説明

コンデンサ

【課題】最下流側の冷媒凝縮パスにおける冷媒側の圧力損失の上昇を抑制しうるコンデンサを提供する。
【解決手段】コンデンサ1の一端部側に、第3および第4熱交換パスP3,P4の第1熱交換管2Aを接続する第1ヘッダタンク3と、第1および第2熱交換パスP1,P2の第2熱交換管2Bを接続する第2ヘッダタンク4とを、前者が左右方向外側に来るように設ける。第3熱交換パスP3が、最下流側の冷媒凝縮パスである。第1ヘッダタンク3の上端を第2ヘッダタンク4の下端よりも上方に位置させる。第1ヘッダタンク3は気液を分離して液を溜める機能を有する。第1ヘッダタンク3に接続された第1熱交換管2Aの相当直径を、第2ヘッダタンク4に接続された第2熱交換管2Bの相当直径よりも大きくする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、たとえば自動車に搭載されるカーエアコンに好適に用いられるコンデンサに関する。
【0002】
この明細書および特許請求の範囲において、「コンデンサ」という用語には、通常のコンデンサの他に凝縮部および過冷却部を有するサブクールコンデンサを含むものとする。
【0003】
また、この明細書および特許請求の範囲において、上下、左右は図1および図3の上下、左右をいうものとする。
【背景技術】
【0004】
たとえばカーエアコンのコンデンサとして、凝縮部および過冷却部が、前者が上側に位置するように設けられており、長さ方向を左右方向に向けるとともに上下方向に間隔をおいて並列状に配置された複数の熱交換管と、隣り合う熱交換管どうしの間に配置されたフィンと、長さ方向を上下方向に向けて配置されるとともに熱交換管の左右両端部が接続されたヘッダタンクとを備え、すべての熱交換管の長さが等しくなっており、上下に連続して並んだ複数の熱交換管からなる熱交換パスが、凝縮部および過冷却部において1つずつ設けられ、凝縮部に設けられた熱交換パスが、冷媒を凝縮させる冷媒凝縮パスであり、過冷却部に設けられた熱交換パスが冷媒を過冷却する冷媒過冷却パスであり、左右両端部側に、それぞれすべての熱交換管が接続される1つのヘッダタンクが設けられ、両ヘッダタンク内が、それぞれ冷媒凝縮パスと冷媒過冷却パスとの間の高さ位置に設けられた仕切板により上側ヘッダ部と下側ヘッダ部とに区画され、冷媒凝縮パスの熱交換管の左右両端部が両ヘッダタンクの上側ヘッダ部に接続され、冷媒過冷却パスの熱交換管の左右両端部が両ヘッダタンクの下側ヘッダ部に接続され、一方のヘッダタンクの上側ヘッダ部に冷媒入口が設けられるとともに、同下側ヘッダ部に冷媒出口が設けられ、他方のヘッダタンクに気液を分離しかつ液を溜める受液器が接合されるとともに、前記他方のヘッダタンクの上下両ヘッダ部内と受液器内とが相互に通じさせられ、冷媒が、前記他方のヘッダタンクの上側ヘッダ部から受液器内に流入し、受液器内において気液が分離された後、液相主体混相冷媒が前記他方のヘッダタンクの下側ヘッダタンクに流入するようになされているコンデンサが知られている(特許文献1参照)。
【0005】
しかしながら、特許文献1記載のコンデンサにおいては、すべての熱交換管の長さが等しくなっており、両ヘッダタンク内が、それぞれ冷媒凝縮パスと冷媒過冷却パスとの間の高さ位置に設けられた仕切板により上側ヘッダ部と下側ヘッダ部とに区画され、冷媒凝縮パスの熱交換管の左右両端部が両ヘッダタンクの上側ヘッダ部に、冷媒か冷却パスの熱交換管の左右両端部が両ヘッダタンクの下側ヘッダ部にそれぞれ接続されているので、凝縮部および過冷却部の左右方向の長さが等しくなっており、受液器を含めたコンデンサの上下方向および左右方向の寸法を一定にした場合に、凝縮部および過冷却部の熱交換部の面積が不足して、冷媒凝縮効率および冷媒過冷却効率のさらなる向上を図ることができない。
【0006】
そこで、冷媒凝縮効率および冷媒過冷却効率のさらなる向上を図りうるカーエアコン用コンデンサとして、本出願人は、先に、凝縮部および過冷却部が、前者が上側に位置するように設けられており、長さ方向を左右方向に向けるとともに上下方向に間隔をおいて並列状に配置された複数の熱交換管と、長さ方向を上下方向に向けて配置されるとともに熱交換管の左右両端部が接続されたヘッダタンクとを備え、上下に連続して並んだ複数の熱交換管からなる熱交換パスが上下に並んで3つ設けられており、凝縮部に、冷媒凝縮パスとなる2つの熱交換パスからなるグループを有するとともに、過冷却部に、前記グループの下方に位置しかつ冷媒過冷却パスとなる1つの熱交換パスからなるグループを有し、左右いずれか一端部側に、冷媒流れ方向最下流側の冷媒凝縮パスを構成する熱交換管、および冷媒過冷却パスを構成する熱交換管が接続される第1ヘッダタンクと、残りの冷媒凝縮パスを構成する熱交換管が接続される第2ヘッダタンクとが設けられ、同じく他端部側に全熱交換管接続される第3ヘッダタンクが設けられ、第1ヘッダタンクが、第2ヘッダタンクよりも左右方向外側に配置されるとともに、第1ヘッダタンクの上端が第2ヘッダタンクの下端よりも上方に位置しており、第1ヘッダタンクが気液を分離しかつ液を溜める機能を有しているコンデンサを提案した(特許文献2参照)。
【0007】
特許文献2記載のコンデンサによれば、コンデンサの上下方向および左右方向の寸法を、特許文献1記載のコンデンサの受液器を含めた上下方向および左右方向の寸法と等しくした場合に、下端の冷媒凝縮パスの熱交換管の長さを、特許文献1記載のコンデンサの冷媒凝縮パスの熱交換管の長さよりも長くすることができるので、凝縮部の熱交換部の面積が増大し、しかも冷媒過冷却パスの熱交換管の長さを、特許文献1記載のコンデンサの冷媒過冷却パスの熱交換管の長さよりも長くすることができるので、過冷却部の熱交換部の面積が増大する。その結果、冷媒凝縮効率および冷媒過冷却効率のさらなる向上を図ることができる。
【0008】
しかしながら、特許文献2記載のコンデンサにおいては、全熱交換管の相当直径が同一であり、しかも最下流側の冷媒凝縮パスを構成する熱交換管の数が少なくなるため、最下流側の冷媒凝縮パスにおいて冷媒側の圧力損失が上昇するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−33121号公報
【特許文献2】国際公開第2010/047320号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
