コンバインの選別部
【課題】揺動選別装置を支持する機枠側板の外側に穀粒が漏れるの防止する。
【解決手段】揺動選別装置40を揺動可能に支持する機枠42の左右両側板42aにガイドレール88を設け、該ガイドレール88で揺動選別装置40に備えた転動体83を案内支持して、該揺動選別装置40を機枠42に対して脱着可能に構成したコンバインの選別部4において、前記ガイドレール88を前部ガイドレール88Fと後部ガイドレール88Rとに分割し、該分割位置を機枠42の側板42aに設けた開口部42bの下方に配置するとともに、前部ガイドレール88Fと後部ガイドレール88Rを前後に所定間隔離して配置した。
【解決手段】揺動選別装置40を揺動可能に支持する機枠42の左右両側板42aにガイドレール88を設け、該ガイドレール88で揺動選別装置40に備えた転動体83を案内支持して、該揺動選別装置40を機枠42に対して脱着可能に構成したコンバインの選別部4において、前記ガイドレール88を前部ガイドレール88Fと後部ガイドレール88Rとに分割し、該分割位置を機枠42の側板42aに設けた開口部42bの下方に配置するとともに、前部ガイドレール88Fと後部ガイドレール88Rを前後に所定間隔離して配置した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、揺動選別装置を揺動可能に支持する機枠の左右両側板にガイドレールを設け、該ガイドレールで揺動選別装置に備えた転動体を案内支持して、該揺動選別装置を機枠に対して脱着可能に構成したコンバインの選別部に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンバインの選別部は脱穀部の下方に配置され、揺動選別装置により脱穀部から漏下する穀粒や藁屑などを揺動選別することができるように構成されていた。揺動選別装置は、選別盤にフィードパン(流穀板)やチャフシーブやグレンシーブや転動体などを備えてなり、選別盤の前端部に設けた転動体を支点として後端部に設けた揺動用駆動機構により機枠に揺動可能に支持されていた。また、揺動選別装置は転動体を機枠の左右両側板に設けたガイドレールで案内支持することで機体前後方向に摺動可能とされ、機枠に対し容易に脱着可能とされていた。
【特許文献1】特開2005−102556号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来のコンバインの選別部では、脱穀部から漏下する穀粒や藁屑などが揺動選別装置上の他にも、該揺動選別装置と機枠との間に位置するガイドレール上にも落下して堆積し、これが機枠の側板に設けた開口部、たとえばチャフシーブとその操作具とを連動連結するために機枠の側板に設けた開口部から機枠外側に漏れ落ち、穀粒損失が生じ、揺動不良の原因ともなっていた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0005】
即ち、請求項1においては、揺動選別装置を揺動可能に支持する機枠の左右両側板にガイドレールを設け、該ガイドレールで揺動選別装置に備えた転動体を案内支持して、該揺動選別装置を機枠に対して脱着可能に構成したコンバインの選別部において、前記ガイドレールを前部ガイドレールと後部ガイドレールとに分割し、該分割位置を機枠の側板に設けた開口部の下方に配置するとともに、前部ガイドレールと後部ガイドレールを前後に所定間隔離して配置したものである。
【0006】
請求項2においては、前記揺動選別装置の前後中途部に転動体を設け、該転動体を介して揺動選別装置を後部ガイドレールで摺動可能に支持したものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0008】
請求項1においては、前記脱穀部から漏下する穀粒がガイドレールに堆積して機枠に設けた開口部から機枠外側に漏れ落ちるのを防止して、選別部での穀粒損失の低減を図ることができる。また、揺動選別装置の揺動不良を防止することができる。
【0009】
請求項2においては、前記機枠に対し脱着する際に、揺動選別装置を転動体にて常時後部ガイドレールでガイドしながら支持することで滑らかに摺動させることが可能となり、揺動選別装置の脱着作業を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に、発明の実施の形態を説明する。
【0011】
図1は本発明に係る選別部を備えたコンバインの全体側面図、図2は本発明に係る選別部を備えたコンバインの全体平面図、図3は投入用タンクのエア抜き部の構成を示す後面断面図、図4は別実施例の投入用タンクのエア抜き部の構成を示す斜視図、図5は別実施例の投入用タンクのエア抜き部の構成を示す斜視図、図6は脱穀部及び選別部の側面図、図7は脱穀部の正面図、図8は刺さり粒除去体の取付部の構成を示す側面図、図9は刺さり粒除去体の正面図、図10は揺動選別装置の平面図、図11は拡散板の取付部の構成を示す平面図、図12は拡散板の取付部の構成を示す後面断面図、図13は揺動選別装置の側面図、図14は選別盤からチャフフィンを分解した斜視図、図15は選別板のチャフフィン取付部の構成を示す側面図、図16は機枠の側面断面図、である。
【0012】
図1、図2を用いて本発明の一実施例に係る脱穀部を備えたコンバインの全体的な構成について説明する。コンバインにおいては、クローラ式走行装置1の上に機体フレーム2が支持され、該機体フレーム2上に脱穀部3および選別部4が設けられている。脱穀部3および選別部4の前方には刈取部5が配設され、機体フレーム2に上下昇降可能に支持されている。刈取部5には引起し装置6や切断装置7、搬送装置8などが備えられ、引起し装置6で引き起こされた穀稈が切断装置7で刈り取られた後、搬送装置8により脱穀部3に搬送される。
【0013】
前記脱穀部3にはフィードチェン9や扱胴などが備えられ、前記刈取部5の搬送装置8からの穀稈が株元側でフィードチェン9に受け継がれて機体後方へ向けて搬送される一方、穀稈の穂先側が扱室内に搬送されて扱胴で脱穀される。脱穀後の穀稈は排藁として脱穀部3後方の排藁処理部11に搬送され、脱穀に伴って生じた穀粒や藁屑(以下「処理物」とする)などは脱穀部3下方の選別部4に流下される。
