説明

コンバイン

【課題】モータと、カッター切替カバーおよび排藁ガイド棒との間の動力伝達機構を簡略化することのできるコンバインを提供する。
【解決手段】脱穀装置6と、脱穀装置6の後方に設けられる排藁搬送装置20と、排藁搬送装置20の後方に設けられ一側を回動支点として開閉可能なカッター装置30と、脱穀装置6の側方に設けられるグレンタンク8とを備え、排藁搬送装置20の排藁チェン21の下方には排藁ガイド棒22が伸縮可能に構成され、カッター装置30の上部には排藁搬送装置20からカッター装置30へ搬送される排藁の搬送方向を切り替えるカッター切替カバー38が開閉可能に構成され、排藁ガイド棒22の伸縮操作及びカッター切替カバー38の開閉操作はワイヤ58・59を介して同一のモータ50により行い、モータ50はカッター装置30の回動支点側であって、カッター装置30とグレンタンク8との間に設けられるコンバイン1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排藁搬送装置の排藁チェンの下方に設けた排藁ガイド棒の伸縮操作と、排藁搬送装置からカッター装置へ搬送される排藁の搬送方向を切り替えるカッター切替カバーの開閉操作とを同一のモータで行うコンバインの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、脱穀装置の後方に排藁搬送装置と、当該排藁搬送装置の後方に、一側を回動支点として開閉可能なカッター装置とを備えるコンバインであって、当該カッター装置は、前記排藁搬送装置からカッター装置へ搬送される排藁の搬送方向を切り替えるカッター切替カバーを有し、当該カッター切替カバーはモータによって開閉操作されるコンバインは公知である(例えば特許文献1)。
【0003】
特許文献1に記載のコンバインにおいては、前記カッター装置の上部に開閉可能なカッター切替カバーが設けられ、当該カッター切替カバーの開閉操作を行うモータが前記カッター装置の回動支点の反対側の側壁に設けられる。
【0004】
また、上記開閉可能なカッター切替カバーと、排藁搬送装置の排藁チェンの下方に伸縮可能な排藁ガイド棒とを備えるコンバインであって、当該カッター切替カバーの開閉操作と、当該排藁ガイド棒の伸縮操作とを同一のモータで行うコンバインは公知である(例えば、特許文献2)。
【0005】
特許文献2に記載のコンバインにおいては、当該カッター切替カバーの開閉操作と、当該排藁ガイド棒の伸縮操作とを行うモータが排藁ガイド棒の近傍に設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−99026号公報
【特許文献2】特開2004−16128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載のコンバインにおいては、モータがカッター装置の回動支点の反対側の側壁に設けられるため、メンテナンス等のときにカッター装置を開いた場合に、回動支点にかかる荷重が大きくなる。よって、カッター装置の回動支点部分を補強したり、カッター装置の回動支点の反対側を支えたりする必要があった。また、当該モータは、開閉がなされるカッター装置の本体部分に設けられるため、モータと、本機側に配設される排藁ガイド棒とをワイヤにより接続できず、カッター切替カバーの開閉操作と、排藁ガイド棒の伸縮操作とを同一のモータで行えないという問題があった。
【0008】
さらに、特許文献2に記載のコンバインにおいては、カッター切替カバーの開閉操作と、排藁ガイド棒の伸縮操作とを同一のモータで行えるものの、モータが排藁ガイド棒の近傍に設けられるため、モータとカッター切替カバーとを接続するワイヤの長さが長くなり、モータと、カッター切替カバーおよび排藁ガイド棒との間の動力伝達機構が複雑かつ大型化するという問題もあった。
【0009】
そこで、本発明は、モータと、カッター切替カバーおよび排藁ガイド棒との間の動力伝達機構を簡略化することのできるコンバインを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0011】
即ち、第1の発明は、機体フレームの上方に設けられる脱穀装置と、前記脱穀装置の後方に設けられる排藁搬送装置と、前記排藁搬送装置の後方に設けられ一側を回動支点として開閉可能なカッター装置と、前記脱穀装置の側方に設けられるグレンタンクと、を備え、前記排藁搬送装置の排藁チェンの下方には排藁ガイド棒が伸縮可能に構成され、前記カッター装置の上部には、前記排藁搬送装置から前記カッター装置へ搬送される排藁の搬送方向を切り替えるカッター切替カバーが開閉可能に構成され、前記排藁ガイド棒の伸縮操作および前記カッター切替カバーの開閉操作は、ワイヤを介して同一のモータによって行われるコンバインにおいて、前記モータは、前記カッター装置の回動支点側であって、前記カッター装置と、前記グレンタンクとの間に設けられるものである。
