説明

コンバインの刈取脱穀駆動制御装置

【課題】
穀稈の刈り取りと搬送をする刈取搬送部を昇降自在に架設したコンバインにおいて、刈取搬送部の刈取作業中における昇降タイミング、並びに、刈取搬送部及び脱穀部の駆動停止及び再駆動タイミングの適正化を図り、刈取作業を円滑に行なえるものとする。
【解決手段】
刈取作業中に刈取搬送部(7)が所定高さ以上上昇すると刈取搬送部(7)及び脱穀部(6)の駆動を自動的に停止する自動停止制御をするコンバインにおいて、刈取脱穀自動停止制御入切スイッチ(SW1)が入り状態で、刈取クラッチ及び脱穀クラッチが入り状態で、車速センサ(SE6)が所定速度以上の走行検出し、刈高さセンサ(SE5)が刈取搬送部(7)の所定高さ以上の上昇検出をすると、刈取クラッチ及び脱穀クラッチを切り駆動し、エンジンの回転数を作業回転数より低い低速回転数に調節するコントローラ(21)を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンバインの刈取脱穀駆動制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
走行車体の前側部に穀稈の刈り取りと搬送をする前処理部を昇降自在に架設し、刈取作業中に前処理部を所定高さまで上昇させたときに前処理部の駆動を自動的に停止させる前処理部駆動停止制御手段を備えたコンバインにおいて、操縦席に備える主変速レバーの前方近傍に前処理部駆動停止制御手段を実行可能状態または実行不能状態に切り替える切替操作手段を設けたものは、公知である(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−159892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、穀稈の刈り取りと搬送をする刈取搬送部を昇降自在に架設したコンバインにおいて、刈取搬送部の刈取作業中における昇降タイミング、並びに、刈取搬送部及び脱穀部の駆動停止及び再駆動タイミングの適正化を図り、刈取作業を円滑に進めようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、刈取搬送部(7)を昇降する昇降操作手段と、刈取搬送部(7)への駆動力伝達経路に備えた刈取クラッチを入切する刈取クラッチ作動手段(RE3,RE4)と、脱穀部(6)への駆動力伝達経路に備えた脱穀クラッチを入切する脱穀クラッチ作動手段(RE1,RE2)と、エンジンの回転数調節手段と、刈取搬送部(7)の対地高さを検出する刈高さセンサ(SE5)と、前記刈取クラッチ及び脱穀クラッチの接続状態または遮断状態を検出する刈取脱穀クラッチセンサ(SE1)と、車速を検出する車速センサ(SE6)と、エンジン回転数センサ(SE7)と、刈取脱穀自動停止制御入切スイッチ(SW1)とを備え、刈取作業中に刈取搬送部(7)が所定高さ以上に上昇したことを検出すると刈取搬送部(7)及び脱穀部(6)の駆動を自動的に停止する自動停止制御手段を備えたコンバインにおいて、前記刈取脱穀自動停止制御入切スイッチ(SW1)が入り状態で、刈取クラッチ及び脱穀クラッチが接続状態で、前記車速センサ(SE6)によって所定速度以上の車速を検出している状態で、前記刈高さセンサ(SE5)によって刈取搬送部(7)の所定高さ以上の上昇が検出されると、前記刈取クラッチ作動手段(RE3,RE4)及び脱穀クラッチ作動手段(RE1,RE2)を作動して刈取クラッチ及び脱穀クラッチを自動的に遮断するコントローラ(21)を設けたことを特徴とするコンバインの刈取脱穀駆動制御装置とする。
【0006】
請求項2の発明は、前記刈取脱穀自動停止制御入切スイッチ(SW1)が入り状態で、刈取クラッチ及び脱穀クラッチが接続状態で、車速センサ(SE6)によって所定速度以上の車速を検出している状態で、刈高さセンサ(SE5)が刈取搬送部(7)の所定高さ以上の上昇を検出すると、刈取クラッチ及び脱穀クラッチを自動的に遮断すると共に、エンジンの回転数を作業回転数より低い低速回転数に自動的に調節する機能を前記コントローラ(21)に備えた請求項1記載のコンバインの刈取脱穀駆動制御装置とする。
【0007】
