コンバイン
【課題】燃料タンクの容量を拡大して長時間の連続運転を可能とし、燃料の補給頻度を低下させて、作業能率を高める。
【解決手段】走行フレーム(1)上に脱穀装置(2)を搭載し、該脱穀装置(2)の揺動選別棚(3)の後端部に備えたストローラック(4)の後側に排塵口(5)を開口し、ストローラック(4)の左側上方に排塵ファン(6)を軸架し、該排塵ファン(6)に連通する排塵風路(7)を設け、該排塵風路(7)は、脱穀装置(2)の背面視において排塵口(5)の左側から中央側下方の地面に向けて斜めに形成し、走行フレーム(1)の後部に燃料タンク(8)を搭載し、該燃料タンク(8)の左側部を排塵口(5)の下方の前記排塵風路(7)に接近する位置に臨ませる。
【解決手段】走行フレーム(1)上に脱穀装置(2)を搭載し、該脱穀装置(2)の揺動選別棚(3)の後端部に備えたストローラック(4)の後側に排塵口(5)を開口し、ストローラック(4)の左側上方に排塵ファン(6)を軸架し、該排塵ファン(6)に連通する排塵風路(7)を設け、該排塵風路(7)は、脱穀装置(2)の背面視において排塵口(5)の左側から中央側下方の地面に向けて斜めに形成し、走行フレーム(1)の後部に燃料タンク(8)を搭載し、該燃料タンク(8)の左側部を排塵口(5)の下方の前記排塵風路(7)に接近する位置に臨ませる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンバインの走行フレーム上に搭載する燃料タンクに関する公知技術は、例えば特開2009−33978号公開特許公報(特許文献1参照)や特開2009−60801号公開公報(特許文献2参照)等によって公開されている。
【0003】
まず、特開2009−33978号公開特許公報に記載された発明は、
「脱穀部の後端下部に燃料タンクが設けられ、燃料供給用パイプが、排塵ガイド板の外側を迂回させ、途中部から屈曲させて起立姿勢に設けているので、排塵ファンからの排塵物の排出を妨げにくい。そして、排塵物は、燃料供給用パイプに絡み付いたり、排塵ガイド板上での流れが停滞して詰まったりすることが少なく、排塵処理作用を円滑に行うことができる。
【0004】
また、燃料の給油角度を大きく取ることができるので、燃料供給用パイプの給油口から給油作用が良好に行える。」
と記載されている。
【0005】
そして、特開2009−60801号公開公報に記載されている発明は、
「脱穀部の後方に燃料タンクを搭載しており、脱穀後部カバーを縦向きの支持軸を支点に側方に向けて回動させるので、作業者は、広く開放された側方から燃料補給タンクを支持しながら燃料供給口に近接させて燃料補給作業を楽な姿勢で能率よく行うことができる。」
と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−33978号公開特許公報
【特許文献2】特開2009−60801号公開特許公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来からコンバインは、前部に刈取装置と穀稈搬送装置とを支持し、限られたスペースの走行フレーム上に、エンジンと、脱穀装置と、グレンタンクと、運転操縦座席等の各装置を配置して搭載するから、走行フレーム上における燃料タンクの搭載スペースが制限され、それに伴い大きさ(タンク容量)もおのずから限定されている。このように、従来のコンバインに搭載されていた燃料タンクは、走行フレーム上の配置スペースの関係で、脱穀機とグレンタンクとの間の空間部分を利用して搭載するのが一般的で、グレンタンクの下面を構成する傾斜状の流穀板の下方にできる空間部を利用するのが普通の構成であった。
【0008】
したがって、従来の構成では、燃料タンクの容量、大きさが制限を受け、コンバインを長時間連続運転することができず、燃料補給の頻度が高くなる課題があった。
本件出願の発明は、タンク容量を大きくするために、走行フレームの後部右側に主要部を搭載した燃料タンクを、走行フレームの左側に搭載した脱穀装置の後部下方まで延長して形成し、排塵作用に影響を与えない範囲でタンク容量を拡大したものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、上記課題を解決するために、つぎの如き技術手段を講じている。
請求項1の発明は、走行フレーム(1)上に脱穀装置(2)を搭載し、該脱穀装置(2)の揺動選別棚(3)の後端部に備えたストローラック(4)の後側に排塵口(5)を開口し、前記ストローラック(4)の左側上方に排塵ファン(6)を軸架し、該排塵ファン(6)に連通する排塵風路(7)を設け、該排塵風路(7)は、前記脱穀装置(2)の背面視において排塵口(5)の左側から中央側下方の地面に向けて斜めに形成し、前記走行フレーム(1)の後部に燃料タンク(8)を搭載し、該燃料タンク(8)の左側部を排塵口(5)の下方の前記排塵風路(7)に接近する位置に臨ませたことを特徴とするコンバインとしたものである。
【0010】
燃料タンク(8)は、走行フレーム(1)の後部に搭載し、該燃料タンク(8)の左側部を脱穀装置(2)の排塵口(5)の下方の排塵風路(7)に接近する位置に臨ませ、タンク容量を拡大している。
【0011】
請求項2の発明は、前記揺動選別棚(3)の後端部に柔軟性素材からなる排塵物案内シール(9)を取り付け、該排塵物案内シール(9)を前記排塵口(5)から外に垂れ下げて燃料タンク(8)を覆って設け、該排塵物案内シール(9)は、背面視において、前記排塵風路(7)側となる左側縁(9a)を該排塵風路(7)に沿わせて斜め下方に裁断された形状とし、前記排塵口(5)から排塵された排塵物を、該排塵物案内シール(9)によって排塵風路(7)側に流下案内する構成としたことを特徴とする請求項1記載のコンバインとしたものである。
