説明

コンテンツ再生システム

【課題】複数の接続機器を操作可能なコンテンツ再生システムの操作性向上に関する。
【解決手段】映像再生システムは、VTRと、PVRと、TVを有している。リモコンからのリモコンコードにより命令を受け付けた後機器を動作させる。命令は、入力選択・タイミング調整部にも伝えられ、これに応じて、TVへの入力を入力1と入力2とで切換える。VTRからの入力1は、PVRにも入力されて、記憶装置内に格納される。VTRからの入力に基づく映像・音声信号は、TVとPVRとに対して並行して出力される。VTRからの出力の開始タイミングで、TVへの出力が、入力1から入力2へと切り替わる。入力2は、入力1から記憶装置13へ送られて、一旦記憶装置13に記憶された後にTV21に送られる信号である。入力1と入力2との間に時間的なずれを入力選択・タイミング調整部で調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツ再生システムに関し、特に、複数の接続機器を操作可能なコンテンツ再生システムの操作性向上に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、コンテンツの再生が可能な機器には、PVR(Personal Video Recorder)などの操作レスポンスの良い機器と、VTR(Video Tape Recorder)などの操作レスポンスがそれほど良くない機器と、が混在している状況にある。これらに用いられる記録メディアは、互換性がない場合が多いため、どのように連動させて動作させるかが問題になっている。
【0003】
例えば、PVRでは、追っかけ再生等の特殊再生や操作レスポンスの良い早送り/巻戻しが可能であるが、VTRでは、このような機能を有さない。これらの機器を連動させるための提案がいくつかなされている。複数の機器を接続した場合に、再生時における機器切換時の操作の煩雑さをなくするために、下記特許文献1では入力切換に連動して接続機器を制御する技術が開示されている。また、視聴していた機器を再び視聴する際に続きから見られるように、下記特許文献2では、入力切換時に直前の再生位置から再生を行う技術が記載されている。
【0004】
【特許文献1】特開2002-354351号公報
【特許文献2】特開2004-364227号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、接続された機器がテープメディア等の場合、特殊再生が難しく、早送り/巻戻しに時間を要する。また機器の操作に応じたレスポンスが遅く、例えば、一旦他の再生機器により放送を視聴しておいた後に、VTRを利用し元のテープメディアに戻って視聴を再開する場合に、再生が再開されるまでテープ送りに関連する時間を要する。尚、再生する映像を新たに設けられる記憶装置に蓄積する方法もあるが、記憶装置が必要となるため、コスト高になるという問題がある。
【0006】
本発明は、VTRとPVRなど異なる機器間の新たな連携技術を提供することを特徴とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、テープ等の再生機器の出力をPVR等の録再機器へ入力、録画する機能を設け、テープ等の再生時にPVR等特殊再生が可能でレスポンスの良い録再機器へも記録を行うよう制御する。テープ等の再生機器への早送り/巻戻し/特殊再生の指示時にはPVR等に録画した内容に対して特殊再生等を行い、またTVの入力の切換を行う。テープ等を停止状態から再開する際には、代わりにPVR等の映像を再生し直ちに再生可能とする。
【0008】
すなわち、本発明の一観点によれば、コンテンツを再生する第1のコンテンツ再生部を有するコンテンツ再生機器と、コンテンツを記録するコンテンツ記録部とコンテンツを再生する第2のコンテンツ再生部を有し、記録されたコンテンツに対して前記コンテンツ再生機器よりも高速にアクセス可能なコンテンツ記録再生機器と、前記第1の入力を前記コンテンツ記録部に出力するためのコンテンツ転送経路と、前記コンテンツ再生機器からの第1の入力と、前記コンテンツ記録再生機器からの第2の入力と、を切換える入力選択部を備えたコンテンツ出力機器と、を有することを特徴とするコンテンツ再生システムが提供される。
【0009】