請求項3の発明は、前記刈取搬送部(7)における刈取穀稈の有無を検出する刈取穀稈有無検出センサ(SE2)を設け、前記刈取脱穀自動停止制御入切スイッチ(SW1)が入り状態で、刈取クラッチ及び脱穀クラッチが接続状態で、前記車速センサ(SE6)によって所定距離以上の走行を検出している状態で、前記刈取穀稈有無検出センサ(SE2)によって刈取搬送部(7)における刈取穀稈の不存在が検出されたときに、刈取クラッチ及び脱穀クラッチを自動的に遮断する機能を前記コントローラ(21)に備えた請求項1または請求項2記載のコンバインの刈取脱穀駆動制御装置とする。
【0008】
請求項4の発明は、前記刈取脱穀自動停止制御入切スイッチ(SW1)が入り状態で、刈取クラッチ及び脱穀クラッチが接続状態で、前記車速センサ(SE6)によって所定距離以上の走行を検出している状態で、前記刈取穀稈有無検出センサ(SE2)によって刈取搬送部(7)における刈取穀稈の不存在が検出されたときに、刈取クラッチ及び脱穀クラッチを自動的に遮断し、且つ、エンジン回転数を作業回転数より低い低速回転数に自動的に減速調節する機能を前記コントローラ(21)に備えた請求項1または請求項2または請求項3記載のコンバインの刈取脱穀駆動制御装置とする。
【0009】
請求項5の発明は、前記刈取脱穀自動停止制御入切スイッチ(SW1)が入り状態で、前記刈高さセンサ(SE5)によって刈取搬送部(7)の刈取位置への下降が検出されると、遮断状態の刈取クラッチ及び脱穀クラッチを自動的に接続し、エンジン回転数を低速回転数から作業回転数に自動的に増速調節する機能を前記コントローラ(21)に備えた請求項1から請求項4のいずれか一項記載のコンバインの刈取脱穀駆動制御装置とする。
【0010】
請求項6の発明は、前記刈取脱穀自動停止制御入切スイッチ(SW1)が入り状態で、刈取クラッチ及び脱穀クラッチが遮断されている状態において、前記コントローラ(21)のタイマカウント手段によって所定時間の経過を検出されるか、あるいは、車速センサ(SE6)によって所定距離以上の走行が検出されると、刈取クラッチ及び脱穀クラッチを自動的に接続し、エンジン回転数を低速回転数から作業回転数へ自動的に増速調節する機能を前記コントローラ(21)に備えた請求項1から請求項4のいずれか一項記載のコンバインの刈取脱穀駆動制御装置とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によると、刈取作業時に刈取搬送部(7)及び脱穀部(6)が駆動不要状態になるとこれらの駆動を自動的に停止することができ、エンジンの負荷を軽減し、燃料消費及び排ガスを低減することができる。
【0012】
請求項2記載の発明によると、請求項1記載の発明の効果に加えて、刈取搬送部(7)及び脱穀部(6)の駆動不要時におけるエンジンの急速な上昇回転を防止し、脱穀部(6)の揺動選別棚の穀粒飛散を抑制することができる。
【0013】
請求項3記載の発明によると、請求項1または請求項2記載の発明の効果に加えて、刈取搬送部(7)の穀稈搬送状態を均等にして搬送性能の安定化を図り、脱穀部(6)の負荷を均等化することができる。
【0014】
請求項4の発明によると、請求項1または請求項2または請求項3記載の発明の効果に加えて、刈取搬送部(7)及び脱穀部(6)の駆動停止タイミングを適正にしながら、刈取搬送部(7)の穀稈搬送状態を均等にし搬送性能の安定化を図り、脱穀部(6)の負荷を均等化することができる。
【0015】
請求項5の発明によると、請求項1から請求項4のいずれか一項記載の発明の効果に加えて、オペレータの操作を煩わせることなく、刈取搬送部(7)及び脱穀部(6)を作業状態に復帰させることができ、刈取作業中の作業への復帰不具合を防止し刈取作業を円滑にすることができる。また、作業復帰時のエンジン回転数を適正化しながら刈取脱穀作業を円滑に進めることができる。
【0016】
請求項6記載の発明によると、請求項1から請求項4のいずれか一項記載の発明の効果に加えて、オペレータの操作を煩わせることなく刈取搬送部(7)及び脱穀部(6)を作業状態に復帰させることができ、刈取作業中の復帰不具合を防止し刈取作業を円滑にすることができる。また、作業復帰時のエンジン回転数を適正化し、刈取脱穀作業を円滑に進めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】コンバインの全体側面図。
