コンテナ重心位置検出装置、コンテナ重心位置検出方法、及びコンテナ重心位置通知システム
【課題】コンテナを開封することなしに、コンテナの重心位置を容易に特定することができるコンテナ重心位置検出装置及びコンテナ重心位置検出方法、及びコンテナの重心位置の情報を容易に知ることができるコンテナ重心位置通知システムを提供することを目的とする。
【解決手段】放射線源11と、放射線源11との間にコンテナ進入スペースSをあけて配置されるディテクタ12と、ディテクタ12の出力に基づいて演算処理を行う演算装置13とを設ける。演算装置13を、コンテナ進入スペースSにコンテナCが進入した状態での放射線源11からディテクタ12に到達した放射線の強度分布を求めるとともに、放射線の強度分布に基づいて、コンテナCの密度分布を算出し、この密度分布に基づいてコンテナCの重心位置を特定する構成とする。
【解決手段】放射線源11と、放射線源11との間にコンテナ進入スペースSをあけて配置されるディテクタ12と、ディテクタ12の出力に基づいて演算処理を行う演算装置13とを設ける。演算装置13を、コンテナ進入スペースSにコンテナCが進入した状態での放射線源11からディテクタ12に到達した放射線の強度分布を求めるとともに、放射線の強度分布に基づいて、コンテナCの密度分布を算出し、この密度分布に基づいてコンテナCの重心位置を特定する構成とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテナの重心位置検出装置、コンテナの重心位置検出方法、及びコンテナ重心位置の通知システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近、輸入コンテナを陸上輸送するコンテナ運搬車の横転事故が多発している。
輸入コンテナの中には、海外においてコンテナ内部の荷物が片荷状態で積み付けられていて、コンテナの重心位置がコンテナ中心から外れているものがある。
このように重心位置の偏ったコンテナを、コンテナ運搬車の運転手がそれと知らずに運搬した場合には、カーブに進入した際などに車体バランスが崩れて、横転事故につながりやすい。
【0003】
このため、コンテナを開封することなく、コンテナの重心位置を特定する技術が必要とされている。
コンテナの重心位置を特定する方法としては、例えば、後記の特許文献1に記載の検知手段を用いた方法が知られている。
この方法は、検知手段を用いて冷凍コンテナの長さを検出し、この冷凍コンテナの長さに対応した重心位置を予め定めた複数の重心位置の中から設定するものである。
【0004】
【特許文献1】特開2000−72398号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、この方法は、あくまでも、重心位置が既知である冷凍コンテナ自体の重心位置を、冷凍コンテナの長さの情報に基づいて特定するものであって、積荷を含めたコンテナ全体としての重心位置を特定するものではない。
このため、この重心位置設定手段を用いても、コンテナ内の荷物が片荷状態で積み付けられているかどうかを知ることはできない。
また、なんらかの方法を用いてコンテナの重心位置を検出することができたとしても、従来は、その情報をコンテナ運搬車の運転手等の当事者に知らせるための手段が確立されていなかった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、コンテナを開封することなしに、コンテナの重心位置を容易に特定することができるコンテナ重心位置検出装置及びコンテナ重心位置検出方法、及びコンテナの重心位置の情報を容易に知ることができるコンテナ重心位置通知システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明は、放射線源と、該放射線源との間にコンテナ進入スペースをあけて配置されるディテクタと、該ディテクタの出力に基づいて演算処理を行う演算装置とを有しており、該演算装置が、前記コンテナ進入スペースにコンテナが進入した状態での前記放射線源から前記ディテクタに到達した放射線の強度分布を求めるとともに、該放射線の強度分布に基づいて、前記コンテナの密度分布を算出し、該密度分布に基づいて前記コンテナの重心位置を特定するコンテナ重心位置検出装置を提供する。
【0008】
放射線(例えばX線やγ線)は、物体を透過する際に、この物体を構成する物質との相互作用によって減衰または吸収されて、その強度が低下する。
放射線が密度の高い物質を透過した場合や、放射線が物質中を通過した距離が長い場合(放射線の透過方向における物体の寸法が大きい場合)には、放射線と物質との相互作用が大きいので、放射線の透過率が低い。一方、放射線が密度の低い物質を透過した場合や、放射線が物質中を通過した距離が短い場合(放射線の透過方向における物体の寸法が短い場合)には、放射線と物質との相互作用が小さいので、放射線の透過率が大きくなる。
すなわち、放射線の透過率は、放射線の透過した領域における物質の質量が大きいほど少なく、放射線の透過した領域における物質の質量が小さいほど大きくなる。
【0009】
本発明は、このことを利用して、コンテナの重心位置を検出するものである。
具体的には、本発明のコンテナ重心位置検出装置では、コンテナをコンテナ進入スペースに進入させた状態で、このコンテナに放射線源から放射線を照射し、コンテナを透過した放射線を、ディテクタによって検出する。
このディテクタの出力に基づいて、コンテナを透過した放射線の強度分布を求めるとともに、この放射線の強度分布(すなわちコンテナにおける放射線の透過率の分布)に基づいて、コンテナの密度分布を算出する。このようにしてコンテナの密度分布を得ることで、コンテナの重心位置を特定することができる。
【0010】
ここで、前記演算装置が、前記放射線源から前記ディテクタに到達した放射線の強度分布に基づく放射線透過画像を作成するとともに、該放射線透過画像の濃淡の分布に基づいて、前記コンテナ進入スペースに進入した前記コンテナの密度分布を算出して、該コンテナの重心位置を特定する構成とされていてもよい。
この場合には、本発明に係るコンテナ重心位置検出装置を、放射線透過画像を用いて検査を行う非破壊検査装置として用いることができる。また、本発明に係るコンテナ重心位置検出装置を、一般的な非破壊検査装置を用いて容易に作成することができる。
【0011】
また、前記放射線源が複数箇所に配置されており、前記演算装置が、前記ディテクタの出力に基づいて前記各放射線源から前記ディテクタに到達した放射線の強度分布をそれぞれ求めるとともに、前記ディテクタに対する前記各放射線源の位置情報と該各放射線源から前記ディテクタに入射した放射線の強度分布とに基づいて、前記コンテナ進入スペースに進入した前記コンテナの密度分布を算出して、該コンテナの三次元的な重心位置を特定する構成とされていてもよい。
【0012】
このように、複数箇所に放射線源を設けて、これら放射線源から、コンテナ進入スペースに進入したコンテナに対して異なる複数方向から放射線を照射することで、ディテクタには、異なる方向からコンテナを透過した放射線が入射することになる。
このため、ディテクタの出力からは、各放射線源からコンテナを透過してディテクタに到達した放射線(すなわち異なる方向からコンテナを透過した放射線)の強度分布が得られる。
【0013】
このようにして得た放射線源ごとの放射線の強度分布から、各放射線源側から見たコンテナの重心位置をそれぞれ特定することができる。さらに、この複数方向から見たコンテナの重心位置の情報と、各放射線源の位置情報とに基づいて、コンテナの三次元的な重心位置を特定することができる。
ここで、ディテクタは、放射線源ごとに設けてもよく、また、同一のディテクタに対して複数の放射線源から放射線を照射する構成としてもよい。
【0014】
ここで、放射線源は、厳重な管理の下に使用する必要があるので、安全性及び管理コストの点からも、放射線源の使用数は極力少なくすることが好ましい。また、ディテクタは、高価であるうえ大きくてかさばるため、設置コストや設置スペースの関係上、極力設置数を低減することが好ましい。
そこで、放射線源を複数用いる代わりに、前記放射線源と前記ディテクタとを、水平面上で対向配置される一対のみ設け、前記コンテナを平面視における複数箇所で保持して持ち上げる保持装置と、該保持装置の各部に加わる負荷を検出する負荷検出装置とを設け、前記演算装置が、前記ディテクタの出力に基づいて前記コンテナの垂直面上での重心位置を検出するとともに、前記保持装置を用いて前記コンテナを持ち上げた状態での前記負荷検出装置の出力に基づいて、水平面上における前記コンテナの重心位置を検出する構成としてもよい。
【0015】
この場合には、前記のように、ディテクタの出力に基づいて、垂直面上におけるコンテナの重心位置を検出するとともに、負荷検出装置の出力に基づいて水平面上におけるコンテナの重心位置を検出する。
具体的には、保持装置を用いてコンテナを持ち上げて、コンテナを釣り合い状態で保持し、この状態での負荷検出装置の出力(保持装置の各部に加わった力)に基づいて、水平面上におけるコンテナの重心の位置を検出する。
このコンテナの重心の位置は、コンテナのモーメントの釣り合いの式と負荷検出装置の出力とに基づいて算出することができる。
このようにして、コンテナの重心の垂直面上における位置と、水平面上における位置を検出することで、放射線源とディテクタとを一対だけ用いながら、コンテナの三次元的な重心の位置を検出することができる。
【0016】
前記保持装置が、前記コンテナを保持するスプレッダと、それぞれ該スプレッダの異なる部位に接続された複数のロープと、該各ロープの巻き上げと繰り出しとを行う巻き上げ機とを有しており、前記負荷検出装置は、前記各ロープのそれぞれに設けられた張力測定装置を有していてもよい。
【0017】
この場合には、一般的なコンテナ荷役装置(ロープによって吊り下げられたスプレッダを用いてコンテナの荷役を行う荷役装置)を用いて、コンテナの水平面上におけるコンテナの重心位置を検出することができる。
【0018】
また、本発明に係るコンテナ重心位置検出装置は、前記コンテナを吊り下げ支持する支持装置と、前記コンテナの振動の様子を検出する振動検出装置とを有し、前記放射線源と前記ディテクタとが、水平面上で対向配置される一対のみ設けられており、前記演算装置が、前記振動検出装置の出力に基づいて、水平面上における前記コンテナの重心位置を検出する構成とされていてもよい。
【0019】
この場合には、前記のように、ディテクタの出力に基づいて、垂直面上におけるコンテナの重心位置を検出するとともに、支持装置によって吊り下げ支持されたコンテナを振動させ、この状態での振動検出装置の出力に基づいて水平面上におけるコンテナの重心位置を検出する。
水平面上におけるコンテナの重心の位置は、コンテナの振動の平衡位置がコンテナの重心位置によって異なることを利用して算出することができる。
このようにして、コンテナの重心の垂直面上における位置と、水平面上における位置を検出することで、放射線源とディテクタとを一対だけ用いながら、コンテナの三次元的な重心の位置を検出することができる。
【0020】
前記支持装置が、前記コンテナを保持するスプレッダと、それぞれ該スプレッダの異なる部位に接続された複数のロープと、該各ロープの巻き上げと繰り出しとを行う巻き上げ機とを有していてもよい。
この場合には、一般的なコンテナ荷役装置を用いて、コンテナの水平面上におけるコンテナの重心位置を検出することができる。
【0021】
また、本発明は、放射線源とディテクタとを、互いの間にコンテナ進入スペースをあけて配置し、前記ディテクタの出力に基づいて、該コンテナ進入スペースにコンテナを進入させた状態での前記放射線源から前記ディテクタに到達した放射線の強度分布を求めるとともに、該放射線の強度分布に基づいて、前記コンテナの密度分布を算出して、該コンテナの重心位置を特定するコンテナ重心位置検出方法を提供する。
【0022】
本発明のコンテナ重心位置検出方法は、放射線の透過率が、放射線の透過した領域における物質の質量が大きいほど少なくなり、放射線の透過した領域における物質の質量が小さいほど大きくなることを利用して、コンテナの重心位置を検出するものである。
具体的には、本発明のコンテナ重心位置検出方法では、コンテナをコンテナ進入スペースに進入させた状態で、このコンテナに放射線源から放射線を照射し、コンテナを透過した放射線を、ディテクタによって検出する。
このディテクタの出力に基づいて、コンテナを透過した放射線の強度分布を求めるとともに、この放射線の強度分布(すなわちコンテナにおける放射線の透過率の分布)に基づいて、コンテナの密度分布を算出する。このようにしてコンテナの密度分布を得ることで、コンテナの重心位置を特定することができる。
【0023】
また、前記放射線源を複数箇所に配置し、前記ディテクタの出力に基づいて、前記各放射線源から前記ディテクタに到達した放射線の強度分布をそれぞれ求めるとともに、前記ディテクタに対する前記各放射線源の位置情報と該各放射線源から前記ディテクタに入射した放射線の強度分布とに基づいて、前記コンテナ進入スペースに進入した前記コンテナの密度分布を算出して、該コンテナの三次元的な重心位置を特定してもよい。
【0024】
このように、複数箇所に放射線源を設けて、これら放射線源から、コンテナ進入スペースに進入したコンテナに対して異なる複数方向から放射線を照射することで、ディテクタには、異なる方向からコンテナを透過した放射線が入射することになる。
このため、ディテクタの出力からは、各放射線源からコンテナを透過してディテクタに到達した放射線(すなわち異なる方向からコンテナを透過した放射線)の強度分布が得られる。
【0025】
このようにして得た放射線源ごとの放射線の強度分布から、各放射線源側から見たコンテナの重心位置をそれぞれ特定することができる。さらに、この複数方向から見たコンテナの重心位置の情報と、各放射線源の位置情報とに基づいて、コンテナの三次元的な重心位置を特定することができる。
ここで、ディテクタは、放射線源ごとに設けてもよく、また、同一のディテクタに対して複数の放射線源から放射線を照射する構成としてもよい。
【0026】
また、本発明に係る重心位置検出方法において、上記のように放射線源を複数用いる代わりに、前記コンテナを平面視における複数箇所で保持して持ち上げる保持装置と、該保持装置の各部に加わる負荷を検出する負荷検出装置とを設け、前記放射線源と前記ディテクタとを、水平面上で対向配置される一対のみ設け、前記ディテクタの出力に基づいて前記コンテナの垂直面上での重心位置を検出するとともに、前記保持装置を用いて前記コンテナを持ち上げた際の前記負荷検出装置の出力に基づいて、水平面上における前記コンテナの重心位置を検出してもよい。
【0027】
この場合には、前記のように、ディテクタの出力に基づいて、垂直面上におけるコンテナの重心位置を検出するとともに、負荷検出装置の出力に基づいて水平面上におけるコンテナの重心位置を検出する。
具体的には、保持装置を用いてコンテナを持ち上げて、コンテナを釣り合い状態で保持し、この状態での負荷検出装置の出力(保持装置の各部に加わった力)に基づいて、水平面上におけるコンテナの重心の位置を検出する。
このコンテナの重心の位置は、コンテナのモーメントの釣り合いの式と負荷検出装置の出力とに基づいて算出することができる。