前記コンテンツ再生機器からの出力の開始操作に応じて、前記コンテンツ出力機器への出力元が、前記コンテンツ再生機器から前記コンテンツ記録再生機器に切り替わることが好ましい。また、前記コンテンツ再生機器からの出力開始タイミングで、前記コンテンツ出力機器への出力元が、前記コンテンツ再生機器から前記コンテンツ記録再生機器に切り替わることが好ましい。
【0010】
さらに、前記コンテンツ再生機器からの第1の入力と、前記コンテンツ記録再生機器からの第2の入力と、のタイミングが同期する方向に調整するタイミング調整部を設けても良い。前記コンテンツ出力機器への指示のうち、高速アクセスを必要とする指示に前記第2の入力を優先的に利用することができる。
【0011】
本発明の他の観点によれば、コンテンツ再生機器から出力されたコンテンツを、ランダムアクセス可能なコンテンツ記録部に記録するステップと、出力の開始指示に応じて、コンテンツ再生装置にコンテンツを出力するソースを前記コンテンツ再生機器から前記コンテンツコンテンツ記録部に切換えるステップと、を有することを特徴とするコンテンツ再生方法が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、早送り/巻戻し等のレスポンスの悪い機器からのコンテンツ再生においても、レスポンスの良い処理が行なわれているようにユーザに感じさせることができ、いらいら感が軽減する。また、再生を再開する際にも、直ちに再生を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下の実施の形態において、コンテンツに対してランダムアクセスが可能な機器についてPVRを例にして説明し、コンテンツに対してシーケンシャルな処理はできるがランダムアクセスできない機器についてVTRを例にして説明する。
【0014】
図1は、本発明の第1の実施の形態による映像再生システムの一構成例を示す機能ブロック図である。図1に示す映像再生システムは、VTR1と、PVR11と、テレビ受信機21と、を有している。VTR1は、それを制御する制御部5を有しており、制御部5からの制御に基づいて、テープメディア3を例えば図示しないモータにより回転させてヘッドにより読取り、所定の信号処理を行なった後にTV21に対して出力する(この信号を入力1の信号と称する)。
【0015】
PVR11は、制御部15と、HDDなどの記憶装置13と、を有している。制御部15からの制御に基づいて、記憶装置13のデータを読取り、所定の信号処理を行なった後にTV21に対して出力する(この信号を入力2の信号と称する)。
【0016】
TV21は、入力選択・タイミング調整部23と、リモコン31などの操作に基づく命令を受け付ける命令受付部25と、制御部27と、を有している。リモコンからのリモコンコードにより命令を命令受付部25で受け付けた後、この命令を制御部27に伝え、機器を動作させる。制御部27からの命令は、入力選択・タイミング調整部23にも伝えられ、これに応じて、TV21への入力が入力1と入力2とで切換えられる。図1に示す構成において、VTR1からの入力1は、コンテンツ転送経路LによりPVR11にも入力されて、記憶装置13内に格納されるように構成されている。尚、コンテンツ転送経路Lは、コンテンツを複写又は転送できる手段であれば、有線又は無線のいずれの手段を用いても良い。
【0017】
上記構成における使用方法の一例について説明を行なう。VTR1からの入力1に基づく映像・音声信号は、TV21とPVR11とに対して並行して出力される。このVTR1からの出力の開始タイミングで、又は、所定の操作に応じて、TV21への出力が、入力1から入力2へと切り替わる。入力2は、入力1から記憶装置13へ送られて、一旦記憶装置13に記憶された後にTV21に送られる信号である。所定の操作に応じて入力1と入力2とを切換える場合には、入力1と入力2との間に時間的なずれが生じる場合があるが、この時間的なずれに関しては入力選択・タイミング調整部23において調整することができる。尚、入力選択・タイミング調整部23は、入力選択(切換え)とタイミング調整を行なう別々の機能ブロックとして設けられていても良い。
【0018】
時間的なずれの調整方法としては、操作が行なわれた後も短時間だけ入力1と入力2との両方をTV21に取り込み、入力1と入力2との時間的なずれ量を計算し記憶しておき、そのずれが可能な限り小さくなるように調整した後に入力2からの信号に基づく映像・音声をTV21に出力する方法がある。また、上記において計算された時間的なずれ量は、後の処理において利用可能な場合にはいつでも利用できるようにして記憶し参照できるようにしておくのが好ましい。制御部27からの指示は、制御部5及び制御部15にも送られ、これにより入力1と入力2とのタイミングを調整することができる。
