説明

コンバイン

【課題】 本発明の課題は、運転席より外側方に幅広く張り出して設けた刈取部の背部に注油タンクを設置することにより、注油タンクの着脱やメンテナンスが容易に行えるようにする。
【解決手段】 本発明は、車体上に搭載する脱穀部(3)と運転席(5)や操作ボックス(6)などからなる運転操作部を左右に並設し、脱穀部と運転操作部の前側に配設する刈取部(4)を運転操作部よりも外側方に幅広く張り出して設け、該刈取部(4)の張出し部(4A)の背部にはコンバイン各部の注油箇所に注油する注油タンク(15)を設置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、立毛穀稈を刈り取って脱穀するコンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コンバインの機体各部に注油する注油タンクは、穀稈を引き起す引起し装置(引起しケース)の背部下方に設置されたものが多く、該引起しケースの上端側に支持された注油レバーの操作でポンプを駆動し、注油タンク内の潤滑油を各部の注油箇所に注油するようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−240174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
先行技術のものでは、注油タンクが引起しケースの背部に設置されたものであるため、潤滑油の補給や注油タンクの着脱、清掃等、また、注油ポンプのメンテナンス時においても刈取部の外側を覆うサイドカバーをいちいち取り外さなければならず、また、この後側に接近するフロント操作ボックスとの狭い空間内での作業となり、能率低下を招く問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
【0006】
すなわち、請求項1記載の発明は、脱穀部(3)と運転席(5)及び操作ボックス(6)を備えた運転操作部(7a)とを車体上に左右に並設し、脱穀部(3)と運転操作部(7a)の前側に刈取部(4)を配置し、該刈取部(4)の左右一側に運転操作部(7a)よりも外側方に張り出す張出し部(4A)を設け、該張出し部(4A)の後部に、機体各部の注油箇所に注油する潤滑油を貯留するための注油タンク(15)を設置したことを特徴とするコンバインとする。
【0007】
注油タンク(15)内の潤滑油は、注油ポンプの駆動操作によりコンバインの機体各部の注油箇所に注油される。
【0008】
注油タンク(15)は、車体幅より既刈地側の外側方に大きく張り出した刈取部(4)の張出し部(4A)の後部に配置するものであり、該注油タンク(15)の設置箇所の後方が大きく開放されることになるので、注油タンク(15)内への潤滑油の補給や注油タンク(15)内外の清掃、着脱等の作業が刈取部(4)のサイドカバーを取り外さなくとも広い空間内で容易に行える。
【0009】
請求項2記載の発明は、前記注油タンク(15)に連通する注油ポンプ(16)の注油操作レバー(17)を、運転操作部(7a)から手の届く範囲内に配置したことを特徴とする請求項1記載のコンバインとする。
【0010】
注油操作レバー(17)の操作で、注油ポンプ(16)を駆動し注油タンク(15)内の潤滑油を圧送して刈刃や引起し部の適所に注油する。
【0011】
注油操作レバー(17)は、運転操作部(7a)から手の届く範囲内に配置されているので、運転者は運転操作部(7a)から乗り降りすることなく楽な姿勢で気軽に操作することができる。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明によれば、注油タンク(15)は、運転操作部(7a)よりも既刈地側の外側方に大きく張り出した刈取部(4)の張出し部(4A)の後部に設置するものであるため、該注油タンク(15)の設置箇所の後方が大きく開放され、注油タンク(15)内への潤滑油の補給や注油タンク(15)内外の清掃、着脱等の作業が刈取部(4)のサイドカバーを取り外さなくとも広い空間内で簡単容易に行うことができ、作業能率を高めることができる。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、上記請求項1の発明効果を奏するものでありながら、注油ポンプ(16)を駆動操作する注油操作レバー(17)が運転操作部(7a)から手の届く範囲内に配置されているので、運転者は運転操作部(7a)から乗り降りすることなく常に楽な姿勢で気軽に操作することができ、操作性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】コンバインの側面図