【図2】コンバインの全体平面図。
【図3】制御ブロック図。
【図4】フローチャート。
【図5】フローチャート。
【図6】フローチャート。
【図7】フローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下本発明の実施例について説明する。まず、図1及び図2に基づき本発明を備えたコンバインの全体構成について説明する。
コンバインの走行車台1の下方には左右クローラ走行装置2,2を配設し、走行車台1上には、右側前部に座席付きの操縦部3を、操縦部3の後方下部にはエンジンを備えた原動部4を、原動部4の後方にはグレンタンク5を配設している。走行車台1の左側部に脱穀部6を搭載し、走行車台1の前側部には刈取搬送部7を昇降自在に設け、脱穀部6及びグレンタンク5の後方に排稾処理装置8を設けている。また、グレンタンク5の後側部に排出オーガ9を設け、グレンタンク5内の穀粒を外部に取り出すようにしている。
【0019】
しかして、圃場の穀稈を刈取搬送部7の分草杆により穀稈条列毎に分草しながら穀稈引起し装置に案内し、次いで、穀稈引起し装置で穀稈を引起し、引き起こした穀稈を掻込搬送装置で後方へ掻き込み搬送し刈刃装置で刈り取る。次いで、中継ぎ搬送装置で左右方向中央部へ集送しながら中継ぎ搬送し、次いで、引継ぎ搬送装置を経て脱穀部6のフィードチエンへ穀稈を引き継ぎ搬送する。次いで、脱穀部6で脱穀選別し、一番穀粒を一番揚穀機で揚穀しグレンタンク5に貯溜する。
【0020】
また、操縦部3の主変速レバー11及び副変速レバー12を操作すると、エンジンの回転動力を走行ミッションケース内の油圧式無段変速装置及び副変速装置で変速し、左右クローラ走行装置2,2に伝達し任意の速度で走行する。
【0021】
また、操縦部3の操向パワステレバー13を左右に傾動操作することにより、旋回走行することができる。すなわち、操向パワステレバー13を旋回側に傾動操作すると、走行ミッションケース内のサイドクラッチが切り作動され、左右クローラ走行装置2,2に速度差が与えられ走行方向の変更をすることができる。
【0022】
次に、図3に基づき制御ブロック構成について説明する。
コントローラ21の入力側には、スイッチ及びセンサを接続している。すなわち、刈取脱穀自動停止制御入切スイッチSW1と、刈取クラッチ及び脱穀クラッチの入切を検出する刈取脱穀クラッチセンサSE1と、刈取搬送部7の刈取穀稈の有無を検出する刈取穀稈有無検出センサSE2と、刈取クラッチ及び脱穀クラッチ操作用の刈取・脱穀クラッチレバー14(図2に示す)の操作位置を検出する刈取・脱穀クラッチレバーセンサSE3と、主変速レバーの操作位置を検出する主変速レバーセンサSE4と、刈取搬送部7の分草杆の対機体高さを検出する非接触型の対機体高さセンサSE5と、コンバインの車速を検出する車速センサSE6と、エンジンの回転数を検出するエンジン回転数センサSE7と、刈取接地センサSE8とを接続している。
【0023】
なお、刈取接地センサSE8は、分草杆に左右方向の軸回りに回動自在に軸支した接地体と、接地体の回動状態を検出する回転式ポテンショメータを利用した角度検出手段とを備え、刈取搬送部7の分草杆の接地状態を検出するものである。また、対機体高さセンサSE5は刈取搬送部7の分草杆先端部の対機体高さを検出するもので非接触型に構成されていて、図1に示すように、走行車台1のフレーム部に対する刈取搬送部7後部の左右方向の軸回りに回動する軸支部に設けられていて、ポテンショメータ型である。また、刈取穀稈有無検出センサSE2は例えば刈取搬送部7の分草杆近傍に配設されていて刈取穀稈の有無を検出するものである。
【0024】
また、刈取クラッチ及び脱穀クラッチ操作用の刈取・脱穀クラッチレバー14は左右方向の軸回りに回動自在に軸支されていて、第1操作位置に操作すると、刈取クラッチ及び脱穀クラッチが切り状態となり、第2操作位置に操作すると、脱穀クラッチが入り状態となり、第3操作位置に操作すると、刈取クラッチ及び脱穀クラッチが入り状態となるように構成している。
【0025】