【0014】
前記排藁処理部11には排藁チェン12や排藁カッター装置、拡散コンベアなどが備えられ、前記脱穀部3のフィードチェン9から排藁チェン12に受け継がれた排藁が排藁カッター装置に搬送されて切断された後、藁片の状態で拡散コンベアにより拡散されながら圃場に放出可能とされている。あるいは、排藁処理部11における搬送方法を変更することにより、排藁は排藁カッター装置で切断されることなく排藁チェン12で機体後端まで搬送された後、未切断状態で圃場に放出可能とされている。
【0015】
前記脱穀部3の側方には投入用タンク(トップサッカ)13が配設され、該投入用タンクに選別部4で選別された精粒が搬送されて一時的に溜めて袋詰されるようになっている。投入用タンクの前方には運転操作部14が配設されている。運転操作部14にはシートや各種レバーなどからなる操作装置が備えられ、これらの操作装置で各部の装置を駆動して、コンバインによる収穫作業を行うことができるようになっている。
【0016】
また、前記投入用タンク13にはエア抜き部が設けられ、投入用タンク13内に穀粒とともに送られるエアのみを排出して、スムースな搬送ができるようになっている。エア抜き部は、例えば図2、図3に示すように、投入用タンク13上端部に設けられた上蓋16の脱穀部3側に配置され、上蓋16の脱穀部側端部を上方へ若干曲折して投入用タンク13の筐体13aとの間に所定幅の間隙17を形成して構成される。この間隙17は横幅を一部にゴミなどが詰まった状態でもエア抜きを行えるようにできるだけ前後方向に長くとり、縦幅を穀粒の径程度として、脱穀部側に向けて開口される。このようにしてエア抜き部は、間隙17を投入用タンク13の穀粒投入口13bと同一側とすることで当該穀粒投入口13bから投入される穀粒の間隙17への詰まりや間隙17からの漏出を防止し、また間隙17から排出される排風の向きを脱穀部3側の側方としてこれが投入用タンク13側方で袋詰作業を行う補助作業者に直接に当たらないように構成される。
【0017】
また、エア抜き部は、図4に示すように、上蓋16の脱穀部3側の後部に開口部16aを形成して構成することもできる。この場合、エア抜き部は開口部16aの内側に投入用タンク13内下方に向けて内側ダクト18を延設して、開口部16aからの穀粒の漏出を防止し、開口部16aの外側に上蓋16の後端に向けて外側ダクト19を延設して、開口部16aから排出される排風の向きを投入用タンク13後方としてこれが投入用タンク13側方で袋詰作業を行う補助作業者に直接に当たらないように構成される。そしてさらには、外側ダクト19の後端を上蓋16の外周に立設された縁部16bに近接して設け、これにより外側ダクト19内への雨水の浸入を防止するとともに、穀粒が排風とともに開口部16aから排出されないように構成される。なお、図5に示すように、エア抜き部は投入用タンク13の筐体13a後面に開口部13cを形成し、その内側と外側とにダクト18・19を設けて構成することも可能である。
【0018】
次に図6、図7を用いて前記脱穀部について説明する。脱穀部3においては扱室21が扱室カバー22などで形成され、該扱室21内に略円柱形状の扱胴23が機体の前後方向に軸架されて設けられている。扱胴23の外周面には多数の扱歯23aが植設され、これが扱胴23の回転時にフィードチェン9で搬送される穀稈の穂についた籾に接触して脱穀が行われるようになっている。また、脱穀部3には扱胴23が格納される扱室21の下半部を覆うように受網24が設けられ、該受網24で扱胴23による脱穀に伴って生じた穀粒や藁屑のみが下方に配置された選別部4に落下するようになっている。
【0019】
さらに、脱穀部3では扱室20の後方で投入用タンク13側、本実施例では機体進行方向右側に処理室25が形成され、該処理室25内に略円柱形状の送塵口処理胴26が扱胴23と平行となるように機体の前後方向に軸架されて設けられている。こうして、扱胴23で処理できなかった枝梗付着粒などの未処理物が、扱室20内から当該扱室20の後部に開口された送塵口から処理室25内に搬送されて送塵口処理胴26にて処理されて、処理物のみが選別部4に落下するようになっている。
【0020】
また、扱室カバー22のフィードチェン9側下端部には扱胴23の扱歯23aに絡まった藁屑などを切断する切刃28と、刺さり粒を除去する刺さり粒除去体30とが配設されている。刺さり粒除去体30は前側刺さり粒除去体30Fと後側刺さり粒除去体30Rとからなり、これらを扱胴23とフィードチェン9との間に前後に連続して配置することで構成されている。図8、図9に示すように、前後の各刺さり粒除去体30F・30Rはブラシ状体31・32を集束して、その一端部をコ字状の支持体33・34に挿入してかしめることで構成され、支持体33・34で扱室カバー22にそれぞれステー35・36を介して固定されている。
【0021】
そして、前後の各刺さり粒除去体30F・30Rのブラシ状体31・32が支持体33・34から下方に突出して扱室カバー22とフィードチェン9との間の開口部37に位置するように配設されて、フィードチェン9にて搬送される穀稈と接触してその内に入り込んだ刺さり粒を払い落とすことができるようになっている。同時に、この前後の各刺さり粒除去体30F・30Rで選別部4での風選別により生じる選別風とともに開口部37から藁屑などが扱室21の外に吹き出すことが防止されている。
【0022】
ここで、前後の各刺さり粒除去体30F・30Rは前後で隙間がないように一体的に連続して配置され、各ブラシ状体31・32と扱胴23の扱歯23aとの間に十分な距離がとられている。こうして、ブラシ状体31・32のカシメ部付近に扱歯23aができるだけ当たらないようにして、扱歯23aによるブラシ状体31・32の抜取が防止されている。さらにブラシ状体31・32のカシメ部の幅を従来よりも狭くして、支持体33・34に対する単位面積当たりのブラシ状体31・32の本数を減少させて1本当たりの加締圧力を増加させることで、支持体33・34からのブラシ状体31・32の抜落の防止も図られている。
