説明

コンパクトな重量測定機器用の調整可能な平行案内機構

平行案内機構が、可動平行脚部を囲む固定平行脚部を備える。平行案内機構はさらに、上端部に取り付けられた第1の平行案内要素と、下端部に取り付けられた第2の平行案内要素をさらに備える。これらの平行案内要素によって、可動平行脚部は固定平行脚部に連結され、垂直の移動に案内される。可動平行脚部は、はかり荷重を伝達するために、力伝達の連結によって荷重受けおよび力測定セルに連結できる。上端部および下端部は、コーナ荷重誤差を修正するために、端部位置が少なくとも1つの傾斜軸の周りで互いに対して傾斜できるように、少なくとも1つの対の曲げ領域および/または少なくとも1つの球面継手および/または少なくとも1つの環状狭窄部によって互いに連結される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に重量測定機器用の平行案内機構に関する。
【背景技術】
【0002】
既知の最新技術には、多くの異なる設計の重量測定機器が含まれる。はかりとも呼ばれる多くの既知の設計は、本質的に力測定セル、力測定セルに動作的に連結された荷重受け、荷重受けを垂直に案内された直線移動に抑制する平行案内機構、はかり信号を処理する電子区画、および表示器ユニットからなる。
【0003】
既知の最新技術には、たとえば歪みゲージを有するはかりセル、振動ストリングを有するはかりセル、または電磁力補償(EMFC)に基づいたはかりセルなどの力測定セルまたは測定トランスデューサの様々な機能上の原理が含まれる。
【0004】
EMFCはかりセルでは、荷重の重量は、直接的に、あるいは1つまたは複数の力伝達レバーによって、電気機械式の測定トランスデューサに伝達され、その測定トランスデューサは測定荷重に対応する信号を送る。信号は、はかり機器の電子的な部分によってさらに処理され、その結果がディスプレイに表示される。
【0005】
歪みトランスデューサを有するはかりセルは、歪みゲージを設けられた変形可能な本体を含む。はかりセルに荷重をかけることにより、変形可能な本体の弾性変形が生じる。多くの場合に、変形可能な本体は、平行四辺形形状の測定要素(歪みゲージを有する平行案内機構)として構成され、それによって定められた変形領域または曲げ領域が形成され、そこに歪みゲージが配置される。荷重が可動平行脚部にかけられた結果、歪みゲージが引張りまたは圧縮を受け、それによって無応力状態と比較した、歪みゲージの電気抵抗の変化が生じ、抵抗の変化は、加えられた荷重の測定値を表す。
【0006】
ストリング振動子に基づいた力測定セルでは、機械設計構造は、振動ストリングトランスデューサが電磁測定トランスデューサまたは歪みゲージトランスデューサの代わりに使用されていることを除いて、機械設計構造は、電磁力補償に基づいた力測定セルまたは歪みゲージに大部分が類似している。荷重をかけた結果、振動ストリングの引張りが増加し、周波数の変化が加えられた荷重の測定値を示す。
【0007】
上記に示したように、こうしたタイプの力測定セルは、たとえばはかり、重量式水分測定器、はかりモジュールなどの様々な重量測定機器で使用される。
【0008】
はかりモジュールは、本質的に、表示器ユニットが、はかりから離れた場所、たとえば数個のはかりモジュール用の中央のディスプレイユニットを有する設置物内に配置された種類のはかりである。はかりモジュールは、複数のそのようなはかりモジュールが、コンパクトな外形寸法の複合システムに統合された、自動化された生産および試験システムに好んで用いられる。
【0009】
この種類のはかりモジュールは、本質的にたとえばEP 1 726 926 A1の図1に示されるような設計構造を有する。モジュールは、ほぼ立方体形状の固定平行脚部を有し、それは同時に、その中央で、この場合には上部にはかり皿を担持する垂直に可動式のロッドである、可動平行脚部が、固定平行脚部の上部および底部付近にそれぞれ配置されたダイアフラムスプリングによって垂直に案内された移動に抑制される固定式のフレームを形成する。
【0010】
しかし、この著しく単純な構造は、垂直移動を案内するダイアフラムスプリングの平行度を調整する能力に欠けるという欠点をなお有する。はかりの分野で知られているように、はかりにおける平行案内機構の案内要素の間の平行度からの逸脱は、いわゆるコーナ荷重誤差、すなわちはかり荷重が荷重受けの中心から外れてかけられた場合に発生するはかり誤差を引き起こす。