このようにして、コンテナの重心の垂直面上における位置と、水平面上における位置を検出することで、放射線源及びディテクタをそれぞれ一つだけ用いながら、コンテナの三次元的な重心の位置を検出することができる。
【0028】
また、本発明に係る重心位置検出方法において、上記のように放射線源を複数用いる代わりに、前記コンテナを吊り下げ支持する支持装置と、前記コンテナの振動の様子を検出する振動検出装置とを設け、前記放射線源と前記ディテクタとを、水平面上で対向配置される一対のみ設け、前記振動検出装置の出力に基づいて、水平面上における前記コンテナの重心位置を検出してもよい。
【0029】
この場合には、前記のように、ディテクタの出力に基づいて、垂直面上におけるコンテナの重心位置を検出するとともに、支持装置によって吊り下げ支持されたコンテナを振動させ、この状態での振動検出装置の出力に基づいて水平面上におけるコンテナの重心位置を検出する。
水平面上におけるコンテナの重心の位置は、コンテナの振動の平衡位置がコンテナの重心位置によって異なることを利用して算出することができる。
このようにして、コンテナの重心の垂直面上における位置と、水平面上における位置を検出することで、放射線源とディテクタとを一対だけ用いながら、コンテナの三次元的な重心の位置を検出することができる。
【0030】
また、本発明は、前記コンテナに設けられて情報の書き込み及び読み出しが可能なIDタグと、該IDタグに本発明に係るコンテナ重心位置検出装置によって得られた前記コンテナの重心位置の情報を書き込む情報記録装置と、前記IDタグに書き込まれた前記コンテナの重心位置の情報を読み出して使用者に通知する情報読取装置とを有しているコンテナ重心位置通知システムを提供する。
【0031】
このコンテナ重心位置通知システムでは、本発明に係るコンテナ重心位置検出装置によって検出されたコンテナの重心位置を、情報記録装置によってコンテナに設けられたIDタグに記録したのちは、使用者(例えばコンテナ運搬車の運転手)は、情報読取装置を用いることで、コンテナの重心位置を容易に知ることができる。
また、このように、コンテナ自体にコンテナの重心位置の情報を記録したIDタグが設けられているので、コンテナの重心位置の情報を他のコンテナの重心位置の情報と取り違えにくい。
ここで、IDタグとして、無線通信によって情報の書き込みや読み出しが可能なRFIDタグを用いることで、非接触でIDタグにコンテナの重心位置の情報の記録や読み出しを行うことが可能となるので、利便性がより一層向上する。
なお、情報読取装置による使用者へのコンテナの重心位置の情報の通知方法は任意であって、例えば画像表示装置を用いて画像によって通知してもよく、音声発生装置を用いて音声によって通知してもよい。
【発明の効果】
【0032】
本発明に係るコンテナ重心位置検出装置及びコンテナ重心位置検出方法によれば、コンテナを開封することなしに、コンテナの重心位置を容易に特定することができる。
また、本発明に係るコンテナ重心位置通知システムによれば、コンテナ重心位置検出装置によって検出したコンテナの重心の位置の情報を、コンテナ運搬車の運転手等のコンテナを取り扱う作業者に容易に通知することができるので、重心位置が偏っているコンテナについて、コンテナの取り扱いを慎重に行うよう、作業者に注意を喚起して、事故を未然に防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
[第一実施形態]
以下、本発明の第一実施形態について、図1を用いて説明する。
図1の側面図に概略的に示すように、本実施形態に示すコンテナ重心位置通知システム1は、コンテナCの荷役が行われる領域に設置されるコンテナ重心位置検出装置2と、コンテナCに設けられて情報の書き込み及び読み出しが可能なIDタグ3と、IDタグ3にコンテナ重心位置検出装置2によって得られたコンテナCの重心位置の情報を書き込む情報記録装置4と、IDタグ3に書き込まれたコンテナCの重心位置の情報を読み出して使用者に通知する情報読取装置5とを有している。
【0034】
本実施形態では、IDタグ3として、無線通信によって情報の書き込みや読み出しが可能なRFIDタグを用いている。これにより、このコンテナ重心位置通知システム1では、非接触でIDタグにコンテナの重心位置の情報の記録や読み出しを行うことが可能である。
本実施形態では、情報記録装置4として、無線通信によってRFIDタグに非接触で情報を書き込むことができるRFIDタグライタが用いられている。
この情報記録装置4は、コンテナ重心位置検出装置2の操作者が携帯する携帯端末としてもよく、コンテナ重心位置検出装置2に組み込まれていてもよい。
【0035】
また、本実施形態では、情報読取装置5として、無線通信によってRFIDタグから非接触で情報を読み出すことができるRFIDタグリーダが用いられている。
この情報読取装置5は、コンテナ運搬車Vの運転手が携帯する携帯端末としてもよく、コンテナ運搬車V自体に搭載されていてもよい。
この情報読取装置5による使用者へのコンテナCの重心位置の情報の通知方法は任意であって、例えば情報読取装置5に画像表示装置を設けて、画像表示装置が表示する画像によって重心位置の情報を通知してもよく、情報読取装置5に音声発生装置を設けて、音声発生装置が発する音声によって重心位置の情報を通知してもよい。
【0036】
コンテナ重心位置検出装置2は、放射線源11と、放射線源11との間にコンテナ進入スペースSをあけて配置されるディテクタ12とを有している。これによって、放射線源11からコンテナ進入スペースSに進入したコンテナC越しに、ディテクタ12に放射線を照射することができるようになっている。
本実施形態では、放射線源11とディテクタ12との間には、コンテナ進入スペースSとして、コンテナCがコンテナ運搬車Vごと進入することができるだけのスペースが確保されている。これによって、コンテナCをコンテナ運搬車Vの荷台上に積載した状態で、放射線源11からコンテナC越しにディテクタ12に放射線を照射することができるようになっている。
ここで、放射線源11としては、例えば、X線を発生させるもののほか、γ線を発生させるものを用いることができる。
【0037】
ディテクタ12は、複数の放射線検出素子16を隣接配置した構成とされている。本実施形態では、ディテクタ12は、放射線検出素子16を、受光部が放射線源11の配置される側に向けられた状態で、略水平方向及び略垂直方向にそれぞれ隣接配置した構成とされている。
図2(a)の平断面図及び図2(b)の側面図に示すように、各放射線検出素子16は、光電子増倍管16aと、光電子増倍管16aの受光部に対向配置されるシンチレータ16bと、シンチレータ16bから発せられた蛍光を光電子増倍管16aの受光部に向けて反射するミラー16cとを有している。
この放射線検出素子16では、放射線がシンチレータ16bに入射すると、シンチレータ16bにおいて放射線が入射した部位が励起されて放射線の強度に応じた強度の蛍光(可視光)を発する。この蛍光は、光電子増倍管16aの受光部に直接入射するか、もしくはミラー16cによって反射されることによって光電子増倍管16aの受光部に入射し、これによって、光電子増倍管16aが蛍光の強度に応じた強度で検出信号を出力する。
【0038】
本実施形態では、シンチレータ16bは、光電子増倍管16aの受光部よりも面積の大きい長方形板状(例えば縦30mm、横450mm)をなしており、その長辺が略水平となるようにして配置されている。
また、ミラー16cは、このシンチレータ16bの各辺からそれぞれ光電子増倍管16aの受光部の周縁部とを通る平面(例えばシンチレータ16bの上辺と受光部の上辺とを通る平面)に沿って配置されている。
【0039】
また、コンテナ重心位置検出装置2は、ディテクタ12の出力に基づいて演算処理を行う演算装置13を有している。
演算装置13は、放射線を検出した放射線検出素子16の位置と、この放射線検出素子16の検出信号の強度とに基づいて、ディテクタ12に入射した放射線の強度分布(すなわちコンテナCにおける放射線の透過率の分布)を求める構成とされている。
さらに、演算装置13は、このようにして得た放射線の強度分布の情報に基づいて、コンテナ進入スペースSに進入したコンテナCの密度分布を算出して、コンテナCの重心位置を特定する構成とされている。
本実施形態では、演算装置13は、ディテクタ12に入射した放射線の強度分布に基づいて、コンテナCの放射線透過画像I(図3参照)を作成し、この放射線透過画像Iの濃淡の分布に基づいて、コンテナ進入スペースSに進入したコンテナCの密度分布を算出して、コンテナCの重心位置を特定する構成とされている。
【0040】
本実施形態に示すコンテナ重心位置検出装置2は、以下のようにして、放射線透過画像Iの重心位置を検出する。
まず、重心位置検出対象のコンテナCを、コンテナ進入スペースSにコンテナ運搬車Vごと搬入する。この状態で、コンテナ運搬車Vの運転手を一旦コンテナ運搬車Vから降ろしてコンテナ進入スペースSから退避させ、さらに、コンテナ重心位置検出装置2の周囲に放射線を遮蔽する遮蔽壁を巡らせるか、もしくはコンテナ重心位置検出装置2の周囲への人の立ち入りを禁止した状態で、放射線源11からコンテナC越しにディテクタ12に放射線を照射する。
【0041】
これにより、演算装置13が、ディテクタ12の出力信号に基づいて、前記の放射線透過画像Iを作成する。
具体的には、演算装置13は、図3に示すように、ディテクタ12の出力から求めた放射線の強度分布に基づいて、放射線強度が強いほど色が濃く、放射線強度が弱いほど色が薄く表示されたコンテナCの放射線透過画像Iを作成する。
【0042】
ここで、放射線は、物体を透過する際に、この物体を構成する物質との相互作用によって減衰または吸収されて、その強度が低下する。
放射線が密度の高い物質を透過した場合や、放射線が物質中を通過した距離が長い場合(放射線の透過方向における物体の寸法が大きい場合)には、放射線と物質との相互作用が大きいので、放射線の透過率が低い。一方、放射線が密度の低い物質を透過した場合や、放射線が物質中を通過した距離が短い場合(放射線の透過方向における物体の寸法が短い場合)には、放射線と物質との相互作用が小さいので、放射線の透過率が大きくなる。
すなわち、放射線の透過率は、放射線の透過した領域における物質の質量が大きいほど少なく、放射線の透過した領域における物質の質量が小さいほど大きくなる。
このため、上記のように放射線の強度を画像の濃淡で表した放射線透過画像Iは、コンテナCの質量の分布を画像の濃淡で表したものとみなすことができる。
演算装置13は、このことを利用して、コンテナCの重心位置を検出する。
【0043】
具体的には、演算装置13が、図3に示すように、放射線透過画像Iを水平方向(この方向をX軸方向とする)に沿って等間隔Xで複数の領域に分割し、各領域における画像の濃度の平均値m1,m2,m3,…ml(但しlは任意の整数)を、各領域の質量とみなして、X軸方向における重心の位置XGを算出する。
各領域のX軸方向の中心位置の座標をX1,X2,X3,…Xlとすると、この放射線透過画像Iの、X軸方向における重心の位置XGは、次式(1)によって求められる。
【0044】
【数1】
【0045】
同様にして、演算装置13が、放射線透過画像Iを垂直方向(この方向をZ軸方向とする)に沿って等間隔Zで複数の領域に分割し、各領域における画像の濃度の平均値M1,M2,M3,…Mn(但しnは任意の整数)を、各領域の質量とみなして、Z軸方向における重心の位置ZGを算出する。
各領域のZ軸方向の中心位置の座標をZ1,Z2,Z3,…Znとすると、この放射線透過画像Iの、Z軸方向における重心の位置ZGは、次式(2)によって求められる。
【0046】
【数2】
【0047】
このように、このコンテナ重心位置検出装置2では、コンテナCを開封することなしに、コンテナCの重心位置(但し、X方向及びZ方向の位置のみ)を容易に特定することができる。
【0048】
このようにして演算装置13が求めたコンテナCの重心位置の情報は、情報記録装置4によって、コンテナCに設けられたIDタグ3に書き込まれる。
これにより、以降は、このコンテナCを取り扱う作業者(例えばコンテナ運搬車の運転手)は、情報読取装置5を用いることで、このコンテナCの重心位置を容易に知ることができる。
このため、重心位置が偏っているコンテナCがあった場合にも、このコンテナCの取り扱いを慎重に行うよう、作業者に注意を喚起して、事故を未然に防ぐことができる。
また、このように、コンテナC自体にコンテナCの重心位置の情報を記録したIDタグ3が設けられているので、コンテナCの重心位置の情報を他のコンテナCの重心位置の情報と取り違えにくい。
【0049】
また、本実施形態では、IDタグ3として、無線通信によって情報の書き込みや読み出しが可能なRFIDタグを用いているので、情報記録装置4によるコンテナCの重心位置の情報の書込みや情報読取装置5によるコンテナCの重心位置の情報の読み出しを、非接触で行うことができるので、利便性がより一層向上する。
また、本実施形態では、コンテナ重心位置検出装置2が、コンテナCの放射線透過画像Iを用いてコンテナCの重心位置を検出する構成とされているので、このコンテナ重心位置検出装置2を、放射線透過画像Iを用いて検査を行う非破壊検査装置として用いることができる。また、このコンテナ重心位置検出装置2は、一般的な非破壊検査装置を用いて容易に作成することができる。
【0050】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態について、図4から図6を用いて説明する。
図4の平面図に示すように、本実施形態に係るコンテナ重心位置通知システム21は、第一実施形態に示したコンテナ重心位置通知システム1において、コンテナ重心位置検出装置2の代わりに、コンテナ重心位置検出装置22を用いたものである。
以下、第一実施形態と同様または同一の部材については同じ符号を用いて示し、詳細な説明を省略する。
【0051】
本実施形態に示すコンテナ重心位置検出装置22は、第一実施形態で示したコンテナ位置検出装置2において、放射線源11を複数設けたものである。
具体的には、このコンテナ重心位置検出装置21では、放射線源11が複数箇所に配置されており、各放射線源11からコンテナC越しにディテクタ12に放射線を照射することができるようになっている。
本実施形態では、放射線源11として、第一放射線源11a及び第二放射線源11bが、ディテクタ12との距離を等しくして、略水平方向に離間して配置されている。
【0052】
このように、異なる位置に第一、第二放射線源11a,11bを設けて、これら各放射線源11からコンテナ進入スペースSに進入したコンテナCに対して放射線を照射することで、ディテクタ12には、異なる方向からコンテナCを透過した放射線が入射することになる。
このため、各放射線源11から個別に放射線を照射することで、ディテクタ12の出力からは、各放射線源11からコンテナCを透過してディテクタ12に到達した放射線(すなわち異なる方向からコンテナCを透過した放射線)の強度分布がそれぞれ得られる。
【0053】
このコンテナ重心位置検出装置22では、演算装置13は、ディテクタ12の出力に基づいて第一、第二放射線源11a,11bのそれぞれについて、コンテナC越しにディテクタ12に到達した放射線の強度分布を個別に求めるとともに、ディテクタ12に対する各放射線源11の位置情報と各放射線源11からディテクタ12に入射した放射線の強度分布とに基づいて、コンテナ進入スペースSに進入したコンテナCの重心位置を特定する。
