説明

コンテンツ保存機能を有する電子装置

【課題】コンテンツファイルを保存する際にデータの加工処理などを要したファイルの削除レベルを復元可能な削除レベルにして、コンテンツファイルの復元を容易に行えるようにする。
【解決手段】コンテンツファイルの削除処理を制御する制御部11を備え、データ加工部15によりデータを加工してコンテンツ保存メモリ24に保存したコンテンツファイルに対してはコンテンツリスト19に第1の削除レベルを設定し、データ加工せずにコンテンツ保存メモリ24に保存したコンテンツファイルに対してはコンテンツリスト19に第2の削除レベルを設定し、操作部により削除処理が行われたコンテンツファイルが前記第1の削除レベルに設定されている場合は、該当するコンテンツファイルをコンテンツ保存メモリ24から削除メモリ部18に移動して記憶し、第2の削除レベルに設定されている場合には該当するコンテンツファイルをコンテンツ保存メモリ24から削除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音楽や画像のコンテンツファイルを保存するコンテンツ保存機能を有する音楽プレイヤーやDVDプレイヤーなどの電子装置に関するものであり、特に、保存したコンテンツファイルの削除レベルを複数のレベルの何れかに設定し、一度削除処理したコンテンツファイルを復元できる削除レベルを有する電子装置において、保存するコンテンツファイルのうち、データを加工処理して保存したコンテンツファイルの削除レベルを復元可能な削除レベルに設定するようにしたコンテンツ保存機能を有する電子装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近ではナビゲーション装置、音楽プレイヤー、DVDプレイヤー、アナログ放送やデジタル放送に対応したテレビジョン受信機など各種の電子装置が小型化され、携帯可能な装置として、あるいは車載用の装置として提供されている。特に車載用の装置としては、上記の各種機能を複合して備えた電子装置も提供されている。
【0003】
特に、インターネットなどのネットワークに接続してデータ通信サービスを受けることのできる電子装置においては、音楽プレイヤーやDVDプレイヤーなどの機能を有する場合、ネットワークを経由して各種のコンテンツ提供サーバにアクセスして、所望のコンテンツファイルを選択し、有償、無償でダウンロードして自装置内の記憶装置に保存することがきできるように構成されたものも提供されている。
【0004】
また、データ通信機能を持たない電子装置であっても、SDカードやフラッシュメモリ装置などの可搬型記録媒体との入出力インターフェースを有する電子装置にあっては、可搬型記録媒体をパーソナルコンピュータに接続し、パーソナルコンピュータのデータ通信機能を利用して各種のコンテンツ提供サーバにアクセスして、所望のコンテンツファイルを選択し、有償、無償でダウンロードして可搬型記録媒体に一時保存し、この可搬型記録媒体を音楽プレイヤーやDVDプレイヤーなどの機能を有する電子装置に接続して一時保存したコンテンツファイルを該電子装置に読み込んで保存することができる。
【0005】
ところで、このような電子装置において、コンテンツファイルを保存する記憶装置の記憶容量には制約があるので、所望のコンテンツファイルを逐一保存すると、記憶容量が不足することになる。その場合、保存したコンテンツファイルのうち、再生利用する可能性が低くなったコンテンツファイルから順次削除して記憶装置の空き領域を確保しないと新たなコンテンツファイルを保存することができなくなる。
【0006】
一般的に電子装置に保存したコンテンツファイルを削除する際に、誤って必要なコンテンツファイルを削除する操作をしてしまう場合がある。このため、コンテンツファイルに限らずユーザが作成したデータファイルの削除にあたっては、2段階の処理によってデータを削除する方法が採られている。すなわち、単にデータの削除処理をしただけの段階ではデータを保存してあるデータ記憶領域から、ごみ箱と呼ばれる削除ファイル領域にデータを移し、誤操作に気がついた場合にはこの領域に移されたデータを選択して元の記憶領域に戻すことができるようにされている。そして削除ファイル領域内にあるデータに対して再度最終削除処理が行われた時にデータを完全に削除するように構成されている。
【0007】
