説明

コントロールケーブルの配索シミュレーション方法および装置

【課題】隙間をあけてケーブルを保持するスルークランプを用いる場合でも、正確な配索経路を容易に得ることができる配索シミュレーション方法を提供する。
【解決手段】ケーブル10とスルークランプ21の三次元データを用い、表示装置の画面上で、両者が互いに透過する状態でケーブル10の両端を固定位置に固定すると共に、スルークランプを特定の固定位置および固定方向で固定し(S202)、ケーブル10のスルークランプ21の近辺の部位を、ケーブルの中心線J2がスルークランプの中心線J1に一致するように結合させ(S203)、ケーブルとスルークランプが互いに透過しない状態に切り換え、ついでケーブルのスルークランプの近辺の部位の拘束を解除することによりケーブル10をスルークランプ21の内壁に当接させて支持させる(S204、S205)、コントロールケーブル配索のシミュレーション方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はケーブル配索のシミュレーション方法、とくにケーブルを隙間をあけて通すスルークランプを備えたケーブル配索のシミュレーション方法ならびにそのシミュレーション方法を実施するシミュレーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特公平7−36193号公報
【非特許文献1】自動車技術会学術講演会前刷集952号(1995−4)「シフトケーブル配索計算技術の開発」
【特許文献2】特再表2002/048923号公報
【0003】
特許文献1には、ブレーキホースのような弾力性を有する線状物体を構造物に取り付けた時の力学的影響を解析して線状物体のレイアウトを解析し、表示する線状物体のレイアウト解析CADシステムが開示されている。このCADシステムは、線状物体の両端を取り付ける構造物の形状の情報、線状物体の長さ、外径、内径、材料を含む情報などを記憶している記憶手段と、線状物体を取り付ける位置および方向を入力する入力手段と、線状物体の変位した形状を演算する演算手段と、その形状を構造物の情報に加えて表示する表示手段などから構成されている。
【0004】
また、特許文献1には、特定の条件における線状物体の変位した形状を解析するために有限要素法を用いて、線状物体を多数の要素に分割し、全体を分割した要素(梁モデル)の集合体として演算することが開示されている。また、線状物体を梁要素の集合とする場合、梁の面積、断面二次モーメント、捻りモーメントを求め、線状物体の特性を表すことも開示されている。
【0005】
また、非特許文献1には、トランスミッションのシフトケーブルを複数箇所でクランプで支持したレイアウトモデルについて、ケーブルを梁要素に置き換え、有限要素法を用いて配索経路を予測する手法を開示している。クランプとしては、軸方向および回転方向に拘束しないものを採用している。シフトケーブルの配索経路の演算には、アウターケーシングとインナーケーブルを合わせた全体を採用している。
【0006】
この手法では、はじめにケーブルのトランスミッション側の端部の全自由度を固定し、ついでケーブルを順次クランプの取り付け位置まで強制変位させる。そのとき、ケーブルの回転自由度は拘束せず、軸方向の移動も拘束しない。また、クランプ位置は、三次元空間の点で特定している(FIG.6、FIG.7参照)。そして複数のクランプを経由した後、ケーブルのシフトケーブル側の端部を所定の位置まで強制変位させている。
【0007】
特許文献2は、コントロールケーブルの配索経路を解析する方法として、インナーケーブルの曲げ剛性とアウターケーシングの曲げ剛性を別個に取得し、両者を加え合わせることによりコントロールケーブルの曲げ剛性を得ることができること、アウターケーシングの捻り剛性をコントロールケーブルの捻り剛性としても、計算結果にほとんど差がないことが開示されている。また、ケーブルの途中をバネを介してクランプで拘束するモデルを提案している。バネによる支持としては、上下前後左右の3自由度と、3方向の角度の3自由度とで、全体として6自由度を備えているものを提案している。さらにクランプによるケーブルの支持位置を、クランプ中心、クランプの両端の3カ所で支持するモデルを提案している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
非特許文献1では、ケーブルをクランプで拘束するモデルとして、ケーブルの1点を特定の座標に結合したものを採用しているが、実際にはクランプの長さ、幅、角度などがケーブルの配索経路に影響するので、誤差が大きい。とくにケーブルを隙間をあけて保持するスルークランプの場合は、ケーブルをクランプに固定した状態の配索経路のシミュレーションでは実際の配索経路を正確に再現できず、さらに誤差が大きくなる。
【0009】