【0012】
脱穀装置(2)の背後下側に延長した燃料タンク(8)の左側部は、排塵物案内シール(9)によって覆われるから、排塵物や塵埃が燃料タンク(8)上に落下して蓄積する等の障害はほとんど起こらず、燃料タンク(8)の容量を増量している。そして、排塵口(5)から排塵された排塵物は、揺動運動している排塵物案内シール(9)上を流下しながら、燃料タンク(8)の膨らみ等も作用して、前記排塵風路(7)側に流下案内され、排塵風を受けて効果的に拡散されながら排塵されることになる。
【0013】
このように、請求項2の発明は、前記排塵物案内シール(9)が、排塵口(5)から排塵された排塵物を上面に載せた状態で、上述のように、揺動選別棚(3)と一体に揺動しながら載置している排塵物を燃料タンク(8)の上方側から、排塵風路(7)側に流下案内することによって排塵物を合流させながら排塵風の作用を受ける位置に達して地面側に強制的に排塵することができる。
【0014】
つぎに、請求項3の発明は、前記燃料タンク(8)を左右方向に長く形成し、背面視において、前記排塵風路(7)に接近する位置に臨ませた燃料タンク(8)の左側部を、該排塵風路(7)に沿う傾斜面(8a)に形成したことを特徴とする請求項1記載のコンバインとしたものである。
【0015】
燃料タンク(8)は、排塵風路(7)の近くまで延長して、その排塵風路(7)に最も接近した部位では、排塵風路(7)に沿わせて傾斜面(8a)を形成し、排塵風の流れを阻害しない範囲で最大に大きくして容量を増やすことが出来た。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載の発明によると、燃料タンク(8)を走行フレーム(1)の後部に搭載し、該燃料タンク(8)の左側部を排塵口(5)の下方の排塵風路(7)に接近する位置に臨ませることによって、燃料タンク(8)の容量を大幅に拡大できる。したがって、従来の構成に比較して、燃料タンク(8)の容量を大きくできたことによってコンバインを長時間連続運転することが可能となり、燃料補給の頻度を少なくして作業能率を向上させることができる。
【0017】
請求項2記載の発明によると、脱穀装置(2)の背後下側にまで延長した燃料タンク(8)の左部分を、排塵物案内シール(9)によって覆わせているから、排塵物が燃料タンク(8)上に直接落下することが避けられ、燃料タンク(8)の上に蓄積する等の障害も起こらず、タンク容量を増量できる。
【0018】
そして、前記排塵物案内シール(9)は、上側の排塵口(5)から排塵された排塵物を上面に載せた状態で、揺動選別棚(3)と一体に揺動しながら燃料タンク(8)の上方側から、左の排塵風路(7)側に流下案内し、その排塵物を前記排塵風路(7)側に合流させ、排塵風の作用を受ける位置に流下させて拡散させながら、斜め下方の地面に強制的に排塵することができる。
【0019】
請求項3記載の発明によると、燃料タンク(8)を、左側の排塵風路(7)の近くまで延長して、その排塵風路(7)に最も接近した左端の部位では、斜めの風路(7)に沿わせた傾斜面(8a)に形成し、排塵風の流れを阻害しない形状にして、風路に接近させて構成し、排塵物の拡散作用を阻害しない範囲で燃料タンク(8)を許される限り左側に伸ばし、該燃料タンク(8)の容量を拡大することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】脱穀装置と燃料タンクとの背面図
【図2】内部構成を示した脱穀装置の側面図
【図3】揺動選別棚を中心にして内部構成を示す脱穀装置の平面図
【図4】グレンタンクの斜面図
【図5】ネームプレートを外した状態のグレンタンクの斜面図
【図6】断面したグレンタンクの斜面図
【図7】グレンタンク支持部の斜面図、
【図8】グレンタンク支持部の斜面図
【図9】排藁カッターとグレンタンクとを支持した背面図
【図10】グレンタンクを支持した状態の側面図
【図11】グレンタンクと排藁カッターとの作用平面図
【図12】グレンタンクを脱穀装置に取付けた斜面図
【図13】図12のノブボルトと、2つの保持具とを分解して示す斜面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面に基づいてこの発明の実施例を具体的に説明する。
まず、脱穀装置2は、図1、及び図2に示すように、扱室13の扱ぎ口14に沿わせてフィードチエン15を設け、穀稈供給口16を前側に位置させ、塵埃等を排塵する排塵口5を後側に配置して走行フレーム1上に搭載している。そして、脱穀装置2は、上部の前記扱室13には扱胴17を軸架し、前述の通り長手方向に前記扱ぎ口14を設けて供給される穀稈を、扱胴17によって脱穀する構成とし、その下側に選別室18を配置した構成としている。そして、選別室18は、図面に示すように、上側に揺動選別棚3を揺動自由に吊持し、その下側に、選別方向の上手側から、圧風唐箕20、一番移送螺旋21、二番移送螺旋22の順に配置して軸装し、選別室18内に選別風を吹き込みながら揺動選別と風選作用とを行なう構成となっている。なお、前記揺動選別棚3は、図2及び図3に示すように、上手側から順に、移送棚24、チャフシーブ25、そして、棚先側にストローラック4を配置して構成し、選別風の作用を受けながら揺動して脱穀物の選別作用を行う構成としている。
【0022】
そして、排塵ファン6は、図面に示すように、前記選別室18の先端側で、前記ストローラック4の左側・上方に軸架しており、選別室18内に浮遊している排塵物を吸引してまとめ、排塵口26から排塵風路7を経て機外に排塵する構成としている。そして、実施例の場合、前記排塵風路7は、図1に示すように、脱穀装置2の背面視において、揺動選別棚3の棚先に開口している排塵口5の左側から中央側、下方の地面に向けて斜めに形成している。
【0023】
