コンバイン
【課題】引起し装置による穀粒等の運転席への飛散を防止する。
【解決手段】走行装置(2)を備えた走行車体(1)の上側に脱穀装置(3)と穀粒貯留装置(G)を左右に並べて設け、該穀粒貯留装置(G)の前側には運転席(5)を備えた操縦部(T)を設け、該操縦部(T)の前方に昇降自在な刈取装置(4)を設けたコンバインにおいて、刈取装置(4)の前部に、多数の引起ラグ(14)を備えた後上がり傾斜姿勢の引起装置(8)を設け、引起ラグ(14)の上昇移動軌跡の上方延長線上に、前後方向の傾斜姿勢を変更自在なカバー(15)を設ける。
【解決手段】走行装置(2)を備えた走行車体(1)の上側に脱穀装置(3)と穀粒貯留装置(G)を左右に並べて設け、該穀粒貯留装置(G)の前側には運転席(5)を備えた操縦部(T)を設け、該操縦部(T)の前方に昇降自在な刈取装置(4)を設けたコンバインにおいて、刈取装置(4)の前部に、多数の引起ラグ(14)を備えた後上がり傾斜姿勢の引起装置(8)を設け、引起ラグ(14)の上昇移動軌跡の上方延長線上に、前後方向の傾斜姿勢を変更自在なカバー(15)を設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に示された従来技術は、運転席の前側に穀稈を引き起す引起装置が配置されるコンバインにおいて、各引起装置の上部を左右方向に長いカバーによって被覆したものである。このようなカバーを設けることにより、穀稈(特に長稈)の引起しの際、引起ラグによって脱粒された穀粒や穀稈に付着していた水滴や泥土、さらには引起ラグに付着した泥土等が運転席側に飛散するのが防止される。この結果、運転席のオペレータに、穀粒や水滴、泥土(以下、穀粒等ともいう)が直接当たることが防止され、また、ウインドウで囲われた運転室を有するキャビン仕様のコンバインにおいては、ウインドウが水滴や泥土で汚れることが防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−176825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述の従来のカバーは、引起装置に対する位置及び姿勢を調節できないため、圃場状態や穀稈の長さ等により変化する穀粒等の飛散状況によっては、あるいはオペレータの姿勢、体型等によっては、穀粒等の飛散を効果的に遮断できなかったり、前方視界(特に分草位置の視界)が不必要に遮られたりする問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、かかる従来技術の問題を解消することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は次の技術的手段を講じる。
【0007】
すなわち、請求項1記載の発明は、走行装置(2)を備えた走行車体(1)の上側に脱穀装置(3)と穀粒貯留装置(G)を左右に並べて設け、該穀粒貯留装置(G)の前側には運転席(5)を備えた操縦部(T)を設け、該操縦部(T)の前方に昇降自在な刈取装置(4)を設けたコンバインにおいて、前記刈取装置(4)の前部に、多数の引起ラグ(14)を備えた後上がり傾斜姿勢の引起装置(8)を設け、前記引起ラグ(14)の上昇移動軌跡の上方延長線上に、前後方向の傾斜姿勢を変更自在なカバー(15)を設けたことを特徴とするコンバインである。
【0008】
請求項2記載の発明は、前記カバー(15)の後端部を左右方向の支持軸(16)で上下回動自在に支持し、カバー(15)を上昇回動させた状態で、該カバー(15)が引起ラグ(14)の上昇移動軌跡の上方延長線と側面視で略直交する構成としたことを特徴とする請求項1に記載のコンバインである。
【0009】
請求項3記載の発明は、前記カバー(15)を下降回動させた状態で、該カバー(15)の傾斜姿勢が引起装置(8)の傾斜姿勢よりも緩い後上がり傾斜姿勢になる構成としたことを特徴とする請求項2に記載のコンバインである。
【0010】
請求項4記載の発明は、前記カバー(15)を、引起ラグ(14)の上昇移動軌跡の上方延長線と側面視で略直交する姿勢と、引起装置(8)の傾斜姿勢よりも緩い後上がり傾斜姿勢とに保持する姿勢保持機構(16,17)を設けたことを特徴とする請求項3に記載のコンバインである。
【0011】
請求項5記載の発明は、前記刈取装置(4)の左右両側部を覆う刈取サイドカバー(18)を、上部サイドカバー(18a)と下部サイドカバー(18b)とに上下に分割し、上部サイドカバー(18a)を前記カバー(15)と一体化したことを特徴とする請求項1に記載のコンバインである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、カバー(15)の前後方向の傾斜姿勢を変更することで、カバー(15)による前後方向のカバー範囲を調節できるため、運転席(5)に着座したオペレータは、圃場状態や穀稈の長さ等による穀粒等の飛散状況に応じて、あるいはオペレータの姿勢、体型等に応じてカバー(15)を適切な傾斜姿勢に調節することができ、運転席(5)からの前方視界の確保、及び、運転席(5)側への穀粒等の飛散防止を図ることができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、上記請求項1記載の発明の効果を奏するうえに、カバー(15)を支持軸(16)回りに上昇回動させた場合に、このカバー(15)が引起ラグ(14)の上昇移動軌跡の上方延長線と側面視で略直交することで、オペレータ側への穀粒や泥土の飛散を効果的に阻止できるものでありながら、引起装置(8)の前側カバーの着脱が簡単に行える等、引起装置(8)のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、上記請求項2記載の発明の効果を奏するうえに、運転席(5)への穀粒等の飛散が少ないときにカバー(15)を下降回動させれば、このカバー(15)の傾斜姿勢が引起装置(8)の傾斜姿勢よりも緩い後上がり傾斜姿勢になるため、運転席(5)から刈取装置(4)前端の分草杆等を視認しやすくなり、刈取作業の能率が向上する。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、上記請求項3記載の発明の効果を奏するうえに、姿勢保持機構(16,17)によって、カバー(15)を引起ラグ(14)の上昇移動軌跡の上方延長線と側面視で略直交する姿勢と引起装置(8)の傾斜姿勢よりも緩い後上がり傾斜姿勢とに保持することで、カバー(15)の姿勢を安定させて刈取作業を円滑に行なうことができる。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、上記請求項1に記載の発明の効果を奏するうえに、上部サイドカバー(18a)を把持して、この上部サイドカバー(18a)とともにカバー(15)を上下回動させることができため、カバー(15)専用のハンドルを設けなくてもカバー(15)の姿勢変更操作を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】コンバインの側面図である。
【図2】コンバイン要部の正面図である。
【図3】コンバイン要部の平面図である。
【図4】引起装置の要部の側面図である。
【図5】コンバインの側面図である。
【図6】コンバイン要部の正面図である。
