コンテンツ提示装置、コンテンツ提示プログラムおよびコンテンツ提示方法
【構成】 コンテンツ提示装置10はコンピュータ12を含み、コンピュータに内蔵されるCPU20は複数の帯状コンテンツ(C)の表示装置14への表示を制御する。各帯状コンテンツは、共通するメインキーワードを含み、このメインキーワードが表示装置14の画面に設定された基準位置(Q)で揃うように、画面の下端から上端に向けて移動される。各帯状コンテンツは、基準位置に向けて加速しながら移動され、基準位置の手前で減速される。そして、基準位置に到達すると、加速しながら画面外まで移動される。
【効果】 多数の情報から或る情報を直感的に把握することができる。
【効果】 多数の情報から或る情報を直感的に把握することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はコンテンツ提示装置、コンテンツ提示プログラムおよびコンテンツ提示方法に関し、特にたとえば、デジタルサイネージとして利用される、コンテンツ提示装置、コンテンツ提示プログラムおよびコンテンツ提示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のコンテンツ提示装置に関連する技術が非特許文献1に開示されている。この非特許文献1によれば、情報検索の検索結果の提示方法として最も一般的に用いられているのは、検索された文書の要約情報を縦に並べて提示する方法であることが記載されている。この検索結果リストは、Search Engine Results Page l.c.(SERPs)として良く知られている。また、現代のWeb検索エンジンが返す検索結果サロゲートに関する重要な特性としては、検索ユーザが入力したクエリ語を考慮した要約文が提示されていることが挙げられる。これはkeyword-in-context(KWIC)抽出法と呼ばれており、検索結果の提示に使用される。
【0003】
また、文書分析の分野では、コンコーダンスの抽出によってテキスト単体、もしくはテキストコレクションを分析することが一般的である。コンコーダンスとは、テキスト中の全語をアルファベット順に並べ、その語が現れる文脈と共に表示する索引を意味する。典型的な文書コンコーダンスでは、コンコーダンスビューの中心に興味のある語を配置するように、当該興味のある語を含むテキストが縦に並べて表示される。これによって、ユーザは、興味のある語の周辺テキスト(前後の文脈)から当該興味のある語(言語)の特徴を理解したり、文書自身の構造・内容を分析したりする。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】情報検索のためのユーザインタフェース Marti A.Hearst 著、角谷和俊・田中克己 監訳、共立出版、2011年4月10日 初版1刷発行、p131, pp134-135, p303, pp308-309
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
KWICを含むSERPsや文書コンコーダンスは、情報検索やテキスト分析のインタフェースとして用いられているが、ユーザがクエリ語または興味のある語を入力ないし選択するものであり、ユーザの入力に応答する受動的なものである。したがって、たとえばデジタルサイネージのような配信型メディアでは、ユーザの操作を受け付けないものが多いため、KWICを含むSERPsや文書コンコーダンスのサービスを用いてコンテンツを可視化するのは難しい。
【0006】
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、コンテンツ提示装置、コンテンツ提示プログラムおよびコンテンツ提示方法を提供することである。
【0007】
また、この発明の他の目的は、情報を直感的に把握するのに優れている、コンテンツ提示装置、コンテンツ提示プログラムおよびコンテンツ提示方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の構成を採用した。なお、括弧内の参照符号および補足説明等は、本発明の理解を助けるために後述する実施の形態との対応関係を示したものであって、本発明を何ら限定するものではない。
【0009】
第1の発明は、縦方向または横方向に複数のレーンが形成された画面を有する表示装置、同一または類似の注目対象を含む複数の帯状コンテンツのそれぞれを、複数のレーンの各々で移動表示させる表示制御手段、および画面に設定された基準位置で、移動表示される複数の帯状コンテンツに含まれる注目対象が揃うように、当該複数の帯状コンテンツの移動を制御する移動制御手段を備える、コンテンツ提示装置である。
【0010】
第1の発明では、コンテンツ提示装置(10)は、表示装置(14)、表示制御手段(20)および移動制御手段(20)を備える。表示装置は、縦方向または横方向に複数のレーンが形成された画面を有する。表示制御手段は、同一または類似した特徴ないし概念を有する注目対象を含む複数の帯状コンテンツのそれぞれを、複数のレーンの各々で移動表示させる。移動制御手段は、画面に設定された基準位置で、移動表示される複数の帯状コンテンツに含まれる注目対象が揃うように、当該複数の帯状コンテンツの移動を制御する。
【0011】
第1の発明によれば、各帯状コンテンツに含まれる同一または類似した特徴ないし概念を有する注目対象が基準位置で揃うように移動を制御するので、着目する帯状コンテンツの全体を把握しながら、全帯状コンテンツについて同一または類似の注目対象の内容を知ることができる。つまり、多数の情報から或る情報を直感的に把握するのに優れている。
【0012】
第2の発明は、第1の発明に従属し、移動制御手段は、注目対象と基準位置との距離に比例する加速度に基づいて当該注目対象を含む帯状コンテンツの移動速度を算出する速度算出手段を含む。
【0013】
第2の発明では、移動制御手段は、速度算出手段(S7、S21)を含む。速度算出手段は、注目対象と基準位置との距離に比例する加速度に基づいて当該注目対象を含む帯状コンテンツの移動速度を算出する。したがって、距離が異なる帯状コンテンツの移動速度が調整され、各帯状コンテンツの注目対象が基準位置で揃うように当該各帯状コンテンツの移動が制御される。
【0014】
第2の発明によれば、注目対象と基準位置との距離に応じて加速度を変化させるだけなので、帯状コンテンツの移動を簡単に制御することができる。
【0015】
第3の発明は、第1または第2の発明に従属し、基準位置の手前に減速領域が設けられ、移動制御手段は、少なくとも注目対象が減速領域に入ったとき、当該注目対象を含む帯状コンテンツを減速させる。
【0016】
第3の発明では、基準位置の手前に減速領域(120)が設けられる。したがって、移動制御手段は、少なくとも注目対象が減速領域に入ったとき、当該注目対象を含む帯状コンテンツを減速させる(S17)。
【0017】
第3の発明によれば、基準位置の手前で注目対象を含む帯状コンテンツの移動速度を減速させるので、注目対象を見易くすることができる。
【0018】
第4の発明は、第1ないし第3の発明のいずれかに従属し、表示制御手段は、注目対象を、当該注目対象を含む帯状コンテンツにおける他の部分と異なる態様で表示する。
【0019】
第4の発明では、表示制御手段は、注目対象を、当該注目対象を含む帯状コンテンツにおける他の部分と異なる態様で表示する。たとえば、外観(形)、色、装飾、見た目の変化の少なくとも1つの要素によって、他の部分(要素)と表示態様を異ならせる。
【0020】
第4の発明によれば、注目対象を他の部分と異なる態様で表示するので、注目対象を容易に識別することができる。
【0021】
第5の発明は、縦方向または横方向に複数のレーンが形成された画面を有する表示装置を備えるコンテンツ提示装置のコンテンツ提示プログラムであって、コンテンツ提示装置のプロセッサに、同一または類似する特徴ないし概念を有する注目対象を含む複数の帯状コンテンツのそれぞれを、複数のレーンの各々で移動表示させる表示制御ステップ、および画面に設定された基準位置で、移動表示される複数の帯状コンテンツに含まれる注目対象が揃うように、当該複数の帯状コンテンツの移動を制御する移動制御ステップを実行させる。
【0022】
第6の発明は、縦方向または横方向に複数のレーンが形成された画面を有する表示装置を備えるコンテンツ提示装置のコンテンツ提示方法であって、コンテンツ提示装置のプロセッサは、(a)同一または類似する特徴ないし概念を有する注目対象を含む複数の帯状コンテンツのそれぞれを、複数のレーンの各々で移動表示させ、そして(b)画面に設定された基準位置で、移動表示される複数の帯状コンテンツに含まれる注目対象が揃うように、当該複数の帯状コンテンツの移動を制御する、コンテンツ提示方法である。
【0023】
第5または第6の発明においても、第1の発明と同様に、多数の情報から或る情報を直感的に把握するのに優れている。
【発明の効果】
【0024】
この発明によれば、各帯状コンテンツに含まれる同一または類似する特徴ないし概念を有する注目対象が基準位置で揃うように移動を制御するので、着目する帯状コンテンツの全体を把握しながら、全帯状コンテンツについて同一または類似する特徴ないし概念を有する注目対象の内容を知ることができる。つまり、多数の情報から或る情報を直感的に把握するのに優れている。
【0025】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1はこの発明の一実施例のコンテンツ提示装置の電気的な構成を示す図解図である。
【図2】図2は図1に示す表示装置の第1の表示例を示す図解図である。
【図3】図3は図1に示す表示装置の第2の表示例であって、図2に示す第1の表示例よりも時間的に後の状態を示す図解図である。
【図4】図4は図1に示す表示装置の第3の表示例であって、図3に示す第2の表示例よりも時間的に後の状態を示す図解図である。
【図5】図5は図1に示す表示装置の第4の表示例であって、図4に示す第3の表示例よりも時間的に後の状態を示す図解図である。
【図6】図6は帯状コンテンツがビデオメモリ上で開始位置に描画された状態を説明するための図解図である。
【図7】図7は帯状コンテンツの移動制御において基準位置に向けて移動させる場合の加速度および速度の算出を説明するための図解図である。
【図8】図8は帯状コンテンツの移動制御において減速する方法を説明するための図解図である。
【図9】図9は帯状コンテンツの移動制御において画面外に退出させる場合の加速度および速度の算出を説明するための図解図である。
【図10】図10は図1に示すRAMのメモリマップの一例を示す図解図である。
【図11】図11は図1に示すCPUのコンテンツ制御処理の一部を示すフロー図である。
【図12】図12は図1に示すCPUのコンテンツ制御処理の他の一部であって、図11に後続するフロー図である。
【図13】図13は他の実施例のRAMのメモリマップを示す図解図である。
