コンデンサ
【課題】電極の酸化膜を誘電体層に用いたコンデンサにおいて、高い耐電圧を得る。
【解決手段】本発明のコンデンサは、金属からなる陽極1と、陽極1の表面上に形成され、陽極1を構成する金属の酸化物を含む第1の誘電体層3と、金属からなる陰極2と、陰極2の表面上に形成され、陰極2を構成する金属の酸化物を含む第2の誘電体層4とを備え、第1の誘電体層3と第2の誘電体層4とが対向して、陽極1と陰極2とが積層されていることを特徴としている。
【解決手段】本発明のコンデンサは、金属からなる陽極1と、陽極1の表面上に形成され、陽極1を構成する金属の酸化物を含む第1の誘電体層3と、金属からなる陰極2と、陰極2の表面上に形成され、陰極2を構成する金属の酸化物を含む第2の誘電体層4とを備え、第1の誘電体層3と第2の誘電体層4とが対向して、陽極1と陰極2とが積層されていることを特徴としている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、陽極と陰極とを絶縁体を介して積層したコンデンサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、陽極と陰極とを絶縁体を介して積層したコンデンサとして、陽極となるタンタル箔の表面に化成により酸化膜を形成し、酸化膜の表面に陰極となる金属膜を形成したコンデンサが提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、特許文献1のコンデンサでは、タンタル箔に形成した酸化膜にクラック等の欠陥部が発生した場合、欠陥部を介して絶縁破壊が起こり、耐電圧が低下するという課題がある。
【特許文献1】特開平9−260217号公報
【特許文献2】特開平9−162081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、電極の酸化膜を誘電体層に用いたコンデンサにおいて、高い耐電圧を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のコンデンサは、金属からなる陽極と、陽極の表面上に形成され、陽極を構成する金属の酸化物を含む第1の誘電体層と、金属からなる陰極と、陰極の表面上に形成され、陰極を構成する金属の酸化物を含む第2の誘電体層とを備え、第1の誘電体層と第2の誘電体層とが対向して、陽極と陰極とが積層されていることを特徴とする。
【0006】
本発明のコンデンサによると、陽極と陰極との間に、第1の誘電体層と第2の誘電体層とが介在するため、どちらか一方の誘電体層にクラック等の欠陥部がある場合でも、他方の誘電体層の存在により欠陥部が陽極−陰極間で繋がりにくくなり、陽極と陰極が短絡しにくくなるため、耐電圧を向上させることができる。
【0007】
また、本発明のコンデンサでは、第1の誘電体層と第2の誘電体層との間に絶縁性の接着層が介在していることが好ましい。これにより、第1の誘電体層が形成された陽極と第2の誘電体層が形成された陰極とが接着層により固定され、コンデンサの機械的強度を増加させることができる。
【0008】
また、本発明のコンデンサでは、第1の誘電体層及び第2の誘電体層の内のいずれか一方の膜厚が他方の膜厚よりも小さいことが好ましい。誘電体層となる金属の酸化膜を化成により形成する場合、誘電体層を厚く形成するために、高電圧で化成すると、誘電体層が脆化して、クラックが発生しやすくなることが従来から知られている(特許文献2参照)。そのため、第1の誘電体層及び第2の誘電体層の内のいずれか一方の膜厚を他方の膜厚よりも小さくすることにより、膜厚の小さい方の一方の誘電体層をクラックが発生しにくい膜とすることができるため、陽極−陰極間でクラックがさらに繋がりにくくなり、より高い耐電圧を得ることができる。
【0009】
また、本発明のコンデンサでは、第1の誘電体層が陽極の化成により形成された酸化膜であり、第2の誘電体層が陰極の化成により形成された酸化膜であることが好ましい。これにより、陽極上において一様な膜厚の第1の誘電体層を形成することができ、陰極上において一様な膜厚の第2の誘電体層を形成することができる。その結果、膜厚の薄い箇所に電圧が集中して、絶縁破壊することが少なくなり、より高い耐電圧を得ることができる。
【0010】
また、本発明のコンデンサでは、複数の陽極と複数の陰極とが交互に重なって積層されている積層型のコンデンサにおいて、耐電圧を向上させることができる。
【0011】
また、本発明のコンデンサでは、1枚の陽極と1枚の陰極とが積層され、渦巻状に巻回されている巻回型のコンデンサにおいて、耐電圧を向上させることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明のコンデンサによれば、電極の酸化膜を誘電体層に用いて、高い耐電圧を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態の積層型のコンデンサを示す模式的断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態の積層型のコンデンサの外装体を形成する前までの構成を示す模式的斜視図である。
【図3】コンデンサの誘電体層中のクラックを説明する図である。
【図4】本発明の第2実施形態の積層型のコンデンサを示す模式的断面図である。
【図5】本発明の第3実施形態の巻回型のコンデンサを示す模式的断面図である。
【図6】本発明の第3実施形態の巻回型のコンデンサの外装体を形成する前までの構成を示す模式的斜視図である。
【図7】本発明の第3実施形態の巻回型のコンデンサの製造工程を示す図である。
【図8】本発明の第3実施形態の巻回型のコンデンサの製造工程を示す図である。
【図9】実施例1のコンデンサを示す図である。
【図10】比較例1のコンデンサを示す図である。
【図11】実施例2のコンデンサを示す図である。
【図12】実施例3のコンデンサを示す図である。
【図13】比較例2のコンデンサを示す図である。
【図14】実施例1、2のコンデンサの電極間に流れる電流の経時変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明について具体的な実施の形態により説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0015】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態の積層型のコンデンサを示す模式的断面図である。また、図2は、本発明の第1実施形態の積層型のコンデンサの外装体を形成する前までの構成についての模式的斜視図である。なお、図2において、外装体8の形成される場所を点線で示した。
【0016】
図1、図2に示すように、矩形形状の金属箔からなる複数の陽極1と複数の陰極2が、1枚ずつ交互に重なって積層されている。陽極1の一方の端部1aを除く表面全域(上下面、両側面、他方の端部の端面)には、陽極1を構成する金属の酸化物からなる第1の誘電体層3が形成されている。また、陰極2の一方の端部2aを除く表面全域(上下面、両側面、他方の端部の端面)には、陰極2を構成する金属の酸化物からなる第2の誘電体層4が形成されている。
【0017】
そして、陽極1と陰極2は、第1の誘電体層3と第2の誘電体層4とが互いに対向して積層されている。本実施形態では、第1の誘電体層3と第2の誘電体層4との間には、何も介在しておらず、第1の誘電体層3と第2の誘電体層4が接触している。
【0018】
また、陽極1と陰極2は、第1の誘電体層3が形成されていない陽極1の端部1aと第2の誘電体層4が形成されていない陰極2の端部2aが互いに反対方向に引き出されて、積層されている。
【0019】
陽極1の端部1aの表面には、第1の誘電体層3が形成されておらず、積層された全ての陽極1は、端部1aにおいて接続部61を介して互いに電気的に接続されている。また、陰極2の端部2aの表面には、第2の誘電体層4が形成されておらず、積層された全ての陰極2は、端部2aにおいて接続部62を介して互いに電気的に接続されている。
【0020】
陽極1同士を互いに電気的に接続する方法としては、メタリコン(金属溶射)により複数の陽極1の端部1a全体を覆うと共に端部1a間に入り込むように亜鉛等の金属からなる接続部61を形成することにより行うことができる。このようにして複数の陽極1の端部1aが、接続部61を介して互いに電気的に接続されることにより、陽極1同士が互いに電気的に接続される。また、陰極2同士も陽極1と同様に、複数の陰極2の端部2a全体を覆うと共に端部2a間に入り込むように形成された接続部62を介して、互いに電気的に接続される。
【0021】
また、陽極1同士を電気的に接続する別の方法として、端部1aを互いに直接接触するように折り曲げて、端部1aの接触部を溶接するなどの方法により、互いに電気的に接続させることもできる。陰極2同士についても、陽極1と同様にして、端部2aを互いに直接接触するように折り曲げ、端部2aの接触部を溶接して、互いに電気的に接続させる。
【0022】
接続部61の上面には、外部への取り出し電極71が電気的に接続されている。また、接続部62の上面には、外部への取り出し電極72が電気的に接続されている。この取り出し電極71及び72は、図2に示すように、陽極1及び陰極2の長手方向と直交する方向で、且つ、陽極1及び陰極2の上面から同一方向に引き出されている。
【0023】
ここで、取り出し電極71は、陽極1及び陰極2の長手方向と直交する方向での接続部61の端部において、陽極1及び陰極2の積層方向に折れ曲がっている。また、取り出し電極72は、陽極1及び陰極2の長手方向と直交する方向での接続部62の端部において、陽極1及び陰極2の積層方向に折れ曲がっている。
