説明

コンデンサ付き回路

【課題】コンデンサが破壊されたり圧力弁が動作する前等に、コンデンサの機能を停止させること。
【解決手段】コンデンサ付き回路1,10は、電力を供給するための電源2に対して直列に接続されるヒューズ3と、陽極側および陰極側の端子14(14a,14b)を備えるコンデンサ7と、コンデンサ7と並列に接続されると共に、コンデンサ7の交換時期を検出してコンデンサ7の機能を停止させる短絡路を形成するスイッチ5と、を有するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンデンサ付き回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のコンデンサの中には、二つの電極箔(陰極箔と陽極箔)間に隔離部材となるセパレータを介在させたものを巻回することで得られるコンデンサ素子を、ケースに収納する構成のものが存在する。そのようなコンデンサでは、コンデンサ素子を構成する電解液がケース外に漏れないように、ケース内部の気密性を高めている。しかし、コンデンサを長期間使用等すると、内部の電解液が分解する等によりガスが生じ、ケースの内部が異常な高圧になり、コンデンサが破裂する場合がある。
【0003】
そこで、圧力弁として、ケース面に薄肉部を設ける場合がある。薄肉部分は、その他の部分よりも強度が低いため、ケース内部が一定圧力以上になると、先に破壊される。そのため、コンデンサが破裂する際の破裂の勢いを小さくすることができる(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平10−22180号公報(特許請求の範囲等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1記載のタイプのコンデンサでは、ケースの内部が異常な高圧になる前に、圧力弁が破壊され、その部分から、気化した電解液等を逃がすものである。しかしながら、このように圧力弁が作動した場合、電解液のミストが発生する。ユーザは、このミストを燃焼による煙と誤解し、発火として消防署等へ通報をしてしまう。
【0006】
そこで本発明では、コンデンサが破壊されたり圧力弁が作動する前に、コンデンサの機能を停止させることができるコンデンサ付き回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するため、本発明のコンデンサ付き回路の1側面は、電力を供給するための電源に対して直列に接続されるヒューズと、陽極側および陰極側の端子を備えるコンデンサと、コンデンサと並列に接続されると共に、コンデンサの交換時期を検出してコンデンサの機能を停止させる短絡路を形成するスイッチと、を有するものである。
【0008】
また、コンデンサは、コンデンサ素子と、コンデンサ素子を収納するための開口部を有するケースと、ケースの開口部を封口するための封口栓と、を備え、封口栓は、コンデンサの内部圧力が上昇することにより変形あるいは変位し、スイッチは、封口栓の変形あるいは変位により、短絡路を形成するのが好ましい。
【0009】
また、陽極側の端子あるいは陰極側の端子の少なくともいずれか一方から離間して配置される導電体を有し、封口栓が変形あるいは変位することで、導電体が陽極側の端子と、陰極側の端子とを電気的に接続し、スイッチの短絡路を形成するのが好ましい。
【0010】
また、コンデンサとスイッチとは、検出用コンデンサとして1の部品とされているのが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、コンデンサが破壊されたり圧力弁が動作する前等に、コンデンサの機能を停止させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明のコンデンサ付き回路の一実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態に係るコンデンサ付き回路1の構成を示す回路図である。
【0013】
コンデンサ付き回路1は、電源2、ヒューズ3、整流素子4、スイッチ5、動作部6およびコンデンサ7を有する。なお、スイッチ5とコンデンサ7をあわせてコンデンサ回路8という。
【0014】
本実施の形態において、電源2は、電力を供給する交流電源である。供給された交流電流は、整流素子4にて直流に変換される。なお、交流電源を用いずに、直流電源を用いてもよい。その場合には、整流素子4がなくてもよい。
