説明

コンバイン

【課題】プレクリーナの吸気音による騒音を抑えることができるコンバインを提供する。
【解決手段】
原動機部の上方に運転部を配設し、同運転部の後方に穀粒貯留部を配設して、同穀粒貯留部の側方に脱穀部を配設したコンバインにおいて、原動機部から伸延する吸気流路の吸気始端部を穀粒貯留部と脱穀部との間に配設しているため、運転部に着座する作業者から耳障りな吸気音源となる吸気始端部を離隔させることができて、騒音レベルを低減ないしは解消することができる。その結果、作業者の作業環境を向上させることができる

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はコンバイン、詳しくはコンバインの原動機部の吸気機構の配置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンバインの一形態として、原動機部の上方に運転部を配設し、同運転部の後方に穀粒貯留部を配設して、同穀粒貯留部の側方に脱穀部を配設したものがある。そして、かかるコンバインでは、原動機部から吸気流路を、運転部と穀粒貯留部との間に形成された空間内に立ち上がり状に伸延させて、上端である吸気始端部にプレクリーナを穀粒貯留部よりも上方に位置させて設けている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−70677号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、上記したコンバインでは、運転部に着座している作業者の背後にプレクリーナが配置されて、作業者とプレクリーナとの間には遮蔽物もないために、作業者によってはプレクリーナへの吸気音が耳障りな騒音となっている。また、プレクリーナを穀粒貯留部よりも上方に位置させて設けているために、穀粒貯留部に接続した穀粒搬出用オーガを旋回(略水平面内で回動)させる際に、プレクリーナが支障となることがある。
【0004】
この発明は、上記問題を解決するためになされたもので、プレクリーナの吸気音による騒音を抑えることができるコンバインを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、原動機部の上方に運転部を配設し、同運転部の後方に穀粒貯留部を配設して、同穀粒貯留部の側方に脱穀部を配設したコンバインにおいて、原動機部から伸延する吸気流路の吸気始端部を、穀粒貯留部と脱穀部との間に配設したことを特徴とするコンバインである。
【0006】
請求項2に記載の発明は、吸気流路の吸気始端部は、穀粒貯留部の上面と同等ないしはそれよりも下方に位置させると共に、脱穀部の上面よりも上方に位置させて配置したことを特徴とする請求項1記載のコンバインである。
【0007】
請求項3に記載の発明は、吸気流路の中途部に消音器を設けると共に、同消音器を運転部と穀粒貯留部との間に配置したことを特徴とする請求項1又は2記載のコンバインである。
【発明の効果】
【0008】
(1)請求項1記載の本発明では、原動機部の上方に運転部を配設し、同運転部の後方に穀粒貯留部を配設して、同穀粒貯留部の側方に脱穀部を配設したコンバインにおいて、原動機部から伸延する吸気流路の吸気始端部を穀粒貯留部と脱穀部との間に配設している。
【0009】
このように、吸気流路の吸気始端部を穀粒貯留部と脱穀部との間に配設しているため、運転部に着座する作業者から耳障りな吸気音源となる吸気始端部を離隔させることができて、騒音レベルを低減ないしは解消することができる。その結果、作業者の作業環境を向上させることができる。
【0010】
(2)請求項2記載の本発明では、吸気流路の吸気始端部は、穀粒貯留部の上面と同等ないしはそれよりも下方に位置させると共に、脱穀部の上面よりも上方に位置させて配置している。
【0011】
このように、吸気流路の吸気始端部を、穀粒貯留部の上面と同等ないしはそれよりも下方に位置させているため、穀粒貯留部に接続した穀粒搬出用オーガを旋回させる際に、吸気始端部が支障となることがない。しかも、吸気流路の吸気始端部を、脱穀部の上面よりも上方に位置させて配置しているため、同脱穀部に天井部開閉体が設けられている場合でも、同天井部開閉体の開閉作動に支障とならないようにすることができる。
【0012】
(3)請求項3記載の本発明では、吸気流路の中途部に消音器を設けると共に、同消音器を運転部と穀粒貯留部との間に配置している。
【0013】