また、コントローラ21の出力側には、エンジン回転数指示手段23と、脱穀クラッチモータの入り出力リレーRE1と、脱穀クラッチモータの切り出力リレーRE2と、刈取クラッチモータの入り出力リレーRE3と、刈取クラッチモータの切り出力リレーRE4を接続している。上記入り出力リレーRE1と切り出力リレーRE2を脱穀クラッチ作動手段と称する。また、上記入り出力リレーRE3と切り出力リレーRE4を刈取クラッチ作動手段と称する。
【0026】
次に、図4に基づき制御内容について説明する。
刈取クラッチを刈取クラッチモータで入切し、脱穀クラッチを脱穀クラッチモータにより入切するコンバインにおいて、刈取・脱穀クラッチレバー14が刈取クラッチ入り位置、脱穀クラッチ入り位置にある状態で、車速センサSE6が所定速度以上での走行を検出しているときにおいて、対機体高さセンサSE5が刈取搬送部7の所定高さ以上への上昇検出をすると、刈取クラッチ入切モータ及び脱穀クラッチ入切モータを切り駆動し、且つ、エンジンの回転数を作業回転数より低い回転数に調節制御するようにしている。
【0027】
前記構成によると、刈取作業時において刈取搬送部7及び脱穀部6の駆動が不要な状態になると、これらの回転を停止し、エンジン回転数を作業回転数よりも低い低速回転数に調節するので、燃料消費及び排ガスを低減することができる。また、刈取搬送部7及び脱穀部6の駆動停止時にエンジンの急速な上昇回転を防止し、脱穀部6の揺動選別棚の穀粒飛散を抑制することができる。
【0028】
また、前記刈取脱穀自動停止制御時において、対機体高さセンサSE5が刈取搬送部7の刈取位置への下降検出をすると、停止状態の刈取クラッチ及び脱穀クラッチを入り状態にするべく刈取クラッチ入切モータ及び脱穀クラッチ入切モータを入り駆動し、エンジンの回転数を低速回転数から通常の作業回転数に復帰させるようにしている。
【0029】
従って、オペレータの操作を煩わせることなく、刈取搬送部7及び脱穀部6を駆動し作業状態に復帰させることができ、刈取作業中の復帰不具合を防止することができる。
また、前記刈取脱穀自動停止制御中において、刈取クラッチ及び脱穀クラッチが切り状態になった後に、車速センサSE6が所定距離以上の走行を検出すると、切り状態の刈取クラッチ及び脱穀クラッチを再度入り状態にするべく刈取クラッチ入切モータ及び脱穀クラッチ入切モータを入り駆動出力し、エンジンの回転数を低速回転数から通常の作業回転数に復帰させるようにしている。
【0030】
従って、オペレータの操作を煩わせることなく、刈取搬送部7及び脱穀部6を作業状態に復帰させることができ、刈取作業中の復帰不具合を防止することができる。
また、前記刈取脱穀自動停止制御時において、刈取クラッチ及び脱穀クラッチの停止後において、コントローラ21のタイマカウント手段が所定時間の経過を検出すると、刈取クラッチ入切モータ及び脱穀クラッチ入切モータを入り駆動し、停止していた刈取クラッチ及び脱穀クラッチを再駆動し、エンジンの回転数を低速回転数から通常の作業回転数に復帰させるようにしている。
【0031】
従って、オペレータの操作を煩わせることなく、刈取搬送部7及び脱穀部6を作業状態に復帰させることができ、刈取作業中の復帰不具合を防止することができる。
次に、図4に基づき制御内容を具体的に説明する。
【0032】
刈取脱穀自動停止制御入切スイッチSW1が入り状態で(ステップS1)、刈取・脱穀クラッチレバー14が刈取クラッチ入り状態、脱穀クラッチ入り状態で(ステップS2)、車速センサSE6の検出値が例えば0.02メートル/Secより大の作業走行速度であると(ステップS3)、対機体高さセンサSE5の検出値が所定上昇位置より高いか否かを判定する(ステップS4)。
【0033】
そして、Noであると、刈取脱穀自動停止制御モードの入りを記憶しているか否かを判定し(ステップS5)、Noであると、刈取脱穀自動停止制御モードの入り記憶を解除し(ステップS8)、前記ステップS1に戻る。
【0034】
また、Yesであると、コントローラ21の指令によりエンジン回転数を作業回転数に調節し(ステップS6)、次いで、刈取クラッチ及び脱穀クラッチが入りか否かを判定する(ステップS7)。Yesであると、刈取脱穀自動停止制御モード入りの記憶を解除し(ステップS8)、前記ステップS1に戻る。また、Noであると、刈取クラッチ及び脱穀クラッチを入りにし(ステップS9)、ステップS1に戻る。
【0035】