【0012】
第2の発明は、第1の発明において、前記モータは取付板に取り付けられ、前記取付板は、前記機体フレームから延設した支持フレームに着脱可能に設けられるものである。
【0013】
第3の発明は、第2の発明において、前記モータを制御するコントローラは、前記取付板近傍の支持フレームに配置されるものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0015】
第1の発明においては、モータをカッター切替カバーおよび排藁ガイド棒の近傍に配置することができるため、モータとカッター切替カバーとの間を接続するワイヤ、およびモータと排藁ガイド棒との間を接続するワイヤの長さを短くすることができる。これにより、モータと、カッター切替カバーおよび排藁ガイド棒との間の動力伝達機構(リンク機構)が簡略化かつ小型化できる。
また、カッター切替カバーの開閉操作と、排藁ガイド棒の伸縮操作との間の操作タイミングの誤差を小さくすることができる。
【0016】
第2の発明においては、取付板とともにモータを機体に対して着脱可能に取り付けることができるため、モータの機体への取付けおよびモータのメンテナンスが容易となる。
【0017】
第3の発明においては、モータとコントローラとの間の配線を短くすることができるため、モータの駆動における信頼性を向上できる。また、モータとコントローラとを同時にメンテナンスでき、モータとコントローラとのメンテナンスを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】コンバインの全体的な構成を示す側面図。
【図2】コンバインの全体的な構成を示す平面図。
【図3】排藁ガイド棒とモータとの関係を示す概略図。
【図4】排藁ガイド棒の拡大概略図。
【図5】排藁搬送装置およびカッター装置の平面図。
【図6】カッター装置の側面図。
【図7】モータ近傍の正面図。
【図8】モータ、排藁搬送装置およびカッター装置の制御構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
まず、本発明の一実施形態に係る6条刈りコンバイン1の全体構成について説明する。
なお、本実施形態においては、6条刈りコンバイン1について説明するが、本発明はこれに限るものではなく、その他の条数(例えば、4条刈、7条刈、8条刈等)のコンバインにも適用可能である。
【0020】
図1及び図2に示すように、コンバイン1においては、走行部2を形成する機体フレーム3が左右一対の走行クローラ4によって支持される。圃場の穀稈を刈り取りながら取り込む刈取部5が、走行部2の前部に昇降調節可能に装着される。刈取部5により刈り取られた穀稈を脱穀する脱穀装置6が、走行部2の左上部に配設される。脱穀装置6により脱穀された処理物を選別する選別装置7が、脱穀装置6の下部に配設される。選別装置7により選別された穀粒を貯留するグレンタンク8が、走行部2の右部であって、脱穀装置6の側方(右方)に配設される。グレンタンク8に貯溜された穀粒を外部へ排出する排出オーガ9が、走行部2の右後部に配設される。脱穀装置6により脱穀された後の排藁を搬送する排藁搬送装置20が、脱穀装置6の後方に配設される。脱穀装置6から搬送される排藁を切断するカッター装置30が、走行部2の後部であって、排藁搬送装置20の後下方に配設される。排藁搬送装置20から搬送される排藁を結束する結束装置70が、カッター装置30の後方に配設される。そして、前記各部を操作する運転部10が、走行部2の右前部に配設される。また、運転部10の下方には、コンバイン1自体の走行や後述する排藁チェン21等を駆動するための動力源となるエンジン12が配設される。
【0021】
次に、排藁搬送装置20について説明する。
【0022】
図1および図2に示すように、排藁搬送装置20は、脱穀装置6の後方であって、脱穀装置6のフィードチェン11の下流(後端)側に設けられる。排藁搬送装置20は、脱穀装置6で脱穀された後の排藁(穀粒が脱粒された稈)を、走行部2の後部に配置するカッター装置30又は結束装置70へ搬送する。
【0023】
