説明

コンバインの選別部

【課題】プレファンの機枠への着脱作業を容易に行うとともに、組立性及びメンテナンス性の向上を図ることができるコンバインの選別部を提供する。
【解決手段】脱穀後の処理物を揺動選別する揺動選別装置50と、前記揺動選別装置50による揺動選別後の処理物を風選別する風選別装置と、前記揺動選別装置50と前記風選別装置とを取り付ける機枠91とを備えたコンバイン1の選別部5であって、前記揺動選別後の処理物に選別風を供給するプレファン52、及び当該プレファン52を回転自在に支持してその一部を被覆するプレファンケース10(210)をユニット化したプレファンユニット100(200)を前記風選別装置に備え、当該プレファンユニット100(200)を前記機枠91に着脱可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインの選別部の技術に関し、特に選別風を送風するプレファンの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、風選別装置として唐箕ファンとプレファンとを備え、これらのファンからの選別風により脱穀部で脱穀された処理物を風選別するコンバインの選別部は知られている。
例えば、特許文献1に記載のようなコンバインの選別部においては、唐箕ファンの前方に回転ファン(プレファン)が配置され、回転ファンの上方に上側ファンケース(上側プレファンケース)が配置され、回転ファンの下方から唐箕(唐箕ファン)の上方にかけて下側ファンケース(下側プレファンケース)が配置されている。そして、この回転ファンの選別風が、上側ファンケースと下側ファンケースに案内されて、さらに後方に向かって供給されることで、脱穀後の処理物が風選別されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−43277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のようなコンバインの選別部においては、回転ファン、即ち本発明に係るプレファンが機体側(機枠)に一体的に取り付けられていたため、プレファンのみの着脱が困難となっていた。そして、選別部のプレファン周りが複雑であるため、プレファンの組立及びメンテナンスを行う際に、手間がかかるという問題があった。
【0005】
本発明は係る課題を鑑みてなされたものであり、プレファンの機枠への着脱作業を容易に行うことを可能として、組立性及びメンテナンス性の向上を図ることができるコンバインの選別部を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0007】
即ち、請求項1においては、脱穀後の処理物を揺動選別する揺動選別装置と、前記揺動選別装置による揺動選別後の処理物を風選別する風選別装置と、を備え、前記揺動選別装置および前記風選別装置を機枠に取り付けるコンバインの選別部であって、前記揺動選別後の処理物に選別風を供給するプレファン、及び当該プレファンを回転自在に支持してその一部を被覆するプレファンケースをユニット化したプレファンユニットを、前記風選別装置に備え、前記プレファンユニットを前記機枠に着脱可能としたものである。
【0008】
請求項2においては、前記揺動選別後の処理物に選別風を供給する唐箕ファンを、前記風選別装置に備え、前記プレファンユニットを前記唐箕ファンの前方に位置する前記機枠に当該機枠の側方から着脱可能としたものである。
【0009】
請求項3においては、前記唐箕ファンの選別風の風路を形成する風路体を、前記プレファンユニットの代わりに、前記機枠に着脱可能としたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0011】
請求項1においては、プレファンの取付部材への着脱作業を容易に行うことが可能となる。したがって、組立性及びメンテナンス性の向上を図ることができる。プレファンを取付部材から容易に取り外して、プレファンのみの機能追加や変更等を容易に行うことが可能となる。したがって、機能追加や変更等を行う際の作業性の向上を図ることができる。
【0012】
請求項2においては、プレファンユニットの取付部材への着脱作業を機体側方から行うことが可能となる。したがって、プレファンユニットの取付部材への着脱性の向上を図ることができる。
【0013】
請求項3においては、プレファンユニットと風路体とを選別時の必要に応じて交換することが可能となる。したがって、プレファンに関する風選別装置の仕様変更を容易に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】コンバインの全体的な構成を示す側面図。
【図2】同じく平面図。
【図3】脱穀部及び選別部の構成を示す側面断面図。
【図4】第一実施形態に係るプレファンユニット周りの構造を示す側面断面図。
【図5】同じくプレファンユニットの構造を示す斜視図。
【図6】同じくレール仕組の構成を示す図。(a)摺動状態におけるレール仕組を示す斜視図。(b)レール仕組の構成を示す側面図。
【図7】プレファンユニットの引出状態を示す正面図。
【図8】プレファンユニットの摺動状態を示す正面図。
【図9】プレファンユニットの設置状態を示す正面図。
【図10】第二実施形態に係るプレファンユニット周りの構造を示す側面断面図。
【図11】同じくプレファンユニットの構造を示す斜視図。
【図12】同じくレール仕組の構成を示す側断面図。
【図13】同じくプレファンユニット周りの構成を示す図。(a)設置状態におけるプレファンユニットを示す側面図。(b)前方移動させたプレファンユニットを示す側面図。
【図14】同じくレール仕組の構成を示す図。(a)設置状態におけるレール仕組を示す斜視図。(b)摺動状態におけるレール仕組を示す斜視図。
【図15】風路体周りの構造を示す側面断面図。
【図16】同じく風路体の構造を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【0016】
まず、本発明の一実施形態に係る選別部5を備えるコンバイン1の全体構成について説明する。
【0017】
図1、図2に示すように、コンバイン1には、走行部2、刈取部3、脱穀部4、選別部5、穀粒貯溜部6、排藁処理部7、操縦部8が備えられる。
【0018】
走行部2は、機体フレーム9の下部に設けられる。走行部2は、左右一対のクローラを有するクローラ式走行装置21などを有して、機体をクローラ式走行装置21により前進または後進方向に走行させることができるように構成される。
【0019】
刈取部3は、機体フレーム9の前端部に機体に対して昇降可能に設けられる。刈取部3は、分草具31や、引起装置32や、切断装置33や、搬送装置34などを有して、圃場の穀稈を分草具31により分草し、分草後の穀稈を引起装置32により引き起こし、引起後の穀稈の株元を切断装置33により切断し、切断後の穀稈を搬送装置34により脱穀部4側へ搬送することができるように構成される。
【0020】
脱穀部4は、機体フレーム9の左側前部に設けられ、刈取部3の後方に配置される。脱穀部4は、フィードチェン41や、扱胴43、処理胴45などを有して、刈取部3から搬送されてくる穀稈をフィードチェン41により受け継いで排藁処理部7側へ搬送し、搬送中の穀稈を扱胴43により脱穀し、扱胴43側からの未処理物を処理胴45により処理することができるように構成される。