【図7】コンバイン要部の平面図である。
【図8】引起装置の要部の側面図である。
【図9】コンバインの側面図である。
【図10】コンバイン要部の正面図である。
【図11】コンバイン要部の平面図である。
【図12】引起装置の要部の側面図である。
【図13】コンバイン要部の平面図である。
【図14】コンバイン要部の正面図である。
【図15】コンバイン要部の平面図である。
【図16】コンバインの側面図である。
【図17】コンバイン要部の正面図である。
【図18】コンバイン要部の平面図である。
【図19】引起装置の要部の側面図である。
【図20】コンバイン要部の正面図である。
【図21】コンバインの側面図である。
【図22】コンバイン要部の正面図である。
【図23】補助引起装置及び引起装置の要部の側面図である。
【図24】引起装置の要部の側面図である。
【図25】引起装置の要部の側面図である。
【図26】カバー及び調節体の要部の側面図である。
【図27】カバー及び調節体の要部の平面図である。
【図28】引起装置の要部の概略縦断面図である。
【図29】カバー及び調節体の要部の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施の形態について添付図面を参照しつつ詳説する。
【0019】
図1〜図4、図5〜図8及び図9〜図12はそれぞれ異なる状態のコンバインを示すものである。このコンバインは、走行車体1の下部に左右一対の走行クローラ(走行装置)2,2を備え、走行車体1の上側には脱穀装置3とグレンタンク(穀粒貯留装置)Gを左右に並べて設け、グレンタンクGの前側には運転席5や操作ボックス6等を備えた運転操作部Tを設け、この運転操作部Tおよび脱穀装置3の前方に刈取装置4を設けている。
【0020】
刈取装置4は、圃場に植立する穀稈を左右に分草する分草体7,7…と、分草後の穀稈を引起経路Kに沿って引き起す4つの殻稈引起装置8,8,8,8と、引起後の穀稈の株元近くを切断して穀稈を刈り取る刈刃装置9と、分草後の穀稈の株元側を掻き込んで刈刃装置9を経て後方へ搬送する掻込搬送装置10と、掻込搬送後の穀稈を引き継いで揚上搬送しながら姿勢変更して脱穀装置3に受け渡し供給する揚上搬送供給装置11等を有するものである。
【0021】
刈取装置4は、刈取メインフレーム21により走行車体1に対し上下に昇降可能に装備されているものである。より詳細には、刈取メインフレーム21は、刈取懸架台22に袈設された刈取入力軸23を支点として上下に回動する構成であり、刈取昇降シリンダ24の伸縮作動により刈取装置4が昇降するようになっている。
【0022】
引起装置8は、前後に分割可能な前後の引起ケース12,13と、この引起ケース12,13に内装された、図示しない上部の駆動スプロケット及び下部の従動輪に巻回されて駆動される無端の引起チェンと、この引起チェンに所定の間隔で取り付けられた引起ラグ14とを有している。引起ラグ14は、引起チェンの駆動に伴って後斜め上方に上昇移動する際、引起ケース12,13から引起経路K側の側方に突出して穀稈を引き起すものである。前側引起ケース12は、後側引起ケース13に対し着脱自在に取り付けできる構成としてあり、上方に引き上げると係止ロック状態が解除され前側に取り外しできるようになっている。各前側引起ケース12,12,…の前面は、上端部12uがその下側の部分よりも傾斜の緩い後方傾斜姿勢となるよう屈曲形成されていて、図9に二点鎖線でオペレータの視線を示すように、着座姿勢での作業における分草体7,7…の分草位置近傍の視界が良好となり、起立姿勢での作業においては、分草位置がさらに良く見えるように構成している。符号12cはこの屈曲位置を示している。
【0023】
刈刃装置9は公知のバリカン型のものであり、刈取装置4を支持する刈取メインフレーム21の下端部から前方に突出する先端部フレームに設けられ、穂先側が引起装置8による引き起こし作用を受け、株元側が掻込搬送装置10による掻き込み作用を受けている状態の植立穀稈の株元部を切断するように構成されている。
【0024】
刈取後の穀稈は、掻込搬送装置10により後方へ搬送されて揚上搬送供給装置11に引き渡され、揚上搬送供給装置11による揚上搬送過程で姿勢変更された後、フィードチェン3Fに引き渡され脱穀装置3に供給される。揚上搬送供給装置11としては株元側をチェンと挟持杆とで挟持し、穂先側を搬送ラグで掻き上げて搬送する公知の構成を採用している。
【0025】
(カバー)
各引起装置8の上部は、左右横方向に長く構成されたカバー15によって被覆される構造になっている。カバー15は金属板により形成する他、ポリカーボネート等のプラスチック板により形成することも可能であり、その場合は透明又は半透明にしてカバー15越しの視認性を確保するのも好ましい。
【0026】
カバー15は、引起装置8の引き起し経路Kに沿って上昇する引起ラグ14の上昇軌跡の上方延長線上に配置し、前側引起ケース12の上端側12u前面をカバーする状態と、上昇移行する引起ラグ14における引起経路Kの上方をカバーする状態とに、前後方向の傾斜姿勢を変更自在に構成されている。そして、このカバー15の姿勢変更手段として、前後上下のスライド構成とすることもできるが、本実施例では図9〜図12に示されるように、左端及び右端の引起装置8の背部側に支持ステー8s,8sがそれぞれ立設されるとともに、これら支持ステー8s,8s間に左右横方向に延在する支持軸16が袈設され、カバー15はこの支持軸16を回動支点として上下に回動するように構成されている。カバー15が上方へ回動した状態が引起経路Kの上方をカバーする姿勢変更状態(開姿勢)であり、カバー15が下方へ回動した状態が前側引起ケース12の上端側12u前面をカバーする姿勢変更状態(閉姿勢)である。また、支持軸16近傍に引張スプリング17を設け、支持軸16に対して引張スプリング17が前後に支点越えすることで、カバー15を各姿勢に保持可能な構成になっており、カバー15をワンタッチで開閉することができる。即ち、この支持軸16と引張スプリング17によってカバー15の姿勢保持機構が構成される。
【0027】
分草後の穀稈は、図28に示すように、引起装置8の引起ケース12,13から引起経路K内に突出して上昇する引起ラグ14が、穀稈の株元側から穂先側にかけて作用することで引き起こされる際、この引起ラグ14に扱かれた穀粒等が運転席5のオペレータに向かって飛散することがあるが、カバー15を穀粒等の飛散方向に対して側面視で直交する開姿勢に姿勢変更することにより、飛散する穀粒等をカバー15によって効果的に遮ることができる。
【0028】
カバー15は、平板状のもの等、適宜の形状とすることができるが、本実施形態のように、上面カバー部15aと後面カバー部15bとからなるように側面視で略への宇型に形成されていると、上面カバー部15aの下面部で穀粒等の上方への飛散を阻止し、後面カバー部15bの下面部で穀粒等の後方上方への飛散を阻止することができ、従って、運転席5への穀粒等の飛散を確実に防止することができるようになるため好ましい。
【0029】
カバー15は、開状態において、上面カバー部15aが引起ラグ14の上昇軌跡の上方延長線と側面視で略直交する配置が好ましいが、後面カバー部15bが引起ラグ14の上昇軌跡の上方延長線と交差する配置とすることも可能である。また、カバー15を引起ラグ14の上昇軌跡の上方延長線から後方側にずらし、後述する調節体50をそのカバー範囲の前方拡大により引起ラグ14の上昇軌跡の上方延長線上に位置させる構造とすることも可能である。