この発明の目的は、上記問題を解決し、最下流側の冷媒凝縮パスにおける冷媒側の圧力損失の上昇を抑制しうるコンデンサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記目的を達成するために以下の態様からなる。
【0012】
1)長さ方向を左右方向に向けるとともに上下方向に間隔をおいて並列状に配置された複数の熱交換管と、長さ方向を上下方向に向けて配置されるとともに熱交換管の左右両端部が接続されたヘッダタンクとを備え、上下に連続して並んだ複数の熱交換管からなる熱交換パスが上下に並んで3以上設けられており、上端の熱交換パスを含みかつ連続して並んだ少なくとも2つの熱交換パスからなるグループを有するとともに、前記グループの下方に少なくとも1つの熱交換パスが設けられ、前記グループにおいて、冷媒が、上下いずれか一端の熱交換パスから同他端の熱交換パスに向かって流れるようになされ、左右いずれか一端部側に、前記グループにおける冷媒流れ方向最下流側の熱交換パスを構成する熱交換管、および前記グループよりも下方に設けられた熱交換パスを構成する熱交換管が接続される第1ヘッダタンクと、残りの熱交換パスを構成する熱交換管が接続される第2ヘッダタンクとが設けられ、第1ヘッダタンクが、第2ヘッダタンクよりも左右方向外側に配置されるとともに、第1ヘッダタンクの上端が第2ヘッダタンクの下端よりも上方に位置しており、第1ヘッダタンクが気液を分離しかつ液を溜める機能を有しているコンデンサにおいて、
第1ヘッダタンクに接続された第1の熱交換管の相当直径が、第2ヘッダタンクに接続された第2の熱交換管の相当直径よりも大きくなっているコンデンサ。
【0013】
2)第1ヘッダタンクに接続された第1熱交換管の横断面形状の外形と、第2ヘッダタンクに接続された第2熱交換管の横断面形状の外形とが同一である上記1)記載のコンデンサ。
【0014】
3)第1ヘッダタンクに接続された第1熱交換管の数をn、全熱交換管の数をNとした場合、0.15≦n/N≦0.25という関係を満たす上記1)または2)記載のコンデンサ。
【0015】
4)前記グループの全熱交換パスが、冷媒を凝縮させる冷媒凝縮パスであり、前記グループよりも下方に位置する熱交換パスが、冷媒を過冷却する冷媒過冷却パスである上記1)〜3)のうちのいずれかに記載のコンデンサ。
【発明の効果】
【0016】
上記1)〜3)のコンデンサによれば、第1ヘッダタンクに接続された第1の熱交換管の相当直径、すなわち前記グループにおける冷媒流れ方向最下流側の熱交換パスを構成する熱交換管、および前記グループよりも下方に設けられた熱交換パスを構成する熱交換管の相当直径が、第2ヘッダタンクに接続された第2の熱交換管の相当直径、すなわち前記グループの残りの熱交換パスを構成する熱交換管の相当直径よりも大きくなっている。したがって、特許文献2記載のコンデンサのように、前記グループの熱交換パスが冷媒凝縮パスとなる場合であり、かつ最下流側の冷媒凝縮パスを構成する熱交換管の数が少なくなったとしても、最下流側の冷媒凝縮パスにおける冷媒側の圧力損失の上昇を抑制することができる。
【0017】
上記2)のコンデンサによれば、第1ヘッダタンクに接続された第1熱交換管の横断面形状の外形と、第2ヘッダタンクに接続された第2熱交換管の横断面形状の外形とが同一であるため、両熱交換管の取扱を容易に行うことができる。しかも、第1ヘッダタンクに接続された第1熱交換管の横断面形状の外形と、第2ヘッダタンクに接続された第2熱交換管の横断面形状の外形とが同一であっても、長さが異なっているので誤組を防止することができる。
【0018】
上記3)のコンデンサのように、第1ヘッダタンクに接続された第1熱交換管の数をn、全熱交換管の数をNとした場合、0.15≦n/N≦0.25という関係を満たしていると、特許文献2記載のコンデンサにおける凝縮部および過冷却部の熱交換部の面積が増大することによる冷媒凝縮効率および冷媒過冷却効率を最大限に向上させることが可能になるが、この場合、最下流側の冷媒凝縮パスにおける冷媒側の圧力損失が上昇するおそれがある。しかしながら、この場合であっても、上記1)の構成を有していると、最下流側の冷媒凝縮パスにおける冷媒側の圧力損失の上昇を効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明によるコンデンサの第1の実施形態の全体構成を具体的に示す正面図である。
【図2】図1のコンデンサを模式的に示す正面図である。
【図3】図1のA−A線拡大断面図である。
【図4】この発明によるコンデンサの第2の実施形態を模式的に示す正面図である。
【図5】この発明によるコンデンサの第3の実施形態を模式的に示す正面図である。
【図6】この発明によるコンデンサの第4の実施形態を模式的に示す正面図である。
【図7】この発明によるコンデンサの第5の実施形態を模式的に示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0021】
以下の説明において、図1の紙面裏側を前、これと反対側を後というものとする。
【0022】
また、以下の説明において、「アルミニウム」という用語には、純アルミニウムの他にアルミニウム合金を含むものとする。
【0023】
さらに、全図面を通じて同一部分および同一物には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0024】
図1はこの発明によるコンデンサの第1の実施形態の全体構成を具体的に示し、図2は図1のコンデンサを模式的に示し、図3は図1のコンデンサの要部の構成を示す。図2においては、個々の熱交換管の図示は省略されるとともに、コルゲートフィン、サイドプレート、冷媒入口部材および冷媒出口部材の図示も省略されている。
【0025】
図1および図2において、コンデンサ(1)は、幅方向を前後方向に向けるとともに長さ方向を左右方向に向けた状態で上下方向に間隔をおいて配置された複数のアルミニウム製扁平状熱交換管(2A)(2B)と、長さ方向を上下方向に向けて配置されるとともに熱交換管(2A)(2B)の左右両端部がろう付により接続された3つのアルミニウム製ヘッダタンク(3)(4)(5)と、隣り合う熱交換管(2A)(2B)どうしの間および上下両端の外側に配置されて熱交換管(2A)(2B)にろう付されたアルミニウム製コルゲートフィン(6A)(6B)と、上下両端のコルゲートフィン(6A)(6B)の外側に配置されてコルゲートフィン(6A)(6B)にろう付されたアルミニウム製サイドプレート(7)とを備えており、上下に連続して並んだ複数の熱交換管(2A)(2B)からなる熱交換パス(P1)(P2)(P3)(P4)が上下に並んで3以上、ここでは4つ設けられている。4つの熱交換パスを、上から順に第1〜第4熱交換パス(P1)(P2)(P3)(P4)というものとする。各熱交換パス(P1)(P2)(P3)(P4)を構成する全ての熱交換管(2A)(2B)の冷媒流れ方向が同一となっているとともに、隣り合う2つの熱交換パスの熱交換管(2A)(2B)の冷媒流れ方向が異なっている。