【0054】
以下、演算装置13によるコンテナCの三次元的な重心位置の検出方法について、具体的な例を用いて説明する。
まず、演算装置13による重心位置の検出方法の基本的な思想を示すために、条件を単純化する。以下では、図4に示すように、コンテナC内に、一つの質点Gのみが存在している場合について説明する。
ここで、図4において、第一放射線源11aの位置を原点として、第一放射線源11aから第二放射線源11bに向う方向をX軸の正方向とし、第一放射線源11aからディテクタ12に向う方向をY軸の正方向とする。また、第二放射線源11bのX座標はLxとし、ディテクタ12のY座標はLyとする。
【0055】
第一放射線源11aが発した放射線によるコンテナCの放射線透過画像Iでは、質点Gが、X=Xaとなる位置(XY座標で示すと(Xa,Ly)の地点)に投影され、この部分に画像濃度のピークが形成される。同様に、第二放射線源11bが発した放射線によるコンテナCの放射線透過画像Iでは、質点Gが、X=Xbとなる位置(XY座標で示すと(Xb,Ly)の地点)に投影され、この部分に画像濃度のピークが形成される。
【0056】
図4に示すように、コンテナCのY軸方向の重心位置YG(この例では質点Gの位置)は、第一放射線源11a(XY座標で示すと(0,0)の地点)と(Xa,Ly)の地点とを結ぶ第一の直線W1と、第二放射線源11b(XY座標で示すと(Lx,0)の地点)と(Xb,Ly)の地点とを結ぶ第二の直線W2との交点にある。
以上の関係から、コンテナCのY軸方向の重心位置YGの座標は、次式(3)を用いて求めることができる。
【0057】
【数3】
【0058】
同様に、コンテナCのX軸方向の重心位置XGの座標は、次式(4)を用いて求めることができる。
【0059】
【数4】
【0060】
また、コンテナCのZ軸方向の重心位置ZGは、第一実施形態と同様にして求めることができる。
【0061】
次に、図5に示すように、コンテナC内に、略直方体ブロック状の物体B1が一つだけ配置されている場合や、図6に示すように、平面視略三角形をなす物体B2が一つだけ配置されている場合におけるコンテナCの重心位置検出方法について説明する。
なお、図5では、物体B1は、長辺をX軸に略平行にして設置されており、図6では、物体B2は、平面視略二等辺三角形をなしており、その底辺がX軸の負方向に向けられ、この底辺に対向する頂点がX軸の正方向に向けられた状態で設置されている。ここで、物体B1,B2は、それぞれ全体が均質な材質によって構成されているものとする。
【0062】
このように、コンテナC内の物体が立体である場合には、演算装置13は、物体B1,B2を質点に近似することによってコンテナCの重心位置を検出する。
具体的には、演算装置13は、これら放射線透過画像Iのそれぞれについて、第一実施形態で用いた手法を利用してX軸方向の重心位置(これを仮の重心位置とする)を求め、この仮の重心位置と各放射線源11の位置情報とに基づいて、コンテナCの重心位置を検出する。
【0063】
図5に示す例では、第一放射線源11aが発した放射線による放射線透過画像Iでは、物体B1が、X軸方向に延びる帯状に投影されるので、X軸方向の画像濃度のピークはなく、物体B1が投影される領域全体(但しこの領域の端部は除く)の画像濃度が、他の領域よりも高いほぼ一定値となる。なお、物体B1が投影される領域の端部は、物体B1の角部が投影されている領域であるので、この領域では、画像濃度が緩やかに立ち上がっている。このことは、第二放射線源11bが発した放射線による放射線透過画像Iにおいても同様である。
演算装置13は、第一放射線源11aが発した放射線による放射線透過画像Iの仮の重心位置を(Xa,Ly)とし、第二放射線源11bが発した放射線による放射線透過画像の仮の重心位置を(Xb,Ly)とし、以降は、前記の質点Gが収納されたコンテナCの重心位置検出方法と同様の手順で、コンテナCの三次元的な重心位置を求める。
【0064】
図6に示す例では、第一放射線源11aが発した放射線による放射線透過画像Iでは、物体B2が、X軸方向に延びる帯状に投影される。この放射線透過画像Iでは、X軸方向の画像濃度のピークは、物体B2が投影される領域の中央からずれた位置に形成される。このことは、第二放射線源11bが発した放射線による放射線透過画像Iにおいても同様である。
この場合においても、演算装置13は、第一放射線源11aが発した放射線による放射線透過画像Iの仮の重心位置を(Xa,Ly)とし、第二放射線源11bが発した放射線による放射線透過画像の仮の重心位置を(Xb,Ly)とし、以降は、前記の質点Gが収納されたコンテナCの重心位置検出方法と同様の手順で、コンテナCの三次元的な重心位置を求める。
【0065】
ここで、上記各実施形態では、演算装置13が、放射線透過画像Iの濃淡に基づいてコンテナCの重心を検出する例を示したが、これに限られることなく、演算装置13が、ディテクタ12の出力信号に基づいて作成した放射線強度分布に基づいて、コンテナの密度分布を算出し、その分布の中心を、コンテナCの重心位置とする構成であってもよい。
【0066】
また、上記各実施形態では、ディテクタ12を構成する放射線検出素子16が、受光部を放射線源11の配置される側に向けた状態にして、略水平方向及び略垂直方向にそれぞれ隣接配置されている構成とされている例を示したが、これに限られることなく、例えば図7に示すコンテナ重心位置検出装置26のように、放射線検出素子16が、コンテナCの荷役時の移動方向(例えばトランスファークレーン等のコンテナ荷役装置によるコンテナCの搬送方向)に交差する方向にだけ配置されている構成としてもよい。
【0067】
このコンテナ重心位置検出装置26では、コンテナCの搬送経路を挟んで第一放射線源11aと第一ディテクタ12aとが対向配置され、この第一放射線源11aと第一ディテクタ12aとの対に対してコンテナCの搬送経路に離間させて、第二放射線源11bと第二ディテクタ12bとの対が設けられている。
このコンテナ重心位置検出装置26においても、コンテナCの三次元的な重心位置を検出することができるよう、第一放射線源11aと第二放射線源11bとは、コンテナCの搬送方向に略直交する方向に離間して配置されている。
【0068】
各ディテクタ12は、コンテナCの搬送経路に略直交する方向(搬送経路を横断する方向)に沿って放射線検出素子16を一列だけ設けた構成とされている。但し、放射線検出素子16は、コンテナCの搬送方向に略直交する方向(紙面に略垂直な方向)においては、放射線検出素子16は、コンテナC全体をカバーするだけの数が配列されている。
各放射線検出素子16は、シンチレータ16bの短辺がコンテナCの搬送方向(すなわち各放射線源11の配列方向)と略平行となるようにして配置されていて、コンテナCの搬送方向における指向性が高められており、これによって、対応する放射線源11以外の放射線源11からの放射線を検出しにくくなっている。
【0069】
このコンテナ重心位置検出装置26では、各放射線源11から対応するディテクタ12に放射線を照射した状態で、これら放射線源11とディテクタ12との対の間を通過したコンテナCが放射線源11とディテクタ12との対によって走査されて、放射線源11とディテクタ12との対ごとに、コンテナC全体の放射線透過画像Iが得られる。
すなわち、このコンテナ重心位置検出装置26では、コンテナCの搬送中に、コンテナCの重心位置を検出することができるので、コンテナCの荷役効率を低下させずに済む。
また、このコンテナ重心位置検出装置26では、各ディテクタ12に使用する放射線素子16の数を大幅に削減することができるので、製造コストを大幅に低減することができる。
なお、このコンテナ重心位置検出装置26において、放射線源11とディテクタ12との対を一つだけ設けてもよい。この場合にも、第一実施形態と同様にして、コンテナCの二次元的な重心位置を検出することができる。
【0070】
[第三実施形態]
次に、本発明の第三実施形態について、図8から図10を用いて説明する。
本実施形態に係るコンテナ重心位置通知システム31は、第一実施形態に示したコンテナ重心位置通知システム1において、コンテナ重心位置検出装置2の代わりに、コンテナ重心位置検出装置32を用いたものである。
以下、第一実施形態と同様または同一の部材については同じ符号を用いて示し、詳細な説明を省略する。
【0071】
図8の正面図に示すように、本実施形態に示すコンテナ重心位置検出装置32は、第一実施形態で示したコンテナ位置検出装置2において、コンテナCを平面視における複数箇所で保持して持ち上げる保持装置33と、保持装置33の各部に加わる負荷を検出する負荷検出装置34とを設けたものである。
本実施形態では、保持装置33として、図示せぬコンテナ荷役装置に搭載された保持装置33を用いている。
具体的には、保持装置33は、コンテナCの上部四隅を保持するスプレッダ36と、それぞれスプレッダ36の異なる部位に接続された複数のロープ37と、各ロープ37の巻き上げと繰り出しとを行う巻き上げ機38とを有している。ここで、スプレッダ36は、トロリ39からロープ37によって吊り下げ支持されており、巻き上げ機38によって炉ロープ37の巻き上げまたは繰り出しを行うことで、上下方向に移動可能とされている。 また、トロリ39は、図示せぬ移動装置によって、スプレッダ36の短辺方向(図8の紙面に略垂直な方向)に移動可能とされている。
また、本実施形態では、負荷検出装置34として、巻き上げ機の出力を検出して、この出力の大きさに基づいて各ロープ37に加わる張力を検出する張力測定装置が用いられている。
【0072】
図9の平面図に示すように、スプレッダ36は、略長方形板状のフレーム36aと、フレーム36aの長手方向の両端から突出するアーム36bと、アーム36bの先端に設けられてコンテナCの上部四隅に設けられた係合部と係脱可能にして係合する係合部(例えばツイストロックピン、図示せず)とを有している。
フレーム36aの上面には、その四隅に、それぞれロープ37が取り付けられるロープ取付部36cが設けられている。ここで、スプレッダ36の各ロープ37による吊点を、図9及び図10の左下から半時計回りの順番でそれぞれ吊点P1,P2,P3,P4とする。
【0073】
このように構成されるコンテナ重心位置検出装置32では、コンテナCの重心位置の検出にあたって、保持装置33によってコンテナCを保持して持ち上げて、コンテナCを空中で静止させ、この状態で、負荷検出装置34によって各ロープ37の張力Tを測定する。
ここで、吊点P1に接続されるロープ37の張力をT1,吊点P2に接続されるロープ37の張力をT2,吊点P3に接続されるロープ37の張力をT3,吊点P4に接続されるロープ37の張力をT4とする。
【0074】
このロープ37の張力の大きさと、コンテナCのモーメントの釣り合いの式とを用いて、コンテナCのX軸方向の重心位置XG及びY軸方向の重心位置YGをそれぞれ求める。
図10に示すように、水平面上における吊点P1の座標を(X1,Y1)、吊点P2の座標を(X2,Y2)、吊点P3の座標を(X3,Y3)、吊点P4の座標を(X4,Y4)とすると、コンテナCのX軸方向の重心位置XGは、次式(5)によって求められる。
【0075】
【数5】
【0076】
同様に、コンテナCのY軸方向の重心位置YGは、次式(6)によって求められる。
【0077】
【数6】
【0078】
また、コンテナCのZ軸方向の重心位置ZGは、まず、第一実施形態で示した手法によって求めることができる。
【0079】
このように、本実施形態に係るコンテナ重心位置検出装置32によれば、放射線源11とディテクタ12とを一対だけ用いながら、コンテナCの三次元的な重心の位置を検出することができる。
すなわち、このコンテナ重心位置検出装置32では、厳重な管理が必要な放射線源11、及び高価でかさばるディテクタ12を複数設ける必要がないので、安全性の向上、設置コスト及び管理コストの低減、及び装置の小型化を図ることができる。
【0080】
ここで、コンテナCの重心位置が、平面視において吊点P1〜P4を頂点とする四角形の外に位置している場合には、一部のロープ37の張力が0となるので、コンテナCのY軸方向の重心位置YGについては求めることができるが、コンテナCのX軸方向の重心位置XGについては正確に求めることはできない。
しかし、この場合には、コンテナCの重心の偏りが大きすぎて、コンテナCの取り扱いが困難になるので、このコンテナCの荷役を継続することは好ましくない。
このため、このコンテナ重心位置検出装置32では、コンテナCの重心位置が、平面視において吊点P1〜P4を頂点とする四角形の外に位置している場合(言い換えれば一部のロープ37の張力が0となっている場合)には、アラーム等で作業者にコンテナCの重心の偏りが大きすぎるということを通知する構成とされる。
【0081】
[第四実施形態]
次に、本発明の第四実施形態について、図11から図13を用いて説明する。
本実施形態に係るコンテナ重心位置通知システム41は、図11に示すように、第三実施形態に示したコンテナ重心位置通知システム31において、コンテナ重心位置検出装置32の代わりに、コンテナ重心位置検出装置42を用いたものである。
以下、第一実施形態と同様または同一の部材については同じ符号を用いて示し、詳細な説明を省略する。
【0082】
図11の正面図に示すように、本実施形態に示すコンテナ重心位置検出装置42は、第三実施形態で示したコンテナ位置検出装置32において、コンテナの振動の様子を検出する振動検出装置43を設けたものである。
振動検出装置43は、スプレッダ36のフレーム36aの上面中央部に設けられるマーカ46と、トロリ39の下部に設けられて上方からスプレッダ36の上面を撮影する撮像装置47と、撮像装置47の撮影画像に基づいて、水平面上でのマーカ46の移動の様子を検出する画像処理装置とを有している。
本実施形態では、マーカ46として、鉛直上方に向けてレーザー光を発するレーザー光源が用いられている。また、本実施形態では、演算装置13が画像処理装置の役割を担っており、撮像装置47の撮影した画像上でのマーカ46の移動の様子に基づいて、コンテナCの振動の様子(振幅や振動の周期等)を検出する構成とされている。
【0083】
このように構成されるコンテナ位置検出装置42では、コンテナCの水平面上の重心位置の検出に先立って、まず、放射線源11とディテクタ12とを用いて、コンテナCのX軸方向(長手方向)の重心位置XG及びZ軸方向(コンテナCの高さ方向)の重心位置ZGの検出が行われる。
次に、図11に示すようにコンテナCを吊り上げて略水平にして静止させた状態(この状態を初期状態とする)から、トロリ39をコンテナCの短辺方向(図11の紙面に垂直な方向)に移動させることで、コンテナCを、スプレッダ36ごと短辺方向に振動させる。演算装置13は、この状態での振動検出装置43の出力に基づいて、コンテナCの短辺方向(この方向をY軸方向とする)の重心位置YGを検出する。
【0084】
演算装置13は、コンテナCの振動の平衡位置が、コンテナCの重心位置によって異なることを利用して、水平面上におけるコンテナCの重心位置を検出する。