【0030】
本実施形態の多条刈りコンバインのように、左右方向中間の引起装置の左右両側に引起経路をそれぞれ有する場合、当該引起装置の下部前方の分草体により隣接条の穀稈は分離されて左右の各引起経路に導入される。しかし、穀稈が長稈の場合等においては、図20に示すように隣接条の穀稈の穂先が絡んで分離されずに当該引起装置を跨いでクロスしたまま刈刃装置9により刈り取られ、後方に搬送されることがある。この際、当該引起装置の上端とカバー15とが接触していると、当該引起装置を跨ぐクロス部分がこの接触部分に引っ掛かり後方に通過できずに詰まってしまう。また、穀稈の搬送力により穂先の絡みが無理に解けたとしても、穂先相互のしごき作用又はカバー15と引起ケース12,13との隅部によるしごき作用により穂先の穀粒が脱粒することは避け難い。よって、左右方向中間の引起装置8の左右両側に引起経路をそれぞれ有する場合、図21〜図23に示すように、少なくとも当該引起装置8の上端とカバー15との間に穀稈通過空間15sが確保される構造とし、この穀稈通過空間15sにより左右両側の引起経路を繋ぐことにより、穀稈の穂先部分がクロスしていてもそのまま後方に通過する構造とするのが好ましい。このような穀稈通過空間15sは、カバー15の姿勢如何によらず形成される構造とすることも可能であるが、その場合、カバー15の位置が高くなり前方視界の妨げとなるため、カバー15を開姿勢としたときにのみ形成される構造とする方が好ましい。
【0031】
穀稈が倒伏状態で絡みあうような圃場状態で効果的に引起を行うために、図21〜図23に示すように、引起装置8の前方位置に、補助引起ラグ62を前方に突出させながら倒伏状態で絡みあう穀稈に対して左右に分割しながら引起回動する補助引起装置60を取り付けることがある。補助引起装置60は、補助引起ケース61と、この補助引起ケース61に内装された、図示しない伝動スプロケット及び張設輪に巻回されて駆動される無端の補助引起チェンと、この補助引起チェンに所定の間隔で取り付けられた補助引起ラグ62とを有している。補助引起ラグ62は、補助引起チェンに伴って後斜め上方に上昇移動する際、補助引起ケース61から前方に突出して穀稈を左右に分割しながら引き起すものである。このような状況における作業では、穀粒や泥土が運転席5側へ跳ね易いため前述のカバー15を設けるのが好ましいが、隣接条の穀稈の穂先が絡んで分離されずに補助引起装置60及び引起装置8を跨いでクロスしたまま搬送される現象が発生し易い。よって、特にこのような補助引起装置60を設ける場合は、図示するように前述の穀稈通過空間15sを補助引起装置60の補助引起ラグ62の作用域よりも上方に設け、補助引起装置60及び引起装置8で引起した穀稈を穂先部分がクロスしていてもそのまま後方に通過するように構成するのが好ましい。
【0032】
本実施例では、各引起装置8の左右両サイドに配置された刈取サイドカバー18,18は、上部サイドカバー18aと下部サイドカバー18bとに分割され、上部サイドカバー18aは、下部サイドカバー18bに対して上側面及び外側面上に重合し、前記カバー15と連結により一体化され、該カバー15と共に上下に揺動開閉可能に構成されている。刈取サイドカバー18,18と上部サイドカバー18aとは単一のカバー部材として形成しても良い。これにより、上部サイドカバー18aをハンドル代わりにして、上部サイドカバー18aとともにカバー15を揺動させることができため、専用のハンドルを設けなくてもカバー15の姿勢変更操作を容易に行うことができるようになる。また、本実施例では、カバー15及び上部サイドカバー18aを上方に回動させないと、前側引起ケース12及び下部サイドカバー18bの取り外しができなくなっているため、カバー15及び上部サイドカバー18aは、その下方への閉動によって前側引起ケース12及び下部サイドカバー18bをロックするロック機構の役目を果たす構造になっている。よって、上部サイドカバー18aの下部に重合した下部サイドカバー18bの着脱が簡単に行え、刈取装置のメンテナンスも容易である。
【0033】
図16〜図19に示すように、カバー15を揺動開閉するためのハンドル15Hをカバー15に取り付けることも可能である。このハンドル15Hは、運転席5からカバー15を揺動操作できるように、カバー15の運転席5に近い部位、例えば運転席5前方の部位から上方に突出しているのが好ましい。
【0034】
本実施例におけるカバー15には、その前後方向カバー範囲を拡大自在である調節体50が設けられている。この調節体50により、カバー15の前後方向の傾斜姿勢だけでなく、カバー15の前後方向カバー範囲を調節できるため、オペレータは、圃場状態や穀稈の長さ等による穀粒等の飛散状況に応じて、あるいはオペレータの姿勢、体型等に応じて、前方視界及び穀粒等の飛散防止を比較考量しつつ、カバー15を適切な位置及び姿勢に調節できるようになる。
【0035】
例えば、穀粒等が運転席5側に飛散するときには、図29(b)及び図23に示すようにカバー15の姿勢を穀粒等の飛散方向に対する交差角が直角又はそれに近くなる開姿勢に変更し、更に飛散範囲が広いとき等、必要に応じて図29(c)及び図8に示すように調節体50によりカバー範囲を前方に拡大することにより、穀粒等の飛散をカバー15で効果的に遮りつつ、前方視界を可能な限り確保することができる。一方、穀粒等の飛散が無いか、又は運転席5側への飛散が少ないときには、図29(a)及び図24に示すようにカバー15の姿勢を穀粒等の飛散方向に対して平行又はそれに近くなる閉姿勢に変更し、更に必要に応じて調節体50を非拡大状態に調節することにより、前方視界を重視した状態とすることができる。さらにこれらの中間程度のカバー範囲とするために、図29(d)及び図25に示すようにカバー15の姿勢を穀粒等の飛散方向に対して平行又はそれに近くなるように姿勢変更するとともに、調節体50を前方に拡大した状態とすることも可能である。このように、カバー15の姿勢及びカバー範囲の調節は、オペレータが任意に変更できるものであり、このような調節形態に限られるものではない。
【0036】
調節体50は、透明又は半透明のポリカーボネート等のプラスチック板により形成して調節体50越しの視認性を確保するのが好ましいが、金属板により形成することも可能である。調節体50の形状は適宜定めることができ、図示例のような矩形状の他、前端縁が弧状に張り出した形状等とすることも可能である。
【0037】
本実施形態の調節体50は、カバー15の前側カバー範囲を拡大するものであるが、後側又は前後両側のカバー範囲を拡大する構造としても良い。調節体50におけるカバー範囲の拡大量は適宜定めることができるが、図5に示すように、カバー15の前端が最も前方に位置する姿勢変更状態で前側引起ケース12の屈曲位置12cよりも後方に位置するとともに、調節体50のカバー範囲を前方に拡大することにより調節体50の前端が前側引起ケース12の屈曲位置12cよりも前方に位置しうる構成とするのが好ましい。これにより、調節体50の前端を前側引起ケース12の屈曲位置12cより後方に位置させれば、オペレータは運転席5に着座したままで分草位置を直視でき、分草引起状況の確認を容易に行うことができ、刈取作業の能率を高めることができるようになるとともに、必要に応じて調節体50の前端を前側引起ケース12の前面の屈曲位置12cよりも前方に位置させて効果的に穀粒等の飛散防止を図ることも可能となる。