【図14】図14は他の実施例のコンテンツ制御処理の一部を示すフロー図である。
【図15】図15は他の実施例のコンテンツ制御処理の他の一部を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1を参照して、この実施例のコンテンツ提示装置10は汎用のコンピュータ12を含み、コンピュータ12には表示装置14が接続される。コンピュータ12は、CPU20を含み、このCPU20はバス22を介してHDD24、RAM26、通信回路28および表示ドライバ30に接続される。上述した表示装置14は表示ドライバ30に接続される。
【0028】
CPU20は、コンテンツ制御装置10の全体制御を司る。HDD24は、主として、この実施例のコンテンツ提示プログラムおよび複数のコンテンツに対応するデータ(コンテンツデータ)を記憶する。RAM26は、CPU20のバッファ領域ないし作業領域として用いられる。通信回路28は、インターネットやLANのようなネットワークを介して他のコンピュータと通信するための回路である。表示ドライバ30は、CPU20の指示の下、表示装置14の表示制御を実行する。また、表示ドライバ30は、ビデオメモリ30aを内蔵している。表示装置14は、典型的にはLCDであり、この実施例では比較的画面サイズの大きいものが用いられる。
【0029】
たとえば、コンテンツ提示装置10は、デジタルサイネージやスクリーンセーバとして利用され、少なくとも表示装置14は、ショッピングモール、スーパーマーケット、百貨店、銀行、映画館、ホテル、病院、空港、駅または美術館などの建物の外壁や内壁または通路に配置される。つまり、表示装置14(コンテンツ提示装置10)は多数の人間が集まるような場所に適用される。
【0030】
図示は省略するが、表示装置14は、複数のレーン(この実施例では、列)が形成された画面を有し、各レーンにおいて、文字列(分節、文章)が表示装置14の下方から上方に移動表示される。文字列は、一列の縦書きで表示され、帯状のコンテンツ(帯状コンテンツ)として扱われる。この実施例では、文字列は、Twitterのコメント(Tweet)である。
【0031】
この実施例では、或る期間(たとえば、一週間)におけるTwitterの一部のコメントのデータ(Tweetのストリームデータ)が読み出され、読み出されたコメントのうち、最も数の多いキーワード(以下、「メインキーワード」という。)を有しているコメント(文字列)のみが抽出される。つまり、メインキーワードを含む複数のコメントについてのデータが、HDD24に記憶される。
【0032】
この実施例では、キーワードは、名詞であり、各コメントを形態素解析することにより抽出される。ただし、キーワードは、他の品詞(たとえば、形容詞、副詞または動詞)であってもよい。また、この実施例では、メインキーワードは、同一のキーワードであるが、意味が類似するキーワードを含めるようにしてもよい。このことは、後述するサブキーワードについても同じである。
【0033】
また、この実施例では、メインキーワードを含む複数のコメントにおいて、所定数(たとえば、全コメントの80%に相当する数)以上のコメントに含まれるキーワード(以下、「サブキーワード」という。)も検出される。詳細な説明は省略するが、HDD24に記憶されたコメントすなわち帯状コンテンツのデータとともに、メインキーワードおよびサブキーワードの情報についても記憶されている。
【0034】
このような処理は事前に実行され、HDD24に帯状コンテンツのデータが記憶される。簡単のため、HDD24には、1つのメインキーワードについての帯状コンテンツのデータが記憶されて、提示されるものとする。ただし、異なる複数のメインキーワードのそれぞれについての帯状コンテンツのデータを記憶しておき、同一のメインキーワードの帯状コンテンツのまとまり毎に、順次またはランダムに提示するようにしてもよい。かかる場合には、テーマ(メインキーワード)毎にコンテンツが提示される。
【0035】
具体的な帯状コンテンツの表示(提示)例が図2−図5に示される。ここで、この実施例の帯状コンテンツは、或る注目対象を含む。注目対象とは、帯状コンテンツを構成する要素のうちの特定の要素であり、他の帯状コンテンツとの間で同一または類似する特徴ないし概念を有する要素を意味する。この実施例では、注目対象はメインキーワードまたはサブキーワードである。
【0036】
図2−図5では、表示装置14の画面が時間の経過に従って変化する様子が示される。簡単に説明すると、図2に示す画面では、各レーンの帯状コンテンツは加速しながら上方に移動される。図3に示す画面では、当該画面のほぼ上下半分の位置に設定されている基準位置Qの手前に設定される減速領域120(図8参照)に注目位置(この実施例では、メインキーワードの先頭位置)P(図7および図8参照)が到達した帯状コンテンツから順に減速される。ただし、減速領域120にメインキーワードの先頭位置Pが到達していない帯状コンテンツは依然として加速しながら上方に移動される。そして、図4に示す画面では、メインキーワードが基準位置Qで揃うように表示される。その後、図5に示す画面では、各レーンの帯状コンテンツが加速しながらさらに上方に移動し、画面外に移動(退出)される。
【0037】
このように、帯状コンテンツを移動表示するのは、表示装置14の画面を見る人間が、画面の変化を直感的に理解することができ、視線を動かさなくても、コメントを先頭から末尾まで読むことができるためである。つまり、帯状コンテンツの全体を容易に把握することができる。
【0038】
また、メインキーワードの文字ないし文字列は幅を有するため、この実施例では、帯状コンテンツの移動を制御するための注目位置を、注目対象であるメインキーワードの先頭位置Pに設定しているが、これに限定される必要はない。メインキーワードが有する幅(長さ)の中心(中央)を注目位置に設定してもよい。または、注目位置に代えて、メインキーワードの全体を注目範囲(注目領域)として設定してもよい。
【0039】
また、図2−図5に示す例では、メインキーワードは「長野」であり、太字で示してある。また、サブキーワードは「地震」であり、斜体で示してある。このように、この実施例では、メインキーワードやサブキーワードは、字の太さや字体の違いによって他の語と識別可能に表示してあるが、これに限定される必要はない。たとえば、メインキーワードを赤色で示し、サブキーワードを黄色で示し、他の語を黒色で示すようにしてもよい。また、メインキーワードやサブキーワードに異なる色のマーカを付してもよい。または、メインキーワードやサブキーワードを他の語よりも大きいサイズで表示したり、場合によっては、メインキーワードを点滅表示したりしてもよい。これらは一例であり、限定されるべきではなく、また、これらのうちの2つ以上が複合的に適用されてもよい。つまり、外観(形)、色、装飾、見た目の変化の少なくとも1つの要素によって、他の語と表示態様を異ならせることにより、メインキーワードやサブキーワードを、他の語と容易に識別できるのである。
【0040】
さらに、図2−図5では、簡単のため、サブキーワードを1つだけ示してあるが、上述したように、サブキーワードは複数の場合もある。したがって、異なるサブキーワード間においても識別可能に表示してもよい。
【0041】
なお、図2−図5では、27個のレーンを設けてあるが、レーンの数はさらに多くても少なくてもよい。表示装置14の大きさによって適宜設定される。
【0042】
この実施例では、各レーンで、帯状コンテンツの移動制御が行われる。これは、図4に示したように、メインキーワードが基準位置Qで揃うように各帯状コンテンツを表示するためであり、各帯状コンテンツでは、メインキーワードの位置が異なる場合がある。ただし、メインキーワードの位置とは、たとえば、当該メインキーワードを含む帯状コンテンツの先頭から当該メインキーワードの先頭位置Pまでの距離を意味する。
【0043】
以下、帯状コンテンツの配置および移動制御について説明することにする。以下、各帯状コンテンツを区別する必要がない場合には、参照符号「C」を用いて説明することにするが、各帯状コンテンツを区別する必要がある場合には、個別の参照符号を用いて説明することにする。
【0044】
たとえば、図6に示すように、ビデオメモリ30aの全領域100は、表示装置14の全表示領域110を含む。ビデオメモリ30aの全領域100は、2次元座標系で位置(アドレス)が管理される。図6における横方向が2次元座標系のX軸であり、縦方向が2次元座標系のY軸である。また、図6の右方向がX軸の正方向であり、上方向がY軸の正方向である。さらに、全領域100の左下の頂点が原点Oである。さらにまた、図6に示すように、図2−図5に示した基準位置Qは、全表示領域110を上下半分に分割した位置に相当する位置に設定される。
【0045】
図6に示すように、表示が開始されるときには、各レーンの帯状コンテンツC1、C2、C3、C4、C5、…は、それぞれの先頭が全表示領域110の下端110bに位置するように配置(描画)される。ただし、下端110bは、表示装置14の画面の下端に相当し、以下では「開始位置」と呼ぶことがある。同様に、図6に示す上端110aは、表示装置14の画面の上端に相当し、以下では「退出位置」と呼ぶことがある。
【0046】
次に、帯状コンテンツCの移動制御について説明する。図7に示すように、一部の帯状コンテンツC1、C2、C3、C4、C5に着目すると、上述したように、それぞれのメインキーワードの位置が異なる場合がある。ただし、図7は、帯状コンテンツC1、C2、C3、C4、C5が基準位置に向けて移動されている場合の或るタイミングにおける位置関係を示してある。また、図7では、帯状コンテンツC1、C2、C3、C4、C5に含まれるメインキーワードの先頭位置Pは、それぞれ、P1、P2、P3、P4、P5で示してある。したがって、基準位置Qとメインキーワードの先頭位置Pとの距離h(ここでは、h1、h2、h3、h4、h5)も異なる場合がある。
【0047】
上述したように、この実施例では、基準位置Qで各帯状コンテンツCのメインキーワードが揃うように、各帯状コンテンツCを移動させる。このため、帯状コンテンツC1、C2、C3、C4、C5を移動させる際の速度v(ここでは、v1、v2、v3、v4、v5)を算出する場合において、上記距離hに応じて帯状コンテンツC1、C2、C3、C4、C5の加速度a(ここでは、a1、a2、a3、a4、a5)を変化させるようにしてある。
【0048】
この実施例では、加速度aはばねモデルに従って算出される。ただし、メインキーワードの先頭位置Pから基準位置Qまでの距離hに比例した加速度aまたは速度vを予め決定しておいてもよい。図7の下方に示すように、距離hの大小関係はh3>h4>h1>h2=h5であり、したがって、加速度aの大小関係はa3>a4>a1>a2=a5となる。
【0049】