【0015】
ヒューズ3は、定格電流以上の電流が流れると、回路を切断するデバイスである。また、ヒューズ3は、電源2に対して直列に接続されているため、ヒューズ3がオープンになると、動作部6およびコンデンサ7に流れる電流が、両方とも遮断される。ヒューズ3としては、たとえば、高温で可溶の材料から構成される金属細線を中空体内に張った構造の管形ヒューズ等を用いることができる。このようなヒューズ3は、電気回路内に置かれると、普段は金属細線が導体として振る舞う。しかし何らかの異常によって電気回路に許容電流を超える電流が流れた場合には、金属細線に大きなジュール熱が発生する。すると、そのジュール熱により金属細線が溶断される。これにより、回路全体が切断される。
【0016】
整流素子4は、交流電流を直流電流に変換する、いわゆるAC/DCコンバータとして機能する。整流素子4は、たとえば、ダイオードブリッジ回路から構成される。ダイオードブリッジ回路は、4つのダイオードをブリッジ接続したものである。そのため、ダイオードブリッジ回路に入力した交流電圧は、整流された直流電圧として出力される。電源2およびヒューズ3から構成される回路は、ダイオードブリッジ回路の入力側に接続される。一方、ダイオードブリッジ回路の出力側には、スイッチ5、動作部6およびコンデンサ7から主に構成される回路が接続されている。
【0017】
スイッチ5は、コンデンサ7に対して並列に接続される。また、スイッチ5は、コンデンサ7が正常に作動している間は、OFFの状態、すなわち、スイッチ5に電流が流れない状態である。一方、コンデンサ7の交換時期を検出すると、ONの状態、すなわち、スイッチ5を介して電流が流れるような側路となる短絡路を形成する。なお、スイッチ5のONあるいはOFFを切替えるためのトリガは、機械的な物であっても、電気的な信号であってもよい。
【0018】
動作部6は、電気エネルギーを消費する負荷であり、電源2によって動作する装置である。動作部6は、コンデンサ7およびスイッチ5に対して並列に接続されている。したがって、整流素子4を介して供給される直流電流は、コンデンサ7でより平滑化されて動作部6に供給されている。
【0019】
コンデンサ7は、動作部6に供給する電流を平滑化するために、動作部6に並列に接続されている。コンデンサ7としては、どのようなコンデンサを用いてもよいが、たとえば、安価かつ大容量のアルミ電解コンデンサ等を用いることができる。
【0020】
次に、第1の実施の形態に係るコンデンサ付き回路1の動作について説明する。
【0021】
電源2が、交流電源を供給すると、交流電流は、整流素子4にて直流電流に変換される。また、コンデンサ7が正常な状態である場合には、スイッチ5がOFFであるため、コンデンサ7で平滑化された直流電流が、動作部6に供給される。
【0022】
一方、コンデンサ7の異常や交換時期等を検出した場合には、スイッチ5がONになり、コンデンサ回路8が短絡する。したがって、スイッチ5がOFFである場合よりも大電流がヒューズ3に流れる。すると、ヒューズ3の金属細線に発生するジュール熱がその大電流により大きくなり、金属細線が溶断される。すなわち、回路全体がオープンになるため、コンデンサ7のみではなく、動作部6に流れる電流も遮断される。
【0023】
上述のようなコンデンサ付き回路1を用いると、コンデンサ7の異常または/および交換時期等を検出して、回路全体が切断される。すなわち、スイッチ5がONされる時期を圧力弁が作動する前とすることで、圧力弁が破裂に至るまでコンデンサ7を用い続けるということがなくなる。また、圧力弁が破裂しないので、装置全体に電解液が付着することがない。また、従来生じていた発火による発煙と誤解されることもないため、消防署への通報も少なくなる。また、コンデンサ付き回路1が切断されて復帰不可能な状態であるため、ユーザは、コンデンサ7の交換時期を明確に知ることができる。
【0024】
さらに、たとえば、ヒューズ3が切断され、コンデンサ付き回路1が動作しなくなった場合であって、かつ、ヒューズ3が切断されたかどうかがわかりにくいものである場合、何が原因で動作部6が動作しなくなったかがわかりにくい。このため、ヒューズ3内部の金属細線の有無を目視で確認できるヒューズ3を用いるのが好ましい。このようなヒューズ3を用いた場合には、コンデンサ7およびヒューズ3の交換時期がわかりやすいものとなる。そのようなヒューズ3としては、全光線透過率の高い材質で形成された中空体により金属細線が覆われているものが挙げられる。なぜなら、ユーザは、ヒューズ3内部の金属細線の有無を目視で確認することにより、コンデンサ7およびヒューズ3の交換時期を確認できるからである。