【0019】
TV21への出力が、入力1から入力2に切り替わると、その後は、VTRのテープメディア3からの再生が終了するまで、VTR1から記憶装置13を経て入力2としてTV21への出力が行なわれる。従って、実際には、テープメディアが情報ソースであるにもかかわらず、あたかもPVRが情報ソースであるかのように構成することができる。
【0020】
上記動作について図2のタイミングチャート図を元に説明を行なう。図2には、時間軸(横軸)に関して、VTR1の入力1と、PVR11の録画(記憶)と、PVR11の出力(TV21の表示)と、の時間的な関係が示されている。適宜、図1も参照しながら説明を行なう。
【0021】
例えば、時間t0においてVTR1の再生指示が行なわれると、PVR11において、VTRからのデータがPVR11の記憶装置13に記憶(録画)される。入力1から入力2への切換えはt0の時点で行なわれ、PVR11の出力(入力2)はTV21には、入力2に基づく出力(表示)がなされる。例えば、時間t1においてVTR1の再生に関する一時停止指示がなされると、入力1に基づく記憶装置13へのデータ転送処理と記憶処理とは継続して行なわれるが、TV21への表示は停止される。例えば、時間t2において再生再開の指示がなされると、TV21には、入力2に基づく記憶装置13からの信号が送られ、これに基づいて表示がなされる。PVR11に対応して示されるハッチの領域は、記憶装置13に記憶されている内容のうち一時停止時t1からの記憶部分であり、再生再開時点t2においては既に先行して録画がなされているため、入力2に基づいてTV21に表示をさせることができる。PVR11の記憶装置13に対するVTR1からの録画処理が時点t’において終了しているが、実際のPVR11からの入力2はt2から、t’−t1時間の期間だけは再生されている。
【0022】
例えば、この間にt1以降t2以前の時間t3において、しおり挿入処理がなされたとする。その後、例えばt2以降の時間t4からであっても、しおり再生指示が行なわれると、PVR11の記憶装置13から、TV21に、PVR11中のしおりが挿入された時間から始まる再生内容が、時間t4からしおり再生という形でTVにおいて再生される。このように、PVR11へのデータ記憶が行なわれた部分については、ランダムなアクセスが可能であり、早送りや巻き戻しなどを含むランダムアクセス可能な機器ならではといえる特殊再生が可能となる。すなわち、一旦、PVR11に記録されてしまえば、その部分については、PVR11からの再生処理になるため、上記のような種々の処理が可能になる。尚、停止位置については、一般的なPVRと同様に、メモリ等により記憶しておくことで対応可能である。
【0023】
次に、本発明の第2の実施の形態による映像再生システムについて図1を含む図面を参照しながら説明を行なう。図3は、本実施の形態による映像再生システムの利用方法の一例を示す図である。映像再生システムの構成は、図1と同様でも良い。図3において横軸は時間である。まず、時間t10において、VTR1の再生指示が行なわれると、PVR11において、VTR1からのデータがPVR11の記憶装置13に高速記憶(高速録画)される。高速録画とは、再生速度よりも例えば2倍又は3倍の高速で録画する処理を指す。VTR1は高速再生を行い、コンテンツ転送経路LによりPVR11に高速転送される。PVR11は高速録画中のコンテンツを通常速度で再生を行い、その出力(入力2)がTV21に入力され、入力2に基づく出力(表示)がなされる。例えば、時間t11においてVTR1からの出力に基づくPVR11への高速録画処理が終了する。この時点では、入力2に基づくTV21の再生は終了していない。
【0024】
次いで、t11よりも後の時間t12において番組の早送りの指示が行なわれると、VTR1の早送りではなくPVR11に録画済みの番組に関する早送りが行なわれる。この場合にも、番組のシーケンスとPVR11内に記憶されている番組のシーケンスとは1対1に対応付けされているものとする。
【0025】
次いで、早送りの途中の時間t13において再生指示がなされると、PVR11の録画済み番組に基づく、早送り停止位置からのTV21への再生が行なわれる。この場合においても、VTR1に基づく早送り、再生処理と比較して、PVR11の録画済み番組に基づく早送り、再生処理であるため、極めて高速に処理を行なうことができるという利点がある。