具体的には、帯状コンテンツCの移動速度vは、オイラー法による数値解法に基づいて、数1に従って算出されるが、ルンゲ・クッタ法などの他の数値解法を用いるようにしてもよい。ただし、v0は初速度であり、初回はデフォルト値が設定され、移動制御によって速度vが算出される度に、初速度v0は当該速度vで更新される。なお、Δtは前回の計算時点からの経過時間である。また、加速度aは、数2に従って、ばね定数kと距離の変数xの積で決定される。ばね定数kは、コンテンツ提示装置10の開発者ないしプログラマが実験等によって経験的に得た数値である。また、帯状コンテンツCの質量の成分は「1」として、数2では省略してある。ただし、帯状コンテンツCの先頭位置Pが基準位置Qに到達するまでは、数2の変数xに、上記の距離hが代入される。
【0050】
[数1]
v=v0+a×Δt
[数2]
a=−kx
このように帯状コンテンツC1、C2、C3、C4、C5の速度v1、v2、v3、v4、v5がそれぞれ算出され、表示装置14の画面が更新される時間(1フレーム=1/30秒)における移動距離がさらに算出される。したがって、ビデオメモリ30aでは、次のフレームにおいて、算出された移動距離だけ上方に移動した位置に、帯状コンテンツC1、C2、C3、C4、C5が描画される。このような処理が繰り返され、各帯状コンテンツC1、C2、C3、C4、C5は、図2−図5に示したように、上方に移動される。
【0051】
また、図6では省略したが、図8に示すように、基準位置Qの手前には、減速領域120が設けられる。この実施例では、減速領域120は、Y軸方向において上端120aと下端120bとで規定される所定幅を有し、その上端120aは基準位置Qと重なる。なお、図8では、簡単のため、2つの帯状コンテンツC1、C2のみを示してある。
【0052】
この実施例では、各帯状コンテンツCの先頭位置Pがこの減速領域120に到達すると、算出した加速度aに減速成分a1が加えられる。ただし、この実施例では、帯状コンテンツCは、画面の下端(下端110b)から上端(上端110a)に向けて移動するため、減速領域120の下端120bのY座標と帯状コンテンツCに含まれるメインキーワードの先頭位置PのY座標との大小関係で、減速領域120に到達したかどうかが判断される。
【0053】
たとえば、減速成分a1は、空気抵抗と同様に、速度vに比例する大きさで決定される。したがって、この実施例では、減速領域120では、数3で示す減速成分a1が数2に従って算出された加速度aから減算される。ただし、fは比例係数(f>0)である。
【0054】
[数3]
a1=fv
ただし、この減速成分a1は、帯状コンテンツCの移動開始のときから加味され、減速領域120に入ったときに、比例係数fを大きくするようにしてもよい。
【0055】
また、帯状コンテンツCに含まれるメインキーワードの先頭位置Pが基準位置Qに到達すると、その後は、図9に示すように、上端110a(退出位置)と帯状コンテンツCの後端との距離d(d1,d2,d3,d4,d5)に応じて加速度aが算出される。具体的には、数2の変数xに距離dが代入され、加速度aが算出される。この実施例では、多数の帯状コンテンツCを複数回に分けて表示するため、各レーンでは、現在表示されている帯状コンテンツCが画面外に出た(退出された)後に、次の帯状コンテンツCが配置される。したがって、2番目以降の各レーンの帯状コンテンツCについても、基準位置Qで揃うように表示させる必要がある。このため、各レーンで帯状コンテンツCが画面の外に出るタイミングが揃えられるのである。
【0056】
図10は図1に示したRAM26のメモリマップの一例を示す。図10に示すように、RAM26はプログラム記憶領域50およびデータ記憶領域52を含む。プログラム記憶領域50には、コンテンツ提示プログラムが記憶され、このコンテンツ提示プログラムは、画像生成プログラム50a、画像表示プログラム50bおよびコンテンツ制御プログラム50cなどで構成される。
【0057】
画像生成プログラム50aは、表示装置14に複数の帯状コンテンツCを表示するための表示画像データを生成するためのプログラムである。また、画像生成プログラム50aは、後述するコンテンツ制御プログラム50cに従って移動を制御される各帯状コンテンツCの表示位置を変化させるためのプログラムでもある。つまり、表示画像データが更新される。画像表示プログラム50bは、画像生成プログラム50aに従って生成された表示画像データを表示装置14に出力するためのプログラムである。コンテンツ制御プログラム50cは、ビデオメモリ30aに設けられた全表示領域110の下端110b(開始位置)に帯状コンテンツCを配置(描画)したり、帯状コンテンツCの移動を制御したりするためのプログラムである。
【0058】
図示は省略するが、プログラム記憶領域50には、コンテンツ提示処理に必要な他のプログラムも記憶される。
【0059】
データ記憶領域52には、コンテンツデータ52aが記憶される。コンテンツデータ52aは、複数の帯状コンテンツCについてのデータである。この実施例では、複数の帯状コンテンツCは、同じメインキーワードを含む。
【0060】
図示は省略するが、データ記憶領域52には、コンテンツ提示処理に必要な他のデータが記憶されたり、コンテンツ提示処理に必要なカウンタ(タイマ)やフラグが設けられたりする。
【0061】
図11および図12は図1に示したCPU20のコンテンツ提示処理を示すフロー図である。ただし、図11および図12に示すコンテンツ提示処理は、レーン毎に実行される。ここでは、或るレーン(当該レーン)についてのコンテンツ提示処理のみについて説明するが、他のレーンについても同様である。つまり、レーン毎のコンテンツ提示処理がマルチタスクで同時に実行されるのである。
【0062】
図11に示すように、CPU20は、当該レーンのコンテンツ提示処理を開始すると、ステップS1で、コンテンツを開始位置に配置する。つまり、帯状コンテンツCが、当該レーンにおいて、その先頭位置がビデオメモリ30a内に設けられる全表示領域110の下端110bの位置に一致するように配置(描画)される(図6参照)。
【0063】
次のステップS3では、コンテンツを初速度v0で移動させる。ただし、初回では、初速度v0にはデフォルト値が設定される。次のステップS5では、加速度aを数2に従って算出する。このとき、帯状コンテンツCに含まれるメインキーワードの先頭位置Pと基準位置Qとの距離hが算出(検出)され、変数xに代入される。続くステップS7では、速度vを数1に従って算出する。そして、ステップS9で、コンテンツを移動させる。ここでは、CPU20は、オイラー法による数値解法に基づいて、ステップS7で算出した速度vに画面の更新単位時間(1フレーム)を掛けて得られた移動距離だけ、帯状コンテンツCを上方に移動させる。以下、ステップS21およびS31においても同様である。ただし、これは単なる例示であり、速度vの算出方法と同様に、移動距離の算出方法(数値解法)は限定されるべきでない。
【0064】
そして、ステップS11では、帯状コンテンツCのメインキーワードの先頭位置Pが減速領域120に入ったかどうかを判断する。ステップS11で“NO”であれば、つまり先頭位置Pが減速領域120に到達していなければ、ステップS13で、初速度v0を更新して(v0=v)、ステップS5に戻る。
【0065】
一方、ステップS11で“YES”であれば、つまり先頭位置Pが減速領域120に入れば、ステップS15で、加速度aを数2に従って算出し、ステップS17で、減速成分a1を数3に従って算出し、ステップS19で、減速成分a1で加速度aを更新する(a=a−a1)。そして、ステップS21で、速度vを数1に従って算出する。続いて、ステップS23で、帯状コンテンツCを減速された速度vで移動させる。
【0066】
図12に示すように、次のステップS25では、当該レーンのコンテンツが基準位置Qに到達したかどうかを判断する。つまり、CPU20は、基準位置QのY座標と当該レーンを移動する帯状コンテンツCに含まれるメインキーワードの先頭位置PのY座標とが一致するかどうかを判断する。ステップS25で“NO”であれば、つまり基準位置Qに到達していなければ、ステップS27で、初速度v0を更新して(v0=v)、図11に示したステップS15に戻る。一方、ステップS25で“YES”であれば、つまり基準位置Qに到達すると、ステップS29で、加速度aを数2に従って算出する。このとき、全表示領域110の上端110a(退出位置)と帯状コンテンツCの後端との距離dが算出(検出)され、変数xに代入される。ただし、ステップS25においては、先頭位置PのY座標が基準位置QのY座標よりも大きい場合にも、基準位置Qに到達していると判断される。
【0067】
続いて、ステップS31で速度vを数1に従って算出し、ステップS33で、帯状コンテンツCを上方に移動する。つまり、帯状コンテンツCは減速されずに上方に移動される。続くステップS35では、帯状コンテンツCが画面外に退出したかどうかを判断する。ここでは、CPU20は、帯状コンテンツCの後端のY座標が全表示領域110の上端110a(退出位置)のY座標以上になったかどうかを判断する。
【0068】
ステップS35で“NO”であれば、つまり帯状コンテンツCが画面外に退出していなければ、ステップS37で、初速度v0を更新して(v0=v)、ステップS29に戻る。一方、ステップS35で“YES”であれば、つまり帯状コンテンツCが画面外に退出すれば、ステップS39で、次のコンテンツがあるかどうかを判断する。
【0069】
ステップS39で“YES”であれば、つまり次のコンテンツがあれば、ステップS41で、次のコンテンツを開始位置に配置して、図11に示したステップS3に戻る。一方、ステップS39で“NO”であれば、つまり次のコンテンツがなければ、当該レーンのコンテンツ提示処理を終了する。
【0070】
この実施例によれば、帯状コンテンツを各レーンで移動表示し、画面上の基準位置で各帯状コンテンツに含まれる同一または類似する特徴ないし概念を有するメインキーワードが揃うように移動制御するので、着目する帯状コンテンツの全体を把握しながら、全帯状コンテンツについて同一または類似する特徴ないし概念を有するメインキーワードを知ることができる。つまり、多数の情報から或る情報を直感的に把握するのに優れている。
【0071】
なお、この実施例では、TwitterのTweetのストリームデータを読み出して、そのコメント(テキスト文)をコンテンツとして提示するようにしたが、コメントは他のテキストを用いることができ、たとえば、複数の本(電子書籍)やブログからテキスト群を取得するようにしてもよい。
【0072】
また、この実施例では、コメントを帯状コンテンツとして提示するようにしたが、これに限定される必要はない。コンテンツは、同一または類似する特徴ないし概念を有する注目対象を含み、帯状で表せる、他のコンテンツであってもよい。たとえば、他のコンテンツとしては、フィルム状に並べた動画(連続する複数コマの静止画像)、楽譜、時系列に従って変化するグラフ(音の波形、株価の変化など)が該当する。動画の場合には、たとえば、注目対象は、或る人物または或る人物の登場箇所(シーン)である。また、楽譜の場合には、たとえば、注目対象は、或る同一のまたは類似するコード進行の発生箇所である。さらに、時系列に従って変化するグラフの場合には、注目対象は或る同様の変化(急激に上昇または下降)を示す箇所である。