【0025】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態に係るコンデンサ付き回路10の構成について図2を参照しながら説明する。第2の実施の形態に係るコンデンサ付き回路10は、第1の実施の形態にかかるコンデンサ付き回路1と電気回路的には、同様である。しかし、第2の実施の形態では、第1の実施の形態におけるコンデンサ7とスイッチ5とが、検出用コンデンサ11として構成されている。そして、この検出用コンデンサ11には、正極11aと負極11bとが接続される。この結果、検出用コンデンサ11が、コンデンサ回路8を形成することとなる。以下の説明において、第1の実施の形態に係るコンデンサ付き回路1と同様の構成には、同じ番号を付すと共に、説明を省略する。
【0026】
図3は、第2の実施の形態における検出用コンデンサ11の一例を示す斜視図である。なお、検出用コンデンサ11の紙面における左右方向をそれぞれX1、X2方向とし、紙面奥側、手前側をそれぞれY1、Y2方向とし、上下方向をそれぞれZ1、Z2方向として、以下では説明する。
【0027】
第2の実施の形態に係る検出用コンデンサ11は、中心軸がZ方向に伸びる円柱型の電解コンデンサである。本実施の形態において、検出用コンデンサ11は、コンデンサ本体12と座板13とから主に構成されている。具体的には、円柱状のコンデンサ本体12の軸方向端部の一方を覆うように、座板13が配置されている。さらに、座板13のZ1方向の面からは、コンデンサ本体12の一部を形成する2本の端子14a,14bがZ1方向へ飛び出ている。
【0028】
図4は、図3の検出用コンデンサ11の分解斜視図である。また、図5は、コンデンサ本体12を図2のW−W線を含むXY平面に垂直な平面で切断した場合の断面図である。
【0029】
本実施の形態においてコンデンサ本体12は、図4に示すように、ケース21と、コンデンサ素子22と、封口栓23とから主に構成される。コンデンサ本体12の側面およびZ2方向の面は、ケース21によって構成されている。一方、コンデンサ本体12のZ1方向の面は、ケース21が外周部に露出し(図5参照)、封口栓23がそのケース21に囲まれた部分の内側にはめ込まれている。また、コンデンサ本体12のZ1方向の面、すなわち、封口栓23のZ1方向の面からは、コンデンサ素子22の内部端子41aおよび内部端子41bがZ1方向へ延出している。また、封口栓23の内部端子41aおよび内部端子41bが当接する部分には、端子14aおよび端子14bが、それぞれ配置される(図5参照)。すなわち、内部端子41aおよび内部端子41bを除いた長さLが、ケース21よりもややZ軸方向に小さいコンデンサ素子22と、コップ形状のケース21と、ケース21の内周と略同径の外周を有する封口栓23から、コンデンサ本体12は、主に構成されている。
【0030】
コンデンサ本体12の半径は、6〜20mmとされ、端子14の部分を除いた検出用コンデンサ12のZ軸方向の長さは、15〜100mmとされている。しかし、これらの値に限定されるものではない。また、ケース21の側面であって、コンデンサ素子22と封口栓23との間にコンデンサ本体12の半径方向内側へ凹む、かしめ部が形成されていてもよい。
【0031】
次に、ケース21について説明する。
【0032】
ケース21は、コンデンサ素子22を収納し、電解液等が揮発あるいは漏洩しないように密閉する役割を有する。本実施の形態では、ケース21は、底面31を有する円筒型であって、円形の底面31の端部から、側面32が底面31に対して略垂直に設けられている。また、底面31と対向する面には、開口部33が形成されている。このようなケース21の材料としては、気密性の高いものを用いることが好ましく、例えば、耐熱性、気密性および耐腐食性が高いアルミニウム製とすることが好ましい。
【0033】
コンデンサ素子22は、図5に示すように、ケース21の内方に配置される。また、コンデンサ素子22のZ1方向端面側には、封口栓23が配置される(図5参照)。なお、コンデンサ素子22が備える内部端子41aおよび端子41b(以後、内部端子41aおよび内部端子41bの両方を指す場合には、内部端子41と言う。)は、封口栓23が備える端子14aおよび端子14b(以後、および図面において、端子14aおよび端子14bの両方をさす場合には、端子14という。)に接続される。