【0021】
選別部5は、機体フレーム9の左側部に設けられ、脱穀部4の下方に配置される。選別部5は、揺動選別装置50や、風選別装置や、穀粒搬送装置などを有して、脱穀部4から落下する処理物を揺動選別装置50により揺動選別し、揺動選別後のものを風選別装置により風選別して藁屑や塵埃などを藁屑排出装置により外部へ排出する一方、穀粒を穀粒搬送装置により穀粒貯溜部6へ搬送することができるように構成される。
【0022】
穀粒貯溜部6は、機体フレーム9の右側後部に設けられ、脱穀部4および選別部5の右側方に配置される。穀粒貯溜部6は、グレンタンク61や、穀粒排出装置62などを有して、選別部5から搬送されてくる穀粒をグレンタンク61により一時的に貯溜し、貯溜中の穀粒を穀粒排出装置62によりグレンタンク61から排出し、更に任意の方向に搬送してから外部へ排出することができるように構成される。
【0023】
排藁処理部7は、機体フレーム9の左側後部に設けられ、脱穀部4の後方に配置される。排藁処理部7は、排藁搬送装置71や、排藁切断装置72などを有して、脱穀部4からの脱穀済みの穀稈を排藁として排藁搬送装置71により受け継いで外部へ排出する。または、排藁切断装置72へ搬送し、搬送後の排藁を排藁切断装置72により切断してから外部へ排出することができるように構成される。
【0024】
排藁処理部7では、各装置を覆い支持するケース70の右側前部が、機体の後部に上下方向の回動支点を中心として図2における両矢印A1の方向に回動自在に支持される。このケース70は、その左側前部に設けられたロック装置によりロックされて、脱穀部4に連続した状態に保持される。そして、ケース70は、前記ロック装置によるロックが解除されることによって、脱穀部4および選別部5の後側を外部に露出させるように、前記回動支点を中心として後方へ向けて回動可能とされる。
【0025】
操縦部8は、機体フレーム9の右側前部に設けられ、刈取部3の搬送装置34の右側方であって穀粒貯溜部6の前方に配置される。操縦部8は、操縦席81や、ステアリングハンドル82を含む操作具類、キャビン83などを有して、操縦席81や操作具類などをキャビン83により覆い、操縦席81に操縦者を着座させ、操作具類により操縦者が各部の装置を操作することができるように構成される。
【0026】
このようにして、コンバイン1は、操縦部8での操作具類の操作によって、エンジン22の動力を各部の装置に伝達して、走行部2にて機体を走行させながら、刈取部3で圃場の穀稈を刈り取り、脱穀部4で刈取部3からの穀稈を脱穀し、選別部5で脱穀部4からの処理物を選別して、穀粒貯溜部6で選別部5からの穀粒を貯溜すると同時に、排藁処理部7で脱穀部4からの排藁を外部へ排出することができるようになっている。
【0027】
次に、脱穀部4および選別部5の構成について説明する。
【0028】
図3に示すように、脱穀部4には、フィードチェン41、扱胴43、処理胴45などが備えられる。また、選別部5には、揺動選別装置50、風選別装置、穀粒搬送装置などが備えられる。
【0029】
脱穀部4において、扱胴43は、前端部を面取りした円筒状に形成され、軸心方向を前後方向として扱室42に配置される。扱胴43は、扱室42でその前壁と後壁との間に回転自在に架設された回転支軸に取り付けられ、この回転支軸にエンジン22からの動力が伝達されることで当該回転支軸と一体的にその前後方向の軸心回りで回転駆動される。扱胴43の下方には、受網44が扱胴43の下半部を覆うように配置される。
【0030】
処理胴45は、円筒状に形成され、軸心方向を前後方向として扱胴43と平行とされて、その右後方で処理室46に配置される。処理室46はその前部の左側方に設けられる送塵口を介して扱室42と連通される。そして、処理胴45は、処理室46に前後方向に回転自在に架設された支軸に支持され、この支軸にエンジン22からの動力が伝達されることで当該支軸と一体的にその前後方向の軸心回りで回転駆動される。処理胴45の下方には、処理胴網が配置される。
【0031】
図1から図3に示すように、フィードチェン41は、扱胴43の左側方で刈取部3と排藁処理部7との間にわたって配置される。フィードチェン41は、扱胴43の左側方でフィードチェンフレーム(図示省略)に設けられた駆動スプロケットや従動スプロケットなどの複数のスプロケット41bに巻回され、その駆動スプロケットにエンジン22からの動力が伝達されることで回転駆動される。なお、フィードチェン41及びフィードチェンフレームは、カバー41aにより脱穀部4の左側方から覆われている。
【0032】
ここで、フィードチェンフレームの後部は、機体の後部に上下方向の回動支点41cを中心として図2における両矢印A2の方向に回動自在に支持される。フィードチェンフレームは、その前部に設けられたロック装置によりロックされて、扱胴43と対向した状態に保持される。そして、フィードチェンフレームは、フィードチェン41を支持した状態で、前記ロック装置によるロックが解除されることによって、扱胴43や選別部5の前上側付近を露出させるように、回動支点41cを中心として左側方へ向けて回動可能とされる。
【0033】
選別部5において、揺動選別装置50には、揺動選別装置本体50a、前フィードパン54、後フィードパン55、チャフシーブ56、グレンシーブ57、ストローラック58が備えられる。
【0034】
揺動選別装置本体50aは、平面視で矩形枠状に形成される。揺動選別装置本体50aは、その長手方向を前後方向として脱穀部4の扱胴43および受網44ならびに処理胴45および処理胴網の下方に配置され、機体フレーム9上に設けられた左右の下側機枠91・91に揺動可能かつ着脱可能に支持される。この揺動選別装置本体50aは、揺動機構の揺動軸にエンジン22からの動力が伝達されることによって、左右の下側機枠91・91に対して揺動される。
【0035】
フィードパンは、前フィードパン54および後フィードパン55から構成される。前フィードパン54は、揺動選別装置本体50a内の前部で脱穀部4の扱胴43および受網44の下方に配置される。さらに前フィードパン54は、その下部に設けられた支持部材54a及び揺動選別装置50の側板により支持されている。後フィードパン55は、揺動選別装置本体50a内の前部で前フィードパン54の後下方に当該前フィードパン54と所定間隔をおいて配置される。
【0036】
チャフシーブ56は、揺動選別装置本体50a内の前後中途部に設けられ、脱穀部4の扱胴43および受網44の後部下方ならびに処理胴45および処理胴網の下方であって、前フィードパン54の後方に配置される。このチャフシーブ56は、その開度が排藁量に応じて調節されるように構成される。
【0037】
グレンシーブ57は、揺動選別装置本体50a内の前後中途部に設けられ、チャフシーブ56の下方に配置される。ストローラック58は、揺動選別装置本体50a内の後部に設けられ、チャフシーブ56の後方であってグレンシーブ57の後上方に配置される。
【0038】
風選別装置には、唐箕ファン51、吸引ファン59、プレファン52、およびセカンドファン53が備えられる。ここで、唐箕ファン51、吸引ファン59、プレファン52、およびセカンドファン53は、揺動選別装置50の下方で左右の下側機枠91・91の左右内側に配置される。そして、これらのファン51・59・52・53に対して、揺動選別装置50が左右の下側機枠91・91に沿って前後方向に摺動可能とされる。