そして、グレンタンク27は、詳細な図示は省略したが、前記脱穀装置2の右側部に燐設し、一番揚穀筒によって脱穀装置2と接続し、脱穀・選別後の穀粒を揚穀して貯留する構成としている。
【0024】
そして、エンジンは、図示を省略したが、前記グレンタンク27のすぐ前側において、走行フレーム1上に搭載し、コンバインの回転各部に動力を分配して伝動し、各装置を駆動する構成としている。そして、実施例のコンバインは、エンジンの上方に、運転操縦席を配置している。
【0025】
つぎに、燃料タンク8は、図1に示した背面図のように、前記脱穀装置2の背後において、前記走行フレーム1の後部に搭載し、横に長く形成し、タンク8の主要部分が、前記走行フレーム1の中央部分から右寄りの位置に配置した構成としている。そして、実施例の場合、燃料タンク8は、図1、及び図2に示すように、走行フレーム1の上面より下げて低い位置に載置した受け台30上に安定させて搭載している。
【0026】
そして、燃料タンク8は、図1に示すように、給油口31を後部右側に設けて給油作業をやり易くし、前記エンジン側へは、送油ホースを脱穀装置2とグレンタンク27との間を通して配管した構成としている。
【0027】
そして、燃料タンク8は、図面に示すように、前記走行フレーム1の後部右側から脱穀装置2の後方で排塵口5の下方にまで、左側に延長し、更に、前記排塵風路7に接近する位置に臨ませた構成としている。そして、実施例の場合、燃料タンク8は、図1で示す背面図で解るように、前記排塵風路7に接近する位置に臨ませ、左側部分(下半分)を、その排塵風路7の斜めになった形状に沿わせて傾斜面8aに形成し、前記風路7内に食み出さないようにした構成としている。
【0028】
なお、燃料タンク8は、実施例の場合、板金のプレス加工によって製作し、同一形状にプレス加工した後、同形のプレス物を、2つ上下重ね合わせて接合してタンクを構成している。したがって、製品となった燃料タンク8は、前記傾斜面8aが、図面から解るように、すぐ上側に、逆向きの傾斜面8bとなって現れ、上下両面に傾斜面8a,8bが形成された形状となっている。
【0029】
つぎに、排塵物案内シール9は、図面に示すように、柔軟性のある素材(実施例は、ゴムを素材にしたゴムシール)から板状に形成して、上縁を前記揺動選別棚3の先端部に固着し、前記排塵口5から脱穀装置2の外に垂れ下げて、前記燃料タンク8の上を覆って設けている。そして、排塵物案内シール9は、図面から解るように、背面視において、排塵風路7側となる左側縁9aを、前記風路7に沿わせて斜め下方に裁断した形状に形成し、前記排塵風路7内に入り込んで排塵風を乱さない構成としている。そして、前記排塵物案内シール9は、図2に示すように、燃料タンク8の上を覆った部分が、タンク8の上側の傾斜面8bに載って、排塵風路7側に傾斜面ができて上側から流下してきた排塵口(5)からの排塵物を、前記排塵風路(7)側に流下案内する構成となっている。この場合、排塵物案内シール9は、揺動選別棚3の棚先に固着して揺動作用をする構成となっているから、上述のように、タンク8の上側の傾斜面8bに載って、シールの上面が排塵風路7側へ向かう傾斜面となっているから、排塵風路7側に排塵物を流下案内することができる。
【0030】
このようにして、排塵物案内シール9は、上側の排塵口5から排塵された排塵物を上面に載せた状態で、揺動選別棚3と一体に揺動しながらタンク8の上方側から、左の排塵風路7側に流下させながら案内し、その排塵物を前記排塵風路7側に合流させ、排塵風の作用を受ける位置に流下させて拡散させながら、斜め下方の地面に強制的に排塵することができる。
【0031】
以上、述べたように、実施例は、燃料タンク8を走行フレーム1の後部において、中央位置から右寄りに搭載し、左側の脱穀装置2の後部下方にまで延長することによって、燃料タンク8を拡大してタンク容量を大幅に増量したものである。
【0032】
そのため、既に延べたように、従来に比較して、コンバインを長時間連続運転することが可能となって、燃料補給の頻度を少なくできるものとなった。
そして、実施例は、脱穀装置2の背後下側にまで延長した燃料タンク8の左部分を、排塵物案内シール9によって覆わせ、直接、排塵物がタンク8上に落下することが避けられ、タンク8の上に排塵物の蓄積がなく、障害も起こらないものとなっている。
【0033】
そして、排塵物案内シール9は、上側の排塵口5から排塵された排塵物を上面に載せた状態で、揺動選別棚3と一体に揺動しながら、タンクの上端の傾斜面8bも関連して、タンク8の上方側から、左の排塵風路7側に流下案内し、その排塵物を前記排塵風路7側に合流させ、排塵風の作用を受ける位置に流下させて拡散させながら、斜め下方の地面に強制的に排塵することができる。
【0034】
更に、実施例は、燃料タンク8を、左側の排塵風路7の近くまで延長して、その排塵風路7に最も接近した左端の部位では、斜めの風路7に沿わせた傾斜面8aに形成し、排塵風の流れを阻害しない形状にして、風路7に接近させて構成し、排塵物の拡散作用を阻害しない範囲でタンク8を許される限り左側に伸ばし、タンク容量を拡大したものである。
【0035】
つぎに、グレンタンク27の実施例を図面に基づき説明する。
まず、グレンタンク27は、図4に示すように、樹脂を素材にして成型加工したものであって、下部の前後長さより上部を前後に長くして、貯留容量を拡大した構成としている。そして、グレンタンク27は、製品の強度を高めるために、図5、及び図6に示すように、側壁35に複数本の補強リブ36,36,36を形成し、薄い壁厚でありながら必要な強度が確保できる構成としている。
【0036】
この場合、側壁35は、一定範囲の広さを有するネームプレート取付け部38を、ネームプレート37の厚み分だけ周囲の表面から一段窪ませて形成し、この窪んだネームプレート取付け部38に前記の通り複数本の補強リブ36,36,36を筋状に窪ませて横方向に形成している。