【0034】
次に、コンデンサ素子22自体の構成について説明する。図6は、コンデンサ素子22の構成を説明するための分解斜視図である。
【0035】
コンデンサ素子22は、内部端子41と巻回部42とを主に有する。また、巻回部42は、陽極箔43、陰極箔44および隔離紙45から主に構成される。
【0036】
巻回部42は、陽極箔43と陰極箔44との間に隔離部材としての隔離紙45が介在されてなる積層体が、巻回されることで構成されている。また、巻回部42の隔離紙45には、電解液が浸透されている。また、陽極箔43および陰極箔44には、内部端子41aおよび内部端子41bがそれぞれ接続されている。
【0037】
陽極箔43としては、弁金属(いわゆる、バルブメタル)を用いることが好ましいが、弁金属以外の材料を用いてもよい。陰極箔44としては、エッチング処理を施して大表面積化したアルミニウム箔を用いることが好ましい。なお、陽極箔43と同様に、陽極酸化により形成された酸化アルミニウム皮膜を陰極箔44の表面に設けたものを陽極箔43として用いてもよい。
【0038】
隔離紙45は、陽極箔43と陰極箔44とが物理的に接触しないようにするためのセパレータとして機能する。また、隔離紙45に浸透している電解液が、エッチングにより形成された微細な凹凸に行き渡るので、電解液が浸透した隔離紙45は、コンデンサ素子22の陰極として機能する。隔離紙45としては、合成繊維より生産されるものではなく、天然に産出するセルロース材料、例えばマニラ麻や草木のパルプなどを原料として製造された紙を用いることがより好ましい。天然紙は、一般に、合成紙よりも耐熱性に優れるため、隔離紙45として用いるとより好ましいものとなる。さらに、隔離紙45として天然紙を用いることで、合成繊維の多くに含まれているハロゲン化物から生じる、ハロゲンイオン等がコンデンサ本体12の他の部材の腐蝕を引き起こさないため好ましい。
【0039】
隔離紙45に浸透させるための導電性の電解液としては、エチレングリコール,グリセリン等の多価アルコール類を主溶媒とし、これにホウ酸アンモニウム,有機酸アンモニウム等を溶質とした溶剤を用いるのが好ましい。隔離紙45に電解液を含浸させるためには、上述の陽極箔43と陰極箔44との間に隔離紙45が介在された巻回部42を、ディップ含浸等により電解液に含浸する。なお、真空下あるいは減圧下で巻回部42を電解液に含浸させることで、陽極箔43、陰極箔44および隔離紙45の微細な凹凸に電解液が入り込みやすいものとなる。
【0040】
この第2の実施の形態において、内部端子41は、端子14を陽極箔43あるいは陰極箔44と電気的に接続するための部材である。内部端子41のZ2方向側の端部は、陽極箔43および陰極箔44に、溶接あるいはかしめ等でそれぞれ接続されている。陽極箔43および陰極箔44に接続された内部端子41は、Z1方向に互いに略平行に突出し、その内部端子41のZ1側端部が端子14のZ2方向側に溶接あるいはかしめ等で接続されている。なお、内部端子41と端子14とが電気的に接続できる手段であれば、溶接あるいはかしめ以外の手段で接続されていてもよい。内部端子41としては、陽極箔43および陰極箔44と、端子14とを電気的に接続するために、導電性の材料が使用される。内部端子41は、たとえば金属箔から構成される。
【0041】
次に、封口栓23の構成について説明する。図7は、封口栓23の斜視図である。
【0042】
封口栓23は、封口栓本体51と、コンデンサ素子22から延出する内部端子41に電気的に接続するための端子14と、を主に有する。封口栓23は、ケース21の開口部33を封口するために用いる。封口栓本体51は、ケース内部の圧力が所定の圧力以上になった場合に、ケース21内部の圧力でZ1方向に向かって突出するように変形するような部材から構成される。さらに、封口栓本体51としては、用いる電解液に対して不透過性の材料からなることが好ましい。
【0043】