このようなデータファイルの削除方法では1段階の削除処理をしただけでは記憶装置全体の記憶容量のうち、使用済記憶容量は変わらず、未使用記憶領域を増やすためには削除ファイル領域にあるデータにて対して完全削除するための処理を行う必要がある。この操作はユーザが削除ファイル領域にあるデータの個々に対して行う必要があり、データ数が多い場合には煩雑な処理になる。
【0008】
そこで、コンテンツファイルの個々に対してデータの削除レベルを付与することにより、1回の削除処理によりデータを完全削除するものと、一旦削除ファイル領域にデータを移し、復元が必要な場合に復元可能とする削除を行うデータとに区分する削除方式が提案されている。例えば、下記の特許文献1(特階平11−232840号公報)には、このような削除方式を採る「記憶装置」が開示されている。
【0009】
すなわち、上記特許文献1に開示された記憶装置においては消去レベルを1〜3の3段階に区分し、各コンテンツファイルの使用頻度に基づいてコンテンツファイルごとに使用頻度の高いデータは復元可能な消去を行い、使用頻度の低いデータは完全消去を行うように構成している。消去レベル1は使用頻度の高いデータに付与され、ごみ箱1に一時消去するレベル。消去レベル2は使用頻度が比較的高いデータに付与され、ごみ箱2に一時消去するレベルもの。消去レベル3は使用頻度が低いデータに付与され、完全消去するレベルのように区分されている。
【0010】
なお、消去レベル0はアクティブなコンテンツファイルに付与され、再生可能な記憶領域に記憶されるように構成されている。また、消去レベルの決定は各コンテンツファイルの使用履歴を記録しておき、使用頻度を決定するスライスレベルを設定しておき、コンテンツファイルの使用状況により随時、自動的に変更されるように構成されている。
【特許文献1】特開平11−232840号公報(図12、図13、図15)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、音楽プレイヤーやDVDプレイヤーなどの電子装置にコンテンツファイルを保存する際にはコンテンツファイルのデータをその電子装置において再生可能なデータ形式に変換して保存する場合と、コンテンツファイルのデータそのものが既にその電子装置において再生可能なデータ形式になっており、データ形式を変換する処理を伴わずにそのまま保存できる場合とがある。
【0012】
例えば、音楽プレイヤーがMP3(MPEGオーディオ−レイヤ3)やATRAC3(Adaptive Transform Acoustic Coding)に対応する装置である場合、デジタルの音楽ソース(データ)をMP3やATRAC3などの形式に従って圧縮し、圧縮されたデータをコンテンツファイルとして保存する必要がある。コンテンツファイルそのものが既にMP3やATRAC3などの形式に従って圧縮されている場合にはそのまま保存することができる。
【0013】
従って、コンテンツファイルを電子装置に保存する際に、当該電子装置が対応するデータ形式にデータを圧縮したり、エンコードしたりして加工した上で保存したコンテンツファイルを削除した場合に、このコンテンツファイルを改めて電子装置に保存しようとする場合には、電子装置が対応するデータ形式に再度加工して保存することが必要になる。一方、コンテンツファイルのデータ形式が既に当該電子装置が対応するデータ形式に従って加工されている場合には、コンテンツファイルを削除し、再度そのコンテンツファイルを保存する場合に改めて加工する手間はかからない。
【0014】
一般に前者のようなコンテンツファイルは利用者が様々なソースから所望のコンテンツを選択して加工して電子装置に保存する場合が多く、後者はサーバが予め提供しているコンテンツファイルをそのままダウンロードする場合が多い。従って前者はコンテンツファイルを削除した後、これを再現するには利用者が再び最初にコンテンツを取得した操作を行わなければならず、手間がかかるという問題があり、また、最初に取得したコンテンツが再取得できない状態になっている場合もある。これに対して、後者は再度コンテンツファイルを保存するにあたってデータ加工の必要がなく手間がかからず、また、再度コンテンツファイルを取得することも比較的に容易である場合が多い。
【0015】
