説明

コンバイン

【課題】コンバインにおける穀稈引起装置31のメンテナンス作業性向上と、支持強度向上とを両立させる。
【解決手段】本願発明に係るコンバインは、刈取装置3の前部に、横並び状に位置する複数の引起ケース42を有する穀稈引起装置31を備える。前記各引起ケース42の背面側に設けられたギヤケース41と、隣り合う前記ギヤケース41同士を連結する複数の引起横パイプ40とを、前記引起ケース42群の上部側において交互に配置する。前記各引起横パイプ40は前記刈取装置3の刈取上方フレーム121に支持する。前記各ギヤケース41を、前記引起横パイプ40群の横軸心回りの上下方向に取付け位相が変更可能となるように、隣り合う前記引起横パイプ40に着脱可能に連結して、前記ギヤケース41群と前記引起横パイプ40群とを前記各引起ケース42に対する強度メンバーに構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、刈取装置にて圃場の未刈り穀稈を刈り取りながら、脱穀装置にてその刈取り穀稈を脱穀して穀粒を収穫するコンバインに係り、より詳しくは、刈取装置に穀稈引起装置を備えているコンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のコンバインは、走行機体の前側に昇降可能に配設した刈取装置にて、圃場の未刈り穀稈を刈り取り、刈り取った穀稈を脱穀装置にて脱穀して、穀粒を収集するように構成されている(特許文献1参照)。また、刈取装置における前側の分草板を分草位置から前方に回動可能に設けることも公知である(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−335314号公報
【特許文献2】特開平6−11423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、圃場の未刈り穀稈を引起す穀稈引起装置を、上部の伝動部を支点に下方側を上方に移動させ、穀稈搬送装置の掃除等を簡単に実行できるように構成されているが、多条刈り用の複数の引起ケースを一体的に連結した状態で穀稈引起装置を構成した場合、刈取り条数の異なる多種のコンバインにおいて、穀稈引起装置を刈取り条数に対応させて格別に設計製造する必要があるから、穀稈引起装置の製造コストを簡単に低減できないという問題があった。また、穀稈引起装置のメンテナンス作業性を向上させ難い等の問題もあった。
【0005】
そこで、本願発明は、穀稈引起装置のメンテナンス作業性を向上できるコンバインを提供することを技術的課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この技術的課題を達成するため、請求項1の発明は、刈取装置の前部に、横並び状に位置する複数の引起ケースを有する穀稈引起装置を備えているコンバインであって、前記各引起ケースの背面側に設けられたギヤケースと、隣り合う前記ギヤケース同士を連結する複数の引起横パイプとが、前記引起ケース群の上部側において交互に配置されており、前記各引起横パイプは前記刈取装置の刈取上方フレームに支持されており、前記各ギヤケースを、前記引起横パイプ群の横軸心回りの上下方向に取付け位相が変更可能となるように、隣り合う前記引起横パイプに着脱可能に連結することによって、前記ギヤケース群と前記引起横パイプ群とが前記各引起ケースに対する強度メンバーに構成されているというものである。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載したコンバインにおいて、前記各引起横パイプには横長の引起入力横軸を貫通させており、前記各ギヤケースはアルミダイカスト製で筒状に形成されていて、内部に前記引起入力横軸から前記各引起ケースに向かう動力伝達を中継する動力分岐機構を組み込んだ状態でユニット化されており、前記引起入力横軸は、前記各動力分岐機構の上ベベルギヤを一体回転可能に貫通させているというものである。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載したコンバインにおいて、前記各ギヤケースの上部側には、隣接する前記引起横パイプに嵌まる挿入ボス部が左右外向きに突出形成されており、前記各引起横パイプにおける左右各端部の外周に形成されたフランジと前記各ギヤケースの上部側とには、前記取付け位相ごとの互いの対応箇所にボルト孔が形成されており、前記各ギヤケースと、隣接する前記引起横パイプとの間において、互いに合致するボルト孔にケース連結ボルトをねじ込むように構成されているというものである。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1〜3のうちいずれかに記載したコンバインにおいて、前記各ギヤケースの下端部は、これに対応する前記引起ケースの背面側にボルト締結されると共に、前記ギヤケースの中途部から横向き突出した係止ピンに、前記引起ケースの背面側から突出した係合爪を係脱可能に係合させているというものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によると、刈取装置の前部に、横並び状に位置する複数の引起ケースを有する穀稈引起装置を備えているコンバインであって、前記各引起ケースの背面側に設けられたギヤケースと、隣り合う前記ギヤケース同士を連結する複数の引起横パイプとが、前記引起ケース群の上部側において交互に配置されており、前記各引起横パイプは前記刈取装置の刈取上方フレームに支持されており、前記各ギヤケースを、前記引起横パイプ群の横軸心回りの上下方向に取付け位相が変更可能となるように、隣り合う前記引起横パイプに着脱可能に連結することによって、前記ギヤケース群と前記引起横パイプ群とが前記各引起ケースに対する強度メンバーに構成されているから、前記ギヤケース群と前記引起横パイプ群とによって、前記各引起ケースや前記刈取装置を高剛性に支持できる。従って、収穫作業時における未刈り穀稈の取り込みで前記引起ケース等の姿勢が歪んで、その後刈り取られた穀稈の取り込み姿勢や取り込み量がばらつくおそれを抑制できる。
【0011】
請求項2の発明によると、請求項1に記載したコンバインにおいて、前記各引起横パイプには横長の引起入力横軸を貫通させており、前記各ギヤケースはアルミダイカスト製で筒状に形成されていて、内部に前記引起入力横軸から前記各引起ケースに向かう動力伝達を中継する動力分岐機構を組み込んだ状態でユニット化されており、前記引起入力横軸は、前記各動力分岐機構の上ベベルギヤを一体回転可能に貫通させているから、コンバインの製造に際して、動力分岐機構内蔵の前記ギヤケースを先行して組み立てておいてから、前記各引起ケースにユニットごと組み付けできる。従って、コンバインの製造ライン中において、前記穀稈引起装置の組付け工数を低減でき、製造コストの低減に寄与できる。
【0012】
請求項3の発明によると、請求項1又は2に記載したコンバインにおいて、前記各ギヤケースの上部側には、隣接する前記引起横パイプに嵌まる挿入ボス部が左右外向きに突出形成されており、前記各引起横パイプにおける左右各端部の外周に形成されたフランジと前記各ギヤケースの上部側とには、前記取付け位相ごとの互いの対応箇所にボルト孔が形成されており、前記各ギヤケースと、隣接する前記引起横パイプとの間において、互いに合致するボルト孔にケース連結ボルトをねじ込むように構成されているから、前記引起ケースを持上げ支持する部材を特別に設ける必要がない。前記ケース連結ボルトを利用して、前記引起ケースを上方回動姿勢に簡単に支持できる。作業者が一方の手で前記引起ケースを持上げながら、他方の手で前記ケース連結ボルトを装着して、前記穀稈搬送装置の前方を開放できる一方、作業者が一方の手で前記引起ケースを持上げた姿勢に支持しながら、他方の手で前記ケース連結ボルトを取外して、前記引起ケースを下降させることができる。前記引起ケースや前記ギヤケースを分解することなく、穀稈引起し位置から上方の非作業位置に前記引起ケースを簡単に移動させることができる。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1〜3のうちいずれかに記載したコンバインにおいて、前記各ギヤケースの下端部は、これに対応する前記引起ケースの背面側にボルト締結されると共に、前記ギヤケースの中途部から横向き突出した係止ピンに、前記引起ケースの背面側から突出した係合爪を係脱可能に係合させているから、簡単な構成でありながら、前記ギヤケースに前記引起ケースをスムーズ且つ簡潔に組み付けでき、コンバインの製造場所での組付け作業性の向上に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】4条刈り用のコンバインの左側面図である。
【図2】コンバインの右側面図である。
【図3】コンバインの平面図である。
【図4】コンバインの正面図である。
【図5】刈取装置の駆動系統図である。
【図6】刈取装置の左側面図である。
【図7】刈取装置の正面図である。
【図8】横カバー及びライトハウジングを外した状態の刈取装置の左側面図である。
【図9】横カバー及びライトハウジングを外した状態の刈取装置の正面図である。
【図10】横カバー及びライトハウジングを外した状態の刈取装置の要部拡大左側面図である。
【図11】刈取装置の骨組を示す背面図である。
【図12】刈取装置の骨組を示す平面図である。
【図13】デバイダレバーと中継リンク杆との連動関係を示す要部拡大背面図である。
