説明

コンバイン

【課題】刈取装置3の粉塵が運転部10の方向に飛散するのを防止できるものでありながら、刈取装置3または脱穀装置5等での稈詰りを防止でき、且つ脱穀(選別)性能を維持できるようにしたコンバインを提供するものである。
【解決手段】オペレータが座乗する運転部10を配置した走行機体1と、エンジン20と、刈取装置3と、脱穀装置5と、脱穀装置5の扱胴26に穀稈を供給するフィードチェン6と、刈取装置3から前記フィードチェン6に刈取り穀稈を供給する穀稈搬送装置24とを備えてなるコンバインにおいて、エンジン20を内設したエンジンルーム42から暖気を排出する排気ファン46と、運転部10と穀稈搬送装置24との間に配置する排気ダクト47とを備え、穀稈搬送装置24によって横倒し姿勢で搬送中の刈取り穀稈Aの穂先から株元方向に向けて、排気ダクト47の排気口49から穀稈搬送装置24の穂先ガイド板41の上面側に暖気を吹き出すように構成したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刈取装置によって圃場の未刈り穀稈を刈取り、刈取った穀稈を脱穀装置によって脱穀して、穀粒を収集するコンバインに係り、より詳しくは、刈取装置からフィードチェンに穀稈を受継いで脱穀装置に供給するコンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、刈取装置によって穀稈を刈取り、刈取装置の刈取り穀稈を脱穀装置に搬送し、脱穀装置によって脱穀して穀粒を収集するするように構成している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この場合、従来のコンバインにおいては、収穫作業中、運転部と刈取装置の間で穀稈搬送装置の下方から上方向けて送風機によって送風し、運転部の運転座席と刈取装置の間にエアカーテンを形成し、刈取装置から脱穀装置に刈取り穀稈を搬送する穀稈搬送装置で発生した粉塵が、運転座席のオペレータ方向に飛散するのを防止するように構成していた。
【特許文献1】実用新案登録番号第2544791号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来技術は、例えば朝露等によって刈取り穀稈が湿っている場合、刈取装置または脱穀装置等で稈詰りが発生したり、脱穀(選別)性能が低下するから、圃場の未刈り穀稈が乾くまで収穫作業ができない等の問題がある。
【0005】
本発明の目的は、刈取装置の粉塵が運転部の運転座席の方向に飛散するのを防止できるものでありながら、刈取り穀稈が湿っていても、刈取装置または脱穀装置等での稈詰りを防止でき、且つ脱穀(選別)性能を維持できるようにしたコンバインを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、請求項1に係る発明のコンバインは、オペレータが座乗する運転部を配置した走行機体と、前記走行機体に搭載したエンジンと、刈刃を有する刈取装置と、脱穀装置と、前記脱穀装置の扱胴に穀稈を供給するフィードチェンと、前記刈取装置から前記フィードチェンに刈取り穀稈を供給する穀稈搬送装置とを備えてなるコンバインにおいて、前記エンジンを内設したエンジンルームから暖気を排出する排気ファンと、前記運転部と前記穀稈搬送装置との間に配置する排気ダクトとを備え、前記穀稈搬送装置によって横倒し姿勢で搬送中の穀稈の穂先から株元方向に向けて、前記排気ダクトの排気口から前記穀稈搬送装置の穂先ガイド板の上面側に暖気を吹き出すように構成したものである。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のコンバインにおいて、前記運転部側の前記穂先ガイド板の側端部を上向きに折り曲げた側壁体に暖気吹き出し口を形成し、前記穂先ガイド板の上面側に、前記暖気吹き出し口を介して、前記排気口からの暖気を吹き出すように構成したものである。