【0039】
唐箕ファン51は、左右の下側機枠91・91の前部に左右方向に横設され、前フィードパン54の後部の下方に配置される。吸引ファン59は下側機枠91の上部に配置された左右の上側機枠92・92の後端部内側で左右方向に横設され、ストローラック58の上方に配置される。そして、唐箕ファン51および吸引ファン59は、その回転軸51a・59aにエンジン22からの動力が伝達されることで回転し、選別風を発生させるように構成される。
【0040】
図3および図4に示すように、プレファン52は、左右の下側機枠91・91の前端部付近に左右方向にプレファンケース10内に横設され(後述する第二実施形態においては、プレファンケース210内に横設され)、前フィードパン54の前部の下方であって、唐箕ファン51の前上方に配置される。セカンドファン53は、左右の下側機枠91・91の前後中途部の底部に左右方向に横設され、後述する穀粒搬送装置の一番搬送装置151と二番搬送装置152との間に配置される。そして、プレファン52およびセカンドファン53は、その回転軸52a・53aにエンジン22からの動力が伝達されることで回転し、選別風を発生させるように構成される。
【0041】
穀粒搬送装置には、一番搬送装置151、二番搬送装置152、一番揚穀装置155、二番還元装置156が備えられる。一番搬送装置151は、左右の下側機枠91・91の底部で左右方向に横設され、唐箕ファン51の後方であってチャフシーブ56およびグレンシーブ57の下方に配置される。二番搬送装置152は、左右の下側機枠91・91の底部で左右方向に横設され、一番搬送装置151およびセカンドファン53の後方であって、ストローラック58の下方に配置される。
【0042】
一番揚穀装置155は、右側の下側機枠91の外側に上下方向に立設され、一番搬送装置151の右端部と接続されるとともに、穀粒貯溜部6のグレンタンク61(図1参照)と接続される。二番還元装置156は、右側の下側機枠91の外側に前後方向に斜設され、二番搬送装置152の右端部と接続されるとともに、脱穀部4の扱室42または揺動選別装置50の上方の空間に接続される。
【0043】
このような構成において、脱穀作業および選別作業が行われる際、脱穀部4では、刈取部3からの穀稈がその株元でフィードチェン41により受け継がれ、排藁処理部7側へ搬送される。この搬送中の穀稈の穂先部が扱胴43により脱穀され、その穀粒や藁屑や塵埃を含む処理物が選別部5へ落下する過程で受網44により選別される。扱胴43により脱穀されなかった未処理物は、扱室42から送塵口を介して処理室46に搬送されて、処理胴45により処理され、その処理物が選別部5へ落下する過程で処理胴網により選別される。
【0044】
選別部5では、揺動選別装置本体50aが揺動機構により揺動されている状態で、脱穀部4の受網44から落下した処理物の層が前後フィードパン54・55により均平化されて、処理物が比重選別される。前フィードパン54による選別後のものがチャフシーブ56により粗選別される。後フィードパン55による選別後のものがグレンシーブ57により選別される。また、脱穀部4の受網44および処理胴網から落下した処理物がチャフシーブ56により粗選別される。チャフシーブ56による選別後のものがグレンシーブ57と唐箕ファン51およびプレファン52からの選別風により精選別される。
【0045】
チャフシーブ56およびグレンシーブ57から落下する穀粒や藁屑などが、唐箕ファン51およびプレファン52からの選別風により精選別される。このとき、比重が大きく重い穀粒は、一番物として選別風に逆らって落下し、一番搬送装置151に収容される。これよりも比重が小さく軽いものは、唐箕ファン51およびプレファン52からの選別風により、さらにはセカンドファン53からの選別風により二番搬送装置152の上方へ向けて飛ばされる。
【0046】
この飛ばされたものの中でも比較的重いもの、例えば枝梗付穀粒は、二番物として落下し、二番搬送装置152に収容される。これを除いたものは、唐箕ファン51、プレファン52、およびセカンドファン53からの選別風によりストローラック58へ向けてさらに飛ばされる。そのうちの藁屑はストローラック58によりほぐされる。この藁屑の中にある穀粒は、二番物として落下し、二番搬送装置152に収容される。他の塵埃などは、吸引ファン59により吸引されて、三番口から外部に排出される。
【0047】
一番物は、一番搬送装置151により一番揚穀装置155に搬送され、つづいて一番揚穀装置155により穀粒貯溜部6のグレンタンク61に搬送されて、このグレンタンク61に一時的に貯溜される。二番物は、二番搬送装置152により二番還元装置156に搬送され、つづいて二番還元装置156により脱穀部4の扱室42または揺動選別装置50の上方空間へ搬送され、脱穀後にまたは脱穀されずに揺動選別装置50により再選別される。
【0048】
次に、唐箕ファン51およびその周辺の構成について詳細に説明する。
【0049】
図3及び図4に示すように、唐箕ファン51は、揺動選別装置50の前部の下方に配置され、唐箕ファンケース51cに収容される。この唐箕ファンケース51cは左右の下側機枠91・91に取り付けられる。そして、唐箕ファンケース51cは、その側部(下側機枠91)に吸入口を開口し、後部に吐出口51eを開口して、唐箕ファン51の回転時に、空気が吸入口から内部に導入されるとともに、唐箕ファン51による選別風が吐出口51eから選別部5の後部へ、即ち選別方向の下手側へ向けて送られるように構成される。さらに、唐箕ファンケース51cの前上部には、前吐出口51fが開口され、唐箕ファン51による選別風が前吐出口51fから前上方へ向けて送られるように構成される。また、当該前吐出口51fを閉塞するように、左右方向を長手とする閉塞板51hが着脱可能に配置される。詳しくは、唐箕ファンケース51c上の前吐出口51f近傍に、側面視凹字状に形成された上下一対の保持部材51g・51gが左右方向に延設される。当該保持部材51g・51gは、その溝を前吐出口51f側に向けて配置される。前記閉塞板51hは、図示しない左下側機枠91の開口部より挿入可能とされるとともに、保持部材51g・51gの溝にその両端をガイドされながら、機体左右方向に摺動可能とされる。このような構成において、左下側機枠91の開口部から閉塞板51hを挿入し、当該閉塞板51hを保持部材51g・51gに沿って右下側機枠91に当接するまで右方へ摺動させることで、前吐出口51fを閉塞することができる。また、閉塞板51hを左方へ摺動させ、左下側機枠91の開口部から取り出すことで、前吐出口51fを開放することができる。
【0050】
唐箕ファン51は、回転軸51aや複数の羽根体51b・51b・・・などで構成される。回転軸51aは、軸心方向を左右方向として、その左右両端部で唐箕ファンケース51cの吸入口の一部を遮るように設けられたプレートに軸支される。複数の羽根体51b・51b・・・は、それぞれ回転軸51aから支持部材51dを介して当該回転軸51aの半径方向に放射状に突設される。こうして、唐箕ファン51は、唐箕ファンケース51c内で左右方向に横設されて、回転軸51a回りに回転可能とされる。
【0051】
次に、第一実施形態の選別部5に係るプレファン52を含むプレファンユニット100およびその周辺の構成について詳説する。