【図14】引起変速レバーとシフト軸との連動関係を示す要部拡大背面図である。
【図15】穀稈引起装置及び穀稈搬送装置の正面図である。
【図16】引起ケースを取外した穀稈引起装置及び穀稈搬送装置の正面図である。
【図17】穀稈引起装置の背面図である。
【図18】背面板を取り外した状態の穀稈引起装置の背面図である。
【図19】引起ケースの側面図である。
【図20】引起ケース下部側の拡大側面断面図である。
【図21】ナットを取り外した状態の引起ケース下部側の拡大側面断面図である。
【図22】引起ケース上部側及びギヤケースの拡大側面断面図である。
【図23】引起ケースが引起し姿勢のときの引起入力横ケース及び引起駆動ケースの側面図である。
【図24】引起ケースが持上げ姿勢のときの引起入力横ケース及び引起駆動ケースの側面図である。
【図25】引起ケースが引起し姿勢のときの引起入力横ケース及び引起駆動ケースの拡大正面断面図である。
【図26】引起ケースが引起し姿勢のときの引起入力横ケース及び引起駆動ケースの内部構造を示す拡大正面断面図である。
【図27】引起ケースが引起し姿勢のときの引起入力横ケース及び引起駆動ケースの拡大背面断面図である。
【図28】引起ケースが持上げ姿勢のときの引起入力横ケース及び引起駆動ケースの拡大背面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本願発明に係るコンバインを具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では、走行機体1の前進方向に向かって左側を単に左側と称し、同じく前進方向に向かって右側を単に右側と称する。
【0016】
(1).コンバインの全体構造
まず、図1乃至図4を参照して、コンバインの全体構造について説明する。図1乃至図4に示す如く、左右一対の走行クローラ2(走行部)にて支持された走行機体1を備えている。走行機体1の前部には、穀稈を刈取る4条刈り用の刈取装置3が、単動式の昇降用油圧シリンダ4によって刈取回動支点軸4a回りに昇降調節可能に装着されている。走行機体1には、フィードチェン6を有する脱穀装置5と、脱穀後の穀粒を貯留するグレンタンク7とが横並び状に搭載されている。なお、脱穀装置5が走行機体1の前進方向に向かって左側に配置され、グレンタンク7が走行機体1の前進方向に向かって右側に配置されている(図3参照)。
【0017】
グレンタンク7の後方から上方にかけてグレンタンク7内の穀粒を機体外部に排出する排出オーガ8が配設されている。排出オーガ8の縦オーガ8aを中心として、グレンタンク7の前部を機体側方へ回動できるように構成されている。グレンタンク7の前方で走行機体1の右側前部には、運転部10が設けられている。運転部10には、オペレータが搭乗するステップ10a、運転座席10b、操向ハンドル10cや各種の操作レバーやスイッチ等を備えた操作装置を配置している。運転座席10bの下方の走行機体1には、動力源としてのエンジン20が配置されている。
【0018】
図1及び図2に示す如く、走行機体1の下面側に左右のトラックフレーム21を配置している。トラックフレーム21には、走行クローラ2にエンジン20の動力を伝える駆動スプロケット22と、走行クローラ2のテンションを維持するテンションローラ23と、走行クローラ2の接地側を接地状態に保持する複数のトラックローラ24とを設けている。駆動スプロケット22によって走行クローラ2の前側を支持し、テンションローラ23によって走行クローラ2の後側を支持し、トラックローラ24によって走行クローラ2の接地側を支持する。
【0019】
図1乃至図3に示す如く、刈取装置3には、圃場の未刈り穀稈を引起す4条分の穀稈引起装置31と、圃場の未刈り穀稈の株元を切断するバリカン式の刈刃装置32と、穀稈引起装置31からフィードチェン6の前端部(送り始端側)に刈取り穀稈を搬送する穀稈搬送装置33とが備えられている。穀稈引起装置31によって圃場の未刈り穀稈が引起され、刈刃装置32によって未刈り穀稈の株元が切断され、穀稈引起装置31によってフィードチェン6の前端部に刈取り穀稈が搬送される。
【0020】
脱穀装置5には、穀稈脱穀用の扱胴51と、扱胴51の下方に落下する脱粒物を選別する揺動選別機構としての揺動選別盤52と、揺動選別盤52に選別風を供給する唐箕ファン53と、扱胴51の後部から取出される脱穀排出物を再処理する処理胴54と、揺動選別盤52の後部の排塵を機外に排出する排塵ファン61とを備えている。
【0021】
図1及び図2に示す如く、フィードチェン6の後端側(送り終端側)には、排藁チェン62が配置されている。フィードチェン6の後端側から排藁チェン62に受け継がれた排藁(穀粒が脱粒された稈)は、長い状態で走行機体1の後方に排出されるか、又は脱穀装置5の後方側に設けた排藁カッタ63にて適宜長さに短く切断されたのち、走行機体1の後方下方に排出される。
【0022】
揺動選別盤52の下方側には、揺動選別盤52にて選別された穀粒(一番選別物)を取出す一番コンベヤ55と、穀粒や藁屑や枝梗付き穀粒等が混合した二番選別物を取出す二番コンベヤ56とが設けられている。なお、走行機体1の進行方向前側から一番コンベヤ55、二番コンベヤ56の順で、側面視において走行クローラ2の後部上方の走行機体1の上面側に横設されている。
【0023】
揺動選別盤52は、扱胴51の下方に落下した脱穀物を、揺動選別(比重選別)するように構成している。揺動選別盤52から落下した穀粒(一番選別物)は、その穀粒中の粉塵が唐箕ファン53からの選別風によって除去され、一番コンベヤ55に落下する。一番コンベヤ55のうち脱穀装置5におけるグレンタンク7寄りの一側壁(実施形態では右側壁)から外向きに突出した終端部には、上下方向に延びる一番揚穀筒57が連通接続されている。一番コンベヤ55から取出された穀粒は、一番揚穀筒57に内設された一番揚穀コンベヤ(図示省略)によってグレンタンク7に搬入され、グレンタンク7の内部に収集される。
【0024】
揺動選別盤52は、揺動選別(比重選別)によって、枝梗付き穀粒等の二番選別物(穀粒と藁屑等が混在した再選別用の還元再処理物)を二番コンベヤ56に落下させるように構成されている。二番コンベヤ56によって取出された二番選別物は、二番還元筒58及び二番処理部59を介して揺動選別盤52の上面側に戻されて再選別される。また、扱胴51からの脱粒物中の藁屑及び粉塵等は、唐箕ファン53からの選別風と排塵ファン61の吸排塵作用とによって、走行機体1の後部から圃場に向けて排出される。
【0025】
(2).刈取装置の構造
次に、主として図5乃至図7を参照しながら、刈取装置3の構造を説明する。図6乃至図7に示す如く、刈取装置3の刈取フレーム30として、刈取回動支点軸4aである刈取入力フレーム35と、縦伝動フレーム36と、横伝動フレーム37とを有している。走行機体1の前部に立設した刈取支持体34(図1参照)に刈取入力フレーム35が回動可能に支持される。走行機体1の左右方向に向けて刈取入力フレーム35を延長している。刈取入力フレーム35から前方に向けて縦伝動フレーム36を延長している。縦伝動フレーム36の前端側に横伝動フレーム37を連結している。走行機体1の左右方向に向けて横伝動フレーム37を延長している。
【0026】
図5に示す如く、刈取入力フレーム35には、エンジン20からの動力が伝達される刈取入力軸35aが組み込まれている。刈取入力軸35aは、左右方向の軸線(刈取回動支点軸4a)を中心に回転する。縦伝動フレーム36と走行機体1との間に、昇降用油圧シリンダ4が配置されている。昇降操作レバー等の制御装置(図示省略)によって昇降用油圧シリンダ4を作動させることにより、刈取回動支点軸4a回りに刈取装置3(縦伝動フレーム36)を回動させる。その結果、刈取装置3(刈刃装置32)を任意の高さに昇降できる。
【0027】
図7及び図9に示す如く、横伝動フレーム37から前方に向けて4条分(刈取り条数分)の分草フレーム38が延長されている。各分草フレーム38の前端側に分草体38aが分草ボルト38cにてそれぞれ締結されている。横伝動フレーム37の左端側に、引起縦パイプとしての1本の引起入力縦ケース39を前方斜め上向きに延びるように立設している。横伝動フレーム37のさらに左端側に、刈刃駆動ユニット49の刈刃駆動軸49cが配置されている。即ち、横伝動フレーム37の左端部に取付けられた刈刃駆動ユニット49が、引起入力縦ケース39よりも機体外方側寄りに配置されている。
【0028】
図7及び図9に示す如く、引起入力縦ケース39の上端側は、左右方向に延長した引起入力横ケース40の左端部に連結している。また、最右側の分草フレーム38には、引起縦パイプの一例である丸パイプ状の引起縦フレーム50を立設する。引起縦フレーム50の上端側が引起入力横ケース40の右端部に連結されている。引起入力横ケース40は、引起入力縦ケース39と引起縦フレーム50とによって、引起ケース42の上端よりも上方側で、刈取装置3の左右方向に向けて略水平に横架されている。
【0029】
図7及び図9に示す如く、引起入力横ケース40に近い引起入力縦ケース39の上端側の高位置に引起変速ケース39bが設けられている。引起入力横ケース40には、刈取り条数に合わせた数(本実施形態では4条分の4本)の引起駆動ケース41が、引起入力横ケース40の長手方向(走行機体2の幅方向)に沿って適宜間隔で下向きに並んでいる。即ち、後述する引起ケース42への駆動力入力用のケースとして、刈取フレーム30としての引起入力縦ケース39と、刈取フレーム30としての引起入力横ケース40と、4条分の引起駆動ケース41とが配置されている。