【0038】
本実施形態の多条刈りコンバインでは、走行車体1の右側部分(又は左側部分)に運転席5を有し、運転席5の前方にも引起装置8を有している。このような多条刈りコンバインでは、カバー15は両端の引起装置8にわたるように延在させるとともに、調節体50は少なくとも運転席5と対応する左右方向範囲をカバーするように左右方向に延在させるのが好ましい。この場合、図1〜図12に示される例のように、カバー15の左右方向の略全体にわたり調節体50を設けると籾殻等の飛散防止効果に優れるが、図14及び図15に示すように運転席5の前方位置のみに調節体50を設けて安価で前方視界に優れる構成とすることも可能である。また、いずれにせよ、オペレータは運転席5から調節体50に手をかけて調節することができ、より的確な調節が可能となるとともに、穀稈の引起により後上方へ飛散する穀粒等のうち少なくとも運転席5に向かうものについては効果的に遮断することができるようになる。
【0039】
特に、調節体50を直接手で操作する場合は、カバー15及び調節体50は左端の引起装置8の左端部又は右端の引起装置8の右端部(特に運転席5側)まで延在しているのが好ましい。また図13に示すように、運転席5が走行車体の右側部分に位置し引起装置8が運転席5よりも右側まで張り出している場合は、この張り出し部分からの籾殻等の飛散をも防止するため、カバー15及び調節体50を運転席5の右側まで延在させるのが好ましい。運転席5が左側で引起装置8の張り出しが左側の場合も同様にカバー15及び調節体50を運転席5の左側まで延在させるのが好ましい。
【0040】
調節体50の拡大調節機構は適宜定めることができ、拡大方向に沿ってスライドする機構(図示略)を採用することもできるが、本実施例の調節体50は、図24〜図27に示すように、基端部がカバー15の前端部に設けられた左右方向に沿う調節体支持軸51によりカバー15に軸支され、先端側の部分がこの調節体支持軸51を回動支点として回動することでカバー15の前後方向カバー範囲を拡大するものである。この場合、調節体50によるカバー範囲の調節は、調節体50をカバー15に対して調節体支持軸51回りに回動することで変更できるため、変更操作がワンタッチで簡単になるだけでなく、調節体50の角度も調節できるため、前方視界の妨げとならないようにカバー範囲を拡大することも可能である。さらに、カバー15を上方に揺動させた場合には、オペレータ側への穀粒や泥土の飛散が阻止されるものでありながら、前側引起ケース12の着脱が簡単に行える等、引起装置8のメンテナンスが容易に行えるという利点もある。
【0041】
この調節体50の回動機構も適宜定めることができるが、本実施例では、調節体50に調節体支持軸51を弾力的に挟持する一対の挟持部52,53を設け、一方の挟持部52をある程度の弾性を有する平板状体(バネ材)により構成し、他方の挟持部53を調節体支持軸51が嵌合する円弧状の受け溝53dを有する板状体により構成している。これにより、簡素・安価な構成で調節体50を確実に支持できるようになるとともに、無段階の回動が可能となる。また、調節体50の回動時には、挟持部52,53と調節体支持軸51との摩擦により、接触面間の錆や埃等を素早く取り除くことができ、常時スムーズにカバーを回動させることができるようになる。
【0042】
また、本実施例の一対の挟持部52,53は挟持方向に貫通する螺子挿通孔を有し、これらの螺子挿通孔に対して一方側から他方側へ調節ボルト54bを挿し通してナット体54nに螺合させ、締め付けることにより一方の挟持部52を他方の挟持部53に対して弾力的に押し付ける構造となっているため、調節ボルト54bの締め付けトルクのみで調節体50の回動荷重を容易に調整することができる。よって、このような回動荷重調整手段を設けるのは好ましい。
【0043】
さらに、調節体支持軸51をカバー15の左右方向に間隔を空けて複数か所に設けるとカバー15の支持が安定するため好ましく、その場合に各調節体50に前述の回動荷重調整手段を設け、運転席5から遠い方の調節体支持軸51における調節体50の回動荷重を、運転席5側の調節体支持軸51における調節体50の回動荷重より弱くすると、運転席5側から調節体50を容易に回動させることができるため好ましい。
【0044】
本実施例では、調節体支持軸51をカバー15に設け、挟持部52,53を調節体50に設けているが、反対に挟持部52,53をカバー15に設け、調節体支持軸51を調節体50に設けても良い。
【0045】
他方、図示の実施例は、運転席5がウインドウで囲まれていない非キャビン型への適用例であるが、本発明は、ウインドウで囲まれた運転室を有するキャビン型にも適用することができ、その場合にもウインドウの水滴、泥土による汚れを防止できるといった利点がもたらされる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、操縦部の前側に刈取装置が配置されるコンバインに利用できるものである。
【符号の説明】
【0047】
1 走行車体
2 走行クローラ(走行装置)
3 脱穀装置
4 刈取装置
5 運転席
8 引起装置
14 引起ラグ
15 カバー
16 支持軸(姿勢保持機構)
17 引張スプリング(姿勢保持機構)
18 刈取サイドカバー
18a 上部サイドカバー
18b 下部サイドカバー
G グレンタンク(穀粒貯留装置)
T 操縦部
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に示された従来技術は、運転席の前側に穀稈を引き起す引起装置が配置されるコンバインにおいて、各引起装置の上部を左右方向に長いカバーによって被覆したものである。このようなカバーを設けることにより、穀稈(特に長稈)の引起しの際、引起ラグによって脱粒された穀粒や穀稈に付着していた水滴や泥土、さらには引起ラグに付着した泥土等が運転席側に飛散するのが防止される。この結果、運転席のオペレータに、穀粒や水滴、泥土(以下、穀粒等ともいう)が直接当たることが防止され、また、ウインドウで囲われた運転室を有するキャビン仕様のコンバインにおいては、ウインドウが水滴や泥土で汚れることが防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−176825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述の従来のカバーは、引起装置に対する位置及び姿勢を調節できないため、圃場状態や穀稈の長さ等により変化する穀粒等の飛散状況によっては、あるいはオペレータの姿勢、体型等によっては、穀粒等の飛散を効果的に遮断できなかったり、前方視界(特に分草位置の視界)が不必要に遮られたりする問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、かかる従来技術の問題を解消することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は次の技術的手段を講じる。
【0007】