他方、特許文献2のクランプのモデルは、一部を切り欠いた円筒状のクランプを想定し、3カ所でケーブルを保持させるモデルを採用しているので、非特許文献1よりも誤差が少ない。しかし3カ所を一致させる操作はきわめて煩雑であり、しかもクランプ内のケーブルは湾曲しているので、これらの3カ所で支持するモデルでも、充分に正確なシミュレーションは得られない。本発明は、隙間をあけてケーブルを保持するスルークランプを用いる場合でも、コントロールケーブルの配索経路を容易に、かつ正確に得ることができる、スルークランプのケーブル配索シミュレーション方法を提供することを技術課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のコントロールケーブルの配索経路のシミュレーション方法(請求項1)は、与えられたケーブル長さと、与えられたケーブル剛性と、与えられたケーブル取付け条件とを用いて数値解析を実行し、中間部が支持されていないコントロールケーブルの配索経路を算出する工程と、与えられたスルークランプの中心線の位置および方向のデータを用いて、コントロールケーブルの支持すべき部位の中心線がスルークランプの中心線に一致する条件で数値解析を実行し、中間部がスルークランプの中心線に結合されたコントロールケーブルの配索経路を算出する工程と、与えられたスルークランプの内面形状のデータとコントロールケーブルの外周面形状のデータとを用いて、前記コントロールケーブルとスルークランプの結合が解除され、コントロールケーブルの外周面がスルークランプの内面によって支持される条件で数値解析を実行することにより、両端が固定され、中間部がスルークランプを貫通し、その内面によって支持されたコントロールケーブルの配索経路を算出する工程とからなることを特徴としている。なお、ケーブル剛性としては、曲げ剛性と捻り剛性の両方を採用するのが好ましいが、曲げ剛性だけでもよい。以下の説明でも同様である。
【0011】
本発明のケーブル配索のシミュレーション装置は、与えられたケーブル長さと、与えられたケーブル剛性と、与えられたケーブル取付け条件とを記憶する第1記憶手段と、前記第1記憶手段に記憶されたデータを用いて数値解析を実行し、中間部が支持されていないコントロールケーブルの配索経路を算出する第1算出手段と、与えられたスルークランプの中心線の位置および方向のデータを記憶する第2記憶手段と、前記第1算出手段によって得られたデータと第2記憶手段に記憶されたデータを用いて、コントロールケーブルの支持すべき部位の中心線がスルークランプの中心線に一致する条件で数値解析を再度実行し、中間部がスルークランプの中心線に結合されたコントロールケーブルの配索経路を算出する第2算出手段と、与えられたスルークランプの内面形状のデータとコントロールケーブルの外周面形状のデータを記憶する第3記憶手段と、前記第2算出手段で得られたデータと第3記憶手段に記憶されたデータを用いて、前記コントロールケーブルとスルークランプの結合が解除され、コントロールケーブルの外周面がスルークランプの内面によって支持される条件で数値解析を実行することにより、両端が固定され、中間部がスルークランプを貫通し、その内面によって支持されたコントロールケーブルの配索経路を算出する第3算出手段とを備えていることを特徴としている。
【0012】
本発明のケーブル配索のシミュレーション方法の第2の態様は、ケーブル長さと、ケーブルの外径と、ケーブル剛性と、ケーブル取付け条件と、スルークランプの中心線の位置および方向と、そのスルークランプの内面形状のデータとを入力し、コントロールケーブルの両端が前記ケーブル取り付け条件で固定され、かつ、ケーブルの中間部の外周面がスルークランプの内面によって支持される条件で数値解析を実行することにより、両端が固定され、中間部がスルークランプを貫通し、その内面によって支持されたコントロールケーブルの配索経路を算出することを特徴としている。
【0013】
本発明のケーブル配索のシミュレーション方法の第3の態様は、入力されたケーブル長さと、ケーブル剛性と、ケーブルの一部に加えられる外力条件とを用いて数値解析を実行し、コントロールケーブルの位置および変形形状を算出する手段と、算出されたコントロールケーブルの位置および変形形状を表示する表示装置と、その画像に対して視覚的に前記外力条件のデータを入力する入力手段を備えたコントロールケーブルのシミュレーション装置を用いて、視覚的にコントロールケーブルの形状を得るコントロールケーブルのシミュレーション方法であって、前記表示装置の画面上に、コントロールケーブルの形状、取り付け部の位置および方向、スルークランプの位置および方向を表示し、ついでスルークランプに対してコントロールケーブルが透過する条件で、前記入力装置により、表示装置の画面上で、コントロールケーブルの両端をケーブル取り付け部に固定し、コントロールケーブルの中間部の中心線をスルークランプの中心線に一致させ、ついでスルークランプに対してコントロールケーブルが透過しない条件で、中心線同士の結合を解除してコントロールケーブルの表面をスルークランプの内面に当接させることにより、両端が固定され、中間部がスルークランプを貫通し、その内面によって支持されたコントロールケーブルの配索経路を算出することを特徴としている。
【0014】
