状態で、前記荷役車両を障害物の存在しないコンテナ積載用空間に移動させる車両移動工程と、
前記コンテナ積載用空間において前記積降装置で前記コンテナを地面に降ろして前記積降装置と前記コンテナを離すコンテナ降下工程と、
前記コンテナ積載用空間において地面に載置した前記コンテナのコンテナ縦中心線と、前記荷役車両の車台縦中心線と、が一致するように前記荷役車両を移動させる位置合わせ工程と、
前記積降装置で前記コンテナを引き上げ、前記コンテナを前記案内ローラで前記車台上の所定位置に案内して積載する積載工程と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項1又は請求項2に記載の発明によれば、まず、荷役車両の案内ローラの外方に特定の支持ローラ、摺動材等の支持部材を設け、積降装置でコンテナを引き上げて支持部材でコンテナの底部を下方から支持してコンテナを地面から一時的に離隔させる。次いで、コンテナを地面から離隔させた状態で、障害物の存在しないコンテナ積載用空間に荷役車両及びコンテナを移動させ、このコンテナ積載用空間でコンテナを降ろす。続いて、荷役車両を移動させて荷役車両の車台縦中心線とコンテナ縦中心線とを一致させた後、積降装置でコンテナを再度引き上げ、案内ローラでコンテナを車台上の所定位置に案内して積載する。
【0010】
従って、建物や建機等の各種障害物によって、コンテナに対して荷役車両を斜めに(荷役車両の車台縦中心線とコンテナ縦中心線とが交差する状態で)しか寄せることができない場合においても、コンテナを容易にかつ確実に車台に積載することができる。また、コンテナの底部が引き摺られることがないので、コンテナの底部の損傷を未然に防ぐことができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載のコンテナ積載方法において、前記積降装置は、前記車台に基端が回動自在に軸支された基部腕と、前記基部腕の内部に摺動自在に嵌挿された先部腕と、を有する伸縮自在な荷役腕を備え、前記コンテナ引上工程では、前記荷役腕で前記コンテナを引き上げる際に、前記荷役腕を伸長させることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、積降装置として基部腕と先部腕の摺動により伸縮自在な荷役腕を採用し、この荷役腕でコンテナを引き上げる際に荷役腕を伸長させるので、コンテナの前方底部と、荷役車両の後部に設けられた各種機器(テールランプやリアバンパ等)と、の間に充分なクリアランスを設けることができる。この結果、荷役車両の後部に設けられた各種機器の破損を未然に防止することができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載のコンテナ積載方法において、前記積降装置は、 前記車台に基端が回動自在に軸支された基部腕と、前記基部腕に揺動自在に軸支された先部腕と、を有する伸縮自在な荷役腕を備え、前記コンテナ引上工程では、前記荷役腕で前記コンテナを引き上げる際に、前記荷役腕を伸長させることを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、積降装置として基部腕と先部腕の揺動により伸縮自在な荷役腕を採用し、この荷役腕でコンテナを引き上げる際に荷役腕を伸長させるので、コンテナの前方底部と、荷役車両の後部に設けられた各種機器(テールランプやリアバンパ等)と、の間に充分なクリアランスを設けることができる。この結果、荷役車両の後部に設けられた各種機器の破損を未然に防止することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、荷役車両に対して斜めに配置された状態で地上に載置されたコンテナを積降装置で引き上げ、支持ローラ、摺動材等の支持部材で下方から支持して地面から一時的に離隔させ、障害物の存在しない空間に荷役車両及びコンテナを移動させてコンテナを降ろし、荷役車両の車台縦中心線とコンテナ縦中心線とを一致させた後に積降装置でコンテナを再度引き上げて積載するので、コンテナを損傷させることなく容易かつ確実に車台上に積載することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を、図を用いて詳細に説明する。