また、対機体高さセンサSE5の検出値が所定上昇位置より高いか否かを判定し(ステップS4)、Yesであると、刈取脱穀自動停止制御モード入りを記憶しているか否かを判定し(ステップS10)、Noであると、後述のステップS13に移行し、Yesであると、刈取脱穀の再駆動開始距離のカウントを開始し(ステップS11)、刈取脱穀の再駆動開始距離に到達したか否かを判定する(ステップS12)。Yesであると、前記ステップS6に移行する。また、Noであると、コントローラ21から指示によりエンジン回転数を低速回転数に調節し(ステップS13)、次いで、刈取クラッチ及び脱穀クラッチが切りか否かを判定し(ステップS14)、Yesであると、後述のステップS16に移行し、Noであると、刈取クラッチ及び脱穀クラッチを切りにし(ステップS15)、刈取脱穀自動停止制御モードの入りを記憶し(ステップS16)、刈取脱穀の再駆動開始距離のカウントを初期化し、前記ステップS1に戻る。
【0036】
次に、図5に基づき他の制御例について説明する。
刈取クラッチを刈取クラッチモータにより入切し、脱穀クラッチを脱穀クラッチモータにより入切するコンバインにおいて、刈取・脱穀クラッチレバー14の操作位置が刈取クラッチ入り、脱穀クラッチ入りの状態で、車速センサSE6が所定速度以上での走行を検出し、刈取搬送部7の刈取穀稈有無検出センサSE2が刈取穀稈なしを検出した後に、車速センサSE6が所定距離以上の走行を検出すると、コントローラ21の指令により刈取クラッチモータ及び脱穀クラッチモータを切り作動し刈取クラッチ及び脱穀クラッチを切り、且つ、エンジン回転数を作業回転より低い低速回転数に制御するようにしている。
【0037】
また、刈取穀稈有無検出センサSE2が前記穀稈あり検出後に刈取穀稈の無し検出をすると、コントローラ21の指令により刈取クラッチ及び脱穀クラッチを入りにし、エンジン回転数を低速回転から通常の作業回転数に復帰させるようにしている。
【0038】
なお、刈取穀稈有無検出センサSE2が穀稈無し検出後に車速センサSE6の検出情報により所定距離の走行検出をすると、コントローラ21の指令により刈取クラッチ及び脱穀クラッチを入りにし、エンジン回転数を低速回転から通常の作業回転数に復帰させるようにしてもよい。
【0039】
また、刈取穀稈有無検出センサSE2が刈取穀稈無し検出後にコントローラ21のタイマ手段により所定時間の経過を検出をすると、コントローラ21の指令により刈取クラッチ及び脱穀クラッチを入りにし、エンジン回転数を低速回転から通常の作業回転数に復帰させるようにしてもよい。
【0040】
前記構成によると、オペレータの操作を煩わせることなく刈取作業に復帰でき、刈取作業中の不具合を防止することができる。
次に、図5の制御フローチャートについて説明する。
【0041】
刈取脱穀自動停止制御入切スイッチSW1が入り状態で(ステップS21)、刈取・脱穀クラッチレバー14の操作位置が刈取クラッチ及び脱穀クラッチ入り位置になると(ステップS22)、対機体高さセンサSE5が所定上昇位置より上昇したか否かを判定する(ステップS23)。
【0042】
Noであると、刈取脱穀自動停止制御モードの入りを記憶しているか否かを判定し(ステップS24)、Noであると、刈取脱穀自動停止制御モードの入り記憶を解除し(ステップS27)、ステップS21に戻る。また、Yesであると、コントローラ21の指令によりエンジン回転数を作業回転数に調節し(ステップS25)、次いで、刈取クラッチ及び脱穀クラッチが入りか否かを判定する(ステップS26)。Yesであると、刈取脱穀自動停止制御モード入りの記憶を解除し(ステップS27)、Noであると、刈取クラッチ及び脱穀クラッチを入り駆動し(ステップS28)、ステップS21に戻る。
【0043】
また、対機体高さセンサSE5が所定上昇位置より上昇したか否かを判定し(ステップS23)、Yesであると、刈取脱穀自動停止制御モードの入りを記憶しているか否かを判定し(ステップS29)、Noであると、後述のステップS32に移行する。Yesであると、刈取脱穀の再駆動開始時間のカウントを開始し(ステップS30)、次いで、刈取脱穀の再駆動開始時間が経過したか否かを判定する(ステップS31)。
【0044】