すなわち、請求項1記載の発明は、走行装置(2)を備えた走行車体(1)の上側に脱穀装置(3)と穀粒貯留装置(G)を左右に並べて設け、該穀粒貯留装置(G)の前側には運転席(5)を備えた操縦部(T)を設け、該操縦部(T)の前方に昇降自在な刈取装置(4)を設けたコンバインにおいて、前記刈取装置(4)の前部に、多数の引起ラグ(14)を備えた後上がり傾斜姿勢の引起装置(8)を設け、前記引起ラグ(14)の上昇移動軌跡の上方延長線上に、前後方向の傾斜姿勢を変更自在なカバー(15)を設けたことを特徴とするコンバインである。
【0008】
請求項2記載の発明は、前記カバー(15)の後端部を左右方向の支持軸(16)で上下回動自在に支持し、カバー(15)を上昇回動させた状態で、該カバー(15)が引起ラグ(14)の上昇移動軌跡の上方延長線と側面視で略直交する構成としたことを特徴とする請求項1に記載のコンバインである。
【0009】
請求項3記載の発明は、前記カバー(15)を下降回動させた状態で、該カバー(15)の傾斜姿勢が引起装置(8)の傾斜姿勢よりも緩い後上がり傾斜姿勢になる構成としたことを特徴とする請求項2に記載のコンバインである。
【0010】
請求項4記載の発明は、前記カバー(15)を、引起ラグ(14)の上昇移動軌跡の上方延長線と側面視で略直交する姿勢と、引起装置(8)の傾斜姿勢よりも緩い後上がり傾斜姿勢とに保持する姿勢保持機構(16,17)を設けたことを特徴とする請求項3に記載のコンバインである。
【0011】
請求項5記載の発明は、前記刈取装置(4)の左右両側部を覆う刈取サイドカバー(18)を、上部サイドカバー(18a)と下部サイドカバー(18b)とに上下に分割し、上部サイドカバー(18a)を前記カバー(15)と一体化したことを特徴とする請求項1に記載のコンバインである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、カバー(15)の前後方向の傾斜姿勢を変更することで、カバー(15)による前後方向のカバー範囲を調節できるため、運転席(5)に着座したオペレータは、圃場状態や穀稈の長さ等による穀粒等の飛散状況に応じて、あるいはオペレータの姿勢、体型等に応じてカバー(15)を適切な傾斜姿勢に調節することができ、運転席(5)からの前方視界の確保、及び、運転席(5)側への穀粒等の飛散防止を図ることができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、上記請求項1記載の発明の効果を奏するうえに、カバー(15)を支持軸(16)回りに上昇回動させた場合に、このカバー(15)が引起ラグ(14)の上昇移動軌跡の上方延長線と側面視で略直交することで、オペレータ側への穀粒や泥土の飛散を効果的に阻止できるものでありながら、引起装置(8)の前側カバーの着脱が簡単に行える等、引起装置(8)のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、上記請求項2記載の発明の効果を奏するうえに、運転席(5)への穀粒等の飛散が少ないときにカバー(15)を下降回動させれば、このカバー(15)の傾斜姿勢が引起装置(8)の傾斜姿勢よりも緩い後上がり傾斜姿勢になるため、運転席(5)から刈取装置(4)前端の分草杆等を視認しやすくなり、刈取作業の能率が向上する。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、上記請求項3記載の発明の効果を奏するうえに、姿勢保持機構(16,17)によって、カバー(15)を引起ラグ(14)の上昇移動軌跡の上方延長線と側面視で略直交する姿勢と引起装置(8)の傾斜姿勢よりも緩い後上がり傾斜姿勢とに保持することで、カバー(15)の姿勢を安定させて刈取作業を円滑に行なうことができる。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、上記請求項1に記載の発明の効果を奏するうえに、上部サイドカバー(18a)を把持して、この上部サイドカバー(18a)とともにカバー(15)を上下回動させることができため、カバー(15)専用のハンドルを設けなくてもカバー(15)の姿勢変更操作を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】コンバインの側面図である。
【図2】コンバイン要部の正面図である。
【図3】コンバイン要部の平面図である。
【図4】引起装置の要部の側面図である。
【図5】コンバインの側面図である。
【図6】コンバイン要部の正面図である。
【図7】コンバイン要部の平面図である。
【図8】引起装置の要部の側面図である。
【図9】コンバインの側面図である。
【図10】コンバイン要部の正面図である。
【図11】コンバイン要部の平面図である。
【図12】引起装置の要部の側面図である。
【図13】コンバイン要部の平面図である。
【図14】コンバイン要部の正面図である。
【図15】コンバイン要部の平面図である。
【図16】コンバインの側面図である。
【図17】コンバイン要部の正面図である。
【図18】コンバイン要部の平面図である。
【図19】引起装置の要部の側面図である。
【図20】コンバイン要部の正面図である。
【図21】コンバインの側面図である。
【図22】コンバイン要部の正面図である。
【図23】補助引起装置及び引起装置の要部の側面図である。
【図24】引起装置の要部の側面図である。
【図25】引起装置の要部の側面図である。
【図26】カバー及び調節体の要部の側面図である。
【図27】カバー及び調節体の要部の平面図である。
【図28】引起装置の要部の概略縦断面図である。
【図29】カバー及び調節体の要部の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施の形態について添付図面を参照しつつ詳説する。
【0019】
図1〜図4、図5〜図8及び図9〜図12はそれぞれ異なる状態のコンバインを示すものである。このコンバインは、走行車体1の下部に左右一対の走行クローラ(走行装置)2,2を備え、走行車体1の上側には脱穀装置3とグレンタンク(穀粒貯留装置)Gを左右に並べて設け、グレンタンクGの前側には運転席5や操作ボックス6等を備えた運転操作部Tを設け、この運転操作部Tおよび脱穀装置3の前方に刈取装置4を設けている。
【0020】
刈取装置4は、圃場に植立する穀稈を左右に分草する分草体7,7…と、分草後の穀稈を引起経路Kに沿って引き起す4つの殻稈引起装置8,8,8,8と、引起後の穀稈の株元近くを切断して穀稈を刈り取る刈刃装置9と、分草後の穀稈の株元側を掻き込んで刈刃装置9を経て後方へ搬送する掻込搬送装置10と、掻込搬送後の穀稈を引き継いで揚上搬送しながら姿勢変更して脱穀装置3に受け渡し供給する揚上搬送供給装置11等を有するものである。
【0021】
刈取装置4は、刈取メインフレーム21により走行車体1に対し上下に昇降可能に装備されているものである。より詳細には、刈取メインフレーム21は、刈取懸架台22に袈設された刈取入力軸23を支点として上下に回動する構成であり、刈取昇降シリンダ24の伸縮作動により刈取装置4が昇降するようになっている。
【0022】