本発明のケーブルの配索のシミュレーション装置の第2の態様は、入力されたケーブル長さと、ケーブル剛性と、ケーブルの一部に加えられる外力条件とを用いて数値解析を実行し、コントロールケーブルの位置および変形形状を算出する手段と、算出されたコントロールケーブルの位置および変形形状を表示する表示装置と、表示装置のコントロールケーブルの画像の一部または一定の範囲を指定し、指定した部位を特定の方向に移動させることを入力する手段と、に対して視覚的に前記外力条件のデータを入力する入力手段を備え、その入力手段からの入力に応じて外力によって変形したコントロールケーブルの形状を前記表示装置に表示するコントロールケーブルの配索シミュレーション装置であって、前記入力手段が、コントロールケーブルの一端を取り付け部の近辺に移動させ、両者の中心線を一致させる第1入力手段と、コントロールケーブルの他端を、スルークランプに対してコントロールケーブルが透過する条件で、コントロールケーブルの剛性に抗しながら他方の取り付け部の近辺に移動させ、両者の中心線を一致させる第2入力手段と、スルークランプに対してコントロールケーブルが透過する条件で、コントロールケーブルの中間部をスルークランプの近辺に移動させ、両者の中心線を一致させる第3入力手段と、スルークランプに対してコントロールケーブルが透過しない条件で、中心線同士の結合を解除してコントロールケーブルの表面をスルークランプの内面に当接させる第4入力手段とからなることを特徴としている。
【0015】
前記ケーブル配索のシミュレーション方法およびケーブル配索のシミュレーション装置では、スルークランプとして鼓型の内面形状を備えているものを用いるのが好ましい。また、前記コントロールケーブルの中心線がスルークランプの中心線に一致するように結合させる工程で、コントロールケーブルの中心線上のスルークランプから外側の2点をスルークランプの中心線に一致させるのが好ましい。さらに前記コントロールケーブルがスルークランプに透過する状態で、コントロールケーブルの両端を固定した後、コントロールケーブルの長さまたは固定条件を変化させてコントロールケーブルのスルークランプの近辺がスルークランプと交差または重なるようにするのが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明のシミュレーション方法においては、コントロールケーブルの中間部分を強制的に変形させて、スルークランプの近辺のコントロールケーブルの中心線をあらかじめ固定したスルークランプの中心線に一致させる。この状態では、コントロールケーブルとスルークランプとはほとんど干渉せず、コントロールケーブルはスルークランプの中心線にほぼ沿って貫通した状態となる。そのため、その状態でコントロールケーブルの強制的な変形を解除すると、コントロールケーブルは両端が拘束されただけの自然な状態に戻ろうとし、スルークランプの内壁と当接した形状でバランスする。それにより、コントロールケーブルがスルークランプで支持された状態の配索経路を容易にシミュレーションすることができる。
【0017】
本発明のシミュレーション装置は、前記シミュレーション方法を実施することができる。
【0018】
本発明のシミュレーション方法の第2の態様は、必要なデータを入力した後、所定の数値解析を実行することにより、直ちに、両端が固定され、中間部がスルークランプを貫通し、その内面によって支持されたコントロールケーブルの配索経路を算出することができる。
【0019】
本発明のシミュレーション方法の第3の態様は、コントロールケーブルがスルークランプを透過する状態でコントロールケーブルの中間部分を強制的に変形させて、スルークランプの近辺のコントロールケーブルの中心線をスルークランプの中心線に一致させる。この状態では、コントロールケーブルとスルークランプとはほとんど干渉せず、コントロールケーブルはスルークランプの中心線にほぼ沿って貫通した状態となる。ついでコントロールケーブルの強制的な変形を解除すると、コントロールケーブルは両端が拘束されただけの自然な状態に戻ろうとし、スルークランプの内壁と当接した形状でバランスする。それにより、コントロールケーブルがスルークランプで支持された状態の配索経路を容易にシミュレーションすることができる。さらに使用者は表示装置上の画像を入力装置で移動したり外力を加えたりするとき、あたかも実際にコントロールケーブルを取り扱っている感覚で入力装置の操作ができる。したがって直感的に操作を行うので、操作が容易である。
【0020】
本発明のシミュレーション装置の第2の態様は、前記シミュレーション方法の第2の態様を実施することができる。
【0021】
前記シミュレーション方法または装置において、前記スルークランプとして鼓型の内面形状を備えているものを用いる場合は、コントロールケーブルの中心線をスルークランプの中心線に合致させるとき、一層両者が干渉しにくい。さらに実際のコントロールケーブルの配索においても、コントロールケーブルの曲げ部分の曲率半径が大きくなるので、インナーケーブルをスムーズに摺動させることができる。
【0022】
前記コントロールケーブルの中心線がスルークランプの中心線に一致するように結合させる工程で、コントロールケーブルの中心線上のスルークランプから外側の2点をスルークランプの中心線に一致させる場合は、スルークランプとコントロールケーブルの隙間が小さい場合、あるいはコントロールケーブルの湾曲が大きい場合でも、コントロールケーブルとスルークランプとが干渉しにくい。
【0023】
前記コントロールケーブルがスルークランプに透過する状態で、コントロールケーブルの両端を固定した後、コントロールケーブルの長さまたは固定条件を変化させてコントロールケーブルのスルークランプの近辺がスルークランプと交差または重なるようにする場合は、コントロールケーブルの中心線とスルークランプの中心線の結合を解除した後、滑らかな湾曲の配索経路を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