【0030】
図5に示すように、穀稈引起装置31には、引起機構としての4条分の引起ケース42が備えられている。各引起ケース42には、分草体38aによって分草された未刈り穀稈を起立させる複数の引起タイン42aがそれぞれ備えられている。1条分の複数の引起タイン42aは、1本のエンドレス状の引起タインチェン42bに略等間隔に配置されている。引起ケース42は分草体38aの後方に配置されている。引起ケース42は上下方向に長く後傾姿勢に設けられている。引起ケース42の上端側は、引起駆動ケース41の下端側に連結されている。分草フレーム38に立設した引起支持フレーム38bに引起ケース42の下端側が連結されている。
【0031】
図5に示す如く、穀稈搬送装置33は、引起ケース42の後方に配置されている。穀稈搬送装置33は、4条分の引起ケース42から導入された未刈り穀稈の株元側を掻込む4条分のスターホイル43R,43Lと掻込ベルト44R,44Lと、右側2条分の刈取り穀稈の株元側を後方に搬送する右株元搬送チェン45Rと、左側2条分の刈取り穀稈の株元側を右株元搬送チェン45Rの搬送終端側に合流させる左株元搬送チェン45Lとを備えている。また、穀稈搬送装置33は、右株元搬送チェン45Rから4条分の刈取り穀稈の株元側を受継ぐ縦搬送チェン46と、縦搬送チェン46の搬送終端部からフィードチェン6の搬送始端部に4条分の刈取り穀稈の株元側を搬送する補助株元搬送チェン74とを備えている。
【0032】
さらに、図5に示す如く、穀稈搬送装置33は、右株元搬送チェン45Rによって搬送される刈取り穀稈の穂先側を搬送する右穂先搬送タイン47Rと、左株元搬送チェン45Lによって搬送される刈取り穀稈の穂先側を搬送する左穂先搬送タイン47Lと、縦搬送チェン46によって搬送される4条分の刈取穀稈の穂先側を搬送する後穂先搬送タイン75とを備えている。刈取装置3で刈取った4条分の刈取穀稈の穂先側が、後穂先搬送タイン75の送り終端側から、扱胴51を内蔵した脱穀装置5の扱室内に搬送される。
【0033】
図5及び図7に示す如く、刈刃装置32は、左右二組のバリカン式の刈刃48R,48Lを備える。分草フレーム38の下方には、刈取装置3の左右幅方向に、横伝動フレーム37に沿って、左右二組のバリカン式の刈刃48R,48Lを設ける。左右二組の刈刃48R,48Lは、4条分のスターホイル43R,43Lと掻込ベルト44R,44Lとによって掻込まれた未刈り穀稈の株元を切断する。
【0034】
図5及び図7に示す如く、刈取装置3には、左右の刈刃48R,48Lをそれぞれ独立して駆動する左右の刈刃駆動ユニット49を備える。左右の刈刃駆動ユニット49は、横伝動フレーム37における左右側端部の上面側にそれぞれ配置されている。各刈刃駆動ユニット49には、横伝動フレーム37の横伝動軸37aに連結させる刈刃駆動軸49cと、横伝動フレーム37の上面側に突出させた刈刃駆動軸49cの上端側に配置させるクランクロッド49aと、クランクロッド49aに刈刃48R,48Lを連結させるクランクアーム体49bとを備える。左右の刈刃48R,48Lに、クランクロッド49a及びクランクアーム体49bを介して、横伝動軸37aが動力伝達可能に連結されている。
【0035】
なお、実施形態では、クランクロッド49aが揺動することによって、左右の刈刃48が左右に往復移動するように構成されている。左右の刈刃駆動ユニット49によって、左側の刈刃48Lと右側の刈刃48Rは左右相反する方向に同期して往復移動させる。その結果、左右の刈刃48の往復移動によって発生する左右の刈刃48の振動(慣性力)を相殺できる(刈刃48の往復移動によって発生する振動を低減できる)。
【0036】
図7に示す如く、刈刃駆動ユニット49及び引起入力縦ケース39は、穀稈搬送装置33の穀稈搬送経路から離れた位置に配置されている。横伝動フレーム37の左右の端部に刈刃駆動軸49c及びクランクロッド49aがそれぞれ配置されている。左側の刈刃駆動軸49c及びクランクロッド49aよりも機体内方側になる横伝動フレーム37の左端部に、引起入力縦ケース39が立設されている。即ち、刈刃駆動ユニット49よりも機体内方側に引起入力縦ケース39が設置されている。
【0037】
(3).刈取装置の駆動構造
次に、主に図5を参照しながら、刈取装置3の駆動構造を説明する。図5及び図6に示す如く、丸パイプ状の刈取入力フレーム35に刈取入力軸35aを内挿する。丸パイプ状の縦伝動フレーム36に縦伝動軸36aを内挿する。丸パイプ状の横伝動フレーム37に横伝動軸37aを内挿する。刈取入力軸35aに縦伝動軸36aの一端側を動力伝達可能に連結している。縦伝動軸36aの他端側を横伝動軸37aに動力伝達可能に連結している。エンジン20からの駆動力が刈取入力軸35aに伝達される。刈取入力軸35aの回転駆動力は縦伝動軸36aを介して横伝動軸37aに伝達される。
【0038】
図5に示す如く、引起入力縦ケース39内に引起入力縦軸39aを配置させる。横伝動軸37aに引起入力縦軸39aの一端側を動力伝達可能に連結する。引起入力縦ケース39の中間に引起変速ケース39bを設ける。引起入力縦軸39aの中間に変速ギヤ39cを設ける。また、引起入力横ケース40内に引起入力横軸40aを配置する。引起入力縦軸39aの他端側に引起入力横軸40aを動力伝達可能に連結している。4条分の引起駆動ケース41内に引起タイン駆動軸41aをそれぞれ配置する。引起入力横軸40aに引起タイン駆動軸41aを動力伝達可能に連結している。
【0039】
従って、横伝動軸37aの回転力は、引起入力縦軸39a、変速ギヤ39c、引起入力横軸40a及び引起タイン駆動軸41aを介して、引起タインチェン42bに伝達される。複数の引起タイン42aの駆動によって、収穫作業時に圃場の未刈り穀稈を起立させるように構成されている。
【0040】
図5に示す如く、右株元搬送チェン45Rと、右穂先搬送タイン47Rと、右側2条分のスターホイル43Rと掻込ベルト44Rとを駆動する右搬送駆動軸72を備える。右搬送駆動軸72は、縦伝動軸36aに連結する。縦搬送チェン46を駆動する縦搬送伝動軸46aを備える。縦搬送伝動軸46aは、右搬送駆動軸72を介して縦伝動軸36aに連結する。左株元搬送チェン45Lと、左穂先搬送タイン47Lと、左側2条分のスターホイル43Lと掻込ベルト44Lとは、引起入力縦軸39aから分岐した回転駆動力によって駆動される。また、縦伝動軸36aに後搬送駆動軸76を連結する。後搬送駆動軸76によって、補助株元搬送チェン74と後穂先搬送タイン75が駆動される。
【0041】
(4).灯具部材、横カバー及び上カバーの構造
次に、図6乃至図10を参照しながら、刈取装置3(走行機体1)前方の照明や方向指示等のための灯具部材80R,80Lと、刈取装置3の左右側方を覆う左右の横カバー82R,82Lの構造について説明する。
【0042】
図6及び図7に示す如く、刈取装置3の左右側方は、合成樹脂製成形品である左右の横カバー82R,82Lと、灯具部材80R,80Lの構成要素である左右のライトハウジング83R,83Lによって覆われている。左右のライトハウジング83R,83Lも合成樹脂製成形品である。左右の横カバー82R,82Lの上方に、左右のライトハウジング83R,83Lがそれぞれ配置されている。横カバー82R,82Lによって刈取装置3における左右側部の下方側が覆われた状態では、横カバー82R,82Lの上端縁は、引起入力横ケース40よりも低位置にしている。ライトハウジング83R,83Lが刈取装置3における左右側部の上方側を覆っている。詳細には、横カバー82R,82Lの上端側にライトハウジング83R,83Lの下端側を沿わせて対向配置させている。側面視において、引起入力横ケース40の左右の外側面や引起ケース42の上部等に、ライトハウジング83R,83Lの配置位置が重なることになる。横カバー82R,82Lは、側面視でスターホイル43R,43L、掻込ベルト44R,44L、株元搬送チェン45R,45Lの一部、及び引起ケース42の下部等を覆っている。なお、横カバー82R,82Lの上端縁は、前側が低くなるように前傾させて形成されている。
【0043】
図6及び図7に示す如く、ライトハウジング83R,83Lの左右外側部は、横カバー82R,82Lの左右外側面から突出しないように、ライトハウジング83R,83Lから横カバー82R,82Lに亘って連続する外観に形成されている。ライトハウジング83R,83Lと横カバー82R,82Lとは一体感のある外観に仕上がっており、刈取装置3の美観を向上させている。
【0044】
ライトハウジング83R,83Lの前面側は、刈取装置3(走行機体1)前方において広い照射範囲を確保するために、引起ケース42の前面よりも前方に丸みを帯びて突出するように膨出形成(湾曲形成)されている。また、ライトハウジング83R,83Lは刈取装置3の上端よりも高位置に突出しないように設定されている。即ち、引起入力横ケース40の前面側や上面側を覆うゲートカバー105と略同じ高さに揃うように、ライトハウジング83R,83Lの前面側や上面側が形成されている。
【0045】
なお、図10に示す如く、ゲートカバー105の後端側は、引起入力横ケース40に開閉軸106を介して回動可能に連結されている。ゲートカバー105を開閉軸106回りに回動させる(ゲートカバー105を開閉回動させる)ことによって、引起入力横ケース40及び引起駆動ケース41の上部側を露出させたり隠したりすることが可能になっている。
【0046】