図3、図4および図5に示すように、排藁搬送装置20は、排藁チェン21と、排藁ガイド棒22と、穂先側無端回動ベルト28等から構成される。排藁搬送装置20においては、フィードチェン11の後部から受け継いだ排藁の株元側を、排藁チェン21の搬送突起部分と排藁ガイド棒22との間で挟持し、排藁チェン21の駆動によりカッター装置30へ排藁を搬送する。
【0024】
図3に示すように、排藁チェン21は、駆動スプロケット23とローラ24(従動スプロケット)とテンションスプロケットに巻回され、フィードチェン11の下流(後端)側に配設される。駆動スプロケット23は、駆動スプロケット軸25上の一端に固設される。
図5に示すように、駆動スプロケット軸25は、その他端からベベルギア15等を介して、脱穀装置6の扱胴16の扱胴軸17と動力伝達可能に接続されている。これにより、エンジン12からの動力が、扱胴16の扱胴軸17、ベベルギア15等を介して駆動スプロケット軸25に伝達される。
【0025】
図3および図4に示すように、排藁ガイド棒22は、排藁チェン21の下方に設けられ、伸縮可能に構成される。排藁ガイド棒22は、断面形状が略円形に形成された棒状部材であり、排藁チェン21の下側に対向して配設されるガイド棒ケース26に長手方向(搬送方向)に摺動可能に内挿され、軸心が排藁チェン21の巻回方向と略平行となるように配設される。図4に示すように、排藁ガイド棒22の先端部は、排藁の切断位置である「収縮位置P1」から排藁の非切断位置である「伸長位置P2」の間を摺動する。
【0026】
ガイド棒ケース26は、排藁ガイド棒22を摺動可能に内挿する部材であって、長手方向の長さが排藁ガイド棒22の軸長と略同一長さに形成され、搬送上流側の下部に配設される。ガイド棒ケース26は、断面形状が略逆U字状に形成され、このU字状の内面に沿って排藁ガイド棒22が摺動可能に内挿される。
【0027】
また、排藁ガイド棒22は、リンク機構60を介して、後述するモータ50によって伸縮操作が行われる。
リンク機構60は、第1ローラ61と、第2ローラ62と、プーリ63と、回動アーム64等から構成される。
【0028】
第1ローラ61は、第1ローラ軸61aにより回動可能に支持される。第2ローラ62は、第2ローラ軸62aにより回動可能に支持される。
第1ローラ61および第2ローラ62は、ガイド棒ケース26内の後部(図3において紙面左側)に長手方向に所定の間隔で配設される。
第1ローラ61および第2ローラ62は、ガイド棒ケース26の内面ともに排藁ガイド棒22を挟持するように支持する。
【0029】
プーリ63は、回動軸63aの一端部に固設される。
具体的には、回動軸63aは、脱穀装置6の後板6a(図5)とカッター装置30との間において、前後方向に後板6aに対して回動可能に支持される。そして、プーリ63は、回動軸63aの一端部に、後板6aと平行になるように固設される。
【0030】
また、プーリ63の溝には第3ワイヤ65が巻回される。
第3ワイヤ65は、プーリ63に巻回され、その一端が第1ローラ61(第1ローラ軸61a)に巻回されて、排藁ガイド棒22の後端に固定され、その他端が第1ローラ61(第1ローラ軸61a)に巻回されて、排藁ガイド棒22の前端に固定される。
さらに、プーリ63は、排藁ガイド棒22の位置決めをするための位置決め手段を備える。具体的には、図4に示すように、プーリ63の両側面にはボルト、ピン等で構成される第1ストッパ67と、第2ストッパ68とが突設される。また、脱穀装置6の後板6aには、第1ストッパ67および第2ストッパ68が当接するストッパ片69が突設される。
第1ストッパ67と、第2ストッパ68は、プーリ63の回動軸63aを中心として略同一半径軌道上に突設される。
ストッパ片69は、第1ストッパ67および第2ストッパ68と同一半径軌道上に突設される。
排藁ガイド棒22が「伸長位置P2」の状態にある場合には、第1ストッパ67がストッパ片69の上面に当接し、排藁ガイド棒22が「収縮位置P1」の状態にある場合には、第2ストッパ68がストッパ片69の下面に当接する。
【0031】
回動アーム64は、その一端部が回動軸63aの他端部に固設される。また、回動アーム64の他端部には、第1ワイヤ58の一端が連結される。第1ワイヤ58の他端は、後述する駆動アーム52を介してモータ50と連結される。
【0032】
穂先側無端回動ベルト28は、排藁チェン21と平行に配置される。穂先側無端回動ベルト28は、その長手方向での複数箇所から排藁チェン21の搬送突起部分21aよりも長く突出した搬送突起部分28aを備え、搬送突起部分28aを排藁の穂先側に係止させることで排藁を搬送する。