ここで、図12及び図13に示すように、トロリ39の移動方向におけるコンテナCの重心の偏心量(Y軸方向におけるコンテナCの中心からのずれ量)をeとし、スプレッダ36の吊点PからコンテナCの重心までのZ軸方向の距離をhとする。なお、図13に示すように、トロリ39側でのY軸方向におけるロープ37の吊点P間の距離Dは、スプレッダ36側でのY軸方向におけるロープ37の吊点P間の距離dよりも大きいものとする。
【0085】
この場合、コンテナCが初期状態の位置(二点差線で示す位置)から平衡位置(実線で示す位置)まで移動した際の、振動面上(YZ平面上)でのロープ37の傾斜角度ξは、近似的に、次式(7)で表すことができる(式(7)の導出方法については後述する)。
【0086】
【数7】
【0087】
ここで、αはトロリ39の加速度、gは重力加速度、Lはロープ37のスプレッダ36側の吊点Pからトロリ39側の吊点Pまでの長さである。また、n=D/d−1である。
【0088】
そして、トロリ39の制御装置の出力等からαの値を求め、巻き上げ機38によるロープ37の繰り出し量等からLの値を求め、先に求めておいたコンテナCのZ軸方向の重心位置の情報に基づいてhの値を求め、振動検出装置43の出力からξの値を求めて、これらの値を式(7)に代入することで、eの値が求められる。
そして、このeの値に基づいて、コンテナCのY軸方向の重心位置YGが求められる。
【0089】
このように、本実施形態に係るコンテナ重心位置検出装置42によれば、放射線源11とディテクタ12とを一対だけ用いながら、コンテナCの三次元的な重心の位置を検出することができる。
すなわち、このコンテナ重心位置検出装置42では、厳重な管理が必要な放射線源11、及び高価でかさばるディテクタ12を複数設ける必要がないので、安全性の向上、設置コスト及び管理コストの低減、及び装置の小型化を図ることができる。
【0090】
以下に、前記式(7)の導出方法について説明する。
まず、図13に実線で示すように、斜め吊り状態にあるコンテナCの振動の様子について考える。
ここで、以下の説明では、図中の各記号を、次のように定義する。
M;コンテナCの質量
T;ロープ37の張力
β;e=0、かつコンテナCが静止している状態での鉛直線に対する各ロープ37の傾斜角度
θ;コンテナCの重心の偏心がある状態(図12に示す状態)での鉛直線に対する各ロープ37の傾斜角度(時計回り方向を正方向とする)
φ;水平面に対するコンテナCの傾斜角度(図13において時計回りを正方向とする)
なお、これらの記号のうち、添え字が0であるものは初期状態のものであり、添え字が1であるものは図13の左側の吊点に関するものであり、添え字が2であるものは図13の右側の吊点に関するものである。
また、以下の説明では、ロープ37の伸びについては無視する。
【0091】
I:静的釣り合いについての解析
加速度α=0で、かつ偏心量e=0の状態での釣り合い位置のロープ角βは、次式(8)で示される。
【0092】
【数8】
【0093】
このときの張力T0は、次式(9)で表される。
【0094】
【数9】
【0095】
力の釣り合いの式から、次式(10),(11)が得られる。
【0096】
【数10】
【0097】
【数11】
【0098】
一方、モーメントの釣り合いの式から、次式(12)が得られる。
【0099】
【数12】
【0100】
幾何学的な位置関係から、次式(13),(14)が得られる。
【0101】
【数13】
【0102】
【数14】
【0103】
ここで、L1=L2≡L、θ1=ξ−β、θ2=ξ+βとおいて、上記式(10)から式(14)を書き直して、下記式(15)から式(19)を得る。但し、ξ≪1,β≪1とする。
【0104】
【数15】
【0105】
【数16】
【0106】
モーメントの釣り合いの式から、次式(17),(18),(19)が得られる。
【0107】
【数17】
【0108】
【数18】
【0109】
【数19】
【0110】
以上の式(15)〜式(19)を、以下のように変形する。
式(18)より、次式(20)を得る。
【0111】
【数20】
【0112】
式(19)より、次式(21)を得る。
【0113】
【数21】
【0114】
II:動的特性についての解析
力の釣り合いの式から、次式(22),(23)が得られる。
【0115】
【数22】
【0116】
【数23】
【0117】
ここで、近似的に、次式(24)の関係が成り立つ。
【0118】
【数24】
【0119】
これにより、式(22),(23)は、それぞれ次式(25),(26)に書き換えることができる。
【0120】
【数25】
【0121】
【数26】
【0122】
これら式(25),(26)より、次式(27)が得られる。
【0123】
【数27】
【0124】
ここで、平行吊りの場合は、平行振れには合計張力の項しか出てこないので、各ロープ張力は問題にならなかったが、斜め吊りの場合はロープ張力差も問題となる。
角運動量の式より、Iをコンテナ吊点間中心の極慣性モーメントとすると、次式(28)が得られる。
【0125】
【数28】
【0126】
この式に、式(21)の関係を適用すると、次式(29)が得られる。
【0127】
【数29】
【0128】
この式を変形して次式(30)を得る。
【0129】
【数30】
【0130】
この式を変形して次式(31)を得る。
【0131】
【数31】
【0132】
ここで、次式(32)を定義する。
【0133】
【数32】
【0134】
この式を用いて、式(31)を近似して、次式(33)を得る。
【0135】
【数33】
【0136】
この式を変形して、次式(34)を得る。
【0137】
【数34】
【0138】
この式に、D=(n+1)dを代入して、次式(35)を得る。
【0139】
【数35】
【0140】
この式をさらに近似して、微小項を省略することで、次式(36)を得る。
【0141】
【数36】
【0142】
ここで、次式(37)を定義する。
【0143】
【数37】
【0144】
この式(37)を用いると、式(36)は、次式(38)のように表される。
【0145】
【数38】
【0146】
ここで、コンテナCの固有角振動数は、次式(39)で表される。
【0147】
【数39】
【0148】
このため、コンテナCの振動は、平衡位置が次式(7)で表される単振動となる。
【0149】
【数40】
【0150】
すなわち、斜め吊りでの平行振れにおいては、固有角振動数は、平行吊りと同一である。
また、振動の平衡位置は、重心の吊点中心からの水平方向偏心及び鉛直方向偏心に依存し、傾斜ファクターn=D/d−1によってその効果が拡大される。
【0151】
ここで、コンテナCの重心がX軸方向の中心位置にある場合には、本実施形態のようにコンテナCをYZ平面上で振動させても、コンテナCに垂直軸線回りの揺動(スキュー)が生じない。一方、コンテナCの重心がX軸方向の中心位置から外れている場合には、コンテナCwoYZ平面上で振動させると、コンテナCにスキュー方向の単振動が生じる。この単振動の周期は、コンテナCの重心の、X軸方向の中心位置からのずれ量によって異なる。
【0152】
そこで、本実施形態において、コンテナCのスキューの有無、及びスキューの周期に基づいて、コンテナCのX軸方向の重心位置を算出してもよい。
このようにしてスキューの様子から求めた重心位置の情報を、放射線源11とディテクタ12とを用いて算出した重心位置の情報と比較してそれぞれの精度を検証したり、スキューの様子から求めた重心位置の情報を、放射線源11とディテクタ12とを用いて算出した重心位置の情報を補完するデータとして用いることで、より高精度にコンテナCのX軸方向の重心位置を求めることができる。
【0153】
また、上記各実施形態で示したコンテナ重心位置検出方法を複数組み合わせて、各コンテナ重心位置検出方法によって得たコンテナCの重心位置の情報を比較してそれぞれの精度を検証したり、いずれかのコンテナ重心位置検出方法を用いて得たコンテナCの重心位置の情報を、他のコンテナ重心位置検出方法によって得たコンテナCの重心位置の情報を補完するデータとして用いることで、より高精度にコンテナCの重心位置を求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0154】
【図1】本発明の第一実施形態に係るコンテナ重心位置通知システムの構成を概略的に示す側面図である。
【図2】本発明の第一実施形態に係るコンテナ重心位置検出装置のディテクタに用いられる放射線検出素子の構成を示す図であって、(a)は平断面図、(b)は側面図である。
【図3】本発明の第一実施形態に係るコンテナ重心位置検出装置によるコンテナ重心位置の検出方法を示す図である。
【図4】本発明の第二実施形態に係るコンテナ重心位置通知システムの構成及びコンテナ重心位置検出装置によるコンテナ重心位置の検出方法の一例を示す平面図である。
【図5】本発明の第二実施形態に係るコンテナ重心位置検出装置によるコンテナ重心位置の検出方法の他の例を示す図である。
【図6】本発明の第一実施形態に係るコンテナ重心位置検出装置によるコンテナ重心位置の検出方法を示す図である。
【図7】本発明の第二実施形態に係るコンテナ重心位置通知システムの他の構成例を概略的に示す側面図である。
【図8】本発明の第三実施形態に係るコンテナ重心位置通知システムの構成を概略的に示す正面図である。
【図9】図8のA−A矢視図である。
【図10】本発明の第三実施形態に係るコンテナ重心位置検出装置によるコンテナ重心位置の検出方法の他の例を示す図である。
【図11】本発明の第四実施形態に係るコンテナ重心位置通知システムの構成を示す正面図である。
【図12】本発明の第四実施形態に係るコンテナ重心位置検出装置によるコンテナ重心位置の検出方法を示す図である。
【図13】本発明の第四実施形態に係るコンテナ重心位置検出装置によるコンテナ重心位置の検出方法を示す図である。
【符号の説明】
【0155】
1,21,26,31,41 コンテナ重心位置通知システム
2,22,32,42 コンテナ重心位置検出装置
3 IDタグ
4 情報記録装置
5 情報読取装置
11 放射線源
12 ディテクタ
13 演算装置
33 保持装置
34 負荷検出装置
36 スプレッダ(保持装置、支持装置)
37 ロープ(保持装置、支持装置)
38 巻き上げ機(保持装置、支持装置)
43 振動検出装置
C コンテナ
S コンテナ進入スペース
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテナの重心位置検出装置、コンテナの重心位置検出方法、及びコンテナ重心位置の通知システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近、輸入コンテナを陸上輸送するコンテナ運搬車の横転事故が多発している。
輸入コンテナの中には、海外においてコンテナ内部の荷物が片荷状態で積み付けられていて、コンテナの重心位置がコンテナ中心から外れているものがある。
このように重心位置の偏ったコンテナを、コンテナ運搬車の運転手がそれと知らずに運搬した場合には、カーブに進入した際などに車体バランスが崩れて、横転事故につながりやすい。
【0003】
このため、コンテナを開封することなく、コンテナの重心位置を特定する技術が必要とされている。
コンテナの重心位置を特定する方法としては、例えば、後記の特許文献1に記載の検知手段を用いた方法が知られている。
この方法は、検知手段を用いて冷凍コンテナの長さを検出し、この冷凍コンテナの長さに対応した重心位置を予め定めた複数の重心位置の中から設定するものである。
【0004】
【特許文献1】特開2000−72398号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、この方法は、あくまでも、重心位置が既知である冷凍コンテナ自体の重心位置を、冷凍コンテナの長さの情報に基づいて特定するものであって、積荷を含めたコンテナ全体としての重心位置を特定するものではない。
このため、この重心位置設定手段を用いても、コンテナ内の荷物が片荷状態で積み付けられているかどうかを知ることはできない。
また、なんらかの方法を用いてコンテナの重心位置を検出することができたとしても、従来は、その情報をコンテナ運搬車の運転手等の当事者に知らせるための手段が確立されていなかった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、コンテナを開封することなしに、コンテナの重心位置を容易に特定することができるコンテナ重心位置検出装置及びコンテナ重心位置検出方法、及びコンテナの重心位置の情報を容易に知ることができるコンテナ重心位置通知システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明は、放射線源と、該放射線源との間にコンテナ進入スペースをあけて配置されるディテクタと、該ディテクタの出力に基づいて演算処理を行う演算装置とを有しており、該演算装置が、前記コンテナ進入スペースにコンテナが進入した状態での前記放射線源から前記ディテクタに到達した放射線の強度分布を求めるとともに、該放射線の強度分布に基づいて、前記コンテナの密度分布を算出し、該密度分布に基づいて前記コンテナの重心位置を特定するコンテナ重心位置検出装置を提供する。
【0008】
放射線(例えばX線やγ線)は、物体を透過する際に、この物体を構成する物質との相互作用によって減衰または吸収されて、その強度が低下する。
放射線が密度の高い物質を透過した場合や、放射線が物質中を通過した距離が長い場合(放射線の透過方向における物体の寸法が大きい場合)には、放射線と物質との相互作用が大きいので、放射線の透過率が低い。一方、放射線が密度の低い物質を透過した場合や、放射線が物質中を通過した距離が短い場合(放射線の透過方向における物体の寸法が短い場合)には、放射線と物質との相互作用が小さいので、放射線の透過率が大きくなる。
すなわち、放射線の透過率は、放射線の透過した領域における物質の質量が大きいほど少なく、放射線の透過した領域における物質の質量が小さいほど大きくなる。
【0009】
本発明は、このことを利用して、コンテナの重心位置を検出するものである。
具体的には、本発明のコンテナ重心位置検出装置では、コンテナをコンテナ進入スペースに進入させた状態で、このコンテナに放射線源から放射線を照射し、コンテナを透過した放射線を、ディテクタによって検出する。
このディテクタの出力に基づいて、コンテナを透過した放射線の強度分布を求めるとともに、この放射線の強度分布(すなわちコンテナにおける放射線の透過率の分布)に基づいて、コンテナの密度分布を算出する。このようにしてコンテナの密度分布を得ることで、コンテナの重心位置を特定することができる。
【0010】
ここで、前記演算装置が、前記放射線源から前記ディテクタに到達した放射線の強度分布に基づく放射線透過画像を作成するとともに、該放射線透過画像の濃淡の分布に基づいて、前記コンテナ進入スペースに進入した前記コンテナの密度分布を算出して、該コンテナの重心位置を特定する構成とされていてもよい。
この場合には、本発明に係るコンテナ重心位置検出装置を、放射線透過画像を用いて検査を行う非破壊検査装置として用いることができる。また、本発明に係るコンテナ重心位置検出装置を、一般的な非破壊検査装置を用いて容易に作成することができる。
【0011】