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のコンバインにおいて、前記側壁体の上端側と、前記排気口の開口縁とを、可とう性を有する遮閉シートによって連結したものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明によれば、オペレータが座乗する運転部を配置した走行機体と、前記走行機体に搭載したエンジンと、刈刃を有する刈取装置と、脱穀装置と、前記脱穀装置の扱胴に穀稈を供給するフィードチェンと、前記刈取装置から前記フィードチェンに刈取り穀稈を供給する穀稈搬送装置とを備えてなるコンバインにおいて、前記エンジンを内設したエンジンルームから暖気を排出する排気ファンと、前記運転部と前記穀稈搬送装置との間に配置する排気ダクトとを備え、前記穀稈搬送装置によって横倒し姿勢で搬送中の穀稈の穂先から株元方向に向けて、前記排気ダクトの排気口から前記穀稈搬送装置の穂先ガイド板の上面側に暖気を吹き出すように構成したものであるから、前記運転部から離れた所定位置に前記刈取装置の粉塵を簡単に排出できる。また、前記排気ファンによって前記エンジンルームから暖気を排出するから、前記エンジンのヒートバランスを向上できる。また、搬送中の穀稈の穂先から株元方向に向けて暖気を吹き付け、例えば朝露によって湿った刈取り穀稈等の湿材の湿気を除去できるから、刈取り穀稈が湿材であっても、前記刈取装置または前記脱穀装置等での稈詰りを防止でき、且つ脱穀(選別)性能を維持できるものである。
【0010】
請求項2に係る発明によれば、前記運転部側の前記穂先ガイド板の側端部を上向きに折り曲げた側壁体に暖気吹き出し口を形成し、前記穂先ガイド板の上面側に、前記暖気吹き出し口を介して、前記排気口からの暖気を吹き出すように構成したものであるから、前記運転座席に近い刈取り穀稈の穂先側から、前記運転部から離れた刈取り穀稈の株元側に、前記穀稈搬送装置で搬送中の刈取り穀稈から発生した粉塵をスムーズに排出でき、且つ前記穂先ガイド板の上面側の湿気及び刈取り穀稈の穂先側の湿気等を簡単に効率よく除去できるものである。
【0011】
請求項3に係る発明によれば、前記側壁体の上端側と、前記排気口の開口縁とを、可とう性を有する遮閉シートによって連結したものであるから、前記排気ファンによって、前記穂先ガイド板の上面側に、前記エンジンルームからの暖気を効率よく供給できる。前記遮閉シートによって前記運転座席と前記穂先ガイド板との間を閉塞できるから、前記排気口と前記暖気吹き出し口との間に隙間が形成されても、前記エンジンルームからの暖気が、前記運転座席側に移動するのを簡単に防止できる。したがって、前記エンジンルーム側に前記排気ダクトを簡単に組付けることができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。図1はコンバインの左側面図、図2はコンバインの平面図、図3は刈取装置とエンジンの正面図、図4は刈取装置とエンジンの平面図、図5は図4の一部切り欠き平面図である。図1及び図2を参照しながら、コンバインの全体構造について説明する。なお、以下の説明では、走行機体1の進行方向に向かって左側を単に左側と称し、同じく進行方向に向かって右側を単に右側と称する。
【0013】
本実施形態のコンバインは、左右一対の走行クローラ2にて支持された走行機体1を備えている。走行機体1の前部には、穀稈を刈り取りながら取り込む刈取装置3が、単動式の昇降用油圧シリンダ4によって刈取回動支点軸4a回りに昇降調節可能に装着されている。走行機体1には、フィードチェン6を有する脱穀装置5と、脱穀後の穀粒を貯留する穀粒タンク7とが横並び状に搭載されている。本実施形態では、脱穀装置5が走行機体1の進行方向左側に、穀粒タンク7が走行機体1の進行方向右側に配置されている。走行機体1の後部に旋回可能な排出オーガ8が設けられ、穀粒タンク7の内部の穀粒が、排出オーガ8の籾投げ口9からトラックの荷台またはコンテナ等に排出されるように構成されている。刈取装置3の右側方で、穀粒タンク7の前側方には、運転部10が設けられている。
【0014】
運転部10には、オペレータが搭乗するステップ11と、ステップ11上のハンドルコラム12に設けた丸ハンドル形の操縦ハンドル13と、操縦ハンドル13の後方に設けた運転座席14と、運転座席14の左側方のレバーコラム15に設けた主変速レバー16、及び副変速レバー17、及び脱穀クラッチと刈取クラッチとをそれぞれ入り切り操作する作業クラッチレバー18とが、配置されている。運転部10の運転座席14の下方には、動力源としてのエンジン20を備えたエンジンルーム42が配置されている。