【0024】
また、上述の陽極1、陰極2、第1の誘電体層3及び第2の誘電体層4を覆うように外装体8が形成されている。取り出し電極7は部分的に外装体8に覆われており、一部は外装体8の外に露出している。外装体8の材料としては、エポキシ樹脂等の絶縁性の高分子材料を用いる。
【0025】
ここで、陽極1又は陰極2を構成する金属としては、弁作用金属またはその合金を用いることが好ましい。弁作用金属またはその合金を用いることにより、化成等の方法で容易に表面に酸化膜を形成することができる。弁作用金属としては、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン、ハフニウム、ジルコニウム等の金属を用いることができる。また、弁作用金属の合金としては、弁作用金属同士の合金又は弁作用金属と弁作用金属以外の金属との合金を用いることができる。これらの中でも、酸化物が高温でも比較的安定であるタンタル、ニオブ、アルミニウム、チタンが特に好ましく用いられる。
【0026】
また、陽極1又は陰極2として、銅、金、銀等の導電性が高い材料の表面に弁作用金属を形成したものでもよい。こうすることで、陽極1又は陰極2の導電性を高めながら、表面に容易に酸化膜を形成することができる。
【0027】
第1の誘電体層3又は第2の誘電体層4としては、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化チタン等の陽極1又は陰極2を構成する金属の酸化膜を用いることができる。また、第1の誘電体層3又は第2の誘電体層4として、陽極1又は陰極2を構成する金属の酸化膜を形成する際に、他の金属元素を含む溶液を用いて形成されたSrTiO3、CaTiO3、MgTiO3、BaTiO3,(Ba,Sr)TiO3、PbTiO3、Pb(Zr,Ti)O3、(Pb,La)(Zr,Ti)O3、Pb(Mg,Nb)O3等の誘電率の高い酸化膜を用いてもよい。
【0028】
次に、第1実施形態に係るコンデンサの製造方法について、以下に示す。
【0029】
箔状の弁作用金属からなる陽極1を複数枚用意し、陽極1の端部1a以外の部分を電解質溶液に浸漬し、電圧を印加して(化成して)、陽極1の電解質溶液に浸漬した部分の表面全域に陽極1を構成する金属の酸化膜からなる第1の誘電体層3を形成する。
【0030】
同様に、箔状の弁作用金属からなる陰極2を複数用意し、陰極2の端部2a以外の部分を電解質溶液に浸漬し、電圧を印加して、陰極2の電解質溶液に浸漬した部分の表面全域に陰極2を構成する金属の酸化膜からなる第2の誘電体層4を形成する。
【0031】
次に、陽極1の第1の誘電体層3が形成された部分と陰極2の第2の誘電体層4が形成された部分を交互に重ね合わせることにより、第1の誘電体層3と第2の誘電体層4を対向させて、複数の陽極1と陰極2を積層する。本実施形態では、陽極1と陰極2を各5枚ずつ用いて積層した。
【0032】
一方、第1の誘電体層3が形成されていない複数の陽極1の端部1aは、同一方向に引き出されて配置される。この複数の端部1aに、メタリコン(金属溶射)により複数の陽極1の端部1a全体を覆うと共に端部1a間に入り込むように亜鉛等の金属からなる接続部61を形成する。これにより、複数の陽極1同士が電気的に接続される。また、同様にして、第2の誘電体層4が形成されていない複数の陰極2の端部2aは、陽極1の端部1aが引き出される方向とは反対側の方向に引き出されて配置される。この陰極2の端部2aに、複数の陰極2の端部2a全体を覆うと共に端部2a間に入り込むように亜鉛等の金属からなる接続部62を形成する。これにより、複数の陰極2同士が電気的に接続される。
【0033】
上述の電気的接続部61に、取り出し電極71を導電性接着剤により固定し、陽極1と取り出し電極71を電気的に接続する。また、上述の電気的接続部62に、取り出し電極72を導電性接着剤により固定し、陰極2と取り出し電極72を電気的に接続する。
【0034】
最後に、溶融したエポキシ樹脂で陽極1、陰極2、第1の誘電体層3、第2の誘電体層4を覆い、エポキシ樹脂を硬化させることにより、外装体8を形成する。このようにして、第1実施形態に係るコンデンサを作製する。ここで、外装体8は、陽極1、陰極2、第1の誘電体層3、第2の誘電体層4を樹脂のシートで挟み込んで、加熱圧着することにより、形成してもよい。
【0035】
次に、本発明のコンデンサにおいて、耐電圧が向上する理由について説明する。
【0036】
図3は、本発明のコンデンサの誘電体層中のクラックを説明する図である。図3に示すように、本実施形態のコンデンサでは、陽極1と陰極2との間に、第1の誘電体層3及び第2の誘電体層4が介在するため、どちらか一方の誘電体層中にクラック9がある場合でも、他方の誘電体層の存在により、クラック9が陽極−陰極間で繋がらず、陽極1と陰極2とが短絡しにくくなる。そのため、従来のコンデンサのように、陽極1と陰極2との間に、陽極1に形成された第1の誘電体層3しか存在せず、第1の誘電体層3中のクラック9が、陽極1と陰極2との間で繋がりやすくなる場合に比べ、本発明のコンデンサでは、陽極1と陰極2とが短絡しにくくなり、耐電圧が向上する。
【0037】
さらに、本実施形態のコンデンサでは、陽極1と陰極2との間の誘電体層を、陽極1と陰極2にそれぞれ形成される第1の誘電体層3及び第2の誘電体層4の2層の誘電体層によって構成されるため、第1の誘電体層3及び第2の誘電体層4の各誘電体層の個々の膜厚を薄くすることができる。
【0038】
その結果、本実施形態のコンデンサでは、誘電体層の個々の膜厚が大きくなることによるクラックの増大を抑えることができ、第1の誘電体層3及び第2の誘電体層4の各誘電体層をクラックの少ない膜で構成することができるため、クラックを介しての絶縁破壊によって陽極と陰極が短絡しにくくなる。
【0039】
(第2実施形態)
図4は、本発明の第2実施形態の積層型のコンデンサを示す模式的断面図である。第2実施形態のコンデンサは、第1の誘電体層3と第2の誘電体層4との間に接着層5を介在させた点を除いて、第1実施形態のコンデンサと同様の構成を備えている。
【0040】
接着層5としては、絶縁性のものであれば良く、有機絶縁体、接着剤、有機誘電体、熱分解性有機材料などの有機材料を用いることができる。
【0041】
接着層5として用いる有機材料の一例として、アルキルシリケート系、天然ゴムや合成ゴムあるいはそれらを用いたゴム系、シリコーンゴム、アクリル酸アルキルエステルの単独又は共重合体や、メタアクリル酸と他のモノマー(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸などのカルボキシル基若しくは酸無水物基含有モノマー;ヒドロキシル基含有モノマー;スルホン酸基含有モノマー;リン酸基含有モノマー;アミド基含有モノマー;アミノ基含有モノマー;アルコキシ基含有モノマー;イミド基含有モノマー;ビニル基含有複素環化合物;シアノ基含有モノマー;エポキシ基含有アクリル系モノマー;ビニルエーテル系モノマー等)との共重合体からなるアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エチレンー酢酸ビニル共重合体、フッ素系樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂、アクリロニトリルスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリフェニレンスルファイド樹脂、ポリテトラフロロエチレン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリアリレート樹脂、液晶ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリアミドイミド樹脂とそれらを用いた粘着剤とそれらのモノマーを用いた接着剤などが挙げられる。
【0042】
第2実施形態に係るコンデンサの製造方法について、以下に示す。
【0043】
第1実施形態と同様の方法により、陽極1の端部1a以外の表面全域に第1の誘電体層3を形成し、陰極2の端部2a以外の表面全域に第2の誘電体層4を形成する。
【0044】
次に、陽極1の上面側の第1の誘電体層3の表面に接着剤を塗布して、接着層5を形成する。また、陰極2の上面側の第2の誘電体層4の表面に接着剤を塗布して、接着層5を形成する。その後、接着層5が形成されている陰極2の上面側の第2の誘電体層4の表面に、接着層5が形成されていない陽極1の下面側の第1の誘電体層3の表面を対向させて、陰極2上に陽極1を積層する。これにより、第1の誘電体層3と第2の誘電体層4の間に接着層5を介在させて陽極1と陰極2を積層することができる。
【0045】
さらに、陰極2上に積層された陽極1に対し、接着層5が形成されている陽極1の上面側の第1の誘電体層3の表面に、接着層5が形成されていない陰極2の下面側の第2の誘電体層4の表面を対向させて、陰極2上に陽極1を積層する。
【0046】
このようにして、第1の誘電体層3が形成された複数の陽極1と第2の誘電体層4が形成された複数の陰極2を、第1の誘電体層3と第2の誘電体層4の間に接着層5を介在させて、交互に積層する。但し、最上層の陽極1には、接着層5を形成しなくてもよい。
【0047】
その後、第1実施形態と同様の方法により、第2実施形態に係るコンデンサを作製する。
【0048】
なお、接着剤5を第1の誘電体層3あるいは第2の誘電体層4の表面上に塗布する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、スピンコート法、ディップ法、ドロップキャスト法、インクジェット法、スプレー法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、蒸着法などを用いることができる。