【0023】
図6、図10を用いて前記脱穀部3の下方に配置される選別部4について説明する。選別部4においては、揺動選別装置40による揺動選別と唐箕41による風選別とが行われ、脱穀後の処理物(穀粒や藁屑などの混合物)が一番物と二番物と藁屑などに分別される。揺動選別装置40は前端部が扱胴23の前端部下方に位置し、後端部が送塵口処理胴26の後端部下方に位置するように前後方向に延設されて、機枠42内に収納されている。そして、揺動選別装置40の前下端部に揺動軸43が設けられるとともに、後端部に揺動駆動機構44が設けられ、この揺動駆動機構44の駆動によって揺動選別装置40が機枠42に対して揺動するように構成されている。
【0024】
揺動選別装置40の前部には前流穀板46が設けられるとともに、該前流穀板46の後下方に後流穀板47が設けられる。前後の流穀板46・47は波形に成形した板状部材からなり、この前後の流穀板46・47上に受網24を通過した処理物が落下して、揺動選別装置40の揺動により機体後方に搬送されるようになっている。前流穀板46には後部にふるい線48が配設されるとともに、その上部に拡散板50が設けられている。
【0025】
拡散板50は前流穀板46で後方へ搬送される際に処理物を拡散するものであり、前流穀板46の右側(投入用タンク13側)部に左右平行に一定間隔をとって配置され、左側(フィードチェン9側)後方に向かって扱胴23の回転軸心方向に対し所定角度だけ傾斜した状態に設けられている。拡散板50はクランク形状の板状部材から構成され、前流穀板46上に左右方向に横設された取付座51を介して取り付けられている。そして、図11、図12に示すように、取付座51と拡散板50との間の右側に第一補強部材52が固設されるととともに、反対の左側に第二補強部材53が固設されて、拡散板50の補強が行われている。このように前流穀板46では拡散板50の左右一側だけでなく両側それぞれに補強部材52・53が設けられて、拡散板50の強度の向上が図られている。
【0026】
そして、前記後流穀板46の後方にチャフシーブ55が連設され、該チャフシーブ55の下方に網状のグレンシーブ56が配設されている。グレンシーブ56はフィードパン57の後方に連設され、耐久性の良好なステンレス製の薄い板状部材に方形状または円形状等の抜孔を穿設することで網状に構成されている。こうして、揺動選別装置40ではグレンシーブ56を線材を編み上げた網で構成する場合に比べて取付時に必要となる取付用部材を廃止して部品点数を削減することが可能とされ、また穀粒が湿材の場合などにグレンシーブ56が目詰まりし難い構成とされている。
【0027】
また、揺動選別装置40の前部下方には唐箕41とプレファン60とが左右方向に横設され、前後中途部下方に一番コンベア61と二番コンベア62とが左右方向に横設されている。一番コンベア61と二番コンベア62とは、一番コンベア61が唐箕41に近い前側に位置し、二番コンベア62が唐箕41から遠い後側に位置するように前後平行に配置されている。
【0028】
一番コンベア61の右端部には上方に向かって延設される揚穀コンベア63の下端部が連通接続され、該揚穀コンベア63の上端部が投入用タンク13と連通接続されている。こうして、揺動選別装置40での処理物の選別により一番コンベア61の流穀板64上に漏下された一番物が、一番コンベア61から揚穀コンベア63を経て投入用タンク13内に搬送されるようになっている。
【0029】
二番コンベア62の右端部には前方斜め上方へと延設される二番還元コンベア65の下端部が連通接続され、該二番還元コンベア65の前端部が脱穀部3の扱室21(または揺動選別装置40前部上)と連通接続されている。こうして、揺動選別装置40での処理物の選別により二番コンベア62付近に漏下された二番物が、二番コンベア62から二番還元コンベア65を経て扱室21内に還元されて扱胴23に揉まれ、その後揺動選別装置40で再選別されるようなっている。
【0030】
そして、選別部4ではプレファン60からの選別風が、前流穀板46と後流穀板47との間から後方に流れて受網24を通過した処理物を後方へ送りつつ風選別を行うとともに、後流穀板47とフィードパン57との間からチャフシーブ55とグレンシーブ56との間に流れて処理物を後方に送り出すと同時に、グレンシーブ56上でチャフシーブ55を漏下する処理物の風選別を行うようになっている。また、唐箕41からの選別風がグレンシーブ56を通過して落下する処理物の風選別を行うようになっている。そして、揺動選別装置40の後部上方に配置された吸引ファン66でプレファン60や唐箕41による風選別で生じたゴミなどを吸い込み、これを機外に排出するように構成されている。
【0031】
前記揺動選別装置40におけるチャフシーブ55は、図13、図14に示すように、周囲枠体を構成する選別盤70の左右の揺動側枠の間に多数の横棧であるチャフフィン71・71・・・を略等間隔で傾斜角調節自在に横架して構成されている。各チャフフィン71の左右両端にはフィン受け72・72が左右両側で一体的に結合され、該フィン受け72の外側上部に支点ピン73が機体側方に向けて水平方向に突設され、該フィン受け72の外側下部に可動調節ピン74が機体側方に向けて水平方向に突設されている。
【0032】
支点ピン73および可動調節ピン74は左右の揺動側枠75L・75Rよりも機体側方に突出され、図14、図15に示すように、左右の揺動側枠75L・75Rの機体外側で支点ピン73が押え板76を貫通してこれにピンなどで回転自在に係止され、可動調節ピン74がフィン連結杵77を貫通してこれにピンなどで回転自在に係止されている。そして、押え板76が左右の揺動側枠75L・75Rに固定される一方、フィン連結杵77が後述の操作具78の操作で摺動可能に構成されている。こうして、連結杆77を平行移動させることによってフィン71の傾斜角を変化し、チャフシーブ55の開度を調節することができるようになっている。
【0033】