このように、運転部と穀粒貯留部との間に配置した消音器と、穀粒貯留部と脱穀部との間に配設した吸気流路の吸気始端部との吸気流路長を大きく確保することができるため、吸気流路長による消音効果を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本実施形態におけるコンバインは、基本的構造として、原動機部の上方に運転部を配設し、同運転部の後方に穀粒貯留部を配設して、同穀粒貯留部の側方に脱穀部を配設している。
【0015】
そして、特徴的構造として、原動機部から伸延する吸気流路の吸気始端部を、穀粒貯留部と脱穀部との間に配設している。
【0016】
以下に、本実施形態におけるコンバインを、図面を参照しながら説明する。
【0017】
図1に示すAは、本発明に係るコンバインであり、同コンバインAは、左右一対のクローラ式の走行部1、1上に車体フレーム2を載設し、同車体フレーム2の前端部に刈取部3を取り付け、車体フレーム2上の左側前部に脱穀部4を配設し、同脱穀部4の直下方位置に選別部5を配設する一方、同選別部の後方上部であって、脱穀部4の直後方位置に排藁処理部6を配設している。31は、刈刃である。
【0018】
そして、コンバインAは、図1に示すように、車体フレーム2上の右側前部に原動機部7を配設し、同原動機部7の直上方位置に運転部8を配設し、同運転部8の直後方位置に穀粒貯留部9(グレンタンク10)を配設している。
【0019】
次に、コンバインAの各部の構造について図1および図2を参照して説明する。
【0020】
走行部1は、図1に示すように、車体フレーム2の下部に走行フレーム35を取付け、同走行フレーム35の前端部に駆動輪21を連動連結する一方、走行フレーム35の後端部に遊動輪22を回転自在に軸支し、これら駆動輪21と遊動輪22との間に履帯23を巻回している。図中、24は転動輪である。
【0021】
刈取部3は、圃場に植生している穀稈を刈り取り、この刈り取った穀稈を刈取部に設けた穀稈搬送機構(図示せず)により後上方へ搬送してフィードチェン(図示せず)に受け渡している。
【0022】
脱穀部4は、扱室内に扱胴(図示せず)を配設すると共に、同扱胴の直下方位置にクリンプ網(図示せず)を張設しており、扱胴の右側後方位置には処理胴を配設している。
【0023】
選別部5は、上記脱穀部4に設けた扱胴と処理胴の下方位置に選別体(図示せず)を前後揺動自在に配置して、上記扱胴と処理胴とにより脱穀されて供給される脱穀物を選別体により受けて、回収用の一番物と再選別用の二番物とに選別するようにしている。
【0024】
排藁処理部6は、図1および図2に示すように、穀稈移送部(図示せず)により後方へ搬送されてくる穀稈を排藁として受けて漸次中央寄りに移送する排藁移送体(図示せず)と、同排藁移送体により移送されてくる排藁を細断する排藁カッター(図示せず)とを具備している。
【0025】
穀粒貯留部9は、後述する運転部8の後方にグレンタンク10を配置している。このグレンタンク10は、選別部において選別された一番穀粒を貯留しておき、この貯留した一番穀粒を後述する穀粒搬出部32により適宜搬出することができるようにしている。
【0026】
穀粒搬出部32は、穀粒貯留部9内の下部まで伸延させた横搬出用スクリューコンベア体(図示せず)を前後方向に軸線を向けて横架し、同横搬出用スクリューコンベアの後端部に下端部を連通連結した縦搬出用スクリューコンベア(図示せず)を上下方向に軸線を向けて配置し、同縦搬出用スクリューコンベアの上端部に後端部を連通連結した穀粒搬出用オーガ33を前方へ向けて伸延させ、かつ、後端部を中心に旋回及び上下回動自在となしている。
【0027】
排藁移送体11は、始端側を左側部に配置すると共に、終端側を中央部に配置した排藁移送と、同排藁移送チェンの下方において移送方向に伸延させかつ対向させて配置した狭扼杆(図示せず)とを具備しており、同狭扼杆は上下方向に伸延する前後一対の支持片(図示せず)により弾性体(図示せず)を介して上方へ弾性付勢させて支持している。
【0028】
運転部8は、車体フレーム2の右側前部に配置されている。図2に示すように、運転部8は、前部操作コラム26に操向ハンドル25を設け、同操向ハンドル25の後方位置に運転席20を配置し、同運転席20の左側方位置に配設した側部操作コラム28にクラッチレバー27等を設けている。
【0029】