【0026】
すなわち、コンデンサ(1)は、上端の第1熱交換パス(P1)を含みかつ連続して並んだ少なくとも2つ、ここでは第1〜第3熱交換パス(P1)(P2)(P3)からなるグループ(G)を有するとともに、グループ(G)の下方に少なくとも1つ、ここでは第4熱交換パス(P4)が設けられている。グループ(G)おいて、冷媒は、上端の第1熱交換パス(P1)から下端の第3熱交換パス(P3)に向かって流れるようになっている。
【0027】
コンデンサ(1)の左端側には、グループ(G)の冷媒流れ方向最下流側に位置する下端の熱交換パスおよびグループ(G)よりも下方に位置する熱交換パス、ここでは第3および第4熱交換パス(P3)(P4)を構成する熱交換管(2A)がろう付により接続された第1ヘッダタンク(3)と、残りの全熱交換パス、ここでは第1および第2熱交換パス(P1)(P2)を構成する熱交換管(2B)がろう付により接続された第2ヘッダタンク(4)とが別個に設けられている。
【0028】
ここで、第1ヘッダタンク(3)に接続された熱交換管(2A)が第1熱交換管であり、第2ヘッダタンク(4)に接続された熱交換管(2B)が第2熱交換管である。なお、隣り合う第1熱交換管(2A)どうしの間、下端の第1熱交換管(2A)と下側サイドプレート(7)との間、および上端の第1熱交換管(2A)と下端の第2熱交換管(2B)との間に配置されたコルゲートフィン(6A)を第1コルゲートフィンといい、隣り合う第2熱交換管(2B)どうしの間および上端の第2熱交換管(2B)と上側サイドプレート(7)との間に配置されたコルゲートフィン(6B)を第2コルゲートフィンというものとする。
【0029】
第1ヘッダタンク(3)の上端は第2ヘッダタンク(4)の下端よりも上方、ここでは第2ヘッダタンク(4)の上端とほぼ同一高さ位置にある。また、第1ヘッダタンク(3)の下端は第2ヘッダタンク(4)の下端よりも下方に位置しており、第1ヘッダタンク(3)における第2ヘッダタンク(4)よりも下方に位置する部分に、第3および第4熱交換パス(P3)(P4)を構成する第1熱交換管(2A)がろう付により接続されている。第1ヘッダタンク(3)の内容積は、第1ヘッダタンク(3)内に流入した気液混相冷媒のうち液相主体混相冷媒が重力により第1ヘッダタンク(3)内の下部に溜まるとともに、気液混相冷媒のうちの気相成分が重力により第1ヘッダタンク(3)内の上部に溜まり、これにより第4熱交換パス(P4)の第1熱交換管(2A)内には液相主体混相冷媒のみが流入するような内容積となっている。したがって、第1ヘッダタンク(3)は、重力を利用して気液を分離しかつ液を溜める受液部としての機能を有している
コンデンサ(1)の右端部側には、第1〜第4熱交換パス(P1)〜(P4)を構成するすべての熱交換管(2A)(2B)が接続される第3ヘッダタンク(5)が配置されている。第3ヘッダタンク(5)の横断面形状は第2ヘッダタンク(4)と同一である。
【0030】
第3ヘッダタンク(5)内は、第1熱交換パス(P1)と第2熱交換パス(P2)との間の高さ位置、および第3熱交換パス(P3)と第4熱交換パス(P4)との間の高さ位置にそれぞれ設けられたアルミニウム製仕切板(8)(9)により上側ヘッダ部(11)と中間ヘッダ部(12)と下側ヘッダ部(13)とに区画されている。
【0031】
第3ヘッダタンク(4)の上側ヘッダ部(11)に冷媒入口(14)が形成され、第3ヘッダタンク(5)の下側ヘッダ部(13)に冷媒出口(15)が形成されており、これによりグループ(G)においては、上述したように、冷媒が、上端の第1熱交換パス(P1)から下端の第3熱交換パス(P3)に向かって流れるようになっている。また、第3ヘッダタンク(4)に、冷媒入口(14)に通じる冷媒入口部材(16)および冷媒出口(15)に通じる冷媒出口部材(17)が接合されている。
【0032】
そして、第2ヘッダタンク(4)、第1ヘッダタンク(3)における第3熱交換パス(P3)の第1熱交換管(2A)が接続された部分、第3ヘッダタンク(5)の上側ヘッダ部(11)および中間ヘッダ部(12)、ならびに第1熱交換パス(P1)〜第3熱交換パス(P3)により冷媒を凝縮させる凝縮部(1A)が形成され、第1ヘッダタンク(3)における第4熱交換パス(P4)の第1熱交換管(2A)が接続された部分、第3ヘッダタンク(5)の下側ヘッダ部(13)および第4熱交換パス(P4)により冷媒を過冷却する過冷却部(1B)が形成され、グループ(G)の全熱交換パスである第1〜第3熱交換パス(P1)(P2)(P3)が冷媒を凝縮させる冷媒凝縮パスとなっているとともに、グループ(G)よりも下方に位置する第4熱交換パス(P4)が冷媒を過冷却する冷媒過冷却パスとなっている。
【0033】
図3に示すように、第1および第2熱交換管(2A)(2B)はアルミニウム押出形材製であり、幅方向に並んだ複数の冷媒通路(19A)(19B)を有している。第1熱交換管(2A)の相当直径は第2熱交換管(2B)の相当直径よりも大きくなっている。たとえば、第1熱交換管(2A)の全冷媒通路(19A)の通路断面積の合計が第2熱交換管(2B)の全冷媒通路(19B)の通路断面積の合計よりも大きく、第1熱交換管(2A)のぬれべりが第2熱交換管(2B)のぬれべりよりも短くなっている。第1および第2熱交換管(2A)(2B)の外形は同一であることが好ましい。また、第1ヘッダタンクに接続された第1熱交換管(2A)の数をn、全熱交換管(2A)(2B)の数をNとした場合、0.15≦n/N≦0.25という関係を満たしていることが好ましい。この場合、コンデンサ(1)の第3熱交換パス(P3)と第4熱交換パス(P4)の第1熱交換管(2A)および第1コルゲートフィン(6A)における熱交換に寄与する部分の面積が増大することによる冷媒凝縮効率および冷媒過冷却効率を最大限に向上させることが可能になる。