また、前記放射線源が複数箇所に配置されており、前記演算装置が、前記ディテクタの出力に基づいて前記各放射線源から前記ディテクタに到達した放射線の強度分布をそれぞれ求めるとともに、前記ディテクタに対する前記各放射線源の位置情報と該各放射線源から前記ディテクタに入射した放射線の強度分布とに基づいて、前記コンテナ進入スペースに進入した前記コンテナの密度分布を算出して、該コンテナの三次元的な重心位置を特定する構成とされていてもよい。
【0012】
このように、複数箇所に放射線源を設けて、これら放射線源から、コンテナ進入スペースに進入したコンテナに対して異なる複数方向から放射線を照射することで、ディテクタには、異なる方向からコンテナを透過した放射線が入射することになる。
このため、ディテクタの出力からは、各放射線源からコンテナを透過してディテクタに到達した放射線(すなわち異なる方向からコンテナを透過した放射線)の強度分布が得られる。
【0013】
このようにして得た放射線源ごとの放射線の強度分布から、各放射線源側から見たコンテナの重心位置をそれぞれ特定することができる。さらに、この複数方向から見たコンテナの重心位置の情報と、各放射線源の位置情報とに基づいて、コンテナの三次元的な重心位置を特定することができる。
ここで、ディテクタは、放射線源ごとに設けてもよく、また、同一のディテクタに対して複数の放射線源から放射線を照射する構成としてもよい。
【0014】
ここで、放射線源は、厳重な管理の下に使用する必要があるので、安全性及び管理コストの点からも、放射線源の使用数は極力少なくすることが好ましい。また、ディテクタは、高価であるうえ大きくてかさばるため、設置コストや設置スペースの関係上、極力設置数を低減することが好ましい。
そこで、放射線源を複数用いる代わりに、前記放射線源と前記ディテクタとを、水平面上で対向配置される一対のみ設け、前記コンテナを平面視における複数箇所で保持して持ち上げる保持装置と、該保持装置の各部に加わる負荷を検出する負荷検出装置とを設け、前記演算装置が、前記ディテクタの出力に基づいて前記コンテナの垂直面上での重心位置を検出するとともに、前記保持装置を用いて前記コンテナを持ち上げた状態での前記負荷検出装置の出力に基づいて、水平面上における前記コンテナの重心位置を検出する構成としてもよい。
【0015】
この場合には、前記のように、ディテクタの出力に基づいて、垂直面上におけるコンテナの重心位置を検出するとともに、負荷検出装置の出力に基づいて水平面上におけるコンテナの重心位置を検出する。
具体的には、保持装置を用いてコンテナを持ち上げて、コンテナを釣り合い状態で保持し、この状態での負荷検出装置の出力(保持装置の各部に加わった力)に基づいて、水平面上におけるコンテナの重心の位置を検出する。
このコンテナの重心の位置は、コンテナのモーメントの釣り合いの式と負荷検出装置の出力とに基づいて算出することができる。
このようにして、コンテナの重心の垂直面上における位置と、水平面上における位置を検出することで、放射線源とディテクタとを一対だけ用いながら、コンテナの三次元的な重心の位置を検出することができる。
【0016】
前記保持装置が、前記コンテナを保持するスプレッダと、それぞれ該スプレッダの異なる部位に接続された複数のロープと、該各ロープの巻き上げと繰り出しとを行う巻き上げ機とを有しており、前記負荷検出装置は、前記各ロープのそれぞれに設けられた張力測定装置を有していてもよい。
【0017】
この場合には、一般的なコンテナ荷役装置(ロープによって吊り下げられたスプレッダを用いてコンテナの荷役を行う荷役装置)を用いて、コンテナの水平面上におけるコンテナの重心位置を検出することができる。
【0018】
また、本発明に係るコンテナ重心位置検出装置は、前記コンテナを吊り下げ支持する支持装置と、前記コンテナの振動の様子を検出する振動検出装置とを有し、前記放射線源と前記ディテクタとが、水平面上で対向配置される一対のみ設けられており、前記演算装置が、前記振動検出装置の出力に基づいて、水平面上における前記コンテナの重心位置を検出する構成とされていてもよい。
【0019】
この場合には、前記のように、ディテクタの出力に基づいて、垂直面上におけるコンテナの重心位置を検出するとともに、支持装置によって吊り下げ支持されたコンテナを振動させ、この状態での振動検出装置の出力に基づいて水平面上におけるコンテナの重心位置を検出する。
水平面上におけるコンテナの重心の位置は、コンテナの振動の平衡位置がコンテナの重心位置によって異なることを利用して算出することができる。
このようにして、コンテナの重心の垂直面上における位置と、水平面上における位置を検出することで、放射線源とディテクタとを一対だけ用いながら、コンテナの三次元的な重心の位置を検出することができる。
【0020】
前記支持装置が、前記コンテナを保持するスプレッダと、それぞれ該スプレッダの異なる部位に接続された複数のロープと、該各ロープの巻き上げと繰り出しとを行う巻き上げ機とを有していてもよい。
この場合には、一般的なコンテナ荷役装置を用いて、コンテナの水平面上におけるコンテナの重心位置を検出することができる。
【0021】
また、本発明は、放射線源とディテクタとを、互いの間にコンテナ進入スペースをあけて配置し、前記ディテクタの出力に基づいて、該コンテナ進入スペースにコンテナを進入させた状態での前記放射線源から前記ディテクタに到達した放射線の強度分布を求めるとともに、該放射線の強度分布に基づいて、前記コンテナの密度分布を算出して、該コンテナの重心位置を特定するコンテナ重心位置検出方法を提供する。
【0022】
本発明のコンテナ重心位置検出方法は、放射線の透過率が、放射線の透過した領域における物質の質量が大きいほど少なくなり、放射線の透過した領域における物質の質量が小さいほど大きくなることを利用して、コンテナの重心位置を検出するものである。
具体的には、本発明のコンテナ重心位置検出方法では、コンテナをコンテナ進入スペースに進入させた状態で、このコンテナに放射線源から放射線を照射し、コンテナを透過した放射線を、ディテクタによって検出する。
このディテクタの出力に基づいて、コンテナを透過した放射線の強度分布を求めるとともに、この放射線の強度分布(すなわちコンテナにおける放射線の透過率の分布)に基づいて、コンテナの密度分布を算出する。このようにしてコンテナの密度分布を得ることで、コンテナの重心位置を特定することができる。
【0023】
また、前記放射線源を複数箇所に配置し、前記ディテクタの出力に基づいて、前記各放射線源から前記ディテクタに到達した放射線の強度分布をそれぞれ求めるとともに、前記ディテクタに対する前記各放射線源の位置情報と該各放射線源から前記ディテクタに入射した放射線の強度分布とに基づいて、前記コンテナ進入スペースに進入した前記コンテナの密度分布を算出して、該コンテナの三次元的な重心位置を特定してもよい。
【0024】
このように、複数箇所に放射線源を設けて、これら放射線源から、コンテナ進入スペースに進入したコンテナに対して異なる複数方向から放射線を照射することで、ディテクタには、異なる方向からコンテナを透過した放射線が入射することになる。
このため、ディテクタの出力からは、各放射線源からコンテナを透過してディテクタに到達した放射線(すなわち異なる方向からコンテナを透過した放射線)の強度分布が得られる。
【0025】
このようにして得た放射線源ごとの放射線の強度分布から、各放射線源側から見たコンテナの重心位置をそれぞれ特定することができる。さらに、この複数方向から見たコンテナの重心位置の情報と、各放射線源の位置情報とに基づいて、コンテナの三次元的な重心位置を特定することができる。
ここで、ディテクタは、放射線源ごとに設けてもよく、また、同一のディテクタに対して複数の放射線源から放射線を照射する構成としてもよい。
【0026】
また、本発明に係る重心位置検出方法において、上記のように放射線源を複数用いる代わりに、前記コンテナを平面視における複数箇所で保持して持ち上げる保持装置と、該保持装置の各部に加わる負荷を検出する負荷検出装置とを設け、前記放射線源と前記ディテクタとを、水平面上で対向配置される一対のみ設け、前記ディテクタの出力に基づいて前記コンテナの垂直面上での重心位置を検出するとともに、前記保持装置を用いて前記コンテナを持ち上げた際の前記負荷検出装置の出力に基づいて、水平面上における前記コンテナの重心位置を検出してもよい。
【0027】
この場合には、前記のように、ディテクタの出力に基づいて、垂直面上におけるコンテナの重心位置を検出するとともに、負荷検出装置の出力に基づいて水平面上におけるコンテナの重心位置を検出する。
具体的には、保持装置を用いてコンテナを持ち上げて、コンテナを釣り合い状態で保持し、この状態での負荷検出装置の出力(保持装置の各部に加わった力)に基づいて、水平面上におけるコンテナの重心の位置を検出する。
このコンテナの重心の位置は、コンテナのモーメントの釣り合いの式と負荷検出装置の出力とに基づいて算出することができる。
このようにして、コンテナの重心の垂直面上における位置と、水平面上における位置を検出することで、放射線源及びディテクタをそれぞれ一つだけ用いながら、コンテナの三次元的な重心の位置を検出することができる。
【0028】
また、本発明に係る重心位置検出方法において、上記のように放射線源を複数用いる代わりに、前記コンテナを吊り下げ支持する支持装置と、前記コンテナの振動の様子を検出する振動検出装置とを設け、前記放射線源と前記ディテクタとを、水平面上で対向配置される一対のみ設け、前記振動検出装置の出力に基づいて、水平面上における前記コンテナの重心位置を検出してもよい。
【0029】
この場合には、前記のように、ディテクタの出力に基づいて、垂直面上におけるコンテナの重心位置を検出するとともに、支持装置によって吊り下げ支持されたコンテナを振動させ、この状態での振動検出装置の出力に基づいて水平面上におけるコンテナの重心位置を検出する。
水平面上におけるコンテナの重心の位置は、コンテナの振動の平衡位置がコンテナの重心位置によって異なることを利用して算出することができる。
このようにして、コンテナの重心の垂直面上における位置と、水平面上における位置を検出することで、放射線源とディテクタとを一対だけ用いながら、コンテナの三次元的な重心の位置を検出することができる。
【0030】
また、本発明は、前記コンテナに設けられて情報の書き込み及び読み出しが可能なIDタグと、該IDタグに本発明に係るコンテナ重心位置検出装置によって得られた前記コンテナの重心位置の情報を書き込む情報記録装置と、前記IDタグに書き込まれた前記コンテナの重心位置の情報を読み出して使用者に通知する情報読取装置とを有しているコンテナ重心位置通知システムを提供する。
【0031】
このコンテナ重心位置通知システムでは、本発明に係るコンテナ重心位置検出装置によって検出されたコンテナの重心位置を、情報記録装置によってコンテナに設けられたIDタグに記録したのちは、使用者(例えばコンテナ運搬車の運転手)は、情報読取装置を用いることで、コンテナの重心位置を容易に知ることができる。
また、このように、コンテナ自体にコンテナの重心位置の情報を記録したIDタグが設けられているので、コンテナの重心位置の情報を他のコンテナの重心位置の情報と取り違えにくい。
ここで、IDタグとして、無線通信によって情報の書き込みや読み出しが可能なRFIDタグを用いることで、非接触でIDタグにコンテナの重心位置の情報の記録や読み出しを行うことが可能となるので、利便性がより一層向上する。
なお、情報読取装置による使用者へのコンテナの重心位置の情報の通知方法は任意であって、例えば画像表示装置を用いて画像によって通知してもよく、音声発生装置を用いて音声によって通知してもよい。
【発明の効果】
【0032】
本発明に係るコンテナ重心位置検出装置及びコンテナ重心位置検出方法によれば、コンテナを開封することなしに、コンテナの重心位置を容易に特定することができる。
また、本発明に係るコンテナ重心位置通知システムによれば、コンテナ重心位置検出装置によって検出したコンテナの重心の位置の情報を、コンテナ運搬車の運転手等のコンテナを取り扱う作業者に容易に通知することができるので、重心位置が偏っているコンテナについて、コンテナの取り扱いを慎重に行うよう、作業者に注意を喚起して、事故を未然に防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
[第一実施形態]
以下、本発明の第一実施形態について、図1を用いて説明する。
図1の側面図に概略的に示すように、本実施形態に示すコンテナ重心位置通知システム1は、コンテナCの荷役が行われる領域に設置されるコンテナ重心位置検出装置2と、コンテナCに設けられて情報の書き込み及び読み出しが可能なIDタグ3と、IDタグ3にコンテナ重心位置検出装置2によって得られたコンテナCの重心位置の情報を書き込む情報記録装置4と、IDタグ3に書き込まれたコンテナCの重心位置の情報を読み出して使用者に通知する情報読取装置5とを有している。
【0034】
本実施形態では、IDタグ3として、無線通信によって情報の書き込みや読み出しが可能なRFIDタグを用いている。これにより、このコンテナ重心位置通知システム1では、非接触でIDタグにコンテナの重心位置の情報の記録や読み出しを行うことが可能である。
本実施形態では、情報記録装置4として、無線通信によってRFIDタグに非接触で情報を書き込むことができるRFIDタグライタが用いられている。
この情報記録装置4は、コンテナ重心位置検出装置2の操作者が携帯する携帯端末としてもよく、コンテナ重心位置検出装置2に組み込まれていてもよい。
【0035】
また、本実施形態では、情報読取装置5として、無線通信によってRFIDタグから非接触で情報を読み出すことができるRFIDタグリーダが用いられている。
この情報読取装置5は、コンテナ運搬車Vの運転手が携帯する携帯端末としてもよく、コンテナ運搬車V自体に搭載されていてもよい。
この情報読取装置5による使用者へのコンテナCの重心位置の情報の通知方法は任意であって、例えば情報読取装置5に画像表示装置を設けて、画像表示装置が表示する画像によって重心位置の情報を通知してもよく、情報読取装置5に音声発生装置を設けて、音声発生装置が発する音声によって重心位置の情報を通知してもよい。
【0036】
コンテナ重心位置検出装置2は、放射線源11と、放射線源11との間にコンテナ進入スペースSをあけて配置されるディテクタ12とを有している。これによって、放射線源11からコンテナ進入スペースSに進入したコンテナC越しに、ディテクタ12に放射線を照射することができるようになっている。
本実施形態では、放射線源11とディテクタ12との間には、コンテナ進入スペースSとして、コンテナCがコンテナ運搬車Vごと進入することができるだけのスペースが確保されている。これによって、コンテナCをコンテナ運搬車Vの荷台上に積載した状態で、放射線源11からコンテナC越しにディテクタ12に放射線を照射することができるようになっている。
ここで、放射線源11としては、例えば、X線を発生させるもののほか、γ線を発生させるものを用いることができる。
【0037】
ディテクタ12は、複数の放射線検出素子16を隣接配置した構成とされている。本実施形態では、ディテクタ12は、放射線検出素子16を、受光部が放射線源11の配置される側に向けられた状態で、略水平方向及び略垂直方向にそれぞれ隣接配置した構成とされている。