図6乃至図10に示すように、ライトハウジング83R,83Lの内部には、前照灯81と、補助灯としての方向指示灯84とが配置されている。ライトハウジング83R,83Lは、全体が透光性素材(ポリカーボネート樹脂等)で形成されている。左右のライトハウジング83R,83Lは左右対称形に形成されており、その内部の前照灯81及び方向指示灯84も左右対称形に配置されている。前照灯81は、刈取装置3(走行機体1)前方の圃場又は走行路面を照明可能なようにライトハウジング83R,83L内に配置され、方向指示灯84は、刈取装置3(走行機体1)前方及び側方から視認可能なようにライトハウジング83R,83L内に配置されている。実施形態では、ライトハウジング83R,83L内の上部に方向指示灯84が位置し、方向指示灯84の下方に前照灯81が位置している。
【0047】
次に、図10等を参照しながら、ライトハウジング83R,83Lの内部構造について説明する。図10に示す如く、前照灯81は、前照灯リフレクタ110(前照灯81用の反射鏡)と、該リフレクタ110の底部(奥底部)に位置する前照バルブ112(前照灯電球)とを備えている。方向指示灯84は、方向指示リフレクタ114(方向指示灯84用の反射鏡)と、該方向指示リフレクタ114の底部(奥底部)に位置する方向指示バルブ116(方向指示灯電球)とを備えている。ライトハウジング83R,83L内の上下に、方向指示灯84と前照灯81とが組み付けられている。実施形態では、前照灯リフレクタ110と方向指示リフレクタ114とがリフレクタ体118として一体的に形成されている。図示は省略するが、ライトハウジング83R,83Lは、リフレクタ体118の前面側に係脱可能に被せられている。ライトハウジング83R,83L、前照灯81及び方向指示灯84が灯具部材80R,80Lを構成している。
【0048】
実施形態では、ライトハウジング83R,83Lの前面上部側が、方向指示灯84の照射方向に対応して方向指示灯84用のレンズとして機能するように加工されている。そして、ライトハウジング83R,83Lの前面下部側は、前照灯81の照射方向に対応して前照灯81用のレンズとして機能するように加工されている。即ち、前照灯81及び方向指示灯84を覆うライトハウジング83R,83Lが、前照灯81や方向指示灯84に対するレンズとして利用されている。
【0049】
図6〜図10に示すように、左右の灯具部材80は、刈取装置3の左右側部に立設された引起入力縦ケース39又は引起縦フレーム50に、枝フレーム86を介して支持させている。実施形態では、引起入力縦ケース39の長手中途部に、上向きに延びる枝フレーム86の下端側がボルト締結されている。枝フレーム86は左側の横カバー82Lよりも機体内側に位置していて、枝フレーム86の長手中途部に設けられた上下一対の取付けブラケット87に、左側の灯具部材80Lを構成するリフレクタ体118の後面側が着脱可能にボルト締結されている。また、引起縦フレーム50の上部側には、右外向きに突出する上下一対の枝フレーム86が設けられている。上下両枝フレーム86は、右側の横カバー82Rよりも機体内側に位置していて、当該上下両枝フレーム86に、右側の灯具部材80Rを構成するリフレクタ体118の後面側が着脱可能にボルト締結されている。
【0050】
次に、図6乃至図10を参照しながら、穀稈搬送装置33の上方側を覆う上カバー120の構造を説明する。図6〜図10に示す如く、穀稈搬送装置33の上方側には、刈取装置3の前後方向に延長する丸パイプ状の刈取上方フレーム121を備える。刈取入力フレーム35に刈取上方フレーム121の後端側を連結する。引起入力横ケース40に締結ブラケット122を介して刈取上方フレーム121の前端側を連結する。穀稈搬送装置33の上方側で前後方向に刈取上方フレーム121が架設される。合成樹脂成形品にて形成された上カバー120が刈取上方フレーム121に着脱可能に連結される。即ち、刈取装置3の上面側の防塵カバーとして、上カバー120が使用される。上カバー120によって穀稈搬送装置33の上方側を覆い、穀稈搬送装置33から運転部10の方向に粉塵が飛散するのを防ぐように構成している。
【0051】
図6乃至図10に示す如く、左側の横カバー82Lの上端側は、側面視で左側のライトハウジング83Lの後端側より後方に延出している。横カバー82Lの上端延出部と、ライトハウジング83Lの後端側(上面及び後側面側の端縁)と、ゲートカバー105の後端側とには、上カバー120の左側前部を沿わせて対向配置させている。即ち、横カバー82Lの上方側、ライトハウジング83Lの後方側及びゲートカバー105の後方側が、上カバー120の左側前部にて遮蔽されている。実施形態では、横カバー82Lの上方側、ライトハウジング83Lの後方側、ゲートカバー105の後方側、及び上カバー120の左側前部は、対向部の段差や隙間を目立たせずに連続する外観となるように、互いに重なり合っている。このため、横カバー82L、ライトハウジング83L、ゲートカバー105及び上カバー120は、全体的にまとまって一体感のある外観に仕上がっており、刈取装置3の美観向上に効果を発揮している。
【0052】
図6〜図10に示すように、引起入力縦ケース39側(左側)の枝フレーム86は上向きに延びていて、上カバー120を下から上向きに貫通している。左側の枝フレーム86のうち上カバー120より下側の部位に、左側のリフレクタ体118を支持する上下一対の取付けブラケット87が溶接等で固定されている。従って、左側の枝フレーム86のうち上カバー120より下側の部位に、左側の灯具部材80Lが着脱可能に連結されることになる。上カバー120を貫通した枝フレーム86の上端側に、バックミラー180が向き変更可能で且つ着脱可能に取り付けられている。
【0053】
なお、図1乃至図4に示す如く、脱穀装置5の上面側にはオーガスタンド125を立設させている。オーガスタンド125を介して走行機体1における上方の収納位置に排出オーガ8を支持している。排出オーガ8は、オーガスタンド125によって略水平姿勢に支持される。図3に示す如く、走行機体1の右後方の隅部から左前方の隅部に向けて、収納位置の排出オーガ8が延長される。また、排出オーガ8の中間の下面側に作業灯126を配置する。ゲートカバー105の略直上の排出オーガ8に作業灯126が支持される。最右側の分草体38aに作業灯126の光が照射される。夜間作業等において、圃場の既刈り面に隣接した最右側の未刈り穀稈の株元に対する最右側の分草体38aの先端位置がオペレータによって確認できる。
【0054】
(5).第1のまとめ
図6及び図10等に示す如く、エンジン20を搭載した走行機体1と、穀稈引起装置31及び刈刃装置32及び穀稈搬送装置33等を有した刈取装置3と、刈取装置3の側方を覆う横カバー82R,82Lと、刈取装置の上方を覆う上カバー120と、前照灯81を内蔵するライトハウジング83R,83Lとを備えるコンバインにおいて、横カバー82R,82Lの上端側にライトハウジング83R,83Lの下端側を連結させ、横カバー82R,82Lによって刈取装置3の下方側部を覆い、ライトハウジング83R,83Lによって刈取装置3の上方側部を覆うように構成している。したがって、ライトハウジング83R,83Lに殆ど関連させることなく、横カバー82R,82Lを簡単な形状に形成できる。横カバー82R,82Lよりもライトハウジング83R,83Lを高位置に設置することによって、刈取装置3の高位置に前照灯81を簡単に配置できる。刈取装置3の前方を効果的に照明できる。
【0055】
図6及び図7等に示す如く、ライトハウジング83R,83Lの後端側と、横カバー82R,82Lの上端側とに、上カバー120の前端側を連結させている。したがって、ライトハウジング83R,83Lの後端側又は横カバー82R,82Lの上端側が上カバー120の前端側によって遮蔽でき、上カバー120によってライトハウジング83R,83Lの後部を簡単に保護し得るものでありながら、刈取装置3の外観形状をシンプルに形成できる。
【0056】
図8等に示す如く、刈取装置3の刈取フレーム30に立設する引起入力用の支持ケースとしての引起入力縦ケース39を備え、引起入力横ケース40に引起入力縦ケース39の上端側を連結する構造であって、引起入力縦ケース39と横カバー82R,82Lの間に、平面視で、ライトハウジング83R,83L内の前照灯81と、刈刃装置32に動力を伝達する刈刃駆動軸49cとを配置している。したがって、刈刃装置32の駆動機構を穀稈搬送経路から離反させて配置できるものでありながら、刈取装置3の左右幅寸法が制限される機体構造であっても、刈取装置3の機内方に引起入力縦ケース39を配置でき、引起入力縦ケース39と横カバー82R,82Lの間に、前照灯81の左右方向の設置スペースを簡単に確保できる。
【0057】
図6乃至図10に示す如く、走行機体1の前部に設けられた刈取装置3に、圃場の未刈り穀稈を引き起こすための穀稈引起装置31を備えており、前記穀稈引起装置31の左右両外側に横カバー82R,82L及び灯具部材80R,80Lが配置されているコンバインであって、前記穀稈引起装置31の左右外側を前記横カバー82R,82L及び前記灯具部材80R,80Lにて覆うように、前記横カバー82R,82Lの上端側に前記灯具部材80R,80Lの下端側を沿わせて対向配置させており、前記灯具部材80R,80Lは、前記刈取装置3の左右側部に立設された引起縦パイプ39,50に枝フレーム86を介して支持させているから、前記横カバー82R,82L及び前記灯具部材80R,80Lを連続する(一体感のある)外観に仕上げて、見栄えを向上させたものでありながら、前記引起縦パイプ39,50につながる前記枝フレーム86を利用して、前記灯具部材80R,80Lを簡単且つ高剛性に支持できる。前記灯具部材80R,80Lの支持構造を簡単に構成できることになる。