引起装置8は、前後に分割可能な前後の引起ケース12,13と、この引起ケース12,13に内装された、図示しない上部の駆動スプロケット及び下部の従動輪に巻回されて駆動される無端の引起チェンと、この引起チェンに所定の間隔で取り付けられた引起ラグ14とを有している。引起ラグ14は、引起チェンの駆動に伴って後斜め上方に上昇移動する際、引起ケース12,13から引起経路K側の側方に突出して穀稈を引き起すものである。前側引起ケース12は、後側引起ケース13に対し着脱自在に取り付けできる構成としてあり、上方に引き上げると係止ロック状態が解除され前側に取り外しできるようになっている。各前側引起ケース12,12,…の前面は、上端部12uがその下側の部分よりも傾斜の緩い後方傾斜姿勢となるよう屈曲形成されていて、図9に二点鎖線でオペレータの視線を示すように、着座姿勢での作業における分草体7,7…の分草位置近傍の視界が良好となり、起立姿勢での作業においては、分草位置がさらに良く見えるように構成している。符号12cはこの屈曲位置を示している。
【0023】
刈刃装置9は公知のバリカン型のものであり、刈取装置4を支持する刈取メインフレーム21の下端部から前方に突出する先端部フレームに設けられ、穂先側が引起装置8による引き起こし作用を受け、株元側が掻込搬送装置10による掻き込み作用を受けている状態の植立穀稈の株元部を切断するように構成されている。
【0024】
刈取後の穀稈は、掻込搬送装置10により後方へ搬送されて揚上搬送供給装置11に引き渡され、揚上搬送供給装置11による揚上搬送過程で姿勢変更された後、フィードチェン3Fに引き渡され脱穀装置3に供給される。揚上搬送供給装置11としては株元側をチェンと挟持杆とで挟持し、穂先側を搬送ラグで掻き上げて搬送する公知の構成を採用している。
【0025】
(カバー)
各引起装置8の上部は、左右横方向に長く構成されたカバー15によって被覆される構造になっている。カバー15は金属板により形成する他、ポリカーボネート等のプラスチック板により形成することも可能であり、その場合は透明又は半透明にしてカバー15越しの視認性を確保するのも好ましい。
【0026】
カバー15は、引起装置8の引き起し経路Kに沿って上昇する引起ラグ14の上昇軌跡の上方延長線上に配置し、前側引起ケース12の上端側12u前面をカバーする状態と、上昇移行する引起ラグ14における引起経路Kの上方をカバーする状態とに、前後方向の傾斜姿勢を変更自在に構成されている。そして、このカバー15の姿勢変更手段として、前後上下のスライド構成とすることもできるが、本実施例では図9〜図12に示されるように、左端及び右端の引起装置8の背部側に支持ステー8s,8sがそれぞれ立設されるとともに、これら支持ステー8s,8s間に左右横方向に延在する支持軸16が袈設され、カバー15はこの支持軸16を回動支点として上下に回動するように構成されている。カバー15が上方へ回動した状態が引起経路Kの上方をカバーする姿勢変更状態(開姿勢)であり、カバー15が下方へ回動した状態が前側引起ケース12の上端側12u前面をカバーする姿勢変更状態(閉姿勢)である。また、支持軸16近傍に引張スプリング17を設け、支持軸16に対して引張スプリング17が前後に支点越えすることで、カバー15を各姿勢に保持可能な構成になっており、カバー15をワンタッチで開閉することができる。即ち、この支持軸16と引張スプリング17によってカバー15の姿勢保持機構が構成される。
【0027】
分草後の穀稈は、図28に示すように、引起装置8の引起ケース12,13から引起経路K内に突出して上昇する引起ラグ14が、穀稈の株元側から穂先側にかけて作用することで引き起こされる際、この引起ラグ14に扱かれた穀粒等が運転席5のオペレータに向かって飛散することがあるが、カバー15を穀粒等の飛散方向に対して側面視で直交する開姿勢に姿勢変更することにより、飛散する穀粒等をカバー15によって効果的に遮ることができる。
【0028】
カバー15は、平板状のもの等、適宜の形状とすることができるが、本実施形態のように、上面カバー部15aと後面カバー部15bとからなるように側面視で略への宇型に形成されていると、上面カバー部15aの下面部で穀粒等の上方への飛散を阻止し、後面カバー部15bの下面部で穀粒等の後方上方への飛散を阻止することができ、従って、運転席5への穀粒等の飛散を確実に防止することができるようになるため好ましい。
【0029】
カバー15は、開状態において、上面カバー部15aが引起ラグ14の上昇軌跡の上方延長線と側面視で略直交する配置が好ましいが、後面カバー部15bが引起ラグ14の上昇軌跡の上方延長線と交差する配置とすることも可能である。また、カバー15を引起ラグ14の上昇軌跡の上方延長線から後方側にずらし、後述する調節体50をそのカバー範囲の前方拡大により引起ラグ14の上昇軌跡の上方延長線上に位置させる構造とすることも可能である。
【0030】
本実施形態の多条刈りコンバインのように、左右方向中間の引起装置の左右両側に引起経路をそれぞれ有する場合、当該引起装置の下部前方の分草体により隣接条の穀稈は分離されて左右の各引起経路に導入される。しかし、穀稈が長稈の場合等においては、図20に示すように隣接条の穀稈の穂先が絡んで分離されずに当該引起装置を跨いでクロスしたまま刈刃装置9により刈り取られ、後方に搬送されることがある。この際、当該引起装置の上端とカバー15とが接触していると、当該引起装置を跨ぐクロス部分がこの接触部分に引っ掛かり後方に通過できずに詰まってしまう。また、穀稈の搬送力により穂先の絡みが無理に解けたとしても、穂先相互のしごき作用又はカバー15と引起ケース12,13との隅部によるしごき作用により穂先の穀粒が脱粒することは避け難い。よって、左右方向中間の引起装置8の左右両側に引起経路をそれぞれ有する場合、図21〜図23に示すように、少なくとも当該引起装置8の上端とカバー15との間に穀稈通過空間15sが確保される構造とし、この穀稈通過空間15sにより左右両側の引起経路を繋ぐことにより、穀稈の穂先部分がクロスしていてもそのまま後方に通過する構造とするのが好ましい。このような穀稈通過空間15sは、カバー15の姿勢如何によらず形成される構造とすることも可能であるが、その場合、カバー15の位置が高くなり前方視界の妨げとなるため、カバー15を開姿勢としたときにのみ形成される構造とする方が好ましい。
【0031】
穀稈が倒伏状態で絡みあうような圃場状態で効果的に引起を行うために、図21〜図23に示すように、引起装置8の前方位置に、補助引起ラグ62を前方に突出させながら倒伏状態で絡みあう穀稈に対して左右に分割しながら引起回動する補助引起装置60を取り付けることがある。補助引起装置60は、補助引起ケース61と、この補助引起ケース61に内装された、図示しない伝動スプロケット及び張設輪に巻回されて駆動される無端の補助引起チェンと、この補助引起チェンに所定の間隔で取り付けられた補助引起ラグ62とを有している。補助引起ラグ62は、補助引起チェンに伴って後斜め上方に上昇移動する際、補助引起ケース61から前方に突出して穀稈を左右に分割しながら引き起すものである。このような状況における作業では、穀粒や泥土が運転席5側へ跳ね易いため前述のカバー15を設けるのが好ましいが、隣接条の穀稈の穂先が絡んで分離されずに補助引起装置60及び引起装置8を跨いでクロスしたまま搬送される現象が発生し易い。よって、特にこのような補助引起装置60を設ける場合は、図示するように前述の穀稈通過空間15sを補助引起装置60の補助引起ラグ62の作用域よりも上方に設け、補助引起装置60及び引起装置8で引起した穀稈を穂先部分がクロスしていてもそのまま後方に通過するように構成するのが好ましい。
【0032】