【0033】
ここで、排藁ガイド棒22の伸縮操作について説明する。
【0034】
排藁ガイド棒22の伸縮操作は、リンク機構60を介してモータ50の駆動により行われる。
図3および図4に示すように、モータ50の駆動により第1ワイヤ58が引っ張られると、リンク機構60の回動アーム64が回動し、プーリ63が図4において反時計回りに回動する。プーリ63が回動することで、プーリ63および第1ローラ61に巻き回される第3ワイヤ65が引っ張られる。第3ワイヤ65が引っ張られると、排藁ガイド棒22は、第1ローラ61および第2ローラ62上を摺動し、ガイド棒ケース26から後方(図4における左方向)の「伸長位置P2」へ送り出される(図4二点鎖線部分)。すなわち、排藁ガイド棒22の伸長操作が行われる。この時、第2ストッパ68がストッパ片69の下面に当接することで、排藁ガイド棒22が「伸長位置P2」に位置決めされる。
【0035】
逆に、モータ50の駆動により後述する第2ワイヤ59が引っ張られ、第1ワイヤ58の引っ張りが解除されると、回動アーム64が弾性部材66の付勢力により回動し、プーリ63が図4において時計回りに回動する。プーリ63が回動することで、第3ワイヤ65が、上記排藁ガイド棒22の伸長操作の場合とは逆の方向に引っ張られる。第3ワイヤ65が引っ張られると、排藁ガイド棒22は、第1ローラ61および第2ローラ62上を摺動し、「収縮位置P1」であるガイド棒ケース26内に収納される(図4実線部分)。すなわち、排藁ガイド棒22の収縮操作が行われる。この時、第1ストッパ67がストッパ片69の上面に当接することで、排藁ガイド棒22が「収縮位置P1」に位置決めされる。
【0036】
排藁搬送装置20において、排藁ガイド棒22がモータ50の駆動により伸長されると(図4二点鎖線部分)、フィードチェン11の後端部から排藁チェン21に受け継がれた排藁は、そのままの状態で結束装置70へ搬送される。
一方、排藁ガイド棒22がモータ50の駆動により収縮されると(図4実線部分)、前記排藁は、カッター装置30上部の排藁投入口からカッター装置30内へ投入される。
【0037】
次に、カッター装置30について説明する。
【0038】
図2および図5に示すように、カッター装置30は、排藁搬送装置20の後下方であって、走行部2の左右方向に延設される。カッター装置30は、排藁搬送装置20から搬送される排藁を適宜の長さに短く切断する。
【0039】
図5、図6に示すように、カッター装置30は、左側板32と右側板33との間に低速回転軸34と、高速回転軸35が平行に横架される。
カッター装置30は、その右側が支柱14に回動可能に支持され、その左側がロック可能にされている。カッター装置30は、その左側のロックが解除されることで、後方への回動開放が可能となる。
前記支柱14は、機体フレーム3の右後部であって、カッター装置30の右側前部に立設される。前記支柱14から後方に向けてステー86・86が上下に複数突設される。該ステー86には、カッター装置30の回動軸31・31が上下方向に設けられる。該回動軸31・31には、右側板33から外方に突設したステー46・46が回動自在に支持される。
こうして、カッター装置30は、支柱14に設けられる回動軸31・31を回動支点として前後方向に開閉可能である。すなわち、カッター装置30は、その右側が回動支点であり、その左側を後方へ回動することで開放可能となる。
【0040】
前記低速回転軸34上には、第1回転刃36・36・・・が一定間隔毎に配設される。また、前記高速回転軸35上には、第2回転刃37・37・・・が一定間隔毎に配設される。
低速回転軸34および高速回転軸35の上方(カッター装置30の上部)は開放されている。当該開放部分には排藁をカッター装置30内へ投入するための排藁投入口が設けられる。当該排藁投入口には、排藁搬送装置20から搬送される排藁が投入される。また、当該排藁投入口は、カッター切替カバー38によって被装される。
【0041】
カッター切替カバー38は、排藁搬送装置20から搬送される排藁の搬送方向を切り替えるものである。カッター切替カバー38の後側部には回動軸39が設けられる。回動軸39は、左側板32の後部と右側板33後部との間に枢支される。カッター切替カバー38は、前高後低となるように、回動軸39に回動可能に支持され、回動軸39を回動支点として上下方向に開閉する。カッター切替カバー38は、後述するモータ50によって開閉操作が行われる。