以下の実施例において、プレファンユニット100・200を設置するときは、前記唐箕ファンケース51cの前吐出口51fを閉塞板51hによって閉塞して、唐箕ファンからの選別風を吐出口51eのみから送風することとする。
【0052】
図4および図5に示すように、プレファンユニット100は、揺動選別装置50の前部下方で、唐箕ファン51の前方に配置され、その後方へと選別風を送風するものである。プレファンユニット100は、プレファンケース10、プレファン52、風向板14、及びレール仕組15(レール16、レール受17)などから構成される。
【0053】
プレファンユニット100においては、プレファン52がプレファンケース10に収容され、さらにレール仕組15がプレファンケース10に取り付けられる。プレファンケース10は、左右の下側機枠91・91の前上部に取り付けられる。そして、プレファンケース10は、その前部に吸入口52eを開口し、その後部に吐出口52dを開口して、プレファン52の回転時に、空気が吸入口52eから当該プレファンケース10の内部に導入されるとともに、プレファン52の回転による選別風が吐出口52dから選別部5の後部へ、即ち選別方向の下手側へ向かって送られるように構成される。
【0054】
プレファンケース10は、プレファンユニット100の外郭を成す部材である。プレファンケース10は、主に上側プレファンケース11、下側プレファンケース12、及び側部プレート13・13から構成される。
【0055】
図4、図5および図9に示すように、上側プレファンケース11は、プレファンケース10の上部を成す部材である。上側プレファンケース11は、プレファン52よりも若干長く、揺動選別装置本体50aよりも若干短い左右幅をもつ板状部材からなる。上側プレファンケース11は、上方の揺動選別装置50に沿うように略水平または側面視において緩やかに前高後低となるように配置される。
【0056】
上側プレファンケース11の左右両端側が上側プレファンケース11の中央側に対して垂直下方に折り曲げられて、この上側プレファンケース11の左右両端縁部に、取付部11a・11aが形成される。取付部11a・11aには、複数の貫装孔がボルト等を利用できるように所定間隔をおいて形成される。
【0057】
下側プレファンケース12は、プレファン52よりも若干長い左右幅であって、上側プレファンケース11と略一致する左右幅をもつ板状部材からなり、左右の下側機枠91・91の前上部から前方に向かって突出するように配置される。下側プレファンケース12は、プレファン52の下方を覆うように配置されて、プレファン52の最外周端の回転軌跡に沿って、側面断面視下部が膨出するように形成される。詳細には、下側プレファンケース12の前部は側面視において前高後低となるように屈曲され、その後部は略水平となるように形成される。
【0058】
下側プレファンケース12の左右両端側が下側プレファンケース12の中央側に対して垂直上方に折り曲げられて、この下側プレファンケース12の左右両端縁部に、取付部12a・12aが形成される。取付部12a・12aには、複数の貫装孔がボルト等を利用できるように所定間隔をおいて形成される。
【0059】
側部プレート13は、プレファンケース10の左右両側部を成す板状の部材である。各側部プレート13は、プレファン52の上下高さよりも若干長い上下高さをもつ平板状部材からなり、上側プレファンケース11及び下側プレファンケース12の左右両端部の間を閉塞するように配置される。
【0060】
各側部プレート13の上端側および後端側が各側部プレート13の中央側に対して直角で機体外方に向かって折り曲げられて、この各側部プレート13の上端縁部及び後端縁部に、取付部13a・13bが形成される。左側部プレート13の取付部13a・13bには、複数の貫装孔がボルト等を利用できるように所定間隔をおいてそれぞれ形成される。
【0061】
また、側部プレート13の周囲には、複数の貫装孔が前記上側プレファンケース11及び下側プレファンケース12と連結するためのボルト等を貫装することができるように所定間隔をおいて形成される。但し、側部プレート13と上側プレファンケース11と下側プレファンケース12の固定方法は溶接等であってもよく限定するものではない。
【0062】
風向板14は、プレファン52からの選別風を後上方へと導くための板状の部材である。風向板14は、下側プレファンケース12の左右幅より若干短くなるように形成される。風向板14は、側面視において下側プレファンケース12の水平部の前後中途部から後部にかけて前低後高となるように、前端で下側プレファンケース12の上面(内側)に固着される。
【0063】
上側プレファンケース11、風向板14が固設された下側プレファンケース12、及び側部プレート13は、取付部11aの貫装孔及び取付部12aの貫装孔と、側部プレート13の周囲の貫装孔とを側面視で一致させた状態で、それぞれの貫装孔にボルトが貫装され、ナットで締結されることによって連結される。こうして、プレファンケース10が上側プレファンケース11、下側プレファンケース12、及び側部プレート13・13から略箱枠状に形成される。
【0064】
また、プレファン52は、プレファンケース10に収容され、主として回転軸52a、羽根体52b及び支持板52cから構成される横断流送風機である。
図5に示すように、プレファン52の回転軸52aは、軸心方向を左右方向として、その左右両端部で側部プレート13・13の略中央を貫通し、各側部プレート13に配置された軸受13dによって回動自在に軸支される。
【0065】
回転軸52aの左端には、プーリ52fが固設される。このプーリ52fには、エンジン22からの駆動力を伝達するベルト(図示省略)が巻回される。
【0066】
支持板52cは、回転軸52aに固設されて、羽根体52bを支持する円板状の部材である。本実施形態では、三つの支持板52cが、それぞれプレファンケース10内の左右両側及び左右中途部に位置するように、左右平行に所定間隔をおいて配置される。支持板52cは、その中心を回転軸52aが貫通するように、当該回転軸52aに相対回転不能に固設される。
【0067】
図4および図5に示すように、羽根体52bは、左右方向を長手方向とする湾曲させた略板状の部材である。羽根体52b・52b・・・は、支持板52cの周方向に適宜の間隔ごとに配置され、それぞれ隣り合う支持板52c・52cの外周部の間に回転軸52aに対して放射状に架設される。
本実施形態においてプレファン52を前記構成の横断流送風機としているが、ユニットとして着脱可能な構成であれば、限定するものではない。
【0068】
こうして、エンジン22からの駆動力がプーリ52fを介して回転軸52aに伝達され、この回転軸52aが回転可能とされる。そして、この回転軸52aにともなって、羽根体52b・52b・・・及び各支持板52cが回転軸52aを中心に回転されることによって、選別風がプレファン52から後方へ向けて送風されるように構成される。
【0069】
次に、図4から図6を用いて、プレファンユニット100を側方へ引き出す時にガイドとなるレール仕組15について説明する。
レール仕組15は、主に、プレファンユニット100に取り付けられるレール16と、下側機枠91に取り付けられるレール受17から構成され、プレファンユニット100を下側機枠91に対して容易に着脱可能とするものである。なお、本実施形態では、レール仕組15はプレファンユニット100の下後部と下側機枠91の前側上下中途部に配設されるが限定するものではなく、例えば、プレファンユニット100の上部と下側機枠91の前上部に配設することも可能である。
