説明

コンバイン

【課題】枕刈りや斜め刈り作業中に扱深搬送装置が深扱ぎ方向に作動制御された状態から通常の刈取り作業状態に移行する時、多量の穀稈が深扱ぎ状態で扱室に供給されて発生する脱穀不良や、脱穀された後の排藁の姿勢変動による排藁搬送装置とカッタ装置で発生する排藁の詰まり等の防止を図る。
【解決手段】刈取り穀稈の稈量を検出する稈量検出手段62a,62bを前処理部2の穀稈搬送経路中に設け、前記稈量検出手段62a,62bが少量の刈取り穀稈を検出した時は、扱深制御手段22による扱深搬送装置21の作動制御を浅扱ぎ方向にのみ実行するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱穀装置に供給する穀稈を適正な扱ぎ深さに調節する扱深搬送装置を備えたコンバインに関し、詳しくは、扱深搬送装置の作動制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のコンバインでは、前処理部(刈取部)で刈取った穀稈の穂先位置を検出センサ(穂先センサ)で検出し、この検出センサで検出した穀稈の穂先位置に基づき扱深搬送装置(扱深搬送体)によって穀稈を扱深さ調節しながら脱穀フィードチェンに継送すると共に、当該穀稈を脱穀装置(脱穀部)において適正な扱深さで脱穀処理できるように構成したものが一般的に知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−127142号公報(第2頁、図1−図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、台形圃場等の変形した圃場において、その枕刈りや斜め刈り作業を、例えば3条刈りコンバインの左側1条で行う場合は、通常の刈取り作業に比べて搬送される穀稈の稈量が極めて少なくなるので、このように搬送される稈量が極めて少ない穀稈の穂先を稈長検出センサ(穂先センサ)によって的確に検出することは困難であり、それにより扱深搬送装置の作動制御は必然的に深扱ぎ方向に制御される。
【0004】
したがって、上述の如く枕刈りや斜め刈り作業中に扱深搬送装置が深扱ぎ方向に作動制御された状態から通常の刈取り作業状態に移行する時、即ち搬送される穀稈の稈量が極めて少ない状態から多い状態に移行する直後は、扱深搬送装置が極端な深扱ぎ状態のままであり、多量の穀稈が深扱ぎ状態で扱室に供給されるから、穀稈の穂先側が折れ曲がって脱穀時に穂切れが発生したり、脱穀された後の排藁の搬送姿勢が乱れ易く、この排藁を後送する排藁搬送装置の排藁搬送チェンに対して排藁の搬送姿勢が略々平行になったりすると、前記排藁チェンの終端部に排藁が巻き上げられて詰まりが発生したり、排藁搬送装置後方のカッタ装置において排藁の詰まりが発生するといった不具合を有していた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決することを目的として創案したものであって、刈取り穀稈の穂先位置を検出する検出センサを設け、該検出センサの検出する穀稈の穂先位置に基づき扱深搬送装置を自動的に作動させて、脱穀装置に供給する穀稈を適正な扱ぎ深さに調節する扱深制御手段を備えたコンバインにおいて、前記刈取り穀稈の稈量を検出する稈量検出手段を前処理部の穀稈搬送経路中に設け、前記稈量検出手段が少量の刈取り穀稈を検出した時は、前記扱深制御手段による扱深搬送装置の作動制御を浅扱ぎ方向にのみ実行するように構成したことを第1の特徴としている。
そして、前記稈量検出手段が、コンバインの前進方向に対する左側1条分の刈取り穀稈の稈量を検出することを第2の特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、刈取り穀稈の稈量を検出する稈量検出手段を前処理部の穀稈搬送経路中に設け、前記稈量検出手段が少量の刈取り穀稈を検出した時は、前記扱深制御手段による扱深搬送装置の作動制御を浅扱ぎ方向にのみ実行するように構成したことによって、例えば、台形圃場等の変形した圃場において、その枕刈りや斜め刈り作業を1条刈りまたは2条刈りで行なう場合のように、通常の刈取り作業に比べて稈量が極めて少なくなると、前記扱深制御手段による扱深搬送装置の作動制御を浅扱ぎ方向にのみ実行するので、上述の枕刈りや斜め刈り作業中に通常の刈取り作業状態に移行する場合の扱深搬送装置の作動制御に応答遅れが起こらず、それにより搬送される穀稈の稈量が極めて少ない状態から多い状態に移行する直後であっても、従来のように扱深搬送装置が極端な深扱ぎ状態のままで多量の穀稈が扱室に供給されることはなく、穀稈の穂先側が折れ曲がって脱穀時に発生する穂切れ、脱穀された後の排藁の搬送姿勢の乱れ、この排藁を後送する排藁搬送装置の終端部に排藁が巻き上げられて発生する詰まり、更には排藁搬送装置後方のカッタ装置で発生する排藁の詰まりを防止できるようになる。