【0058】
また、左側の前記横カバー82Lの上端側は側面視で前記灯具部材80Lの後端側より後方に延出しており、前記刈取装置3の上面側を覆う上カバー120の左側前部を、前記横カバー82Lの上端延出部と前記灯具部材80Lの後端側とに沿わせて対向配置させているから、前記横カバー82L及び前記灯具部材80Lだけでなく、前記上カバー120及び前記穀稈引起装置31まで含めて、一体感のある外観にでき、前記刈取装置3ひいてはコンバインの美観をより一層向上できる。
【0059】
更に、左側の前記枝フレーム86は前記上カバー120を下から上向きに貫通していて、前記枝フレーム86のうち前記上カバー120より下側の部位に前記灯具部材80Lが着脱可能に連結されており、前記枝フレーム86の上端側にバックミラー108が取り付けられているから、前記灯具部材80Lと前記横カバー82Lとを各別に着脱操作することが可能になり、前記灯具部材80L又は前記横カバー82Lの組付け分解作業性を向上できる。その上、前記灯具部材80L支持用の前記枝フレーム86を前記バックミラー108支持用に兼用でき、部品コストを抑制できるという利点もある。
【0060】
(6).サイドデバイダ及びデバイダレバーの構造
次に、主として図11〜図13を参照しながら、サイドデバイダ240とデバイダレバー250との構造について説明する。図11及び図12に示すように、刈取装置3の横一側部(実施形態では左側部)にはサイドデバイダ240が設けられている。サイドデバイダ240は、収穫作業の際に、前進する走行機体1がその横一側方にある未刈り穀稈を巻き込んだり走行クローラ2にて踏み付けたりしないように、未刈り穀稈を横方向外向き(走行機体1の横一側部から離れる方向)に押しやる(捌く)ためのものである。
【0061】
サイドデバイダ240は、刈取装置3に近接するように跳ね上げ回動して収納可能に構成されている。すなわち、サイドデバイダ240は、刈取装置3の横一側部寄りの箇所を支点にした上下回動(起伏回動)にて、横方向外向きに張り出した作業姿勢(図11及び図12の実線状態参照)と、刈取装置3に近接して起立した収納姿勢(図11の二点鎖線状態参照)とに姿勢変更可能に構成されている。
【0062】
実施形態では、最左側の分草フレーム38に立設された引起支持フレーム38bに、左右外向きに突出する前ブラケット板241が固定されている。金属パイプからなるサイドデバイダ240の前部側は、前後長手の軸ピン242を介して、前ブラケット板241に回動可能に連結されている(図12参照)。また、図11に示すように、横伝動フレーム37の左端部に配置された刈刃駆動ユニット49の背面側に、後ブラケット板243が固定されている。後ブラケット板243には、軸ピン242と同一軸線上に位置する前後長手の枢支ピン軸244を介して、回動プレート245が回動可能に連結されている。回動プレート245には、サイドデバイダ240の長手中途部から機体内側に向けて延びる揺動パイプ240aが固着されている。この場合、回動プレート245を枢支ピン軸244回りに回動させることによって、揺動パイプ240aひいてはサイドデバイダ240が軸ピン242及び枢支ピン軸244の共通軸線回りに回動する。その結果、サイドデバイダ240が作業姿勢と収納姿勢とに姿勢変更することになる。
【0063】
なお、回動プレート245には、枢支ピン軸244を中心とする略円弧状のガイド溝穴246が形成されている。回動プレート245に固着された規制ピン247がガイド溝穴に挿通されている。ガイド溝穴246に規制される規制ピン247の移動可能範囲がサイドデバイダ240の起伏回動ストロークを確定している(サイドデバイダ240の起伏回動範囲はガイド溝穴246によって規制されている)。
【0064】
図11〜図13に示すように、刈取装置3における穀稈引起装置31の上部のうち、走行機体1の運転部10から前方を見ているオペレータの視界に入る位置に、サイドデバイダ240を機械的に姿勢変更操作する手動操作手段としてのデバイダレバー250が配置されている。実施形態のデバイダレバー250は、穀稈引起装置31の上部に位置する引起入力横ケース40に沿って横向きに延びている。デバイダレバー250の先端握り部250aは上向きに折り曲げ形成されている。一方、締結ブラケット122の左右中央側に固着された操作ガイド板251には、左右横長の案内溝252が形成されている。デバイダレバー250の先端握り部250aは、操作ガイド板251の案内溝252を下から上向きに貫通している。従って、デバイダレバー250は、操作ガイド板251の案内溝252に沿って左右スライド操作可能になっている。デバイダレバー250のスライド範囲は案内溝252によって規制される。
【0065】
デバイダレバー250とサイドデバイダ240とは、刈取装置3の左側部に配置された引起入力縦ケース39に沿って縦向きに延びる中継リンク杆253を介して連動連結されている。実施形態では、図13に詳細に示すように、引起入力横ケース40と引起入力縦ケース39とをつなぐコーナ部にリンクブラケット254がボルト締結されている。リンクブラケット254には、前後長手のリンク支軸255がリンクブラケット254を貫通した状態で固定されている。リンク支軸255の後部側には、リンクアーム256の角ボス部256aが回動可能で且つ抜け不能に被嵌されている。リンクアーム256における縦アーム部256bの自由端側に、デバイダレバー250の基端側が前後向きのピンにて回動可能に枢着されている。リンクアーム256における横アーム部256cの自由端側に、中継リンク杆253の上端側が前後向きのピンにて回動可能に枢着されている。中継リンク杆253の下端側は、前後向きのピンにて回動プレート245に回動可能に枢着されている(図11及び図12参照)。
【0066】
デバイダレバー250の左右スライド操作によって、リンクアーム256がリンク支軸255回りに回動して中継リンク杆253が上下に押し引きされる。その結果、回動プレート245が枢支ピン軸244回りに上下回動して、サイドデバイダ240を作業姿勢と収納姿勢とに姿勢変更させることになる。ここで、実施形態では、デバイダレバー250を運転部10から離れる左側にスライド操作すると、サイドデバイダ240が横方向外向きに離れる作業姿勢になり、デバイダレバー250を運転部10に近付く右側にスライド操作すると、サイドデバイダ240が刈取装置3に近接する収納姿勢になるように構成されている。また、図11から明らかなように、デバイダレバー250、リンクアーム256及び中継リンク杆253は、引起入力横ケース40又は引起入力縦ケース39に沿わせて配置されていて、穀稈搬送装置33の穀稈搬送経路から離されている。従って、サイドデバイダ240の操作系統にて、刈取穀稈の搬送が妨げられるおそれはない。
【0067】
なお、実施形態におけるデバイダレバー250の基端側には、横長筒状の筒ボス体257が左右ずれ不能で且つ相対回動可能に被嵌されている。筒ボス体257に固着された連結片258が、リンクアーム256における縦アーム部256bの自由端側に前後向きのピンにて回動可能に枢着されている。従って、デバイダレバー250は長手軸部回りの前後方向に傾動操作可能になっている。一方、操作ガイド板251における案内溝252の左右両端部には前向きに延びる切り欠き溝がそれぞれ形成されている。デバイダレバー250の先端握り部250aを各切り欠き溝に向けて前倒しすることによって、デバイダレバー250は左右スライド不能に保持される。その結果、サイドデバイダ240は作業姿勢又は収納姿勢に保持されることになる。
【0068】
(7).引起変速ケース及び引起変速レバーの構造
次に、主として図11、図12及び図14を参照しながら、引起変速ケース39bと引起変速レバー260との構造について説明する。図11及び図12に示すように、引起入力縦ケース39の長手中途部に、変速ギヤ機構である引起変速機構を内蔵した引起変速ケース39bが設けられている。実施形態では、引起入力縦ケース39内の引起入力縦軸39aに引起変速機構を関連させ、穀稈引起装置31の駆動力、つまり各引起ケース42における引起タイン42bの駆動速度を高速・低速の2段階に変速可能に構成されている(図5参照)。
【0069】
引起変速機構の構成要素である変速ギヤ39cには、引起変速ケース39bを上下に貫通する変速操作用のシフト軸261に設けられたシフトフォーク(図示省略)が連結されている。シフト軸261ひいてはシフトフォークの上下スライド移動によって、変速ギヤ39cと噛み合うギヤが択一的に選択され、各引起ケース42における引起タイン42bの駆動速度が高速・低速の2段階に変速されることになる。
【0070】
図11、図12及び図14に示すように、刈取装置3の上面側を覆う上カバー120の下方に位置する刈取上方フレーム121に、引起用手動操作手段としての引起変速レバー260が左右回動可能に支持されている。実施形態では、刈取上方フレーム121における長手中途部の上面側に、レバーブラケット262が固定されている。レバーブラケット262に、前後に長い引起変速レバー260の長手中途部が縦向きのピンにて回動可能に連結されている。引起し変速レバー260の先端握り部は、走行機体1における運転部10の左側方に位置することになる。
【0071】