【0042】
回動軸39の右側部は、右側板33から右側方へ突設される。回動軸39の右側端部には回動軸39を回動するためのリンク機構40が設けられる。
リンク機構40は、カッター装置30の右側板33に設けられる。
リンク機構40は、回動アーム41と、連結アーム42と、切換アーム43等から構成される。回動アーム41の一端部は、回動軸39の右側端部に固設される。また、回動アーム41の他端部は、連結アーム42の一端部に枢支される。連結アーム42の他端部は、切換アーム43の中途部から突出する突出部43aに連結される。切換アーム43の一端部は右側板33の外側面に軸支される。また、切換アーム43の他端部には第2ワイヤ59の一端に連結される。
図3および図7に示すように、第2ワイヤ59の他端は、駆動アーム52に設けた連結ピン57に連結される。該連結ピン57には前記第1ワイヤ58の他端とも連結される。
【0043】
駆動アーム52は、枢支軸71に回転自在に支持される。枢支軸71は、取付板51に立設される。前記駆動アーム52は、略円形状に形成して、中央が枢支軸71に枢支され、一側の突出部53には連結ピン57が設けられ、他側には扇形ギヤ52aが形成される。該扇形ギヤ52aは、モータ50の出力軸50aに固設したピニオンと噛合される。
【0044】
ここで、カッター切替カバー38の開閉操作について説明する。
【0045】
カッター切替カバー38の開閉操作は、リンク機構40を介してモータ50の駆動により行われる。
図3、図6および図7に示すように、モータ50が駆動されて、駆動アーム52がX方向(図3および図7における反時計回り)に回転されると、第2ワイヤ59が引っ張られ、リンク機構40の切替アーム43が回動し、連結アーム42が引かれ、回動アーム41が下方へ回動する。回動アーム41が回動すると、回動軸39が図6において反時計回りに回動し、カッター切替カバー38が上方へ開かれる(図6実線部分)。すなわち、カッター切替カバー38の開操作が行われる。
【0046】
そして同時に、第1ワイヤ58が緩められて、弾性部材66の付勢力により回動アーム64が上方へ回動し、プーリ63が図3において時計回りに回動する。該プーリ63が回動することで、第3ワイヤ65が引っ張られ、排藁ガイド棒22がガイド棒ケース26内に収納される。
こうして、カッター装置30において、カッター切替カバー38が上方へ開かれるとともに、排藁ガイド棒22が収縮されるため、排藁投入口の上方が開放される。そして、排藁搬送装置20から搬送される排藁は、前記排藁投入口からカッター装置30内へ投入され、適宜の長さに切断される。
【0047】
逆に、図3および図7に示すように、モータ50が逆方向に回転駆動されて、駆動アーム52がY方向(図3および図7における時計回り)に回転されると、第1ワイヤ58が引っ張られるとともに、第2ワイヤ59の引っ張りが解除される。該第2ワイヤ59の引っ張りが解除されることで、切替アーム43は、弾性部材45の付勢力により前記と逆方向に回動する。そして、カッター切替カバー38は、連結アーム42、回動アーム41を介して図6において時計回りに回動し、閉じられる(図6二点鎖線部分)。すなわち、カッター切替カバー38の閉操作が行われる。
一方、第1ワイヤ58が引っ張られることで、回動アーム64が下方へ回動し、プーリ63が図3において反時計回りに回動する。該プーリ63が回動することで、第3ワイヤ65が引っ張られ、排藁ガイド棒22が伸長される。
こうして、カッター装置30において、カッター切替カバー38がモータ50の駆動により下方へ閉じられる(図6の二点鎖線部分)とともに、排藁ガイド棒22が伸長されるため、排藁投入口の上方は閉じられる。そして、排藁搬送装置20から搬送される排藁は、カッター装置30内に投入されることなくそのままの状態で結束装置70へ搬送される。
【0048】
上述のように、モータ50は、排藁ガイド棒22の伸縮操作およびカッター切替カバー38の開閉操作を行うものである。すなわち、排藁ガイド棒22の伸縮操作およびカッター切替カバー38の開閉操作は、同一のモータによって行われる。
【0049】
図8に示すように、前記モータ50は、図示しない駆動回路を介してコントローラ81と接続される。該コントローラ81はCPU等の演算装置や、ROMやRAM等の記憶装置、インターフェイス、バスを備える。該コントローラ81には運転部10(図1)に配置される操作手段である操作スイッチ80と接続される。モータ50は、操作スイッチ80の操作により駆動され、前記排藁ガイド棒22を伸縮し、カッター切替カバー38の開閉を行う。また、コントローラ81には後述する検知手段と表示装置88が接続されている。