【0049】
第2実施形態では、第1の誘電体層が形成された陽極と第2の誘電体層が形成された陰極とが接着層により固定されるため、コンデンサの機械的強度を増加させることができる。また、第1の誘電体層3と第2の誘電体層4との間に絶縁性の接着層5が介在しているため、耐電圧がより向上する。
【0050】
さらに、第1の誘電体層3又は第2の誘電体層4のクラックに電流が集中的に流れた場合においても、クラック近傍での発熱によって接着層5が膨張して陽極−陰極間が隔離する、あるいは接着層5が変質して絶縁性が増すなどの現象が起こり、電極間の絶縁性を回復するという効果も得られる。
【0051】
(第3実施形態)
図5は、本発明の第3実施形態の巻回型のコンデンサを示す模式的断面図である。また、図6は、本発明の第3実施形態の巻回型のコンデンサの外装体を形成する前までの構成についての模式的斜視図である。なお、図6において、外装体18の形成される場所を点線で示した。また、図5は、図6において、幅狭部11c、12cが存在しない間隔Wの部分で分断した図面である。
【0052】
第3実施形態に係るコンデンサは、長尺状の金属箔からなる1枚の陽極11と長尺状の金属箔からなる1枚の陰極12とが接着層15aを介して積層されており、これらの陽極11と陰極12が渦巻状に巻回されている。
【0053】
具体的には、陽極11には、後述する幅狭部11cの先端部11aを除く表面全域(上下面、両側面、内周側端部の端面)に第1の誘電体層13が形成され、陰極12には、後述する幅狭部12cの先端部12aを除く表面全域(上下面、両側面、内周側端部の端面)に第2の誘電体層14が形成されている。
【0054】
陽極11と陰極12は、第1の誘電体層13と第2の誘電体層14とを互いに対向させて積層され、対向する第1の誘電体層13と第2の誘電体層14の間には、絶縁性の接着層15aが配置されている。陰極12の陽極11と反対側に形成された第2の誘電体層14の面上には、接着層15bが形成され、陽極11と陰極12の積層体は接着層15bが形成された側を内側にして渦巻状に巻回されている。
【0055】
上述の積層体が巻回された状態において、積層体同士が重なり合う部分では、陽極11の外周側の第1の誘電体層13と陰極12の内周側の第2の誘電体層14との間には、接着層15bが形成されている。また、渦巻状に巻回された積層体の外周表面となる第1の誘電体層13の表面には、接着層15bは形成されていない。渦巻状に巻回された積層体の内周表面となる第2の誘電体層14の表面には接着層15bが形成されている。
【0056】
また、図6に示すように、巻回された積層体において、陽極11の外周側の端部は切り欠かれており、陽極11の幅方向において一方の片側に陽極11の幅よりも小さい幅を有する幅狭部11cが形成されている。幅狭部11cは、陽極11と陰極12が巻回された外周部分から引き出されている。また、巻回された積層体において、陰極12の外周側の端部は切り欠かれており、陰極12の幅方向において他方の片側に陰極12の幅よりも小さい幅を有する幅狭部12cが形成されている。幅狭部12cは、陽極11と陰極12が巻回された外周部分から引き出されている。
【0057】
陽極11の幅狭部11cは、先端部11aと根元部11bを有し、根元部11bには第1の誘電体層13が形成されている。また、先端部11aには第1の誘電体層13が形成されておらず、陽極11を構成する金属の表面が露出している。
【0058】
また、陰極12の幅狭部12cは、先端部12aと根元部12bを有し、根元部12bには第2の誘電体層14が形成されている。また、先端部12aには第2の誘電体層14が形成されておらず、陰極12を構成する金属の表面が露出している。
【0059】
そして、陽極11の幅狭部11cと陰極12の幅狭部12cは、陽極11と陰極12が巻回された部分から同一方向に引き出されると共に、間隔Wを隔てて互いに離間して配置され、電気的に絶縁されている。
【0060】
また、上述の陽極11、陰極12、第1の誘電体層13及び第2の誘電体層14を覆うように外装体18が形成されている。ここで、陽極11の幅狭部11cの先端部11a及び陰極12の幅狭部12cの先端部12aは、外装体18に覆われておらず、外装体18から外部に取り出されている。なお、渦巻状に巻回された陽極11と陰極12の積層体において、渦巻の内側部分にも外装体18が充填されている。
【0061】
上述のように、陽極11の幅狭部11cの先端部11aの表面には、第1の誘電体層13が形成されておらず、外部への陽極側の取り出し電極として用いることができる。また、陰極12の幅狭部12cの先端部12aの表面には、第2の誘電体層14が形成されておらず、外部への陰極側の取り出し電極として用いることができる。
【0062】
陽極11、陰極12、第1の誘電体層13、第2の誘電体層14、接着層15a、接着層15b、外装体18の材料としては、第1実施形態及び第2実施形態で用いた材料を用いることができる。
【0063】
次に、本実施形態に係るコンデンサの製造方法について、以下に示す。図7、図8は、本発明の第3実施形態の巻回型のコンデンサの製造工程を示す図である。
【0064】
図7(a)に示すように、矩形状の弁作用金属の箔からなる陽極11と矩形状の弁作用金属の箔からなる陰極12とを用意する。ここで、陽極11は、角部の一つが切り欠かれており、陽極11の一方の端部には、陽極11の幅に対して小さい幅を持つと共に、幅方向において一方の片側に配置された幅狭部11cを有している。また、陰極12は、角部の一つが切り欠かれており、陰極12の端部12aは、陰極12の幅に対して小さい幅を持つと共に、幅方向において他方の片側に配置された幅狭部12cを有している。
【0065】
次に、陽極11の幅狭部11cの先端側を除いて電解質溶液に浸漬し、電圧を印加して(化成して)、陽極11の電解質溶液に浸漬した部分の表面全域に陽極11を構成する金属の酸化膜からなる第1の誘電体層13を形成する。また、陽極11の幅狭部11cは、第1の誘電体層13が形成されていない先端部11aと第1の誘電体層13が形成された根元部11bとにより構成される(図7(b)参照)。
【0066】
また、陽極11と同様に、陰極12の幅狭部12cの先端側を除いて電解質溶液に浸漬し、電圧を印加して、陰極12の電解質溶液に浸漬した部分の表面全域に陰極12を構成する金属の酸化膜からなる第2の誘電体層14を形成する。また、陰極12の幅狭部12cは、第2の誘電体層14が形成されていない先端部12aと第2の誘電体層14が形成された根元部12bとにより構成される(図7(b)参照)。
【0067】
次に、陽極11の片面側の第1の誘電体層13上に接着剤を塗布して、接着層15aを形成する(図7(c)参照)。その後、陽極11上に第1の誘電体層13と第2の誘電体層14を対向させて、陰極12を積層させる。これにより、第1の誘電体層13と第2の誘電体層14の間に接着層15aが配置され、第1の誘電体層13と第2の誘電体層14とが接着される(図8(a)参照)。
【0068】
次に、陽極11と陰極12を積層した積層体に対して、表面に露出している第2の誘電体層14上に接着剤を塗布して、接着層15bを形成する(図8(b)参照)。そして、陽極11と陰極12を積層した積層体を渦巻状に巻き取ることにより、図6に示す外装体を形成する前までの構成のコンデンサを形成する。
【0069】
その後、溶融したエポキシ樹脂で陽極11、陰極12、第1の誘電体層13、第2の誘電体層14を覆い、エポキシ樹脂を硬化させることにより、外装体18を形成する。ここで、陽極11の幅狭部11cの先端部11aと、陰極12の幅狭部12cの先端部12aは、外装体18に覆われず、外部への取り出し電極として同じ方向に引き出されて配置される。
【0070】
以上のように、第3実施形態に係るコンデンサを作製する。
【0071】
第3実施形態では、それぞれ1枚の陽極11と陰極12が、渦巻状に巻回された構成となっているため、多数の陽極11と陰極12を積層する必要がなく、製造工程を簡略化することができる。
【0072】
また、陽極11の幅狭部11cの先端部11aと陰極12の幅狭部12cの先端部12aをそのまま外部に引き出すことにより、別途、取り出し電極を設ける必要がなく、構造を簡略化できると共に、製造工程を簡略化することができる。
【0073】
次に、上述の実施形態における効果を確認するため、1対の陽極部と陰極部によって構成される基本構成のコンデンサを試作し、評価した結果について、以下に示す。
【0074】
(実施例1)
図9は、実施例1のコンデンサを示す図である。
【0075】
厚さ30μm、3.0cm×2.5cmの直方体のアルミニウム箔からなる陽極1を95℃の純水中で10分間水和処理を行った。その後、陽極1の端部1a以外の部分を95℃の電解質溶液中に浸漬し、定電圧250Vを印加して20分間化成した。電解質溶液として、10%ほう酸水溶液を使用した。
【0076】
その後、純水で10分間流水洗浄後、500℃で2分間熱処理を行った。更に、陽極1の電解質溶液中に浸漬した部分を再度95℃の電解質溶液中に浸漬し、定電圧250Vを印加して5分間再度化成したものを10分間流水洗浄後、100℃、10分乾燥することにより陽極1の端部1aを除く表面に膜厚375nmの第1の誘電体層3を形成した。
【0077】
また、同じくアルミニウム箔からなる陰極2を陽極1と同様に250Vを印加して化成することにより陰極2の端部2aを除く表面に膜厚375nmの第2の誘電体層4を形成した。
【0078】
最後に、陽極1の端部1a及び陰極2の端部2aが外側に配置し、第1の誘電体層3と第2の誘電体層4とを対向させて積層することにより、陽極1と陰極2との間に誘電体層が2層形成されたコンデンサA1を作製した。