上述のような封口栓本体51の材料としては、たとえば、65〜85IRHD/M(国際ゴム硬さ試験のM法で測定した測定値)の見かけ硬さを有する弾性体を用いることが好ましい。65〜85IRHD/Mの見かけ硬さを有する弾性体は、適度な弾力と強度を有するため、ケース21内部の圧力が低い場合には、変形が生じにくいが、圧力弁が作動するための圧力と同等あるいは低い圧力で、封口栓23が変形できる。たとえば、65〜85IRHD/Mの見かけ硬さを有する弾性体から主に構成される封口栓23の直径が12.5mm程度の場合、ケース21内部の圧力が15〜18kg/cm程度になると封口栓23が変形する。また、封口栓23の直径が40mm程度の場合、ケース21内部の圧力が5〜7kg/cm程度で封口栓23が変形する。そのような弾性体として、例えば、天然ゴム(NR)、スチレンブタジエン(SBR)、エチレンプロピレンターポリマー(EPT)あるいはイソブチレン・イソプレンゴム(IIR)等の弾性ゴムを用いることができる。これらの中でも特に気密性が高く、かつ電解液が蒸気として透過してしまうようなことがないイソブチレン・イソプレンゴム(IIR)を使用することがより好ましい。イソブチレン・イソプレンゴムの中でも、より優れた耐熱性を有する加硫イソブチレン・イソプレンゴムを用いることが、とりわけ好ましい。加硫イソブチレン・イソプレンゴムとしては、例えば、イオウ加硫、キノイド加硫、樹脂加硫あるいは過酸化物加硫等の加硫イソブチレン・イソプレンゴムを用いることができる。
【0044】
封口栓23が有する端子14は、封口栓本体51をZ軸方向に貫通する導電性の部材である。したがって、端子14は、内部端子41を介して陽極箔43および陰極箔44と電気的に接続される。また、陽極箔43に電気的に接続されている端子14aは、コンデンサ付き回路10の正極側に接続されている。一方、陰極箔44に電気的に接続されている端子42bは、コンデンサ付き回路10の負極側に接続されている。なお、端子14と内部端子41とは、電気的に接続されていれば、どのような方法で接続されていても良い。たとえば、端子14のZ2方向側に、内部端子41を絡げるための絡げ部を形成し、内部端子41を端子14に絡げてもよい。あるいは、内部端子41と端子14とを溶接あるいはかしめ等で接続してもよい。
【0045】
この第2の実施の形態において、端子14は、接続部52、台座部53、貫通部54および接触部55を主に有する。接続部52は、Z1方向に伸び、検出用コンデンサ11の正極11aあるいは負極11bとなり接続される部分である。また、台座部53は、接続部52と貫通部54とに対して略垂直に接続される部材であり、封口栓23のZ1方向の面に沿って配置される部材である。また、台座部53のXY平面の面積は、貫通部54のZ1方向の断面よりも大きい。貫通部54は、Z1方向に伸びる円柱状の部材であって、封口栓23が有する貫通孔56をZ軸方向に貫通する部分である。さらに、貫通部54のZ2方向側は、内部端子41に接続される。なお、貫通部54が、貫通孔56に一旦挿入した後で貫通孔56から抜け出ることがないように、貫通部54が封口栓23を噛み込んで朝顔状に展開できるものとすることで、いわゆるリベッティングにより貫通部54が封口栓23に固定されてもよい。
【0046】
さらに、台座部53のX1方向の面上には、接続部52のZ1方向の高さよりも低い円柱形状の接触部55が配置されている。接触部55は、後述の導電体63と、Z方向に重なる位置に配置され、導電体としても機能する。
【0047】
次に、座板13の構造について説明する。図8は、座板13を図4の下方からZ2方向に見た場合の斜視図である。また、図9は、座板13の内部が見える状態にした平面図である。さらに、図10は、検出用コンデンサ11を図3に示すT−T線を含む面であって、XY平面に垂直な面で切断した場合の断面図である。
【0048】
座板13は、円形の天板61、側壁62および導電体63を主に有する。側壁62は、天板61の外周部分に、天板61に対して略垂直にZ2方向へ立設している。側壁62の内周は、ケース21の外周と略同一である。そのため、座板13は、コンデンサ本体12のZ1方向の端部を覆うように装着される。
【0049】
また、座板13において、天板61の端子14とZ軸方向に重なる部分には、貫通孔64がそれぞれ設けられている。したがって、座板13をコンデンサ本体12に装着すると、端子14は、貫通孔64を通りZ1方向へ突出できる。
【0050】
また、天板61のZ2方向側の面の外周部分には、側壁62と隣接する回輪状の凸部65が、Z方向の高さαで形成されている。したがって、コンデンサ本体12と座板13とを嵌め合わせると、少なくとも、凸部65が天板61のZ2方向側の面からZ2軸方向に突出している高さαの分だけ、封口栓23のZ1方向の面と天板61のZ2方向の面との間に空隙ができる。
【0051】
天板61のZ1方向の面には、溝部66(図3参照)が設けられている。溝部66は、2つの貫通孔64を結ぶ線に対して、たとえば、50度の傾きを有するように形成されている。また、溝部66の領域には、貫通孔67が形成されている。貫通孔67は、2つの貫通孔64を含む円(図9のKで示される円)の線上あるいはその円よりも外側の領域に、その円を挟んで180度対称に2箇所形成されている。