つぎに図面を参照しながら本発明のシミュレーション方法の実施形態を説明する。図1は本発明のシミュレーション方法でシミュレーションされるコントロールケーブルの一実施形態を示す実体側面図、図2および図3は本発明のシミュレーション方法の一実施形態を示すフローチャート、図4はそれらのシミュレーション方法で表示装置に表示される主要工程の画像、図5は図4のS202〜S205工程のスルークランプ部分の拡大画像、図6は図5のS203、S205工程のスルークランプの軸方向から見た拡大画像、図7は本発明のシミュレーション方法に用いるシミュレーション装置のブロック図である。
【0025】
はじめに図1を参照して本発明のシミュレーション方法の対象となるコントロールケーブル(以下、単にケーブルという)について説明する。図1に示すケーブル10は、自動車のシフトレバーとトランスミッションの間の操作力の伝達に用いられるシフトケーブルであり、可撓性を有する筒状のアウターケーシング11と、その内部に摺動自在に収容されるインナーケーブル12とからなる。このケーブル10は、押し引き両方向の力を伝達する公知のプッシュプルケーブルである。ただしプルケーブルを採用することもできる。
【0026】
アウターケーシング11は断面角形の鋼線を密に螺旋巻きしたアウターコイルからなる鎧層の周囲に合成樹脂被覆を設けたものが用いられる。アウターコイルの内部にチューブ状の合成樹脂製のライナーを設ける場合もある。ライナーの周囲に細い多数本の金属線を緩く螺旋巻きしたアウターシールドを設ける場合もある。インナーケーブルは、撚り合わせた鋼線あるいは1本の金属製の芯心の周囲に複数本の金属細線を螺旋巻きしたものからなる。
【0027】
アウターケーシング11の端部には、筒状のキャップ(アウターキャップ)14、15を加締めなどで固着している。それらのキャップ14、15は、トランスミッション側のハウジング16やシフトレバー側のハウジング17にアウターケーシング11の端部を所定の角度および位置で固定すると共に、インナーケーブル12の端部を摺動自在にガイドするための筒状の部品である。なお、図1の符号18はインナーケーブル12の端部に固着されたロッド、符号19はそのロッド18をガイドしながらケーシング20内に首振り自在に連結されるガイドパイプである。アウターケーシング11の途中は、スルークランプ21で保持されている。スルークランプ21はケーブル10の途中を、車体の所定の位置に所定の角度で保持するものであり、それによりエンジンルームの内部の各種の部材(剛体壁)とケーブル10との干渉を避けることができる。スルークランプ21はケーブル10の軸方向の移動および軸まわりの回転が自由となるように、ケーブル10の周囲との間に隙間ができる貫通孔22を備えている。
【0028】
この実施形態では、スルークランプ21はケーブル10の中心線側が凸となるように湾曲した湾曲線を中心軸周りに回転させた形態の、いわば鼓状の内面23を備えている。湾曲線としては、放物線あるいは楕円の一部などの二次曲線あるいは4次の項を備えた四次曲線など、どの位置においても内面側が凸となるように湾曲した曲線が用いられる。
【0029】
本発明のシミュレーション方法の基本的な流れは、図2のステップS101〜S105、図3のステップS301〜302に示すように、従来のシミュレーション方法、たとえば非特許文献1や特許文献2の方法とほぼ同様である。すなわち、はじめに準備工程として、設計図のコントロールケーブル(以下、単にケーブルという)の三次元CADデータから、ケーブルの各部品の座標値、ケーブル長さを読みとる(ステップS101)。読みとったデータは後述するパーソナルコンピュータからなるシミュレーション装置(図7参照)の記憶装置に記憶させるために入力しておく。
【0030】
さらに記憶装置には、三次元モデルに必要なアウターケーシングの外径、長さ、曲げ剛性(曲げ弾性係数)、断面二次モーメント、軸方向の弾性係数、インナーケーブルの外径、長さ、曲げ剛性、軸方向の弾性係数などが入力される。ケーブル10の両端に取り付けるキャップ14、15の外径および長さ、スルークランプ21の位置、内面形状、長さなどの三次元データも入力される。なお、各部品のデータは、あらかじめ記憶させたデータベースとしておき、シミュレーションの対象となる部品を呼び出して組み合わせてもよい。
【0031】
ついで配索シミュレーションソフトを立ち上げる。配索シミュレーションソフトは、非特許文献2や特許文献2に開示されている有限要素法による解析ソフトなどが用いられる。このものは、ケーブル10の端部の位置、角度、曲げモーメント、軸方向の力などの条件を設定すると、ケーブルを微小な梁の集合体としてモデル化し、各要素の隣接する要素との境界における曲げモーメント、軸方向の力、たわみ角などを演算してケーブルの自然な状態の湾曲状態、すなわち配索経路を求めることができるものである。さらにケーブルの特定の部位あるいは範囲に特定の大きさおよび方向の外力が加わった場合の湾曲状態についても、同様に演算して表示することができる。さらにケーブルの一定の範囲の中心線または表面が、特定の中心線あるいは表面形状に強制的に合わせるように変形させられたとき、そのような変形状態をもたらす外力の位置や向き(ベクトル)あるいは外力の分布を演算し、得られた外力によってケーブル全体の変形形状(配索経路)を算出することもできる。さらにその算出結果に基づいて、ケーブルの配索状態の三次元画像データを作成し、見る方向を指定することにより、表示装置に表示することができるものである。