電子装置に保存するコンテンツファイルの削除処理には前述のようなコンテンツファイルのデータ形式に応じて対応できることが好ましい。例えば、データをエンコードや圧縮などの加工を施して保存したコンテンツファイルは削除処理しても、利用者が復元できることが好ましく、データの加工を伴わずに外部から取得したコンテンツファイルは削除処理した場合に復元できなくても、コンテンツファイルの再取得が容易であるため、あまり問題がない。
【0016】
このようなコンテンツファイルの削除処理にあたって、上記特許文献1に開示されたような削除方式を適用した場合、コンテンツファイルの使用頻度によって削除レベルが決定されるから、データのエンコード処理や圧縮処理などの加工処理をして保存したコンテンツファイルであっても、所定の期間内における使用頻度が低ければ、削除レベルが最低(完全削除)に変更されてしまうという問題点があった。
【0017】
本願の発明者は上記の問題点を解消すべく種々検討を重ねた結果、保存したコンテンツファイルの削除レベルを複数のレベルの何れかに設定し、一度削除処理したコンテンツファイルを復元できる削除レベルを有する電子装置において、保存するコンテンツファイルのうち、データを加工処理して保存したコンテンツファイルの削除レベルを復元可能な削除レベルに設定するようになせば上記の問題点を解消し得ることに想到して本発明を完成するに至ったものである。
【0018】
すなわち、本発明は、保存したコンテンツファイルの削除レベルを複数のレベルの何れかに設定し、一度削除処理したコンテンツファイルを復元できる削除レベルを有する電子装置において、コンテンツファイルを保存する際にデータの加工処理などを要したファイルの削除レベルを復元可能な削除レベルにして、コンテンツファイルの復元を容易に行えるコンテンツ保存機能を有する電子装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、
コンテンツ保存メモリと、コンテンツ保存メモリに保存されたコンテンツファイルの一覧リストと、削除されたコンテンツファイルをコンテンツ保存メモリから移動して記憶する削除メモリ部と、コンテンツファイルを保存する際にデータ加工が必要なコンテンツファイルに対して所定のデータ加工を行うデータ加工部と、コンテンツ保存メモリに保存されたコンテンツファイルを指定して削除処理を行う操作部と、コンテンツファイルの削除処理を制御する制御部と、を備え、前記データ加工部によりデータを加工してコンテンツ保存メモリ保存したコンテンツファイルに対しては前記コンテンツリストに第1の削除レベルを設定し、データ加工せずにコンテンツ保存メモリに保存したコンテンツファイルに対しては前記コンテンツリストに第2の削除レベルを設定し、前記操作部により削除処理が行われたコンテンツファイルが前記第1の削除レベルに設定されている場合は、該当するコンテンツファイルをコンテンツ保存メモリから前記削除メモリ部に移動して記憶し、前記第2の削除レベルに設定されている場合には該当するコンテンツファイルを前記コンテンツ保存メモリから削除することを特徴とする。
【0020】
また、本願の請求項2にかかる発明は、請求項1にかかるコンテンツ保存機能を有する電子装置において、 前記コンテンツリストには前記コンテンツ保存メモリに保存したコンテンツファイルごとに更にデータサイズ、保存日時、使用頻度を記憶し、前記制御部は、前記第2の削除レベルが設定された全てのコンテンツファイルについてそのデータサイズ、保存日時、使用頻度から削除優先度を設定し、前記操作部から複数のコンテンツファイルの削除操作が行われた際に、前記制御部は、削除処理の対象とされた各コンテンツファイルに設定された前記削除レベルと、前記削除優先度に基づいてそれぞれの削除レベルに応じた削除処理を行うことを特徴とする。
【0021】
更に、本願の請求項3にかかる発明は、請求項2にかかるコンテンツ保存機能を有する電子装置において、前記削除優先度は使用頻度を第1優先に設定することを特徴とする。
【0022】
また、本願の請求項4にかかる発明は、請求項2にかかるコンテンツ保存機能を有する電子装置において、前記削除優先度はデータサイズを第1優先に設定することを特徴とする。
【0023】
また、本願の請求項5にかかる発明は、請求項2にかかるコンテンツ保存機能を有する電子装置において、前記削除優先度は保存日時を第1優先に設定することを特徴とする。