そして、請求項2の発明によれば、前記稈量検出手段が、コンバインの前進方向に対する左側1条分の刈取り穀稈の稈量を検出することによって、コンバインの前進方向に対する左側1条分の穀稈を精度よく検出することができる。即ち、台形圃場等の変形した圃場において、3条刈りコンバインで枕刈りや斜め刈り作業を1条刈りで行なう場合であっても、通常の刈取り作業に比べて稈量が極めて少ない穀稈を精度よく検出することができ、安定した扱深制御が行えるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明を適用する一部を破断した3条刈りコンバイン1の側面図であり、また図2及び図3は、一部を省略した前処理部2の側面図と平面図であって、コンバイン1は、クローラ3を掛け回した左右一対のクローラ走行装置4L,4Rに機体フレーム5を支持すると共に、図1にA矢印で示すように機体フレーム5の前部に前処理部2を昇降自在に連結している。
【0008】
更に詳しく説明すると、前処理部2のフレームを兼ねる前低後高状に配置した縦伝動筒6の基部(上端)には、横伝動筒7が連結してあり、この横伝動筒7を、機体フレーム5の前部に立設した支持フレーム8に回動自在に支承すると共に、縦伝動筒6の下面と機体フレーム5との間に油圧シリンダ9を介装し、この油圧シリンダ9を伸縮作動させることによって横伝動筒7を回動中心とする前処理部2の昇降を可能にしている。
【0009】
また、前処理部2の下部には、機体前方に向けて分草体支持フレーム11を延設してあり、この分草体支持フレーム11の先端に未刈り穀稈を分草しながら前処理部2に導入する分草体12を設けている。そして、前処理部2の前部には、分草体12により導入された穀稈を引き起こす引起装置13を立設している。
【0010】
更に、前処理部2の下部には、引起装置13により引き起されて起立状態となった穀稈の株元を掻き込む株元掻込装置14(14a,14b,14c)を備えると共に、この株元掻込装置14により掻き込まれた穀稈の株元を切断する摺動式の刈刃装置15を分草体支持フレーム11の下側に配設している。
【0011】
そして、刈刃装置15により切断された穀稈を後方の合流部M(図3参照)に向けて搬送する株元側搬送装置16(16a,16b)及び穂先側搬送装置17(17a,17b)と、前記合流部Mで合流した後の穀稈の穂先位置を検出する穂先センサ(検出センサ)18を設けると共に、この穂先センサ18で検出した穀稈の穂先位置に基づいて脱穀装置19に供給する穀稈を適正な扱ぎ深さに調節する扱深搬送装置21と、該扱深搬送装置21の作動を自動制御する後述の扱深制御手段22(図4参照)を備えている。
【0012】
前記扱深搬送装置21により扱ぎ深さ調節された穀稈は、その株元が、脱穀装置19を構成する扱室23の側方に張設した脱穀フィードチェン24と、この脱穀フィードチェン24の上側に沿って配置した挟扼レール25に引継がれ、該挟扼レール25と脱穀フィードチェン24によって挟持されながら扱室23内に供給される。
【0013】
そして、扱室23内に供給された穀稈は、複数の扱歯26a,・・を外周に突設して回転駆動する扱胴26によって脱穀処理がなされると共に、扱室23の下方に備える揺動選別体27等を介して穀粒の選別処理がなされ、このように脱穀及び選別処理がなされた穀粒は、図示しない揚穀筒により揚上搬送されて穀粒タンク28に一時的に貯留される。
【0014】
上述の如く脱穀装置19により脱穀された後の排藁は、排藁搬送装置29を介して機体後部のカッタ装置31に後送され、該カッタ装置31によって切断処理がなされる。そして、穀粒タンク28内に一時的に貯留された穀粒は、穀粒排出オーガ32を介して機外へ搬出される。尚、脱穀装置19を機体フレーム5の左側前部に配設する一方、機体フレーム5の右側前部には、図示しない操作具や運転席33を備えた操縦部34を配設し、更にその後方に穀粒タンク28と排藁搬送装置29を設けている。