【0052】
また、座板13のZ2側の面には、1本の導電体63が配置されている。導電体63としては、たとえば、金属から主に構成される針金を用いることができる。また、導電体63は、その中央部が座板13の内側に配置され、その両端部が貫通孔67,67を通り外側に露出している。導電体63の貫通孔67よりも外側の部位は、溝部66に沿うように折り曲げられ、溝部66内に納まるように、かつ外側に露出するように配置されている。したがって、2つの貫通孔67の間の領域において、導電体63は、天板61のZ2方向側の面に露出している。
【0053】
導電体63のうち、天板61のZ2方向側に露出している部分は、端子14の接触部55と間隙を介して対向している。座板13の内側の導電体63のZ2方向側の面と、接触部55のZ1方向側の面との間の最短距離βは、たとえば、約0.1mm〜2.0mmである。特に、その距離が0.2〜1.0mmである場合には、図2におけるスイッチ5のON/OFFを切替えやすいものとなる。すなわち、第2の実施の形態に係るコンデンサ付き回路10では、導電体63と接触部55とがスイッチ5となる。
【0054】
次に、検出用コンデンサ11を用いたコンデンサ付き回路10の動作について説明する。
【0055】
検出用コンデンサ11の天板61と接触部55とが接触していない状態で、電源2からコンデンサ付き回路10に電力を供給すると、コンデンサ本体12は、動作部6に供給される直流電流を平滑化するコンデンサとして機能する。
【0056】
一方、検出用コンデンサ11の周囲環境あるいは使用時間により、ケース21および封口栓23で密封されたコンデンサ本体12の内部の電解液がガス化した場合には、コンデンサ本体12の内部圧力が増加する。そのコンデンサ本体12の内部圧力により、コンデンサ本体12の封口栓23が変形し、Z1方向に突出する。
【0057】
図11は、コンデンサ本体12の内部圧力の上昇により、封口栓23がZ1方向に突出した場合を示す断面図である。封口栓23がZ1方向に突出すると、導電体63のZ2方向側の面と、接触部55のZ1方向側の面との間に形成されている空隙の距離βが短くなる。そして、空隙の距離βがゼロ、すなわち、導電体63を介して、陽極側の接触部55および陰極側の接触部55が電気的に接続されると、検出用コンデンサ11が短絡する。すなわち、スイッチ5がONの状態になる。そのため、大電流がヒューズ3に流れ、ヒューズ3の内部に配置されている金属細線が溶断されて、コンデンサ付き回路10全体が切断される(図2参照)。
【0058】
上述のような検出用コンデンサ11を用いると、コンデンサ本体12の内部圧力の上昇を検出し、スイッチ5をONにすることができる。したがって、コンデンサ本体12または封口栓23が破壊される前にコンデンサ本体12への通電を停止することができる。特に、コンデンサ本体12の内部の温度等を計測するのではなく、コンデンサ本体12の破壊の内部圧力を利用してスイッチ5が作動するため、誤作動が少ないものとすることができる。
【0059】
また、このような検出用コンデンサ11を用いることにより、コンデンサ本体12の使用限界に達する前に、コンデンサ付き回路10全体への電力の供給を遮断することができる。コンデンサ本体12への通電を停止するだけではなく、コンデンサ付き回路10全体への通電が停止することで、動作部6の機能も停止するため、ユーザは、コンデンサ本体12の寿命を容易に知ることができる。
【0060】
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明は、上述の各形態に限定されることなく、種々変形した形態にて実施可能である。例えば、第1の実施の形態および第2の実施の形態において、動作部6は、1つとされているが、動作部6は、コンデンサ7に対して並列に2つ以上設けてもよい。また、コンデンサ7を複数設け、各コンデンサ7に対して動作部6を1つずつ設けてもよい。また、ヒューズ3を設けずにコンデンサ回路8に短絡が発生した時に、警告等を表示したり、またはブザーを鳴らす等の表示をするようにしてもよい。また、コンデンサ付き回路1,10としては、電源2および動作部6のいずれか一方または両方を有さないものとしてもよい。
【0061】