【0015】
刈取装置3の刈取回動支点軸4aに連結した刈取フレーム21の下方には、圃場の未刈り穀稈の株元を切断するバリカン式の刈刃装置22が設けられている。刈取フレーム21の前方には、圃場の未刈り穀稈を引起す4条分の穀稈引起装置23が配置されている。穀稈引起装置23とフィードチェン6の前端部(送り始端側)との間には、刈刃装置22によって刈取られた刈取り穀稈を搬送する穀稈搬送装置24が配置されている。なお、穀稈引起装置23の下部前方には、圃場の未刈り穀稈を分草する分草体25が突設されている。エンジン20にて走行クローラ2を駆動して圃場内を移動しながら、刈取装置3を駆動して圃場の未刈り穀稈を連続的に刈取ることになる。
【0016】
脱穀装置5には、穀稈脱穀用の扱胴26と、扱胴26の下方に落下する脱粒物を選別する揺動選別盤27及び唐箕ファン28と、扱胴26の後部から取出される脱穀排出物を再処理する処理胴29と、揺動選別盤27の後部の排塵を排出する排塵ファン30とを備えている。なお、扱胴26の回転軸はフィードチェン6による穀稈の搬送方向(換言すると走行機体1の進行方向)に沿って延びている。刈取装置3から穀稈搬送装置24によって搬送された穀稈の株元側はフィードチェン6に受け継がれて挟持搬送される。そして、この穀稈の穂先側が脱穀装置5の扱室内に搬入されて扱胴26にて脱穀されることになる。
【0017】
揺動選別盤27の下方側には、揺動選別盤27にて選別された穀粒(一番物)を取出す一番コンベヤ31と、枝梗付き穀粒等の二番物を取出す二番コンベヤ32とが設けられている。本実施形態の両コンベヤ31,32は、走行機体1の進行方向前側から一番コンベヤ31、二番コンベヤ32の順で、側面視において走行クローラ2,2の後部上方の走行機体1の上面側に横設されている。
【0018】
揺動選別盤27は、扱胴26の下方に張設された受網(図示省略)から漏下した脱穀物が、図示しないフィードパン及びチャフシーブ等によって搖動選別(比重選別)されるように構成している。なお、揺動選別盤27のグレンシーブ(図示省略)から落下した穀粒は、その穀粒中の粉塵が唐箕ファン27からの選別風によって除去され、一番コンベヤ31に落下することになる。
【0019】
一番コンベヤ31のうち脱穀装置5における穀粒タンク7寄りの一側壁(実施形態では右側壁)から外向きに突出した終端部には、上下方向に延びる揚穀筒33が連通接続されている。一番コンベヤ31から取出された穀粒は、揚穀筒33を介して穀粒タンク7に搬入され、穀粒タンク7に収集されることになる。なお、二番コンベヤ32のうち脱穀装置5における穀粒タンク7寄りの一側壁から外向きに突出した終端部は、揚穀筒33と交差して前後方向に延びる還元筒(図示省略)を介して、揺動選別盤27のフィードパンの上面側に連通接続され、二番物を揺動選別盤27のフィードパンの上面側に戻して再選別するように構成している。
【0020】
一方、フィードチェン6の後端側(送り終端側)には、排藁チェン34が配置されている。フィードチェン6の後端側から排藁チェン34に受け継がれた排藁(穀粒が脱粒された稈)は、長い状態で走行機体1の後方に排出されるか、又は脱穀装置5の後方側に設けた排藁カッタ35にて適宜長さに短く切断されたのち、走行機体1の後方下方に排出されることになる。
【0021】
次に、図1乃至図5を参照しながら、本発明の第1実施形態の防塵構造について説明する。図1乃至図4に示されるように、刈取装置3の上方を覆うためのダストカバー36は、前側カバー36aと、後側カバー36bとを備えている。前側カバー36aは、穀稈引起装置23の上端部に配置される。引起装置23と脱穀装置5の間で穀稈搬送装置24の前半部の上方が、前側カバー36aによって閉塞されることになる。
【0022】