【0073】
さらに、この実施例では、帯状コンテンツを上向きに移動させたが、移動方向は他の方向であってもよい。たとえば、横書きの文字列、画像、楽譜、グラフでは、左方向または右方向に移動させてもよい。また、たとえば、画像では、下方向に移動させてもよい。つまり、帯状コンテンツの移動方向は、当該帯状コンテンツに応じて適宜設定されるべきである。たとえば、左方向または右方向に移動される場合には、表示装置の画面を左右に分割する任意の位置に基準位置が設定される。また、基準位置から開始位置側に減速領域が設定される。加速度、速度、減速成分の算出方法は、上述の実施例で示した内容と同様である。
【0074】
さらにまた、この実施例では、各レーンでは、帯状コンテンツが退出されると、次の帯状コンテンツを配置するようにしてあるため、2番目以降では、各レーンで帯状コンテンツが配置されるタイミングにずれが生じることになる。このため、この実施例では、帯状コンテンツを移動させる度に、加速度および速度を算出し直して、各番目の帯状コンテンツのメインキーワードが基準位置で揃うようにしてある。したがって、各番目の帯状コンテンツの長さを各レーンでほぼ同じ長さになるように、予め帯状コンテンツを各レーンに割り振りしておけば、各番目において各レーンに帯状コンテンツが配置されるタイミングを或る程度揃えることができるため、かかる場合には、加速度を初回のみ算出するようにすることもできる。また、各番目の帯状コンテンツの移動を開始させるタイミングを調整し、距離h(h1、h2、h3、h4、h5)を等距離にした場合にも、加速度を初回のみ算出するようにすることができる。
【0075】
さらに、この実施例では、デジタルサイネージやスクリーンセーバのような受動的な配信コンテンツとしてだけではなく、ユーザの目的に応じたインタラクションも可能である。たとえば、表示装置の画面上にタッチパネルを設けておき、当該タッチパネル上でタップすることにより、全コンテンツ(またはタップされたコンテンツのみ)の動きを静止させたり、タッチパネル上でフリックすることにより、全コンテンツ(またはフリックされたコンテンツのみ)の移動を加速または減速させたりすることができる。ただし、コンテンツの移動方向とフリックの方向とが一致する場合に、コンテンツの移動が加速される。一方、コンテンツの移動方向とフリックの方向とが逆である場合に、コンテンツの移動が減速される。
【0076】
さらにまた、この実施例では、帯状コンテンツは、移動を開始されると、加速または減速されるようにしたが、さらに、基準位置において所定時間(最大で数秒程度)静止させるようにしてもよい。かかる場合には、ステップS25で、先頭位置Pが基準位置Qに到達したことが判断されると、帯状コンテンツを所定時間停止させた後に、デフォルトの初速度v0で移動を開始(再開)させ、ステップS29以降の処理を実行するようにすればよい。
【0077】
他の実施例のコンテンツ提示装置10では、全レーンの帯状コンテンツCを一斉に移動開始させるとともに、全レーンの帯状コンテンツCに含まれるメインキーワード(先頭位置P)が基準位置Qで揃った後に、基準位置Qから上方に一斉に移動開始(再開)されるようにした以外は、上述の実施例と同じであるため、重複した説明は省略する。
【0078】
図13に示すように、この他の実施例では、データ記憶領域52に、開始位置フラグ52bと基準位置フラグ52cとが設けられる。開始位置フラグ52bは、各レーンの開始位置に帯状コンテンツCが配置されているかどうかを判別するためのフラグである。図示は省略するが、開始位置フラグ52bは、レーンの総数と同じビット数のレジスタで構成される。各ビットは、各レーンに対応している。対応するレーンの開始位置に帯状コンテンツCが配置されると、当該レーンについての開始位置フラグがオンされ、レジスタにデータ値「1」が設定される。一方、対応するレーンの開始位置に帯状コンテンツCが配置されていない場合には、当該レーンについての開始位置フラグがオフされ、レジスタにデータ値「0」が設定される。したがって、すべてのレジスタにデータ値「1」が設定されている場合に、全レーンの開始位置に帯状コンテンツCが配置されていることが分かる。
【0079】
同様に、基準位置フラグ52cは、レーンの総数と同じビット数のレジスタで構成される。各ビットは、各レーンに対応している。対応するレーンの基準位置Qに帯状コンテンツCに含まれるメインキーワードの先頭位置Pが到達すると、当該レーンについての基準位置フラグがオンされ、レジスタにデータ値「1」が設定される。一方、対応するレーンの基準位置Qに帯状コンテンツCに含まれるメインキーワードの先頭位置Pが到達していない場合または基準位置Qから画面の上端に向けて帯状コンテンツCの移動が再開された場合には、当該レーンについての基準位置フラグがオフされ、レジスタにデータ値「0」が設定される。したがって、基準位置フラグ52cを構成するすべてのレジスタにデータ値「1」が設定されている場合に、基準位置Qで全レーンの帯状コンテンツCに含まれるメインキーワードが揃っていることが分かる。
【0080】
具体的なCPU20の処理について説明するが、図11および図12を用いて説明した上述の実施例のコンテンツ提示処理と一部が異なるだけであるため、異なる部分について図示および詳細に説明することにする。
【0081】
図14に示すように、ステップS1で、コンテンツを開始位置に配置すると、ステップS51で、当該レーンについての開始位置フラグをオンする。次のステップS53では、全レーンの開始位置フラグがオンであるかどうかを判断する。つまり、CPU20は、開始位置フラグ52bを構成するレジスタの全ビットにデータ値「1」が設定されているかどうかを判断する。
【0082】
ただし、表示する帯状コンテンツCの数がレーン総数よりも少なく、一部のレーンを使用する場合には、ステップS53では、当該一部のレーンの全てについての開始位置フラグがオンであるかどうかを判断する。このことは、後述する基準位置フラグについても同じである。
【0083】
ステップS53で“NO”であれば、つまりいずれか1つのビットでもデータ値「0」が設定されていれば、同じステップS53に戻る。一方、ステップS53で“YES”であれば、つまり全ビットにデータ値「1」が設定されていれば、ステップS55で、当該レーンの開始位置フラグをオフして、ステップS3に進み、上述したように、コンテンツを初速度で移動する。
【0084】
また、図15に示すように、ステップS25で、当該レーンのコンテンツが基準位置Qに到達したかどうかを判断し、“YES”であれば、ステップS61で、コンテンツの移動を停止させる。次のステップS63では、当該レーンの基準位置フラグをオンする。そして、ステップS65で、全レーンの基準位置フラグがオンであるかどうかを判断する。つまり、CPU20は、基準位置フラグ52cを構成するレジスタの全ビットにデータ値「1」が設定されているかどうかを判断する。
【0085】
ステップS65で“NO”であれば、つまりいずれか1つのビットでもデータ値「0」が設定されている場合には、そのままステップS65に戻る。一方、ステップS65で“YES”であれば、つまり全ビットにデータ値「1」が設定されている場合には、ステップS67で、当該レーンの基準位置フラグをオフして、ステップS29に進む。
【0086】
他の実施例によれば、帯状コンテンツの開始位置での移動開始を全レーンで揃え、また、基準位置でメインキーワードを全レーンで揃えるとともに、基準位置からの移動開始も全レーンで揃えるので、上述の実施例と同様に、キーワードを中心とした情報の直感的な把握に優れている。
【0087】
なお、この他の実施例では、帯状コンテンツの開始位置での移動開始を全レーンで揃えるのみならず、基準位置でメインキーワードを全レーンで揃えるとともに、基準位置からの移動開始も全レーンで揃えるようにしてあるが、いずれか一方のみが実行されてもよい。
【符号の説明】
【0088】
10 …コンテンツ提示装置
12 …コンピュータ
14 …表示装置
16 …タッチパネル
20 …CPU
24 …HDD
26 …RAM
28 …通信回路
30 …表示ドライバ
【技術分野】
【0001】
この発明はコンテンツ提示装置、コンテンツ提示プログラムおよびコンテンツ提示方法に関し、特にたとえば、デジタルサイネージとして利用される、コンテンツ提示装置、コンテンツ提示プログラムおよびコンテンツ提示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のコンテンツ提示装置に関連する技術が非特許文献1に開示されている。この非特許文献1によれば、情報検索の検索結果の提示方法として最も一般的に用いられているのは、検索された文書の要約情報を縦に並べて提示する方法であることが記載されている。この検索結果リストは、Search Engine Results Page l.c.(SERPs)として良く知られている。また、現代のWeb検索エンジンが返す検索結果サロゲートに関する重要な特性としては、検索ユーザが入力したクエリ語を考慮した要約文が提示されていることが挙げられる。これはkeyword-in-context(KWIC)抽出法と呼ばれており、検索結果の提示に使用される。
【0003】
また、文書分析の分野では、コンコーダンスの抽出によってテキスト単体、もしくはテキストコレクションを分析することが一般的である。コンコーダンスとは、テキスト中の全語をアルファベット順に並べ、その語が現れる文脈と共に表示する索引を意味する。典型的な文書コンコーダンスでは、コンコーダンスビューの中心に興味のある語を配置するように、当該興味のある語を含むテキストが縦に並べて表示される。これによって、ユーザは、興味のある語の周辺テキスト(前後の文脈)から当該興味のある語(言語)の特徴を理解したり、文書自身の構造・内容を分析したりする。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】情報検索のためのユーザインタフェース Marti A.Hearst 著、角谷和俊・田中克己 監訳、共立出版、2011年4月10日 初版1刷発行、p131, pp134-135, p303, pp308-309
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
KWICを含むSERPsや文書コンコーダンスは、情報検索やテキスト分析のインタフェースとして用いられているが、ユーザがクエリ語または興味のある語を入力ないし選択するものであり、ユーザの入力に応答する受動的なものである。したがって、たとえばデジタルサイネージのような配信型メディアでは、ユーザの操作を受け付けないものが多いため、KWICを含むSERPsや文書コンコーダンスのサービスを用いてコンテンツを可視化するのは難しい。