原動機部7は、図1および図2に示すように、前記運転席20の下方に形成したエンジンルームR内にエンジンEを配置し、図3にしめすように、同エンジンEの吸気口部17から上方へ吸気経路を伸延させて、同吸気流路の始端部から外気を取り込んで、エンジンE内にて燃焼に使用する一方、同エンジンEの排気口部18から後上方へ排気流路(テールパイプ30)を伸延させて、同排気流路の終端部から排気ガスを排出するようにしている。
【0030】
上記のような構成において、本発明の要旨は、原動機部7から伸延する吸気流路の吸気始端部(プレクリーナ12)を、グレンタンク10と脱穀部4との間に配設したことである。
【0031】
具体的には、図3および図4に示すように、前記運転席20の下方にエンジンルームRを有し、そのエンジンルームR内にはエンジンEを配置している。エンジンEは、その燃焼室に空気を吸入するための吸気口部17を備えるとともに、燃焼室内で燃焼された空気を排気するために排気口部18を備えている。
【0032】
前記エンジンEの上方にエアクリーナ15を配設するとともに、エンジンEの吸気口部17から同エアクリーナ15に吸気配管16を連通連設している。また、同エアクリーナ15より上方へ吸気連結管14を伸延させ、その吸気連結管14の上端部に消音器である吸気レゾネータ13を連通連設している。
【0033】
吸気レゾネータ13は、運転部8とグレンタンク10との間に配置されている。吸気レゾネータ13は、前後に狭く左右に幅広の箱型形状に形成している。吸気レゾネータ13は、消音器として、後述するプレクリーナ12での吸気音を消音させる機能を有する。
【0034】
また、前記エンジンルームR上であって、運転部8と穀粒貯留部9(グレンタンク10)との間にガード体配設空間Qが形成されている。すなわち、穀粒貯留部9(グレンタンク10)は、運転部8と所定間隔を有して離間して配設され、その所定間隔を有する空間をガード体配設空間Qとなしている。そして、そのガード体配設空間Q内に、後述するテールパイプ30(排気流路)の中途部と運転部8との間を遮蔽する遮蔽体40を設けている。
【0035】
すなわち、図3〜図5に示すように、遮蔽体40は、前記吸気レゾネータ13の左右幅よりも左右幅を広幅に形成しており、同吸気レゾネータ13の上面前部から直上方へ立ち上がる立ち上がり壁40aと、同立ち上がり壁40aの上端縁部から後上方へ向けて傾斜状に延設した傾斜壁40bと、両壁40a,40bに連設して吸気レゾネータ13の上面右側部(外気導入パイプ29の左側近接位置)から直状に立設した側壁40cとを具備して、吸気レゾネータ13よりも左側方へ張り出し状に取り付けている。ここで、傾斜壁40bの先端縁部(上端縁部)は、プレクリーナ12の下部側方に位置し、かつ、穀粒貯留部9の前面上部に近接配置している。36は、吸気レゾネータ13の左側壁に突設したステーであり、同ステー36により遮蔽体40の左側張り出し部を支持させている。37は遮蔽体40の内面中途部に設けた補強リブである。
【0036】
このようにして、遮蔽体40を、吸気レゾネータ13に支持・締結させているので、ガード体配設空間Q内に簡単かつ確実に配設することができる。
【0037】
そして、ガード体配設空間Q内に遮蔽体40を配設すると共に、同遮蔽体40は吸気レゾネータ13の上方にてガード体配設空間Qの上下方向を遮蔽している。そのため、原動機部7に設けたエンジンEから生起される騒音が、ガード体配設空間Qを通して運転部8の後上方に放出されるのを防止することができて、防音効果を図ることができる。同時に遮蔽体40は、エンジンEから放出される熱が、ガード体配設空間Qを通して運転部8の後上方に放出されるのを防止する遮熱機能を果たすため、遮熱効果を図ることもできる。
【0038】
しかも、遮蔽体40の内面側(下面側)と吸気レゾネータ13との間には、消音用空間Bを形成している。特に、遮蔽体40には傾斜壁40bを設けて、消音用空間Bを大きく確保することができるようにしている。また、ガード体配設空間Q内であって、吸気レゾネータ13とグレンタンク10との間に比較的狭い狭空間Cを形成している。そして、エンジンEから生起されるエンジン音は、前記狭空間Cを通過して、広空間である消音用空間Bに伝播するようにしている。
このようにして、狭空間Cから広空間の消音用空間Bに伝播することにより、エンジン音波の周波数が、拡張された広空間である消音用空間Bにて効果的に減衰されて、消音される。
【0039】
さらに、運転部8に着座して作業を行う作業者にとって耳障りな低音であるエンジン音が、遮蔽体40により遮蔽されて反射・拡散し、音量等も低減されて耳障り度合いが軽減される。従って、作業者の居住性を高めることができて、作業能率を向上させることができる。