図1及び図2に示されるように、後側カバー36bの後端側は、脱穀装置5の前面にカバー回動支点軸37回りに回動可能に連結されている。後側カバー36bの前端側は、前側カバー36aの後部の上方に延長されている。即ち、前側カバー36aの後部の上面側に後側カバー36bの前端側が重ね合わされている。引起装置23と脱穀装置5の間で穀稈搬送装置24の後半部の上方が、後側カバー36bによって閉塞されることになる。また、後側カバー36bの前端側が刈取装置3に連結されている。刈取装置3が昇降作動した場合、前側カバー36aの昇降作動に追従して、後側カバー36bの前部がカバー回動支点軸37回りに昇降作動し、前側カバー36aの上面と後側カバー36bの下面との間に隙間が形成されるのを防止することになる。
【0023】
また、図3及び図4に示されるように、穀稈搬送装置24には、刈刃装置22の上方に配置する株元搬送機構38と、株元搬送機構38の上方に配置する穂先搬送機構39とを備えている。穂先搬送機構39は、刈取り穀稈の穂先側を搬送する穂先搬送タイン40と、刈取り穀稈の穂先側を移動案内する穂先ガイド板41とを有する。刈刃装置22によって切断された刈取り穀稈Aの株元側が、株元搬送機構38によってフィードチェン6の送り始端側に供給される一方、刈取り穀稈Aの穂先側が穂先搬送タイン40によって脱穀装置5の扱き口に搬送されることになる。
【0024】
なお、刈取装置3から脱穀装置5に刈取り穀稈Aが搬送される場合、株元搬送機構38及び穂先搬送機構39の送り始端側で起立していた刈取り穀稈Aは、株元搬送機構38及び穂先搬送機構39の送り終端側で横倒し姿勢になって、フィードチェン6の送り始端側に受継がれることになる。
【0025】
一方、図3及び図4に示されるように、上述したエンジン20は、運転席14の下方の箱形のエンジンルーム42に内設している。エンジンルーム42内に、エンジン20の排気用のマフラー43と、エンジン20の水冷用のラジエータ44とを配置している。エンジン20によって冷却ファン45が駆動されて、エンジンルーム42内にラジエータ44を介して外気が取り込まれ、エンジン20及びラジエータ44が冷却ファン45の送風によって冷却されることになる。
【0026】
また、エンジンルーム42内の暖気を排出する排気ファン46と、排気ファン46を内蔵するためのファンケースを形成する排気ダクト47とを備えている。エンジンルーム42内に排気ダクト47の吸気口48を連通する一方、穂先ガイド板41の右側端側を上方に折り曲げて形成した側壁体41aの上端側を介して、穂先ガイド板41の上面に向けて排気ダクト47の排気口49を開口させている。なお、エンジンルーム42の左側面に排気ダクト47の一端側を一体的に接続し、運転部10の下部に排気ダクト47の一端側(吸気口48側)を入り込ませ、運転部10と穂先ガイド板41の間から排気ダクト47の他端側を上向きに延長し、穂先ガイド板41の上端側でその排気ダクト47の他端側(排気口49側)を左側方に向けて略水平に横向きに延長している。
【0027】
即ち、エンジンルーム42に排気ダクト47の吸気口48側を連結し、エンジンルーム42と穂先ガイド板41との間に排気ダクト47を配置し、穂先ガイド板41の右側から左側方向に向けて排気ダクト47の排気口49を横向きに開口している。したがって、穀稈搬送装置24によって横倒し姿勢で搬送中の穀稈の穂先から株元方向に向けて、排気ダクト47の排気口49から穂先ガイド板41の上面に、排気ファン46によってエンジンルーム42内の暖気を吹き出すことになる。
【0028】
上記の構成により、高気温になる収穫作業において、排気ファン46によってエンジンルーム42内の換気を促進し、エンジン5のオーバーヒートを防止し、エンジン5のヒートバランス(熱効率)を向上できる。且つ秋季の収穫作業において、朝露等によって刈取り穀稈Aが湿った状態であっても、エンジンルーム42からの暖気によって刈取り穀稈Aの湿気が除去される。且つ穂先ガイド板41上の刈取り穀稈Aから発生した粉塵が株元方向に向けて排出され、穂先ガイド板41上の刈取り穀稈Aから発生した粉塵が運転座席14の方向に飛散するのを防止できる。
【0029】
なお、収穫作業での刈取装置3の最高刈高さ状態における側壁体41aの上端高さより高位置に排気口49を配置している。刈取装置3の調節可能な全ての刈高さ範囲で、収穫作業中、排気口49から穂先ガイド板41の上面に、エンジンルーム42内の暖気を吹き出すことになる。