【0006】
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、コンテンツ提示装置、コンテンツ提示プログラムおよびコンテンツ提示方法を提供することである。
【0007】
また、この発明の他の目的は、情報を直感的に把握するのに優れている、コンテンツ提示装置、コンテンツ提示プログラムおよびコンテンツ提示方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の構成を採用した。なお、括弧内の参照符号および補足説明等は、本発明の理解を助けるために後述する実施の形態との対応関係を示したものであって、本発明を何ら限定するものではない。
【0009】
第1の発明は、縦方向または横方向に複数のレーンが形成された画面を有する表示装置、同一または類似の注目対象を含む複数の帯状コンテンツのそれぞれを、複数のレーンの各々で移動表示させる表示制御手段、および画面に設定された基準位置で、移動表示される複数の帯状コンテンツに含まれる注目対象が揃うように、当該複数の帯状コンテンツの移動を制御する移動制御手段を備える、コンテンツ提示装置である。
【0010】
第1の発明では、コンテンツ提示装置(10)は、表示装置(14)、表示制御手段(20)および移動制御手段(20)を備える。表示装置は、縦方向または横方向に複数のレーンが形成された画面を有する。表示制御手段は、同一または類似した特徴ないし概念を有する注目対象を含む複数の帯状コンテンツのそれぞれを、複数のレーンの各々で移動表示させる。移動制御手段は、画面に設定された基準位置で、移動表示される複数の帯状コンテンツに含まれる注目対象が揃うように、当該複数の帯状コンテンツの移動を制御する。
【0011】
第1の発明によれば、各帯状コンテンツに含まれる同一または類似した特徴ないし概念を有する注目対象が基準位置で揃うように移動を制御するので、着目する帯状コンテンツの全体を把握しながら、全帯状コンテンツについて同一または類似の注目対象の内容を知ることができる。つまり、多数の情報から或る情報を直感的に把握するのに優れている。
【0012】
第2の発明は、第1の発明に従属し、移動制御手段は、注目対象と基準位置との距離に比例する加速度に基づいて当該注目対象を含む帯状コンテンツの移動速度を算出する速度算出手段を含む。
【0013】
第2の発明では、移動制御手段は、速度算出手段(S7、S21)を含む。速度算出手段は、注目対象と基準位置との距離に比例する加速度に基づいて当該注目対象を含む帯状コンテンツの移動速度を算出する。したがって、距離が異なる帯状コンテンツの移動速度が調整され、各帯状コンテンツの注目対象が基準位置で揃うように当該各帯状コンテンツの移動が制御される。
【0014】
第2の発明によれば、注目対象と基準位置との距離に応じて加速度を変化させるだけなので、帯状コンテンツの移動を簡単に制御することができる。
【0015】
第3の発明は、第1または第2の発明に従属し、基準位置の手前に減速領域が設けられ、移動制御手段は、少なくとも注目対象が減速領域に入ったとき、当該注目対象を含む帯状コンテンツを減速させる。
【0016】
第3の発明では、基準位置の手前に減速領域(120)が設けられる。したがって、移動制御手段は、少なくとも注目対象が減速領域に入ったとき、当該注目対象を含む帯状コンテンツを減速させる(S17)。
【0017】
第3の発明によれば、基準位置の手前で注目対象を含む帯状コンテンツの移動速度を減速させるので、注目対象を見易くすることができる。
【0018】
第4の発明は、第1ないし第3の発明のいずれかに従属し、表示制御手段は、注目対象を、当該注目対象を含む帯状コンテンツにおける他の部分と異なる態様で表示する。
【0019】
第4の発明では、表示制御手段は、注目対象を、当該注目対象を含む帯状コンテンツにおける他の部分と異なる態様で表示する。たとえば、外観(形)、色、装飾、見た目の変化の少なくとも1つの要素によって、他の部分(要素)と表示態様を異ならせる。
【0020】
第4の発明によれば、注目対象を他の部分と異なる態様で表示するので、注目対象を容易に識別することができる。
【0021】
第5の発明は、縦方向または横方向に複数のレーンが形成された画面を有する表示装置を備えるコンテンツ提示装置のコンテンツ提示プログラムであって、コンテンツ提示装置のプロセッサに、同一または類似する特徴ないし概念を有する注目対象を含む複数の帯状コンテンツのそれぞれを、複数のレーンの各々で移動表示させる表示制御ステップ、および画面に設定された基準位置で、移動表示される複数の帯状コンテンツに含まれる注目対象が揃うように、当該複数の帯状コンテンツの移動を制御する移動制御ステップを実行させる。
【0022】
第6の発明は、縦方向または横方向に複数のレーンが形成された画面を有する表示装置を備えるコンテンツ提示装置のコンテンツ提示方法であって、コンテンツ提示装置のプロセッサは、(a)同一または類似する特徴ないし概念を有する注目対象を含む複数の帯状コンテンツのそれぞれを、複数のレーンの各々で移動表示させ、そして(b)画面に設定された基準位置で、移動表示される複数の帯状コンテンツに含まれる注目対象が揃うように、当該複数の帯状コンテンツの移動を制御する、コンテンツ提示方法である。
【0023】
第5または第6の発明においても、第1の発明と同様に、多数の情報から或る情報を直感的に把握するのに優れている。
【発明の効果】
【0024】
この発明によれば、各帯状コンテンツに含まれる同一または類似する特徴ないし概念を有する注目対象が基準位置で揃うように移動を制御するので、着目する帯状コンテンツの全体を把握しながら、全帯状コンテンツについて同一または類似する特徴ないし概念を有する注目対象の内容を知ることができる。つまり、多数の情報から或る情報を直感的に把握するのに優れている。
【0025】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1はこの発明の一実施例のコンテンツ提示装置の電気的な構成を示す図解図である。
【図2】図2は図1に示す表示装置の第1の表示例を示す図解図である。
【図3】図3は図1に示す表示装置の第2の表示例であって、図2に示す第1の表示例よりも時間的に後の状態を示す図解図である。
【図4】図4は図1に示す表示装置の第3の表示例であって、図3に示す第2の表示例よりも時間的に後の状態を示す図解図である。
【図5】図5は図1に示す表示装置の第4の表示例であって、図4に示す第3の表示例よりも時間的に後の状態を示す図解図である。
【図6】図6は帯状コンテンツがビデオメモリ上で開始位置に描画された状態を説明するための図解図である。
【図7】図7は帯状コンテンツの移動制御において基準位置に向けて移動させる場合の加速度および速度の算出を説明するための図解図である。
【図8】図8は帯状コンテンツの移動制御において減速する方法を説明するための図解図である。
【図9】図9は帯状コンテンツの移動制御において画面外に退出させる場合の加速度および速度の算出を説明するための図解図である。
【図10】図10は図1に示すRAMのメモリマップの一例を示す図解図である。
【図11】図11は図1に示すCPUのコンテンツ制御処理の一部を示すフロー図である。
【図12】図12は図1に示すCPUのコンテンツ制御処理の他の一部であって、図11に後続するフロー図である。
【図13】図13は他の実施例のRAMのメモリマップを示す図解図である。
【図14】図14は他の実施例のコンテンツ制御処理の一部を示すフロー図である。
【図15】図15は他の実施例のコンテンツ制御処理の他の一部を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1を参照して、この実施例のコンテンツ提示装置10は汎用のコンピュータ12を含み、コンピュータ12には表示装置14が接続される。コンピュータ12は、CPU20を含み、このCPU20はバス22を介してHDD24、RAM26、通信回路28および表示ドライバ30に接続される。上述した表示装置14は表示ドライバ30に接続される。
【0028】
CPU20は、コンテンツ制御装置10の全体制御を司る。HDD24は、主として、この実施例のコンテンツ提示プログラムおよび複数のコンテンツに対応するデータ(コンテンツデータ)を記憶する。RAM26は、CPU20のバッファ領域ないし作業領域として用いられる。通信回路28は、インターネットやLANのようなネットワークを介して他のコンピュータと通信するための回路である。表示ドライバ30は、CPU20の指示の下、表示装置14の表示制御を実行する。また、表示ドライバ30は、ビデオメモリ30aを内蔵している。表示装置14は、典型的にはLCDであり、この実施例では比較的画面サイズの大きいものが用いられる。
【0029】
たとえば、コンテンツ提示装置10は、デジタルサイネージやスクリーンセーバとして利用され、少なくとも表示装置14は、ショッピングモール、スーパーマーケット、百貨店、銀行、映画館、ホテル、病院、空港、駅または美術館などの建物の外壁や内壁または通路に配置される。つまり、表示装置14(コンテンツ提示装置10)は多数の人間が集まるような場所に適用される。
【0030】
図示は省略するが、表示装置14は、複数のレーン(この実施例では、列)が形成された画面を有し、各レーンにおいて、文字列(分節、文章)が表示装置14の下方から上方に移動表示される。文字列は、一列の縦書きで表示され、帯状のコンテンツ(帯状コンテンツ)として扱われる。この実施例では、文字列は、Twitterのコメント(Tweet)である。
【0031】
この実施例では、或る期間(たとえば、一週間)におけるTwitterの一部のコメントのデータ(Tweetのストリームデータ)が読み出され、読み出されたコメントのうち、最も数の多いキーワード(以下、「メインキーワード」という。)を有しているコメント(文字列)のみが抽出される。つまり、メインキーワードを含む複数のコメントについてのデータが、HDD24に記憶される。
【0032】
この実施例では、キーワードは、名詞であり、各コメントを形態素解析することにより抽出される。ただし、キーワードは、他の品詞(たとえば、形容詞、副詞または動詞)であってもよい。また、この実施例では、メインキーワードは、同一のキーワードであるが、意味が類似するキーワードを含めるようにしてもよい。このことは、後述するサブキーワードについても同じである。
【0033】
また、この実施例では、メインキーワードを含む複数のコメントにおいて、所定数(たとえば、全コメントの80%に相当する数)以上のコメントに含まれるキーワード(以下、「サブキーワード」という。)も検出される。詳細な説明は省略するが、HDD24に記憶されたコメントすなわち帯状コンテンツのデータとともに、メインキーワードおよびサブキーワードの情報についても記憶されている。