【0026】
尚、上記の例においては、ランダムアクセスできない(低速の)記録再生装置をVTRで例示し、ランダムアクセス可能な(高速の)記録再生装置をPVRで例示したが、これらの機器に限定されるものではないのは言うまでもない。
【0027】
また、TVへの指示は、例えば、各機器に、VTR1に対するリモコンコードの指示を本発明のシステムの各機器での動作指示に置き換えるリモコン命令受付部を設けても良いし、ビデオマウスを用いてVTRと同じコードによる指示を各機器へ行なうようにしても良いし、TVとPVRを例えばIEEE1394規格等により接続しておき、TVからPVRを制御するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、映像再生システムに利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1の実施の形態による映像再生システムの一構成例を示す機能ブロック図である。
【図2】時間軸(横軸)に関して、VTRの入力1と、PVRの録画(記憶)と、PVRの出力(TVの表示)と、の時間的な関係が示すタイミングチャート図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態による映像再生システムの利用方法の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0030】
1…VTR、3…テープメディア、5…制御部、11…PVR、13…記憶装置、15…制御部、21…テレビ(TV)受信機、23…入力選択・タイミング調整部、25…命令受付部、27…制御部、リモコン31。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツを再生する第1のコンテンツ再生部を有するコンテンツ再生機器と、
コンテンツを記録するコンテンツ記録部とコンテンツを再生する第2のコンテンツ再生部を有し、記録されたコンテンツに対して前記コンテンツ再生機器よりも高速にアクセス可能なコンテンツ記録再生機器と、
前記第1の入力を前記コンテンツ記録部に出力するためのコンテンツ転送経路と、
前記コンテンツ再生機器からの第1の入力と、前記コンテンツ記録再生機器からの第2の入力と、を切換える入力選択部を備えたコンテンツ出力機器と、
を有することを特徴とするコンテンツ再生システム。
【請求項2】
前記コンテンツ再生機器からの出力の開始操作に応じて、前記コンテンツ出力機器への出力元が、前記コンテンツ再生機器から前記コンテンツ記録再生機器に切り替わることを特徴とする請求項1に記載のコンテンツ再生システム。
【請求項3】
前記コンテンツ再生機器からの出力開始タイミングで、前記コンテンツ出力機器への出力元が、前記コンテンツ再生機器から前記コンテンツ記録再生機器に切り替わることを特徴とする請求項1に記載のコンテンツ再生システム。
【請求項4】
さらに、前記コンテンツ再生機器からの第1の入力と、前記コンテンツ記録再生機器からの第2の入力と、のタイミングが同期する方向に調整するタイミング調整部を有することを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載のコンテンツ再生システム。
【請求項5】
前記コンテンツ出力機器への指示のうち、高速アクセスを必要とする指示に前記第2の入力を優先的に利用することを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項に記載のコンテンツ再生システム。
【請求項6】
コンテンツ再生機器から出力されたコンテンツを、ランダムアクセス可能なコンテンツ記録部に記録するステップと、
出力の開始指示に応じて、コンテンツ再生装置にコンテンツを出力するソースを前記コンテンツ再生機器から前記コンテンツコンテンツ記録部に切換えるステップと、
を有することを特徴とするコンテンツ再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−21347(P2008−21347A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−190514(P2006−190514)
【出願日】平成18年7月11日(2006.7.11)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】