【0011】
コーナ荷重誤差、または肯定的に表現すれば、コーナ荷重精度は平行に案内された荷重受けを有するはかりの基本的な特性である。製造プロセスにおいて、より高い精度によって所望の程度のコーナ荷重精度を得ようと試みる可能性があるが、これにより、一方ではかりおよびはかりモジュールの製造コストが増加し、もう一方で工作機械が得ることができる最高の精度でも、約1/50,000から1/1,000,000の程度の秤量のコーナ荷重精度を得るのに足りない。
【0012】
このような理由で、一方で関連する構成要素の加工精度における比較的広い許容誤差が初めから許容され、もう一方で調整の可能性が平行案内機構の重要な点に設けられ、それによって案内部材の平行度が要求されるコーナ荷重精度に適合するように調整できる点で、高精度のはかりの場合と基本的に異なる手法が使用される。コーナ荷重精度のこの調整は、たとえば直線性調整およびスパン校正に対してさらなる設定を含むことができる自動または手動の検査および調整プロセスを使用して、現時点で実用化されている重量測定機器における組立て段階の後に続いて行われる。
【0013】
平行四辺形形状の測定要素、すなわち2つの平行な、本質的に水平の平行案内部によってはかり皿キャリアを平行移動に抑制する平行案内機構では、主に、平行案内部が、理想的な完全に平行な整列からわずかに偏向することによりコーナ荷重誤差が生じる。コーナ荷重誤差の相対的な大きさ、すなわち、表示された重量の誤差と使用される試験用重りの量との間の比率は、誤差が引き起こされる相対的な幾何学的偏向にほぼ一致する。はかりのコーナ荷重テストで試験用重りがはかり皿上で移動した方向に従って、平行案内機構の縦方向でのコーナ荷重誤差と横断方向でのコーナ荷重誤差との間で区別される。縦方向でのコーナ荷重誤差は、平行案内部が固定平行脚部に連結される端部においての平行案内部の垂直距離が、平行案内部が可動平行脚部に連結される反対側の端部におけるものと正確に同じでない場合に生じる。一方で、横断方向でのコーナ荷重誤差は、2つの平行案内部が互いにねじられた場合、すなわち平行案内部の間の距離が平行案内部の幅にわたって変わる状態で生じる。
【0014】
この種のコーナ荷重調整機能は、たとえば米国特許第4,606,421号に開示される。その参照に開示された平行案内機構の固定平行脚部は、互いの上方に、それぞれの異なる平面内に配置された弾性的に変形可能な曲げ領域を有する。第1の曲げ領域の傾斜軸が平行案内機構の縦方向に向けられ、第2の曲げ領域の傾斜軸が平行案内機構の縦方向に対して直角に配置される。4つの調整ネジによって、固定平行脚部の上端部は、固定平行脚部の下端部に対して傾斜して調整することができ、それによって縦方向および横断方向でのコーナ荷重誤差を修正することができる。
【0015】
すでに示したように、上述の種類のはかりモジュール、たとえばEP 1 726 926 A1に記載され例示されるようなものは、荷重受けを案内するダイアフラムスプリングの平行度を調整する能力に欠け、その結果、精密な、したがって費用集約的な製造方法を用いてさえ、ごく限られたレベルのコーナ荷重精度しかこれらのモジュールで達成できない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
したがって、本発明は好ましくはコンパクトなはかりモジュール用の平行案内機構を提供する目的を有し、平行案内部の平行度を調整する能力が、単純で機能的に信頼性がある、費用効果的な特徴によって実現され、それによって特別のコーナ荷重精度が調整によって設定でき、そのため、狭い、適合困難な許容誤差を本発明による平行案内機構の製造プロセスに課す必要がなくなる。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この課題は請求項1による平行案内機構によって解決される。重量測定機器で使用できる本発明による平行案内機構は、平行案内機構の動作状態で垂直に向けられ、上端部および下端部を有する固定平行脚部を有する。固定平行脚部は、可動平行脚部を囲み、その縦方向軸は動作状態にあるとき垂直に向けられている。平行案内機構はさらに、上端部に取り付けられた第1の平行案内要素と、下端部に取り付けられた第2の平行案内要素をさらに備える。これらの平行案内要素によって、可動平行脚部は固定平行脚部に連結され、垂直の移動に案内される。可動平行脚部は、はかり荷重を伝達するために、荷重受けおよび力測定セルに連結できる。