【0030】
図5に示されるように、上述した処理胴29の処理胴軸50の前端側に、エンジン20からの動力を伝えるための入力プーリ51を被嵌している。入力プーリ51の前面にPTO軸52の後端側を固着し、脱穀装置5に設けた軸受け体53にPTO軸52の中間を軸支し、PTO軸52の前端側に、自在継ぎ手軸54を介して、排気ファン46のファン軸55の後端側を連結している。脱穀装置5を作動中、脱穀装置5の回転部としての処理胴29の駆動力の一部を分岐して排気ファン46を駆動することになる。
【0031】
次に、図6を参照しながら、本発明の第2実施形態の防塵構造について説明する。図6に示されるように、穂先ガイド板41の右側端側を上方に折り曲げて側壁体41aを形成し、側壁体41aに暖気吹き出し口56を形成する。エンジンルーム42に連通した排気ダクト47の排気口49と、暖気吹き出し口56とを、対向させて配置している。運転部10の左側板10aと、穂先ガイド板41の前後端縁及び側壁体41aの外周端縁との間に、折り曲げ可能な遮閉シート57を連結している。
【0032】
即ち、穂先ガイド板41とエンジンルーム42との間に形成される空間部の前方及び後方及び上方の三方が遮閉シート57によって閉塞される。冷却ファン45によって排出されたエンジンルーム42内の暖気が、排気口49から、暖気吹き出し口56を介して、穂先ガイド板41の上面側に排出されることになる。
【0033】
したがって、刈取装置3と運転部10の間、換言すると、穂先ガイド板41と左側板10aとの間から、運転座席14の方向に、エンジンルーム42内の暖気が排出されるのを防止できる。また、第1実施形態と同様に、朝露等によって刈取り穀稈Aが湿った状態であっても、エンジンルーム42からの暖気によって刈取り穀稈Aの湿気が除去される。且つ穂先ガイド板41上の刈取り穀稈Aから発生した粉塵が株元方向に向けて排出され、穂先ガイド板41上の刈取り穀稈Aから発生した粉塵が運転座席14の方向に飛散するのを防止できる。
【0034】
次に、図7を参照しながら、本発明の第2実施形態の防塵構造について説明する。図7に示されるように、上述した走行クローラ2にエンジン20の動力を変速して伝えるミッションケース58を備える。ミッションケース58には、エンジン20の動力を変速する静油圧式無段変速機59を配置する。エンジン20の動力を入力する静油圧式無段変速機59の入力軸60上に第1PTOプーリ61を被嵌し、且つ上述した排気ファン46のファン軸62上に従動プーリ63を被嵌し、第1PTOプーリ61と従動プーリ63とにVベルト64を掛けまわしている。エンジン20を作動中、エンジン20の駆動力の一部を分岐して排気ファン46を駆動することになる。
【0035】
なお、ミッションケース58には、静油圧式無段変速機59からの変速出力の一部を伝える第2PTOプーリ65を備える。第2PTOプーリ65と、刈取装置3の刈取入力プーリ66とを介して、ミッションケース58から刈取装置3に駆動力を伝えることになる。
【0036】
上記の記載及び図1、図2、図3から明らかなように、オペレータが座乗する運転部10を配置した走行機体1と、走行機体1に搭載したエンジン20と、刈刃22を有する刈取装置3と、脱穀装置5と、脱穀装置5の扱胴26に穀稈を供給するフィードチェン6と、刈取装置3から前記フィードチェン6に刈取り穀稈を供給する穀稈搬送装置24とを備えてなるコンバインにおいて、エンジン20を内設したエンジンルーム42から暖気を排出する排気ファン46と、運転部10と穀稈搬送装置24との間に配置する排気ダクト47とを備え、穀稈搬送装置24によって横倒し姿勢で搬送中の刈取り穀稈Aの穂先から株元方向に向けて、排気ダクト47の排気口49から穀稈搬送装置24の穂先ガイド板41の上面側に暖気を吹き出すように構成したものであるから、運転部10の運転座席14から離れた所定位置に刈取装置3の粉塵を簡単に排出できる。また、排気ファン46によって前記エンジンルーム42から暖気を排出するから、エンジン20のヒートバランスを向上できる。また、搬送中の刈取り穀稈Aの穂先から株元方向に向けて暖気を吹き付け、例えば朝露によって湿った刈取り穀稈A等の湿材の湿気を除去できるから、刈取り穀稈Aが湿材であっても、刈取装置3または脱穀装置5等での稈詰りを防止でき、且つ脱穀(選別)性能を維持できる。