前記チャフシーブ55では、図16に示すように、左揺動側枠75L側に配置された押え板76とフィン連結杵77とから互いに対応する一組の支点ピン73と可動調節ピン74とがさらに機体側方に向かって水平方向に延設され、これが選別盤70を収納する機枠42の側板42aに設けられた開口部42bから機枠42外側に突出されている。そして、支点ピン73の突出端部が操作具78の上部に枢結されるとともに、可動調節ピン74の突出端部が操作具78の中央部に枢結されて、該操作具78の下部に形成された把持部78aを支点ピン73を中心として前後に揺動操作することによってフィン71の傾斜角を変化させることが可能とされている。
【0034】
以上のように構成される選別部4は、図16に示すように、後部カバーを上方に回動させ、排藁処理部11の左右一側を中心に後側方へ回動させて脱穀部3および選別部4の後部を開放し、選別部後カバー81を取り外した後、揺動選別装置40を後方に引き抜いて、または前方に押し入れて脱着できるように構成されて、簡易にメンテナンスを行える仕組みとなっている。
【0035】
すなわち、揺動選別装置40の選別盤70前端部の揺動軸43に左右の揺動用転動体83・83を軸支するとともに、後端部の揺動駆動機構44に左右の揺動用転動体84・84を備え、これらの揺動用転動体83・84を機枠42前後両端部の左右両側に設けた略U字形状のガイド体85・86に摺動自在に嵌入することで揺動選別装置40を揺動可能とするとともに、揺動用転動体83を機枠42の左右両側に前後方に延設して設けたガイドレール88に案内支持してその上を転動させることで、揺動選別装置40を機枠42に対し前後に滑らかに摺動させて容易に脱着できる構成とされている。
【0036】
ところが、機枠42の左右両側に前後にわたってガイドレール88が設けられる場合、脱穀部から漏下する穀粒や藁屑などは揺動選別装置40上だけでなく、該揺動選別装置40と機枠42との間に位置するガイドレール88上にも飛散して落下して堆積し、これが機枠42の側板42aに設けた開口部、たとえば前記チャフシーブ55のフィン連結杵77と操作具78とを連動連結するために機枠42の側板42aに設けた開口部42bから機枠42外側に漏れ落ちることがあった。
【0037】
そこで本発明では、前記機枠42の側板42aに設けた開口部42bの下方にガイドレール88が位置しない構成とされている。つまり、ガイドレール88は前後に分割し、該分割位置を機枠42の側板42aに設けたチャフシーブ55のフィン71の角度調整用の開口部42bの下方に配置して、開口部42bの下方より前部ガイドレール88Fと後部ガイドレール88Fが前方と後方に延設する構成とされている。ここで、前部ガイドレール88Fと後部ガイドレール88Fとは、開口部42bの下方に位置しないように前後に所定間隔離れて配置される。こうして選別部4において、脱穀部3からの穀粒がガイドレールに堆積して開口部42bから機枠外側に漏れ落ちるのを防止して、穀粒損失の低減を図ることができるようになっている。さらに、揺動選別装置40の揺動不良を防止することも可能となっている。
【0038】
また、このような構成では揺動選別装置40を機枠42から抜き出す際には、揺動選別装置の揺動用転動体83をガイド体85から外した後、前部ガイドレール88Fで機枠42の前後途中までは案内支持することができるが、開口部42b下方付近に達するとガイドレールが存在しなくなるため支持することができなくなる。また、揺動選別装置40を機枠42に押し入れる際には、揺動選別装置40の揺動用転動体83を後部ガイドレール88Rで機枠42の前後途中までは案内支持することができるが、開口部42b下方付近に達するとガイドレールが存在しなくなるため支持することができなくなる。
【0039】
そのため、揺動選別装置40では選別盤70の前後中途部に左右の着脱用転動体89・89が設けられ、脱着の際に揺動用転動体83を前部ガイドレール88Fまたは後部ガイドレール88Rで支持できなくなった場合でも、該着脱用転動体89を後部ガイドレール88Rでガイドしながら支持することができるように構成されている。このようにして、機枠42に対し脱着する際には、揺動選別装置40を脱着用転動体89にて常時後部ガイドレール88Rでガイドしながら支持することにより滑らかに摺動させて、揺動選別装置40の脱着作業を容易に行うことができるようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明に係る選別部を備えたコンバインの全体側面図。
【図2】本発明に係る選別部を備えたコンバインの全体平面図。
【図3】投入用タンクのエア抜き部の構成を示す後面断面図。
【図4】別実施例の投入用タンクのエア抜き部の構成を示す斜視図。
【図5】別実施例の投入用タンクのエア抜き部の構成を示す斜視図。
【図6】脱穀部及び選別部の側面図。
【図7】脱穀部の正面図。
【図8】刺さり粒除去体の取付部の構成を示す側面図。
【図9】刺さり粒除去体の正面図。
【図10】揺動選別装置の平面図。
【図11】拡散板の取付部の構成を示す平面図。
【図12】拡散板の取付部の構成を示す後面断面図。
【図13】揺動選別装置の側面図。
【図14】選別盤からチャフフィンを分解した斜視図。
【図15】選別板のチャフフィン取付部の構成を示す側面図。
【図16】機枠の側面断面図。
【符号の説明】
【0041】
4 選別部
40 揺動選別装置
42 機枠
42a 側板
42b 開口部
83 転動体
88 ガイドレール
88F 前部転動体
88R 後部転動体
89 転動体
【技術分野】
【0001】
本発明は、揺動選別装置を揺動可能に支持する機枠の左右両側板にガイドレールを設け、該ガイドレールで揺動選別装置に備えた転動体を案内支持して、該揺動選別装置を機枠に対して脱着可能に構成したコンバインの選別部に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンバインの選別部は脱穀部の下方に配置され、揺動選別装置により脱穀部から漏下する穀粒や藁屑などを揺動選別することができるように構成されていた。揺動選別装置は、選別盤にフィードパン(流穀板)やチャフシーブやグレンシーブや転動体などを備えてなり、選別盤の前端部に設けた転動体を支点として後端部に設けた揺動用駆動機構により機枠に揺動可能に支持されていた。また、揺動選別装置は転動体を機枠の左右両側板に設けたガイドレールで案内支持することで機体前後方向に摺動可能とされ、機枠に対し容易に脱着可能とされていた。