【0018】
上端部および下端部は、コーナ荷重誤差の修正に関して端部位置が少なくとも1つの傾斜軸の周りで互いに対して傾斜できるように、少なくとも1対の曲げ領域および/または少なくとも1つの球面継手および/または少なくとも1つの環状狭窄部によって互いに連結される。
【0019】
一対の曲げ領域の場合には、少なくとも1つの傾斜軸が、対の2つの曲げ領域を通過し、可動平行脚部の中央の縦方向軸が、対の2つの曲げ領域の間の垂直平面に配置される。したがって曲げ領域は、連結領域を形成し、そこを通って上端部および下端部が連結される。
【0020】
球面継手の場合には、少なくとも1つの傾斜軸が、球面継手の接触円を含む平面に配置され、可動平行脚部の中央の縦方向軸が球面継手の接触円の内側に配置される。用語「接触円」は円形の線または環状円形領域を指し、それに沿って球面継手を形成する2つの部分が互いに接触する。用語「接触円」は、無数の接触点として解釈することもできる。球面継手は、接触円が個々の区画に沿ってのみ適所に保たれる範囲に縮小することもできる。球面継手の一部が接触円の領域に有する真球度に応じて、少なくとも2つの接触点がある。したがって、接触円の接触点は、同様に連結領域であり、そこを通って上端部および下端部が連結される。一対の曲げ領域による前述の配置とは異なり、球面継手内の傾斜軸の向きは定められていない。接触円の平面内の傾斜軸の向きは、調整プロセスにおいて決定される。
【0021】
環状狭窄部の場合には、少なくとも1つの傾斜軸が環状狭窄部の中立素分を含む平面に配置され、可動平行脚部の中央の縦方向軸が環状狭窄部のボア穴内に配置される。弾性の理論では、用語「中立素分(neutral fiber)」は曲げを受ける本体に関連し、曲げの結果として短縮も延伸もされない物理的な線を意味する。環状狭窄部も、無限数の接触点または連結点を含み、そこを通って上端部および下端部が互いに接合される。したがって、環状狭窄部は、固定平行脚部の端部が任意の方向に互いに対して傾斜できるようにする連結部をもたらす。短い環状狭窄部は任意の所望の方向に曲げることができる様式で構成でき、それによってダイアフラムガイドスプリングの非平行度、したがって任意の方向での平行案内機構のコーナ荷重誤差を修正することができる。球面継手の場合と同様に、狭窄部の平面における傾斜軸の向きが調整プロセスの途中でのみ決定される。
【0022】
本発明による平行案内機構の上端部および下端部を互いに連結するための3つの設計の可能性は、可動平行脚部の中央の縦方向軸が、少なくとも2つの連結点の間に常に配置されるという共通の特徴を共有する。
【0023】
これは、重要な利点を有する。互いに別個の位置に配置された少なくとも2つの連結点を有する結果として、非常に精密に定められた連結が形成され、傾斜軸の位置が維持され、荷重受けに作用する力によってのみ生じた応力が互いにほぼ打ち消しあう。この精密度のレベルは、米国特許第4,606,421号に開示されたコーナ荷重調整デバイスによって得ることはできない。米国特許第4,606,421号における連結領域は、調整ネジからの力によって導入された永久的な応力の状態を維持する必要があるので、連結領域は、それらが定着するのを防止する、すなわち動作中に塑性的に降伏するのを防止するのに十分に大きい特定の寸法の断面形状を有する必要があり、それによって平行案内機構を使用することができなくなる。平行案内機構の所与の幅に基づいて、このコーナ荷重調整装置は、さらに傾斜軸を精密に定めるためにあまりにも好ましくない長さに対する幅の比率を有する断面形状の連結領域をさらに有する。コーナ荷重の調整は下端部に対する上端部の傾斜角の非常にわずかな変更しか必要としないので、このタイプの連結領域での傾斜軸の実際の位置は、不均一な材料特性および加工の許容誤差によるばらつきに非常に強く影響を受ける。広い形状を有する連結領域では、連結領域の位置および向きは、傾斜の動きの間に連続的に変化する可能性がある。これは、縦方向でのコーナ荷重誤差を横断方向でのコーナ荷重誤差から個別に調整する能力に悪影響を有し、したがって調整プロセスをより困難にする。