【0034】
このような処理は事前に実行され、HDD24に帯状コンテンツのデータが記憶される。簡単のため、HDD24には、1つのメインキーワードについての帯状コンテンツのデータが記憶されて、提示されるものとする。ただし、異なる複数のメインキーワードのそれぞれについての帯状コンテンツのデータを記憶しておき、同一のメインキーワードの帯状コンテンツのまとまり毎に、順次またはランダムに提示するようにしてもよい。かかる場合には、テーマ(メインキーワード)毎にコンテンツが提示される。
【0035】
具体的な帯状コンテンツの表示(提示)例が図2−図5に示される。ここで、この実施例の帯状コンテンツは、或る注目対象を含む。注目対象とは、帯状コンテンツを構成する要素のうちの特定の要素であり、他の帯状コンテンツとの間で同一または類似する特徴ないし概念を有する要素を意味する。この実施例では、注目対象はメインキーワードまたはサブキーワードである。
【0036】
図2−図5では、表示装置14の画面が時間の経過に従って変化する様子が示される。簡単に説明すると、図2に示す画面では、各レーンの帯状コンテンツは加速しながら上方に移動される。図3に示す画面では、当該画面のほぼ上下半分の位置に設定されている基準位置Qの手前に設定される減速領域120(図8参照)に注目位置(この実施例では、メインキーワードの先頭位置)P(図7および図8参照)が到達した帯状コンテンツから順に減速される。ただし、減速領域120にメインキーワードの先頭位置Pが到達していない帯状コンテンツは依然として加速しながら上方に移動される。そして、図4に示す画面では、メインキーワードが基準位置Qで揃うように表示される。その後、図5に示す画面では、各レーンの帯状コンテンツが加速しながらさらに上方に移動し、画面外に移動(退出)される。
【0037】
このように、帯状コンテンツを移動表示するのは、表示装置14の画面を見る人間が、画面の変化を直感的に理解することができ、視線を動かさなくても、コメントを先頭から末尾まで読むことができるためである。つまり、帯状コンテンツの全体を容易に把握することができる。
【0038】
また、メインキーワードの文字ないし文字列は幅を有するため、この実施例では、帯状コンテンツの移動を制御するための注目位置を、注目対象であるメインキーワードの先頭位置Pに設定しているが、これに限定される必要はない。メインキーワードが有する幅(長さ)の中心(中央)を注目位置に設定してもよい。または、注目位置に代えて、メインキーワードの全体を注目範囲(注目領域)として設定してもよい。
【0039】
また、図2−図5に示す例では、メインキーワードは「長野」であり、太字で示してある。また、サブキーワードは「地震」であり、斜体で示してある。このように、この実施例では、メインキーワードやサブキーワードは、字の太さや字体の違いによって他の語と識別可能に表示してあるが、これに限定される必要はない。たとえば、メインキーワードを赤色で示し、サブキーワードを黄色で示し、他の語を黒色で示すようにしてもよい。また、メインキーワードやサブキーワードに異なる色のマーカを付してもよい。または、メインキーワードやサブキーワードを他の語よりも大きいサイズで表示したり、場合によっては、メインキーワードを点滅表示したりしてもよい。これらは一例であり、限定されるべきではなく、また、これらのうちの2つ以上が複合的に適用されてもよい。つまり、外観(形)、色、装飾、見た目の変化の少なくとも1つの要素によって、他の語と表示態様を異ならせることにより、メインキーワードやサブキーワードを、他の語と容易に識別できるのである。
【0040】
さらに、図2−図5では、簡単のため、サブキーワードを1つだけ示してあるが、上述したように、サブキーワードは複数の場合もある。したがって、異なるサブキーワード間においても識別可能に表示してもよい。
【0041】
なお、図2−図5では、27個のレーンを設けてあるが、レーンの数はさらに多くても少なくてもよい。表示装置14の大きさによって適宜設定される。
【0042】
この実施例では、各レーンで、帯状コンテンツの移動制御が行われる。これは、図4に示したように、メインキーワードが基準位置Qで揃うように各帯状コンテンツを表示するためであり、各帯状コンテンツでは、メインキーワードの位置が異なる場合がある。ただし、メインキーワードの位置とは、たとえば、当該メインキーワードを含む帯状コンテンツの先頭から当該メインキーワードの先頭位置Pまでの距離を意味する。
【0043】
以下、帯状コンテンツの配置および移動制御について説明することにする。以下、各帯状コンテンツを区別する必要がない場合には、参照符号「C」を用いて説明することにするが、各帯状コンテンツを区別する必要がある場合には、個別の参照符号を用いて説明することにする。
【0044】
たとえば、図6に示すように、ビデオメモリ30aの全領域100は、表示装置14の全表示領域110を含む。ビデオメモリ30aの全領域100は、2次元座標系で位置(アドレス)が管理される。図6における横方向が2次元座標系のX軸であり、縦方向が2次元座標系のY軸である。また、図6の右方向がX軸の正方向であり、上方向がY軸の正方向である。さらに、全領域100の左下の頂点が原点Oである。さらにまた、図6に示すように、図2−図5に示した基準位置Qは、全表示領域110を上下半分に分割した位置に相当する位置に設定される。
【0045】
図6に示すように、表示が開始されるときには、各レーンの帯状コンテンツC1、C2、C3、C4、C5、…は、それぞれの先頭が全表示領域110の下端110bに位置するように配置(描画)される。ただし、下端110bは、表示装置14の画面の下端に相当し、以下では「開始位置」と呼ぶことがある。同様に、図6に示す上端110aは、表示装置14の画面の上端に相当し、以下では「退出位置」と呼ぶことがある。
【0046】
次に、帯状コンテンツCの移動制御について説明する。図7に示すように、一部の帯状コンテンツC1、C2、C3、C4、C5に着目すると、上述したように、それぞれのメインキーワードの位置が異なる場合がある。ただし、図7は、帯状コンテンツC1、C2、C3、C4、C5が基準位置に向けて移動されている場合の或るタイミングにおける位置関係を示してある。また、図7では、帯状コンテンツC1、C2、C3、C4、C5に含まれるメインキーワードの先頭位置Pは、それぞれ、P1、P2、P3、P4、P5で示してある。したがって、基準位置Qとメインキーワードの先頭位置Pとの距離h(ここでは、h1、h2、h3、h4、h5)も異なる場合がある。
【0047】
上述したように、この実施例では、基準位置Qで各帯状コンテンツCのメインキーワードが揃うように、各帯状コンテンツCを移動させる。このため、帯状コンテンツC1、C2、C3、C4、C5を移動させる際の速度v(ここでは、v1、v2、v3、v4、v5)を算出する場合において、上記距離hに応じて帯状コンテンツC1、C2、C3、C4、C5の加速度a(ここでは、a1、a2、a3、a4、a5)を変化させるようにしてある。
【0048】
この実施例では、加速度aはばねモデルに従って算出される。ただし、メインキーワードの先頭位置Pから基準位置Qまでの距離hに比例した加速度aまたは速度vを予め決定しておいてもよい。図7の下方に示すように、距離hの大小関係はh3>h4>h1>h2=h5であり、したがって、加速度aの大小関係はa3>a4>a1>a2=a5となる。
【0049】
具体的には、帯状コンテンツCの移動速度vは、オイラー法による数値解法に基づいて、数1に従って算出されるが、ルンゲ・クッタ法などの他の数値解法を用いるようにしてもよい。ただし、v0は初速度であり、初回はデフォルト値が設定され、移動制御によって速度vが算出される度に、初速度v0は当該速度vで更新される。なお、Δtは前回の計算時点からの経過時間である。また、加速度aは、数2に従って、ばね定数kと距離の変数xの積で決定される。ばね定数kは、コンテンツ提示装置10の開発者ないしプログラマが実験等によって経験的に得た数値である。また、帯状コンテンツCの質量の成分は「1」として、数2では省略してある。ただし、帯状コンテンツCの先頭位置Pが基準位置Qに到達するまでは、数2の変数xに、上記の距離hが代入される。
【0050】
[数1]
v=v0+a×Δt
[数2]
a=−kx
このように帯状コンテンツC1、C2、C3、C4、C5の速度v1、v2、v3、v4、v5がそれぞれ算出され、表示装置14の画面が更新される時間(1フレーム=1/30秒)における移動距離がさらに算出される。したがって、ビデオメモリ30aでは、次のフレームにおいて、算出された移動距離だけ上方に移動した位置に、帯状コンテンツC1、C2、C3、C4、C5が描画される。このような処理が繰り返され、各帯状コンテンツC1、C2、C3、C4、C5は、図2−図5に示したように、上方に移動される。
【0051】
また、図6では省略したが、図8に示すように、基準位置Qの手前には、減速領域120が設けられる。この実施例では、減速領域120は、Y軸方向において上端120aと下端120bとで規定される所定幅を有し、その上端120aは基準位置Qと重なる。なお、図8では、簡単のため、2つの帯状コンテンツC1、C2のみを示してある。
【0052】
この実施例では、各帯状コンテンツCの先頭位置Pがこの減速領域120に到達すると、算出した加速度aに減速成分a1が加えられる。ただし、この実施例では、帯状コンテンツCは、画面の下端(下端110b)から上端(上端110a)に向けて移動するため、減速領域120の下端120bのY座標と帯状コンテンツCに含まれるメインキーワードの先頭位置PのY座標との大小関係で、減速領域120に到達したかどうかが判断される。
【0053】
たとえば、減速成分a1は、空気抵抗と同様に、速度vに比例する大きさで決定される。したがって、この実施例では、減速領域120では、数3で示す減速成分a1が数2に従って算出された加速度aから減算される。ただし、fは比例係数(f>0)である。
【0054】
[数3]
a1=fv
ただし、この減速成分a1は、帯状コンテンツCの移動開始のときから加味され、減速領域120に入ったときに、比例係数fを大きくするようにしてもよい。
【0055】
また、帯状コンテンツCに含まれるメインキーワードの先頭位置Pが基準位置Qに到達すると、その後は、図9に示すように、上端110a(退出位置)と帯状コンテンツCの後端との距離d(d1,d2,d3,d4,d5)に応じて加速度aが算出される。具体的には、数2の変数xに距離dが代入され、加速度aが算出される。この実施例では、多数の帯状コンテンツCを複数回に分けて表示するため、各レーンでは、現在表示されている帯状コンテンツCが画面外に出た(退出された)後に、次の帯状コンテンツCが配置される。したがって、2番目以降の各レーンの帯状コンテンツCについても、基準位置Qで揃うように表示させる必要がある。このため、各レーンで帯状コンテンツCが画面の外に出るタイミングが揃えられるのである。