【0015】
また、上述した株元掻込装置14(14a,14b,14c)は、分草体支持フレーム11に支持したスターホイール36と、このスターホイール36と同軸状に軸支した駆動プーリ37と、その前方の従動プーリ38との間に巻回された搬送ベルト39とを有し、該搬送ベルト39には、複数の掻込みタイン39aを所定の間隔を存して配設している。
【0016】
そして、スターホイール36の上方には、刈刃装置15により切断された穀稈の株元を後方の合流部M、即ち扱深搬送装置21の搬送始端位置に向けて搬送(受継)する株元側搬送装置16である株元搬送チェン16a,16bを配置すると共に、この搬送チェン16a,16bの上方に該株元搬送チェン16a,16bに対応する穂先側搬送装置17である穂先搬送タイン17a,17bとを設けている。尚、両穂先搬送タイン17a,17bには、複数の搬送タイン17cを所定の間隔を存して配設している。
【0017】
また、扱深搬送装置21は、上述した合流部Mと脱穀フィードチェン24の搬送始端部との中間において、前低後高の傾斜姿勢で配設してあり、搬送タイン41aを有する搬送ベルト41を巻回した穂先搬送体42と、株元搬送チェン43を巻回した株元搬送体44を有し、これら穂先搬送体42と株元搬送体44とを上下に離間して並設している。尚、株元搬送チエン43に沿って挟持レール45を配設している。
【0018】
更に詳しく説明すると、扱深搬送装置21は、図3に示すように、機体の進行方向に対する右側の株元掻込装置14cの上方に、該株元掻込装置14cと略平行する穂先搬送タイン17bを穂先搬送体42と一体的に設けてあり、機体前方から後方に向けて図中にB矢印で示す方向に略々一直線状の穀稈の搬送経路を形成している。
【0019】
また、機体の中央及び機体の進行方向に対する左側の株元掻込装置14b,14aの上方に位置する穂先搬送タイン17aは、略逆U字状に屈曲形成した動力伝動ケース46の先端に配設している。この動力伝動ケース46には、穂先搬送タイン17a駆動させる駆動軸47を内装しており、穂先搬送体42側から穂先搬送タイン17a側に向けて穀稈の搬送経路の上方を跨ぐように屈曲形成されている。
【0020】
前記動力伝動ケース46は、複数の中空パイプ46a,46b,46cの接続部位にギヤケース49a,49bを介装することによって、扱深搬送装置21の上方を跨ぐように略逆U字状に屈曲形成されている。そして、ギヤケース49bの側方には、下方に延出する支持部材51を取付けたブラケット52を取り付けている。また、前記支持部材51の下端側には、ブラケット53を介して挟持レール54を取り付けている。
【0021】
更に、ブラケット52には、刈取り穀稈の有無、即ち合流部Mで合流した後の穀稈の穂先位置を検出する穂先センサ18を位置調節自在に取り付けてあり、該穂先センサ18に刈取り穀稈の穂先側が当接して稈長が検出され、この穂先センサ18で検出した穀稈の穂先位置に基づいて、扱深制御手段22を介して扱深搬送装置21の作動制御がなされ、それにより脱穀装置19に供給する穀稈を適正な扱ぎ深さに調節することができる。即ち、扱深搬送装置21は、前処理部2のフレームを兼ねる横伝動筒7の左端側において、駆動ケース56を介して回動自在に支持されと共に、アクチュエータである扱深電動シリンダ57の伸縮作動に伴って横伝動筒7周りに回動する。
【0022】
ところで、本発明の3条刈りコンバイン1は、上述した扱深搬送装置21の作動を制御する扱深制御手段として、図4に示すようなマイクロコンピュータ(CPU、ROM、RAM等を含む)を用いて構成される制御部22を設けている。この制御部22の入力側には、合流部Mで合流した後の穀稈の穂先位置を検出する穂先センサ18である短稈検出用の第1穂先センサ18aと長稈検出用の第2穂先センサ18b、穀稈搬送経路を通過する穀稈の株元を検出することによって扱深自動制御の開始条件となす扱深メインセンサ61、コンバイン1の前進方向に対する左側1条分の刈取り穀稈を検出すべく、当該コンバイン1の前進方向左側に備える一対の株元掻込装置14a,14bの近傍に設けた左右の穀稈検出センサ62a,62bを所定の入力インタフェース回路を介して接続している。一方、制御部22の出力側には、扱深搬送装置21を作動させる扱深電動シリンダ57を所定の出力インタフェース回路を介して接続している。
【0023】