【0024】
さらに、本発明によるコーナ荷重調整用の装置が固定平行脚部に連結領域が1つしかない場合、これによって、この連結領域は、荷重受けに作用する荷重下で、特に荷重受けに作用する横断方向の力により座屈または弾性的に降伏するおそれがあり、それによって平行案内機構の幾何学的形状が変化し、力測定セルのはかり信号が重大な範囲まで悪影響を受ける。可動平行脚部の中央の縦方向軸が、少なくとも2つの連結領域の間に配置されることにより、荷重を受ける部分、したがって端部に作用する力は、確実に固定平行脚部に吸収される。これは、最新技術の解決策と対照的に、本発明による平行案内機構が、調整ネジを必要とせず、それは、不利な荷重条件の下で座屈するのを防止するために、強制的な変形、したがってさらなる応力を生じるという結果を有する。したがって、本発明による平行案内機構の連結領域は、ことのほか小さな外形寸法によって設計できる。この後により詳細に述べるように、固定要素を使用することは冗長である可能性もある。
【0025】
固定平行脚部は、2つの端部および2つの端部の間に配置された全ての部品を含み、平行案内部を平行案内機構の固定的な側に連結する役割を果たす。固定平行脚部の中央の縦方向軸は、平行脚部全体の重心軸または中立素分に対応する。したがって、固定平行脚部を剛体の地面に連結する基本構造は、固定平行脚部の一部分ではない。
【0026】
この文脈での用語「囲む」は、可動平行脚部が固定平行脚部の突出形状の領域内に配置されることを意味すると解釈されるべきである。たとえば、C字型形状を有する固定平行脚部は、可動平行脚部がC字型の平行脚部によって取り囲まれる領域内に配置される限り、C字型の平行脚部が一方の側で開いていても、可動平行脚部を囲むということができる。
【0027】
平行案内機構の好ましい実施形態では、少なくとも1つの傾斜軸および可動平行脚部の中央の縦方向軸が、共通の交差点を有する。実験で決定できるように、2つの連結領域および傾斜軸と中央の縦方向軸の間の共通の交差点を有する本発明による装置では、固定部分の端部間の平均距離が全体的に変更されずに保たれるので、コーナ荷重調整によって生じるゼロ点の変化はほとんどない。これは、たとえば米国特許第4,606,421号に開示されるように、連結領域が1つしかない平行案内機構では決して得ることができないさらなる利点を有する。この参照による平行案内機構では、下部曲げピボット(bending pivot)と上部曲げピボットの間の距離が調整プロセスで変更される。この場合、縦方向のコーナ荷重調整が横断方向のコーナ荷重調整にも影響し、逆のことも成り立ち、したがって、縦方向および横断方向での所望のコーナ荷重精度が確立されるまで、多くのステップでの相互作用によって調整を行う必要がある。
【0028】
平行案内機構の別の実施形態では、少なくとも1つの傾斜軸がさらに、固定平行脚部の中央の縦方向軸に対して直角に配置される。これは、コーナ荷重精度の設定において特別な利点をもたらす。試験用重りが荷重受けの中央に配置され、表示器がゼロにリセットされると、本発明による平行案内機構のコーナ荷重精度が最も単純明快な様式で調整できる。傾斜軸の対称的な配置により、重りが中央の縦方向軸から両方の方向に等しい距離だけ移動したことを想定すると、試験用重りが続いて荷重受けの2つの正反対の点の間で移動された場合の測定信号の変化は、同一の大きさのものになる。それらは、反対の符号を有することで互いに異なるだけである。
【0029】
したがって、平行案内機構またはこの機構を備える重量測定機器のコーナ荷重精度を設定する調整方法は非常に単純である。
【0030】
第1のステップでは、試験用重りが荷重受けの中央に配置され、表示器が「テアーされ(tared)」(ゼロへリセットされる)。
【0031】
第2のステップでは、試験用重りが(適用可能であれば)第1の傾斜軸に対して好ましくは垂直な方向に移動され、荷重受けの縁部に配置される。
【0032】
第3のステップでは、上端部が、表示器がゼロの値を示すまで第1の傾斜軸の周りで下端部に対して傾斜して調整される。
【0033】