引起変速レバー260とシフト軸261とは、デバイダレバー250と平行状に穀稈引起装置31の上部(引起入力横ケース40)に沿って横向きに延びる変速リンク杆263を介して連動連結されている。実施形態では、図14に詳細に示すように、リンクブラケット254に固定されたリンク支軸255の前部側に、L字アーム264のコーナ部が回動可能で且つ抜け不能に被嵌されている。L字アーム264における縦アーム部264bの自由端側に、変速リンク杆263の一端側が前後向きのピンを介して回動可能に枢着されている。変速リンク杆の他端側は、縦向きのピンを介して引起変速レバー260の他端側に回動可能に枢着されている。L字アーム264における横アーム部264cの自由端側に、シフト軸261の上端側が前後向きのピンにて枢着されている。
【0072】
この場合、リンクアーム256及びL字アーム264の回動中心は、いずれもリンク支軸255であって共通になっている。また、リンクアーム256とL字アーム264とがリンクブラケット254を挟んで前後に分かれて配置されていることから明らかなように、デバイダレバー250と変速リンク杆263とは、互いに干渉することなく引起入力横ケース40に沿って平行状に並べて配置されている。
【0073】
引起変速レバー260の左右回動操作によって、変速リンク杆263が左右スライド移動してL字アーム264がリンク支軸255回りに回動し、シフト軸261が上下に押し引きされる。その結果、各引起ケース42における引起タイン42bの駆動速度が高速・低速の2段階に変速されることになる。
【0074】
(8).第2のまとめ
上記の記載並びに図11〜図13から明らかなように、刈取装置3の横一側部に、横方向外向きに張り出して未刈り穀稈を押しやるためのサイドデバイダ240を備えており、前記サイドデバイダ240が前記刈取装置3に近接するように跳ね上げ回動して収納可能に構成されているコンバインであって、前記サイドデバイダ240を機械的に姿勢変更操作するための手動操作手段250が、前記刈取装置3における穀稈引起装置31の上部のうち、走行機体1の運転部10から前方を見ているオペレータの視界に入る位置に設けられているから、前記運転部10に搭乗したオペレータの視界内に前記手動操作手段250が入り易く、収穫作業に入る前に前記サイドデバイダ240を作業姿勢にしておくことに気付き易くなる。このため、収穫作業時における前記サイドデバイダ240の出し忘れを抑制できる。また、オペレータは前記手動操作手段250の配置位置を把握し易く、利便性も高い。しかも、前記サイドデバイダ240と姿勢変更操作用の前記手動操作手段250とを機械的に連動連結する構成であるから、前記サイドデバイダ240の姿勢変更のための構造として、例えばアクチュエータを用いる場合と比較すると、構造が簡単で故障し難く、製造コストも安価に抑えられるのである。
【0075】
上記の記載並びに図11〜図13から明らかなように、前記手動操作手段250は前記穀稈引起装置31の上部に沿って横向きに延びており、前記サイドデバイダ240と前記手動操作手段250とは、前記刈取装置3の左右側部に配置された引起縦パイプ39に沿って縦向きに延びる中継リンク杆253を介して連動連結されており、前記手動操作手段250を左右スライド操作することによって、前記中継リンク杆253が上下動して前記サイドデバイダ240を姿勢変更させるように構成されているから、例えば手扱ぎ作業時に前記サイドデバイダ240自体を手動にて姿勢変更でき、前記手動操作手段250の操作状態も前記サイドデバイダ240の姿勢に対応して切り換えできる。従って、前記サイドデバイダ240の取り扱い性が向上する。
【0076】
特に実施形態では、前記手動操作手段250を前記運転部10から離れる方向に操作すると、前記サイドデバイダ240が横方向外向きに離れる作業姿勢になり、前記手動操作手段250を前記運転部10に近付く方向に操作すると、前記サイドデバイダ240が前記刈取装置3に近接する収納姿勢になるから、前記手動操作手段250の操作状態と前記サイドデバイダ240の姿勢との関係が直感的に分かり易く、ユーザーフレンドリー性に優れるという利点もある。
【0077】
その上、前記手動操作手段250が前記穀稈引起装置31の上部に沿い、前記中継リンク杆253が前記引起縦パイプ39に沿うので、前記サイドデバイダ240の操作系統が刈取穀稈の穀稈搬送経路から離れることになる。つまり、前記サイドデバイダ240の姿勢変更のための構造(操作系統)を、機械的な連結機構でありながら、刈取穀稈の搬送を妨げることなく簡単且つコンパクトに構成できる。
【0078】
上記の記載並びに図11、図12及び図14から明らかなように、前記引起縦パイプ39の中途部に、前記穀稈引起装置31の駆動力を変速する引起変速ケース39bが配置されており、前記刈取装置3の上面側を覆う上カバー120の下方に位置する刈取上方フレーム121に、前記引起変速ケース39bにおける変速操作用のシフト軸261に連動連結された引起用手動操作手段260が左右回動可能に支持されており、前記引起用手動操作手段260と前記シフト軸261とを中継する変速リンク杆263は、前記手動操作手段250と平行状に前記穀稈引起装置31の上部に沿って横向きに延びているから、前記サイドデバイダ240の操作系統だけでなく、前記引起変速ケース39bの操作系統まで含めて、機械的な連結機構を採用しながら、刈取穀稈の搬送を妨げることなく簡単且つコンパクトに構成できる。前記上カバー120の下方にある前記刈取上方フレーム121に、前記引起用手動操作手段260を左右回動可能に支持するから、前記引起用手動操作手段260を操作する際に、前記上カバー120の存在が邪魔にならない。
【0079】
(9).穀稈引起装置の詳細構造
次に、主として図15乃至図28を参照しながら、4条刈り用の穀稈引起装置31の詳細構造について説明する。図5及び図15等に示すように、穀稈引起装置31には、圃場の未刈り穀稈を起立させる複数の引起タイン42aを有する引起ケース42を4条分備えている。図17、図18及び図20〜図24に示すように、各引起ケース42は、前後一対の前面板271及び背面板272とにより、上下に長い中空状に形成されている。前面板271の前面側には表面化粧板273が取り付けられている。引起ケース42内の上部側に配置された引起スプロケット274及びテンションローラ275と、下部側に配置された伝動ローラとしての従動ローラ276とに、エンドレス状(無端帯状)の引起タインチェン42bが巻き掛けられている。引起タインチェン42bに、複数(1条分)の引起タイン42aが等間隔に取り付けられている。
【0080】
図22に詳細に示すように、引起スプロケット274の回転中心部に連結される引起中継軸277は、ギヤケースとしての引起駆動ケース41の下端開口部278から前向きに突出している。引起タイン駆動軸41aの回転動力は、引起駆動ケース41内の下部側にある傘歯車機構279を介して、引起中継軸277に伝達される。引起中継軸277に伝達された動力にて引起スプロケット274が回転することにより、引起タインチェン42bに取り付けられた複数の引起タイン41aが、収穫作業時に圃場の未刈り穀稈を起立させるように駆動することになる。図18に詳細に示すように、前面板271と背面板272との間には、各引起タイン42aを横向きの突出姿勢に保持するためのタインガイド285が設けられている。
【0081】
図17及び図22に示すように、引起駆動ケース41のうち下端開口部278よりさらに下側の下端部は、引起ケース42における背面板272に固定された連結ブラケット286にボルト締結されている。また、引起駆動ケース41における長手中途部の左右両側には、係止ピン287が横方向外向きに突設されている。そして、前面板271と背面板272との間の上部側に設けられた囲いブロック288に固定された係合爪289を、引起駆動ケース41側の係止ピン287に係脱可能に係合させている。実施形態の係合爪289は、取付け強度向上のために、引起駆動ケース41の前面側にもボルト締結されている。
【0082】
図18〜図21に示すように、従動ローラ276は前面板271と背面板272との間の下部側に位置している。従動ローラ276の回転中心部には、ボス軸体280が相対回転可能に装着されている。ボス軸体280は、背面板272とこれの背面側のうち従動ローラ276の箇所に設けられた補強板281とを貫通している。ボス軸体280の軸穴に頭部付きの支持ボルト282を前面板271側から背面板272を経て補強板281まで挿通させ、補強板281を貫通した支持ボルト282の先端側を、後方からのナット283にて締め付けることによって、引起ケース42の下部側が支持ボルト282の頭部とナット283とにより挟み付け固定されている。すなわち、1組の支持ボルト282及びナット283によって、引起ケース42の下部側は、分草フレーム38の構成要素である分岐フレームとしての引起支持フレーム38bに着脱可能に締結(連結)されている。従って、ナット283を緩めて外すだけで、引起ケース42の下部側を引起支持フレーム38bから分離することが可能になっている(図20及び図21参照)。支持ボルト282が支持軸体を構成している。
【0083】
なお、補強板281には、後ろ向きに突出する位置決めピン284が取り付けられている。引起支持フレーム38b側の位置決め穴に、補強板281側の位置決めピン284を挿入することによって、引起ケース42下部側の引起支持フレーム38bに対する取付け位置が決まることになる。また、支持ボルト282の頭部は表面化粧板273にて隠されている。テンションローラ275は、引起駆動ケース41の下端開口部278に、引起タインチェン42bが緊張・弛緩する方向に移動可能となるように設けられている。