【0070】
前記レール16は、下側プレファンケース12の後側下面に左右方向に取り付けられる。当該レール16は、側面視において略逆凹字状に形成されて、左右方向に延長するように構成されている。つまり、レール16には、前記下側プレファンケース12に対して略平行な水平部16aが形成される。さらに、レール16には、前垂直部16b及び後垂直部16cが水平部16aの前後両端縁部から下方に突出するように形成される。
【0071】
レール受17は、下側機枠91の前部の上下中途部に固設される。当該レール受17は、側面視において略凹字状に形成されて、中央の溝に前記レール16を挿入可能に構成されている。つまり、レール受17は、帯板を側面視略凹状に折り曲げて形成され、水平部17aと、当該水平部17aの前側と後側から延出した前板部17b及び後板部17cとから形成されている。この後板部17cの後面が下側機枠91に固定される。
前記前板部17bと後板部17cとの隙間の前後幅は、前記レール16の水平部16aの前後幅よりも若干長く設定されている。さらに、前後板部17b・17cの内高さは、前後垂直部16b・16cの高さより若干短く設定されている。
【0072】
このような構成において、作業者が選別部5の左側方において、プレファンユニット100を機体側、即ち下側機枠91に取り付ける場合には、レール16をレール受17の溝に挿入して、レール16をレール受17に沿って摺動させながら、プレファンユニット100を取付位置まで右方向へ移動させる。逆に、プレファンユニット100を下側機枠91から取り外す場合には、レール16をレール受17に沿って摺動させながら、プレファンユニット100を取付位置から左方向へ移動させる。
【0073】
このとき、レール16の前垂直部16bの前面および後垂直部16cの後面は、前板部17bの後面および後板部17cの前面によってガイドされる。そのため、レール16をレール受17に沿って摺動させるときには、前後方向が規制されて、プレファンユニット100が着脱する途中で外れることがなくなる。また、プレファンユニット100を所定の位置に容易に移動させることができる。
【0074】
なお、前記レール16と当該レール16を挿入するレール受17の形状は限定するもではなく、プレファンユニット100の位置決めと着脱時のガイドをできる形状であればよい。
【0075】
以下に、第一実施形態に係るプレファンユニット100の着脱方法について説明する。
作業者は、選別部5の左側方においてプレファンユニット100の着脱作業を行う。作業者は、プレファンユニット100を下側機枠91に対して着脱するまえに、図2に示すように、フィードチェン41を回動支点41cを中心として左側方へ向けて回動させ、扱胴43や選別部5の前上側付近を露出させるようにしておく。
【0076】
先ずは、プレファンユニット100の取り付け方法について説明する。
作業者は、図7に示すプレファンユニット100が下側機枠91から分離された状態において、図6の(a)に示す、レール16の前後垂直部16b・16cの右端を、レール受17の水平部17aの左端に載せる。そして、作業者は、図8に示すようにレール16をレール受17上で右方向に摺動させ、図9に示すようにプレファンユニット100全体を取付位置まで押し込み移動させる。この際、下側機枠91の前上部の開口部91aが、プレファンユニット100により閉塞されることとなる。
【0077】
図4及び図5に示すように、作業者は、プレファンユニット100を、下側機枠91の前部で取り付け位置まで移動させたあと、前記左側部プレート13の取付部13bに配置された貫装孔と、下側機枠91の貫装孔とを正面視において一致させた状態で、貫装孔にボルト等を貫装することによって、下側機枠91に締結させる。さらに、作業者は、前記左側部プレート13の取付部13aに配置された貫装孔と、下側機枠91の上部に形成された前方突出部下面91bに形成された貫装孔とを底面視において一致させた状態で、貫装孔にボルト等を貫装させることによって、下側機枠91とプレファンユニット100とを締結させる。一方、プレファンユニット100の右側は、レール仕組15によって下方から支持されると共に、右側部プレート13の取付部13a・13bと下側機枠91の上部に形成された前方突出部下面91b及び下側機枠91の前面に当接することで、安定した姿勢に保持される。そして、作業者は、プーリ52fにベルトを巻回させる。これにより、エンジン22からの動力がプレファン52に伝達できる状態となって、プレファンユニット100が下側機枠91(機体側)に完全に装着された状態となる。
【0078】
次に、プレファンユニット100の取り外し方法について説明する。
この取り外し方法は、前記取り付け方法の逆の手順である。つまり、図9に示す状態で、作業者は、プーリ12bに巻回されたベルトを取り外し、下側機枠91とプレファンユニット100とを締結しているボルトを全て外す。さらに、図8に示すように、作業者は、レール16をレール受17上で左方向に摺動させ、プレファンユニット100を機体外方へ移動させる。そして、図7に示すように、作業者は、レール16をレール受17から分離させる。これにより、プレファンユニット100が下側機枠91(機体側)から完全に取り外された状態となる。
【0079】
以下に、第二実施形態の選別部5に係るプレファンユニット200およびその周辺の構成について詳説する。なお、第一実施形態と同一の部分については、図面に同一の符号を付し、説明を省略する。
【0080】
図10および図11に示すように、プレファンユニット200は、第一実施形態と同様に、揺動選別装置50の前部下方で、唐箕ファン51の前方に配置され、その後方へと選別風を送風するものである。但し、プレファンユニット200は、その一部が下側機枠91内に配置されるように構成される。
【0081】
プレファンユニット200においては、プレファン52がプレファンケース210に収容され、さらにプレファンケース210がレール仕組215に対して前後回動可能に取り付けられる。プレファンケース210は、左右の下側機枠91・91の前上部に取り付けられ、その後部が下側機枠91内に臨むように配置される。そして、プレファンケース210は、その前部に吸入口252eを開口し、その後部に吐出口252dを開口して、プレファン52の回転時に、空気が吸入口252eから当該プレファンケース210の内部に導入されるとともに、プレファン52の回転による選別風が吐出口252dから選別部5の後部へ、即ち選別方向の下手側へ向かって送られるように構成される。
【0082】
プレファンケース210は、プレファンユニット200の外郭を成す部材である。プレファンケース210は、主に上側プレファンケース211、下側プレファンケース212、及び側部プレート213・213から構成される。
【0083】
上側プレファンケース211は、プレファンケース210の上部を成す部材である。上側プレファンケース211は、プレファン52よりも若干長く、揺動選別装置本体50aよりも若干短い左右幅をもつ板状部材からなる。上側プレファンケース211は、上方の揺動選別装置50に沿うように略水平または側面視において緩やかに前高後低後方となるように配置される。
【0084】