【0034】
コンデンサ(1)は、すべての部品を一括してろう付することにより製造される。
【0035】
コンデンサ(1)は、圧縮機、膨張弁(減圧器)およびエバポレータとともに冷凍サイクルを構成し、カーエアコンとして車両に搭載される。
【0036】
上述した構成のコンデンサ(1)において、圧縮機により圧縮された高温高圧の気相冷媒が、冷媒入口部材(16)および冷媒入口(14)を通って第3ヘッダタンク(5)の上側ヘッダ部(11)内に流入し、第1熱交換パス(P1)の第2熱交換管(2B)内を左方に流れる間に凝縮させられて第2ヘッダタンク(4)内に流入する。第2ヘッダタンク(4)内に流入した冷媒は、第2熱交換パス(P2)の第2熱交換管(2B)内を右方に流れる間に凝縮させられて第3ヘッダタンク(5)の中間ヘッダ部(12)内に流入する。第3ヘッダタンク(5)の中間ヘッダ部(12)内に流入した冷媒は第3熱交換パス(P3)の第1熱交換管(2A)内を左方に流れる間に凝縮させられて第1ヘッダタンク(3)内に流入する。
【0037】
第1ヘッダタンク(3)内に流入した冷媒は気液混相冷媒であり、当該気液混相冷媒のうち液相主体混相冷媒は重力により第1ヘッダタンク(3)内の下部に溜まり、第4熱交換パス(P4)の第1熱交換管(2A)内に入る。
【0038】
第4熱交換パス(P4)の第1熱交換管(2A)内に入った液相主体混相冷媒は第1熱交換管(2A)内を右方に流れる間に過冷却された後、第3ヘッダタンク(5)の下側ヘッダ部(13)内に入り、冷媒出口(15)および冷媒出口部材(17)を通って流出し、膨張弁を経て蒸発器に送られる。
【0039】
一方、第1ヘッダタンク(3)内に流入した気液混相冷媒のうちの気相成分は、第1ヘッダタンク(3)内の上部に溜まる。
【0040】
図4〜図7はこの発明によるコンデンサの他の実施形態を示す。なお、図4〜図7はコンデンサを模式的に示すものであり、個々の熱交換管の図示は省略されるとともに、コルゲートフィン、サイドプレート、冷媒入口部材および冷媒出口部材の図示も省略されている。
【0041】
図4に示すコンデンサ(20)の場合、上下に連続して並んだ複数の熱交換管(2A)(2B)からなる熱交換パス(P1)(P2)(P3)が上下に並んで3つ設けられている。3つの熱交換パスを、上から順に第1〜第3熱交換パス(P1)(P2)(P3)というものとする。各熱交換パス(P1)(P2)(P3)を構成する全ての熱交換管(2A)(2B)の冷媒流れ方向が同一となっているとともに、隣り合う2つの熱交換パスの熱交換管(2A)(2B)の冷媒流れ方向が異なっている。
【0042】
すなわち、コンデンサ(20)は、上端の第1熱交換パス(P1)を含みかつ連続して並んだ少なくとも2つ、ここでは第1および第2熱交換パス(P1)(P2)からなるグループ(G)を有するとともに、グループ(G)の下方に少なくとも1つ、ここでは第3熱交換パス(P3)が設けられている。グループ(G)おいて、冷媒は、上端の第1熱交換パス(P1)から下端の第2熱交換パス(P2)に向かって流れるようになっている。
【0043】
コンデンサ(1)の左端側に配置された第1ヘッダタンク(3)の上端は第2ヘッダタンク(4)の下端よりも上方、ここでは第2ヘッダタンク(4)の高さ方向の中程よりも若干上方の高さ位置にあり、第1ヘッダタンク(3)の下端は第2ヘッダタンク(4)の下端よりも下方に位置している。全熱交換管(2A)(2B)のうちグループ(G)の冷媒流れ方向最下流側に位置する下端の熱交換パスおよびグループ(G)よりも下方に位置する熱交換パス、ここでは第2および第3熱交換パス(P2)(P3)を構成する熱交換管(2A)の左端部が第1ヘッダタンク(3)における第2ヘッダタンク(4)よりも下方に位置する部分にろう付により接続されるとともに、同右端部が第3ヘッダタンク(5)にろう付により接続されている。また、残りの全熱交換パス、ここでは第1熱交換パス(P1)を構成する熱交換管(2B)の左右両端部は、第2ヘッダタンク(4)および第3ヘッダタンク(5)にろう付により接続されている。したがって、第2および第3熱交換パス(P2)(P3)を構成する熱交換管(2A)が第1熱交換管であり、第1熱交換パス(P1)を構成する熱交換管(2B)が第2熱交換管である。
【0044】
第1ヘッダタンク(3)の内容積は、第1ヘッダタンク(3)内に流入した気液混相冷媒のうち液相主体混相冷媒が重力により第1ヘッダタンク(3)内の下部に溜まるとともに、気液混相冷媒のうちの気相成分が重力により第1ヘッダタンク(3)内の上部に溜まり、これにより第3熱交換パス(P3)の第1熱交換管(2A)内には液相主体混相冷媒のみが流入するような内容積となっている。したがって、第1ヘッダタンク(3)は、重力を利用して気液を分離しかつ液を溜める受液部としての機能を有している。
【0045】
第3ヘッダタンク(5)内は、第2熱交換パス(P2)と第3熱交換パス(P3)との間の高さ位置に設けられたアルミニウム製仕切板(21)により上側ヘッダ部(22)と、下側ヘッダ部(23)とに区画されている。
【0046】
第2ヘッダタンク(4)における第1ヘッダタンク(3)の上端よりも上方に突出した部分に冷媒入口(14)が形成され、第3ヘッダタンク(5)の下側ヘッダ部(23)に冷媒出口(15)が形成されており、その結果グループ(G)においては、上述したように、冷媒が、上端の第1熱交換パス(P1)から下端の第2熱交換パス(P2)に向かって流れるようになっている。なお、第2ヘッダタンク(4)に、冷媒入口(14)に通じる冷媒入口部材(図示略)が接合され、第3ヘッダタンク(5)に、冷媒出口(15)に通じる冷媒出口部材(図示略)が接合されている。
【0047】
そして、第2ヘッダタンク(4)、第1ヘッダタンク(3)における第2熱交換パス(P3)の第2熱交換管(2B)が接続された部分、第3ヘッダタンク(5)の上側ヘッダ部(22)、ならびに第1および第2熱交換パス(P1)(P2)により冷媒を凝縮させる凝縮部(20A)が形成され、第1ヘッダタンク(3)における第3熱交換パス(P3)の第1熱交換管(2A)が接続された部分、第3ヘッダタンク(5)の下側ヘッダ部(23)および第3熱交換パス(P3)により冷媒を過冷却する過冷却部(20B)が形成され、グループ(G)の全熱交換パスである第1〜第2熱交換パス(P1)(P2)が冷媒を凝縮させる冷媒凝縮パスとなっているとともに、グループ(G)よりも下方に位置する第3熱交換パス(P3)が冷媒を過冷却する冷媒過冷却パスとなっている。
