説明

コンバーゼンス補正装置

【目的】 コンバーゼンス補正装置全体をゴム接着材やシリコン等で被覆せずに、ノイズすなわちうなり音の発生を殆ど完全に防止することができるコンバーゼンス補正装置を提供すること。
【構成】 コア1aに巻回した制御コイル1を中央に配置し、その両側に一対の平行なコア4a、4b、5a、5bに巻回した2分割被制御コイル2a、2b、3a、3bを配置し、前記一対のコアの外側つば部の外表面に厚み方向に着磁したマグネット6、7を取付けたコンバーゼンス補正装置において、前記制御コイル1のコアのつば部の外表面と前記被制御コイルのコアのつば部の外表面との間に間隙Gを設けた。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は3電子銃インライン型カラー陰極線管のコンバーゼンス補正装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、3電子銃インライン型カラー陰極線管において、製造時の各部品の許容誤差等によって種々のミスコンバーゼンスが生じるため、偏向ヨークの水平偏向磁界を糸巻型磁界とし、また垂直偏向磁界をバレル型磁界としてミスコンバーゼンスを減少させている。
【0003】
しかしながら、偏向磁界の制御、調整だけではミスコンバーゼンスを除去することは非常に難しいため、例えば、実開昭62−55854に示すように、偏向ヨークの水平偏向コイルおよび垂直偏向コイルにダイナミックコンバーゼンス補正コイルをそれぞれ接続し、偏向ヨークのインピーダンスを制御することによりミスコンバーゼンスの発生を抑えている。これをコンバーゼンス補正装置や可飽和リアクターと称している。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】
図4は従来のコンバーゼンス補正装置の概略構成を示す平面図である。
【0005】
図4において、中央に制御コイル11を配置し、その両側に一対の被制御コイル(インピーダンスコイル)12および13を配置している。被制御コイル12および13はそれぞれコイル12a、12bおよび13a、13bに2分割されている。制御コイル11はドラム型コア11aに巻回されている。被制御コイル12a、12bは制御コイル11の左側に平行に配置された一対のドラム型コア14a、14bに巻回されている。被制御コイル13a、13bは制御コイル11の右側に平行に配置された一対のドラム型コア15a、15bに巻回されている。
【0006】
各対のドラム型コア14a、14bと15a、15bの外側のつば部外表面には厚み方向に着磁されたマグネット16、17が取付けられ、被制御コイル12および13に磁気バイアスを付与している。
【0007】
図に示すように、各対のドラム型コア14a、14bおよび15a、15bの内側のつば部外表面はドラム型コア11aのつば部外表面に接触している。
【0008】
このような構成になる従来のコンバーゼンス補正装置に偏向電流を流すとき、ドラム型コア14a、14bおよび15a、15bとドラム型コア11aは振動して互いに衝突し、そのためノイズすなわちうなり音を発生する。
【0009】
従来、このノイズを小さくするため、コンバーゼンス補正装置全体をゴム接着材やシリコン等で覆ってコアの振動を防止していた。しかし、この方法ではノイズを完全に防止できず、また材料費や加工費が嵩む欠点があった。
【0010】
本考案は上述の点にかんがみてなされたもので、コンバーゼンス補正装置全体をゴム接着材やシリコン等で被覆せずに、ノイズすなわちうなり音の発生を殆ど完全に防止することができるコンバーゼンス補正装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本考案はコアに巻回した制御コイルを中央に配置し、その両側に一対の平行なコアに巻回した2分割被制御コイルを配置し、前記一対のコアの外側つば部の外表面に厚み方向に着磁したマグネットを取付けたコンバーゼンス補正装置において、前記制御コイルのコアのつば部の外表面と前記被制御コイルのコアのつば部の外表面との間に間隙を設けたことを特徴とする。
【0012】
また、本考案は前記間隙がコンバーゼンス補正装置のケースの内面に突出させたリブにより形成されることを特徴とする。
【0013】
【作用】
コンバーゼンス補正装置に偏向電流が流れても、制御コイルと非制御コイルのコア間に間隙を設けてあるのでコア同志が接触せず、ノイズは殆ど発生しない。
【0014】
【実施例】
本考案を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1は本考案のコンバーゼンス補正装置の概略構成を示す平面図である。
【0016】