【0024】
更にまた、本願の請求項6にかかる発明は、請求項1にかかるコンテンツ保存機能を有する電子装置において、前記削除メモリ部に移動して記憶されたコンテンツファイルを指定して前記操作部から削除処理が行われた場合、前記制御部は前記指定されたコンテンツファイルを完全削除処理することを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
請求項1にかかる発明においては、データを加工してコンテンツ保存メモリ保存したコンテンツファイルに対しては前記コンテンツリストに第1の削除レベルを設定し、データ加工せずにコンテンツ保存メモリに保存したコンテンツファイルに対しては前記コンテンツリストに第2の削除レベルを設定し、コンテンツファイルの削除処理の際、第1の削除レベルが設定されたコンテンツファイルは削除メモリ部に移動し、第2の削除レベルが設定されたコンテンツファイルは装置から完全削除する。
【0026】
このような構成によれば、音楽プレイヤー機能を有する電子装置に音楽コンテンツを保存する際に、該音楽プレイヤー機能が対応可能なデータ形式に加工して保存したコンテンツファイルには第1の削除レベルが設定され、コンテンツファイルの削除処理が行われた場合、コンテンツ保存メモリから削除メモリに移動される。このため、コンテンツファイルを再現したい場合には削除メモリから再現することができ、データ加工の手間を省くことができ、また、外部のソースから当該コンテンツが失われた場合でも、再度そのコンテンツファイルを再現することができるようになる。
【0027】
また、請求項2にかかる発明においては、請求項1にかかるコンテンツ保存機能を有する電子装置において、前記コンテンツリストには前記コンテンツ保存メモリに保存したコンテンツファイルごとに更にデータサイズ、保存日時、使用頻度を記憶し、前記制御部は、前記第2の削除レベルが設定された全てのコンテンツファイルについてそのデータサイズ、保存日時、使用頻度から削除優先度を設定し、前記操作部から複数のコンテンツファイルの削除操作が行われた際に、前記制御部は、削除処理の対象とされた各コンテンツファイルに設定された前記削除レベルと、前記削除優先度に基づいてそれぞれの削除レベルに応じた削除処理を行う。
【0028】
このような構成によれば、複数のコンテンツファイルの削除処理が行われた場合、直ちに完全削除される第2の削除レベルが設定された各コンテンツファイルの削除優先度が、データサイズ、保存日時、使用頻度に応じた削除優先度を設定し、優先度の高いコンテンツファイルの削除レベルを第1の削除レベルに変更するから、優先度の高いコンテンツファイルを削除した場合、容易に再現することができるようになる。
【0029】
更に、請求項3〜請求項5にかかる発明においては、それぞれ請求項2にかかるコンテンツ保存機能を有する電子装置において、削除優先度は、使用頻度またはデータサイズまたは保存日時を第1優先にして設定される。従って、使用頻度の高いコンテンツファイルまたはデータサイズの小さいコンテンツファイルまたは保存日時の新しいコンテンツファイルを優先すれば、それらのコンテンツファイルを削除した場合、容易に再現することができるようになる。
【0030】
また、請求項6にかかる発明においては、前記削除メモリ部に移動して記憶されたコンテンツファイルを指定して前記操作部から削除処理が行われた場合、前記制御部は前記指定されたコンテンツファイルを完全削除処理する。従って、第1の削除レベルが設定されたコンテンツファイルを指定して該コンテンツファイルを完全削除することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するためのコンテンツ保存機能を有する電子装置を例示するものであって、本発明をこの実施例のコンテンツ保存機能を有する電子装置に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のコンテンツ保存機能を有する電子装置にも等しく適用し得るものである。
【実施例】
【0032】
図1は、本発明の実施例にかかるコンテンツ保存機能を有する電子装置10の構成を示すブロック図である。電子装置10は車載用の電子装置であり、地図記憶部16、GPS受信部17、音楽プレイヤー部21、DVDプレイヤー部22、放送受信部23を備え、ナビゲーション機能、音楽プレイヤー機能、DVDプレイヤー機能、ラジオ放送やテレビ放送の受信機能を有する複合電子装置である。