【0056】
図10は図1に示したRAM26のメモリマップの一例を示す。図10に示すように、RAM26はプログラム記憶領域50およびデータ記憶領域52を含む。プログラム記憶領域50には、コンテンツ提示プログラムが記憶され、このコンテンツ提示プログラムは、画像生成プログラム50a、画像表示プログラム50bおよびコンテンツ制御プログラム50cなどで構成される。
【0057】
画像生成プログラム50aは、表示装置14に複数の帯状コンテンツCを表示するための表示画像データを生成するためのプログラムである。また、画像生成プログラム50aは、後述するコンテンツ制御プログラム50cに従って移動を制御される各帯状コンテンツCの表示位置を変化させるためのプログラムでもある。つまり、表示画像データが更新される。画像表示プログラム50bは、画像生成プログラム50aに従って生成された表示画像データを表示装置14に出力するためのプログラムである。コンテンツ制御プログラム50cは、ビデオメモリ30aに設けられた全表示領域110の下端110b(開始位置)に帯状コンテンツCを配置(描画)したり、帯状コンテンツCの移動を制御したりするためのプログラムである。
【0058】
図示は省略するが、プログラム記憶領域50には、コンテンツ提示処理に必要な他のプログラムも記憶される。
【0059】
データ記憶領域52には、コンテンツデータ52aが記憶される。コンテンツデータ52aは、複数の帯状コンテンツCについてのデータである。この実施例では、複数の帯状コンテンツCは、同じメインキーワードを含む。
【0060】
図示は省略するが、データ記憶領域52には、コンテンツ提示処理に必要な他のデータが記憶されたり、コンテンツ提示処理に必要なカウンタ(タイマ)やフラグが設けられたりする。
【0061】
図11および図12は図1に示したCPU20のコンテンツ提示処理を示すフロー図である。ただし、図11および図12に示すコンテンツ提示処理は、レーン毎に実行される。ここでは、或るレーン(当該レーン)についてのコンテンツ提示処理のみについて説明するが、他のレーンについても同様である。つまり、レーン毎のコンテンツ提示処理がマルチタスクで同時に実行されるのである。
【0062】
図11に示すように、CPU20は、当該レーンのコンテンツ提示処理を開始すると、ステップS1で、コンテンツを開始位置に配置する。つまり、帯状コンテンツCが、当該レーンにおいて、その先頭位置がビデオメモリ30a内に設けられる全表示領域110の下端110bの位置に一致するように配置(描画)される(図6参照)。
【0063】
次のステップS3では、コンテンツを初速度v0で移動させる。ただし、初回では、初速度v0にはデフォルト値が設定される。次のステップS5では、加速度aを数2に従って算出する。このとき、帯状コンテンツCに含まれるメインキーワードの先頭位置Pと基準位置Qとの距離hが算出(検出)され、変数xに代入される。続くステップS7では、速度vを数1に従って算出する。そして、ステップS9で、コンテンツを移動させる。ここでは、CPU20は、オイラー法による数値解法に基づいて、ステップS7で算出した速度vに画面の更新単位時間(1フレーム)を掛けて得られた移動距離だけ、帯状コンテンツCを上方に移動させる。以下、ステップS21およびS31においても同様である。ただし、これは単なる例示であり、速度vの算出方法と同様に、移動距離の算出方法(数値解法)は限定されるべきでない。
【0064】
そして、ステップS11では、帯状コンテンツCのメインキーワードの先頭位置Pが減速領域120に入ったかどうかを判断する。ステップS11で“NO”であれば、つまり先頭位置Pが減速領域120に到達していなければ、ステップS13で、初速度v0を更新して(v0=v)、ステップS5に戻る。
【0065】
一方、ステップS11で“YES”であれば、つまり先頭位置Pが減速領域120に入れば、ステップS15で、加速度aを数2に従って算出し、ステップS17で、減速成分a1を数3に従って算出し、ステップS19で、減速成分a1で加速度aを更新する(a=a−a1)。そして、ステップS21で、速度vを数1に従って算出する。続いて、ステップS23で、帯状コンテンツCを減速された速度vで移動させる。
【0066】
図12に示すように、次のステップS25では、当該レーンのコンテンツが基準位置Qに到達したかどうかを判断する。つまり、CPU20は、基準位置QのY座標と当該レーンを移動する帯状コンテンツCに含まれるメインキーワードの先頭位置PのY座標とが一致するかどうかを判断する。ステップS25で“NO”であれば、つまり基準位置Qに到達していなければ、ステップS27で、初速度v0を更新して(v0=v)、図11に示したステップS15に戻る。一方、ステップS25で“YES”であれば、つまり基準位置Qに到達すると、ステップS29で、加速度aを数2に従って算出する。このとき、全表示領域110の上端110a(退出位置)と帯状コンテンツCの後端との距離dが算出(検出)され、変数xに代入される。ただし、ステップS25においては、先頭位置PのY座標が基準位置QのY座標よりも大きい場合にも、基準位置Qに到達していると判断される。
【0067】
続いて、ステップS31で速度vを数1に従って算出し、ステップS33で、帯状コンテンツCを上方に移動する。つまり、帯状コンテンツCは減速されずに上方に移動される。続くステップS35では、帯状コンテンツCが画面外に退出したかどうかを判断する。ここでは、CPU20は、帯状コンテンツCの後端のY座標が全表示領域110の上端110a(退出位置)のY座標以上になったかどうかを判断する。
【0068】
ステップS35で“NO”であれば、つまり帯状コンテンツCが画面外に退出していなければ、ステップS37で、初速度v0を更新して(v0=v)、ステップS29に戻る。一方、ステップS35で“YES”であれば、つまり帯状コンテンツCが画面外に退出すれば、ステップS39で、次のコンテンツがあるかどうかを判断する。
【0069】
ステップS39で“YES”であれば、つまり次のコンテンツがあれば、ステップS41で、次のコンテンツを開始位置に配置して、図11に示したステップS3に戻る。一方、ステップS39で“NO”であれば、つまり次のコンテンツがなければ、当該レーンのコンテンツ提示処理を終了する。
【0070】
この実施例によれば、帯状コンテンツを各レーンで移動表示し、画面上の基準位置で各帯状コンテンツに含まれる同一または類似する特徴ないし概念を有するメインキーワードが揃うように移動制御するので、着目する帯状コンテンツの全体を把握しながら、全帯状コンテンツについて同一または類似する特徴ないし概念を有するメインキーワードを知ることができる。つまり、多数の情報から或る情報を直感的に把握するのに優れている。
【0071】
なお、この実施例では、TwitterのTweetのストリームデータを読み出して、そのコメント(テキスト文)をコンテンツとして提示するようにしたが、コメントは他のテキストを用いることができ、たとえば、複数の本(電子書籍)やブログからテキスト群を取得するようにしてもよい。
【0072】
また、この実施例では、コメントを帯状コンテンツとして提示するようにしたが、これに限定される必要はない。コンテンツは、同一または類似する特徴ないし概念を有する注目対象を含み、帯状で表せる、他のコンテンツであってもよい。たとえば、他のコンテンツとしては、フィルム状に並べた動画(連続する複数コマの静止画像)、楽譜、時系列に従って変化するグラフ(音の波形、株価の変化など)が該当する。動画の場合には、たとえば、注目対象は、或る人物または或る人物の登場箇所(シーン)である。また、楽譜の場合には、たとえば、注目対象は、或る同一のまたは類似するコード進行の発生箇所である。さらに、時系列に従って変化するグラフの場合には、注目対象は或る同様の変化(急激に上昇または下降)を示す箇所である。
【0073】
さらに、この実施例では、帯状コンテンツを上向きに移動させたが、移動方向は他の方向であってもよい。たとえば、横書きの文字列、画像、楽譜、グラフでは、左方向または右方向に移動させてもよい。また、たとえば、画像では、下方向に移動させてもよい。つまり、帯状コンテンツの移動方向は、当該帯状コンテンツに応じて適宜設定されるべきである。たとえば、左方向または右方向に移動される場合には、表示装置の画面を左右に分割する任意の位置に基準位置が設定される。また、基準位置から開始位置側に減速領域が設定される。加速度、速度、減速成分の算出方法は、上述の実施例で示した内容と同様である。
【0074】
さらにまた、この実施例では、各レーンでは、帯状コンテンツが退出されると、次の帯状コンテンツを配置するようにしてあるため、2番目以降では、各レーンで帯状コンテンツが配置されるタイミングにずれが生じることになる。このため、この実施例では、帯状コンテンツを移動させる度に、加速度および速度を算出し直して、各番目の帯状コンテンツのメインキーワードが基準位置で揃うようにしてある。したがって、各番目の帯状コンテンツの長さを各レーンでほぼ同じ長さになるように、予め帯状コンテンツを各レーンに割り振りしておけば、各番目において各レーンに帯状コンテンツが配置されるタイミングを或る程度揃えることができるため、かかる場合には、加速度を初回のみ算出するようにすることもできる。また、各番目の帯状コンテンツの移動を開始させるタイミングを調整し、距離h(h1、h2、h3、h4、h5)を等距離にした場合にも、加速度を初回のみ算出するようにすることができる。
【0075】
さらに、この実施例では、デジタルサイネージやスクリーンセーバのような受動的な配信コンテンツとしてだけではなく、ユーザの目的に応じたインタラクションも可能である。たとえば、表示装置の画面上にタッチパネルを設けておき、当該タッチパネル上でタップすることにより、全コンテンツ(またはタップされたコンテンツのみ)の動きを静止させたり、タッチパネル上でフリックすることにより、全コンテンツ(またはフリックされたコンテンツのみ)の移動を加速または減速させたりすることができる。ただし、コンテンツの移動方向とフリックの方向とが一致する場合に、コンテンツの移動が加速される。一方、コンテンツの移動方向とフリックの方向とが逆である場合に、コンテンツの移動が減速される。
【0076】
さらにまた、この実施例では、帯状コンテンツは、移動を開始されると、加速または減速されるようにしたが、さらに、基準位置において所定時間(最大で数秒程度)静止させるようにしてもよい。かかる場合には、ステップS25で、先頭位置Pが基準位置Qに到達したことが判断されると、帯状コンテンツを所定時間停止させた後に、デフォルトの初速度v0で移動を開始(再開)させ、ステップS29以降の処理を実行するようにすればよい。
【0077】