Yesであると、前記ステップS25に移行し、Noであると、コントローラ21の指令でエンジン回転数を低速回転数に調節する(ステップS32)。次いで、刈取クラッチ及び脱穀クラッチが切りか否かを判定し(ステップS33)、Yesであると、後述のステップS35に移行し、Noであると、刈取クラッチ及び脱穀クラッチを切りにし(ステップS34)、刈取脱穀自動停止制御モードの入り記憶をし(ステップS35)、刈取脱穀再駆動開始時間を初期化し、前記ステップS21に戻る。
【0045】
次に、図6に基づき他の制御例について説明する。
刈取脱穀自動停止制御入切スイッチSW1が入り状態で(ステップS41)、刈取・脱穀クラッチレバー14の操作位置が刈取クラッチ入り状態で、脱穀クラッチ入り状態であると(ステップS42)、車速センサSE6の検出速度が0.02メートル/Secより速いか否かを判定する(ステップS43)。Noであると、刈取脱穀停止開始距離のカウントを初期化し(ステップS46)、刈取脱穀自動停止制御モードの入り記憶を解除し(ステップS49)、前記ステップS41に戻る。
【0046】
また、Yesの場合には、刈取穀稈有無検出センサSE2が刈取穀稈無し検出をしたか否かを判定し(ステップS44)、Noであると、刈取脱穀自動停止制御モードの入り記憶をしているか否かを判定し(ステップS45)、Noであると、刈取脱穀停止開始距離のカウントを初期化し(ステップS46)、刈取脱穀自動停止制御モードの入り記憶を解除し(ステップS49)、前記ステップS41に戻る。
【0047】
また、Yesであると、コントローラ21の指令によりエンジン回転数を作業回転数に調節し(ステップS47)、次いで、刈取クラッチ、刈取クラッチ脱穀クラッチが入りか否かを判定する(ステップS48)。Yesであると、刈取脱穀自動停止制御モード入りの記憶を解除し(ステップS49)、ステップS1に戻る。また、Noであると、コントローラ21の指令により刈取クラッチ及び脱穀クラッチを入りにし(ステップS50)、前記ステップS41に戻る。
【0048】
また、刈取穀稈有無検出センサSE2が刈取穀稈無し検出か否かを判定し(ステップS44)、Yesであると、刈取脱穀停止開始距離のカウント処理を開始し(ステップS51)、次いで、刈取脱穀停止開始距離に到達したか否かを判定する(ステップS52)。Noであると、前記ステップS41に戻り、Yesであると、コントローラ21の指令によりエンジン回転数を作業回転数よりも低速回転数に調節する(ステップS53)。
【0049】
次いで、刈取クラッチ及び脱穀クラッチが切りか否かを判定し(ステップS54)、Yesであると、後述のステップS56に移行し、Noであると、コントローラ21の指令により刈取クラッチ及び脱穀クラッチを切りにし(ステップS55)、刈取脱穀自動停止制御モードの入り状態を記憶し(ステップS56)、前記ステップS41に戻る。
(3479)
次に、図7に基づき他の実施例にについて説明する。
【0050】
刈取クラッチを刈取クラッチモータで入切し、脱穀クラッチを脱穀クラッチモータにより入切できるコンバインにおいて、刈取脱穀自動停止制御入切スイッチSW1が入りで、刈取・脱穀クラッチレバー14の操作位置が刈取クラッチ及び脱穀クラッチが入り状態で、車速センサSE6が所定速度以上の走行検出をすると、刈取穀稈有無検出センサSE2が刈取穀稈なし状態を検出し、その後に所定時間の経過を検出すると、コントローラ21の指令により刈取クラッチモータ及び脱穀クラッチモータを切り作動し刈取クラッチ及び脱穀クラッチを切りにし、且つ、エンジン回転数を作業回転数から低い低速回転数に調節制御するようにしている。
【0051】
前記構成によると、コンバインの作業時において、刈取搬送部7及び脱穀部6の駆動が不要な状態ではこれらの駆動を停止しエンジン回転数を低くするので、エンジンの回転数の低下により燃料消費や排ガスの排出量を低下させることができる。また、エンジンの負荷の低下によるエンジン回転数の高速回転を防止し、選別風量の増加に伴う脱穀部6の揺動選別棚の被選別物の吹き上げ選別を防止し、穀粒の飛散を抑制することができる。
【0052】
次に、図7に基づき制御フローチャートを具体的に説明する。
刈取脱穀自動停止制御入切スイッチSW1が入り状態で(ステップS61)、刈取・脱穀クラッチレバー14の操作位置が刈取クラッチが入り状態で脱穀クラッチが入り状態の場合には(ステップS62)、刈取穀稈有無検出センサSE2が刈取穀稈無し検出をしたか否かを判定する(ステップS63)。