【0033】
制御部11は、図示してはいないがRAM、ROM、プロセッサを有するマイクロプロセッサであり、ROMに格納された制御プログラムにより各部の動作を制御する。操作部12は、数字キーやアルファベットキー、カーソル操作キー、その他の機能キー、選択キー、スクロールキーなどからなる操作・入力のためのものであり、出力手段である表示部13に表示されるメニュー画面から所望のメニューを選択し、あるいは、キーを操作して種々の入力操作を行うものである。従って、表示部13は操作部12の一部としても機能する。
【0034】
各ナビゲーション機能などの各機能は操作部12に設けられた機能キーを操作することによって切替えられる。ナビゲーション機能が選択された場合、操作部12により設定された出発地、目的地の位置情報に従って、地図記憶部16に記憶された道路データを参照して2地点間の距離または所要時間の最も小さい最適経路が探索され、地図とともに最適経路が表示部13に表示される。GPS受信部17はGPS衛星の信号を受信して現在位置を算出し、現在位置マークを地図上に描画する。
【0035】
また、電子装置10はデータ入力部14、データ加工部15、削除メモリ部18、コンテンツリスト19、コンテンツ保存メモリ24を備えている。データ入力部14は電子装置10にデータを入力するためのものであり、ネットワークを介してデータを取得する通信インターフェース、可搬型記録媒体からデータを入力するためのインターフェースなどから構成される。
【0036】
音楽プレイヤー部21は、所定のデータ形式の音楽コンテンツを再生するものであり、例えば、MP3(MPEGオーディオ−レイヤ3)やATRAC3(Adaptive Transform Acoustic Coding)に対応するプレイヤーである。データ入力部14から音楽ソース(データ)が記録されたコンテンツファイルをコンテンツ保存メモリ24に保存する場合、コンテンツファイルに記録されたデータがMP3やATRAC3に対応したデータ形式で記録されている場合、そのままコンテツファイルがコンテンツ保存メモリ24に保存される。コンテンツ保存メモリ24はハードディスクユニットから構成されるものである。
【0037】
一方、データ入力部14から入力するコンテンツファイルに記録されたデータがMP3やATRAC3に対応したデータ形式で記録されていない場合、制御部11はデータ加工部15においてデータ形式をMP3やATRAC3に対応したデータ形式に加工、例えば、圧縮形式の変換などの加工を行ってコンテンツ保存メモリ24に保存する。コンテンツ保存メモリ24に保存されたコンテンツの一覧はコンテンツリスト19に記録される。また、コンテンツ保存メモリ24に保存されたコンテンツファイルは操作部12の操作により削除することができる。
【0038】
コンテンツリスト19に記録されるデータの構造は図2に示すものである。図2に示すようにコンテンツリスト19にはコンテンツファイルごとに、ファイル名、コンテンツタイトル、削除レベル、データサイズ、保存日時、使用頻度が記録される。削除レベルは「1」と「0」の2つのレベルがあり、データ加工部15におけるデータ加工を経てコンテンツ保存メモリ24に保存されたコンテンツファイルには第1の削除レベル「1」が設定され、データ加工なしにコンテンツ保存メモリ24に保存したコンテンツファイルには第2の削除レベル「0」が設定される。
【0039】
第1の削除レベル「1」に設定したコンテンツファイルの削除処理が行われた場合、該当するコンテンツファイルはコンテンツ保存メモリ24から削除メモリ部18に移動される。従って、削除メモリ部18に移されたコンテンファイルをコンテンツ保存メモリ24に戻す操作を行えば、削除処理したコンテンツファイルを復元することができる。一方、第2の削除レベル「0」に設定されたコンテンツファイルの削除処理が行われた場合、該当するコンテンツファイルはコンテンツ保存メモリ24から削除され、電子装置10から完全に削除される。
【0040】