【特許文献1】特開2005−102556号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来のコンバインの選別部では、脱穀部から漏下する穀粒や藁屑などが揺動選別装置上の他にも、該揺動選別装置と機枠との間に位置するガイドレール上にも落下して堆積し、これが機枠の側板に設けた開口部、たとえばチャフシーブとその操作具とを連動連結するために機枠の側板に設けた開口部から機枠外側に漏れ落ち、穀粒損失が生じ、揺動不良の原因ともなっていた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0005】
即ち、請求項1においては、揺動選別装置を揺動可能に支持する機枠の左右両側板にガイドレールを設け、該ガイドレールで揺動選別装置に備えた転動体を案内支持して、該揺動選別装置を機枠に対して脱着可能に構成したコンバインの選別部において、前記ガイドレールを前部ガイドレールと後部ガイドレールとに分割し、該分割位置を機枠の側板に設けた開口部の下方に配置するとともに、前部ガイドレールと後部ガイドレールを前後に所定間隔離して配置したものである。
【0006】
請求項2においては、前記揺動選別装置の前後中途部に転動体を設け、該転動体を介して揺動選別装置を後部ガイドレールで摺動可能に支持したものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0008】
請求項1においては、前記脱穀部から漏下する穀粒がガイドレールに堆積して機枠に設けた開口部から機枠外側に漏れ落ちるのを防止して、選別部での穀粒損失の低減を図ることができる。また、揺動選別装置の揺動不良を防止することができる。
【0009】
請求項2においては、前記機枠に対し脱着する際に、揺動選別装置を転動体にて常時後部ガイドレールでガイドしながら支持することで滑らかに摺動させることが可能となり、揺動選別装置の脱着作業を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に、発明の実施の形態を説明する。
【0011】
図1は本発明に係る選別部を備えたコンバインの全体側面図、図2は本発明に係る選別部を備えたコンバインの全体平面図、図3は投入用タンクのエア抜き部の構成を示す後面断面図、図4は別実施例の投入用タンクのエア抜き部の構成を示す斜視図、図5は別実施例の投入用タンクのエア抜き部の構成を示す斜視図、図6は脱穀部及び選別部の側面図、図7は脱穀部の正面図、図8は刺さり粒除去体の取付部の構成を示す側面図、図9は刺さり粒除去体の正面図、図10は揺動選別装置の平面図、図11は拡散板の取付部の構成を示す平面図、図12は拡散板の取付部の構成を示す後面断面図、図13は揺動選別装置の側面図、図14は選別盤からチャフフィンを分解した斜視図、図15は選別板のチャフフィン取付部の構成を示す側面図、図16は機枠の側面断面図、である。
【0012】
図1、図2を用いて本発明の一実施例に係る脱穀部を備えたコンバインの全体的な構成について説明する。コンバインにおいては、クローラ式走行装置1の上に機体フレーム2が支持され、該機体フレーム2上に脱穀部3および選別部4が設けられている。脱穀部3および選別部4の前方には刈取部5が配設され、機体フレーム2に上下昇降可能に支持されている。刈取部5には引起し装置6や切断装置7、搬送装置8などが備えられ、引起し装置6で引き起こされた穀稈が切断装置7で刈り取られた後、搬送装置8により脱穀部3に搬送される。
【0013】
前記脱穀部3にはフィードチェン9や扱胴などが備えられ、前記刈取部5の搬送装置8からの穀稈が株元側でフィードチェン9に受け継がれて機体後方へ向けて搬送される一方、穀稈の穂先側が扱室内に搬送されて扱胴で脱穀される。脱穀後の穀稈は排藁として脱穀部3後方の排藁処理部11に搬送され、脱穀に伴って生じた穀粒や藁屑(以下「処理物」とする)などは脱穀部3下方の選別部4に流下される。
【0014】
前記排藁処理部11には排藁チェン12や排藁カッター装置、拡散コンベアなどが備えられ、前記脱穀部3のフィードチェン9から排藁チェン12に受け継がれた排藁が排藁カッター装置に搬送されて切断された後、藁片の状態で拡散コンベアにより拡散されながら圃場に放出可能とされている。あるいは、排藁処理部11における搬送方法を変更することにより、排藁は排藁カッター装置で切断されることなく排藁チェン12で機体後端まで搬送された後、未切断状態で圃場に放出可能とされている。
【0015】
前記脱穀部3の側方には投入用タンク(トップサッカ)13が配設され、該投入用タンクに選別部4で選別された精粒が搬送されて一時的に溜めて袋詰されるようになっている。投入用タンクの前方には運転操作部14が配設されている。運転操作部14にはシートや各種レバーなどからなる操作装置が備えられ、これらの操作装置で各部の装置を駆動して、コンバインによる収穫作業を行うことができるようになっている。
【0016】
また、前記投入用タンク13にはエア抜き部が設けられ、投入用タンク13内に穀粒とともに送られるエアのみを排出して、スムースな搬送ができるようになっている。エア抜き部は、例えば図2、図3に示すように、投入用タンク13上端部に設けられた上蓋16の脱穀部3側に配置され、上蓋16の脱穀部側端部を上方へ若干曲折して投入用タンク13の筐体13aとの間に所定幅の間隙17を形成して構成される。この間隙17は横幅を一部にゴミなどが詰まった状態でもエア抜きを行えるようにできるだけ前後方向に長くとり、縦幅を穀粒の径程度として、脱穀部側に向けて開口される。このようにしてエア抜き部は、間隙17を投入用タンク13の穀粒投入口13bと同一側とすることで当該穀粒投入口13bから投入される穀粒の間隙17への詰まりや間隙17からの漏出を防止し、また間隙17から排出される排風の向きを脱穀部3側の側方としてこれが投入用タンク13側方で袋詰作業を行う補助作業者に直接に当たらないように構成される。