【0048】
その他の構成は図1〜図3に示すコンデンサと同様である。
【0049】
図4に示すコンデンサ(20)において、圧縮機により圧縮された高温高圧の気相冷媒が、冷媒入口部材および冷媒入口(14)を通って第2ヘッダタンク(4)内に流入し、第1熱交換パス(P1)の第2熱交換管(2B)内を右方に流れる間に凝縮させられて第3ヘッダタンク(5)の上側ヘッダ部(22)内に流入する。第3ヘッダタンク(5)の上側ヘッダ部(22)内に流入した冷媒は、第2熱交換パス(P2)の第1熱交換管(2A)内を左方に流れる間に凝縮させられて第1ヘッダタンク(3)内に流入する。
【0050】
第1ヘッダタンク(3)内に流入した冷媒は気液混相冷媒であり、当該気液混相冷媒のうち液相主体混相冷媒は重力により第1ヘッダタンク(3)内の下部に溜まり、第3熱交換パス(P3)の第1熱交換管(2A)内に入る。第3熱交換パス(P3)の第1熱交換管(2A)内に入った液相主体混相冷媒は第1熱交換管(2A)内を右方に流れる間に過冷却された後、第3ヘッダタンク(5)の下側ヘッダ部(23)内に入り、冷媒出口(15)および冷媒出口部材を通って流出し、膨張弁を経て蒸発器に送られる。
【0051】
一方、第1ヘッダタンク(3)内に流入した気液混相冷媒のうちの気相成分は、第1ヘッダタンク(3)内の上部に溜まる。
【0052】
図5に示すコンデンサ(30)の場合、上下に連続して並んだ複数の熱交換管(2A)(2B)からなる熱交換パス(P1)(P2)(P3)(P4)が上下に並んで4つ設けられている。4つの熱交換パスを、上から順に第1〜第4熱交換パス(P1)(P2)(P3)(P4)というものとする。各熱交換パス(P1)(P2)(P3)(P4)を構成する全ての熱交換管(2A)(2B)の冷媒流れ方向が同一となっているとともに、隣り合う2つの熱交換パスの熱交換管(2A)(2B)の冷媒流れ方向が異なっている。
【0053】
すなわち、コンデンサ(30)は、上端の第1熱交換パス(P1)を含みかつ連続して並んだ少なくとも2つ、ここでは第1および第2熱交換パス(P1)(P2)からなるグループ(G)を有するとともに、グループ(G)の下方に少なくとも1つ、ここでは第3および第4熱交換パス(P3)(P4)が設けられている。グループ(G)おいて、冷媒は、上端の第1熱交換パス(P1)から下端の第2熱交換パス(P2)に向かって流れるようになっている。
【0054】
全熱交換管(2A)(2B)のうちグループ(G)の冷媒流れ方向最下流側に位置する下端の熱交換パスおよびグループ(G)よりも下方に位置する熱交換パス、ここでは第2〜第4熱交換パス(P2)(P3)(P4)を構成する熱交換管(2A)の左端部が第1ヘッダタンク(3)における第2ヘッダタンク(4)よりも下方に位置する部分にろう付により接続されるとともに、同右端部が第3ヘッダタンク(5)にろう付により接続されている。また、残りの全熱交換パス、ここでは第1熱交換パス(P1)を構成する熱交換管(2B)の左右両端部は、第2ヘッダタンク(4)および第3ヘッダタンク(5)にろう付により接続されている。したがって、第2〜第4熱交換パス(P2)(P3)(P4)を構成する熱交換管(2A)が第1熱交換管であり、第1熱交換パス(P1)を構成する熱交換管(2B)が第2熱交換管である。
【0055】
第1ヘッダタンク(3)内は、第3熱交換パス(P3)と第4熱交換パス(P4)との間の高さ位置に設けられたアルミニウム製仕切板(31)により上側ヘッダ部(32)と下側ヘッダ部(33)とに区画され、第3ヘッダタンク(5)内は、第2熱交換パス(P2)と第3熱交換パス(P3)との間の高さ位置に設けられたアルミニウム製仕切板(34)により上側ヘッダ部(35)と下側ヘッダ部(36)とに区画され、第2ヘッダタンク(4)における第1ヘッダタンク(3)の上端よりも上方に突出した部分に冷媒入口(14)が形成され、第1ヘッダタンク(3)の下側ヘッダ部(33)に冷媒出口(15)が形成されている。その結果、グループ(G)においては、上述したように、冷媒が、上端の第1熱交換パス(P1)から下端の第2熱交換パス(P2)に向かって流れるようになっている。なお、第2ヘッダタンク(5)に、冷媒入口(14)に通じる冷媒入口部材(図示略)が接合され、第1ヘッダタンク(3)に、冷媒出口(15)に通じる冷媒出口部材(図示略)が接合されている。
【0056】
第1ヘッダタンク(3)の上側ヘッダ部(32)の内容積は、第1ヘッダタンク(3)の上側ヘッダ部(32)内に流入した気液混相冷媒のうち液相主体混相冷媒が重力により第1ヘッダタンク(3)の上側ヘッダ部(32)内の下部に溜まるとともに、気液混相冷媒のうちの気相成分が重力により第1ヘッダタンク(3)の上側ヘッダ部(32)内の上部に溜まり、これにより第3熱交換パス(P3)の第1熱交換管(2A)内には液相主体混相冷媒のみが流入するような内容積となっている。したがって、第1ヘッダタンク(3)は、重力を利用して気液を分離しかつ液を溜める受液部としての機能を有している。
【0057】
そして、第2ヘッダタンク(4)、第1ヘッダタンク(3)の上側ヘッダ部(32)における第2熱交換パス(P2)の第1熱交換管(2A)が接続された部分、第3ヘッダタンク(5)の上側ヘッダ部(35)、ならびに第1および第2熱交換パス(P1)(P2)により冷媒を凝縮させる凝縮部(30A)が形成され、第1ヘッダタンク(3)の上側ヘッダ部(32)における第3熱交換パス(P3)の第1熱交換管(2A)が接続された部分、第1ヘッダタンク(3)の下側ヘッダ部(33)、第3ヘッダタンク(5)の下側ヘッダ部(36)、ならびに第3および第4熱交換パス(P3)(P4)により冷媒を過冷却する過冷却部(30B)が形成され、グループ(G)の全熱交換パスである第1および第2熱交換パス(P1)(P2)が冷媒を凝縮させる冷媒凝縮パスとなっているとともに、グループ(G)よりも下方に位置する第3および第4熱交換パス(P3)(P4)が冷媒を過冷却する冷媒過冷却パスとなっている。
【0058】
その他の構成は図4に示すコンデンサと同様である。
【0059】
図5に示すコンデンサ(30)において、圧縮機により圧縮された高温高圧の気相冷媒が、冷媒入口部材および冷媒入口(14)を通って第2ヘッダタンク(4)内に流入し、第1熱交換パス(P1)の第2熱交換管(2B)内を右方に流れる間に凝縮させられて第3ヘッダタンク(5)の上側ヘッダ部(35)内に流入する。第3ヘッダタンク(5)の上側ヘッダ部(35)内に流入した冷媒は第2熱交換パス(P2)の第1熱交換管(2A)内を左方に流れる間に凝縮させられて第1ヘッダタンク(3)の上側ヘッダ部(32)内に流入する。