【図2】コンバインの正面図
【図3】コンバインの平面図
【図4】コンバインの要部の斜視図
【図5】同上要部の斜視図
【図6】刈取部の掻込搬送部の平面図
【図7】同上要部の側面図
【図8】穂先搬送装置の平面図
【図9】同上要部の側面図。
【図10】ナローガイド操作機構の一部を示す斜視図
【図11】油圧配管構成を示す要部の側面図
【図12】モータクラッチ構造を示す要部の側面図
【図13】同上要部の平面図
【図14】刈取テンション構造を示す要部の側面図
【図15】同上要部の平面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
この発明の実施例を図面に基づき説明する。
【0016】
図1はコンバインの側面図、図2はコンバインの正面図を示すものであり、この走行車体1には、左右一対の走行クローラ2,2を備え、車体上に搭載した脱穀部3と、運転席5や操作ボックス6等からなる運転操作部を覆う運転キャビン7とを正面視で左右に並設し、前記脱穀部と運転キャビンの前側に刈取部4を設置し、更に、前記運転キャビンの後方には脱穀粒を一時的に貯留するグレンタンクGを装備している。
【0017】
刈取部4は、立毛する穀稈を左右に分草する分草体8と、分草後の穀稈を引き起す7条の穀稈引起し装置9と、引起し後の穀稈を刈り取る刈取装置10と、刈取後の穀稈を掻込搬送する掻込装置11と、掻込搬送後の穀稈を揚上搬送して後方の脱穀部に供給する刈取穀稈揚上搬送装置12等からなる。
【0018】
前記刈取部4の運転席5側端部は、該運転席5(運転キャビン7)位置よりも既刈地側外側方へ大きく張り出した構成になっており、そして、この刈取張出し部4Aの背部には刈取部や脱穀部への注油箇所に注油するための潤滑油を貯留する注油タンク15を設置している。注油タンク15は、刈取フレームに着脱自在に装着され、蓋15aを開けることによって潤滑油を補給することができ、吸油ホース18を介して注油ポンプ16に連通されている。なお、注油タンクの着脱時には、刈取部の外側部を覆うサイドカバー13を外すことなく刈取部の背面側から簡単に着脱することができる。
【0019】
前記注油ポンプ16は、注油操作レバー17の操作によって駆動されるように連動連結されており、注油ホース19を通じて引起し装置9や刈取装置10、搬送装置12等への各注油箇所に注油すべく構成されている。また、注油操作レバー17は、運転席5側から手の届く範囲内で、刈取部背面の右側上部に配置されている。
【0020】
図6及び図7に示す構成例について説明する。掻込装置11の掻込ベルト11a,11aに沿わせて上、中、下3本のガイド体22,23,24を設けた構成のものにおいて、中ガイド体23は、この始端側作用箇所を上ガイド体22よりも前方に配置し、終端側作用箇所においても上ガイド体22よりも前方に位置するよう配置した構成としている。以上のように、上ガイド体と中ガイド体の作用位置をずらすことで、掻込ベルトとの協同作用によって前方の穀稈を確実にキャッチングすることができる。
【0021】
図8、図9に示す実施例では、刈取穀稈揚上搬送装置12の穂先係止搬送装置25において、穂先搬送チエン25aの注油の配管(注油ホース19)を穂先搬送ケース25bの下側から通し、穂先搬送チエン25aの内側から注油するように注油ノズル20を臨ませた構成としてる。注油ホース19が穂先搬送ケース25aの下側を通るので、穂先搬送カバー25c上には藁屑や籾が溜まりにくくなる。
【0022】
図10に示す実施例は、コンバインの電動式ナローガイドにおいて、ナローガイド26のギヤケース部27にプッシュスイッチ28を設け、ナローガイド26の最収納時にプッシュスイッチ28を押す押圧プレート29をナローガイドの伸縮バー30に設けた構成としている。また、プッシュスイッチのオンオフは、操作ボックス上パネルのモニタに表示するようにし、路上走行状態の時、ナローガイドが収納されていない場合には、そのモニタで作業者に警告するように構成している。これによれば、ナローガイドが収納位置にあるか否かは運転位置から容易に確認することができ、路上走行時、ナローガイドの収納忘れがなくなり、ナローガイドの破損を未然に防止することができる。