【0040】
また、前記遮蔽体40の内面(図3に示すY側)に吸音材を張設している。従って、消音用空間Bまで伝播したエンジン音を吸音材により吸音して、消音効果を高めることができる。吸音材としては、軟質ウレタンフォーム、ガラスウールなどの多孔質材料が挙げられる。また、遮蔽体40の内面をかまぼこ状にすることにより、同内面に張設した吸音材の面積を拡張して、消音効果を向上させることができる。
【0041】
そして、エンジンEから生起されるエンジン音が、ガード体配設空間Q内の狭空間Cを通して、消音用空間Bに到達する。そして、消音用空間Bに到達したエンジン音が遮蔽体40の下面に張設された吸音材により吸収される。これにより、エンジンEの音量が大幅に低減することができる。従って、より一層、作業者の居住性を高めることができて、作業能率を向上させることができる。
【0042】
そのような構成において、本実施形態におけるコンバインAは、グレンタンク10と脱穀部4と空間にプレクリーナ12を配設している。すなわち、グレンタンク10と脱穀部4との間には、左右方向に幅狭の空間Pが形成されている。そして、その空間P内に、外気導入パイプ29を吸気レゾネータ13の左側部から所定距離を有して後方に伸延させている。そして、前記外気導入パイプ29の先端部にプレクリーナ12を連通連設している。
【0043】
そして、プレクリーナ12は、外気をエアクリーナ15に導入する前に前処理として浄化するようにしている。このようにして、外気を、プレクリーナ12から取り込み、そのプレクリーナ12において外気中の塵や埃を除去した後、吸気レゾネータ13で消音しながら、エアクリーナ15に送り込む。そして、その外気を、そのエアクリーナ15において、さらに細かい塵などを除去して、清浄化した空気として、エンジンE内の燃焼室に取り込んで燃焼用として使用する。
【0044】
また、プレクリーナ12は外気の取り込み時に騒音の音源となるが、その音源となるプレクリーナ12を運転部8の作業者より所定距離を有して後方に配置している。これにより、運転部8に着座する作業者から耳障りな吸気音源となるプレクリーナ12の吸気音を離隔させることができて、騒音レベルを低減ないしは解消することができる。その結果、作業者の作業環境を向上させることができる。
【0045】
さらに、プレクリーナ12がグレンタンク10の上面より上方に位置すると、穀粒搬出用オーガ33を旋回させる際に、プレクリーナ12が穀粒搬出用オーガ33と衝突して、穀粒搬出用オーガ33を旋回させることができなくなってしまう。
【0046】
そこで、本実施形態におけるコンバインAは、図3に示すように、前記プレクリーナ12を、グレンタンク10の上面と同等ないしはそれよりも下方に位置するようにした。また、脱穀部4の上面よりも上方に位置するようにした。
【0047】
このように、プレクリーナ12を、グレンタンク10の上面と同等ないしはそれよりも下方に位置させているので、グレンタンク10に接続した穀粒搬出用オーガ33を旋回させる際に、プレクリーナ12が支障となることがない。しかも、プレクリーナ12を、脱穀部4の上面よりも上方に位置させて配置しているため、同脱穀部4に内側縁部(右側縁部)を支点として外側縁部(左側縁部)を上下方向へ開閉自在とした天井部開閉体43が設けられている場合でも、同天井部開閉体43の開閉作動に支障とならないようにすることができる。なお、44は、穀粒搬出用オーガ33の下降を規制し、プレクリーナ12との干渉を防止する干渉防止用ガードである。
【0048】
また、プレクリーナ12は脱穀部4とグレンタンク10との間に配置し、吸気レゾネータ13は運転部8とグレンタンク10との間に配置している。よって、運転部8とグレンタンク10との間に配置した吸気レゾネータ13と、グレンタンク10と脱穀部4との間に配設したプレクリーナ12との間に介設している外気導入パイプ29の長さ(吸気流路長)を大きく確保することができるため、吸気流路長によっても消音効果を向上させることができる。
【0049】
一方、図3に示すように、排気導出管34を、エンジンEの排気口部18から上方へ伸延させて、エンジンEの上方に配置された排気サイレンサ19に連通連設している。また、排気管であるテールパイプ30を、前記排気サイレンサ19から後上方へ伸延させている。
【0050】