本実施例では、各引起装置8の左右両サイドに配置された刈取サイドカバー18,18は、上部サイドカバー18aと下部サイドカバー18bとに分割され、上部サイドカバー18aは、下部サイドカバー18bに対して上側面及び外側面上に重合し、前記カバー15と連結により一体化され、該カバー15と共に上下に揺動開閉可能に構成されている。刈取サイドカバー18,18と上部サイドカバー18aとは単一のカバー部材として形成しても良い。これにより、上部サイドカバー18aをハンドル代わりにして、上部サイドカバー18aとともにカバー15を揺動させることができため、専用のハンドルを設けなくてもカバー15の姿勢変更操作を容易に行うことができるようになる。また、本実施例では、カバー15及び上部サイドカバー18aを上方に回動させないと、前側引起ケース12及び下部サイドカバー18bの取り外しができなくなっているため、カバー15及び上部サイドカバー18aは、その下方への閉動によって前側引起ケース12及び下部サイドカバー18bをロックするロック機構の役目を果たす構造になっている。よって、上部サイドカバー18aの下部に重合した下部サイドカバー18bの着脱が簡単に行え、刈取装置のメンテナンスも容易である。
【0033】
図16〜図19に示すように、カバー15を揺動開閉するためのハンドル15Hをカバー15に取り付けることも可能である。このハンドル15Hは、運転席5からカバー15を揺動操作できるように、カバー15の運転席5に近い部位、例えば運転席5前方の部位から上方に突出しているのが好ましい。
【0034】
本実施例におけるカバー15には、その前後方向カバー範囲を拡大自在である調節体50が設けられている。この調節体50により、カバー15の前後方向の傾斜姿勢だけでなく、カバー15の前後方向カバー範囲を調節できるため、オペレータは、圃場状態や穀稈の長さ等による穀粒等の飛散状況に応じて、あるいはオペレータの姿勢、体型等に応じて、前方視界及び穀粒等の飛散防止を比較考量しつつ、カバー15を適切な位置及び姿勢に調節できるようになる。
【0035】
例えば、穀粒等が運転席5側に飛散するときには、図29(b)及び図23に示すようにカバー15の姿勢を穀粒等の飛散方向に対する交差角が直角又はそれに近くなる開姿勢に変更し、更に飛散範囲が広いとき等、必要に応じて図29(c)及び図8に示すように調節体50によりカバー範囲を前方に拡大することにより、穀粒等の飛散をカバー15で効果的に遮りつつ、前方視界を可能な限り確保することができる。一方、穀粒等の飛散が無いか、又は運転席5側への飛散が少ないときには、図29(a)及び図24に示すようにカバー15の姿勢を穀粒等の飛散方向に対して平行又はそれに近くなる閉姿勢に変更し、更に必要に応じて調節体50を非拡大状態に調節することにより、前方視界を重視した状態とすることができる。さらにこれらの中間程度のカバー範囲とするために、図29(d)及び図25に示すようにカバー15の姿勢を穀粒等の飛散方向に対して平行又はそれに近くなるように姿勢変更するとともに、調節体50を前方に拡大した状態とすることも可能である。このように、カバー15の姿勢及びカバー範囲の調節は、オペレータが任意に変更できるものであり、このような調節形態に限られるものではない。
【0036】
調節体50は、透明又は半透明のポリカーボネート等のプラスチック板により形成して調節体50越しの視認性を確保するのが好ましいが、金属板により形成することも可能である。調節体50の形状は適宜定めることができ、図示例のような矩形状の他、前端縁が弧状に張り出した形状等とすることも可能である。
【0037】
本実施形態の調節体50は、カバー15の前側カバー範囲を拡大するものであるが、後側又は前後両側のカバー範囲を拡大する構造としても良い。調節体50におけるカバー範囲の拡大量は適宜定めることができるが、図5に示すように、カバー15の前端が最も前方に位置する姿勢変更状態で前側引起ケース12の屈曲位置12cよりも後方に位置するとともに、調節体50のカバー範囲を前方に拡大することにより調節体50の前端が前側引起ケース12の屈曲位置12cよりも前方に位置しうる構成とするのが好ましい。これにより、調節体50の前端を前側引起ケース12の屈曲位置12cより後方に位置させれば、オペレータは運転席5に着座したままで分草位置を直視でき、分草引起状況の確認を容易に行うことができ、刈取作業の能率を高めることができるようになるとともに、必要に応じて調節体50の前端を前側引起ケース12の前面の屈曲位置12cよりも前方に位置させて効果的に穀粒等の飛散防止を図ることも可能となる。
【0038】
本実施形態の多条刈りコンバインでは、走行車体1の右側部分(又は左側部分)に運転席5を有し、運転席5の前方にも引起装置8を有している。このような多条刈りコンバインでは、カバー15は両端の引起装置8にわたるように延在させるとともに、調節体50は少なくとも運転席5と対応する左右方向範囲をカバーするように左右方向に延在させるのが好ましい。この場合、図1〜図12に示される例のように、カバー15の左右方向の略全体にわたり調節体50を設けると籾殻等の飛散防止効果に優れるが、図14及び図15に示すように運転席5の前方位置のみに調節体50を設けて安価で前方視界に優れる構成とすることも可能である。また、いずれにせよ、オペレータは運転席5から調節体50に手をかけて調節することができ、より的確な調節が可能となるとともに、穀稈の引起により後上方へ飛散する穀粒等のうち少なくとも運転席5に向かうものについては効果的に遮断することができるようになる。
【0039】
特に、調節体50を直接手で操作する場合は、カバー15及び調節体50は左端の引起装置8の左端部又は右端の引起装置8の右端部(特に運転席5側)まで延在しているのが好ましい。また図13に示すように、運転席5が走行車体の右側部分に位置し引起装置8が運転席5よりも右側まで張り出している場合は、この張り出し部分からの籾殻等の飛散をも防止するため、カバー15及び調節体50を運転席5の右側まで延在させるのが好ましい。運転席5が左側で引起装置8の張り出しが左側の場合も同様にカバー15及び調節体50を運転席5の左側まで延在させるのが好ましい。
【0040】
調節体50の拡大調節機構は適宜定めることができ、拡大方向に沿ってスライドする機構(図示略)を採用することもできるが、本実施例の調節体50は、図24〜図27に示すように、基端部がカバー15の前端部に設けられた左右方向に沿う調節体支持軸51によりカバー15に軸支され、先端側の部分がこの調節体支持軸51を回動支点として回動することでカバー15の前後方向カバー範囲を拡大するものである。この場合、調節体50によるカバー範囲の調節は、調節体50をカバー15に対して調節体支持軸51回りに回動することで変更できるため、変更操作がワンタッチで簡単になるだけでなく、調節体50の角度も調節できるため、前方視界の妨げとならないようにカバー範囲を拡大することも可能である。さらに、カバー15を上方に揺動させた場合には、オペレータ側への穀粒や泥土の飛散が阻止されるものでありながら、前側引起ケース12の着脱が簡単に行える等、引起装置8のメンテナンスが容易に行えるという利点もある。
【0041】