また、コンテンツファイルが選択され、音楽プレイヤー部21等で再生されるごとにコンテンツリスト19の使用頻度が更新される。制御部11は、第2の削除レベル「0」に設定された各コンテンツファイルについて、コンテンツリスト19に記録されたデータサイズ、保存日時、使用頻度に基づいて削除優先度を設定する。例えば、使用頻度を第1優先として所定の閾値以下の頻度のコンテンツファイルを第1の削除レベル「1」に変更する。これに使用頻度の高いコンテンツデータは削除レベルが上がり、削除処理されても削除メモリ部18に移動されるので、復元することができるようになる。なお、削除優先度はデータサイズを優先し、データサイズの小さいコンテンツファイルを第1優先して設定すること、あるいは、保存日時を優先して設定しても良い。更に、使用頻度、保存日時、データサイズに重み付けして組み合わせにより削除優先度を設定することもできる。
【0041】
このようにしておくと、複数のコンテンツファイルを指定して削除処理をした場合、第1の削除レベルのコンテンツファイルだけでなく、本来は第2の削除レベルであったコンテンツファイルであっても、削除優先度が高いコンテンツファイルはコンテンツ保存メモリ24から削除メモリ部18に移動されるので、復元を希望するコンテンツファイルがある時には、削除メモリ18からコンテンツ保存メモリ24に戻すことができるようになる。
【0042】
次に、以上説明した電子装置におけるコンテンツファイルの保存処理と削除処理の手順について説明する。図3は、コンテンツファイルの保存処理の手順を示すフローチャートである。ステップS11の処理においてデータ入力部14からコンテンツファイルを取込みコンテンツ保存メモリ24に保存する指示があると、ステップS12の処理において制御部11はコンテンツファイルに記録されたデータの加工が必要か否かを判別する。
【0043】
データ加工が必要な場合はステップS13においてデータ加工部15により必要なデータ加工を行い、ステップS14の処理においてコンテンツリスト19にコンテンツファイルのファイル名、コンテンツタイトル、保存日時が記録される。この時、データ加工を行っているので、第1の削除レベル「1」が設定され、ステップS16の処理においてコンテンツファイルをコンテンツ保存メモリ24に保存して処理を終了する。
【0044】
一方、ステップS12の判別処理においてコンテンツファイルのデータ加工が必要ないものと判別された場合は、ステップS15の処理において、コンテンツファイルのファイル名、コンテンツタイトル、保存日時が記録される。この時、データ加工を行っていないので、第2の削除レベル「0」が設定され、ステップS16の処理においてコンテンツファイルをコンテンツ保存メモリ24に保存して処理を終了する。
【0045】
図4は、コンテンツファイルの削除処理の手順を示すフローチャートである。ステップS21の処理において操作部12からコンテンツファイルを指定してコンテンツ保存メモリ24からコンテンツファイルを削除する指示があると、ステップS22の処理において制御部11はコンテンツリスト19を参照して該当するコンテンツファイルの削除レベルを取得し、ステップS23の処理において削除レベルが第1の削除レベル「1」であるか判別する。
【0046】
削除指定されたコンテンツファイルの削除レベルが第1の削除レベル「1」である場合、制御部11はコンテンツ保存メモリ24から削除メモリ部18にコンテンツファイルを移動して処理を終了する。一方、削除指定されたコンテンツファイルの削除レベルが第1の削除レベル「1」でない場合(第2の削除レベル「0」である場合)、制御部11はコンテンツ保存メモリ24から指定されたコンテンツファイルを削除して処理を終了する。この削除処理によりコンテンツファイルは電子装置10から完全に削除される。
【0047】
なお、以上の説明では音楽プレイヤー部21で再生するための音楽データを記録したコンテンツファイルを対象とした保存、削除の手順を説明したが、DVDプレイヤー部22で再生するための画像データを記録したコンテンツファイルの場合も同様である。
【0048】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば削除したコンテンツファイルを復元するのが容易か否かによって復元可能な削除態様と、復元できない削除態様とを採ることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施例にかかるコンテンツ保存機能を有する電子装置の構成を示すブロック図である。