【0079】
得られたコンデンサA1の耐電圧及び静電容量を測定した。耐電圧の測定は、陽極1の端部1aと陰極2の端部2aに端子を接続して電圧を印加して、陽極−陰極間の電流−電圧特性を測定することにより行った。即ち、電流−電圧特性の測定において、印加電圧を段階的に上昇させ、電流値が増加して20mA以上継続して流れた場合を陽極−陰極間の短絡と判断し、短絡に至る直前の電圧値を耐電圧とした。また、静電容量の測定は、陽極1の端部1aと陰極2の端部2aに端子を接続して、LCRメータにより120Hzにおける値を静電容量の値とした。
【0080】
(比較例1)
図10は、比較例1のコンデンサを示す図である。
【0081】
比較例1のコンデンサでは、アルミニウム箔からなる陽極1に500Vを印加して、実施例1と同様に化成して、陽極1の端部1aを除く表面に膜厚750nmの第1の誘電体層3を形成した。一方、陰極2には、誘電体層を形成しなかった。そして、第1の誘電体層3と陰極2とを対向させて積層することにより、陽極1と陰極2との間に誘電体層が1層しか形成されていないコンデンサY1を作製した。得られたコンデンサY1の耐電圧及び静電容量を実施例1と同様の方法により測定した。
【0082】
コンデンサA1、Y1についての耐電圧及び静電容量の測定結果を表1に示す。ここで、耐電圧比とは比較例1の耐電圧を1とした場合の実施例1での耐電圧の比率を表わしたものであり、静電容量比とは比較例1の静電容量を1とした場合の実施例1での静電容量の比率を表わしたものである。
【0083】
【表1】
【0084】
表1に示すように、実施例1と比較例1を比較すると、誘電体層が1層しか形成されていない比較例1に係るコンデンサY1に対して、誘電体層が2層形成されている実施例1に係るコンデンサA1では耐電圧が1.4倍となった。一方、静電容量は、比較例1に係るコンデンサY1と実施例1に係るコンデンサA1とで同じ値となった。
【0085】
コンデンサA1とコンデンサY1とでは、陽極−陰極間の誘電体層の総膜厚(750nm)、即ち陽極−陰極間の電極間距離が等しく、電極面積と誘電体層の材料も同じであるため、コンデンサA1とコンデンサY1の静電容量の値が同じになったものと考えられる。
【0086】
一方で、コンデンサA1の耐電圧は、コンデンサY1の耐電圧の1.4倍に向上しており、陰極−陽極間の誘電体層の総膜厚が同じであるにもかかわらず、耐電圧の向上が見られた。
【0087】
これは、上述の理由により、実施例1の場合、陽極−陰極間で誘電体層中のクラックが繋がりにくくなり、陽極−陰極間での短絡が起こりにくくなったためと考えられる。
【0088】
(実施例2)
図11は、実施例2のコンデンサを示す図である。
【0089】
実施例2では、第1の誘電体層3と第2の誘電体層4とをシアノクリレート系樹脂からなる接着層5で貼り合わせた構造のコンデンサA2を作製した。その他の構成は、実施例1と同様の構成を備えている。
得られたコンデンサA2の耐電圧及び静電容量を、実施例1と同様の方法により測定した。
【0090】
(実施例3)
図12は、実施例3のコンデンサを示す図である。実施例3では、アルミニウム箔からなる陽極1に400Vを印加して化成することにより、陽極1の端部1aを除く表面に膜厚600nmの第1の誘電体層3を形成した。
【0091】
さらに、アルミニウム箔からなる陰極2に100Vを印加して化成することにより、陰極2の端部2aを除く表面に膜厚150nmの第2の誘電体層4を形成した。
【0092】
次に、第1の誘電体層3と第2の誘電体層4をシアノクリレート系樹脂からなる接着層5で貼り合わせ、陽極1及び陰極2に形成された各誘電体層の膜厚が異なるコンデンサA3を作製した。実施例3の場合、薄い方の誘電体層である第2の誘電体層4の膜厚(150nm)は、第1の誘電体層3と第2の誘電体層4の合計膜厚(750nm)の0.2倍である。薄い方の誘電体層の膜厚としては、薄すぎると誘電体層が一様な膜とならないため、10nm以上が好ましく、第1の誘電体層3と第2の誘電体層4の合計膜厚に対して、0.01倍よりも大きく0.5倍よりも小さいことが好ましい。
【0093】
得られたコンデンサA3の耐電圧及び静電容量を、実施例1と同様の方法により測定した。
【0094】
(比較例2)
図13は、比較例2のコンデンサを示す図である。
【0095】
比較例2のコンデンサでは、アルミニウム箔からなる陽極1に500Vを印加して化成することにより、陽極1の端部1aを除く表面に膜厚750nmの第1の誘電体層3を形成した。一方、陰極2には、誘電体層を形成しなかった。
【0096】
そして、第1の誘電体層3とアルミニウム箔からなる陰極2をシアノクリレート系樹脂からなる接着層5で貼り合わせた構造のコンデンサY2を作製した。
【0097】
得られたコンデンサY2の耐電圧及び静電容量を、実施例1と同様の方法により測定した。
【0098】
コンデンサA2、A3、Y2についての測定結果を表2に示す。
【0099】
ここで、耐電圧比とは比較例2の耐電圧を1とした場合の実施例2、3での耐電圧の比率を表わしたものであり、静電容量比とは比較例2の静電容量を1とした場合の実施例2、3での静電容量の比率を表わしたものである。
【0100】
【表2】
【0101】
実施例2、3に係るコンデンサA2、A3と比較例2に係るコンデンサY2を比較すると、コンデンサY2に対して、コンデンサA2、A3では耐電圧がそれぞれ1.3倍、1.4倍にそれぞれ向上した。一方、静電容量比は、比較例2に係るコンデンサY2と実施例2、3に係るコンデンサA2、A3とでほぼ同じ値となった。
【0102】
即ち、実施例2、3において積層した誘電体層の総膜厚が、比較例2の誘電体層の膜厚と同等であるため、実施例2、3に係るコンデンサA2、A3の静電容量は比較例2に係るコンデンサY2とほぼ同じ値となった。
【0103】
一方で、コンデンサA2、A3の耐電圧は、コンデンサY2の耐電圧のそれぞれ1.3倍、1.4倍に向上しており、陰極−陽極間の誘電体層の総膜厚が同じであるにもかかわらず、耐電圧の向上が見られた。
【0104】
これは、実施例1の場合と同様の理由によるものと考えられる。
【0105】
また、実施例2と実施例3を比較すると、誘電体層の総膜厚は同等であり、かつどちらも誘電体層を2層積層する構造をとっているが、積層する2層の誘電体層の一方を薄膜化した実施例3において、耐圧性がより向上している。
【0106】
これは、一方の誘電体層の膜厚が薄くなったことにより、この誘電体層に発生するクラックの数が減少したため、他方の誘電体層と積層したときに、クラックが陰極−陽極間で繋がりにくくなり、短絡がより起こりにくくなったためと考えられる。
【0107】
また、図14は、本発明の実施例1、2のコンデンサの電極間に流れる電流の経時変化を示す図である。実施例1において350V、実施例2において420Vの電圧を印加した際の陰極−陽極間に流れる電流値を縦軸に、電圧の印加時間を横軸としてプロットしたものである。
【0108】
実施例1のコンデンサA1では、一定時間経過後、電極間の短絡が発生し、急激に電流値が増加して、もとの電流値付近には戻らず、電極間の短絡に至った。
【0109】
一方、実施例2コンデンサA2では、電圧を印加中、一旦増加した電流値がその直後減少し、元の電流値付近に戻っている。この結果から、誘電体層の欠陥部に集中的に流れた電流によって、欠陥部が発熱し、誘電体層間に挿入した接着層が、欠陥部近傍において膨張し、陰極−陽極間が隔離した、あるいは接着層が変質して絶縁性が増したため、電極間の絶縁性が回復したものと推測される。
【0110】
即ち、誘電体層の間に挿入した接着層によって、耐電圧に近い高い電圧が印加された場合であっても、電極間の短絡を未然に防ぐことができたものと考えられる。
【0111】
なお、上記の実施形態では、陽極1及び陰極2を金属箔としたが、平板状の金属であってもよい。
【0112】
また、上記の実施形態の構成において、各電極の極性は陽極、陰極のどちらでもよく、陽極1と陰極2の場所を入れ替えて配置してもよい。
【符号の説明】
【0113】
1、11…陽極
1a…陽極の端部
2、12…陰極
2a…陰極の端部
3、13…第1の誘電体層
4、14…第2の誘電体層
5、15a、15b…接着層
61…陽極側の接続部
62…陰極側の接続部
71…陽極側の取り出し電極
72…陰極側の取り出し電極
8、18…外装体
【技術分野】
【0001】
本発明は、陽極と陰極とを絶縁体を介して積層したコンデンサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、陽極と陰極とを絶縁体を介して積層したコンデンサとして、陽極となるタンタル箔の表面に化成により酸化膜を形成し、酸化膜の表面に陰極となる金属膜を形成したコンデンサが提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、特許文献1のコンデンサでは、タンタル箔に形成した酸化膜にクラック等の欠陥部が発生した場合、欠陥部を介して絶縁破壊が起こり、耐電圧が低下するという課題がある。
【特許文献1】特開平9−260217号公報
【特許文献2】特開平9−162081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、電極の酸化膜を誘電体層に用いたコンデンサにおいて、高い耐電圧を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のコンデンサは、金属からなる陽極と、陽極の表面上に形成され、陽極を構成する金属の酸化物を含む第1の誘電体層と、金属からなる陰極と、陰極の表面上に形成され、陰極を構成する金属の酸化物を含む第2の誘電体層とを備え、第1の誘電体層と第2の誘電体層とが対向して、陽極と陰極とが積層されていることを特徴とする。