第4のステップでは、試験用重りが第1の傾斜軸の方向に移動され、荷重受けの縁部に配置される。
【0034】
第5のステップでは、上端部が、表示器がゼロの値を示すまで、第1の傾斜軸に対して直角に向けられた第2の傾斜軸の周りで下端部に対して傾斜して調整される。
【0035】
確認するために、試験用重りを、それぞれの調整の後に正反対の点に配置できる。そのような確認試験では、表示器は最小の偏向しか示さないことが実験で明らかになった。
【0036】
球面継手または環状狭窄部を有する平行案内機構のための調整方法は、直前に説明した方法よりもかなり簡単である。調整プロセスでの表示器がゼロにリセットされた時点の後に、最大の偏向の方向が試験用重りを荷重受けの縁部の周りで移動することによって決定できる。次に、最大の偏向の方向に直角に向けられた傾斜軸の周りで傾斜調整を行うことによって、表示器がゼロの値を示すまで端部間の傾斜角が調整される。
【0037】
調整された傾斜角を固定するために、傾斜して調整される端部を互いに対して移動不能にするための少なくとも1つの固定要素がある可能性がある。固定要素は、傾斜して調整可能な端部を調整する手段として機能するように設計することもできる。固定手段は、作製された設定を固定する役割しか果たさない。従来技術のデバイスでの調整ネジとは異なり、固定手段は、荷重受けに作用するいかなる力も吸収することを求められない。
【0038】
調整ネジは、一般に固定平行脚部とは別の材料から作製される。したがって、その熱膨張係数および弾性率は、固定平行脚部のものとは異なる。調整ネジは荷重受けに作用する力の一部分も吸収するので、従来技術の平行案内機構での平行度は、温度効果による一時的な変化を受け、その結果、重量測定機器のコーナ荷重誤差が強く温度に依存する可能性がある。本発明による平行案内機構にはそのような調整ネジがないので、重量測定機器の大幅に改善された温度挙動のさらなる利益がある。
【0039】
好ましくは、垂直の中心軸を有する固定平行脚部が回転対称に設計され、平行案内要素が、柔軟で弾性的なダイアフラムガイドスプリングとして構成される。
【0040】
上記に説明したように、可能な最良の対称性を有する平行案内機構を設計することにより、コーナ荷重精度を設定するための非常に簡単なプロセスへの可能性が開ける。したがって理想的には、可動平行脚部は、固定平行脚部の中央の縦方向軸および可動平行脚部の中央の縦方向軸が互いに一致するように、固定平行脚部に対して配置される。
【0041】
少なくとも1対の曲げ領域が、固定平行脚部の上端部と下端部の間の少なくとも2つの側方の切り口によって形成される。本質的に、各曲げ領域は力またはトルクを加えることにより弾性変形および/または塑性変形できる狭い材料のブリッジであり、それによって2つの材料のブリッジの強制的な変形によって、傾斜して調整可能な端部、したがって端部に連結された平行案内要素の取り付けの領域を少なくとも1つの傾斜軸の周りで傾斜して調整でき、傾斜調整の結果、平行案内機構のコーナ荷重誤差を修正することができる。変形可能な材料のブリッジは、一体構造に設計された平行脚部の一部分であることができ、またはその他の構成要素と共に固定平行脚部を形成する別個の構成要素であることもできる。もちろん、平行案内機構全体は、概して、一体構造設計のものであることも可能である。
【0042】
本発明による平行案内機構は、2つの狭い材料のブリッジが2つの第1の切り口の間に形成されるように固定平行脚部の正反対の側から始まり、固定平行脚部の第1の直径付近で終端する、第1の水平面に(平行案内機構の動作状態において)2つの第1の切り口を有することができる。さらに平行案内機構の動作状態では、第1の水平面の下に延出する第2の水平面内に、前述の2つの第1の材料のブリッジの下の正反対の点から始まり、固定平行脚部の第2の直径の付近で終端して、2つの第2の水平の切り口が形成され、それによって、同様に2つの第2の切り口の間に2つの狭い第2の材料のブリッジしか適所に残らなくなる。その結果、第1と第2の切り口の間に中間環部が形成され、それによって上端部が、第1の材料のブリッジ、中間環部、および第2の材料のブリッジによって下端部に連結される。第1と第2の材料のブリッジが、一対の変形可能な曲げ領域として構成される。中間環部および変形可能な曲げ領域は、共に端部の間でジンバル式の連結を形成する。