上側プレファンケース211の左右両端側が上側プレファンケース211の中央側に対して垂直下方に折り曲げられて、この上側プレファンケース211の右側両端縁部に、取付部211a・211aが形成される。取付部211a・211aには、複数の貫装孔がボルト等を利用できるように所定間隔をおいて形成される。
【0085】
下側プレファンケース212は、プレファン52よりも若干長い左右幅であって、上側プレファンケース211と略一致する左右幅をもつ板状部材からなり、左右の下側機枠91・91の前上部に前方および後方に向かって突出するように配置される。下側プレファンケース212は、プレファン52の下方を覆うように配置されて、プレファン52の最外周端の回転軌跡に沿って、側面断面視下部が膨出するように形成される。この下側プレファンケース212は、その前端部が前フィードパン54の前後中途部の下方に位置し、その後端部が唐箕ファンケース51cの前端部近傍に位置するように、前記形状に屈曲しながら前後方向に延長される。側面視において下側プレファンケース212の前部は前高後低となるように形成され、その前後中途部は略水平に形成される。下側プレファンケース212の後部は前低後高となるように形成される。こうして、下側プレファンケース212の後部が風向部214とされ、プレファン52からの選別風が当該風向部214により後上方へと導かれるように構成される。
【0086】
下側プレファンケース212の左右両端側が下側プレファンケース212の中央側に対して垂直上方に折り曲げられて、この下側プレファンケース212の左右両端縁部に、取付部212a・212aが形成される。取付部212a・212aには、複数の貫装孔がボルト等を利用できるように所定間隔をおいて形成される。
【0087】
各側部プレート213は、プレファン52の上下高さよりも高い平板状部材からなり、上側プレファンケース211及び下側プレファンケース212の左右両端部の間を閉塞するように配置される。
【0088】
さらに、側部プレート213の後下部には、後述する回動支点軸216eを貫通させるために、下側プレファンケース212よりも下方に突出する突出部213cが形成される。各側部プレート213の上端側および後端側が各側部プレート213の中央側に対して直角で機体外方に向って折り曲げられて、この各側部プレート213の上端縁部及び後端縁部に、取付部213a・213bが形成される。左側部プレート213の取付部213a・213bには、複数の貫装孔がボルト等を利用できるように所定間隔をおいてそれぞれ形成される。
【0089】
また、各側部プレート213には、複数の貫装孔が前記上側プレファンケース211及び下側プレファンケース212と連結するためのボルト等を貫装することができるように所定間隔をおいて形成される。但し、側部プレート213と上側プレファンケース211と下側プレファンケース212の固定方法は溶接等であってもよく限定するものではない。
【0090】
上側プレファンケース211、下側プレファンケース212、及び側部プレート213・213は、取付部211aの貫装孔及び取付部212aの貫装孔と、側部プレート213の周囲の貫装孔とを側面視で一致させた状態で、それぞれの貫装孔にボルトが貫装され、ナットで締結されることによって連結される。こうして、プレファンケース210が上側プレファンケース211、下側プレファンケース212、及び側部プレート213・213から略箱枠状に形成される。
【0091】
また、図11に示すように、プレファン52の回転軸52aは、軸心方向を左右方向として、その左右両端部で側部プレート213・213の中央よりも後側を貫通し、各側部プレート213に配置された軸受213dによって回動可能に軸支される。そして、プレファン52はプレファンケース210に収容されたとき、側面視において側部プレート213の後端よりも後方に突出するように配置される。
【0092】
次に、図10から図14を用いて、プレファンユニット200を側方へ引き出すときにガイドとなるレール仕組215について説明する。
レール仕組215は、主に、プレファンユニット200に取り付けられるレール216と、下側機枠91に取り付けられるレール受217から構成され、当該レール仕組215により、プレファンユニット200を下側機枠91に対して容易に着脱可能とするものである。
【0093】
レール216は、主に垂直部216aおよび水平部216bを有するレール部216f、左側板216c、右側板216d、および回動支点軸216eとで構成される。
【0094】
前記レール部216fは、側面視において略逆T字状に形成して左右方向に延設される。
つまり、レール部216fは、下側プレファンケース212の下面から略垂直に突出され左右方向に延設される垂直部216aと、当該垂直部216aの下部から前後水平で左右方向に延出される水平部216bから構成される。垂直部216aの上端部は、側面視で前低後高となる傾斜面を有するように形成され、後述するようにプレファンケース210が前方に回動したとき、下側プレファンケース212を面で支えることが可能とされる。
レール部216fの左側端に左側板216cが固定され、レール部216fの右側端に右側板216dが固定される。垂直部216aは、突出部213cと干渉することがないように、左右両端の一部を左右側板216c・216dから所定の左右幅だけ隔てて形成される。
【0095】
左側板216cは側面視略台形状の板体で構成される。この左側板216cの前下部にレール部216fの左側端が固設され、中央部に回動支点軸216eの左端が固設され、後側に固定用の貫装孔が所定間隔をおいて形成されている。
右側板216dは側面視略台形状の板体の下端側をレール受217と側面視で干渉しないように切り欠いて形成される。この右側板216dの前下部にレール部216fの右端側が固設され、中央部に回動支点軸216eの右端が固設される。
【0096】
回動支点軸216eは、左右方向を軸心方向とする丸棒部材であって、側面視において左側板216cと右側板216dの略中央部と、左右の各側部プレート213の下方へ突出した突出部213c・213cをそれぞれ貫通する。回動支点軸216eは、左右側板216c・216dに設けられた軸受(図示省略)によって、左右側板216c・216dに対して回動自在に軸支される。つまり、回動支点軸216eを介して、プレファンケース210およびプレファン52がレール仕組215に対して相対回転可能とされる。
【0097】
レール受217は、下側機枠91の前部の上下中途部に固設される。当該レール受217は、側面視において略凹字状に形成され、中央の溝に前記レール216を挿入させる構成としている。つまり、レール受217は、帯板を側面視略凹状に折り曲げて形成され、水平部217aと、当該水平部217aの前側と後側から上方へ延出された前板部217b及び後板部217cと、当該前板部217bの上端から後方へ延出された縁部217dと、後板部217c上端から前方へ延出された縁部217eを備えて構成される。
前記縁部217dと縁部217eとの隙間の前後幅は、前記レール216の垂直部216aの前後幅よりも若干長く、前板部217bと後板部217cとの間の前後幅は、レール216の水平部216bの前後幅より若干長く設定されている。縁部217dと縁部217eの下面と水平部217aの上面との間の上下幅は、レール216の水平部216bの上下幅より若干長く設定されている。