【0050】
図7に示すように、モータ50は、取付板51に取り付けられる。また、取付板51には駆動アーム52が回転自在に支持される。該駆動アーム52に枢支した連結ピン57の一端は、取付板51に形成した案内溝54に挿入される。
案内溝54は、枢支軸71を中心とした円弧状の長孔に形成される。カッター切替カバー38の開閉時には、駆動アーム52の突出部53は案内溝54に沿って摺動する。
案内溝54近傍のストローク終端部には、突出部53の先端部分の位置を検知する第1センサ55および第2センサ56が設けられる。
図8に示すように、該第1センサ55および第2センサ56はコントローラ81と接続される。該第1センサ55および第2センサ56が突出部53の先端部分の位置を検知すると、コントローラ81はモータ50の駆動を停止するとともに、運転部10に配置した表示装置88に、カッター切替カバー38が開位置(切断状態)にあるか、または閉位置(結束位置)にあるかを表示される。
【0051】
なお、本発明は上記操作に限定されるものではなく、第1ワイヤ58が引かれると排藁ガイド棒22の収縮操作(カッター切替カバー38の開操作)が行われ、第2ワイヤ59が引かれると排藁ガイド棒22の伸長操作(カッター切替カバー38の閉操作)が行われる構成としても構わない。
【0052】
図7に示すように、モータ50と、駆動アーム52と、第1センサ55と、第2センサ56等は、取付板51に取り付けられる。
取付板51は、一枚の板状の部材であり、支持フレーム13にボルト等によって着脱可能に設けられる。
【0053】
図7に示すように、支持フレーム13は、前記支柱14と横補助フレーム18と縦補助フレーム19からなる。図5に示すように、支持フレーム13は、グレンタンク8と、カッター装置30との間に配設される。
横補助フレーム18は、前記支柱14と左側の図示しない支柱との間の上部横設される。
縦補助フレーム19は、横補助フレーム18の左右中途部から垂設される。つまり、縦補助フレーム19の上端は横補助フレーム18の左右中途部に固設され、縦補助フレーム19の下端は図示しない補強フレームまたは機体フレーム3に固設される。
また、前記支柱14と縦補助フレーム19の間に上取付板87と取付板51が左右方向に着脱可能に取り付けられる。
上取付板87には、前記コントローラ81が取り付けられる。
該上取付板87の下方に設けられる取付板51には、モータ50や駆動アーム52等が取り付けられる。すなわち、コントローラ81は、取付板51近傍の支持フレーム13に取り付けられる上取付板87に配置される。
こうして、モータ50は、カッター装置30の回動支点側であって、グレンタンク8と、カッター装置30との間に設けることができる。また、モータ50をカッター装置30を支持する部材に取り付けることができる。さらに、モータ50を排藁の搬送経路から離れた位置に設けることができる。
【0054】
このように、モータ50をカッター装置30の回動支点側に設けることで、カッター装置30の回動支点側の反対側にモータ50の荷重がかからない。このため、カッター装置30を軽量化することができる。また、支柱14の剛性を大きくする必要がなくなる。
また、モータ50がグレンタンク8とカッター装置30との間に設けられることで、モータ50が排藁ガイド棒22の伸縮操作の妨げとならない。
さらにまた、モータ50が、カッター装置30本体に取り付けられていないため、カッター装置30、エンジン12等からの振動の影響が少ない。
さらにまた、モータ50が排藁の搬送経路から離れた位置に設けることができるため、モータ50に埃等が溜まりにくい。
【0055】
モータ50の上方にはコントローラ81を取り付けた上取付板87が設けられる。コントローラ81は、一つまたは複数のコントローラを備える。コントローラ81は運転部10に配設される走行部2、エンジン12等を制御するコントローラとバス等で接続される。コントローラ81は、モータ50、カッター装置30、結束装置70、選別装置7や排出オーガ9(排出装置)等の制御を行う。
このように、モータ50はコントローラ81から近い位置に配置されるので、配線が短くなり、ノイズの影響を小さくできる。
【0056】