【0006】
本発明のコンデンサによると、陽極と陰極との間に、第1の誘電体層と第2の誘電体層とが介在するため、どちらか一方の誘電体層にクラック等の欠陥部がある場合でも、他方の誘電体層の存在により欠陥部が陽極−陰極間で繋がりにくくなり、陽極と陰極が短絡しにくくなるため、耐電圧を向上させることができる。
【0007】
また、本発明のコンデンサでは、第1の誘電体層と第2の誘電体層との間に絶縁性の接着層が介在していることが好ましい。これにより、第1の誘電体層が形成された陽極と第2の誘電体層が形成された陰極とが接着層により固定され、コンデンサの機械的強度を増加させることができる。
【0008】
また、本発明のコンデンサでは、第1の誘電体層及び第2の誘電体層の内のいずれか一方の膜厚が他方の膜厚よりも小さいことが好ましい。誘電体層となる金属の酸化膜を化成により形成する場合、誘電体層を厚く形成するために、高電圧で化成すると、誘電体層が脆化して、クラックが発生しやすくなることが従来から知られている(特許文献2参照)。そのため、第1の誘電体層及び第2の誘電体層の内のいずれか一方の膜厚を他方の膜厚よりも小さくすることにより、膜厚の小さい方の一方の誘電体層をクラックが発生しにくい膜とすることができるため、陽極−陰極間でクラックがさらに繋がりにくくなり、より高い耐電圧を得ることができる。
【0009】
また、本発明のコンデンサでは、第1の誘電体層が陽極の化成により形成された酸化膜であり、第2の誘電体層が陰極の化成により形成された酸化膜であることが好ましい。これにより、陽極上において一様な膜厚の第1の誘電体層を形成することができ、陰極上において一様な膜厚の第2の誘電体層を形成することができる。その結果、膜厚の薄い箇所に電圧が集中して、絶縁破壊することが少なくなり、より高い耐電圧を得ることができる。
【0010】
また、本発明のコンデンサでは、複数の陽極と複数の陰極とが交互に重なって積層されている積層型のコンデンサにおいて、耐電圧を向上させることができる。
【0011】
また、本発明のコンデンサでは、1枚の陽極と1枚の陰極とが積層され、渦巻状に巻回されている巻回型のコンデンサにおいて、耐電圧を向上させることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明のコンデンサによれば、電極の酸化膜を誘電体層に用いて、高い耐電圧を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態の積層型のコンデンサを示す模式的断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態の積層型のコンデンサの外装体を形成する前までの構成を示す模式的斜視図である。
【図3】コンデンサの誘電体層中のクラックを説明する図である。
【図4】本発明の第2実施形態の積層型のコンデンサを示す模式的断面図である。
【図5】本発明の第3実施形態の巻回型のコンデンサを示す模式的断面図である。
【図6】本発明の第3実施形態の巻回型のコンデンサの外装体を形成する前までの構成を示す模式的斜視図である。
【図7】本発明の第3実施形態の巻回型のコンデンサの製造工程を示す図である。
【図8】本発明の第3実施形態の巻回型のコンデンサの製造工程を示す図である。
【図9】実施例1のコンデンサを示す図である。
【図10】比較例1のコンデンサを示す図である。
【図11】実施例2のコンデンサを示す図である。
【図12】実施例3のコンデンサを示す図である。
【図13】比較例2のコンデンサを示す図である。
【図14】実施例1、2のコンデンサの電極間に流れる電流の経時変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明について具体的な実施の形態により説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0015】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態の積層型のコンデンサを示す模式的断面図である。また、図2は、本発明の第1実施形態の積層型のコンデンサの外装体を形成する前までの構成についての模式的斜視図である。なお、図2において、外装体8の形成される場所を点線で示した。
【0016】
図1、図2に示すように、矩形形状の金属箔からなる複数の陽極1と複数の陰極2が、1枚ずつ交互に重なって積層されている。陽極1の一方の端部1aを除く表面全域(上下面、両側面、他方の端部の端面)には、陽極1を構成する金属の酸化物からなる第1の誘電体層3が形成されている。また、陰極2の一方の端部2aを除く表面全域(上下面、両側面、他方の端部の端面)には、陰極2を構成する金属の酸化物からなる第2の誘電体層4が形成されている。
【0017】
そして、陽極1と陰極2は、第1の誘電体層3と第2の誘電体層4とが互いに対向して積層されている。本実施形態では、第1の誘電体層3と第2の誘電体層4との間には、何も介在しておらず、第1の誘電体層3と第2の誘電体層4が接触している。
【0018】
また、陽極1と陰極2は、第1の誘電体層3が形成されていない陽極1の端部1aと第2の誘電体層4が形成されていない陰極2の端部2aが互いに反対方向に引き出されて、積層されている。
【0019】
陽極1の端部1aの表面には、第1の誘電体層3が形成されておらず、積層された全ての陽極1は、端部1aにおいて接続部61を介して互いに電気的に接続されている。また、陰極2の端部2aの表面には、第2の誘電体層4が形成されておらず、積層された全ての陰極2は、端部2aにおいて接続部62を介して互いに電気的に接続されている。
【0020】
陽極1同士を互いに電気的に接続する方法としては、メタリコン(金属溶射)により複数の陽極1の端部1a全体を覆うと共に端部1a間に入り込むように亜鉛等の金属からなる接続部61を形成することにより行うことができる。このようにして複数の陽極1の端部1aが、接続部61を介して互いに電気的に接続されることにより、陽極1同士が互いに電気的に接続される。また、陰極2同士も陽極1と同様に、複数の陰極2の端部2a全体を覆うと共に端部2a間に入り込むように形成された接続部62を介して、互いに電気的に接続される。
【0021】
また、陽極1同士を電気的に接続する別の方法として、端部1aを互いに直接接触するように折り曲げて、端部1aの接触部を溶接するなどの方法により、互いに電気的に接続させることもできる。陰極2同士についても、陽極1と同様にして、端部2aを互いに直接接触するように折り曲げ、端部2aの接触部を溶接して、互いに電気的に接続させる。
【0022】
接続部61の上面には、外部への取り出し電極71が電気的に接続されている。また、接続部62の上面には、外部への取り出し電極72が電気的に接続されている。この取り出し電極71及び72は、図2に示すように、陽極1及び陰極2の長手方向と直交する方向で、且つ、陽極1及び陰極2の上面から同一方向に引き出されている。
【0023】
ここで、取り出し電極71は、陽極1及び陰極2の長手方向と直交する方向での接続部61の端部において、陽極1及び陰極2の積層方向に折れ曲がっている。また、取り出し電極72は、陽極1及び陰極2の長手方向と直交する方向での接続部62の端部において、陽極1及び陰極2の積層方向に折れ曲がっている。
【0024】
また、上述の陽極1、陰極2、第1の誘電体層3及び第2の誘電体層4を覆うように外装体8が形成されている。取り出し電極7は部分的に外装体8に覆われており、一部は外装体8の外に露出している。外装体8の材料としては、エポキシ樹脂等の絶縁性の高分子材料を用いる。
【0025】
ここで、陽極1又は陰極2を構成する金属としては、弁作用金属またはその合金を用いることが好ましい。弁作用金属またはその合金を用いることにより、化成等の方法で容易に表面に酸化膜を形成することができる。弁作用金属としては、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン、ハフニウム、ジルコニウム等の金属を用いることができる。また、弁作用金属の合金としては、弁作用金属同士の合金又は弁作用金属と弁作用金属以外の金属との合金を用いることができる。これらの中でも、酸化物が高温でも比較的安定であるタンタル、ニオブ、アルミニウム、チタンが特に好ましく用いられる。
【0026】
また、陽極1又は陰極2として、銅、金、銀等の導電性が高い材料の表面に弁作用金属を形成したものでもよい。こうすることで、陽極1又は陰極2の導電性を高めながら、表面に容易に酸化膜を形成することができる。
【0027】
第1の誘電体層3又は第2の誘電体層4としては、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化チタン等の陽極1又は陰極2を構成する金属の酸化膜を用いることができる。また、第1の誘電体層3又は第2の誘電体層4として、陽極1又は陰極2を構成する金属の酸化膜を形成する際に、他の金属元素を含む溶液を用いて形成されたSrTiO3、CaTiO3、MgTiO3、BaTiO3,(Ba,Sr)TiO3、PbTiO3、Pb(Zr,Ti)O3、(Pb,La)(Zr,Ti)O3、Pb(Mg,Nb)O3等の誘電率の高い酸化膜を用いてもよい。
【0028】
次に、第1実施形態に係るコンデンサの製造方法について、以下に示す。
【0029】
箔状の弁作用金属からなる陽極1を複数枚用意し、陽極1の端部1a以外の部分を電解質溶液に浸漬し、電圧を印加して(化成して)、陽極1の電解質溶液に浸漬した部分の表面全域に陽極1を構成する金属の酸化膜からなる第1の誘電体層3を形成する。