そして、レール受217の後板部217cの後面は下側機枠91の前面に固着される。
【0098】
以下に、第二実施形態に係るプレファンユニット200の着脱方法について説明する。
作業者は、選別部5の左側方においてプレファンユニット200の着脱作業を行う。作業者は、プレファンユニット200を下側機枠91に対して着脱するまえに、図2に示すように、フィードチェン41を回動支点41cを中心として左側方へ向けて回動させ、扱胴43や選別部5の前上側付近を露出させるようにしておく。
【0099】
先ずは、プレファンユニット200の取り付け方法について説明する。
作業者は、プレファンユニット200が下側機枠91から分離された状態において、図14の(b)に示すように、プレファンユニット200の下端側に備えられた右側板216dの下部および水平部216bの右端部をレール受217の左端部の溝に収容させる。このとき、図12および図13(b)に示すように、側面視におけるプレファンユニット200の姿勢は、適正な取付位置よりも前方に傾いている。具体的には、下側プレファンケース212の下面が垂直部216aの上端に当接した状態で保持されている。つまり、垂直部216aの上端はプレファンユニット200の前方への回動を所定角度に保持するためのストッパとなっている。この状態で、図14に示すように、作業者は、レール216の水平部216bをレール受217の水平部217a上面上で右方へと摺動させて、このレール216とともにプレファンユニット200を取付位置まで移動させる。そして、左側板216cに配置された貫装孔と、下側機枠91に配置された貫装孔とを側面視において一致させた状態で、それぞれの貫装孔にボルト等を貫装することで締結させ、プレファンユニット200が左右方向に摺動不能となる。
【0100】
つづいて、作業者は、側面視において、前方に傾いた姿勢のプレファンユニット200を、図13(b)に示す白抜き矢印の方向に、回動支点軸216eを中心として回動させて、図13(a)に示す取付姿勢とする。
作業者は、この取付姿勢のプレファンユニット200を、前記左側部プレート213の取付部213bに配置された貫装孔と、下側機枠91上の貫装孔とを正面視において一致させた状態で、貫装孔にボルト等を貫装することによって、下側機枠91に締結させる。さらに、作業者は、プレファンユニット200を、前記左側部プレート213の取付部213aに配置された貫装孔と、下側機枠91の前方突出部下面91bに配置された貫装孔とを底面視において一致させた状態で、貫装孔にボルト等を貫装させることによって、下側機枠91に締結させる。よって、下側機枠91前上部の開口部91aは、プレファンユニット200により閉塞されることとなる。一方、プレファンユニット200の右側は、レール仕組215によって下方から支持されると共に、右側部プレート213の取付部213a・213bと下側機枠91の上部に形成された前方突出部下面91b及び下側機枠91の前面に当接することで、安定した姿勢に保持される。そして、作業者は、プーリ52fにベルトを巻回させる。これにより、エンジン22からの動力がプレファン52に伝達できる状態となって、プレファンユニット200が下側機枠91(機体側)に完全に装着された状態となる。
【0101】
次に、プレファンユニット200の取外方法について説明する。
この取り外し方法は、前記取り付け方法の逆の手順である。つまり、作業者は、プーリ12bに巻回されたベルトを取り外し、つづいて下側機枠91と、プレファンユニット200を締結しているボルトを全て外す。そして、作業者は、プレファンユニット200を、図13(a)に示す白抜き矢印の方向に、回動支点軸216eを中心として回動させて、取付姿勢から図13(b)における前方に傾いた姿勢とする。
図14の(b)に示すように、作業者は、レール216をレール受217上でさらに左方へと摺動させ、プレファンユニット200を機体外方へ移動させる。そして、作業者は、レール216とレール受217を分離させる。これにより、プレファンユニット200が下側機枠91(機体側)から完全に取り外された状態となる。
【0102】
前記レール仕組215の構成によって、機体に対してプレファンユニット200を着脱するときに、プレファンユニット200を前方に回動させることが可能となる。従って、プレファンユニット200の一部が側面視で左右の下側機枠91内に入り込むように配置される場合であっても、プレファンユニット200を下側機枠91に対して当該下側機枠91の左側方から着脱することができる。
【0103】
以下に、第三実施形態の選別部5に係る風路体300およびその周辺の構成について詳説する。なお、第一実施形態と同一の部分については、図面に同一の符号を付し、説明を省略する。
【0104】
風路体300は、第一実施形態に記載のプレファンユニット100の代わりに、揺動選別装置50の前部下方で、唐箕ファン51の前方に配置される。風路体300は、唐箕ファン51からの送風の一部を選別風として風路体300の後方へと送風するものである。図15及び図16に示すように、風路体300は、前側部311、側部プレート313・313、及びレール仕組15などから構成される。
【0105】
前側部311は、風路体300の外郭の一部を成す部材である。前側部311は、揺動選別装置本体50aよりも若干短い左右幅をもつ板状部材からなり、側面断面視凹状または凹円弧状に形成されて、左右の下側機枠91・91の前上部に前方に向かって突出するように取り付けられる。
詳しくは、前側部311は、その上部が上方の下側機枠91に沿うように略水平もしくは側面視において緩やかな前高後低となり、その前後中途部が前方へと突出し、その下部が略水平となるように形成される。
【0106】
前側部311の左右両端側が前側部311の中央側に対して垂直内方に折り曲げられて、この前側部311の左右両端縁部に、取付部311a・311aが形成される。取付部311a・311aには、複数の貫装孔がボルト等を利用できるように所定間隔をおいて形成される。
【0107】
側部プレート313は、風路体300の左右側部を成す板状の部材である。側部プレート313・313は、側面視において前側部311の左右側端部の開放部と略一致して、当該開放部を閉塞するように形成される。
各側部プレート313の上端側および後端側が各側部プレート313の中央側に対して直角で機体外方に向かって折り曲げられて、この各側部プレート313の上端縁部及び後端縁部に、取付部313a・313bが形成される。左側部プレート313の取付部313a・313bには、複数の貫装孔がボルト等を利用できるように所定間隔をおいてそれぞれ形成される。
【0108】
また、側部プレート313の周囲には、複数の貫装孔が前記前側部311と連結するためのボルト等を貫装することができるように所定間隔をおいて形成される。但し、側部プレート313と前側部311との固定方法は溶接等であってもよく限定するものではない。
【0109】
前側部311、及び各側部プレート313は、取付部311aの貫装孔と、側部プレート313の周囲の貫装孔とを側面視で一致させた状態で、それぞれの貫装孔にボルトが貫装されて、ナットで締結されることによって連結される。こうして、風路体300が前側部311、及び側部プレート313・313から略箱枠状に形成される。
【0110】
以下に、第三実施形態に係る風路体300の着脱方法について説明する。