【0032】
さらに本発明のシミュレーション方法に用いる配索シミュレーションソフトは、ケーブル10がスルークランプ21を透過する状態と透過しない状態とを切り換えることができるものである。透過する状態は、たとえばケーブル10にスルークランプ21からの外力が与えられない状態でケーブル10の形状を表示し、その画像にスルークランプ21の画像を単に重ねて表示すればよい。また、両方の画像を異なるレイヤーで表示し、重なった画像として出力させるようにしてもよい。透過しない状態は、ケーブル10に対し、ケーブル10に加わっている湾曲の曲げモーメントなどとスルークランプ21の内面からの抗力とがバランスする状態を演算し、ケーブル10に加わる外力分布を特定し、その外力分布が加わった条件でケーブル10の変形形状を算出し、その画像とスルークランプの画像を重ねて表示することにより行う。
【0033】
図2、図3の方法では、まず部品を選択し、取り付けるべき座標および方向ベクトルを入力する(ステップS103)。さらにクランプの種類、大きさ、取り付けるべき位置、角度などの各種の設定(条件)を入力する(ステップS104)。さらにケーブル10と干渉するおそれがある周囲の剛体壁(図1の符号24)、たとえばエンジンルーム内のエンジン、トランスミッション、配管などのデータを入力装置から入力する(ステップS105)。なお、剛体壁24は、ケーブル10が透過する状態にしておくのが好ましい。途中の操作の邪魔にならないようにするためである。最終的な配索経路が定まった後、透過しない状態にして、干渉状態を確認すればよい。あるいは透過する状態のままで、しかも干渉する部位を赤色の線で示すなどにより、注意を換気する表示するようにしてもよい。
【0034】
ついで使用者はケーブル10の一端のキャップ14を固定すべき所定位置、たとえばトランスミッション側のハウジング17に固定する(ステップS201)。この操作は、たとえばキャップ14の取り付け位置の座標と、中心線の向きを示すベクトルとを配索シミュレーションソフトに入力し、キャップ14に変位を与えて動かすようにする。なお、両端にキャップ14、15を固定したケーブル10の画像を表示装置に表示させ、マウスポイントをケーブル10上の1点に合わせてクリックし、ドラッグしてケーブルの画像(オブジェクト)を移動させ、回転などの操作を行った上で、固定する側のキャップ14を固定位置まで移動させ、さらにそれぞれ選択した中心線同士を一致させるコマンドを与えるなど、直感的に行うことができるようにしてもよい。それにより操作する者は、直感的に操作することができる。ただし単に一端を一方の固定位置に固定するコマンドを与えて固定状態の画像を演算させるようにしてもよい。コマンドはポップアップウインドのいくつかのコマンドの枝から選択させるのが好ましい。それにより通常のCADの操作と同様の操作で視覚的、直感的に操作することができる。
【0035】
この操作により、図3のステップS201で示すように、ケーブル10の一端を取り付け位置に所定の角度で固定することができる。なお、上記のケーブル10の移動および固定の操作では、ケーブル10に外力は加わっておらず、ケーブル10は直線の状態のままである。また、データ的には三次元で処理を行い、表示装置ではスルークランプ21を横から見る向きで表示させればよい。
【0036】
ついでスルークランプ21とケーブル10が透過する状態にした上で、ケーブル10の他端のキャップ15をシフトレバー側のハウジング17の所定位置に固定する操作を行う(ステップS202)。この場合もキャップ15の取り付け位置の座標と、中心線の向きを示すベクトルとを配索シミュレーションソフトに入力し、キャップ15に変位を与えて動かすようにする。ただし移動させるキャップ15にマウスポインタを合わせ、ドラッグして取り付け位置まで移動させ、中心線(軸線)同士を合わせるコマンドを実行させるようにしてもよい。なお、このように一端を取り付けた後、他端側を移動させるのは、ケーブルの端部の固定状態の組み合わせによっては、変形させていく経路によって最終の安定した湾曲状態が異なる場合があるためである。これにより、特許文献2などと同様に、一端を固定し、その状態からケーブルの他端に加えられる力および向きに応じて、順次ケーブルのたわみ角度などを演算させ、変形途中の形状を特定し、画面に表示させることができる。そして変形の履歴が明確になり、最終の安定した変形形状が一意的に定まる。さらに操作する者にとっても、直感的に操作できるメリットがある。ただし、最終的な変形状態が一意的に定まるような簡易な配索の場合は、あらかじめ定めた取り付け位置、方向に、両方のキャップ14、15を同時に固定させるコマンドを実行させるようにしてもよい。
【0037】
ステップS202を実行すると、図4および図5のステップS202で示すように、ケーブル10が三次元的にスルークランプ21に重なっている。また、重ならない位置であっても、はじめの設計が適切であれば、ケーブル10はスルークランプ21の中心線J1に近い位置に来る。この状態から、コマンドの選択により、スルークランプ21の中心線J1とケーブル10の中心線J2とを一致させる(ステップS203)。なお、ケーブル10とスルークランプ21とがかなり離れている場合は、はじめの設計が不適切であるとして、ケーブル長さや固定位置を変えるか、設計をしなおすようにする。あるいはスルークランプ21の取り付け位置の座標と、中心線の向きを示すベクトルとを変更し、配索シミュレーションソフトに再度入力し、スルークランプ21に変位を与えて動かすようにする。なお、ケーブル10の特定部位の位置の座標を配索シミュレーションソフトに入力し、スルークランプ21の中心線に強制的に合致させてもよい。また、マウスポインタをケーブル10の一部に合わせてクリックし、ドラッグすることにより、強制的にケーブル10を撓ませてスルークランプ21に重ねるようにするようにしてもよい。