【0017】
[第1の実施の形態]
まず、図1〜図3を用いて、本発明の実施の形態に係るコンテナ積載方法で使用される荷役車両1及びコンテナ10の構成について説明する。
【0018】
荷役車両1は、図1〜図3に示すように、運転席2の後方に設けられたシャーシフレーム3、シャーシフレーム3の上に固定されたサブフレーム4、サブフレーム4と地上との間でコンテナ10の積降を行うための積降装置5、サブフレーム4の後端左右に設けられた一対の案内ローラ6、各案内ローラ6の外方に設けられた一対の支持ローラ7、等を備えて構成されている。サブフレーム4は本発明における車台である。
【0019】
また、コンテナ10は、図1及び図3に示すような略直方体形状の筐体であり、その底面には、前後方向に延在する左右一対の主桁10aが設けられている。コンテナ10の左右の主桁10aの間隔は、荷役車両1に設けられた左右の案内ローラ6の間隔と略同一とされ、荷役車両1に対してコンテナ10を真直ぐに(荷役車両1の車台縦中心線Cとコンテナ縦中心線Cとが一致している状態で)引き上げた場合に、荷役車両1の案内ローラ6上にコンテナ10の主桁10aが載るようになっている。
【0020】
荷役車両1の積降装置5は、図1〜図3に示すように、サブフレーム4の後端部に回動軸11aを介して後方に傾動自在に軸支された左右一対の傾動フレーム11と、各傾動フレーム11の前方に設けられた支持軸12aを介して回動自在に連結されたL字状の荷役腕12と、を備えている。
【0021】
荷役腕12は、基端が傾動フレーム11に回動自在に軸支された基部腕13と、この基部腕13の内部に摺動自在に嵌挿されたL字状の先部腕14と、基部腕13と先部腕14との間に設けられた伸縮自在な図示されていない伸縮シリンダと、を有し、伸縮シリンダの伸縮動作により伸縮するように構成されている。先部腕14の先端には、コンテナ10に設けられた係止部に係止するフック14aが設けられている。
荷役腕12の伸縮は、基部腕13と先部腕14との間に車両1の左右方向に延在する軸を有する関節を設け、基部腕13に先部腕14を揺動自在に軸支させることによって実現しても良い。
【0022】
コンテナ10が荷役車両1のサブフレーム4上に搭載されている状態においては、図2のAに示すように荷役腕12が前端まで伸長した状態にある。また、サブフレーム4上に搭載されたコンテナ10を地上に降ろす場合には、荷役腕12を収縮させて図2のBに示すように先部腕14を後退移動させ、この状態で、支持軸12aを中心に荷役腕12を図2のCに示すように後方へ回動させる。これにより、コンテナ10がその自重により地上に降ろされることとなる。
【0023】
また、地上に載置されたコンテナ10を引き上げる場合には、荷役腕12の先部腕14の先端に設けられたフック14aをコンテナ10の係止部に係止させ、支持軸12aを中心に荷役腕12を、図2において反時計回りに、前方へ回動させる。この際、図2のDに示すように荷役腕12を伸長させることにより、コンテナ10の前方底部と荷役車両1の後部に設けられた各種機器(テールランプ8やリアバンパ等)と、の間に充分なクリアランスを設けることができる。
【0024】
また、荷役車両1のサブフレーム4上に搭載したコンテナ10を傾動させる場合には、荷役腕12の基部腕13を傾動フレーム11に対して固定し、支持軸12aを中心とした回動動作を規制する。そして、図2のEに示すように、回動軸11aの回りに傾動フレーム11と荷役腕12とを一体的に後方へ傾動させることにより、コンテナ10を傾動させることができるようになっている。
【0025】