先ず、作業者は、風路体300が下側機枠91から分離された状態(図7参照)において、図6の(a)に示す、レール16の右端の前後垂直部16b・16cの右端を、レール受17の水平部17aの左端に載せる。そして、作業者は、レール16をレール受17上で右方向に摺動させ、風路体300全体を取付位置まで押し込み移動させる。この際、下側機枠91の前上部の開口部91aが、風路体300により閉塞されることとなる。
作業者は、風路体300を下側機枠91の前部で取り付け位置まで移動させたあと、前記左側部プレート313の取付部313bに配置された貫装孔と、下側機枠91の貫装孔とを正面視において一致させた状態で、貫装孔にボルト等を貫装することによって、下側機枠91に締結させる。さらに、作業者は、前記左側部プレート313の取付部313aに配置された貫装孔と、下側機枠91の上部に形成された前方突出部下面91bに形成された貫装孔とを底面視において一致させた状態で、貫装孔にボルト等を貫装させることによって、下側機枠91と風路体300とを締結させる。一方、風路体300の右側は、レール仕組15によって下方から支持されると共に、右側部プレート313の取付部313a・313bと下側機枠91の上部に形成された前方突出部下面91b及び下側機枠91の前面に当接することで、安定した姿勢に保持される。これにより、風路体300が下側機枠91(機体側)に完全に装着された状態となる。
次に、閉塞板51hを左方へ摺動させ、左下側機枠91の開口部から取り出す。これにより、前吐出口51fを開放することができる。
【0111】
図15に示すように、このような構成の風路体300を下側機枠91に取り付けることによって、唐箕ファン51による選別風(図15中の太線矢印)が唐箕ファンケース51cの前上方の前吐出口51fより風路体300へと向かうこととなる。唐箕ファン51からの選別風は、風路体300の下部より風路体300の前側部311に当たって当該前側部311に沿って上後方へと導かれる。その後、選別風は、風路体300の上後部に配置された支持部材54aおよび前フィードパン54に沿って前記揺動選別装置50のチャフシーブ56に向かって導かれる。
【0112】
このように、第一実施形態に記載のプレファンユニット100の代わりに、風路体300を下側機枠91に取り付けた際には、唐箕ファン51による選別風の一部を利用して、プレファンユニット100を取り付けた場合における唐箕ファン51からの選別風の風路とは別に、新たな風路が形成されることとなる。
【0113】
次に、風路体300の取り外し方法について説明する。
この取り外し方法は、前記取り付け方法の逆の手順である。つまり、作業者は、下側機枠91と風路体300とを締結しているボルトを全て外す。さらに、作業者は、レール16をレール受17上で左方向に摺動させ、風路体300を機体外方へ移動させる。そして、作業者は、レール16をレール受17から分離させる。これにより、風路体300が下側機枠91(機体側)から完全に取り外された状態となる。
また、風路体300に代えて、第一実施形態に記載のプレファンユニット100を取り付ける場合、左下側機枠91の開口部から閉塞板51hを挿入し、当該閉塞板51hを保持部材51g・51gに沿って右下側機枠91に当接するまで右方へ摺動させることで、再び前吐出口51fを閉塞する。
【0114】
以上の如く、本実施形態のコンバイン1の選別部5は、脱穀後の処理物を揺動選別する揺動選別装置50と、前記揺動選別装置50による揺動選別後の処理物を風選別する風選別装置とを備え、前記揺動選別装置50および前記風選別装置を機体フレーム9上の下側機枠91に取り付けるコンバイン1の選別部5であって、前記揺動選別後の処理物に選別風を供給するプレファン52、及び当該プレファン52を回転自在に支持してその一部を被覆するプレファンケース10・210をユニット化したプレファンユニット100(200)を、前記風選別装置に備え、前記プレファンユニット100(200)を前記下側機枠91に着脱可能としたものである。
【0115】
このように構成することにより、プレファンユニット100(200)のメンテナンスや交換などを行う際に、プレファン52の下側機枠91への着脱作業を容易に行うことが可能となる。したがって、組立性及びメンテナンス性の向上を図ることができる。また、プレファン52を下側機枠91から容易に取り外して、プレファン52のみの機能追加や変更等を容易に行うことが可能となる。したがって、機能追加や変更等を行う際の作業性の向上を図ることができる。
【0116】
また、本実施形態のコンバイン1の選別部5は、前記揺動選別後の処理物に選別風を供給する唐箕ファン51を、前記風選別装置に備え、前記プレファンユニット100(200)を前記唐箕ファン51の前方に位置する前記下側機枠91に当該下側機枠91の側方から着脱可能としたものである。
このように構成することにより、プレファンユニット100(200)の下側機枠91への着脱作業を機体側方から行うことが可能となる。したがって、プレファンユニット100(200)の下側機枠91への着脱性の向上を図ることができる。
【0117】
また、本実施形態のコンバイン1の選別部5は、前記唐箕ファン51の選別風の風路を形成する風路体300を、前記プレファンユニット100の代わりに、前記下側機枠91に着脱可能としたものである。
このように構成することにより、プレファンユニット100と風路体300とを選別時の必要に応じて交換することが可能となる。したがって、プレファン52に関する風選別装置の仕様変更を容易に行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0118】
1 コンバイン
5 選別部
10 プレファンケース
50 揺動選別装置
51 唐箕ファン
52 プレファン
91 下側機枠
100 プレファンユニット
200 プレファンユニット
210 プレファンケース
300 風路体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱穀後の処理物を揺動選別する揺動選別装置と、
前記揺動選別装置による揺動選別後の処理物を風選別する風選別装置と、を備え、
前記揺動選別装置および前記風選別装置を機枠に取り付けるコンバインの選別部であって、
前記揺動選別後の処理物に選別風を供給するプレファン、及び当該プレファンを回転自在に支持してその一部を被覆するプレファンケースをユニット化したプレファンユニットを、前記風選別装置に備え、
前記プレファンユニットを前記機枠に着脱可能としたことを特徴とするコンバインの選別部。
【請求項2】
前記揺動選別後の処理物に選別風を供給する唐箕ファンを、前記風選別装置に備え、
前記プレファンユニットを前記唐箕ファンの前方に位置する前記機枠に当該機枠の側方から着脱可能としたことを特徴とする請求項1に記載のコンバインの選別部。
【請求項3】
前記唐箕ファンの選別風の風路を形成する風路体を、前記プレファンユニットの代わりに、前記機枠に着脱可能としたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコンバインの選別部。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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