【0037】
そして、ネームプレート37は、上記ネームプレート取付け部38に合わせて窪みを塞ぎ、補強リブ36,36,36を覆って取付けた構成としている。
このように構成することによって、グレンタンク27は、樹脂素材の特性で軽量であるために、グレンタンクオープン時、他の取扱いが容易にできる特徴を有し、それに加えて、補強リブ36,36,36の形成によって、必要な強度が確保され、長期間、安全に使用することができる。そして、前記ネームプレート37は、窪み状に形成したネームプレート取付け部分38に取付けて補強リブ36,36,36を塞いでリブを隠しているから外観上、美観を損なうことはなく、グレンタンク27の美観を保持することができる。
【0038】
そして、グレンタンク27は、図面に示すように、天井部には外からタンク内部を覗けるように、点検窓40を形成し、側部(走行フレームに搭載したとき、外側になる位置)にウインカー41を取り付け、前側には、覗き窓42を設けた構成としている。
【0039】
実施例は、点検窓40をウインカー41の近くに設けているから、夜間作業時には、ウインカー41を点灯状態にすれば、点検窓40の周辺が明るくなって、内部が確認し易くなる利点がある。
【0040】
つぎに、グレンタンク27の支持機構について、説明する。
まず、走行フレームの後部に上下方向に設置された揚穀筒45は、具体的な図示は省略しているが、基部(下部)をグレンタンク27の底部に軸装されている穀粒排出螺旋に接続し、先端部(上部)を穀粒排出オーガーの基部に連通して構成している。そして、支柱46は、図7、及び図8に示すように、前記揚穀筒45の後側に接近させて上下方向に沿わせて配置し、図9、及び図10に示すように周囲の固定機枠に固着している。そして、支柱46は、左横側に排藁カッター47を、前側にグレンタンク27をそれぞれ支持するために、左横側に数段の支持アーム48,48と右前側に数段の支持アーム49,49を突出させて、前記揚穀筒45を背後から囲むように構成している。
【0041】
そして、グレンタンク27と排藁カッター47とは、図7、乃至図10に示すように、それぞれ取付腕50と取付支点ピン51とによって回動自由に取り付けている。
以上のように構成したから、支柱46、及び支持アーム48,49、更に、取付腕50は、揚穀筒45の周囲に包囲するように配置されており、揚穀筒45を保護することができる。
【0042】
そして、排藁カッター47とグレンタンク27とは、図11に示すように、取付支点ピン51を回動支点にして、コンバインから外側に回動し、両者が観音開きの状態に大きく回動できる。したがって、排藁カッター47とグレンタンク27とは、正規の設置位置から大きく外側に回動して、設置位置を開放できるからメンテナンス作業がやり易い効果がある。
【0043】
つぎに、グレンタンク27の固定手段について説明する。
まず、グレンタンク27は、前述のとおり、支柱46に支持アーム49を設けて取付支点ピン51を支点にして回動(グレンタンクオープン)自在に支持されているが、内側(回動支点の反対側)において、脱穀装置2の一番揚穀筒53に、着脱自在に取付けて固着する構成としている。
【0044】
その構成を述べると、固定具54は、図12、及び図13に示すように、鉄板をコ字型に形成して一番揚穀筒53の上部に固着し、これの外側からL型取付金具55を当ててねじ止めして取り付けている。そして、前記L型取付金具55は、ノブボルト56をねじ込んで、グレンタンク27がわを固定するが、そのノブボルト56の挿通孔を長孔57に形成し、グレンタンク27を長孔57の方向に前後に余裕を持って調整しながら固着できる構成としている。
【0045】
そして、ノブボルト56の保持具58,59は、一方58をノブボルト56の頭に係合させた回止めとし、他方59をノブボルト56の首部に二又部分を横から挿し込んで固着し、ねじ締めして一体に固着する構成としている。
【0046】
このように構成することによって、グレンタンク27は、取付時には調整幅ができるから、余裕を持って調整しながら固定できるものとなっている。
【符号の説明】
【0047】
1 走行フレーム
2 脱穀装置
3 揺動選別棚
4 ストローラック
5 排塵口
6 排塵ファン
7 排塵風路
8 燃料タンク
8a 燃料タンクの傾斜面
9 排塵物案内シール
9a 排塵物案内シールの左側縁
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンバインの走行フレーム上に搭載する燃料タンクに関する公知技術は、例えば特開2009−33978号公開特許公報(特許文献1参照)や特開2009−60801号公開公報(特許文献2参照)等によって公開されている。
【0003】
まず、特開2009−33978号公開特許公報に記載された発明は、
「脱穀部の後端下部に燃料タンクが設けられ、燃料供給用パイプが、排塵ガイド板の外側を迂回させ、途中部から屈曲させて起立姿勢に設けているので、排塵ファンからの排塵物の排出を妨げにくい。そして、排塵物は、燃料供給用パイプに絡み付いたり、排塵ガイド板上での流れが停滞して詰まったりすることが少なく、排塵処理作用を円滑に行うことができる。
【0004】
また、燃料の給油角度を大きく取ることができるので、燃料供給用パイプの給油口から給油作用が良好に行える。」
と記載されている。
【0005】
そして、特開2009−60801号公開公報に記載されている発明は、
「脱穀部の後方に燃料タンクを搭載しており、脱穀後部カバーを縦向きの支持軸を支点に側方に向けて回動させるので、作業者は、広く開放された側方から燃料補給タンクを支持しながら燃料供給口に近接させて燃料補給作業を楽な姿勢で能率よく行うことができる。」