【0023】
図11に示す構成例は、コンバインのフロアステップの下部に油圧バルブ31、油圧フィルタ32を集中配置した構成のもので、フィルタ32と接続するサクション配管33をフィルタの上方部に配管し、その他のシリンダ配管34、ドレン配管35などはフィルタ32より下部に配管すべく上下方向に分離して油圧配管した構成としている。図中、36はオイルタンクを示す。油圧フィルタのサクション系の配管をフィルタより上方に配管することで、フィルタのカートリッジのメンテの妨げにならなくなり、交換が容易となる。また、配管を上下に分離することで、配管が整理され、組立、メンテ性が向上する。
【0024】
図12及び図13は、モータによりクラッチを操作するモータクラッチ構成を示すもので、モータ38と各出力部を共通のベースプレート39に設ける。モータ出力ギヤ40と出力ギヤ42との間にクラッチギヤ41を設け、クラッチギヤの軸方向の移動により伝動を入り切りする構成としている。そして、非常時には、クラッチギヤ41を操作し、クラッチを「入」にする際、支点超えする位置とする。その支点超え位置を保持する機能としては操作ワイヤー43のワイヤー取付部のピン44を利用し、ベースプレート39に形成された円弧状の長穴45端部に当てて保持する構成としている。図13中、ピン44の(イ)位置が通常「入」時で、(ロ)位置が非常時「入」時となる。かかる構成によれば、各ギヤに噛み合わせる必要がなく、非常時の操作が容易に行える。また、各ギヤ、モータへの負荷が軽減される。
【0025】
図14、図15に示す実施例は、刈取部を静油圧式無段変速装置(HST)にて駆動し、刈取部への出力ベルトを常時緊張状態にして伝動するコンバインの刈取伝動構成において、メンテナンス時にベルトテンションを容易に入り切りできるように構成したものである。要するに、刈取部への出力ベルト47を緊張することによってクラッチ「入」とし、該ベルトの緊張状態を緩めることによってクラッチ「切」とするテンション輪体48を備えたテンションアーム49とは別にテンション操作レバー50を設けると共に、テンションアーム49とテンション操作レバー50との間にはスプリング51とリンク機構52を介装して連動構成し、該スプリング51及びリンク機構52部は、伝動ケース53と脱穀部への脱穀伝動ベルト54との間に設けた構成としている。なお、前記出力ベルト47は伝動ケース53から突設する刈取出力軸55に巻回している。また、脱穀伝動ベルト54は、前記伝動ケースから突設する脱穀出力軸56に巻回すると共に、選別風を起風する唐箕軸を回転駆動する構成としている。
【0026】
上記構成により、刈取テンションアーム部とは別にテンション操作レバーを設けることで、操作レバーの位置が任意に選択できるようになり、操作荷重が軽く、操作がし易くなり、操作性が向上する。また、リンク機構により操作荷重が低減できると共に、操作時間も短縮できる。伝動ケースと脱穀伝動ベルトとの間のスペースを有効に利用でき、スプリングやリンク機構部をコンパクトに配置構成することができる。また、テンション操作レバーの操作部を脱穀伝動ベルトの外側に配置することによって操作性がより向上するものとなる。
【符号の説明】
【0027】
1 走行車体
3 脱穀部
4 刈取部
5 運転席
6 操作ボックス
7 運転キャビン
15 注油タンク
16 注油ポンプ
17 注油操作レバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱穀部(3)と運転席(5)及び操作ボックス(6)を備えた運転操作部(7a)とを車体上に左右に並設し、脱穀部(3)と運転操作部(7a)の前側に刈取部(4)を配置し、該刈取部(4)の左右一側に運転操作部(7a)よりも外側方に張り出す張出し部(4A)を設け、該張出し部(4A)の後部に、機体各部の注油箇所に注油する潤滑油を貯留するための注油タンク(15)を設置したことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記注油タンク(15)に連通する注油ポンプ(16)の注油操作レバー(17)を、運転操作部(7a)から手の届く範囲内に配置したことを特徴とする請求項1記載のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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