図2(a)の平断面図及び図2(b)の側面図に示すように、各放射線検出素子16は、光電子増倍管16aと、光電子増倍管16aの受光部に対向配置されるシンチレータ16bと、シンチレータ16bから発せられた蛍光を光電子増倍管16aの受光部に向けて反射するミラー16cとを有している。
この放射線検出素子16では、放射線がシンチレータ16bに入射すると、シンチレータ16bにおいて放射線が入射した部位が励起されて放射線の強度に応じた強度の蛍光(可視光)を発する。この蛍光は、光電子増倍管16aの受光部に直接入射するか、もしくはミラー16cによって反射されることによって光電子増倍管16aの受光部に入射し、これによって、光電子増倍管16aが蛍光の強度に応じた強度で検出信号を出力する。
【0038】
本実施形態では、シンチレータ16bは、光電子増倍管16aの受光部よりも面積の大きい長方形板状(例えば縦30mm、横450mm)をなしており、その長辺が略水平となるようにして配置されている。
また、ミラー16cは、このシンチレータ16bの各辺からそれぞれ光電子増倍管16aの受光部の周縁部とを通る平面(例えばシンチレータ16bの上辺と受光部の上辺とを通る平面)に沿って配置されている。
【0039】
また、コンテナ重心位置検出装置2は、ディテクタ12の出力に基づいて演算処理を行う演算装置13を有している。
演算装置13は、放射線を検出した放射線検出素子16の位置と、この放射線検出素子16の検出信号の強度とに基づいて、ディテクタ12に入射した放射線の強度分布(すなわちコンテナCにおける放射線の透過率の分布)を求める構成とされている。
さらに、演算装置13は、このようにして得た放射線の強度分布の情報に基づいて、コンテナ進入スペースSに進入したコンテナCの密度分布を算出して、コンテナCの重心位置を特定する構成とされている。
本実施形態では、演算装置13は、ディテクタ12に入射した放射線の強度分布に基づいて、コンテナCの放射線透過画像I(図3参照)を作成し、この放射線透過画像Iの濃淡の分布に基づいて、コンテナ進入スペースSに進入したコンテナCの密度分布を算出して、コンテナCの重心位置を特定する構成とされている。
【0040】
本実施形態に示すコンテナ重心位置検出装置2は、以下のようにして、放射線透過画像Iの重心位置を検出する。
まず、重心位置検出対象のコンテナCを、コンテナ進入スペースSにコンテナ運搬車Vごと搬入する。この状態で、コンテナ運搬車Vの運転手を一旦コンテナ運搬車Vから降ろしてコンテナ進入スペースSから退避させ、さらに、コンテナ重心位置検出装置2の周囲に放射線を遮蔽する遮蔽壁を巡らせるか、もしくはコンテナ重心位置検出装置2の周囲への人の立ち入りを禁止した状態で、放射線源11からコンテナC越しにディテクタ12に放射線を照射する。
【0041】
これにより、演算装置13が、ディテクタ12の出力信号に基づいて、前記の放射線透過画像Iを作成する。
具体的には、演算装置13は、図3に示すように、ディテクタ12の出力から求めた放射線の強度分布に基づいて、放射線強度が強いほど色が濃く、放射線強度が弱いほど色が薄く表示されたコンテナCの放射線透過画像Iを作成する。
【0042】
ここで、放射線は、物体を透過する際に、この物体を構成する物質との相互作用によって減衰または吸収されて、その強度が低下する。
放射線が密度の高い物質を透過した場合や、放射線が物質中を通過した距離が長い場合(放射線の透過方向における物体の寸法が大きい場合)には、放射線と物質との相互作用が大きいので、放射線の透過率が低い。一方、放射線が密度の低い物質を透過した場合や、放射線が物質中を通過した距離が短い場合(放射線の透過方向における物体の寸法が短い場合)には、放射線と物質との相互作用が小さいので、放射線の透過率が大きくなる。
すなわち、放射線の透過率は、放射線の透過した領域における物質の質量が大きいほど少なく、放射線の透過した領域における物質の質量が小さいほど大きくなる。
このため、上記のように放射線の強度を画像の濃淡で表した放射線透過画像Iは、コンテナCの質量の分布を画像の濃淡で表したものとみなすことができる。
演算装置13は、このことを利用して、コンテナCの重心位置を検出する。
【0043】
具体的には、演算装置13が、図3に示すように、放射線透過画像Iを水平方向(この方向をX軸方向とする)に沿って等間隔Xで複数の領域に分割し、各領域における画像の濃度の平均値m1,m2,m3,…ml(但しlは任意の整数)を、各領域の質量とみなして、X軸方向における重心の位置XGを算出する。
各領域のX軸方向の中心位置の座標をX1,X2,X3,…Xlとすると、この放射線透過画像Iの、X軸方向における重心の位置XGは、次式(1)によって求められる。
【0044】
【数1】
【0045】
同様にして、演算装置13が、放射線透過画像Iを垂直方向(この方向をZ軸方向とする)に沿って等間隔Zで複数の領域に分割し、各領域における画像の濃度の平均値M1,M2,M3,…Mn(但しnは任意の整数)を、各領域の質量とみなして、Z軸方向における重心の位置ZGを算出する。
各領域のZ軸方向の中心位置の座標をZ1,Z2,Z3,…Znとすると、この放射線透過画像Iの、Z軸方向における重心の位置ZGは、次式(2)によって求められる。
【0046】
【数2】
【0047】
このように、このコンテナ重心位置検出装置2では、コンテナCを開封することなしに、コンテナCの重心位置(但し、X方向及びZ方向の位置のみ)を容易に特定することができる。
【0048】
このようにして演算装置13が求めたコンテナCの重心位置の情報は、情報記録装置4によって、コンテナCに設けられたIDタグ3に書き込まれる。
これにより、以降は、このコンテナCを取り扱う作業者(例えばコンテナ運搬車の運転手)は、情報読取装置5を用いることで、このコンテナCの重心位置を容易に知ることができる。
このため、重心位置が偏っているコンテナCがあった場合にも、このコンテナCの取り扱いを慎重に行うよう、作業者に注意を喚起して、事故を未然に防ぐことができる。
また、このように、コンテナC自体にコンテナCの重心位置の情報を記録したIDタグ3が設けられているので、コンテナCの重心位置の情報を他のコンテナCの重心位置の情報と取り違えにくい。
【0049】
また、本実施形態では、IDタグ3として、無線通信によって情報の書き込みや読み出しが可能なRFIDタグを用いているので、情報記録装置4によるコンテナCの重心位置の情報の書込みや情報読取装置5によるコンテナCの重心位置の情報の読み出しを、非接触で行うことができるので、利便性がより一層向上する。
また、本実施形態では、コンテナ重心位置検出装置2が、コンテナCの放射線透過画像Iを用いてコンテナCの重心位置を検出する構成とされているので、このコンテナ重心位置検出装置2を、放射線透過画像Iを用いて検査を行う非破壊検査装置として用いることができる。また、このコンテナ重心位置検出装置2は、一般的な非破壊検査装置を用いて容易に作成することができる。
【0050】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態について、図4から図6を用いて説明する。
図4の平面図に示すように、本実施形態に係るコンテナ重心位置通知システム21は、第一実施形態に示したコンテナ重心位置通知システム1において、コンテナ重心位置検出装置2の代わりに、コンテナ重心位置検出装置22を用いたものである。
以下、第一実施形態と同様または同一の部材については同じ符号を用いて示し、詳細な説明を省略する。
【0051】
本実施形態に示すコンテナ重心位置検出装置22は、第一実施形態で示したコンテナ位置検出装置2において、放射線源11を複数設けたものである。
具体的には、このコンテナ重心位置検出装置21では、放射線源11が複数箇所に配置されており、各放射線源11からコンテナC越しにディテクタ12に放射線を照射することができるようになっている。
本実施形態では、放射線源11として、第一放射線源11a及び第二放射線源11bが、ディテクタ12との距離を等しくして、略水平方向に離間して配置されている。
【0052】
このように、異なる位置に第一、第二放射線源11a,11bを設けて、これら各放射線源11からコンテナ進入スペースSに進入したコンテナCに対して放射線を照射することで、ディテクタ12には、異なる方向からコンテナCを透過した放射線が入射することになる。
このため、各放射線源11から個別に放射線を照射することで、ディテクタ12の出力からは、各放射線源11からコンテナCを透過してディテクタ12に到達した放射線(すなわち異なる方向からコンテナCを透過した放射線)の強度分布がそれぞれ得られる。
【0053】
このコンテナ重心位置検出装置22では、演算装置13は、ディテクタ12の出力に基づいて第一、第二放射線源11a,11bのそれぞれについて、コンテナC越しにディテクタ12に到達した放射線の強度分布を個別に求めるとともに、ディテクタ12に対する各放射線源11の位置情報と各放射線源11からディテクタ12に入射した放射線の強度分布とに基づいて、コンテナ進入スペースSに進入したコンテナCの重心位置を特定する。
【0054】
以下、演算装置13によるコンテナCの三次元的な重心位置の検出方法について、具体的な例を用いて説明する。
まず、演算装置13による重心位置の検出方法の基本的な思想を示すために、条件を単純化する。以下では、図4に示すように、コンテナC内に、一つの質点Gのみが存在している場合について説明する。
ここで、図4において、第一放射線源11aの位置を原点として、第一放射線源11aから第二放射線源11bに向う方向をX軸の正方向とし、第一放射線源11aからディテクタ12に向う方向をY軸の正方向とする。また、第二放射線源11bのX座標はLxとし、ディテクタ12のY座標はLyとする。
【0055】
第一放射線源11aが発した放射線によるコンテナCの放射線透過画像Iでは、質点Gが、X=Xaとなる位置(XY座標で示すと(Xa,Ly)の地点)に投影され、この部分に画像濃度のピークが形成される。同様に、第二放射線源11bが発した放射線によるコンテナCの放射線透過画像Iでは、質点Gが、X=Xbとなる位置(XY座標で示すと(Xb,Ly)の地点)に投影され、この部分に画像濃度のピークが形成される。
【0056】
図4に示すように、コンテナCのY軸方向の重心位置YG(この例では質点Gの位置)は、第一放射線源11a(XY座標で示すと(0,0)の地点)と(Xa,Ly)の地点とを結ぶ第一の直線W1と、第二放射線源11b(XY座標で示すと(Lx,0)の地点)と(Xb,Ly)の地点とを結ぶ第二の直線W2との交点にある。
以上の関係から、コンテナCのY軸方向の重心位置YGの座標は、次式(3)を用いて求めることができる。
【0057】
【数3】
【0058】
同様に、コンテナCのX軸方向の重心位置XGの座標は、次式(4)を用いて求めることができる。
【0059】
【数4】
【0060】
また、コンテナCのZ軸方向の重心位置ZGは、第一実施形態と同様にして求めることができる。
【0061】
次に、図5に示すように、コンテナC内に、略直方体ブロック状の物体B1が一つだけ配置されている場合や、図6に示すように、平面視略三角形をなす物体B2が一つだけ配置されている場合におけるコンテナCの重心位置検出方法について説明する。
なお、図5では、物体B1は、長辺をX軸に略平行にして設置されており、図6では、物体B2は、平面視略二等辺三角形をなしており、その底辺がX軸の負方向に向けられ、この底辺に対向する頂点がX軸の正方向に向けられた状態で設置されている。ここで、物体B1,B2は、それぞれ全体が均質な材質によって構成されているものとする。
【0062】
このように、コンテナC内の物体が立体である場合には、演算装置13は、物体B1,B2を質点に近似することによってコンテナCの重心位置を検出する。
具体的には、演算装置13は、これら放射線透過画像Iのそれぞれについて、第一実施形態で用いた手法を利用してX軸方向の重心位置(これを仮の重心位置とする)を求め、この仮の重心位置と各放射線源11の位置情報とに基づいて、コンテナCの重心位置を検出する。
【0063】
図5に示す例では、第一放射線源11aが発した放射線による放射線透過画像Iでは、物体B1が、X軸方向に延びる帯状に投影されるので、X軸方向の画像濃度のピークはなく、物体B1が投影される領域全体(但しこの領域の端部は除く)の画像濃度が、他の領域よりも高いほぼ一定値となる。なお、物体B1が投影される領域の端部は、物体B1の角部が投影されている領域であるので、この領域では、画像濃度が緩やかに立ち上がっている。このことは、第二放射線源11bが発した放射線による放射線透過画像Iにおいても同様である。
演算装置13は、第一放射線源11aが発した放射線による放射線透過画像Iの仮の重心位置を(Xa,Ly)とし、第二放射線源11bが発した放射線による放射線透過画像の仮の重心位置を(Xb,Ly)とし、以降は、前記の質点Gが収納されたコンテナCの重心位置検出方法と同様の手順で、コンテナCの三次元的な重心位置を求める。
【0064】
図6に示す例では、第一放射線源11aが発した放射線による放射線透過画像Iでは、物体B2が、X軸方向に延びる帯状に投影される。この放射線透過画像Iでは、X軸方向の画像濃度のピークは、物体B2が投影される領域の中央からずれた位置に形成される。このことは、第二放射線源11bが発した放射線による放射線透過画像Iにおいても同様である。
この場合においても、演算装置13は、第一放射線源11aが発した放射線による放射線透過画像Iの仮の重心位置を(Xa,Ly)とし、第二放射線源11bが発した放射線による放射線透過画像の仮の重心位置を(Xb,Ly)とし、以降は、前記の質点Gが収納されたコンテナCの重心位置検出方法と同様の手順で、コンテナCの三次元的な重心位置を求める。
【0065】
ここで、上記各実施形態では、演算装置13が、放射線透過画像Iの濃淡に基づいてコンテナCの重心を検出する例を示したが、これに限られることなく、演算装置13が、ディテクタ12の出力信号に基づいて作成した放射線強度分布に基づいて、コンテナの密度分布を算出し、その分布の中心を、コンテナCの重心位置とする構成であってもよい。
【0066】
また、上記各実施形態では、ディテクタ12を構成する放射線検出素子16が、受光部を放射線源11の配置される側に向けた状態にして、略水平方向及び略垂直方向にそれぞれ隣接配置されている構成とされている例を示したが、これに限られることなく、例えば図7に示すコンテナ重心位置検出装置26のように、放射線検出素子16が、コンテナCの荷役時の移動方向(例えばトランスファークレーン等のコンテナ荷役装置によるコンテナCの搬送方向)に交差する方向にだけ配置されている構成としてもよい。
【0067】
このコンテナ重心位置検出装置26では、コンテナCの搬送経路を挟んで第一放射線源11aと第一ディテクタ12aとが対向配置され、この第一放射線源11aと第一ディテクタ12aとの対に対してコンテナCの搬送経路に離間させて、第二放射線源11bと第二ディテクタ12bとの対が設けられている。
このコンテナ重心位置検出装置26においても、コンテナCの三次元的な重心位置を検出することができるよう、第一放射線源11aと第二放射線源11bとは、コンテナCの搬送方向に略直交する方向に離間して配置されている。