【0060】
第1ヘッダタンク(3)の上側ヘッダ部(32)内に流入した冷媒は気液混相冷媒であり、当該気液混相冷媒のうち液相主体混相冷媒は重力により第1ヘッダタンク(3)の上側ヘッダ部(32)内の下部に溜まり、第3熱交換パス(P3)の第1熱交換管(2A)内に入る。第3熱交換パス(P3)の第1熱交換管(2A)内に入った液相主体混相冷媒は第1熱交換管(2A)内を右方に流れる間に過冷却された後、第3ヘッダタンク(5)の下側ヘッダ部(36)内に流入する。第3ヘッダタンク(5)の下側ヘッダ部(36)内に流入した液相主体混相冷媒は、第4熱交換パス(P4)の第1熱交換管(2A)内を左方に流れる間に過冷却された後、第1ヘッダタンク(3)の下側ヘッダ部(33)内に入り、冷媒出口(15)および冷媒出口部材を通って流出し、膨張弁を経て蒸発器に送られる。
【0061】
一方、第1ヘッダタンク(3)の上側ヘッダ部(32)内に流入した気液混相冷媒のうちの気相成分は、第1ヘッダタンク(3)の上側ヘッダ部(32)内の上部に溜まる。
【0062】
図6に示すコンデンサ(40)の場合、上下に連続して並んだ複数の熱交換管(2A)(2B)からなる熱交換パス(P1)(P2)(P3)(P4)(P5)が上下に並んで5つ設けられている。5つの熱交換パスを、上から順に第1〜第5熱交換パス(P1)(P2)(P3)(P4)(P5)というものとする。各熱交換パス(P1)(P2)(P3)(P4)(P5)を構成する全ての熱交換管(2A)(2B)の冷媒流れ方向が同一となっているとともに、隣り合う2つの熱交換パスの熱交換管(2A)(2B)の冷媒流れ方向が異なっている。
【0063】
すなわち、コンデンサ(40)は、上端の第1熱交換パス(P1)を含みかつ連続して並んだ少なくとも2つ、ここでは第1〜第3熱交換パス(P1)(P2)(P3)からなるグループ(G)を有するとともに、グループ(G)の下方に少なくとも1つ、ここでは第4および第5熱交換パス(P4)(P5)が設けられている。グループ(G)おいて、冷媒は、上端の第1熱交換パス(P1)から下端の第3熱交換パス(P3)に向かって流れるようになっている。
【0064】
全熱交換管(2A)(2B)のうちグループ(G)の冷媒流れ方向最下流側に位置する下端の熱交換パスおよびグループ(G)よりも下方に位置する熱交換パス、ここでは第3〜第5熱交換パス(P3)(P4)(P5)を構成する熱交換管(2A)の左端部が第1ヘッダタンク(3)における第2ヘッダタンク(4)よりも下方に位置する部分にろう付により接続されるとともに、同右端部が第3ヘッダタンク(5)にろう付により接続されている。また、残りの全熱交換パス、ここでは第1および第2熱交換パス(P1)(P2)を構成する熱交換管(2B)の左右両端部は、第2ヘッダタンク(4)および第3ヘッダタンク(5)にろう付により接続されている。したがって、第3〜第5熱交換パス(P3)(P4)(P5)を構成する熱交換管(2A)が第1熱交換管であり、第1および第2熱交換パス(P1)(P2)を構成する熱交換管(2B)が第2熱交換管である。
【0065】
第1ヘッダタンク(3)内は、第4熱交換パス(P4)と第5熱交換パス(P5)との間の高さ位置に設けられたアルミニウム製仕切板(41)により上側ヘッダ部(42)と下側ヘッダ部(43)とに区画され、第3ヘッダタンク(5)内は、第1熱交換パス(P1)と第2熱交換パス(P2)との間の高さ位置、および第3熱交換パス(P3)と第4熱交換パス(P4)との間の高さ位置にそれぞれ設けられたアルミニウム製仕切板(44)(45)により上側ヘッダ部(46)と、中間ヘッダ部(47)と、下側ヘッダ部(48)とに区画され、第3ヘッダタンク(5)の上側ヘッダ部(46)に冷媒入口(14)が形成され、第1ヘッダタンク(3)の下側ヘッダ部(43)に冷媒出口(15)が形成されている。その結果、グループ(G)においては、上述したように、冷媒が、上端の第1熱交換パス(P1)から下端の第3熱交換パス(P3)に向かって流れるようになっている。なお、第3ヘッダタンク(5)に冷媒入口(14)に通じる冷媒入口部材(図示略)が接合され、第1ヘッダタンク(3)に冷媒出口(15)に通じる冷媒出口部材(図示略)が接合されている。
【0066】
第1ヘッダタンク(3)の上側ヘッダ部(42)の内容積は、第1ヘッダタンク(3)の上側ヘッダ部(42)内に流入した気液混相冷媒のうち液相主体混相冷媒が重力により第1ヘッダタンク(3)の上側ヘッダ部(42)内の下部に溜まるとともに、気液混相冷媒のうちの気相成分が重力により第1ヘッダタンク(3)の上側ヘッダ部(42)内の上部に溜まり、これにより第4熱交換パス(P4)の第1熱交換管(2A)内には液相主体混相冷媒のみが流入するような内容積となっている。したがって、第1ヘッダタンク(3)は、重力を利用して気液を分離しかつ液を溜める受液部としての機能を有している。
【0067】
そして、第2ヘッダタンク(4)、第1ヘッダタンク(3)の上側ヘッダ部(42)における第3熱交換パス(P3)の第1熱交換管(2A)が接続された部分、第3ヘッダタンク(5)の上側ヘッダ部(46)および中間ヘッダ部(47)、ならびに第1〜第3熱交換パス(P1)(P2)(P3)により冷媒を凝縮させる凝縮部(40A)が形成され、第1ヘッダタンク(3)の上側ヘッダ部(42)における第4熱交換パス(P4)の第1熱交換管(2A)が接続された部分、第1ヘッダタンク(3)の下側ヘッダ部(43)、第3ヘッダタンク(5)の下側ヘッダ部(48)、ならびに第4および第5熱交換パス(P4)(P5)により冷媒を過冷却する過冷却部(40B)が形成され、グループ(G)の全熱交換パスである第1〜第3熱交換パス(P1)(P2)(P3)が冷媒を凝縮させる冷媒凝縮パスとなっているとともに、グループ(G)よりも下方に位置する第4および第5熱交換パス(P4)(P5)が冷媒を過冷却する冷媒過冷却パスとなっている。
【0068】
その他の構成は図4に示すコンデンサと同様である。
【0069】