また、第2の実施の形態において、封口栓23が変形する形態を示したが、封口栓23以外の部材が変形するような形態であっても良い。たとえば、コンデンサ本体12の内部圧力の増加により、ケース21が変形あるいは膨張するような形態としてもよい。
【0062】
また、第2の実施の形態において、コンデンサ本体12の内部圧力により、封口栓23が変形する形態を示したが、変形に限らない。たとえば、封口栓23の体積が膨張する、あるいは、封口栓23自体が押し出される等、封口栓23のZ1方向側の面が変位するものであればどのような方法であってもよい。さらに、封口栓23が押し出されるような構成の場合には、封口栓23として、弾性率の低い樹脂あるいは金属等を用いてもよい。
【0063】
また、上述の各実施の形態では、各部品に係る寸法あるいは形状を例示しているが、例示された寸法あるいは形状等に限定されるものではない。たとえば、ケース21は、円柱形状であるものとしているが、このような形状に限らない。例えば、コンデンサ素子22が円柱形状でない場合には、そのコンデンサ素子22の形状に合わせた形状として、四角柱あるいは球等様々な形状を採用できる。また、コンデンサ素子22と異なる形状のケース21を採用してもよい。例えば、コンデンサ素子22が円柱形状であっても、ケース21を直方体形状とすることもできる。しかし、ケース21の形状をコンデンサ素子22に沿った形状とすることで、コンデンサ7あるいはコンデンサ本体12をより小型化できる。
【0064】
また、第2の実施の形態では、検出用コンデンサ11として、座板13を有する検出用コンデンサ11としているが、座板13は、必須ではない。導電体63等の導電部材10の正極11aとなる陽極側の端子14aあるいは負極11bとなる陰極側の端子14bの少なくともいずれか一方から離間して配置されていると共に、封口栓23がZ1方向に突出した場合に、その導電体が陽極側の端子14aおよび陰極側の端子14bを電気的に接続するような配置であれば、同様の効果を得ることができる。たとえば、図12にて示す第1の変形例では、コンデンサ本体12aの各端子から他方の端子に向けて伸びる導電体71aおよび導電体71cが、Z方向に重なる位置で離間して配置されている。そのため、封口栓23がZ1方向に突出すると、封口栓23に近い側の導電体71bが、他方の導電体71aに接触するため、導電体71a,71bで構成されるスイッチ5がONになる。
【0065】
また、第2の実施の形態において、座板13側に導電体63を設けるような形態を例示したが、そのような形態に限らない。たとえば、図13に示すように、コンデンサ本体12bの封口栓23側には、封口栓23のZ1方向側の面上であって、2つの端子14の間に導電体63aを配置する。そして、座板13c側には、各端子14とそれぞれ接続されている接触部82aおよび接触部82bを、導電体81にZ軸方向で重なる位置に離間して配置するような形態でも良い。
【0066】
また、上述の各実施の形態においては、いわゆるタブ端子としての内部端子41が、端子14に接続されてケース部材の外部に引き出されているが、このような形態に限定されない。例えば、陽極箔43および陰極箔44に接続されると共に、封口栓23の外側まで引き出される、いわゆるリード端子を有するコンデンサ1,10としてもよい。リード端子を用いた場合には、例えば、リード端子に接続されるリード線を折り曲げること等により、接触部を形成することができる。すなわち、封口栓23が変形または変位した際に、そのリード線同士が接触部にて接触し、短絡路を形成できる。
【0067】
また、第2の実施の形態において、座板13に配置される導電体63として針金状のものを例示したが、針金状のものに限らない。たとえば、金属から構成される箔若しくは層等としてもよい。また、金属に限らず、導電性の物質であれば、どのようなものを用いてもよい。しかし、その中でも、電気抵抗が小さい金属を用いることが好ましい。
【0068】
また、第2の実施の形態にいて、検出用コンデンサ11として、座板13を有する検出用コンデンサ11を例示したが、座板13は、コンデンサ本体12に接離可能に配置されることで、再利用できるようにしてもよい。逆に、座板13が、コンデンサ本体12に固着されていてもよい。座板13が、コンデンサ本体12に固着されている場合には、振動下などでも、より安定して用いることができるものとなる。
【0069】