と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−33978号公開特許公報
【特許文献2】特開2009−60801号公開特許公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来からコンバインは、前部に刈取装置と穀稈搬送装置とを支持し、限られたスペースの走行フレーム上に、エンジンと、脱穀装置と、グレンタンクと、運転操縦座席等の各装置を配置して搭載するから、走行フレーム上における燃料タンクの搭載スペースが制限され、それに伴い大きさ(タンク容量)もおのずから限定されている。このように、従来のコンバインに搭載されていた燃料タンクは、走行フレーム上の配置スペースの関係で、脱穀機とグレンタンクとの間の空間部分を利用して搭載するのが一般的で、グレンタンクの下面を構成する傾斜状の流穀板の下方にできる空間部を利用するのが普通の構成であった。
【0008】
したがって、従来の構成では、燃料タンクの容量、大きさが制限を受け、コンバインを長時間連続運転することができず、燃料補給の頻度が高くなる課題があった。
本件出願の発明は、タンク容量を大きくするために、走行フレームの後部右側に主要部を搭載した燃料タンクを、走行フレームの左側に搭載した脱穀装置の後部下方まで延長して形成し、排塵作用に影響を与えない範囲でタンク容量を拡大したものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、上記課題を解決するために、つぎの如き技術手段を講じている。
請求項1の発明は、走行フレーム(1)上に脱穀装置(2)を搭載し、該脱穀装置(2)の揺動選別棚(3)の後端部に備えたストローラック(4)の後側に排塵口(5)を開口し、前記ストローラック(4)の左側上方に排塵ファン(6)を軸架し、該排塵ファン(6)に連通する排塵風路(7)を設け、該排塵風路(7)は、前記脱穀装置(2)の背面視において排塵口(5)の左側から中央側下方の地面に向けて斜めに形成し、前記走行フレーム(1)の後部に燃料タンク(8)を搭載し、該燃料タンク(8)の左側部を排塵口(5)の下方の前記排塵風路(7)に接近する位置に臨ませたことを特徴とするコンバインとしたものである。
【0010】
燃料タンク(8)は、走行フレーム(1)の後部に搭載し、該燃料タンク(8)の左側部を脱穀装置(2)の排塵口(5)の下方の排塵風路(7)に接近する位置に臨ませ、タンク容量を拡大している。
【0011】
請求項2の発明は、前記揺動選別棚(3)の後端部に柔軟性素材からなる排塵物案内シール(9)を取り付け、該排塵物案内シール(9)を前記排塵口(5)から外に垂れ下げて燃料タンク(8)を覆って設け、該排塵物案内シール(9)は、背面視において、前記排塵風路(7)側となる左側縁(9a)を該排塵風路(7)に沿わせて斜め下方に裁断された形状とし、前記排塵口(5)から排塵された排塵物を、該排塵物案内シール(9)によって排塵風路(7)側に流下案内する構成としたことを特徴とする請求項1記載のコンバインとしたものである。
【0012】
脱穀装置(2)の背後下側に延長した燃料タンク(8)の左側部は、排塵物案内シール(9)によって覆われるから、排塵物や塵埃が燃料タンク(8)上に落下して蓄積する等の障害はほとんど起こらず、燃料タンク(8)の容量を増量している。そして、排塵口(5)から排塵された排塵物は、揺動運動している排塵物案内シール(9)上を流下しながら、燃料タンク(8)の膨らみ等も作用して、前記排塵風路(7)側に流下案内され、排塵風を受けて効果的に拡散されながら排塵されることになる。
【0013】
このように、請求項2の発明は、前記排塵物案内シール(9)が、排塵口(5)から排塵された排塵物を上面に載せた状態で、上述のように、揺動選別棚(3)と一体に揺動しながら載置している排塵物を燃料タンク(8)の上方側から、排塵風路(7)側に流下案内することによって排塵物を合流させながら排塵風の作用を受ける位置に達して地面側に強制的に排塵することができる。
【0014】
つぎに、請求項3の発明は、前記燃料タンク(8)を左右方向に長く形成し、背面視において、前記排塵風路(7)に接近する位置に臨ませた燃料タンク(8)の左側部を、該排塵風路(7)に沿う傾斜面(8a)に形成したことを特徴とする請求項1記載のコンバインとしたものである。
【0015】
燃料タンク(8)は、排塵風路(7)の近くまで延長して、その排塵風路(7)に最も接近した部位では、排塵風路(7)に沿わせて傾斜面(8a)を形成し、排塵風の流れを阻害しない範囲で最大に大きくして容量を増やすことが出来た。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載の発明によると、燃料タンク(8)を走行フレーム(1)の後部に搭載し、該燃料タンク(8)の左側部を排塵口(5)の下方の排塵風路(7)に接近する位置に臨ませることによって、燃料タンク(8)の容量を大幅に拡大できる。したがって、従来の構成に比較して、燃料タンク(8)の容量を大きくできたことによってコンバインを長時間連続運転することが可能となり、燃料補給の頻度を少なくして作業能率を向上させることができる。
【0017】
請求項2記載の発明によると、脱穀装置(2)の背後下側にまで延長した燃料タンク(8)の左部分を、排塵物案内シール(9)によって覆わせているから、排塵物が燃料タンク(8)上に直接落下することが避けられ、燃料タンク(8)の上に蓄積する等の障害も起こらず、タンク容量を増量できる。
【0018】