【0053】
Noであると、刈取脱穀自動停止制御モードの入りを記憶しているか否かを判定し(ステップS64)、Noであると、刈取脱穀停止開始時間のカウントを初期化し(ステップS65)、刈取脱穀自動停止制御モードの入り記憶を解除し(ステップS66)、前記ステップS61に戻る。
【0054】
また、Yesであると、コントローラ21の指令によりエンジン回転数を作業回転数に調節し(ステップS67)、刈取クラッチ及び脱穀クラッチが入りか否かを判定する(ステップS68)。Yesであると、刈取脱穀自動停止制御モード入りの記憶を解除し(ステップS66)、ステップS61に戻る。また、Noであると、コントローラ21の指令により刈取クラッチ及び脱穀クラッチを入りにし(ステップS69)、前記ステップS61に戻る。
【0055】
また、刈取穀稈有無検出センサSE2が刈取穀稈無し検出をしたか否かを判定し(ステップS63)、Yesであると、刈取脱穀停止開始時間のカウント処理を開始し(ステップS70)、刈取脱穀停止開始時間が経過したか否かを判定する(ステップS71)。Noであると、前記ステップS61に戻り、Yesであると、コントローラ21の指令によりエンジン回転数を作業回転数よりも低い回転数に調節し(ステップS72)、次いで、刈取クラッチ脱穀クラッチが切りか否かを判定し(ステップS73)、Yesであると、後述のステップS75に移行し、Noであると、コントローラ21の指令により刈取クラッチ及び脱穀クラッチを切りにし(ステップS74)、次いで、刈取脱穀自動停止制御モードの入りを記憶し(ステップS75)、前記ステップS61に戻る。
【0056】
次に、図1に基づき刈取搬送部7の刈高さ制御について説明する。
刈取搬送部7を走行車体1に昇降自在に設け、刈取搬送部7の前側下部から刈取前側フレーム31を前方へ延出し、刈取前側フレーム31の前側部を地表面に対して前上り傾斜状に屈曲するように構成している。刈取前側フレーム31の先端に分草杆32を取り付け、また、刈取前側フレーム31の前側部に刈取接地センサSE8を設け、刈取前側フレーム31の前上り傾斜状部位と地面との角度を検出するようにしている。
【0057】
刈取前側フレーム31の後側部にはレーザー光線(あるいは超音波)により検出する非接触型の刈高さセンサSE9を設け、刈取搬送部7の刈取前側フレーム31の後下がり傾斜状部位と地面との距離を検出するようにしている。
【0058】
通常の刈取作業時には刈高さセンサSE9の検出値が所定の刈高さになるように刈取搬送部7を昇降制御する。また、刈高さセンサSE9の検出値に対して所定基準値以上の外乱がある場合には、例えば、刈取接地センサSE8の検出情報により刈取前側フレーム31の後下がり傾斜部位と地面との傾斜角度が所定傾斜角度になるように補正しながら刈取搬送部7の昇降制御をするようにしている。
【0059】
前記構成によると、刈高さセンサSE9の検出値に対して所定基準値以上の外乱がある場合には、刈取接地センサSE8の検出情報により刈取前側フレーム31の後下がり傾斜状部位と地面との傾斜角度が所定傾斜角度になるように補正しながら刈取搬送部7の昇降制御をするので、分草杆32の地面への突込みを抑制しながら精度の高い刈高さ制御をすることができる。
【0060】
また、湿田スイッチを設け、湿田スイッチがONの場合には、刈高さ制御を刈高さセンサSE9の検出値のみを用いて実行するようにすると、刈取前側フレーム31の前上り傾斜状部位の地面への突込みを防止しながら刈取作業をすることができる。
【符号の説明】
【0061】
1 走行車台
6 脱穀部
7 刈取搬送部
21 コントローラ
RE1 入り出力リレー(脱穀クラッチ作動手段)
RE2 切り出力リレー(脱穀クラッチ作動手段)
RE3 入り出力リレー(刈取クラッチ作動手段)
RE4 切り出力リレー(刈取クラッチ作動手段)
SW1 刈取脱穀自動停止制御入切スイッチ
SE1 刈取脱穀クラッチセンサ
SE2 刈取穀稈有無検出センサ(SE2)
SE5 対機体高さセンサ
SE6 車速センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