【0037】
上記の記載及び図6から明らかなように、運転部10の運転座席14側の穂先ガイド板41の側端部を上向きに折り曲げた側壁体41aに暖気吹き出し口56を形成し、穂先ガイド板41の上面側に、暖気吹き出し口56を介して、排気口49からの暖気を吹き出すように構成したものであるから、運転座席14に近い刈取り穀稈Aの穂先側から、運転部10から離れた刈取り穀稈Aの株元側に、穀稈搬送装置24で搬送中の刈取り穀稈Aから発生した粉塵をスムーズに排出でき、且つ穂先ガイド板41の上面側の湿気及び刈取り穀稈Aの穂先側の湿気等を簡単に効率よく除去できる。
【0038】
上記の記載及び図6から明らかなように、側壁体41aの上端側と、排気口49の開口縁とを、可とう性を有する折り曲げ可能な遮閉シート57によって連結したものであるから、排気ファン46によって、穂先ガイド板41の上面側に、エンジンルーム42からの暖気を効率よく供給できる。遮閉シート57によって運転座席14と穂先ガイド板41との間を閉塞できるから、排気口49と暖気吹き出し口56との間に隙間が形成されても、エンジンルーム42からの暖気が、運転座席14側に移動するのを簡単に防止できる。したがって、エンジンルーム42側に排気ダクト47を簡単に組付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の第1実施形態のコンバインの側面図である。
【図2】同平面図である。
【図3】同エンジンと刈取装置の正面図である。
【図4】同エンジンと刈取装置の平面図である。
【図5】図4の一部切り欠き平面図である。
【図6】本発明の第2実施形態のコンバインの正面図である。
【図7】本発明の第3実施形態のコンバインの正面図である。
【符号の説明】
【0040】
1 走行機体
3 刈取装置
5 脱穀装置
6 フィードチェン
14 運転座席
20 エンジン
22 刈刃装置
24 穀稈搬送装置
26 扱胴
41 穂先ガイド板
41a 側壁体
42 エンジンルーム
46 排気ファン
47 排気ダクト
49 排気口
56 暖気吹き出し口
57 遮閉シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オペレータが座乗する運転部を配置した走行機体と、前記走行機体に搭載したエンジンと、刈刃を有する刈取装置と、脱穀装置と、前記脱穀装置の扱胴に穀稈を供給するフィードチェンと、前記刈取装置から前記フィードチェンに刈取り穀稈を供給する穀稈搬送装置とを備えてなるコンバインにおいて、
前記エンジンを内設したエンジンルームから暖気を排出する排気ファンと、前記運転部と前記穀稈搬送装置との間に配置する排気ダクトとを備え、
前記穀稈搬送装置によって横倒し姿勢で搬送中の穀稈の穂先から株元方向に向けて、前記排気ダクトの排気口から前記穀稈搬送装置の穂先ガイド板の上面側に暖気を吹き出すように構成したことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記運転部側の前記穂先ガイド板の側端部を上向きに折り曲げた側壁体に暖気吹き出し口を形成し、前記穂先ガイド板の上面側に、前記暖気吹き出し口を介して、前記排気口からの暖気を吹き出すように構成したことを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記側壁体の上端側と、前記排気口の開口縁とを、可とう性を有する遮閉シートによって連結したことを特徴とする請求項2に記載のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−330223(P2007−330223A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−169160(P2006−169160)
【出願日】平成18年6月19日(2006.6.19)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】