この調節体50の回動機構も適宜定めることができるが、本実施例では、調節体50に調節体支持軸51を弾力的に挟持する一対の挟持部52,53を設け、一方の挟持部52をある程度の弾性を有する平板状体(バネ材)により構成し、他方の挟持部53を調節体支持軸51が嵌合する円弧状の受け溝53dを有する板状体により構成している。これにより、簡素・安価な構成で調節体50を確実に支持できるようになるとともに、無段階の回動が可能となる。また、調節体50の回動時には、挟持部52,53と調節体支持軸51との摩擦により、接触面間の錆や埃等を素早く取り除くことができ、常時スムーズにカバーを回動させることができるようになる。
【0042】
また、本実施例の一対の挟持部52,53は挟持方向に貫通する螺子挿通孔を有し、これらの螺子挿通孔に対して一方側から他方側へ調節ボルト54bを挿し通してナット体54nに螺合させ、締め付けることにより一方の挟持部52を他方の挟持部53に対して弾力的に押し付ける構造となっているため、調節ボルト54bの締め付けトルクのみで調節体50の回動荷重を容易に調整することができる。よって、このような回動荷重調整手段を設けるのは好ましい。
【0043】
さらに、調節体支持軸51をカバー15の左右方向に間隔を空けて複数か所に設けるとカバー15の支持が安定するため好ましく、その場合に各調節体50に前述の回動荷重調整手段を設け、運転席5から遠い方の調節体支持軸51における調節体50の回動荷重を、運転席5側の調節体支持軸51における調節体50の回動荷重より弱くすると、運転席5側から調節体50を容易に回動させることができるため好ましい。
【0044】
本実施例では、調節体支持軸51をカバー15に設け、挟持部52,53を調節体50に設けているが、反対に挟持部52,53をカバー15に設け、調節体支持軸51を調節体50に設けても良い。
【0045】
他方、図示の実施例は、運転席5がウインドウで囲まれていない非キャビン型への適用例であるが、本発明は、ウインドウで囲まれた運転室を有するキャビン型にも適用することができ、その場合にもウインドウの水滴、泥土による汚れを防止できるといった利点がもたらされる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、操縦部の前側に刈取装置が配置されるコンバインに利用できるものである。
【符号の説明】
【0047】
1 走行車体
2 走行クローラ(走行装置)
3 脱穀装置
4 刈取装置
5 運転席
8 引起装置
14 引起ラグ
15 カバー
16 支持軸(姿勢保持機構)
17 引張スプリング(姿勢保持機構)
18 刈取サイドカバー
18a 上部サイドカバー
18b 下部サイドカバー
G グレンタンク(穀粒貯留装置)
T 操縦部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行装置(2)を備えた走行車体(1)の上側に脱穀装置(3)と穀粒貯留装置(G)を左右に並べて設け、該穀粒貯留装置(G)の前側には運転席(5)を備えた操縦部(T)を設け、該操縦部(T)の前方に昇降自在な刈取装置(4)を設けたコンバインにおいて、前記刈取装置(4)の前部に、多数の引起ラグ(14)を備えた後上がり傾斜姿勢の引起装置(8)を設け、前記引起ラグ(14)の上昇移動軌跡の上方延長線上に、前後方向の傾斜姿勢を変更自在なカバー(15)を設けたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記カバー(15)の後端部を左右方向の支持軸(16)で上下回動自在に支持し、カバー(15)を上昇回動させた状態で、該カバー(15)が引起ラグ(14)の上昇移動軌跡の上方延長線と側面視で略直交する構成としたことを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記カバー(15)を下降回動させた状態で、該カバー(15)の傾斜姿勢が引起装置(8)の傾斜姿勢よりも緩い後上がり傾斜姿勢になる構成としたことを特徴とする請求項2に記載のコンバイン。
【請求項4】
前記カバー(15)を、引起ラグ(14)の上昇移動軌跡の上方延長線と側面視で略直交する姿勢と、引起装置(8)の傾斜姿勢よりも緩い後上がり傾斜姿勢とに保持する姿勢保持機構(16,17)を設けたことを特徴とする請求項3に記載のコンバイン。
【請求項5】
前記刈取装置(4)の左右両側部を覆う刈取サイドカバー(18)を、上部サイドカバー(18a)と下部サイドカバー(18b)とに上下に分割し、上部サイドカバー(18a)を前記カバー(15)と一体化したことを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【請求項1】
走行装置(2)を備えた走行車体(1)の上側に脱穀装置(3)と穀粒貯留装置(G)を左右に並べて設け、該穀粒貯留装置(G)の前側には運転席(5)を備えた操縦部(T)を設け、該操縦部(T)の前方に昇降自在な刈取装置(4)を設けたコンバインにおいて、前記刈取装置(4)の前部に、多数の引起ラグ(14)を備えた後上がり傾斜姿勢の引起装置(8)を設け、前記引起ラグ(14)の上昇移動軌跡の上方延長線上に、前後方向の傾斜姿勢を変更自在なカバー(15)を設けたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記カバー(15)の後端部を左右方向の支持軸(16)で上下回動自在に支持し、カバー(15)を上昇回動させた状態で、該カバー(15)が引起ラグ(14)の上昇移動軌跡の上方延長線と側面視で略直交する構成としたことを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記カバー(15)を下降回動させた状態で、該カバー(15)の傾斜姿勢が引起装置(8)の傾斜姿勢よりも緩い後上がり傾斜姿勢になる構成としたことを特徴とする請求項2に記載のコンバイン。
【請求項4】
前記カバー(15)を、引起ラグ(14)の上昇移動軌跡の上方延長線と側面視で略直交する姿勢と、引起装置(8)の傾斜姿勢よりも緩い後上がり傾斜姿勢とに保持する姿勢保持機構(16,17)を設けたことを特徴とする請求項3に記載のコンバイン。
【請求項5】
前記刈取装置(4)の左右両側部を覆う刈取サイドカバー(18)を、上部サイドカバー(18a)と下部サイドカバー(18b)とに上下に分割し、上部サイドカバー(18a)を前記カバー(15)と一体化したことを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図2】
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【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
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【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【公開番号】特開2012−139179(P2012−139179A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−294489(P2010−294489)
【出願日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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