図1において、中央に制御コイル1を配置し、その両側に一対の被制御コイル(インピーダンスコイル)2および3を配置している。被制御コイル2および3はそれぞれコイル2a、2bおよび3a、3bに2分割されている。制御コイル1はドラム型コア1aに巻回されている。被制御コイル2a、2bは制御コイル1の左側に平行に配置された一対のドラム型コア4a、4bに巻回されている。
被制御コイル3a、3bは制御コイル1の右側に平行に配置された一対のドラム型コア5a、5bに巻回されている。これらのコア1a、4a、4b、5a、5bはそれぞれ両端につば部を備えている。
【0017】
各対のドラム型コア4a、4b並びにドラム型5a、5bの外側のつば部外表面には厚み方向に着磁されたマグネット6、7がそれぞれ取付けられ、被制御コイル2および3に磁気バイアスを付与している。
【0018】
図2は図1のII−II線上断面図である。
【0019】
図3は図1のIII −III 線上断面図である。
【0020】
上記の制御コイル1、被制御コイル2および3、及びこれらのコアコア1a、4a、4b、5a、5b、マグネット6、7は一まとめにしてケース8の中に収納されている。ケース8は上下二つ割となり、それぞれの内面に上記諸部材が嵌まって位置決めされるための扇形の突起10、10aが突出形成されている。図3に突起10、10aの扇形が表れている。
【0021】
この際注目すべきことは、図1及び図2に示すように、ドラム型コア4a、4bの内側(図において右側)のつば部の外表面はドラム型コア1aのつば部外表面との間に間隙Gが存在している。また、ドラム型コア5a、5bの内側(図において左側)のつば部の外表面はドラム型コア1aのつば部の外表面との間に間隙Gが存在している。この間隙Gに相当する間隙は上記従来例には存在しない。
このような間隙Gは樹脂製ケース8の内面に一体に成形された上記扇形の突起10に横方向に突出形成された三角形断面のリブ9によるものである。図1にリブ9の三角形断面が表れている。このリブ9によりドラム型コア4a、5bの内側のつば部の外表面はドラム型コア1aのつば部の外表面から隔てられている(図2参照)。なお、孔9bはリブ9を工作するためにつくられたものである。
【0022】
上記構成のコンバーゼンス補正装置は、その制御コイル1が一対の垂直偏向コイルと直列に接続され、垂直偏向コイルから垂直偏向電流が供給される。また、非制御コイル2、3の中の非制御コイル2は偏向ヨークの上部に取り付けられた一方の水平偏向コイルと直列に接続され、他方の非制御コイル3は偏向ヨークの下部に配置された他方の水平偏向コイルと直列に接続され、それぞれ水平偏向回路から水平偏向電流が供給される。このようにして、3電子銃インライン型カラー陰極線管におけるミスコンバーゼンスを減少させることができる。なお、偏向電流がコンバーゼンス補正装置に流れても、その制御コイルと被制御コイルのコアは互いに接触していないのでノイズは発生せず、また、前記間隙Gが0.5mm以下であればコンバーゼンス補正装置の特性(ミスコン補正量)は殆ど変化しない。
【0023】
【考案の効果】
上述のように、本考案のコンバーゼンス補正装置においては、制御コイルのコアのつば部の外表面及び被制御コイルのコアのつば部の外表面の相互間に間隙を設けたので、コア同志が接触せず、このためノイズが発生しないという優れた効果が得られる。また、従来のように接着剤を使用してコンバーゼンス補正装置の諸部材を相互に固定させることがないので材料費や加工費の低減が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案のコンバーゼンス補正装置の概略構成を示す平面図である。
【図2】図1のII−II線上断面図である。
【図3】図1のIII −III 線上断面図である。
【図4】従来のコンバーゼンス補正装置の概略構成を示す平面図である。
【符号の説明】
1 コイル
1a コア
2a コイル
2b コイル
3a コイル
3b コイル
4a コア
4b コア
5a コア
5b コア
6 マグネット
7 マグネット
G 間隙
9 リブ
10 突起

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 コアに巻回した制御コイルを中央に配置し、その両側に一対の平行なコアに巻回した2分割被制御コイルを配置し、前記一対のコアの外側つば部の外表面に厚み方向に着磁したマグネットを取付けたコンバーゼンス補正装置において、前記制御コイルのコアのつば部の外表面と前記被制御コイルのコアのつば部の外表面との間に間隙を設けたことを特徴とするコンバーゼンス補正装置。
【請求項2】 前記間隙がコンバーゼンス補正装置のケースの内面に突出させたリブにより形成されることを特徴とする請求項1に記載のコンバーゼンス補正装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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