荷役車両1の案内ローラ6は、図1及び図3に示すように、サブフレーム4の後端の車台縦中心線Cを挟んで左右対称の位置に配置され、左右方向に延在する水平回転軸を中心に回転自在に軸支されている。案内ローラ6の本体部6aの左右方向における長さは、コンテナ10の主桁10aを支持可能な寸法に設定される。また、案内ローラ6の本体部6aの外側端部には、コンテナ10の主桁10aを案内するためのフランジ6bが設けられている。フランジ6bの外径は、本体部6aの外径よりも大きくなるように設定されており、荷役車両1のサブフレーム4に対してコンテナ10を真直ぐに引き上げた場合に、コンテナ10の主桁10aの外側端部が案内ローラ6のフランジ6bによって案内されるようになっている。
【0026】
荷役車両1の支持ローラ7は、図1及び図3に示すように、荷役車輌の後端部で案内ローラ6の外方に配置され、案内ローラ6の水平回転軸と同一の、又は別に設けた水平軸を中心に回転自在に軸支されている。支持ローラ7は、積降装置5によって引き上げられたコンテナ10を下方から支持して、コンテナ10を地面から離隔させるためのものであり、コンテナ10の重量に耐え得る強度を有するように構成されている。本実施の形態においては、鋼鉄製の支持ローラ7を採用している。
【0027】
支持ローラ7の外径は、本実施の形態では案内ローラ6のフランジ6bの外径と略同一寸法に設定されているが、同一でなくてもよく、積込時にコンテナ10に案内ローラ6が干渉しないように、支持ローラ7の後端が案内ローラ7の後端と同じかより後方に位置し、そして支持ローラ7の上端が案内ローラの上端と同等かより上に位置する高さにくるようにする。また、支持ローラ7の左右方向における長さ(所定長)は、図1(a)及び図3(a)に示すように、支持ローラ7の外側端部が荷役車両1の最大車幅位置Lよりも外方に突出しないような寸法に設定する。本実施の形態においては、支持ローラ7の左右方向における長さ(所定長)を、荷役車両1の車台縦中心線Cとコンテナ縦中心線Cとの交差角αが最大20°の状態で引き上げたコンテナ10を支持することができるような寸法に設定している。
【0028】
次に、図1〜図4を用いて、本発明の実施の形態に係るコンテナ積載方法を説明する。
【0029】
まず、前記した荷役車両1を準備する。荷役車両1の各案内ローラの外方には、所定長の支持ローラ7が設けられている(支持ローラ設置工程)。次いで、図4(a)に示すように、コンテナ10に対して荷役車両1を近接させる(車両寄せ工程)。本実施の形態においては、コンテナ10の周囲に図示されていない障害物が存在するため、コンテナ10に対して荷役車両1を斜めにしか寄せることができないようになっており、車台縦中心線Cとコンテナ縦中心線Cとの交差角αは比較的大きい値(18°〜20°)となっている。
【0030】
次いで、荷役車両1の積降装置5を構成する荷役腕12の先部腕14に設けられたフック14aをコンテナ10の係止部に係止させ、支持軸12aを中心に荷役腕12を前方へ回動させてコンテナ10を引き上げる。そして、図1(b)、図3(a)及び図4(b)に示すように、コンテナ10の主桁10aを支持ローラ7に当接させ、さらに移動もしくは回転させてコンテナ10の底部を支持ローラ7で下方から支持することにより、コンテナ10を地面から一時的に離隔させる(コンテナ引上工程)。
【0031】
コンテナ引上工程においてコンテナ10を引き上げる際には、図2のDに示すように荷役腕12を伸長させることにより、コンテナ10の前方底部と荷役車両1の後部に設けられた各種機器(テールランプ8やリアバンパ等)との間に充分なクリアランスを設けて、機器の破損を未然に防止する。そして、コンテナ10の前方底部が荷役車両1の後部に設けられた各種機器の上方を通過した段階で、荷役腕12を漸次収縮させるようにする。また、作業者は、コンテナ10の主桁10aが荷役車両1の支持ローラ7上に載置されたか否かを目視確認する。
【0032】
次いで、図4(b)に示すように荷役車両1の積降装置5でコンテナ10を地面から離隔させた状態で荷役車両1を移動させ、荷役車両1及びコンテナ10を図4(c)に示すようなコンテナ積載用空間Sに配置する(車両移動工程)。ここで、コンテナ積載用空間Sとは、荷役車両1がコンテナ10に対して自由に位置を変更でき、荷役車両1に対してコンテナ10を真直ぐに(車台縦中心線Cとコンテナ縦中心線Cとを一致させた状態で)配置して引き上げることが可能な充分な広さを有する障害物のない空間を意味する。