【0038】
なお、ケーブル10はスルークランプ21と重なっている範囲でもいくらか湾曲しているので、ケーブル10の中心線上でスルークランプ21の外側に出ている2点を取り、その2点の範囲を直線上に変形させた上で、スルークランプ21の中心線J1に重なるように操作してもよい。変形の操作は前述の場合と同様に、そのような変形をもたらす外力ないし外力分布を演算し、そのような外力を含めてケーブル10の配索状態を算出し直せばよい。これらの操作は図5のようにスルークランプ21の部分を拡大させながら行うのが好ましい。さらに図6に示すように、スルークランプ21の中心線J1の方向から表示装置に表示すると、スルークランプ21とケーブル10の位置関係、とくに干渉の有無を容易に確認することができる。
【0039】
ケーブル10の前記2点間の中心線J2をスルークランプ21の中心線J1に合わせると、ケーブル10はスルークランプ21の内部に入り込み、内壁と干渉しない。そこでケーブル10とスルークランプ21を互いに透過しない状態に切り換えると共に、両者の中心線同士を一致させる結合を解除する(ステップS204)。それによりケーブル10が元の位置および形状、すなわちステップS202の結合する前の配索経路の位置に弾力によって戻ろうとする。そしてケーブル10の外周面がスルークランプ21の内壁と当接し、バランスして最終的な配索経路が得られる(ステップS301)。この場合、結合する前の両者の中心線同士のずれの大きさ、角度により、スルークランプ21の両端でケーブル10の異なる側の2点が当接したり、スルークランプ21の内壁の一方の面に連続的に当接したりする。しかしいずれの場合もケーブル10はスルークランプ21の内部に入っている状態から変形するので、演算も容易である。
【0040】
そして最終的に、両端がトランスミッション側のハウジング(図1の符号16)およびシフトレバー側のハウジング(図1の符号17)に固定され、中間部分がスルークランプ21に通されて支持されるケーブル10の配索経路のシミュレーションデータおよび画像が得られる。このようにして得られたケーブル10の配索経路は、従来の配索経路のシミュレーションに比して実際の配索状態に近い。しかも最終の状態までの操作は、直感的に行うことができる。得られた配索経路のシミュレーションのデータは、たとえばケーブル10の総曲げ角度、最小曲率半径(最小R)を確認し、いずれも許容値に入っているか、否かを確認するのに使用することができる(ステップS302)。
【0041】
なお、スルークランプ21の内壁が鼓型であるので、ケーブル10のスルークランプ21内部での湾曲は緩やかであり、通常はこの部分では許容値に入る。もし許容値に入っていない場合は、ケーブル10の長さやキャップ14、15の固定条件を見直し、再度前述の操作を行う。なお、総曲げ角度とは、ケーブル10の曲げ部分の曲げ角度の総和であり、一方のキャップ14から出たところの曲げ角度、スルークランプ21に入る位置での曲げ角度、出ていく部位での曲げ角度、他方のキャップ15に連続する部位での曲げ角度の総和である。この総曲げ角度が大きい場合は、インナーケーブルとアウターケーシングの摩擦が大きくなるので、所定の許容値が定められている。
【0042】
前述の配索経路のシミュレーション方法は、たとえば図7に示すシミュレーション装置30で行うことができる。このシミュレーション装置30には、通常のパーソナルコンピュータ(パソコン)を使用することができ、それに三次元CADソフトおよびシミュレーション方法を実行するソフト(解析プログラム)を格納することにより、シミュレーション装置30が得られる。このシミュレーション装置30は、コントロールケーブルの三次元データと、そのコントロールケーブルの両端の固定位置および固定方向のデータと、そのコントロールケーブルの中間部を隙間をあけて保持するスルークランプの三次元データと、そのスルークランプの固定位置および固定方向のデータと、各データの処理を入力する入力装置31と、入力されたデータおよびシミュレーション用のソフトを記憶する記憶装置32と、それらのデータおよび入力装置31から与えられるコマンドに基づき、ソフトに沿って演算し、画像などを出力する中央処理装置33と、中央処理装置33から出力される画像データを表示する表示装置34とを備えている。なお、符号35は中央処理装置が外部からデータを受ける入力制御部であり、符号36は出力制御部である。
【0043】
入力装置31としては、数値を入力するキーボード、オブジェクトの移動や変形を指示し、コマンドを選択するためのマウスが用いられる。CADデータを通信線ないし通信用無線あるいは記憶媒体を介して記憶装置に取り込むこともできる。記憶装置32としては、ハードディスクが用いられる。ただしフラッシュメモリなど、各種の半導体メモリ、磁気ディスク、レーザーディスクなどの記憶媒体なども用いることができる。表示装置34は画像を表示するものであり、液晶パネル、プラズマパネルなどのモニタが用いられる。中央処理装置33は、各種の演算を実行するものであり、パーソナルコンピュータの中央処理装置が用いられる。シミュレーション装置30はCAD用のコンピュータをそのまま用いてもよい。