【0084】
図15〜図17に示すように、中央の引起支持フレーム38bには、穀稈搬送装置31における株元搬送装置45R,45Lの穀稈搬送側に臨む中搬送ガイド284が取り付けられている。実施形態では、右側の中搬送ガイド284の先端側を、右側2条分の刈取り穀稈の株元側を後方に搬送する右株元搬送チェン45Rの穀稈搬送側に対峙させている。右側の中搬送ガイド284の基端側が中央の引起支持フレーム38bに着脱可能に締結されている。そして、左側の中搬送ガイド284の先端側を、左側2条分の刈取り穀稈の株元側を右株元搬送チェン45Rの搬送終端側に合流させる左株元搬送チェン45Lの穀稈搬送側に対峙させている。左側の中搬送ガイド284の基端側は、右側の中搬送ガイド284と同様に、中央の引起支持フレーム38bに着脱可能に締結されている。
【0085】
図15乃至図17に示す如く、左側と中央と右側に、引起横パイプとしての引起入力横ケース40を三分割して形成する。引起変速ケース39bに左側の引起駆動ケース41を介して左側の引起入力横ケース40の左側端を連結している。左側の引起入力横ケース40の右側端に、中央左寄りの引起駆動ケース41を介して中央の引起入力横ケース40の左側端を連結している。中央の引起入力横ケース40の右側端に、中央右寄りの引起駆動ケース41を介して右側の引起入力横ケース40の左側端を連結している。右側の引起入力横ケース40の右側端に、右側の引起駆動ケース41を介して引起縦フレーム50を連結している。すなわち、三分割した引起入力横ケース40を介して4条分の引起駆動ケース41を横並びに連結している。従って、三分割した引起入力横ケース40と4条分の引起駆動ケース41とが、各引起ケース42や刈取装置3全体を、穀稈引起力による変形から守るための強度メンバーに構成されている。
【0086】
図15、図16及び図24〜図28に示す如く、三分割した引起入力横ケース40と4条分の引起駆動ケース41とに1本の引起入力横軸40aを貫通させている。引起駆動ケース41の上部側にある両端開口部136内に設けられたベヤリング軸受131を介して、引起入力横軸40aを回転自在に軸支している。引起入力縦ケース39内の引起入力縦軸39aには、一組のべベルギヤ機構132(図15及び図16参照)を介して引起入力横軸40aを連結している。引起入力横軸40aには、動力分岐機構を構成する四組のべベルギヤ機構133を介して4条分の引起タイン駆動軸41aを連結している。すなわち、4条分の引起タイン42aが引起入力横軸40aを介してそれぞれ駆動されるように構成している。実施形態の引起駆動ケース41は、アルミダイカスト製で筒状に形成されている。また、実施形態では、引起駆動ケース41が、その内部に動力分岐機構としてのベベルギヤ機構133、引起タイン駆動軸41a、傘歯車機構279、引起中継軸277等を組み込んだ状態でユニット化されている。なお、三分割した引起入力横ケース40は、刈取上方フレーム121に溶接された締結ブラケット122に、ケース固定ボルト134にて着脱可能にそれぞれ締結されている。
【0087】
図22乃至図28に示す如く、引起駆動ケース41の上部側には、隣接する引起入力横ケース40の端部に形成された円筒開口部135に嵌る挿入ボス部としての両端開口部136が左右外向きに突出形成されている。引起駆動ケース41の両端開口部136に、引起入力横ケース40の端部に一体的に形成された円筒開口部135を被嵌させる。引起駆動ケース41の両端開口部136に、引起入力横ケース40の円筒開口部135を回動可能に差し込み嵌合させ、引起駆動ケース41の両端開口部136に引起入力横軸40aを貫通させている(動力分岐機構におけるベベルギヤ機構133の上ベベルギヤ133aを一体回転可能に貫通させている。)。引起入力横ケース40に、引起駆動ケース41が引起入力横軸40a(横軸心)回りに回動可能に連結されている。引起入力横軸40a回りに引起駆動ケース41を回動させることによって、引起駆動ケース41に一体的に連結された引起ケース42も、引起入力横軸40a回りに回動するように構成している。
【0088】
図22乃至図28に示す如く、引起入力横ケース40における一端側の円筒開口部135の外周に一端側フランジ137を一体的に形成する。引起入力横ケース40における他端側の円筒開口部135の外周に他端側フランジ138を一体的に形成する。引起駆動ケース41の上部側に膨出部139を一体的に形成する。円筒開口部135と両端開口部136を介して、引起入力横ケース40と引起駆動ケース41を合体させた(組み合わせた)ときに、引起入力横ケース40の一端側フランジ137と、引起駆動ケース41の膨出部139と、引起入力横ケース40の他端側フランジ138とが当接するように構成している。
【0089】
図22乃至図28に示す如く、引起入力横ケース40の一端側フランジ137と、引起駆動ケース41の膨出部139と、引起入力横ケース40の他端側フランジ138とには、引起入力横軸40a(横軸心)回りの取付け位相ごとに互いに対応するように、ボルト孔としてのボルト挿入孔141をそれぞれ形成する。引起入力横ケース40の一端側フランジ137の一側方から各ボルト挿入孔141にケース連結ボルト142を挿入するように構成している。引起入力横ケース40における他端側フランジ138のボルト挿入孔141は雌ねじ孔になっている。ケース連結ボルト142の先端側のネジ144を他端側フランジ138のボルト挿入孔141にねじ込むことによって、引起入力横ケース40と引起駆動ケース41とがケース連結ボルト142にて締結され、引起ケース42が図23の実線に示す穀稈引起し作業姿勢に支持されるように構成している。
【0090】
図24の実線に示すメンテナンス姿勢に引起ケース42の下端側を上方に持上げたときに、引起入力横軸40a(横軸心)回りの取付け位相に対応して、引起駆動ケース41のボルト挿入孔141に連通するボルト孔としての装着孔145が、引起入力横ケース40の両フランジ137,138に形成されている。引起入力横ケース40における他端側フランジ138の装着孔145は雌ねじ孔になっている。引起駆動ケース41と引起ケース42を、図23の実線に示す穀稈引起し作業姿勢から引起入力横軸40a回りに一体的に回動させて、図24の実線に示すメンテナンス姿勢に引起ケース42の下端側を上方に持上げたときに、引起駆動ケース41のボルト挿入孔141に両装着孔145が連通するように構成している。
【0091】
すなわち、図24の実線に示すメンテナンス姿勢に引起ケース42の下端側を上方に持上げたときに、引起駆動ケース41のボルト挿入孔141と、引起入力横ケース40の装着孔145とに、ケース連結ボルト142を挿入するように構成している。ケース連結ボルト142の先端側のネジ144を他端側フランジの装着孔145にねじ込むことによって、引起入力横ケース40と引起駆動ケース41がケース連結ボルト142にて締結され、図24の実線に示すメンテナンス姿勢(非穀稈引起し作業位置)に引起駆動ケース41と引起ケース42とが支持されるように構成している(図24及び図28参照)。
【0092】
なお、図24の実線に示すメンテナンス姿勢に引起ケース42の下端側を上方に持上げたときに、引起駆動ケース41のボルト挿入孔141と、引起入力横ケース40の装着孔145とに、ケース連結ボルト142を挿入した状態では、引起入力横ケース40の他端側フランジ138に装着ネジ孔146にケース連結ボルト142をねじ込んでいなくても、図24の実線に示すメンテナンス姿勢(非穀稈引起し作業位置)に引起駆動ケース41と引起ケース42が支持されることは云うまでもない。
【0093】
また、図24の実線に示すメンテナンス姿勢に引起ケース42の下端側を上方に持上げる場合、前記分草ボルト38cの締結を解除して、分草フレーム38の前端側から分草体38aを分離した後、ケース連結ボルト142の締結を解除して、引起ケース42の下端側を上方に持上げ、装着孔145又は装着ネジ孔146にケース連結ボルト142を挿入して、図24の実線に示すメンテナンス姿勢に引起ケース42を支持するように構成している。すなわち、分草フレーム38から分草体38aを分離し、引起ケース42下部側のナット283を緩めて外して、引起ケース42の下部側を引起支持フレーム38bより分離してから、ケース連結ボルト142の締結を解除し、引起入力横軸40a回りに引起ケース42を回動させ、穀稈引起し位置から上方の非作業位置(メンテナンス位置)に引起ケース42を移動させるように構成している。
【0094】
(10).第3のまとめ
上記の記載並びに図19〜図21から明らかなように、走行機体1の前部に設けられた刈取装置3に、圃場に植立した未刈り穀稈を引き起こすための穀稈引起装置31を備えているコンバインであって、前記穀稈引起装置31における各引起ケース42内の下部にある伝動ローラ276の回転中心部を、その下方の分草フレーム38に着脱可能に取り付けることによって、前記各引起ケース42の下部を前記分草フレーム38に支持させているから、前記引起ケース42下部の支持と、前記伝動ローラ276の回転可能な状態での支持とを、前記伝動ローラ276の回転中心部にて兼用できる。前記引起ケース42及びその支持構造を簡素化して部品コストを抑制できる。また、前記分草フレーム38に対する前記引起ケース42の着脱作業性も向上する。
【0095】