【0030】
同様に、箔状の弁作用金属からなる陰極2を複数用意し、陰極2の端部2a以外の部分を電解質溶液に浸漬し、電圧を印加して、陰極2の電解質溶液に浸漬した部分の表面全域に陰極2を構成する金属の酸化膜からなる第2の誘電体層4を形成する。
【0031】
次に、陽極1の第1の誘電体層3が形成された部分と陰極2の第2の誘電体層4が形成された部分を交互に重ね合わせることにより、第1の誘電体層3と第2の誘電体層4を対向させて、複数の陽極1と陰極2を積層する。本実施形態では、陽極1と陰極2を各5枚ずつ用いて積層した。
【0032】
一方、第1の誘電体層3が形成されていない複数の陽極1の端部1aは、同一方向に引き出されて配置される。この複数の端部1aに、メタリコン(金属溶射)により複数の陽極1の端部1a全体を覆うと共に端部1a間に入り込むように亜鉛等の金属からなる接続部61を形成する。これにより、複数の陽極1同士が電気的に接続される。また、同様にして、第2の誘電体層4が形成されていない複数の陰極2の端部2aは、陽極1の端部1aが引き出される方向とは反対側の方向に引き出されて配置される。この陰極2の端部2aに、複数の陰極2の端部2a全体を覆うと共に端部2a間に入り込むように亜鉛等の金属からなる接続部62を形成する。これにより、複数の陰極2同士が電気的に接続される。
【0033】
上述の電気的接続部61に、取り出し電極71を導電性接着剤により固定し、陽極1と取り出し電極71を電気的に接続する。また、上述の電気的接続部62に、取り出し電極72を導電性接着剤により固定し、陰極2と取り出し電極72を電気的に接続する。
【0034】
最後に、溶融したエポキシ樹脂で陽極1、陰極2、第1の誘電体層3、第2の誘電体層4を覆い、エポキシ樹脂を硬化させることにより、外装体8を形成する。このようにして、第1実施形態に係るコンデンサを作製する。ここで、外装体8は、陽極1、陰極2、第1の誘電体層3、第2の誘電体層4を樹脂のシートで挟み込んで、加熱圧着することにより、形成してもよい。
【0035】
次に、本発明のコンデンサにおいて、耐電圧が向上する理由について説明する。
【0036】
図3は、本発明のコンデンサの誘電体層中のクラックを説明する図である。図3に示すように、本実施形態のコンデンサでは、陽極1と陰極2との間に、第1の誘電体層3及び第2の誘電体層4が介在するため、どちらか一方の誘電体層中にクラック9がある場合でも、他方の誘電体層の存在により、クラック9が陽極−陰極間で繋がらず、陽極1と陰極2とが短絡しにくくなる。そのため、従来のコンデンサのように、陽極1と陰極2との間に、陽極1に形成された第1の誘電体層3しか存在せず、第1の誘電体層3中のクラック9が、陽極1と陰極2との間で繋がりやすくなる場合に比べ、本発明のコンデンサでは、陽極1と陰極2とが短絡しにくくなり、耐電圧が向上する。
【0037】
さらに、本実施形態のコンデンサでは、陽極1と陰極2との間の誘電体層を、陽極1と陰極2にそれぞれ形成される第1の誘電体層3及び第2の誘電体層4の2層の誘電体層によって構成されるため、第1の誘電体層3及び第2の誘電体層4の各誘電体層の個々の膜厚を薄くすることができる。
【0038】
その結果、本実施形態のコンデンサでは、誘電体層の個々の膜厚が大きくなることによるクラックの増大を抑えることができ、第1の誘電体層3及び第2の誘電体層4の各誘電体層をクラックの少ない膜で構成することができるため、クラックを介しての絶縁破壊によって陽極と陰極が短絡しにくくなる。
【0039】
(第2実施形態)
図4は、本発明の第2実施形態の積層型のコンデンサを示す模式的断面図である。第2実施形態のコンデンサは、第1の誘電体層3と第2の誘電体層4との間に接着層5を介在させた点を除いて、第1実施形態のコンデンサと同様の構成を備えている。
【0040】
接着層5としては、絶縁性のものであれば良く、有機絶縁体、接着剤、有機誘電体、熱分解性有機材料などの有機材料を用いることができる。
【0041】
接着層5として用いる有機材料の一例として、アルキルシリケート系、天然ゴムや合成ゴムあるいはそれらを用いたゴム系、シリコーンゴム、アクリル酸アルキルエステルの単独又は共重合体や、メタアクリル酸と他のモノマー(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸などのカルボキシル基若しくは酸無水物基含有モノマー;ヒドロキシル基含有モノマー;スルホン酸基含有モノマー;リン酸基含有モノマー;アミド基含有モノマー;アミノ基含有モノマー;アルコキシ基含有モノマー;イミド基含有モノマー;ビニル基含有複素環化合物;シアノ基含有モノマー;エポキシ基含有アクリル系モノマー;ビニルエーテル系モノマー等)との共重合体からなるアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エチレンー酢酸ビニル共重合体、フッ素系樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂、アクリロニトリルスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリフェニレンスルファイド樹脂、ポリテトラフロロエチレン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリアリレート樹脂、液晶ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリアミドイミド樹脂とそれらを用いた粘着剤とそれらのモノマーを用いた接着剤などが挙げられる。
【0042】
第2実施形態に係るコンデンサの製造方法について、以下に示す。
【0043】
第1実施形態と同様の方法により、陽極1の端部1a以外の表面全域に第1の誘電体層3を形成し、陰極2の端部2a以外の表面全域に第2の誘電体層4を形成する。
【0044】
次に、陽極1の上面側の第1の誘電体層3の表面に接着剤を塗布して、接着層5を形成する。また、陰極2の上面側の第2の誘電体層4の表面に接着剤を塗布して、接着層5を形成する。その後、接着層5が形成されている陰極2の上面側の第2の誘電体層4の表面に、接着層5が形成されていない陽極1の下面側の第1の誘電体層3の表面を対向させて、陰極2上に陽極1を積層する。これにより、第1の誘電体層3と第2の誘電体層4の間に接着層5を介在させて陽極1と陰極2を積層することができる。
【0045】
さらに、陰極2上に積層された陽極1に対し、接着層5が形成されている陽極1の上面側の第1の誘電体層3の表面に、接着層5が形成されていない陰極2の下面側の第2の誘電体層4の表面を対向させて、陰極2上に陽極1を積層する。
【0046】
このようにして、第1の誘電体層3が形成された複数の陽極1と第2の誘電体層4が形成された複数の陰極2を、第1の誘電体層3と第2の誘電体層4の間に接着層5を介在させて、交互に積層する。但し、最上層の陽極1には、接着層5を形成しなくてもよい。
【0047】
その後、第1実施形態と同様の方法により、第2実施形態に係るコンデンサを作製する。
【0048】
なお、接着剤5を第1の誘電体層3あるいは第2の誘電体層4の表面上に塗布する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、スピンコート法、ディップ法、ドロップキャスト法、インクジェット法、スプレー法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、蒸着法などを用いることができる。
【0049】
第2実施形態では、第1の誘電体層が形成された陽極と第2の誘電体層が形成された陰極とが接着層により固定されるため、コンデンサの機械的強度を増加させることができる。また、第1の誘電体層3と第2の誘電体層4との間に絶縁性の接着層5が介在しているため、耐電圧がより向上する。
【0050】
さらに、第1の誘電体層3又は第2の誘電体層4のクラックに電流が集中的に流れた場合においても、クラック近傍での発熱によって接着層5が膨張して陽極−陰極間が隔離する、あるいは接着層5が変質して絶縁性が増すなどの現象が起こり、電極間の絶縁性を回復するという効果も得られる。
【0051】
(第3実施形態)
図5は、本発明の第3実施形態の巻回型のコンデンサを示す模式的断面図である。また、図6は、本発明の第3実施形態の巻回型のコンデンサの外装体を形成する前までの構成についての模式的斜視図である。なお、図6において、外装体18の形成される場所を点線で示した。また、図5は、図6において、幅狭部11c、12cが存在しない間隔Wの部分で分断した図面である。
【0052】
第3実施形態に係るコンデンサは、長尺状の金属箔からなる1枚の陽極11と長尺状の金属箔からなる1枚の陰極12とが接着層15aを介して積層されており、これらの陽極11と陰極12が渦巻状に巻回されている。
【0053】
具体的には、陽極11には、後述する幅狭部11cの先端部11aを除く表面全域(上下面、両側面、内周側端部の端面)に第1の誘電体層13が形成され、陰極12には、後述する幅狭部12cの先端部12aを除く表面全域(上下面、両側面、内周側端部の端面)に第2の誘電体層14が形成されている。
【0054】
陽極11と陰極12は、第1の誘電体層13と第2の誘電体層14とを互いに対向させて積層され、対向する第1の誘電体層13と第2の誘電体層14の間には、絶縁性の接着層15aが配置されている。陰極12の陽極11と反対側に形成された第2の誘電体層14の面上には、接着層15bが形成され、陽極11と陰極12の積層体は接着層15bが形成された側を内側にして渦巻状に巻回されている。
【0055】