【0044】
前述の配索経路のシミュレーション方法では、ケーブル10の中心線J2上でスルークランプ21の外側に出ている2点を取り、その2点の範囲をスルークランプ21の中心線に重なるように操作しているが、スルークランプ21の長さ方向の内部の2点を取るようにしてもよい。その場合でも、スルークランプ21の内壁が鼓型であるので、ほとんどの場合はケーブル10がスルークランプ12の内壁と干渉しない状態に収まる。その場合は、干渉していないことを確認した上で、ステップS205に進めばよく、干渉している場合は、ステップS203に戻り、ケーブル10の中心線上の2点の間隔を広げて再度ステップ204、S205を行えばよい。
【0045】
また、前記実施形態では、ケーブル10の長さやキャップ14、15の固定位置および角度はあらかじめ設計値に基づいて定めているが、ステップS202の状態でケーブル10の中心線J2とスルークランプ21の中心線J1がかなり離れている場合は、その時点でケーブル長さを変化させたり、キャップ14、15の固定位置および角度を変化させて、中心線同士近づけるようにすることもできる。そうすることにより、中心線同士を一致している状態を解除したとき、ケーブル10のスルークランプ21による拘束が少なくなり、ケーブル10の湾曲が小さくなってスムーズなインナーケーブルの操作を行うことができる。
【0046】
前記実施形態ではケーブル10の中間位置を1個のスルークランプ21で保持しているが、2個以上のスルークランプ21で保持する場合についても同様にシミュレーションすることができる。また、前記実施形態では、ケーブル10を保持する手段として鼓状の貫通孔22を備えたスルークランプ21を採用しているが、円筒状の空洞を備えたスルークランプ21を採用することもでき、前述の方法と同様にケーブル10の配索をシミュレーションすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明のシミュレーション方法でシミュレーションされるコントロールケーブルの一実施形態を示す実体側面図である。
【図2】本発明のシミュレーション方法の一実施形態を示すフローチャートである。
【図3】図2に続くフローチャートである。
【図4】図2、図3のシミュレーション方法で表示装置に表示される主要工程の画像である。
【図5】図4のS202〜S205工程のスルークランプ部分の拡大画像である。
【図6】図5のS203、S205工程のスルークランプの軸方向から見た拡大画像である。
【図7】本発明のシミュレーション方法に用いるシミュレーション装置のブロック図である。
【符号の説明】
【0048】
10 ケーブル(コントロールケーブル)
11 アウターケーシング
12 インナーケーブル
14、15 キャップ
16 トランスミッション側のハウジング
17 シフトレバー側のハウジング
18 ロッド
19 ガイドパイプ
20 ケーシング
21 スルークランプ
22 貫通孔
23 内面
24 剛体壁
J1 スルークランプの中心線
30 シミュレーション装置
31 入力装置
32 記憶装置
33 中央処理装置
34 表示装置
35 入力制御部
36 出力制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
与えられたケーブル長さと、与えられたケーブル剛性と、与えられたケーブル取付け条件とを用いて数値解析を実行し、中間部が支持されていないコントロールケーブルの配索経路を算出する工程と、
与えられたスルークランプの中心線の位置および方向のデータを用いて、コントロールケーブルの支持すべき部位の中心線がスルークランプの中心線に一致する条件で数値解析を実行し、中間部がスルークランプの中心線に結合されたコントロールケーブルの配索経路を算出する工程と、
与えられたスルークランプの内面形状のデータとコントロールケーブルの外周面形状のデータとを用いて、前記コントロールケーブルとスルークランプの結合が解除され、コントロールケーブルの外周面がスルークランプの内面によって支持される条件で数値解析を実行することにより、両端が固定され、中間部がスルークランプを貫通し、その内面によって支持されたコントロールケーブルの配索経路を算出する工程とからなる、
ケーブル配索のシミュレーション方法。
【請求項2】
与えられたケーブル長さと、与えられたケーブル剛性と、与えられたケーブル取付け条件とを記憶する第1記憶手段と、
前記第1記憶手段に記憶されたデータを用いて数値解析を実行し、中間部が支持されていないコントロールケーブルの配索経路を算出する第1算出手段と、
与えられたスルークランプの中心線の位置および方向のデータを記憶する第2記憶手段と、
前記第1算出手段によって得られたデータと第2記憶手段に記憶されたデータを用いて、コントロールケーブルの支持すべき部位の中心線がスルークランプの中心線に一致する条件で数値解析を再度実行し、中間部がスルークランプの中心線に結合されたコントロールケーブルの配索経路を算出する第2算出手段と、
与えられたスルークランプの内面形状のデータとコントロールケーブルの外周面形状のデータを記憶する第3記憶手段と、