以上のように、コンバイン1は、機体フレーム3の上方に設けられる脱穀装置6と、脱穀装置6の後方に設けられる排藁搬送装置20と、排藁搬送装置20の後方に設けられ一側を回動支点として開閉可能なカッター装置30と、脱穀装置6の側方に設けられるグレンタンク8と、を備え、排藁搬送装置20の排藁チェン21の下方には排藁ガイド棒22が伸縮可能に構成され、カッター装置30の上部には、排藁搬送装置20からカッター装置30へ搬送される排藁の搬送方向を切り替えるカッター切替カバー38が開閉可能に構成され、排藁ガイド棒22の伸縮操作およびカッター切替カバー38の開閉操作は、ワイヤ(第1ワイヤ58および第2ワイヤ59)を介して同一のモータ50によって行われるコンバイン1において、モータ50は、カッター装置30の回動支点側であって、カッター装置30と、グレンタンク8との間に設けられるものである。
【0057】
このようにコンバイン1を構成することで、モータ50をカッター切替カバー38および排藁ガイド棒22の近傍に配置することができるため、モータ50とカッター切替カバー38との間を接続する第2ワイヤ59、およびモータ50と排藁ガイド棒22との間を接続する第1ワイヤ58の長さを短くすることができる。これにより、モータ50と、カッター切替カバー38および排藁ガイド棒22との間の動力伝達機構(リンク機構)が簡略化かつ小型化できる。
また、カッター切替カバー38の開閉操作と、排藁ガイド棒22の伸縮操作との間の操作タイミングの誤差を小さくすることができる。
【0058】
また、コンバイン1は、モータ50は取付板51に取り付けられ、取付板51は、機体フレーム3から延設した支持フレーム13に着脱可能に設けられるものである。
【0059】
このようにコンバイン1を構成することで、取付板51とともにモータ50を機体フレーム3に対して着脱可能に取り付けることができるため、モータ50の機体フレーム3への取付けおよびモータ50のメンテナンスが容易となる。
【0060】
さらに、コンバイン1は、モータ50を制御するコントローラ81は、取付板51近傍の支持フレーム13に配置されるものである。
【0061】
このようにコンバイン1を構成することで、モータ50とコントローラ81との間の配線を短くすることができるため、モータ50の駆動における信頼性を向上できる。また、モータ50とコントローラ81とを同時にメンテナンスでき、モータ50とコントローラ81とのメンテナンスを容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0062】
1 コンバイン
3 機体フレーム
6 脱穀装置
8 グレンタンク
20 排藁搬送装置
21 排藁チェン
22 排藁ガイド棒
30 カッター装置
38 カッター切替カバー
50 モータ
51 取付板
58 第1ワイヤ
59 第2ワイヤ
81 コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体フレームの上方に設けられる脱穀装置と、前記脱穀装置の後方に設けられる排藁搬送装置と、前記排藁搬送装置の後方に設けられ一側を回動支点として開閉可能なカッター装置と、前記脱穀装置の側方に設けられるグレンタンクと、を備え、
前記排藁搬送装置の排藁チェンの下方には排藁ガイド棒が伸縮可能に構成され、
前記カッター装置の上部には、前記排藁搬送装置から前記カッター装置へ搬送される排藁の搬送方向を切り替えるカッター切替カバーが開閉可能に構成され、
前記排藁ガイド棒の伸縮操作および前記カッター切替カバーの開閉操作は、ワイヤを介して同一のモータによって行われるコンバインにおいて、
前記モータは、前記カッター装置の回動支点側であって、前記カッター装置と、前記グレンタンクとの間に設けられる、
ことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記モータは取付板に取り付けられ、
前記取付板は、前記機体フレームから延設した支持フレームに着脱可能に設けられる、
ことを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記モータを制御するコントローラは、前記取付板近傍の支持フレームに配置されることを特徴とする請求項2に記載のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−50402(P2012−50402A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−197122(P2010−197122)
【出願日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】