上述の積層体が巻回された状態において、積層体同士が重なり合う部分では、陽極11の外周側の第1の誘電体層13と陰極12の内周側の第2の誘電体層14との間には、接着層15bが形成されている。また、渦巻状に巻回された積層体の外周表面となる第1の誘電体層13の表面には、接着層15bは形成されていない。渦巻状に巻回された積層体の内周表面となる第2の誘電体層14の表面には接着層15bが形成されている。
【0056】
また、図6に示すように、巻回された積層体において、陽極11の外周側の端部は切り欠かれており、陽極11の幅方向において一方の片側に陽極11の幅よりも小さい幅を有する幅狭部11cが形成されている。幅狭部11cは、陽極11と陰極12が巻回された外周部分から引き出されている。また、巻回された積層体において、陰極12の外周側の端部は切り欠かれており、陰極12の幅方向において他方の片側に陰極12の幅よりも小さい幅を有する幅狭部12cが形成されている。幅狭部12cは、陽極11と陰極12が巻回された外周部分から引き出されている。
【0057】
陽極11の幅狭部11cは、先端部11aと根元部11bを有し、根元部11bには第1の誘電体層13が形成されている。また、先端部11aには第1の誘電体層13が形成されておらず、陽極11を構成する金属の表面が露出している。
【0058】
また、陰極12の幅狭部12cは、先端部12aと根元部12bを有し、根元部12bには第2の誘電体層14が形成されている。また、先端部12aには第2の誘電体層14が形成されておらず、陰極12を構成する金属の表面が露出している。
【0059】
そして、陽極11の幅狭部11cと陰極12の幅狭部12cは、陽極11と陰極12が巻回された部分から同一方向に引き出されると共に、間隔Wを隔てて互いに離間して配置され、電気的に絶縁されている。
【0060】
また、上述の陽極11、陰極12、第1の誘電体層13及び第2の誘電体層14を覆うように外装体18が形成されている。ここで、陽極11の幅狭部11cの先端部11a及び陰極12の幅狭部12cの先端部12aは、外装体18に覆われておらず、外装体18から外部に取り出されている。なお、渦巻状に巻回された陽極11と陰極12の積層体において、渦巻の内側部分にも外装体18が充填されている。
【0061】
上述のように、陽極11の幅狭部11cの先端部11aの表面には、第1の誘電体層13が形成されておらず、外部への陽極側の取り出し電極として用いることができる。また、陰極12の幅狭部12cの先端部12aの表面には、第2の誘電体層14が形成されておらず、外部への陰極側の取り出し電極として用いることができる。
【0062】
陽極11、陰極12、第1の誘電体層13、第2の誘電体層14、接着層15a、接着層15b、外装体18の材料としては、第1実施形態及び第2実施形態で用いた材料を用いることができる。
【0063】
次に、本実施形態に係るコンデンサの製造方法について、以下に示す。図7、図8は、本発明の第3実施形態の巻回型のコンデンサの製造工程を示す図である。
【0064】
図7(a)に示すように、矩形状の弁作用金属の箔からなる陽極11と矩形状の弁作用金属の箔からなる陰極12とを用意する。ここで、陽極11は、角部の一つが切り欠かれており、陽極11の一方の端部には、陽極11の幅に対して小さい幅を持つと共に、幅方向において一方の片側に配置された幅狭部11cを有している。また、陰極12は、角部の一つが切り欠かれており、陰極12の端部12aは、陰極12の幅に対して小さい幅を持つと共に、幅方向において他方の片側に配置された幅狭部12cを有している。
【0065】
次に、陽極11の幅狭部11cの先端側を除いて電解質溶液に浸漬し、電圧を印加して(化成して)、陽極11の電解質溶液に浸漬した部分の表面全域に陽極11を構成する金属の酸化膜からなる第1の誘電体層13を形成する。また、陽極11の幅狭部11cは、第1の誘電体層13が形成されていない先端部11aと第1の誘電体層13が形成された根元部11bとにより構成される(図7(b)参照)。
【0066】
また、陽極11と同様に、陰極12の幅狭部12cの先端側を除いて電解質溶液に浸漬し、電圧を印加して、陰極12の電解質溶液に浸漬した部分の表面全域に陰極12を構成する金属の酸化膜からなる第2の誘電体層14を形成する。また、陰極12の幅狭部12cは、第2の誘電体層14が形成されていない先端部12aと第2の誘電体層14が形成された根元部12bとにより構成される(図7(b)参照)。
【0067】
次に、陽極11の片面側の第1の誘電体層13上に接着剤を塗布して、接着層15aを形成する(図7(c)参照)。その後、陽極11上に第1の誘電体層13と第2の誘電体層14を対向させて、陰極12を積層させる。これにより、第1の誘電体層13と第2の誘電体層14の間に接着層15aが配置され、第1の誘電体層13と第2の誘電体層14とが接着される(図8(a)参照)。
【0068】
次に、陽極11と陰極12を積層した積層体に対して、表面に露出している第2の誘電体層14上に接着剤を塗布して、接着層15bを形成する(図8(b)参照)。そして、陽極11と陰極12を積層した積層体を渦巻状に巻き取ることにより、図6に示す外装体を形成する前までの構成のコンデンサを形成する。
【0069】
その後、溶融したエポキシ樹脂で陽極11、陰極12、第1の誘電体層13、第2の誘電体層14を覆い、エポキシ樹脂を硬化させることにより、外装体18を形成する。ここで、陽極11の幅狭部11cの先端部11aと、陰極12の幅狭部12cの先端部12aは、外装体18に覆われず、外部への取り出し電極として同じ方向に引き出されて配置される。
【0070】
以上のように、第3実施形態に係るコンデンサを作製する。
【0071】
第3実施形態では、それぞれ1枚の陽極11と陰極12が、渦巻状に巻回された構成となっているため、多数の陽極11と陰極12を積層する必要がなく、製造工程を簡略化することができる。
【0072】
また、陽極11の幅狭部11cの先端部11aと陰極12の幅狭部12cの先端部12aをそのまま外部に引き出すことにより、別途、取り出し電極を設ける必要がなく、構造を簡略化できると共に、製造工程を簡略化することができる。
【0073】
次に、上述の実施形態における効果を確認するため、1対の陽極部と陰極部によって構成される基本構成のコンデンサを試作し、評価した結果について、以下に示す。
【0074】
(実施例1)
図9は、実施例1のコンデンサを示す図である。
【0075】
厚さ30μm、3.0cm×2.5cmの直方体のアルミニウム箔からなる陽極1を95℃の純水中で10分間水和処理を行った。その後、陽極1の端部1a以外の部分を95℃の電解質溶液中に浸漬し、定電圧250Vを印加して20分間化成した。電解質溶液として、10%ほう酸水溶液を使用した。
【0076】
その後、純水で10分間流水洗浄後、500℃で2分間熱処理を行った。更に、陽極1の電解質溶液中に浸漬した部分を再度95℃の電解質溶液中に浸漬し、定電圧250Vを印加して5分間再度化成したものを10分間流水洗浄後、100℃、10分乾燥することにより陽極1の端部1aを除く表面に膜厚375nmの第1の誘電体層3を形成した。
【0077】
また、同じくアルミニウム箔からなる陰極2を陽極1と同様に250Vを印加して化成することにより陰極2の端部2aを除く表面に膜厚375nmの第2の誘電体層4を形成した。
【0078】
最後に、陽極1の端部1a及び陰極2の端部2aが外側に配置し、第1の誘電体層3と第2の誘電体層4とを対向させて積層することにより、陽極1と陰極2との間に誘電体層が2層形成されたコンデンサA1を作製した。
【0079】
得られたコンデンサA1の耐電圧及び静電容量を測定した。耐電圧の測定は、陽極1の端部1aと陰極2の端部2aに端子を接続して電圧を印加して、陽極−陰極間の電流−電圧特性を測定することにより行った。即ち、電流−電圧特性の測定において、印加電圧を段階的に上昇させ、電流値が増加して20mA以上継続して流れた場合を陽極−陰極間の短絡と判断し、短絡に至る直前の電圧値を耐電圧とした。また、静電容量の測定は、陽極1の端部1aと陰極2の端部2aに端子を接続して、LCRメータにより120Hzにおける値を静電容量の値とした。
【0080】
(比較例1)
図10は、比較例1のコンデンサを示す図である。
【0081】
比較例1のコンデンサでは、アルミニウム箔からなる陽極1に500Vを印加して、実施例1と同様に化成して、陽極1の端部1aを除く表面に膜厚750nmの第1の誘電体層3を形成した。一方、陰極2には、誘電体層を形成しなかった。そして、第1の誘電体層3と陰極2とを対向させて積層することにより、陽極1と陰極2との間に誘電体層が1層しか形成されていないコンデンサY1を作製した。得られたコンデンサY1の耐電圧及び静電容量を実施例1と同様の方法により測定した。
【0082】
コンデンサA1、Y1についての耐電圧及び静電容量の測定結果を表1に示す。ここで、耐電圧比とは比較例1の耐電圧を1とした場合の実施例1での耐電圧の比率を表わしたものであり、静電容量比とは比較例1の静電容量を1とした場合の実施例1での静電容量の比率を表わしたものである。
【0083】
【表1】
【0084】
表1に示すように、実施例1と比較例1を比較すると、誘電体層が1層しか形成されていない比較例1に係るコンデンサY1に対して、誘電体層が2層形成されている実施例1に係るコンデンサA1では耐電圧が1.4倍となった。一方、静電容量は、比較例1に係るコンデンサY1と実施例1に係るコンデンサA1とで同じ値となった。
【0085】
コンデンサA1とコンデンサY1とでは、陽極−陰極間の誘電体層の総膜厚(750nm)、即ち陽極−陰極間の電極間距離が等しく、電極面積と誘電体層の材料も同じであるため、コンデンサA1とコンデンサY1の静電容量の値が同じになったものと考えられる。
【0086】