図6に示すコンデンサ(40)において、圧縮機により圧縮された高温高圧の気相冷媒が、冷媒入口部材および冷媒入口(14)を通って第3ヘッダタンク(5)の上側ヘッダ部(46)内に流入し、第1熱交換パス(P1)の第2熱交換管(2B)内を左方に流れる間に凝縮させられて第2ヘッダタンク(4)内に流入する。第2ヘッダタンク(4)内に流入した冷媒は第2熱交換パス(P2)の第2熱交換管(2B)内を右方に流れる間に凝縮させられて第3ヘッダタンク(5)の中間ヘッダ部(47)内に流入し、第3熱交換パス(P3)の第1熱交換管(2A)内を左方に流れる間に凝縮させられて第1ヘッダタンク(3)の上側ヘッダ部(42)内に流入する。
【0070】
第1ヘッダタンク(3)の上側ヘッダ部(42)内に流入した冷媒は気液混相冷媒であり、当該気液混相冷媒のうち液相主体混相冷媒は重力により第1ヘッダタンク(3)の上側ヘッダ部(42)内の下部に溜まり、第4熱交換パス(P4)の第1熱交換管(2A)内に入る。第4熱交換パス(P4)の第1熱交換管(2A)内に入った液相主体混相冷媒は第1熱交換管(2A)内を右方に流れる間に過冷却された後、第3ヘッダタンク(5)の下側ヘッダ部(48)内に流入する。第3ヘッダタンク(5)の下側ヘッダ部(48)内に流入した液相主体混相冷媒は、第5熱交換パス(P5)の第1熱交換管(2A)内を左方に流れる間に過冷却された後、第1ヘッダタンク(3)の下側ヘッダ部(43)内に入り、冷媒出口(15)および冷媒出口部材を通って流出し、膨張弁を経て蒸発器に送られる。
【0071】
一方、第1ヘッダタンク(3)の上側ヘッダ部(42)内に流入した気液混相冷媒のうちの気相成分は、第1ヘッダタンク(3)の上側ヘッダ部(42)内の上部に溜まる。
【0072】
図7に示すコンデンサ(50)の場合、上下に連続して並んだ複数の熱交換管(2A)(2B)からなる熱交換パス(P1)(P2)(P3)(P4)が上下に並んで4つ設けられている。上側の3つの熱交換パスを、下から順に第1〜第3熱交換パス(P1)(P2)(P3)というものとし、下端の熱交換パスを第4熱交換パス(P4)というものとする。各熱交換パス(P1)(P2)(P3)(P4)を構成する全ての熱交換管(2A)(2B)の冷媒流れ方向が同一となっているとともに、隣り合う2つの熱交換パスの熱交換管(2A)(2B)の冷媒流れ方向が異なっている。
【0073】
すなわち、コンデンサ(50)は、上端の第3熱交換パス(P3)を含みかつ連続して並んだ少なくとも2つ、ここでは第1〜第3熱交換パス(P1)(P2)(P3)からなるグループ(G)を有するとともに、グループ(G)の下方に少なくとも1つ、ここでは第4熱交換パス(P4)が設けられている。グループ(G)おいて、冷媒は、下端の第1熱交換パス(P1)から上端の第3熱交換パス(P3)に向かって流れるようになっている。
【0074】
コンデンサ(1)の左端側に配置された第1ヘッダタンク(3)の上端は第2ヘッダタンク(4)の上端よりも上方に位置するとともに、第1ヘッダタンク(3)の下端は第2ヘッダタンク(4)の下端よりも下方に位置している。全熱交換管(2A)(2B)のうちグループ(G)の冷媒流れ方向最下流側に位置する上端の熱交換パス、ここでは第3熱交換パス(P3)を構成する第1熱交換管(2A)の左端部が第1ヘッダタンク(3)における第2ヘッダタンク(4)よりも上方に位置する部分にろう付により接続され、グループ(G)よりも下方に位置する熱交換パス、ここでは第4熱交換パス(P4)を構成する熱交換管(2A)の左端部が第1ヘッダタンク(3)における第2ヘッダタンク(4)よりも下方に位置する部分にろう付により接続されている。さらに、第3および第4熱交換パス(P3)(P4)を構成する第1熱交換管(2A)の右端部が第3ヘッダタンク(5)にろう付により接続されている。また、残りの全熱交換パス、ここでは第1および第2熱交換パス(P1)(P2)を構成する熱交換管(2B)の左右両端部は、第2ヘッダタンク(4)および第3ヘッダタンク(5)にろう付により接続されている。したがって、第3および第4熱交換パス(P3)(P4)を構成する熱交換管(2A)が第1熱交換管であり、第1および第2熱交換パス(P1)(P2)を構成する熱交換管(2B)が第2熱交換管である。
【0075】
第1ヘッダタンク(3)の内容積は、第1ヘッダタンク(3)内に流入した気液混相冷媒のうち液相主体混相冷媒が重力により第1ヘッダタンク(3)内の下部に溜まるとともに、気液混相冷媒のうちの気相成分が重力により第1ヘッダタンク(3)内の上部に溜まり、これにより第4熱交換パス(P4)の第1熱交換管(2A)内には液相主体混相冷媒のみが流入するような内容積となっている。したがって、第1ヘッダタンク(3)は、重力を利用して気液を分離しかつ液を溜める受液部としての機能を有している。
【0076】
第3ヘッダタンク(5)内は、第1熱交換パス(P1)と第2熱交換パス(P2)との間の高さ位置、および第1熱交換パス(P1)と第4熱交換パス(P4)との間の高さ位置にそれぞれ高さ位置に設けられたアルミニウム製仕切板(51)(52)により中間ヘッダ部(53)と、上側ヘッダ部(54)と、下側ヘッダ部(55)とに区画され、第3ヘッダタンク(5)の中間ヘッダ部(53)の下端部に冷媒入口(14)が形成され、第3ヘッダタンク(5)の下側ヘッダ部(55)に冷媒出口(15)が形成されている。また、第1熱交換パス(P1)の第2熱交換管(2B)の左端部は第2ヘッダタンク(4)に、同右端部は第3ヘッダタンク(5)の中間ヘッダ部(53)にそれぞれ接続され、第2熱交換パス(P2)の第2熱交換管(2B)の左端部は第2ヘッダタンク(4)に、同右端部は第3ヘッダタンク(5)の上側ヘッダ部(54)にそれぞれ接続され、第3熱交換パス(P3)の第1熱交換管(2A)の左端部は第1ヘッダタンク(3)に、同右端部は第3ヘッダタンク(5)の上側ヘッダ部(54)にそれぞれ接続され、第4熱交換パス(P4)の第1熱交換管(2A)の左端部は第1ヘッダタンク(3)に、同右端部は第3ヘッダタンク(5)の下側ヘッダ部(55)にそれぞれ接続されている。その結果、グループ(G)においては、上述したように、冷媒が、下端の第1熱交換パス(P1)から上端の第3熱交換パス(P3)に向かって流れるようになっている。なお、第3ヘッダタンク(5)に、冷媒入口(14)に通じる冷媒入口部材(図示略)および冷媒出口(15)に通じる冷媒出口部材(図示略)が接合されている。
【0077】