【0017】
また、エア抜き部は、図4に示すように、上蓋16の脱穀部3側の後部に開口部16aを形成して構成することもできる。この場合、エア抜き部は開口部16aの内側に投入用タンク13内下方に向けて内側ダクト18を延設して、開口部16aからの穀粒の漏出を防止し、開口部16aの外側に上蓋16の後端に向けて外側ダクト19を延設して、開口部16aから排出される排風の向きを投入用タンク13後方としてこれが投入用タンク13側方で袋詰作業を行う補助作業者に直接に当たらないように構成される。そしてさらには、外側ダクト19の後端を上蓋16の外周に立設された縁部16bに近接して設け、これにより外側ダクト19内への雨水の浸入を防止するとともに、穀粒が排風とともに開口部16aから排出されないように構成される。なお、図5に示すように、エア抜き部は投入用タンク13の筐体13a後面に開口部13cを形成し、その内側と外側とにダクト18・19を設けて構成することも可能である。
【0018】
次に図6、図7を用いて前記脱穀部について説明する。脱穀部3においては扱室21が扱室カバー22などで形成され、該扱室21内に略円柱形状の扱胴23が機体の前後方向に軸架されて設けられている。扱胴23の外周面には多数の扱歯23aが植設され、これが扱胴23の回転時にフィードチェン9で搬送される穀稈の穂についた籾に接触して脱穀が行われるようになっている。また、脱穀部3には扱胴23が格納される扱室21の下半部を覆うように受網24が設けられ、該受網24で扱胴23による脱穀に伴って生じた穀粒や藁屑のみが下方に配置された選別部4に落下するようになっている。
【0019】
さらに、脱穀部3では扱室20の後方で投入用タンク13側、本実施例では機体進行方向右側に処理室25が形成され、該処理室25内に略円柱形状の送塵口処理胴26が扱胴23と平行となるように機体の前後方向に軸架されて設けられている。こうして、扱胴23で処理できなかった枝梗付着粒などの未処理物が、扱室20内から当該扱室20の後部に開口された送塵口から処理室25内に搬送されて送塵口処理胴26にて処理されて、処理物のみが選別部4に落下するようになっている。
【0020】
また、扱室カバー22のフィードチェン9側下端部には扱胴23の扱歯23aに絡まった藁屑などを切断する切刃28と、刺さり粒を除去する刺さり粒除去体30とが配設されている。刺さり粒除去体30は前側刺さり粒除去体30Fと後側刺さり粒除去体30Rとからなり、これらを扱胴23とフィードチェン9との間に前後に連続して配置することで構成されている。図8、図9に示すように、前後の各刺さり粒除去体30F・30Rはブラシ状体31・32を集束して、その一端部をコ字状の支持体33・34に挿入してかしめることで構成され、支持体33・34で扱室カバー22にそれぞれステー35・36を介して固定されている。
【0021】
そして、前後の各刺さり粒除去体30F・30Rのブラシ状体31・32が支持体33・34から下方に突出して扱室カバー22とフィードチェン9との間の開口部37に位置するように配設されて、フィードチェン9にて搬送される穀稈と接触してその内に入り込んだ刺さり粒を払い落とすことができるようになっている。同時に、この前後の各刺さり粒除去体30F・30Rで選別部4での風選別により生じる選別風とともに開口部37から藁屑などが扱室21の外に吹き出すことが防止されている。
【0022】
ここで、前後の各刺さり粒除去体30F・30Rは前後で隙間がないように一体的に連続して配置され、各ブラシ状体31・32と扱胴23の扱歯23aとの間に十分な距離がとられている。こうして、ブラシ状体31・32のカシメ部付近に扱歯23aができるだけ当たらないようにして、扱歯23aによるブラシ状体31・32の抜取が防止されている。さらにブラシ状体31・32のカシメ部の幅を従来よりも狭くして、支持体33・34に対する単位面積当たりのブラシ状体31・32の本数を減少させて1本当たりの加締圧力を増加させることで、支持体33・34からのブラシ状体31・32の抜落の防止も図られている。
【0023】
図6、図10を用いて前記脱穀部3の下方に配置される選別部4について説明する。選別部4においては、揺動選別装置40による揺動選別と唐箕41による風選別とが行われ、脱穀後の処理物(穀粒や藁屑などの混合物)が一番物と二番物と藁屑などに分別される。揺動選別装置40は前端部が扱胴23の前端部下方に位置し、後端部が送塵口処理胴26の後端部下方に位置するように前後方向に延設されて、機枠42内に収納されている。そして、揺動選別装置40の前下端部に揺動軸43が設けられるとともに、後端部に揺動駆動機構44が設けられ、この揺動駆動機構44の駆動によって揺動選別装置40が機枠42に対して揺動するように構成されている。
【0024】
揺動選別装置40の前部には前流穀板46が設けられるとともに、該前流穀板46の後下方に後流穀板47が設けられる。前後の流穀板46・47は波形に成形した板状部材からなり、この前後の流穀板46・47上に受網24を通過した処理物が落下して、揺動選別装置40の揺動により機体後方に搬送されるようになっている。前流穀板46には後部にふるい線48が配設されるとともに、その上部に拡散板50が設けられている。
【0025】
拡散板50は前流穀板46で後方へ搬送される際に処理物を拡散するものであり、前流穀板46の右側(投入用タンク13側)部に左右平行に一定間隔をとって配置され、左側(フィードチェン9側)後方に向かって扱胴23の回転軸心方向に対し所定角度だけ傾斜した状態に設けられている。拡散板50はクランク形状の板状部材から構成され、前流穀板46上に左右方向に横設された取付座51を介して取り付けられている。そして、図11、図12に示すように、取付座51と拡散板50との間の右側に第一補強部材52が固設されるととともに、反対の左側に第二補強部材53が固設されて、拡散板50の補強が行われている。このように前流穀板46では拡散板50の左右一側だけでなく両側それぞれに補強部材52・53が設けられて、拡散板50の強度の向上が図られている。