一方で、コンデンサA1の耐電圧は、コンデンサY1の耐電圧の1.4倍に向上しており、陰極−陽極間の誘電体層の総膜厚が同じであるにもかかわらず、耐電圧の向上が見られた。
【0087】
これは、上述の理由により、実施例1の場合、陽極−陰極間で誘電体層中のクラックが繋がりにくくなり、陽極−陰極間での短絡が起こりにくくなったためと考えられる。
【0088】
(実施例2)
図11は、実施例2のコンデンサを示す図である。
【0089】
実施例2では、第1の誘電体層3と第2の誘電体層4とをシアノクリレート系樹脂からなる接着層5で貼り合わせた構造のコンデンサA2を作製した。その他の構成は、実施例1と同様の構成を備えている。
得られたコンデンサA2の耐電圧及び静電容量を、実施例1と同様の方法により測定した。
【0090】
(実施例3)
図12は、実施例3のコンデンサを示す図である。実施例3では、アルミニウム箔からなる陽極1に400Vを印加して化成することにより、陽極1の端部1aを除く表面に膜厚600nmの第1の誘電体層3を形成した。
【0091】
さらに、アルミニウム箔からなる陰極2に100Vを印加して化成することにより、陰極2の端部2aを除く表面に膜厚150nmの第2の誘電体層4を形成した。
【0092】
次に、第1の誘電体層3と第2の誘電体層4をシアノクリレート系樹脂からなる接着層5で貼り合わせ、陽極1及び陰極2に形成された各誘電体層の膜厚が異なるコンデンサA3を作製した。実施例3の場合、薄い方の誘電体層である第2の誘電体層4の膜厚(150nm)は、第1の誘電体層3と第2の誘電体層4の合計膜厚(750nm)の0.2倍である。薄い方の誘電体層の膜厚としては、薄すぎると誘電体層が一様な膜とならないため、10nm以上が好ましく、第1の誘電体層3と第2の誘電体層4の合計膜厚に対して、0.01倍よりも大きく0.5倍よりも小さいことが好ましい。
【0093】
得られたコンデンサA3の耐電圧及び静電容量を、実施例1と同様の方法により測定した。
【0094】
(比較例2)
図13は、比較例2のコンデンサを示す図である。
【0095】
比較例2のコンデンサでは、アルミニウム箔からなる陽極1に500Vを印加して化成することにより、陽極1の端部1aを除く表面に膜厚750nmの第1の誘電体層3を形成した。一方、陰極2には、誘電体層を形成しなかった。
【0096】
そして、第1の誘電体層3とアルミニウム箔からなる陰極2をシアノクリレート系樹脂からなる接着層5で貼り合わせた構造のコンデンサY2を作製した。
【0097】
得られたコンデンサY2の耐電圧及び静電容量を、実施例1と同様の方法により測定した。
【0098】
コンデンサA2、A3、Y2についての測定結果を表2に示す。
【0099】
ここで、耐電圧比とは比較例2の耐電圧を1とした場合の実施例2、3での耐電圧の比率を表わしたものであり、静電容量比とは比較例2の静電容量を1とした場合の実施例2、3での静電容量の比率を表わしたものである。
【0100】
【表2】
【0101】
実施例2、3に係るコンデンサA2、A3と比較例2に係るコンデンサY2を比較すると、コンデンサY2に対して、コンデンサA2、A3では耐電圧がそれぞれ1.3倍、1.4倍にそれぞれ向上した。一方、静電容量比は、比較例2に係るコンデンサY2と実施例2、3に係るコンデンサA2、A3とでほぼ同じ値となった。
【0102】
即ち、実施例2、3において積層した誘電体層の総膜厚が、比較例2の誘電体層の膜厚と同等であるため、実施例2、3に係るコンデンサA2、A3の静電容量は比較例2に係るコンデンサY2とほぼ同じ値となった。
【0103】
一方で、コンデンサA2、A3の耐電圧は、コンデンサY2の耐電圧のそれぞれ1.3倍、1.4倍に向上しており、陰極−陽極間の誘電体層の総膜厚が同じであるにもかかわらず、耐電圧の向上が見られた。
【0104】
これは、実施例1の場合と同様の理由によるものと考えられる。
【0105】
また、実施例2と実施例3を比較すると、誘電体層の総膜厚は同等であり、かつどちらも誘電体層を2層積層する構造をとっているが、積層する2層の誘電体層の一方を薄膜化した実施例3において、耐圧性がより向上している。
【0106】
これは、一方の誘電体層の膜厚が薄くなったことにより、この誘電体層に発生するクラックの数が減少したため、他方の誘電体層と積層したときに、クラックが陰極−陽極間で繋がりにくくなり、短絡がより起こりにくくなったためと考えられる。
【0107】
また、図14は、本発明の実施例1、2のコンデンサの電極間に流れる電流の経時変化を示す図である。実施例1において350V、実施例2において420Vの電圧を印加した際の陰極−陽極間に流れる電流値を縦軸に、電圧の印加時間を横軸としてプロットしたものである。
【0108】
実施例1のコンデンサA1では、一定時間経過後、電極間の短絡が発生し、急激に電流値が増加して、もとの電流値付近には戻らず、電極間の短絡に至った。
【0109】
一方、実施例2コンデンサA2では、電圧を印加中、一旦増加した電流値がその直後減少し、元の電流値付近に戻っている。この結果から、誘電体層の欠陥部に集中的に流れた電流によって、欠陥部が発熱し、誘電体層間に挿入した接着層が、欠陥部近傍において膨張し、陰極−陽極間が隔離した、あるいは接着層が変質して絶縁性が増したため、電極間の絶縁性が回復したものと推測される。
【0110】
即ち、誘電体層の間に挿入した接着層によって、耐電圧に近い高い電圧が印加された場合であっても、電極間の短絡を未然に防ぐことができたものと考えられる。
【0111】
なお、上記の実施形態では、陽極1及び陰極2を金属箔としたが、平板状の金属であってもよい。
【0112】
また、上記の実施形態の構成において、各電極の極性は陽極、陰極のどちらでもよく、陽極1と陰極2の場所を入れ替えて配置してもよい。
【符号の説明】
【0113】
1、11…陽極
1a…陽極の端部
2、12…陰極
2a…陰極の端部
3、13…第1の誘電体層
4、14…第2の誘電体層
5、15a、15b…接着層
61…陽極側の接続部
62…陰極側の接続部
71…陽極側の取り出し電極
72…陰極側の取り出し電極
8、18…外装体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属からなる陽極と、前記陽極の表面上に形成され、前記陽極を構成する金属の酸化物を含む第1の誘電体層と、金属からなる陰極と、前記陰極の表面上に形成され、前記陰極を構成する金属の酸化物を含む第2の誘電体層とを備え、
前記第1の誘電体層と前記第2の誘電体層とが対向して、前記陽極と前記陰極とが積層されている、コンデンサ。
【請求項2】
前記第1の誘電体層と前記第2の誘電体層との間に絶縁性の接着層が介在している、請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項3】
前記第1の誘電体層及び前記第2の誘電体層の内のいずれか一方の膜厚が他方の膜厚よりも小さい、請求項1または2に記載のコンデンサ。
【請求項4】
前記第1の誘電体層が前記陽極の化成により形成された酸化膜であり、前記第2の誘電体層が前記陰極の化成により形成された酸化膜である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のコンデンサ。
【請求項5】
複数の前記陽極と複数の前記陰極とが交互に重なって積層されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載のコンデンサ。
【請求項6】
1枚の前記陽極と1枚の前記陰極とが積層され、渦巻状に巻回されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載のコンデンサ。
【請求項1】
金属からなる陽極と、前記陽極の表面上に形成され、前記陽極を構成する金属の酸化物を含む第1の誘電体層と、金属からなる陰極と、前記陰極の表面上に形成され、前記陰極を構成する金属の酸化物を含む第2の誘電体層とを備え、
前記第1の誘電体層と前記第2の誘電体層とが対向して、前記陽極と前記陰極とが積層されている、コンデンサ。
【請求項2】
前記第1の誘電体層と前記第2の誘電体層との間に絶縁性の接着層が介在している、請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項3】
前記第1の誘電体層及び前記第2の誘電体層の内のいずれか一方の膜厚が他方の膜厚よりも小さい、請求項1または2に記載のコンデンサ。
【請求項4】
前記第1の誘電体層が前記陽極の化成により形成された酸化膜であり、前記第2の誘電体層が前記陰極の化成により形成された酸化膜である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のコンデンサ。
【請求項5】
複数の前記陽極と複数の前記陰極とが交互に重なって積層されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載のコンデンサ。
【請求項6】
1枚の前記陽極と1枚の前記陰極とが積層され、渦巻状に巻回されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載のコンデンサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−74163(P2013−74163A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−212705(P2011−212705)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
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