【0068】
各ディテクタ12は、コンテナCの搬送経路に略直交する方向(搬送経路を横断する方向)に沿って放射線検出素子16を一列だけ設けた構成とされている。但し、放射線検出素子16は、コンテナCの搬送方向に略直交する方向(紙面に略垂直な方向)においては、放射線検出素子16は、コンテナC全体をカバーするだけの数が配列されている。
各放射線検出素子16は、シンチレータ16bの短辺がコンテナCの搬送方向(すなわち各放射線源11の配列方向)と略平行となるようにして配置されていて、コンテナCの搬送方向における指向性が高められており、これによって、対応する放射線源11以外の放射線源11からの放射線を検出しにくくなっている。
【0069】
このコンテナ重心位置検出装置26では、各放射線源11から対応するディテクタ12に放射線を照射した状態で、これら放射線源11とディテクタ12との対の間を通過したコンテナCが放射線源11とディテクタ12との対によって走査されて、放射線源11とディテクタ12との対ごとに、コンテナC全体の放射線透過画像Iが得られる。
すなわち、このコンテナ重心位置検出装置26では、コンテナCの搬送中に、コンテナCの重心位置を検出することができるので、コンテナCの荷役効率を低下させずに済む。
また、このコンテナ重心位置検出装置26では、各ディテクタ12に使用する放射線素子16の数を大幅に削減することができるので、製造コストを大幅に低減することができる。
なお、このコンテナ重心位置検出装置26において、放射線源11とディテクタ12との対を一つだけ設けてもよい。この場合にも、第一実施形態と同様にして、コンテナCの二次元的な重心位置を検出することができる。
【0070】
[第三実施形態]
次に、本発明の第三実施形態について、図8から図10を用いて説明する。
本実施形態に係るコンテナ重心位置通知システム31は、第一実施形態に示したコンテナ重心位置通知システム1において、コンテナ重心位置検出装置2の代わりに、コンテナ重心位置検出装置32を用いたものである。
以下、第一実施形態と同様または同一の部材については同じ符号を用いて示し、詳細な説明を省略する。
【0071】
図8の正面図に示すように、本実施形態に示すコンテナ重心位置検出装置32は、第一実施形態で示したコンテナ位置検出装置2において、コンテナCを平面視における複数箇所で保持して持ち上げる保持装置33と、保持装置33の各部に加わる負荷を検出する負荷検出装置34とを設けたものである。
本実施形態では、保持装置33として、図示せぬコンテナ荷役装置に搭載された保持装置33を用いている。
具体的には、保持装置33は、コンテナCの上部四隅を保持するスプレッダ36と、それぞれスプレッダ36の異なる部位に接続された複数のロープ37と、各ロープ37の巻き上げと繰り出しとを行う巻き上げ機38とを有している。ここで、スプレッダ36は、トロリ39からロープ37によって吊り下げ支持されており、巻き上げ機38によって炉ロープ37の巻き上げまたは繰り出しを行うことで、上下方向に移動可能とされている。 また、トロリ39は、図示せぬ移動装置によって、スプレッダ36の短辺方向(図8の紙面に略垂直な方向)に移動可能とされている。
また、本実施形態では、負荷検出装置34として、巻き上げ機の出力を検出して、この出力の大きさに基づいて各ロープ37に加わる張力を検出する張力測定装置が用いられている。
【0072】
図9の平面図に示すように、スプレッダ36は、略長方形板状のフレーム36aと、フレーム36aの長手方向の両端から突出するアーム36bと、アーム36bの先端に設けられてコンテナCの上部四隅に設けられた係合部と係脱可能にして係合する係合部(例えばツイストロックピン、図示せず)とを有している。
フレーム36aの上面には、その四隅に、それぞれロープ37が取り付けられるロープ取付部36cが設けられている。ここで、スプレッダ36の各ロープ37による吊点を、図9及び図10の左下から半時計回りの順番でそれぞれ吊点P1,P2,P3,P4とする。
【0073】
このように構成されるコンテナ重心位置検出装置32では、コンテナCの重心位置の検出にあたって、保持装置33によってコンテナCを保持して持ち上げて、コンテナCを空中で静止させ、この状態で、負荷検出装置34によって各ロープ37の張力Tを測定する。
ここで、吊点P1に接続されるロープ37の張力をT1,吊点P2に接続されるロープ37の張力をT2,吊点P3に接続されるロープ37の張力をT3,吊点P4に接続されるロープ37の張力をT4とする。
【0074】
このロープ37の張力の大きさと、コンテナCのモーメントの釣り合いの式とを用いて、コンテナCのX軸方向の重心位置XG及びY軸方向の重心位置YGをそれぞれ求める。
図10に示すように、水平面上における吊点P1の座標を(X1,Y1)、吊点P2の座標を(X2,Y2)、吊点P3の座標を(X3,Y3)、吊点P4の座標を(X4,Y4)とすると、コンテナCのX軸方向の重心位置XGは、次式(5)によって求められる。
【0075】
【数5】
【0076】
同様に、コンテナCのY軸方向の重心位置YGは、次式(6)によって求められる。
【0077】
【数6】
【0078】
また、コンテナCのZ軸方向の重心位置ZGは、まず、第一実施形態で示した手法によって求めることができる。
【0079】
このように、本実施形態に係るコンテナ重心位置検出装置32によれば、放射線源11とディテクタ12とを一対だけ用いながら、コンテナCの三次元的な重心の位置を検出することができる。
すなわち、このコンテナ重心位置検出装置32では、厳重な管理が必要な放射線源11、及び高価でかさばるディテクタ12を複数設ける必要がないので、安全性の向上、設置コスト及び管理コストの低減、及び装置の小型化を図ることができる。
【0080】
ここで、コンテナCの重心位置が、平面視において吊点P1〜P4を頂点とする四角形の外に位置している場合には、一部のロープ37の張力が0となるので、コンテナCのY軸方向の重心位置YGについては求めることができるが、コンテナCのX軸方向の重心位置XGについては正確に求めることはできない。
しかし、この場合には、コンテナCの重心の偏りが大きすぎて、コンテナCの取り扱いが困難になるので、このコンテナCの荷役を継続することは好ましくない。
このため、このコンテナ重心位置検出装置32では、コンテナCの重心位置が、平面視において吊点P1〜P4を頂点とする四角形の外に位置している場合(言い換えれば一部のロープ37の張力が0となっている場合)には、アラーム等で作業者にコンテナCの重心の偏りが大きすぎるということを通知する構成とされる。
【0081】
[第四実施形態]
次に、本発明の第四実施形態について、図11から図13を用いて説明する。
本実施形態に係るコンテナ重心位置通知システム41は、図11に示すように、第三実施形態に示したコンテナ重心位置通知システム31において、コンテナ重心位置検出装置32の代わりに、コンテナ重心位置検出装置42を用いたものである。
以下、第一実施形態と同様または同一の部材については同じ符号を用いて示し、詳細な説明を省略する。
【0082】
図11の正面図に示すように、本実施形態に示すコンテナ重心位置検出装置42は、第三実施形態で示したコンテナ位置検出装置32において、コンテナの振動の様子を検出する振動検出装置43を設けたものである。
振動検出装置43は、スプレッダ36のフレーム36aの上面中央部に設けられるマーカ46と、トロリ39の下部に設けられて上方からスプレッダ36の上面を撮影する撮像装置47と、撮像装置47の撮影画像に基づいて、水平面上でのマーカ46の移動の様子を検出する画像処理装置とを有している。
本実施形態では、マーカ46として、鉛直上方に向けてレーザー光を発するレーザー光源が用いられている。また、本実施形態では、演算装置13が画像処理装置の役割を担っており、撮像装置47の撮影した画像上でのマーカ46の移動の様子に基づいて、コンテナCの振動の様子(振幅や振動の周期等)を検出する構成とされている。
【0083】
このように構成されるコンテナ位置検出装置42では、コンテナCの水平面上の重心位置の検出に先立って、まず、放射線源11とディテクタ12とを用いて、コンテナCのX軸方向(長手方向)の重心位置XG及びZ軸方向(コンテナCの高さ方向)の重心位置ZGの検出が行われる。
次に、図11に示すようにコンテナCを吊り上げて略水平にして静止させた状態(この状態を初期状態とする)から、トロリ39をコンテナCの短辺方向(図11の紙面に垂直な方向)に移動させることで、コンテナCを、スプレッダ36ごと短辺方向に振動させる。演算装置13は、この状態での振動検出装置43の出力に基づいて、コンテナCの短辺方向(この方向をY軸方向とする)の重心位置YGを検出する。
【0084】
演算装置13は、コンテナCの振動の平衡位置が、コンテナCの重心位置によって異なることを利用して、水平面上におけるコンテナCの重心位置を検出する。
ここで、図12及び図13に示すように、トロリ39の移動方向におけるコンテナCの重心の偏心量(Y軸方向におけるコンテナCの中心からのずれ量)をeとし、スプレッダ36の吊点PからコンテナCの重心までのZ軸方向の距離をhとする。なお、図13に示すように、トロリ39側でのY軸方向におけるロープ37の吊点P間の距離Dは、スプレッダ36側でのY軸方向におけるロープ37の吊点P間の距離dよりも大きいものとする。
【0085】
この場合、コンテナCが初期状態の位置(二点差線で示す位置)から平衡位置(実線で示す位置)まで移動した際の、振動面上(YZ平面上)でのロープ37の傾斜角度ξは、近似的に、次式(7)で表すことができる(式(7)の導出方法については後述する)。
【0086】
【数7】
【0087】
ここで、αはトロリ39の加速度、gは重力加速度、Lはロープ37のスプレッダ36側の吊点Pからトロリ39側の吊点Pまでの長さである。また、n=D/d−1である。
【0088】
そして、トロリ39の制御装置の出力等からαの値を求め、巻き上げ機38によるロープ37の繰り出し量等からLの値を求め、先に求めておいたコンテナCのZ軸方向の重心位置の情報に基づいてhの値を求め、振動検出装置43の出力からξの値を求めて、これらの値を式(7)に代入することで、eの値が求められる。
そして、このeの値に基づいて、コンテナCのY軸方向の重心位置YGが求められる。
【0089】
このように、本実施形態に係るコンテナ重心位置検出装置42によれば、放射線源11とディテクタ12とを一対だけ用いながら、コンテナCの三次元的な重心の位置を検出することができる。
すなわち、このコンテナ重心位置検出装置42では、厳重な管理が必要な放射線源11、及び高価でかさばるディテクタ12を複数設ける必要がないので、安全性の向上、設置コスト及び管理コストの低減、及び装置の小型化を図ることができる。
【0090】
以下に、前記式(7)の導出方法について説明する。
まず、図13に実線で示すように、斜め吊り状態にあるコンテナCの振動の様子について考える。
ここで、以下の説明では、図中の各記号を、次のように定義する。
M;コンテナCの質量
T;ロープ37の張力
β;e=0、かつコンテナCが静止している状態での鉛直線に対する各ロープ37の傾斜角度
θ;コンテナCの重心の偏心がある状態(図12に示す状態)での鉛直線に対する各ロープ37の傾斜角度(時計回り方向を正方向とする)
φ;水平面に対するコンテナCの傾斜角度(図13において時計回りを正方向とする)
なお、これらの記号のうち、添え字が0であるものは初期状態のものであり、添え字が1であるものは図13の左側の吊点に関するものであり、添え字が2であるものは図13の右側の吊点に関するものである。
また、以下の説明では、ロープ37の伸びについては無視する。
【0091】
I:静的釣り合いについての解析
加速度α=0で、かつ偏心量e=0の状態での釣り合い位置のロープ角βは、次式(8)で示される。
【0092】
【数8】
【0093】
このときの張力T0は、次式(9)で表される。
【0094】
【数9】
【0095】
力の釣り合いの式から、次式(10),(11)が得られる。
【0096】
【数10】
【0097】
【数11】
【0098】
一方、モーメントの釣り合いの式から、次式(12)が得られる。
【0099】
【数12】
【0100】
幾何学的な位置関係から、次式(13),(14)が得られる。
【0101】
【数13】
【0102】
【数14】
【0103】
ここで、L1=L2≡L、θ1=ξ−β、θ2=ξ+βとおいて、上記式(10)から式(14)を書き直して、下記式(15)から式(19)を得る。但し、ξ≪1,β≪1とする。
【0104】
【数15】
【0105】
【数16】
【0106】
モーメントの釣り合いの式から、次式(17),(18),(19)が得られる。
【0107】
【数17】
【0108】
【数18】
【0109】
【数19】
【0110】
以上の式(15)〜式(19)を、以下のように変形する。
式(18)より、次式(20)を得る。
【0111】
【数20】
【0112】
式(19)より、次式(21)を得る。
【0113】
【数21】
【0114】
II:動的特性についての解析
力の釣り合いの式から、次式(22),(23)が得られる。
【0115】
【数22】
【0116】
【数23】
【0117】
ここで、近似的に、次式(24)の関係が成り立つ。
【0118】
【数24】
【0119】
これにより、式(22),(23)は、それぞれ次式(25),(26)に書き換えることができる。
【0120】
【数25】
【0121】
【数26】
【0122】
これら式(25),(26)より、次式(27)が得られる。
【0123】
【数27】
【0124】
ここで、平行吊りの場合は、平行振れには合計張力の項しか出てこないので、各ロープ張力は問題にならなかったが、斜め吊りの場合はロープ張力差も問題となる。
角運動量の式より、Iをコンテナ吊点間中心の極慣性モーメントとすると、次式(28)が得られる。
【0125】
【数28】
【0126】
この式に、式(21)の関係を適用すると、次式(29)が得られる。
【0127】
【数29】
【0128】
この式を変形して次式(30)を得る。
【0129】
【数30】
【0130】
この式を変形して次式(31)を得る。
【0131】
【数31】
【0132】
ここで、次式(32)を定義する。
【0133】
【数32】
【0134】
この式を用いて、式(31)を近似して、次式(33)を得る。
【0135】
【数33】
【0136】
この式を変形して、次式(34)を得る。
【0137】
【数34】
【0138】
この式に、D=(n+1)dを代入して、次式(35)を得る。
【0139】
【数35】
【0140】
この式をさらに近似して、微小項を省略することで、次式(36)を得る。
【0141】
【数36】
【0142】
ここで、次式(37)を定義する。
【0143】
【数37】
【0144】
この式(37)を用いると、式(36)は、次式(38)のように表される。
【0145】
【数38】
【0146】
ここで、コンテナCの固有角振動数は、次式(39)で表される。
【0147】
【数39】
【0148】
このため、コンテナCの振動は、平衡位置が次式(7)で表される単振動となる。
【0149】
【数40】
【0150】
すなわち、斜め吊りでの平行振れにおいては、固有角振動数は、平行吊りと同一である。