【0026】
そして、前記後流穀板46の後方にチャフシーブ55が連設され、該チャフシーブ55の下方に網状のグレンシーブ56が配設されている。グレンシーブ56はフィードパン57の後方に連設され、耐久性の良好なステンレス製の薄い板状部材に方形状または円形状等の抜孔を穿設することで網状に構成されている。こうして、揺動選別装置40ではグレンシーブ56を線材を編み上げた網で構成する場合に比べて取付時に必要となる取付用部材を廃止して部品点数を削減することが可能とされ、また穀粒が湿材の場合などにグレンシーブ56が目詰まりし難い構成とされている。
【0027】
また、揺動選別装置40の前部下方には唐箕41とプレファン60とが左右方向に横設され、前後中途部下方に一番コンベア61と二番コンベア62とが左右方向に横設されている。一番コンベア61と二番コンベア62とは、一番コンベア61が唐箕41に近い前側に位置し、二番コンベア62が唐箕41から遠い後側に位置するように前後平行に配置されている。
【0028】
一番コンベア61の右端部には上方に向かって延設される揚穀コンベア63の下端部が連通接続され、該揚穀コンベア63の上端部が投入用タンク13と連通接続されている。こうして、揺動選別装置40での処理物の選別により一番コンベア61の流穀板64上に漏下された一番物が、一番コンベア61から揚穀コンベア63を経て投入用タンク13内に搬送されるようになっている。
【0029】
二番コンベア62の右端部には前方斜め上方へと延設される二番還元コンベア65の下端部が連通接続され、該二番還元コンベア65の前端部が脱穀部3の扱室21(または揺動選別装置40前部上)と連通接続されている。こうして、揺動選別装置40での処理物の選別により二番コンベア62付近に漏下された二番物が、二番コンベア62から二番還元コンベア65を経て扱室21内に還元されて扱胴23に揉まれ、その後揺動選別装置40で再選別されるようなっている。
【0030】
そして、選別部4ではプレファン60からの選別風が、前流穀板46と後流穀板47との間から後方に流れて受網24を通過した処理物を後方へ送りつつ風選別を行うとともに、後流穀板47とフィードパン57との間からチャフシーブ55とグレンシーブ56との間に流れて処理物を後方に送り出すと同時に、グレンシーブ56上でチャフシーブ55を漏下する処理物の風選別を行うようになっている。また、唐箕41からの選別風がグレンシーブ56を通過して落下する処理物の風選別を行うようになっている。そして、揺動選別装置40の後部上方に配置された吸引ファン66でプレファン60や唐箕41による風選別で生じたゴミなどを吸い込み、これを機外に排出するように構成されている。
【0031】
前記揺動選別装置40におけるチャフシーブ55は、図13、図14に示すように、周囲枠体を構成する選別盤70の左右の揺動側枠の間に多数の横棧であるチャフフィン71・71・・・を略等間隔で傾斜角調節自在に横架して構成されている。各チャフフィン71の左右両端にはフィン受け72・72が左右両側で一体的に結合され、該フィン受け72の外側上部に支点ピン73が機体側方に向けて水平方向に突設され、該フィン受け72の外側下部に可動調節ピン74が機体側方に向けて水平方向に突設されている。
【0032】
支点ピン73および可動調節ピン74は左右の揺動側枠75L・75Rよりも機体側方に突出され、図14、図15に示すように、左右の揺動側枠75L・75Rの機体外側で支点ピン73が押え板76を貫通してこれにピンなどで回転自在に係止され、可動調節ピン74がフィン連結杵77を貫通してこれにピンなどで回転自在に係止されている。そして、押え板76が左右の揺動側枠75L・75Rに固定される一方、フィン連結杵77が後述の操作具78の操作で摺動可能に構成されている。こうして、連結杆77を平行移動させることによってフィン71の傾斜角を変化し、チャフシーブ55の開度を調節することができるようになっている。
【0033】
前記チャフシーブ55では、図16に示すように、左揺動側枠75L側に配置された押え板76とフィン連結杵77とから互いに対応する一組の支点ピン73と可動調節ピン74とがさらに機体側方に向かって水平方向に延設され、これが選別盤70を収納する機枠42の側板42aに設けられた開口部42bから機枠42外側に突出されている。そして、支点ピン73の突出端部が操作具78の上部に枢結されるとともに、可動調節ピン74の突出端部が操作具78の中央部に枢結されて、該操作具78の下部に形成された把持部78aを支点ピン73を中心として前後に揺動操作することによってフィン71の傾斜角を変化させることが可能とされている。
【0034】
以上のように構成される選別部4は、図16に示すように、後部カバーを上方に回動させ、排藁処理部11の左右一側を中心に後側方へ回動させて脱穀部3および選別部4の後部を開放し、選別部後カバー81を取り外した後、揺動選別装置40を後方に引き抜いて、または前方に押し入れて脱着できるように構成されて、簡易にメンテナンスを行える仕組みとなっている。
【0035】
すなわち、揺動選別装置40の選別盤70前端部の揺動軸43に左右の揺動用転動体83・83を軸支するとともに、後端部の揺動駆動機構44に左右の揺動用転動体84・84を備え、これらの揺動用転動体83・84を機枠42前後両端部の左右両側に設けた略U字形状のガイド体85・86に摺動自在に嵌入することで揺動選別装置40を揺動可能とするとともに、揺動用転動体83を機枠42の左右両側に前後方に延設して設けたガイドレール88に案内支持してその上を転動させることで、揺動選別装置40を機枠42に対し前後に滑らかに摺動させて容易に脱着できる構成とされている。
【0036】