【図2】電子装置に保存されたコンテンツファイルの一覧を記憶するコンテンツリストのデータ構成を示す図である。
【図3】本発明の実施例にかかるコンテンツ保存機能を有する電子装置におけるコンテンツファイルの保存処理の手順を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施例にかかるコンテンツ保存機能を有する電子装置におけるコンテンツファイルの削除処理の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0050】
10・・・・電子装置
11・・・・制御部
12・・・・操作部
13・・・・表示部
14・・・・データ入力部
15・・・・データ加工部
16・・・・地図記憶部
17・・・・GPS受信部
18・・・・削除メモリ部
19・・・・コンテンツリスト
21・・・・音楽プレイヤー部
22・・・・DVDプレイヤー部
23・・・・放送受信部
24・・・・コンテンツ保存メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツ保存メモリと、コンテンツ保存メモリに保存されたコンテンツファイルの一覧リストと、削除されたコンテンツファイルをコンテンツ保存メモリから移動して記憶する削除メモリ部と、コンテンツファイルを保存する際にデータ加工が必要なコンテンツファイルに対して所定のデータ加工を行うデータ加工部と、コンテンツ保存メモリに保存されたコンテンツファイルを指定して削除処理を行う操作部と、コンテンツファイルの削除処理を制御する制御部と、を備え、前記データ加工部によりデータを加工してコンテンツ保存メモリ保存したコンテンツファイルに対しては前記コンテンツリストに第1の削除レベルを設定し、データ加工せずにコンテンツ保存メモリに保存したコンテンツファイルに対しては前記コンテンツリストに第2の削除レベルを設定し、前記操作部により削除処理が行われたコンテンツファイルが前記第1の削除レベルに設定されている場合は、該当するコンテンツファイルをコンテンツ保存メモリから前記削除メモリ部に移動して記憶し、前記第2の削除レベルに設定されている場合には該当するコンテンツファイルを前記コンテンツ保存メモリから削除することを特徴とするコンテンツ保存機能を有する電子装置。
【請求項2】
前記コンテンツリストには前記コンテンツ保存メモリに保存したコンテンツファイルごとに更にデータサイズ、保存日時、使用頻度を記憶し、前記制御部は、前記第2の削除レベルが設定された全てのコンテンツファイルについてそのデータサイズ、保存日時、使用頻度から削除優先度を設定して優先度の高いコンテンツファイルの削除レベルを第1の削除レベルに変更し、前記操作部から複数のコンテンツファイルの削除操作が行われた際に、前記制御部は、削除処理の対象とされた各コンテンツファイルに設定された前記削除レベルに応じた削除処理を行うことを特徴とする請求項1に記載のコンテンツ保存機能を有する電子装置。
【請求項3】
前記削除優先度は使用頻度を第1優先に設定することを特徴とする請求項2に記載のコンテンツ保存機能を有する電子装置。
【請求項4】
前記削除優先度はデータサイズを第1優先に設定することを特徴とする請求項2に記載のコンテンツ保存機能を有する電子装置。
【請求項5】
前記削除優先度は保存日時を第1優先に設定することを特徴とする請求項2に記載のコンテンツ保存機能を有する電子装置。
【請求項6】
前記削除メモリ部に移動して記憶されたコンテンツファイルを指定して前記操作部から削除処理が行われた場合、前記制御部は前記指定されたコンテンツファイルを完全削除処理することを特徴とする請求項1に記載のコンテンツ保存機能を有する電子装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−77271(P2008−77271A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−253896(P2006−253896)
【出願日】平成18年9月20日(2006.9.20)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)鳥取三洋電機株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】