そして、第2ヘッダタンク(4)、第1ヘッダタンク(3)における第3熱交換パス(P3)の第1熱交換管(2A)が接続された部分、第3ヘッダタンク(5)の中間ヘッダ部(53)および上側ヘッダ部(54)、ならびに第1〜第3熱交換パス(P1)〜(P3)により冷媒を凝縮させる凝縮部(50A)が形成され、第1ヘッダタンク(3)における第4熱交換パス(P4)の第1熱交換管(2A)が接続された部分、第3ヘッダタンク(5)の下側ヘッダ部(55)および第4熱交換パス(P4)により冷媒を過冷却する過冷却部(20B)が形成され、グループ(G)の全熱交換パスである第1〜第3熱交換パス(P1)〜(P3)が冷媒を凝縮させる冷媒凝縮パスとなっているとともに、グループ(G)よりも下方に位置する第4熱交換パス(P4)が冷媒を過冷却する冷媒過冷却パスとなっている。
【0078】
その他の構成は図1〜図3に示すコンデンサと同様である。
【0079】
図7に示すコンデンサ(50)において、圧縮機により圧縮された高温高圧の気相冷媒が、冷媒入口部材および冷媒入口(14)を通って第3ヘッダタンク(5)の中間ヘッダ部(53)内に流入し、第1熱交換パス(P1)の第2熱交換管(2B)内を左方に流れる間に凝縮させられて第2ヘッダタンク(4)内に流入する。第2ヘッダタンク(4)内に流入した冷媒は、第2熱交換パス(P2)の第2熱交換管(2B)内を右方に流れる間に凝縮させられて第3ヘッダタンク(5)の上側ヘッダ部(54)内に流入する。第3ヘッダタンク(5)の上側ヘッダ部(54)内に流入した冷媒は第3熱交換パス(P3)の第1熱交換管(2A)内を左方に流れる間に凝縮させられて第1ヘッダタンク(3)内に流入する。
【0080】
第1ヘッダタンク(3)内に流入した冷媒は気液混相冷媒であり、当該気液混相冷媒のうち液相主体混相冷媒は重力により第1ヘッダタンク(3)内の下部に溜まり、第4熱交換パス(P4)の第1熱交換管(2A)内に入る。第4熱交換パス(P4)の第1熱交換管(2A)内に入った液相主体混相冷媒は第1熱交換管(2A)内を右方に流れる間に過冷却された後、第3ヘッダタンク(5)の下側ヘッダ部(55)内に入り、冷媒出口(15)および冷媒出口部材を通って流出し、膨張弁を経て蒸発器に送られる。
【0081】
一方、第1ヘッダタンク(3)内に流入した気液混相冷媒のうちの気相成分は、第1ヘッダタンク(3)内の上部に溜まる。
【0082】
図4〜図7に示すコンデンサ(20)(30)(40)(50)の場合も、第1および第2熱交換管(2A)(2B)はアルミニウム押出形材製であり、幅方向に並んだ複数の冷媒通路(19A)(19B)を有しており、第1熱交換管(2A)の相当直径は第2熱交換管(2B)の相当直径よりも大きくなっている。また、第1および第2熱交換管(2A)(2B)の外形は同一であることが好ましく、第1ヘッダタンクに接続された第1熱交換管(2A)の数をn、全熱交換管(2A)(2B)の数をNとした場合、0.15≦n/N≦0.25という関係を満たしていることが好ましい。
【0083】
図1〜図7に示すコンデンサ(1)(20)(30)(40)(50)において、第1ヘッダタンク(3)内に、乾燥剤やフィルタが配置されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0084】
この発明によるコンデンサは、自動車に搭載されるカーエアコンに好適に用いられる。
【符号の説明】
【0085】
(1)(20)(30)(40)(50):コンデンサ
(1A)(20A)(30A)(40A)(50A):凝縮部
(1B)(20B)(30B)(40B)(50B):過冷却部
(2A):第1熱交換管
(2B):第2熱交換管
(3):第1ヘッダタンク
(4):第2ヘッダタンク
(5):第3ヘッダタンク
(6A):第1コルゲートフィン
(6B):第2コルゲートフィン
(G):グループ
(P1):第1熱交換パス
(P2):第2熱交換パス
(P3):第3熱交換パス
(P4):第4熱交換パス
(P5):第5熱交換パス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長さ方向を左右方向に向けるとともに上下方向に間隔をおいて並列状に配置された複数の熱交換管と、長さ方向を上下方向に向けて配置されるとともに熱交換管の左右両端部が接続されたヘッダタンクとを備え、上下に連続して並んだ複数の熱交換管からなる熱交換パスが上下に並んで3以上設けられており、上端の熱交換パスを含みかつ連続して並んだ少なくとも2つの熱交換パスからなるグループを有するとともに、前記グループの下方に少なくとも1つの熱交換パスが設けられ、前記グループにおいて、冷媒が、上下いずれか一端の熱交換パスから同他端の熱交換パスに向かって流れるようになされ、左右いずれか一端部側に、前記グループにおける冷媒流れ方向最下流側の熱交換パスを構成する熱交換管、および前記グループよりも下方に設けられた熱交換パスを構成する熱交換管が接続される第1ヘッダタンクと、残りの熱交換パスを構成する熱交換管が接続される第2ヘッダタンクとが設けられ、第1ヘッダタンクが、第2ヘッダタンクよりも左右方向外側に配置されるとともに、第1ヘッダタンクの上端が第2ヘッダタンクの下端よりも上方に位置しており、第1ヘッダタンクが気液を分離しかつ液を溜める機能を有しているコンデンサにおいて、
第1ヘッダタンクに接続された第1の熱交換管の相当直径が、第2ヘッダタンクに接続された第2の熱交換管の相当直径よりも大きくなっているコンデンサ。
【請求項2】
第1ヘッダタンクに接続された第1熱交換管の横断面形状の外形と、第2ヘッダタンクに接続された第2熱交換管の横断面形状の外形とが同一である請求項1記載のコンデンサ。
【請求項3】
第1ヘッダタンクに接続された第1熱交換管の数をn、全熱交換管の数をNとした場合、0.15≦n/N≦0.25という関係を満たす請求項1または2記載のコンデンサ。
【請求項4】
前記グループの全熱交換パスが、冷媒を凝縮させる冷媒凝縮パスであり、前記グループよりも下方に位置する熱交換パスが、冷媒を過冷却する冷媒過冷却パスである請求項1〜3のうちのいずれかに記載のコンデンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−241935(P2012−241935A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−110048(P2011−110048)
【出願日】平成23年5月17日(2011.5.17)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【Fターム(参考)】