ところが、機枠42の左右両側に前後にわたってガイドレール88が設けられる場合、脱穀部から漏下する穀粒や藁屑などは揺動選別装置40上だけでなく、該揺動選別装置40と機枠42との間に位置するガイドレール88上にも飛散して落下して堆積し、これが機枠42の側板42aに設けた開口部、たとえば前記チャフシーブ55のフィン連結杵77と操作具78とを連動連結するために機枠42の側板42aに設けた開口部42bから機枠42外側に漏れ落ちることがあった。
【0037】
そこで本発明では、前記機枠42の側板42aに設けた開口部42bの下方にガイドレール88が位置しない構成とされている。つまり、ガイドレール88は前後に分割し、該分割位置を機枠42の側板42aに設けたチャフシーブ55のフィン71の角度調整用の開口部42bの下方に配置して、開口部42bの下方より前部ガイドレール88Fと後部ガイドレール88Fが前方と後方に延設する構成とされている。ここで、前部ガイドレール88Fと後部ガイドレール88Fとは、開口部42bの下方に位置しないように前後に所定間隔離れて配置される。こうして選別部4において、脱穀部3からの穀粒がガイドレールに堆積して開口部42bから機枠外側に漏れ落ちるのを防止して、穀粒損失の低減を図ることができるようになっている。さらに、揺動選別装置40の揺動不良を防止することも可能となっている。
【0038】
また、このような構成では揺動選別装置40を機枠42から抜き出す際には、揺動選別装置の揺動用転動体83をガイド体85から外した後、前部ガイドレール88Fで機枠42の前後途中までは案内支持することができるが、開口部42b下方付近に達するとガイドレールが存在しなくなるため支持することができなくなる。また、揺動選別装置40を機枠42に押し入れる際には、揺動選別装置40の揺動用転動体83を後部ガイドレール88Rで機枠42の前後途中までは案内支持することができるが、開口部42b下方付近に達するとガイドレールが存在しなくなるため支持することができなくなる。
【0039】
そのため、揺動選別装置40では選別盤70の前後中途部に左右の着脱用転動体89・89が設けられ、脱着の際に揺動用転動体83を前部ガイドレール88Fまたは後部ガイドレール88Rで支持できなくなった場合でも、該着脱用転動体89を後部ガイドレール88Rでガイドしながら支持することができるように構成されている。このようにして、機枠42に対し脱着する際には、揺動選別装置40を脱着用転動体89にて常時後部ガイドレール88Rでガイドしながら支持することにより滑らかに摺動させて、揺動選別装置40の脱着作業を容易に行うことができるようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明に係る選別部を備えたコンバインの全体側面図。
【図2】本発明に係る選別部を備えたコンバインの全体平面図。
【図3】投入用タンクのエア抜き部の構成を示す後面断面図。
【図4】別実施例の投入用タンクのエア抜き部の構成を示す斜視図。
【図5】別実施例の投入用タンクのエア抜き部の構成を示す斜視図。
【図6】脱穀部及び選別部の側面図。
【図7】脱穀部の正面図。
【図8】刺さり粒除去体の取付部の構成を示す側面図。
【図9】刺さり粒除去体の正面図。
【図10】揺動選別装置の平面図。
【図11】拡散板の取付部の構成を示す平面図。
【図12】拡散板の取付部の構成を示す後面断面図。
【図13】揺動選別装置の側面図。
【図14】選別盤からチャフフィンを分解した斜視図。
【図15】選別板のチャフフィン取付部の構成を示す側面図。
【図16】機枠の側面断面図。
【符号の説明】
【0041】
4 選別部
40 揺動選別装置
42 機枠
42a 側板
42b 開口部
83 転動体
88 ガイドレール
88F 前部転動体
88R 後部転動体
89 転動体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
揺動選別装置を揺動可能に支持する機枠の左右両側板にガイドレールを設け、該ガイドレールで揺動選別装置に備えた転動体を案内支持して、該揺動選別装置を機枠に対して脱着可能に構成したコンバインの選別部において、前記ガイドレールを前部ガイドレールと後部ガイドレールとに分割し、該分割位置を機枠の側板に設けた開口部の下方に配置するとともに、前部ガイドレールと後部ガイドレールを前後に所定間隔離して配置したことを特徴とするコンバインの選別部。
【請求項2】
前記揺動選別装置の前後中途部に転動体を設け、該転動体を介して揺動選別装置を後部ガイドレールで摺動可能に支持したことを特徴とする請求項1に記載のコンバインの選別部。
【請求項1】
揺動選別装置を揺動可能に支持する機枠の左右両側板にガイドレールを設け、該ガイドレールで揺動選別装置に備えた転動体を案内支持して、該揺動選別装置を機枠に対して脱着可能に構成したコンバインの選別部において、前記ガイドレールを前部ガイドレールと後部ガイドレールとに分割し、該分割位置を機枠の側板に設けた開口部の下方に配置するとともに、前部ガイドレールと後部ガイドレールを前後に所定間隔離して配置したことを特徴とするコンバインの選別部。
【請求項2】
前記揺動選別装置の前後中途部に転動体を設け、該転動体を介して揺動選別装置を後部ガイドレールで摺動可能に支持したことを特徴とする請求項1に記載のコンバインの選別部。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2007−244214(P2007−244214A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−68114(P2006−68114)
【出願日】平成18年3月13日(2006.3.13)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月13日(2006.3.13)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】
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