他の実施例のコンテンツ提示装置10では、全レーンの帯状コンテンツCを一斉に移動開始させるとともに、全レーンの帯状コンテンツCに含まれるメインキーワード(先頭位置P)が基準位置Qで揃った後に、基準位置Qから上方に一斉に移動開始(再開)されるようにした以外は、上述の実施例と同じであるため、重複した説明は省略する。
【0078】
図13に示すように、この他の実施例では、データ記憶領域52に、開始位置フラグ52bと基準位置フラグ52cとが設けられる。開始位置フラグ52bは、各レーンの開始位置に帯状コンテンツCが配置されているかどうかを判別するためのフラグである。図示は省略するが、開始位置フラグ52bは、レーンの総数と同じビット数のレジスタで構成される。各ビットは、各レーンに対応している。対応するレーンの開始位置に帯状コンテンツCが配置されると、当該レーンについての開始位置フラグがオンされ、レジスタにデータ値「1」が設定される。一方、対応するレーンの開始位置に帯状コンテンツCが配置されていない場合には、当該レーンについての開始位置フラグがオフされ、レジスタにデータ値「0」が設定される。したがって、すべてのレジスタにデータ値「1」が設定されている場合に、全レーンの開始位置に帯状コンテンツCが配置されていることが分かる。
【0079】
同様に、基準位置フラグ52cは、レーンの総数と同じビット数のレジスタで構成される。各ビットは、各レーンに対応している。対応するレーンの基準位置Qに帯状コンテンツCに含まれるメインキーワードの先頭位置Pが到達すると、当該レーンについての基準位置フラグがオンされ、レジスタにデータ値「1」が設定される。一方、対応するレーンの基準位置Qに帯状コンテンツCに含まれるメインキーワードの先頭位置Pが到達していない場合または基準位置Qから画面の上端に向けて帯状コンテンツCの移動が再開された場合には、当該レーンについての基準位置フラグがオフされ、レジスタにデータ値「0」が設定される。したがって、基準位置フラグ52cを構成するすべてのレジスタにデータ値「1」が設定されている場合に、基準位置Qで全レーンの帯状コンテンツCに含まれるメインキーワードが揃っていることが分かる。
【0080】
具体的なCPU20の処理について説明するが、図11および図12を用いて説明した上述の実施例のコンテンツ提示処理と一部が異なるだけであるため、異なる部分について図示および詳細に説明することにする。
【0081】
図14に示すように、ステップS1で、コンテンツを開始位置に配置すると、ステップS51で、当該レーンについての開始位置フラグをオンする。次のステップS53では、全レーンの開始位置フラグがオンであるかどうかを判断する。つまり、CPU20は、開始位置フラグ52bを構成するレジスタの全ビットにデータ値「1」が設定されているかどうかを判断する。
【0082】
ただし、表示する帯状コンテンツCの数がレーン総数よりも少なく、一部のレーンを使用する場合には、ステップS53では、当該一部のレーンの全てについての開始位置フラグがオンであるかどうかを判断する。このことは、後述する基準位置フラグについても同じである。
【0083】
ステップS53で“NO”であれば、つまりいずれか1つのビットでもデータ値「0」が設定されていれば、同じステップS53に戻る。一方、ステップS53で“YES”であれば、つまり全ビットにデータ値「1」が設定されていれば、ステップS55で、当該レーンの開始位置フラグをオフして、ステップS3に進み、上述したように、コンテンツを初速度で移動する。
【0084】
また、図15に示すように、ステップS25で、当該レーンのコンテンツが基準位置Qに到達したかどうかを判断し、“YES”であれば、ステップS61で、コンテンツの移動を停止させる。次のステップS63では、当該レーンの基準位置フラグをオンする。そして、ステップS65で、全レーンの基準位置フラグがオンであるかどうかを判断する。つまり、CPU20は、基準位置フラグ52cを構成するレジスタの全ビットにデータ値「1」が設定されているかどうかを判断する。
【0085】
ステップS65で“NO”であれば、つまりいずれか1つのビットでもデータ値「0」が設定されている場合には、そのままステップS65に戻る。一方、ステップS65で“YES”であれば、つまり全ビットにデータ値「1」が設定されている場合には、ステップS67で、当該レーンの基準位置フラグをオフして、ステップS29に進む。
【0086】
他の実施例によれば、帯状コンテンツの開始位置での移動開始を全レーンで揃え、また、基準位置でメインキーワードを全レーンで揃えるとともに、基準位置からの移動開始も全レーンで揃えるので、上述の実施例と同様に、キーワードを中心とした情報の直感的な把握に優れている。
【0087】
なお、この他の実施例では、帯状コンテンツの開始位置での移動開始を全レーンで揃えるのみならず、基準位置でメインキーワードを全レーンで揃えるとともに、基準位置からの移動開始も全レーンで揃えるようにしてあるが、いずれか一方のみが実行されてもよい。
【符号の説明】
【0088】
10 …コンテンツ提示装置
12 …コンピュータ
14 …表示装置
16 …タッチパネル
20 …CPU
24 …HDD
26 …RAM
28 …通信回路
30 …表示ドライバ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦方向または横方向に複数のレーンが形成された画面を有する表示装置、
同一または類似した特徴ないし概念を有する注目対象を含む複数の帯状コンテンツのそれぞれを、前記複数のレーンの各々で移動表示させる表示制御手段、および
前記画面に設定された基準位置で、移動表示される前記複数の帯状コンテンツに含まれる注目対象が揃うように、当該複数の帯状コンテンツの移動を制御する移動制御手段を備える、コンテンツ提示装置。
【請求項2】
前記移動制御手段は、前記注目対象と前記基準位置との距離に比例する加速度に基づいて当該注目対象を含む帯状コンテンツの移動速度を算出する速度算出手段を含む、請求項1記載のコンテンツ提示装置。
【請求項3】
前記基準位置の手前に減速領域が設けられ、
前記移動制御手段は、少なくとも前記注目対象が前記減速領域に入ったとき、当該注目対象を含む帯状コンテンツを減速させる、請求項1または2記載のコンテンツ提示装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記注目対象を、当該注目対象を含む帯状コンテンツにおける他の部分と異なる態様で表示する、請求項1ないし3のいずれかに記載のコンテンツ提示装置。
【請求項5】
縦方向または横方向に複数のレーンが形成された画面を有する表示装置を備えるコンテンツ提示装置のコンテンツ提示プログラムであって、
前記コンテンツ提示装置のプロセッサに、
同一または類似した特徴ないし概念を有する注目対象を含む複数の帯状コンテンツのそれぞれを、前記複数のレーンの各々で移動表示させる表示制御ステップ、および
前記画面に設定された基準位置で、移動表示される前記複数の帯状コンテンツに含まれる注目対象が揃うように、当該複数の帯状コンテンツの移動を制御する移動制御ステップを実行させる、コンテンツ提示プログラム。
【請求項6】
縦方向または横方向に複数のレーンが形成された画面を有する表示装置を備えるコンテンツ提示装置のコンテンツ提示方法であって、
前記コンテンツ提示装置のプロセッサは、
(a)同一または類似した特徴ないし概念を有する注目対象を含む複数の帯状コンテンツのそれぞれを、前記複数のレーンの各々で移動表示させ、そして
(b)前記画面に設定された基準位置で、移動表示される前記複数の帯状コンテンツに含まれる注目対象が揃うように、当該複数の帯状コンテンツの移動を制御する、コンテンツ提示方法。
【請求項1】
縦方向または横方向に複数のレーンが形成された画面を有する表示装置、
同一または類似した特徴ないし概念を有する注目対象を含む複数の帯状コンテンツのそれぞれを、前記複数のレーンの各々で移動表示させる表示制御手段、および
前記画面に設定された基準位置で、移動表示される前記複数の帯状コンテンツに含まれる注目対象が揃うように、当該複数の帯状コンテンツの移動を制御する移動制御手段を備える、コンテンツ提示装置。
【請求項2】
前記移動制御手段は、前記注目対象と前記基準位置との距離に比例する加速度に基づいて当該注目対象を含む帯状コンテンツの移動速度を算出する速度算出手段を含む、請求項1記載のコンテンツ提示装置。
【請求項3】
前記基準位置の手前に減速領域が設けられ、
前記移動制御手段は、少なくとも前記注目対象が前記減速領域に入ったとき、当該注目対象を含む帯状コンテンツを減速させる、請求項1または2記載のコンテンツ提示装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記注目対象を、当該注目対象を含む帯状コンテンツにおける他の部分と異なる態様で表示する、請求項1ないし3のいずれかに記載のコンテンツ提示装置。
【請求項5】
縦方向または横方向に複数のレーンが形成された画面を有する表示装置を備えるコンテンツ提示装置のコンテンツ提示プログラムであって、
前記コンテンツ提示装置のプロセッサに、
同一または類似した特徴ないし概念を有する注目対象を含む複数の帯状コンテンツのそれぞれを、前記複数のレーンの各々で移動表示させる表示制御ステップ、および
前記画面に設定された基準位置で、移動表示される前記複数の帯状コンテンツに含まれる注目対象が揃うように、当該複数の帯状コンテンツの移動を制御する移動制御ステップを実行させる、コンテンツ提示プログラム。
【請求項6】
縦方向または横方向に複数のレーンが形成された画面を有する表示装置を備えるコンテンツ提示装置のコンテンツ提示方法であって、
前記コンテンツ提示装置のプロセッサは、
(a)同一または類似した特徴ないし概念を有する注目対象を含む複数の帯状コンテンツのそれぞれを、前記複数のレーンの各々で移動表示させ、そして
(b)前記画面に設定された基準位置で、移動表示される前記複数の帯状コンテンツに含まれる注目対象が揃うように、当該複数の帯状コンテンツの移動を制御する、コンテンツ提示方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−45320(P2013−45320A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−183319(P2011−183319)
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(301022471)独立行政法人情報通信研究機構 (1,071)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(301022471)独立行政法人情報通信研究機構 (1,071)
【Fターム(参考)】
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