また、振動の平衡位置は、重心の吊点中心からの水平方向偏心及び鉛直方向偏心に依存し、傾斜ファクターn=D/d−1によってその効果が拡大される。
【0151】
ここで、コンテナCの重心がX軸方向の中心位置にある場合には、本実施形態のようにコンテナCをYZ平面上で振動させても、コンテナCに垂直軸線回りの揺動(スキュー)が生じない。一方、コンテナCの重心がX軸方向の中心位置から外れている場合には、コンテナCwoYZ平面上で振動させると、コンテナCにスキュー方向の単振動が生じる。この単振動の周期は、コンテナCの重心の、X軸方向の中心位置からのずれ量によって異なる。
【0152】
そこで、本実施形態において、コンテナCのスキューの有無、及びスキューの周期に基づいて、コンテナCのX軸方向の重心位置を算出してもよい。
このようにしてスキューの様子から求めた重心位置の情報を、放射線源11とディテクタ12とを用いて算出した重心位置の情報と比較してそれぞれの精度を検証したり、スキューの様子から求めた重心位置の情報を、放射線源11とディテクタ12とを用いて算出した重心位置の情報を補完するデータとして用いることで、より高精度にコンテナCのX軸方向の重心位置を求めることができる。
【0153】
また、上記各実施形態で示したコンテナ重心位置検出方法を複数組み合わせて、各コンテナ重心位置検出方法によって得たコンテナCの重心位置の情報を比較してそれぞれの精度を検証したり、いずれかのコンテナ重心位置検出方法を用いて得たコンテナCの重心位置の情報を、他のコンテナ重心位置検出方法によって得たコンテナCの重心位置の情報を補完するデータとして用いることで、より高精度にコンテナCの重心位置を求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0154】
【図1】本発明の第一実施形態に係るコンテナ重心位置通知システムの構成を概略的に示す側面図である。
【図2】本発明の第一実施形態に係るコンテナ重心位置検出装置のディテクタに用いられる放射線検出素子の構成を示す図であって、(a)は平断面図、(b)は側面図である。
【図3】本発明の第一実施形態に係るコンテナ重心位置検出装置によるコンテナ重心位置の検出方法を示す図である。
【図4】本発明の第二実施形態に係るコンテナ重心位置通知システムの構成及びコンテナ重心位置検出装置によるコンテナ重心位置の検出方法の一例を示す平面図である。
【図5】本発明の第二実施形態に係るコンテナ重心位置検出装置によるコンテナ重心位置の検出方法の他の例を示す図である。
【図6】本発明の第一実施形態に係るコンテナ重心位置検出装置によるコンテナ重心位置の検出方法を示す図である。
【図7】本発明の第二実施形態に係るコンテナ重心位置通知システムの他の構成例を概略的に示す側面図である。
【図8】本発明の第三実施形態に係るコンテナ重心位置通知システムの構成を概略的に示す正面図である。
【図9】図8のA−A矢視図である。
【図10】本発明の第三実施形態に係るコンテナ重心位置検出装置によるコンテナ重心位置の検出方法の他の例を示す図である。
【図11】本発明の第四実施形態に係るコンテナ重心位置通知システムの構成を示す正面図である。
【図12】本発明の第四実施形態に係るコンテナ重心位置検出装置によるコンテナ重心位置の検出方法を示す図である。
【図13】本発明の第四実施形態に係るコンテナ重心位置検出装置によるコンテナ重心位置の検出方法を示す図である。
【符号の説明】
【0155】
1,21,26,31,41 コンテナ重心位置通知システム
2,22,32,42 コンテナ重心位置検出装置
3 IDタグ
4 情報記録装置
5 情報読取装置
11 放射線源
12 ディテクタ
13 演算装置
33 保持装置
34 負荷検出装置
36 スプレッダ(保持装置、支持装置)
37 ロープ(保持装置、支持装置)
38 巻き上げ機(保持装置、支持装置)
43 振動検出装置
C コンテナ
S コンテナ進入スペース
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線源と、
該放射線源との間にコンテナ進入スペースをあけて配置されるディテクタと、
該ディテクタの出力に基づいて演算処理を行う演算装置とを有しており、
該演算装置が、前記コンテナ進入スペースにコンテナが進入した状態での前記放射線源から前記ディテクタに到達した放射線の強度分布を求めるとともに、該放射線の強度分布に基づいて、前記コンテナの密度分布を算出し、該密度分布に基づいて前記コンテナの重心位置を特定するコンテナ重心位置検出装置。
【請求項2】
前記演算装置が、前記放射線源から前記ディテクタに到達した放射線の強度分布に基づく放射線透過画像を作成するとともに、該放射線透過画像の濃淡の分布に基づいて、前記コンテナ進入スペースに進入した前記コンテナの密度分布を算出して、該コンテナの重心位置を特定する請求項1記載のコンテナ重心位置検出装置。
【請求項3】
前記放射線源が複数箇所に配置されており、
前記演算装置が、前記ディテクタの出力に基づいて前記各放射線源から前記ディテクタに到達した放射線の強度分布をそれぞれ求めるとともに、前記ディテクタに対する前記各放射線源の位置情報と該各放射線源から前記ディテクタに入射した放射線の強度分布とに基づいて、前記コンテナ進入スペースに進入した前記コンテナの密度分布を算出して、該コンテナの三次元的な重心位置を特定する請求項1または2に記載のコンテナ重心位置検出装置。
【請求項4】
前記コンテナを平面視における複数箇所で保持して持ち上げる保持装置と、
該保持装置の各部に加わる負荷を検出する負荷検出装置とを有しており、
前記放射線源と前記ディテクタとが、水平面上で対向配置される一対のみ設けられており、
前記演算装置は、前記ディテクタの出力に基づいて前記コンテナの垂直面上での重心位置を検出するとともに、前記保持装置を用いて前記コンテナを持ち上げた状態での前記負荷検出装置の出力に基づいて、水平面上における前記コンテナの重心位置を検出する請求項1または2に記載のコンテナ重心位置検出装置。
【請求項5】
前記保持装置が、前記コンテナを保持するスプレッダと、
それぞれ該スプレッダの異なる部位に接続された複数のロープと、
該各ロープの巻き上げと繰り出しとを行う巻き上げ機とを有しており、
前記負荷検出装置は、前記各ロープのそれぞれに設けられた張力測定装置を有している請求項4記載のコンテナ重心位置検出装置。
【請求項6】
前記コンテナを吊り下げ支持する支持装置と、
前記コンテナの振動の様子を検出する振動検出装置とを有し、
前記放射線源と前記ディテクタとが、水平面上で対向配置される一対のみ設けられており、
前記演算装置が、前記振動検出装置の出力に基づいて、水平面上における前記コンテナの重心位置を検出する請求項1または2に記載のコンテナ重心位置検出装置。
【請求項7】
前記支持装置が、前記コンテナを保持するスプレッダと、
それぞれ該スプレッダの異なる部位に接続された複数のロープと、
該各ロープの巻き上げと繰り出しとを行う巻き上げ機とを有している請求項6記載のコンテナ重心位置検出装置。
【請求項8】
放射線源とディテクタとを、互いの間にコンテナ進入スペースをあけて配置し、
前記ディテクタの出力に基づいて、該コンテナ進入スペースにコンテナを進入させた状態での前記放射線源から前記ディテクタに到達した放射線の強度分布を求めるとともに、
該放射線の強度分布に基づいて、前記コンテナの密度分布を算出して、該コンテナの重心位置を特定するコンテナ重心位置検出方法。
【請求項9】
前記放射線源を複数箇所に配置し、
前記ディテクタの出力に基づいて、前記各放射線源から前記ディテクタに到達した放射線の強度分布をそれぞれ求めるとともに、
前記ディテクタに対する前記各放射線源の位置情報と該各放射線源から前記ディテクタに入射した放射線の強度分布とに基づいて、前記コンテナ進入スペースに進入した前記コンテナの密度分布を算出して、該コンテナの三次元的な重心位置を特定する請求項8記載のコンテナ重心位置検出方法。
【請求項10】
前記コンテナを平面視における複数箇所で保持して持ち上げる保持装置と、該保持装置の各部に加わる負荷を検出する負荷検出装置とを設け、
前記放射線源と前記ディテクタとを、水平面上で対向配置される一対のみ設け、
前記ディテクタの出力に基づいて前記コンテナの垂直面上での重心位置を検出するとともに、
前記保持装置を用いて前記コンテナを持ち上げた際の前記負荷検出装置の出力に基づいて、水平面上における前記コンテナの重心位置を検出する請求項8記載のコンテナ重心位置検出方法。
【請求項11】
前記コンテナを吊り下げ支持する支持装置と、前記コンテナの振動の様子を検出する振動検出装置とを設け、
前記放射線源と前記ディテクタとを、水平面上で対向配置される一対のみ設け、
前記振動検出装置の出力に基づいて、水平面上における前記コンテナの重心位置を検出する請求項8記載のコンテナ重心位置検出方法。
【請求項12】
前記コンテナに設けられて情報の書き込み及び読み出しが可能なIDタグと、
該IDタグに前記請求項1から7のいずれかに記載のコンテナ重心位置検出装置によって得られた前記コンテナの重心位置の情報を書き込む情報記録装置と、
前記IDタグに書き込まれた前記コンテナの重心位置の情報を読み出して使用者に通知する情報読取装置とを有しているコンテナ重心位置通知システム。
【請求項1】
放射線源と、
該放射線源との間にコンテナ進入スペースをあけて配置されるディテクタと、
該ディテクタの出力に基づいて演算処理を行う演算装置とを有しており、
該演算装置が、前記コンテナ進入スペースにコンテナが進入した状態での前記放射線源から前記ディテクタに到達した放射線の強度分布を求めるとともに、該放射線の強度分布に基づいて、前記コンテナの密度分布を算出し、該密度分布に基づいて前記コンテナの重心位置を特定するコンテナ重心位置検出装置。
【請求項2】
前記演算装置が、前記放射線源から前記ディテクタに到達した放射線の強度分布に基づく放射線透過画像を作成するとともに、該放射線透過画像の濃淡の分布に基づいて、前記コンテナ進入スペースに進入した前記コンテナの密度分布を算出して、該コンテナの重心位置を特定する請求項1記載のコンテナ重心位置検出装置。
【請求項3】
前記放射線源が複数箇所に配置されており、
前記演算装置が、前記ディテクタの出力に基づいて前記各放射線源から前記ディテクタに到達した放射線の強度分布をそれぞれ求めるとともに、前記ディテクタに対する前記各放射線源の位置情報と該各放射線源から前記ディテクタに入射した放射線の強度分布とに基づいて、前記コンテナ進入スペースに進入した前記コンテナの密度分布を算出して、該コンテナの三次元的な重心位置を特定する請求項1または2に記載のコンテナ重心位置検出装置。
【請求項4】
前記コンテナを平面視における複数箇所で保持して持ち上げる保持装置と、
該保持装置の各部に加わる負荷を検出する負荷検出装置とを有しており、
前記放射線源と前記ディテクタとが、水平面上で対向配置される一対のみ設けられており、
前記演算装置は、前記ディテクタの出力に基づいて前記コンテナの垂直面上での重心位置を検出するとともに、前記保持装置を用いて前記コンテナを持ち上げた状態での前記負荷検出装置の出力に基づいて、水平面上における前記コンテナの重心位置を検出する請求項1または2に記載のコンテナ重心位置検出装置。
【請求項5】
前記保持装置が、前記コンテナを保持するスプレッダと、
それぞれ該スプレッダの異なる部位に接続された複数のロープと、
該各ロープの巻き上げと繰り出しとを行う巻き上げ機とを有しており、
前記負荷検出装置は、前記各ロープのそれぞれに設けられた張力測定装置を有している請求項4記載のコンテナ重心位置検出装置。
【請求項6】
前記コンテナを吊り下げ支持する支持装置と、
前記コンテナの振動の様子を検出する振動検出装置とを有し、
前記放射線源と前記ディテクタとが、水平面上で対向配置される一対のみ設けられており、
前記演算装置が、前記振動検出装置の出力に基づいて、水平面上における前記コンテナの重心位置を検出する請求項1または2に記載のコンテナ重心位置検出装置。
【請求項7】
前記支持装置が、前記コンテナを保持するスプレッダと、
それぞれ該スプレッダの異なる部位に接続された複数のロープと、
該各ロープの巻き上げと繰り出しとを行う巻き上げ機とを有している請求項6記載のコンテナ重心位置検出装置。
【請求項8】
放射線源とディテクタとを、互いの間にコンテナ進入スペースをあけて配置し、
前記ディテクタの出力に基づいて、該コンテナ進入スペースにコンテナを進入させた状態での前記放射線源から前記ディテクタに到達した放射線の強度分布を求めるとともに、
該放射線の強度分布に基づいて、前記コンテナの密度分布を算出して、該コンテナの重心位置を特定するコンテナ重心位置検出方法。
【請求項9】
前記放射線源を複数箇所に配置し、
前記ディテクタの出力に基づいて、前記各放射線源から前記ディテクタに到達した放射線の強度分布をそれぞれ求めるとともに、
前記ディテクタに対する前記各放射線源の位置情報と該各放射線源から前記ディテクタに入射した放射線の強度分布とに基づいて、前記コンテナ進入スペースに進入した前記コンテナの密度分布を算出して、該コンテナの三次元的な重心位置を特定する請求項8記載のコンテナ重心位置検出方法。
【請求項10】
前記コンテナを平面視における複数箇所で保持して持ち上げる保持装置と、該保持装置の各部に加わる負荷を検出する負荷検出装置とを設け、
前記放射線源と前記ディテクタとを、水平面上で対向配置される一対のみ設け、
前記ディテクタの出力に基づいて前記コンテナの垂直面上での重心位置を検出するとともに、
前記保持装置を用いて前記コンテナを持ち上げた際の前記負荷検出装置の出力に基づいて、水平面上における前記コンテナの重心位置を検出する請求項8記載のコンテナ重心位置検出方法。
【請求項11】
前記コンテナを吊り下げ支持する支持装置と、前記コンテナの振動の様子を検出する振動検出装置とを設け、
前記放射線源と前記ディテクタとを、水平面上で対向配置される一対のみ設け、
前記振動検出装置の出力に基づいて、水平面上における前記コンテナの重心位置を検出する請求項8記載のコンテナ重心位置検出方法。
【請求項12】
前記コンテナに設けられて情報の書き込み及び読み出しが可能なIDタグと、
該IDタグに前記請求項1から7のいずれかに記載のコンテナ重心位置検出装置によって得られた前記コンテナの重心位置の情報を書き込む情報記録装置と、
前記IDタグに書き込まれた前記コンテナの重心位置の情報を読み出して使用者に通知する情報読取装置とを有しているコンテナ重心位置通知システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−191173(P2007−191173A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−9803(P2006−9803)
【出願日】平成18年1月18日(2006.1.18)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年1月18日(2006.1.18)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】
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