【0033】
次いで、図4(d)に示すように、コンテナ積載用空間Sにおいて荷役車両1の積降装置5でコンテナ10を降ろして地面に置く(コンテナ降下工程)。そして、地面に置いたコンテナ10のコンテナ縦中心線Cと、荷役車両1の車台縦中心線Cと、が一致するように荷役車両1を移動させる(位置合わせ工程)。その後、積降装置5でコンテナ10を再度引き上げ、案内ローラ6でコンテナ10をサブフレーム4上の所定位置に案内しながら積載する(積載工程)。
【0034】
以上説明した実施の形態に係るコンテナ積載方法においては、まず、荷役車両1の案内ローラ6の外方に特定の支持ローラ7を設け、積降装置5でコンテナ10を引き上げて支持ローラ7でコンテナ10の底部を下方から支持してコンテナ10を地面から一時的に短距離持ち上げる。次いで、コンテナ10を地面から離隔させた状態で、障害物の存在しないコンテナ積載用空間Sに荷役車両1及びコンテナ10を移動させ、このコンテナ積載用空間Sでコンテナ10を降ろす。続いて、積降装置5とコンテナ10とを分離し荷役車両1を移動させて荷役車両1の車台縦中心線Cとコンテナ縦中心線Cとを一致させた後、積降装置5でコンテナ10を再度引き上げ、案内ローラ6でコンテナ10をサブフレーム4上の所定位置に案内して積載する。
【0035】
従って、建物や建機等の各種障害物によって、コンテナ10に対して荷役車両1を斜めに(荷役車両1の車台縦中心線Cとコンテナ縦中心線Cとが交差する状態で)しか寄せることができない場合においても、コンテナ10を容易にかつ確実にサブフレーム4に積載することができる。また、コンテナ10の底部が長く引き摺られることがないので、コンテナ10の底部の損傷を防ぐことができる。
【0036】
また、以上説明した実施の形態に係るコンテナ積載方法においては、積降装置5として伸縮自在な荷役腕12を採用し、この荷役腕12でコンテナ10を引き上げる際に荷役腕12を伸長させるので、コンテナ10の前方底部と、荷役車両1の後部に設けられた各種機器(テールランプ8やリアバンパ等)と、の間に充分なクリアランスを設けることができる。この結果、荷役車両1の後部に設けられた各種機器の破損を未然に防止することができる。
【0037】
なお、以上の実施形態においては、一時的にコンテナ10をコンテナ10を持ち上げるときに一時的に支持する支持部材を支持ローラ7とした、支持ローラ7に替えて摺動材を用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施の形態に係るコンテナ積載方法で使用される荷役車両及びコンテナを示すものであり、(a)はその上面図、(b)はその側面図である。
【図2】図1に示した荷役車両の積降装置を説明するための説明図である。
【図3】(a)は図1に示した荷役車両に対して斜めに配置されたコンテナを、積降装置を用いて引き上げている状態を示す背面図であり、(b)は図1に示した荷役車両に対して真直ぐに配置されたコンテナを、積降装置を用いて引き上げている状態を示す背面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るコンテナ積載方法を説明するための説明図である。
【図5】(a)はコンテナを所定の場所に設置した直後の状態を示す説明図であり、(b)はコンテナの周辺に各種障害物が設置された場合における従来のコンテナ積載方法を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0039】
1 荷役車両
4 サブフレーム(車台)
5 積降装置
6 案内ローラ
7 支持ローラ
10 コンテナ
12 荷役腕
13 基部腕
14 先部腕
車台縦中心線
コンテナ縦中心線
S コンテナ積載用空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテナを積降するための積降装置が設けられるとともに、前記積降装置で引き上げた前記コンテナを車台上の所定位置に案内する案内ローラが前記車台の後端左右に水平回転軸を中心に回転自在に設けられてなる荷役車両に、前記荷役車両の車台縦中心線とコンテナ縦中心線とが交差している状態で地面に載置されたコンテナを積載する方法であって、