そして、図5は、上述した扱深搬送装置21の作動を制御する扱深制御手段(制御部)22を介して実行する扱深自動制御を示すフローチャートであって、以下このフローチャートに基づいて扱深自動制御を説明する。
【0024】
先ずステップS1では、扱深メインセンサ61が穀稈搬送経路を通過する穀稈の株元を検出して入り(ON)状態にあるか、あるいは切り(OFF)状態にあるかを判断し、扱深メインセンサ61が切り状態にあればステップS2に進んで扱深電動シリンダ57の作動を停止させる。一方、扱深メインセンサ61が入り状態、即ち刈取り作業を開始して穀稈搬送経路を通過する穀稈の株元が検出されると、扱深自動制御の開始条件が満たされてステップS3に進む。
【0025】
ステップS3では、合流部Mで合流した後の穀稈の穂先位置を検出する短稈検出用の第1穂先センサ18aが入り(ON)状態にあるか、あるいは切り(OFF)状態にあるかを判断し、短稈検出用の第1穂先センサ18aが切り状態、即ち刈取れた穀稈が短稈に相当すればステップS4に進み、短稈検出用の第1穂先センサ18aが入り状態で刈取れた穀稈が適正稈長または長稈に相当すればステップS5に進む。
【0026】
ステップS4では、コンバイン1の前進方向左側に備える一対の株元掻込装置14a,14bの近傍に設けた左右の穀稈検出センサ62a,62bのうち、左側の穀稈検出センサ62aが入り(ON)状態にあるか、あるいは切り(OFF)状態にあるかを判断する。即ち、左側の穀稈検出センサ62aは、コンバイン1の左側1条分の刈取り穀稈を検出する稈量検出手段であって、左側の穀稈検出センサ62aが切り状態にあればステップS6に進んで扱深電動シリンダ57を伸作動させる深扱ぎ制御を実行する。一方、左側の穀稈検出センサ62aが入り状態でコンバイン1の左側1条分の刈取り穀稈を検出したならばステップS7に進む。
【0027】
ステップS7では、コンバイン1の前進方向左側に備える一対の株元掻込装置14a,14bの近傍に設けた左右の穀稈検出センサ62a,62bのうち、右側の穀稈検出センサ62bが入り(ON)状態にあるか、あるいは切り(OFF)状態にあるかを判断する。即ち、右側の穀稈検出センサ62bは、コンバイン1の左側2条分の刈取り穀稈を検出する稈量検出手段であって、右側の穀稈検出センサ62bが入り状態でコンバイン1の左側2条分の刈取り穀稈を検出したならば、ステップS6に進んで扱深電動シリンダ57を伸作動させる深扱ぎ制御を実行する。一方、右側の穀稈検出センサ62bが切り状態でコンバイン1の左側2条分の刈取り穀稈を検出しなければステップS8に進んで扱深電動シリンダ57の作動を停止させる。
【0028】
更に詳しく説明すると、上述したステップS3→ステップS4→ステップS7→ステップS8へと連続する制御は、扱深搬送装置21への搬送経路中に設けた左右の穀稈検出センサ62a,62bによって、コンバイン1の左側1条分の刈取り穀稈、即ち少量の刈取り穀稈を検出した時、扱深制御手段22による扱深搬送装置21の作動制御を浅扱ぎ方向にのみ実行する(換言すると深扱ぎ方向への作動制御を禁止する)ように構成したものである。
【0029】
また、ステップS5では、合流部Mで合流した後の穀稈の穂先位置を検出する長稈検出用の第2穂先センサ18bが入り(ON)状態にあるか、あるいは切り(OFF)状態にあるかを判断し、長稈検出用の第2穂先センサ18bが切り状態、即ち刈取れた穀稈が適正稈長であればステップS8に進んで扱深電動シリンダ57の作動を停止させる。一方、長稈検出用の第2穂先センサ18bが入り状態にあればステップS9に進み、このステップS9では、扱深電動シリンダ57を縮作動させる浅扱ぎ制御を実行するといった一連の扱深自動制御を実行できるように構成している。
【0030】
尚、図6は、一部を省略した4条刈りコンバイン1の正面図であって、4条刈りのコンバイン1の場合は、刈刃装置15により切断される穀稈が、株元側搬送装置16(16a,16b)及び穂先側搬送装置17(17a,17b)により後送されて合流する合流部Mの近傍に左右の穀稈検出センサ62a,62bを設けることによって、この4条刈りのコンバイン1でも上述した3条刈りのコンバイン1と同様な扱深自動制御(図5に示すフローチャート)を実行可能であり、この場合は、コンバイン1の前進方向左側に備える一対の株元掻込装置14により掻き込まれる左側2条分の穀稈を、前記左側の穀稈検出センサ62aで検出し、一方、コンバイン1の前進方向右側に備える一対の株元掻込装置14により掻き込まれる右側2条分の穀稈を、前記右側の穀稈検出センサ62bで検出できるように構成している。