また、コンデンサ付き回路1,10に配置するコンデンサ7あるいは検出用コンデンサ11は、圧力弁を設けることを妨げるものではない。コンデンサ7あるいは検出用コンデンサ11が圧力弁を有している場合には、より安全性を高めることができる。また、検出用コンデンサ11に圧力弁を設ける場合には、圧力弁が作動する圧力よりも小さい圧力でスイッチ5がONになるように、封口栓23の材質および間隙βを調節することで対応できる。
【0070】
また、上述の各実施の形態において、コンデンサ付き回路1,10は、ヒューズ3を有しているが、ヒューズ3以外のデバイスであって、電流値の増大に伴い電気回路を切断する機能を有するデバイスを用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るコンデンサ付き回路を示す回路図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態に係るコンデンサ付き回路の回路図とその要部拡大図である。
【図3】図2に示すコンデンサ付き回路に用いられる検出用コンデンサの斜視図である。
【図4】図3の検出用コンデンサの分解斜視図である。
【図5】図4に示す検出用コンデンサのコンデンサ本体を図3に示すW−W線を含むY軸に垂直な面で切断した際の断面図である。
【図6】図4に示す検出用コンデンサのコンデンサ素子を説明する斜視図である。
【図7】図4に示す検出用コンデンサの封口栓および端子の斜視図である。
【図8】図4に示す検出用コンデンサの座板を裏側から見た場合の斜視図である。
【図9】図8に示す座板を裏側から見た場合の平面図である。
【図10】図3に示す検出用コンデンサを図3に示すT−T線を含むY軸に垂直な面で切断した場合の断面図である。
【図11】図10に示す検出用コンデンサにおいて、スイッチがONの状態を説明する断面図である。
【図12】図3に示す検出用コンデンサの第1の変形例を説明するための断面図である。
【図13】図3に示す検出用コンデンサの第2の変形例を説明するための断面図である。
【符号の説明】
【0072】
1,10…コンデンサ付き回路
2…電源
3…ヒューズ
5…スイッチ
6…動作部
7…コンデンサ
8…コンデンサ回路
11…検出用コンデンサ
12…コンデンサ本体
13…座板
14…端子
14a…陽極側の端子
14b…陰極側の端子
21…ケース
22…コンデンサ素子
23…封口栓
41…内部端子
42…巻回部
51…封口栓本体
52…接続部
53…台座部
54…貫通部
55…接触部
56…貫通孔
61…天板
62…側壁
63…導電体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力を供給するための電源に対して直列に接続されるヒューズと、
陽極側および陰極側の端子を備えるコンデンサと、
上記コンデンサと並列に接続されると共に、上記コンデンサの交換時期を検出して上記コンデンサの機能を停止させる短絡路を形成するスイッチと、を有するコンデンサ付き回路。
【請求項2】
請求項1に記載のコンデンサ付き回路において、
前記コンデンサは、コンデンサ素子と、
上記コンデンサ素子を収納するための開口部を有するケースと、
上記ケースの上記開口部を封口するための封口栓と、を備え、
上記封口栓は、前記コンデンサの内部圧力が上昇することにより変形あるいは変位し、
前記スイッチは、上記封口栓の変形あるいは変位により、前記短絡路を形成することを特徴とするコンデンサ付き回路。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のコンデンサ付き回路において、
前記陽極側の端子あるいは前記陰極側の端子の少なくともいずれか一方から離間して配置される導電体を有し、
前記封口栓が変形あるいは変位することで、上記導電体が上記陽極側の端子と、
上記陰極側の端子とを電気的に接続し、前記スイッチの前記短絡路を形成することを特徴とするコンデンサ付き回路。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のコンデンサ付き回路において、
前記コンデンサと前記スイッチとは、検出用コンデンサとして1の部品とされていることを特徴とするコンデンサ付き回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−92910(P2010−92910A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−258488(P2008−258488)
【出願日】平成20年10月3日(2008.10.3)
【出願人】(000190091)ルビコン株式会社 (38)