そして、前記排塵物案内シール(9)は、上側の排塵口(5)から排塵された排塵物を上面に載せた状態で、揺動選別棚(3)と一体に揺動しながら燃料タンク(8)の上方側から、左の排塵風路(7)側に流下案内し、その排塵物を前記排塵風路(7)側に合流させ、排塵風の作用を受ける位置に流下させて拡散させながら、斜め下方の地面に強制的に排塵することができる。
【0019】
請求項3記載の発明によると、燃料タンク(8)を、左側の排塵風路(7)の近くまで延長して、その排塵風路(7)に最も接近した左端の部位では、斜めの風路(7)に沿わせた傾斜面(8a)に形成し、排塵風の流れを阻害しない形状にして、風路に接近させて構成し、排塵物の拡散作用を阻害しない範囲で燃料タンク(8)を許される限り左側に伸ばし、該燃料タンク(8)の容量を拡大することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】脱穀装置と燃料タンクとの背面図
【図2】内部構成を示した脱穀装置の側面図
【図3】揺動選別棚を中心にして内部構成を示す脱穀装置の平面図
【図4】グレンタンクの斜面図
【図5】ネームプレートを外した状態のグレンタンクの斜面図
【図6】断面したグレンタンクの斜面図
【図7】グレンタンク支持部の斜面図、
【図8】グレンタンク支持部の斜面図
【図9】排藁カッターとグレンタンクとを支持した背面図
【図10】グレンタンクを支持した状態の側面図
【図11】グレンタンクと排藁カッターとの作用平面図
【図12】グレンタンクを脱穀装置に取付けた斜面図
【図13】図12のノブボルトと、2つの保持具とを分解して示す斜面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面に基づいてこの発明の実施例を具体的に説明する。
まず、脱穀装置2は、図1、及び図2に示すように、扱室13の扱ぎ口14に沿わせてフィードチエン15を設け、穀稈供給口16を前側に位置させ、塵埃等を排塵する排塵口5を後側に配置して走行フレーム1上に搭載している。そして、脱穀装置2は、上部の前記扱室13には扱胴17を軸架し、前述の通り長手方向に前記扱ぎ口14を設けて供給される穀稈を、扱胴17によって脱穀する構成とし、その下側に選別室18を配置した構成としている。そして、選別室18は、図面に示すように、上側に揺動選別棚3を揺動自由に吊持し、その下側に、選別方向の上手側から、圧風唐箕20、一番移送螺旋21、二番移送螺旋22の順に配置して軸装し、選別室18内に選別風を吹き込みながら揺動選別と風選作用とを行なう構成となっている。なお、前記揺動選別棚3は、図2及び図3に示すように、上手側から順に、移送棚24、チャフシーブ25、そして、棚先側にストローラック4を配置して構成し、選別風の作用を受けながら揺動して脱穀物の選別作用を行う構成としている。
【0022】
そして、排塵ファン6は、図面に示すように、前記選別室18の先端側で、前記ストローラック4の左側・上方に軸架しており、選別室18内に浮遊している排塵物を吸引してまとめ、排塵口26から排塵風路7を経て機外に排塵する構成としている。そして、実施例の場合、前記排塵風路7は、図1に示すように、脱穀装置2の背面視において、揺動選別棚3の棚先に開口している排塵口5の左側から中央側、下方の地面に向けて斜めに形成している。
【0023】
そして、グレンタンク27は、詳細な図示は省略したが、前記脱穀装置2の右側部に燐設し、一番揚穀筒によって脱穀装置2と接続し、脱穀・選別後の穀粒を揚穀して貯留する構成としている。
【0024】
そして、エンジンは、図示を省略したが、前記グレンタンク27のすぐ前側において、走行フレーム1上に搭載し、コンバインの回転各部に動力を分配して伝動し、各装置を駆動する構成としている。そして、実施例のコンバインは、エンジンの上方に、運転操縦席を配置している。
【0025】
つぎに、燃料タンク8は、図1に示した背面図のように、前記脱穀装置2の背後において、前記走行フレーム1の後部に搭載し、横に長く形成し、タンク8の主要部分が、前記走行フレーム1の中央部分から右寄りの位置に配置した構成としている。そして、実施例の場合、燃料タンク8は、図1、及び図2に示すように、走行フレーム1の上面より下げて低い位置に載置した受け台30上に安定させて搭載している。
【0026】
そして、燃料タンク8は、図1に示すように、給油口31を後部右側に設けて給油作業をやり易くし、前記エンジン側へは、送油ホースを脱穀装置2とグレンタンク27との間を通して配管した構成としている。
【0027】
そして、燃料タンク8は、図面に示すように、前記走行フレーム1の後部右側から脱穀装置2の後方で排塵口5の下方にまで、左側に延長し、更に、前記排塵風路7に接近する位置に臨ませた構成としている。そして、実施例の場合、燃料タンク8は、図1で示す背面図で解るように、前記排塵風路7に接近する位置に臨ませ、左側部分(下半分)を、その排塵風路7の斜めになった形状に沿わせて傾斜面8aに形成し、前記風路7内に食み出さないようにした構成としている。
【0028】
なお、燃料タンク8は、実施例の場合、板金のプレス加工によって製作し、同一形状にプレス加工した後、同形のプレス物を、2つ上下重ね合わせて接合してタンクを構成している。したがって、製品となった燃料タンク8は、前記傾斜面8aが、図面から解るように、すぐ上側に、逆向きの傾斜面8bとなって現れ、上下両面に傾斜面8a,8bが形成された形状となっている。
【0029】