刈取搬送部(7)を昇降する昇降操作手段と、刈取搬送部(7)への駆動力伝達経路に備えた刈取クラッチを入切する刈取クラッチ作動手段(RE3,RE4)と、脱穀部(6)への駆動力伝達経路に備えた脱穀クラッチを入切する脱穀クラッチ作動手段(RE1,RE2)と、エンジンの回転数調節手段と、刈取搬送部(7)の対地高さを検出する刈高さセンサ(SE5)と、前記刈取クラッチ及び脱穀クラッチの接続状態または遮断状態を検出する刈取脱穀クラッチセンサ(SE1)と、車速を検出する車速センサ(SE6)と、エンジン回転数センサ(SE7)と、刈取脱穀自動停止制御入切スイッチ(SW1)とを備え、刈取作業中に刈取搬送部(7)が所定高さ以上に上昇したことを検出すると刈取搬送部(7)及び脱穀部(6)の駆動を自動的に停止する自動停止制御手段を備えたコンバインにおいて、前記刈取脱穀自動停止制御入切スイッチ(SW1)が入り状態で、刈取クラッチ及び脱穀クラッチが接続状態で、前記車速センサ(SE6)によって所定速度以上の車速を検出している状態で、前記刈高さセンサ(SE5)によって刈取搬送部(7)の所定高さ以上の上昇が検出されると、前記刈取クラッチ作動手段(RE3,RE4)及び脱穀クラッチ作動手段(RE1,RE2)を作動して刈取クラッチ及び脱穀クラッチを自動的に遮断するコントローラ(21)を設けたことを特徴とするコンバインの刈取脱穀駆動制御装置。
【請求項2】
前記刈取脱穀自動停止制御入切スイッチ(SW1)が入り状態で、刈取クラッチ及び脱穀クラッチが接続状態で、車速センサ(SE6)によって所定速度以上の車速を検出している状態で、刈高さセンサ(SE5)が刈取搬送部(7)の所定高さ以上の上昇を検出すると、刈取クラッチ及び脱穀クラッチを自動的に遮断すると共に、エンジンの回転数を作業回転数より低い低速回転数に自動的に調節する機能を前記コントローラ(21)に備えた請求項1記載のコンバインの刈取脱穀駆動制御装置。
【請求項3】
前記刈取搬送部(7)における刈取穀稈の有無を検出する刈取穀稈有無検出センサ(SE2)を設け、前記刈取脱穀自動停止制御入切スイッチ(SW1)が入り状態で、刈取クラッチ及び脱穀クラッチが接続状態で、前記車速センサ(SE6)によって所定距離以上の走行を検出している状態で、前記刈取穀稈有無検出センサ(SE2)によって刈取搬送部(7)における刈取穀稈の不存在が検出されたときに、刈取クラッチ及び脱穀クラッチを自動的に遮断する機能を前記コントローラ(21)に備えた請求項1または請求項2記載のコンバインの刈取脱穀駆動制御装置。
【請求項4】
前記刈取脱穀自動停止制御入切スイッチ(SW1)が入り状態で、刈取クラッチ及び脱穀クラッチが接続状態で、前記車速センサ(SE6)によって所定距離以上の走行を検出している状態で、前記刈取穀稈有無検出センサ(SE2)によって刈取搬送部(7)における刈取穀稈の不存在が検出されたときに、刈取クラッチ及び脱穀クラッチを自動的に遮断し、且つ、エンジン回転数を作業回転数より低い低速回転数に自動的に減速調節する機能を前記コントローラ(21)に備えた請求項1または請求項2または請求項3記載のコンバインの刈取脱穀駆動制御装置。
【請求項5】
前記刈取脱穀自動停止制御入切スイッチ(SW1)が入り状態で、前記刈高さセンサ(SE5)によって刈取搬送部(7)の刈取位置への下降が検出されると、遮断状態の刈取クラッチ及び脱穀クラッチを自動的に接続し、エンジン回転数を低速回転数から作業回転数に自動的に増速調節する機能を前記コントローラ(21)に備えた請求項1から請求項4のいずれか一項記載のコンバインの刈取脱穀駆動制御装置。
【請求項6】
前記刈取脱穀自動停止制御入切スイッチ(SW1)が入り状態で、刈取クラッチ及び脱穀クラッチが遮断されている状態において、前記コントローラ(21)のタイマカウント手段によって所定時間の経過を検出されるか、あるいは、車速センサ(SE6)によって所定距離以上の走行が検出されると、刈取クラッチ及び脱穀クラッチを自動的に接続し、エンジン回転数を低速回転数から作業回転数へ自動的に増速調節する機能を前記コントローラ(21)に備えた請求項1から請求項4のいずれか一項記載のコンバインの刈取脱穀駆動制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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