前記積降装置で引き上げた前記コンテナの底部を下方から支持して前記コンテナを地面から一時的に離隔させるための支持部材を、前記各案内ローラの外方に所定長延在するように設ける支持部材設置工程と、
前記積降装置で前記コンテナを引き上げ、前記コンテナの底部を前記支持部材で下方から支持することにより、前記コンテナを地面から一時的に離隔させるコンテナ引上工程と、
前記積降装置で前記コンテナを地面から離隔させた状態で、前記荷役車両を障害物の存在しないコンテナ積載用空間に移動させる車両移動工程と、
前記コンテナ積載用空間において前記積降装置で前記コンテナを地面に降ろして前記積降装置と前記コンテナを離すコンテナ降下工程と、
前記コンテナ積載用空間において地面に載置した前記コンテナのコンテナ縦中心線と、前記荷役車両の車台縦中心線と、が一致するように前記荷役車両を移動させる位置合わせ工程と、
前記積降装置で前記コンテナを引き上げ、前記コンテナを前記案内ローラで前記車台上の所定位置に案内して積載する積載工程と、
を備えることを特徴とするコンテナ積載方法。
【請求項2】
コンテナを積降するための積降装置が設けられるとともに、前記積降装置で引き上げた前記コンテナを車台上の所定位置に案内する案内ローラが前記車台の後端左右に水平回転軸を中心に回転自在に設けられてなる荷役車両に、前記荷役車両の車台縦中心線とコンテナ縦中心線とが交差している状態で地面に載置されたコンテナを積載する方法であって、
前記積降装置で引き上げた前記コンテナの底部を下方から支持して前記コンテナを地面から一時的に離隔させるための支持ローラを、前記各案内ローラの外方に所定長延在するように水平回転軸を中心に回転自在に設ける支持ローラ設置工程と、
前記積降装置で前記コンテナを引き上げ、前記コンテナの底部を前記支持ローラで下方から支持することにより、前記コンテナを地面から一時的に離隔させるコンテナ引上工程と、
前記積降装置で前記コンテナを地面から離隔させた状態で、前記荷役車両を障害物の存在しないコンテナ積載用空間に移動させる車両移動工程と、
前記コンテナ積載用空間において前記積降装置で前記コンテナを地面に降ろして前記積降装置と前記コンテナを離すコンテナ降下工程と、
前記コンテナ積載用空間において地面に載置した前記コンテナのコンテナ縦中心線と、前記荷役車両の車台縦中心線と、が一致するように前記荷役車両を移動させる位置合わせ工程と、
前記積降装置で前記コンテナを引き上げ、前記コンテナを前記案内ローラで前記車台上の所定位置に案内して積載する積載工程と、
を備えることを特徴とするコンテナ積載方法。
【請求項3】
前記積降装置は、
前記車台に基端が回動自在に軸支された基部腕と、前記基部腕の内部に摺動自在に嵌挿された先部腕と、を有する伸縮自在な荷役腕を備え、
前記コンテナ引上工程では、
前記荷役腕で前記コンテナを引き上げる際に、前記荷役腕を伸長させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコンテナ積載方法。
【請求項4】
前記積降装置は、
前記車台に基端が回動自在に軸支された基部腕と、前記基部腕に揺動自在に軸支された先部腕と、を有する伸縮自在な荷役腕を備え、
前記コンテナ引上工程では、
前記荷役腕で前記コンテナを引き上げる際に、前記荷役腕を伸長させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコンテナ積載方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−321329(P2006−321329A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−145519(P2005−145519)
【出願日】平成17年5月18日(2005.5.18)
【出願人】(000005348)富士重工業株式会社 (3,010)