つぎに、排塵物案内シール9は、図面に示すように、柔軟性のある素材(実施例は、ゴムを素材にしたゴムシール)から板状に形成して、上縁を前記揺動選別棚3の先端部に固着し、前記排塵口5から脱穀装置2の外に垂れ下げて、前記燃料タンク8の上を覆って設けている。そして、排塵物案内シール9は、図面から解るように、背面視において、排塵風路7側となる左側縁9aを、前記風路7に沿わせて斜め下方に裁断した形状に形成し、前記排塵風路7内に入り込んで排塵風を乱さない構成としている。そして、前記排塵物案内シール9は、図2に示すように、燃料タンク8の上を覆った部分が、タンク8の上側の傾斜面8bに載って、排塵風路7側に傾斜面ができて上側から流下してきた排塵口(5)からの排塵物を、前記排塵風路(7)側に流下案内する構成となっている。この場合、排塵物案内シール9は、揺動選別棚3の棚先に固着して揺動作用をする構成となっているから、上述のように、タンク8の上側の傾斜面8bに載って、シールの上面が排塵風路7側へ向かう傾斜面となっているから、排塵風路7側に排塵物を流下案内することができる。
【0030】
このようにして、排塵物案内シール9は、上側の排塵口5から排塵された排塵物を上面に載せた状態で、揺動選別棚3と一体に揺動しながらタンク8の上方側から、左の排塵風路7側に流下させながら案内し、その排塵物を前記排塵風路7側に合流させ、排塵風の作用を受ける位置に流下させて拡散させながら、斜め下方の地面に強制的に排塵することができる。
【0031】
以上、述べたように、実施例は、燃料タンク8を走行フレーム1の後部において、中央位置から右寄りに搭載し、左側の脱穀装置2の後部下方にまで延長することによって、燃料タンク8を拡大してタンク容量を大幅に増量したものである。
【0032】
そのため、既に延べたように、従来に比較して、コンバインを長時間連続運転することが可能となって、燃料補給の頻度を少なくできるものとなった。
そして、実施例は、脱穀装置2の背後下側にまで延長した燃料タンク8の左部分を、排塵物案内シール9によって覆わせ、直接、排塵物がタンク8上に落下することが避けられ、タンク8の上に排塵物の蓄積がなく、障害も起こらないものとなっている。
【0033】
そして、排塵物案内シール9は、上側の排塵口5から排塵された排塵物を上面に載せた状態で、揺動選別棚3と一体に揺動しながら、タンクの上端の傾斜面8bも関連して、タンク8の上方側から、左の排塵風路7側に流下案内し、その排塵物を前記排塵風路7側に合流させ、排塵風の作用を受ける位置に流下させて拡散させながら、斜め下方の地面に強制的に排塵することができる。
【0034】
更に、実施例は、燃料タンク8を、左側の排塵風路7の近くまで延長して、その排塵風路7に最も接近した左端の部位では、斜めの風路7に沿わせた傾斜面8aに形成し、排塵風の流れを阻害しない形状にして、風路7に接近させて構成し、排塵物の拡散作用を阻害しない範囲でタンク8を許される限り左側に伸ばし、タンク容量を拡大したものである。
【0035】
つぎに、グレンタンク27の実施例を図面に基づき説明する。
まず、グレンタンク27は、図4に示すように、樹脂を素材にして成型加工したものであって、下部の前後長さより上部を前後に長くして、貯留容量を拡大した構成としている。そして、グレンタンク27は、製品の強度を高めるために、図5、及び図6に示すように、側壁35に複数本の補強リブ36,36,36を形成し、薄い壁厚でありながら必要な強度が確保できる構成としている。
【0036】
この場合、側壁35は、一定範囲の広さを有するネームプレート取付け部38を、ネームプレート37の厚み分だけ周囲の表面から一段窪ませて形成し、この窪んだネームプレート取付け部38に前記の通り複数本の補強リブ36,36,36を筋状に窪ませて横方向に形成している。
【0037】
そして、ネームプレート37は、上記ネームプレート取付け部38に合わせて窪みを塞ぎ、補強リブ36,36,36を覆って取付けた構成としている。
このように構成することによって、グレンタンク27は、樹脂素材の特性で軽量であるために、グレンタンクオープン時、他の取扱いが容易にできる特徴を有し、それに加えて、補強リブ36,36,36の形成によって、必要な強度が確保され、長期間、安全に使用することができる。そして、前記ネームプレート37は、窪み状に形成したネームプレート取付け部分38に取付けて補強リブ36,36,36を塞いでリブを隠しているから外観上、美観を損なうことはなく、グレンタンク27の美観を保持することができる。
【0038】
そして、グレンタンク27は、図面に示すように、天井部には外からタンク内部を覗けるように、点検窓40を形成し、側部(走行フレームに搭載したとき、外側になる位置)にウインカー41を取り付け、前側には、覗き窓42を設けた構成としている。
【0039】
実施例は、点検窓40をウインカー41の近くに設けているから、夜間作業時には、ウインカー41を点灯状態にすれば、点検窓40の周辺が明るくなって、内部が確認し易くなる利点がある。
【0040】
つぎに、グレンタンク27の支持機構について、説明する。
まず、走行フレームの後部に上下方向に設置された揚穀筒45は、具体的な図示は省略しているが、基部(下部)をグレンタンク27の底部に軸装されている穀粒排出螺旋に接続し、先端部(上部)を穀粒排出オーガーの基部に連通して構成している。そして、支柱46は、図7、及び図8に示すように、前記揚穀筒45の後側に接近させて上下方向に沿わせて配置し、図9、及び図10に示すように周囲の固定機枠に固着している。そして、支柱46は、左横側に排藁カッター47を、前側にグレンタンク27をそれぞれ支持するために、左横側に数段の支持アーム48,48と右前側に数段の支持アーム49,49を突出させて、前記揚穀筒45を背後から囲むように構成している。
【0041】
そして、グレンタンク27と排藁カッター47とは、図7、乃至図10に示すように、それぞれ取付腕50と取付支点ピン51とによって回動自由に取り付けている。
以上のように構成したから、支柱46、及び支持アーム48,49、更に、取付腕50は、揚穀筒45の周囲に包囲するように配置されており、揚穀筒45を保護することができる。
【0042】