【0031】
以上説明した扱深制御手段(制御部)22を介して実行する扱深自動制御は、コンバイン1の前進方向に対する左側1条、またはコンバイン1の前進方向に対する左側2条分の刈取り穀稈を検出可能な稈量検出センサとして、前処理部2の穀稈搬送経路中に穀稈検出センサ62a,62bを設け、この穀稈検出センサ62a,62bが少量の刈取り穀稈を検出した時は、前記扱深制御手段22による扱深搬送装置21の作動制御を浅扱ぎ方向にのみ実行するように構成してあり、例えば、台形圃場等の変形した圃場において、その枕刈りや斜め刈り作業を1条刈りまたは2条刈りで行なう場合のように、通常の刈取り作業に比べて稈量が極めて少なくなると、前記扱深制御手段22による扱深搬送装置21の作動制御を浅扱ぎ方向にのみ実行するので、上述の枕刈りや斜め刈り作業中に通常の刈取り作業状態に移行する場合の扱深搬送装置21の作動制御に応答遅れが起こらず、それにより搬送される穀稈の稈量が極めて少ない状態から多い状態に移行する直後であっても、従来のように扱深搬送装置21が極端な深扱ぎ状態のままで多量の穀稈が扱室23に供給されることはなく、穀稈の穂先側が折れ曲がって脱穀時に発生する穂切れ、脱穀された後の排藁の搬送姿勢の乱れ、この排藁を後送する排藁搬送装置29の終端部に排藁が巻き上げられて発生する詰まり、更には排藁搬送装置29後方のカッタ装置31で発生する排藁の詰まりを防止できるようになる。
【0032】
そして、コンバイン1の前進方向左側に備える一対の株元掻込装置14a,14bの近傍、または刈刃装置15により切断された穀稈が株元側搬送装置16及び穂先側搬送装置17により後方に搬送されて合流する合流部Mの近傍に、刈取り穀稈を検出可能な稈量検出センサとして穀稈検出センサ62a,62bを設けたことによって、コンバイン1の前進方向に対する左側1条、またはコンバイン1の前進方向に対する左側2条の刈取り穀稈を精度よく検出することができる。即ち、台形圃場等の変形した圃場において、3条刈りのコンバイン1で枕刈りや斜め刈り作業を1条刈りで行なう場合や、4条刈りのコンバイン1で枕刈りや斜め刈り作業を2条刈りで行なう場合であっても、通常の刈取り作業に比べて稈量が極めて少ない穀稈を精度よく検出することができ、安定した扱深自動制御が行えるようになる。尚、上述した穀稈検出センサ62a,62bに換えて扱深搬送装置21への搬送経路中における刈取り穀稈の層厚を検知可能な層厚センサを設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】一部を破断した3条刈りのコンバインの側面図。
【図2】一部を省略した前処理部の側面図。
【図3】前処理部の要部平面図。
【図4】制御部のブロック図。
【図5】扱深自動制御を示すフローチャート。
【図6】一部を省略した4条刈りのコンバインの正面図。
【符号の説明】
【0034】
18 検出センサ(穂先センサ)
19 脱穀装置
21 扱深搬送装置
22 扱深制御手段
62a 穀稈検出センサ(左側)
62b 穀稈検出センサ(右側)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
刈取り穀稈の穂先位置を検出する検出センサ(18)を設け、該検出センサ(18)の検出する穀稈の穂先位置に基づき扱深搬送装置(21)を自動的に作動させて、脱穀装置(19)に供給する穀稈を適正な扱ぎ深さに調節する扱深制御手段(22)を備えたコンバインにおいて、前記刈取り穀稈の稈量を検出する稈量検出手段(62a,62b)を前処理部(2)の穀稈搬送経路中に設け、前記稈量検出手段(62a,62b)が少量の刈取り穀稈を検出した時は、前記扱深制御手段(22)による扱深搬送装置(21)の作動制御を浅扱ぎ方向にのみ実行するように構成したことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記稈量検出手段(62a,62b)が、コンバインの前進方向に対する左側1条分の刈取り穀稈の稈量を検出することを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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