上記の記載並びに図19〜図21から明らかなように、前記伝動ローラ276の回転中心部である支持軸体282は、前記引起ケース42の背面側に突出した状態で、前記伝動ローラ276を回転可能に軸支しており、前記支持軸体282の背面側への突出部が、前記分草フレーム38に着脱可能に締結されるボルトとして機能しているから、対応するナット283をねじ込んだり緩めて外したりするだけで、前記引起ケース42の下部を前記分草フレーム38に対して簡単に取り付けたり・取り外したりできる。換言すると、前記分草フレーム38に対する前記引起ケース42の着脱作業性を格段に向上できる。
【0096】
上記の記載並びに図15〜図28から明らかなように、前記各引起ケース42の背面側に設けられたギヤケース41と、隣り合う前記ギヤケース41同士を連結する複数の引起横パイプ40とが、前記引起ケース42群の上部側において交互に配置されており、前記各引起横パイプ40は前記刈取装置3の刈取上方フレーム121に支持されており、前記各ギヤケース41は、前記引起横パイプ40群の横軸心回りの上下方向に取付け位相が変更可能となるように、隣り合う前記引起横パイプ40に着脱可能に連結されているから、前記支持軸体282の連結・連結解除と、前記ギヤケース41の着脱とによって、簡単に前記引起ケース42を通常の下向き回動姿勢で支持したり、上向き回動姿勢で支持したりできる。従って、複数機種のコンバインを混在させて製作する製造場所の組立工程での作業性や、複数機種のコンバインを扱う保守サービス場所での前記引起ケース42の組み付け又は分解等のメンテナンス作業性を向上できる。
【0097】
また、多条刈り用の複数の前記引起ケース42と前記各ギヤケース41を、例えば1条分毎に簡単に分解可能なユニット構造体等に形成できる。刈取り条数が異なる穀稈引起装置31の製造コストを簡単に低減でき、且つ刈取り条数が異なる穀稈引起装置31のメンテナンス作業性を向上できる。すなわち、一組の前記引起ケース42及び前記ギヤケース41を1条分の引起ユニットとして組み立てた状態で、多条用の前記引起ケース42及び前記ギヤケース41(複数の引起ユニット)に拡張して組み付けできる。更に、刈取り条数の異なる前記刈取装置3に、前記引起ケース42及び前記ギヤケース41(引起ユニット)を共用することも可能になる。
【0098】
上記の記載並びに図19〜図21から明らかなように、前記穀稈引起装置31から脱穀装置5に刈取穀稈を供給する穀稈搬送装置33を備えており、前記分草フレーム38の構成要素である分岐フレーム38bには、前記穀稈搬送装置33における株元搬送装置45R,45Lの穀稈搬送側に臨む中搬送ガイド284が着脱可能に取り付けられているから、前記引起ケース42を通常の下向き回動姿勢で支持したり、上向き回動姿勢で支持したりすることを簡単に行える上に、前記中搬送ガイド284の取付け・取外しの作業を簡単に行える。従って、前記株元搬送装置33周辺での穀稈の絡まりの修正が容易になる。
【0099】
上記の記載並びに図15〜図28から明らかなように、刈取装置3の前部に、横並び状に位置する複数の引起ケース42を有する穀稈引起装置31を備えているコンバインであって、前記各引起ケース42の背面側に設けられたギヤケース41と、隣り合う前記ギヤケース41同士を連結する複数の引起横パイプ40とが、前記引起ケース42群の上部側において交互に配置されており、前記各引起横パイプ40は前記刈取装置3の刈取上方フレーム121に支持されており、前記各ギヤケース41を、前記引起横パイプ40群の横軸心回りの上下方向に取付け位相が変更可能となるように、隣り合う前記引起横パイプ40に着脱可能に連結することによって、前記ギヤケース41群と前記引起横パイプ40群とが前記各引起ケース42に対する強度メンバーに構成されているから、前記ギヤケース41群と前記引起横パイプ40群とによって、前記各引起ケース42や前記刈取装置3を高剛性に支持できる。従って、収穫作業時における未刈り穀稈の取り込みで前記引起ケース42等の姿勢が歪んで、その後刈り取られた穀稈の取り込み姿勢や取り込み量がばらつくおそれを抑制できる。
【0100】
上記の記載並びに図15〜図28から明らかなように、前記各引起横パイプ40には横長の引起入力横軸40aを貫通させており、前記各ギヤケース41はアルミダイカスト製で筒状に形成されていて、内部に前記引起入力横軸40aから前記各引起ケース42に向かう動力伝達を中継する動力分岐機構を組み込んだ状態でユニット化されており、前記引起入力横軸40aは、前記各動力分岐機構の上ベベルギヤ133aを一体回転可能に貫通させているから、コンバインの製造に際して、動力分岐機構内蔵の前記ギヤケース41を先行して組み立てておいてから、前記各引起ケース42にユニットごと組み付けできる。従って、コンバインの製造ライン中において、前記穀稈引起装置31の組付け工数を低減でき、製造コストの低減に寄与できる。
【0101】
上記の記載並びに図15〜図28から明らかなように、前記各ギヤケース41の上部側には、隣接する前記引起横パイプ40に嵌まる挿入ボス部136が左右外向きに突出形成されており、前記各引起横パイプ40における左右各端部の外周に形成されたフランジ137,138と前記各ギヤケース41の上部側139とには、前記取付け位相ごとの互いの対応箇所にボルト孔141,145が形成されており、前記各ギヤケース41と、隣接する前記引起横パイプ40との間において、互いに合致するボルト孔141,145にケース連結ボルト142をねじ込むように構成されているから、前記引起ケース42を持上げ支持する部材を特別に設ける必要がない。前記ケース連結ボルト142を利用して、前記引起ケース42を上方回動姿勢に簡単に支持できる。作業者が一方の手で前記引起ケース42を持上げながら、他方の手で前記ケース連結ボルト142を装着して、前記穀稈搬送装置33の前方を開放できる一方、作業者が一方の手で前記引起ケース42を持上げた姿勢に支持しながら、他方の手で前記ケース連結ボルト142を取外して、前記引起ケース42を下降させることができる。前記引起ケース42や前記ギヤケース41を分解することなく、穀稈引起し位置から上方の非作業位置に前記引起ケース42を簡単に移動させることができる。
【0102】
上記の記載並びに図15〜図28から明らかなように、前記各ギヤケース41の下端部は、これに対応する前記引起ケース42の背面側にボルト締結されると共に、前記ギヤケース41の中途部から横向き突出した係止ピン287に、前記引起ケース42の背面側から突出した係合爪289を係脱可能に係合させているから、簡単な構成でありながら、前記ギヤケース41に前記引起ケース42をスムーズ且つ簡潔に組み付けでき、コンバインの製造場所での組付け作業性の向上に寄与できる。
【符号の説明】
【0103】
1 走行機体
2 走行クローラ(走行部)
3 刈取装置
31 穀稈引起装置
39 引起入力縦ケース(引起縦パイプ)
40 引起入力横ケース
133 べベルギヤ機構
133a 上ベベルギヤ
135 円筒開口部
136 両端開口部
137 一端側フランジ
138 他端側フランジ
139 膨出部
141 ボルト挿入孔
142 ケース連結ボルト
145 装着孔
276 従動ローラ
277 引起中継軸
279 傘歯車機構
280 ボス軸体
282 支持ボルト
283 ナット
284 中搬送ガイド
287 係止ピン
289 係合爪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
刈取装置の前部に、横並び状に位置する複数の引起ケースを有する穀稈引起装置を備えているコンバインであって、
前記各引起ケースの背面側に設けられたギヤケースと、隣り合う前記ギヤケース同士を連結する複数の引起横パイプとが、前記引起ケース群の上部側において交互に配置されており、前記各引起横パイプは前記刈取装置の刈取上方フレームに支持されており、前記各ギヤケースを、前記引起横パイプ群の横軸心回りの上下方向に取付け位相が変更可能となるように、隣り合う前記引起横パイプに着脱可能に連結することによって、前記ギヤケース群と前記引起横パイプ群とが前記各引起ケースに対する強度メンバーに構成されている、
コンバイン。
【請求項2】
前記各引起横パイプには横長の引起入力横軸を貫通させており、前記各ギヤケースはアルミダイカスト製で筒状に形成されていて、内部に前記引起入力横軸から前記各引起ケースに向かう動力伝達を中継する動力分岐機構を組み込んだ状態でユニット化されており、前記引起入力横軸は、前記各動力分岐機構の上ベベルギヤを一体回転可能に貫通させている、
請求項1に記載したコンバイン。
【請求項3】
前記各ギヤケースの上部側には、隣接する前記引起横パイプに嵌まる挿入ボス部が左右外向きに突出形成されており、前記各引起横パイプにおける左右各端部の外周に形成されたフランジと前記各ギヤケースの上部側とには、前記取付け位相ごとの互いの対応箇所にボルト孔が形成されており、前記各ギヤケースと、隣接する前記引起横パイプとの間において、互いに合致するボルト孔にケース連結ボルトをねじ込むように構成されている、
請求項1又は2に記載したコンバイン。
【請求項4】
前記各ギヤケースの下端部は、これに対応する前記引起ケースの背面側にボルト締結されると共に、前記ギヤケースの中途部から横向き突出した係止ピンに、前記引起ケースの背面側から突出した係合爪を係脱可能に係合させている、
請求項1〜3のうちいずれかに記載したコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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