テールパイプ30は、図3〜図5に示すように、側面視して、前記排気サイレンサ19から吸気レゾネータ13の左側方位置まで上方に立ち上げて、中途部から脱穀部4とグレンタンク10との間を、脱穀部4よりも高位置で、グレンタンク10よりも低位置にて後方に伸延させている。
【0051】
そして、脱穀部4の前部上方にテールパイプ30の終端開口部(排気口)39を配置すると共に後上方へ向けて開口させている。38は、テールパイプ30の所要箇所を脱穀部4に固定しているブラケット等の固定具である。このようにして、エンジンEからの排気を、排気サイレンサ19を通して、テールパイプ30の終端開口部39から後上方へ向けて排出するようにしている。
【0052】
そのような構成において、前記遮蔽体40は、左側端部41(内側端部)を左側方(内側方)に延設している。すなわち、図4および図5に示すように、遮蔽体40は、左側端部41を吸気レゾネータ13の左側壁42よりも左側方へ張り出し状となすと共に、同左側端部41を、エンジンE側に近いテールパイプ30の中途部の上方に配置している。
【0053】
これにより、遮蔽体40は、エンジンE側に近いテールパイプ30の中途部を部分的に遮蔽することとなり、運転部8に近接するテールパイプ30の一部を直上方から遮蔽することとなる。さらに、テールパイプ30は、その中途部から脱穀部4とグレンタンク10との間を、脱穀部4よりも高位置で、グレンタンク10よりも低位置にて後方に伸延させている。そのため、テールパイプ30の終端開口部(排気口)は、運転部8に着座している作業者から離隔する方向に配置されることとなり、作業者への排気音や排気熱の悪影響を軽減することができる。
【0054】
このようにして、内側方に延設した遮蔽体40の内側端部により、運転部8に近接するテールパイプ30の個所の直上方を遮蔽して、高温状態であるテールパイプ30のその個所に作業者の手等が誤って触れないようにすることができる。従って、遮蔽体40を安全カバーとしても機能させることができる。
【0055】
そして、プレクリーナ12の対面する遮蔽体40の背面(図3に示すY側)に吸音材を貼付している。吸音材は、前記のようにエンジンから生起されるエンジン音を吸収するとともに、プレクリーナ12で生起される吸気音を吸収する。このようにして、遮蔽体40背面(図3に示すY側)の吸音材により、運転部8の作業者の耳に入ってくるプレクリーナ12の吸気音を消音させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】この発明の実施の形態におけるコンバインの全体構成を示す側面図である。
【図2】この発明の実施の形態におけるコンバインの全体構成を示す平面図である。
【図3】この発明の実施の形態におけるコンバインの吸気機構および排気機構を示す側面図である。
【図4】この発明の実施の形態におけるコンバインの吸気機構および排気機構を示す平面図である。
【図5】この発明の実施の形態におけるコンバインの吸気機構および排気機構を示す背面図である。
【符号の説明】
【0057】
A コンバイン、
4 脱穀部、
7 原動機部、
8 運転部、
9 穀粒貯留部、
10 グレンタンク、
12 プレクリーナ、
13 吸気レゾネータ
40 遮蔽体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原動機部の上方に運転部を配設し、同運転部の後方に穀粒貯留部を配設して、同穀粒貯留部の側方に脱穀部を配設したコンバインにおいて、
原動機部から伸延する吸気流路の吸気始端部を、穀粒貯留部と脱穀部との間に配設したことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
吸気流路の吸気始端部は、穀粒貯留部の上面と同等ないしはそれよりも下方に位置させると共に、脱穀部の上面よりも上方に位置させて配置したことを特徴とする請求項1記載のコンバイン。
【請求項3】
吸気流路の中途部に消音器を設けると共に、同消音器を運転部と穀粒貯留部との間に配置したことを特徴とする請求項1又は2記載のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−153478(P2009−153478A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−337094(P2007−337094)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】