前記第2算出手段で得られたデータと第3記憶手段に記憶されたデータを用いて、前記コントロールケーブルとスルークランプの結合が解除され、コントロールケーブルの外周面がスルークランプの内面によって支持される条件で数値解析を実行することにより、両端が固定され、中間部がスルークランプを貫通し、その内面によって支持されたコントロールケーブルの配索経路を算出する第3算出手段とを備えた、
ケーブル配索のシミュレーション装置。
【請求項3】
ケーブル長さと、ケーブルの外径と、ケーブル剛性と、ケーブル取付け条件と、スルークランプの中心線の位置および方向と、そのスルークランプの内面形状のデータとを入力し、
コントロールケーブルの両端が前記ケーブル取り付け条件で固定され、かつ、ケーブルの中間部の外周面がスルークランプの内面によって支持される条件で数値解析を実行することにより、
両端が固定され、中間部がスルークランプを貫通し、その内面によって支持されたコントロールケーブルの配索経路を算出する、
ケーブル配索のシミュレーション方法。
【請求項4】
入力されたケーブル長さと、ケーブル剛性と、ケーブルの一部に加えられる外力条件とを用いて数値解析を実行し、コントロールケーブルの位置および変形形状を算出する手段と、
算出されたコントロールケーブルの位置および変形形状を表示する表示装置と、
その画像に対して視覚的に前記外力条件のデータを入力する入力手段を備えたコントロールケーブルのシミュレーション装置を用いて、視覚的にコントロールケーブルの形状を得るコントロールケーブルのシミュレーション方法であって、
前記表示装置の画面上に、コントロールケーブルの形状、取り付け部の位置および方向、スルークランプの位置および方向を表示し、
ついでスルークランプに対してコントロールケーブルが透過する条件で、前記入力装置により、表示装置の画面上で、コントロールケーブルの両端をケーブル取り付け部に固定し、
コントロールケーブルの中間部の中心線をスルークランプの中心線に一致させ、
ついでスルークランプに対してコントロールケーブルが透過しない条件で、中心線同士の結合を解除してコントロールケーブルの表面をスルークランプの内面に当接させることにより、
両端が固定され、中間部がスルークランプを貫通し、その内面によって支持されたコントロールケーブルの配索経路を算出する、
ケーブル配索のシミュレーション方法。
【請求項5】
入力されたケーブル長さと、ケーブル剛性と、ケーブルの一部に加えられる外力条件とを用いて数値解析を実行し、コントロールケーブルの位置および変形形状を算出する手段と、
算出されたコントロールケーブルの位置および変形形状を表示する表示装置と、
表示装置のコントロールケーブルの画像の一部または一定の範囲を指定し、指定した部位を特定の方向に移動させることを入力する手段と、
に対して視覚的に前記外力条件のデータを入力する入力手段を備え、
その入力手段からの入力に応じて外力によって変形したコントロールケーブルの形状を前記表示装置に表示するコントロールケーブルの配索シミュレーション装置であって、
前記入力手段が、
コントロールケーブルの一端を取り付け部の近辺に移動させ、両者の中心線を一致させる第1入力手段と、
コントロールケーブルの他端を、スルークランプに対してコントロールケーブルが透過する条件で、コントロールケーブルの剛性に抗しながら他方の取り付け部の近辺に移動させ、両者の中心線を一致させる第2入力手段と、
スルークランプに対してコントロールケーブルが透過する条件で、コントロールケーブルの中間部をスルークランプの近辺に移動させ、両者の中心線を一致させる第3入力手段と、
スルークランプに対してコントロールケーブルが透過しない条件で、中心線同士の結合を解除してコントロールケーブルの表面をスルークランプの内面に当接させる第4入力手段とからなる、
ケーブル配索のシミュレーション装置。
【請求項6】
前記スルークランプとして鼓型の内面形状を備えているものを用いる請求項1、2または4記載のシミュレーション方法。
【請求項7】
前記スルークランプとして鼓型の内面形状を備えているものを用いる請求項3または5記載のシミュレーション装置。
【請求項8】
前記コントロールケーブルの中心線がスルークランプの中心線に一致するように結合させる工程で、コントロールケーブルの中心線上のスルークランプから外側の2点をスルークランプの中心線に一致させる請求項1または4記載のシミュレーション方法。
【請求項9】
前記コントロールケーブルがスルークランプに透過する状態で、コントロールケーブルの両端を固定した後、コントロールケーブルの長さまたは固定条件を変化させてコントロールケーブルのスルークランプの近辺がスルークランプと交差または重なるようにする、請求項1または4記載のシミュレーション方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−134481(P2009−134481A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−309540(P2007−309540)
【出願日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.レーザーディスク
【出願人】(390000996)株式会社ハイレックスコーポレーション (362)
【Fターム(参考)】