そして、排藁カッター47とグレンタンク27とは、図11に示すように、取付支点ピン51を回動支点にして、コンバインから外側に回動し、両者が観音開きの状態に大きく回動できる。したがって、排藁カッター47とグレンタンク27とは、正規の設置位置から大きく外側に回動して、設置位置を開放できるからメンテナンス作業がやり易い効果がある。
【0043】
つぎに、グレンタンク27の固定手段について説明する。
まず、グレンタンク27は、前述のとおり、支柱46に支持アーム49を設けて取付支点ピン51を支点にして回動(グレンタンクオープン)自在に支持されているが、内側(回動支点の反対側)において、脱穀装置2の一番揚穀筒53に、着脱自在に取付けて固着する構成としている。
【0044】
その構成を述べると、固定具54は、図12、及び図13に示すように、鉄板をコ字型に形成して一番揚穀筒53の上部に固着し、これの外側からL型取付金具55を当ててねじ止めして取り付けている。そして、前記L型取付金具55は、ノブボルト56をねじ込んで、グレンタンク27がわを固定するが、そのノブボルト56の挿通孔を長孔57に形成し、グレンタンク27を長孔57の方向に前後に余裕を持って調整しながら固着できる構成としている。
【0045】
そして、ノブボルト56の保持具58,59は、一方58をノブボルト56の頭に係合させた回止めとし、他方59をノブボルト56の首部に二又部分を横から挿し込んで固着し、ねじ締めして一体に固着する構成としている。
【0046】
このように構成することによって、グレンタンク27は、取付時には調整幅ができるから、余裕を持って調整しながら固定できるものとなっている。
【符号の説明】
【0047】
1 走行フレーム
2 脱穀装置
3 揺動選別棚
4 ストローラック
5 排塵口
6 排塵ファン
7 排塵風路
8 燃料タンク
8a 燃料タンクの傾斜面
9 排塵物案内シール
9a 排塵物案内シールの左側縁
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行フレーム(1)上に脱穀装置(2)を搭載し、該脱穀装置(2)の揺動選別棚(3)の後端部に備えたストローラック(4)の後側に排塵口(5)を開口し、前記ストローラック(4)の左側上方に排塵ファン(6)を軸架し、該排塵ファン(6)に連通する排塵風路(7)を設け、該排塵風路(7)は、前記脱穀装置(2)の背面視において排塵口(5)の左側から中央側下方の地面に向けて斜めに形成し、前記走行フレーム(1)の後部に燃料タンク(8)を搭載し、該燃料タンク(8)の左側部を排塵口(5)の下方の前記排塵風路(7)に接近する位置に臨ませたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記揺動選別棚(3)の後端部に柔軟性素材からなる排塵物案内シール(9)を取り付け、該排塵物案内シール(9)を前記排塵口(5)から外に垂れ下げて燃料タンク(8)を覆って設け、該排塵物案内シール(9)は、背面視において、前記排塵風路(7)側となる左側縁(9a)を該排塵風路(7)に沿わせて斜め下方に裁断された形状とし、前記排塵口(5)から排塵された排塵物を、該排塵物案内シール(9)によって排塵風路(7)側に流下案内する構成としたことを特徴とする請求項1記載のコンバイン。
【請求項3】
前記燃料タンク(8)を左右方向に長く形成し、背面視において、前記排塵風路(7)に接近する位置に臨ませた燃料タンク(8)の左側部を、該排塵風路(7)に沿う傾斜面(8a)に形成したことを特徴とする請求項1記載のコンバイン。
【請求項1】
走行フレーム(1)上に脱穀装置(2)を搭載し、該脱穀装置(2)の揺動選別棚(3)の後端部に備えたストローラック(4)の後側に排塵口(5)を開口し、前記ストローラック(4)の左側上方に排塵ファン(6)を軸架し、該排塵ファン(6)に連通する排塵風路(7)を設け、該排塵風路(7)は、前記脱穀装置(2)の背面視において排塵口(5)の左側から中央側下方の地面に向けて斜めに形成し、前記走行フレーム(1)の後部に燃料タンク(8)を搭載し、該燃料タンク(8)の左側部を排塵口(5)の下方の前記排塵風路(7)に接近する位置に臨ませたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記揺動選別棚(3)の後端部に柔軟性素材からなる排塵物案内シール(9)を取り付け、該排塵物案内シール(9)を前記排塵口(5)から外に垂れ下げて燃料タンク(8)を覆って設け、該排塵物案内シール(9)は、背面視において、前記排塵風路(7)側となる左側縁(9a)を該排塵風路(7)に沿わせて斜め下方に裁断された形状とし、前記排塵口(5)から排塵された排塵物を、該排塵物案内シール(9)によって排塵風路(7)側に流下案内する構成としたことを特徴とする請求項1記載のコンバイン。
【請求項3】
前記燃料タンク(8)を左右方向に長く形成し、背面視において、前記排塵風路(7)に接近する位置に臨ませた燃料タンク(8)の左側部を、該排塵風路(7)に沿う傾斜面(8a)に形成したことを特徴とする請求項1記載のコンバイン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−24481(P2011−24481A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−173350(P2009−173350)
【出願日】平成21年7月24日(2009.7.24)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月24日(2009.7.24)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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