【0043】
当然ではあるが、このジンバル式の連結は、船舶の羅針盤の配列と同様に単一の平面に配列でき、その場合に、上端部、中間環部、および下端部が、中央の縦方向軸に垂直の平面内で異なる外形寸法を有する必要がある。
【0044】
この文脈では、「上方」、「下方」、「水平」、「垂直」などの表現は、平行案内機構が使用される、重量測定機器の通常の動作状態での平行案内機構の向き、言い換えれば重力の方向を常に指す。
【0045】
ここでは、狭い材料のブリッジは、第1の曲げ領域を通過する第1の直径が第1の傾斜軸を形成し、第2の曲げ領域を通過する第2の直径が第2の傾斜軸を形成するように、定められた曲げ領域(以降、材料のブリッジと同様に第1および第2の曲げ領域と呼ぶ)として機能するように曲げやすくなっている。前述の説明から結論付けられるように、第1および第2の傾斜軸が互いに直交し、第1および第2の曲げ領域が、上述の切り口によって生成された中間環部と共に、上記に示したジンバル式の支持と比肩できる配列で、上部ダイアフラムガイドスプリングを有する環状端部の傾斜して調整可能な支持を形成する。
【0046】
平行案内機構の固定平行脚部の調整可能性をさらに大きく改善するために、2つの第1の切り口の後に別の切り口を加えることによって生成される別の変形可能な材料のブリッジを設けることができる。平行案内機構の動作状態に関連する第1の水平面の下の別の水平面で、正反対の点から始まり、固定平行脚部の直径の付近で終端する、さらなる対の切り口によって、さらなる対の正反対の材料のブリッジが、同様の様式で形成できる。これらの対は、好ましくは等しい角度間隔によって互いに偏っている。切り口によって形成された中間環部と共に、これらの材料のブリッジにより、端部およびそれに装着されたダイアフラムスプリングが全ての方向に傾斜できるようにする支持が形成される。
【0047】
2つの傾斜軸の直交性は有利であるが、絶対に必要なわけではない。90°の偏りの代わりに、たとえば互いの上方に配置される3つの水平面での複数の対の切り口の場合にそうなるように、2つの第2の曲げ領域が、ゼロとは大きく異なる任意の角度で互いに偏ることができる。その結果、第1、第2、および第3の対の曲げ領域が、互いに60°のそれぞれの角度の偏りによって形成される。
【0048】
固定平行脚部は、コーナ荷重誤差を修正する目的で、互いに対して傾斜して調整可能な複数の区画を有するので、固定平行脚部は上端部または下端部、あるいは適用可能であれば、中間の端部において剛体の地面に装着できる。
【0049】
材料のブリッジを塑性変形させることによって、少なくとも1つの傾斜軸の周りで互いに対する端部の永久的な角度位置調整を行うことができ、それによってコーナ荷重誤差の永久的な修正を達成することができるように、少なくとも1つの狭い材料のブリッジが力またはトルクを加えることによって塑性変形可能であれば有利である。これを達成するために、曲げ領域として機能する材料のブリッジは、さらに十分に剛性がある必要があり、一方では、傾斜して調整される端部が、その通常の水平位置に十分に堅固に固定されるが、もう一方で、この水平位置、より具体的には下部ダイアフラムガイドスプリングでの平行度が、たとえば環状上端部にレバー工具の係合によって、十分な量の力またはトルクを加えることによって、さらに精密に調整され、それによって曲げ領域の永久的な塑性変形が行われる。これにより、調整ネジ、楔などの傾斜調整を永久的に維持するための調整設定要素を使用する必要がなくなる。当然ではあるが、こうした調整要素は、特に強い不都合な力に曝される平行案内機構に関して、さらに傾斜調整を固定するために使用できる。
【0050】
傾斜調整を精密に設定するために、固定平行脚部のそれぞれの調整可能な端部が、トルクを生みだす適切な工具を係合するための把持位置を有し、調整が行われた後に再び除去できれば有利である。そのような把持位置は、固定平行脚部内のボア穴によって最も容易に生成できる。切り口が狭い間隙である場合、切り口によって形成された隙間のフランクが、隙間の中に置かれるバール型のレバーに関する把持位置としての役割を果たすことができる。
【0051】
平行案内機構の設計に応じて、固定平行脚部の調整可能な端部は、調整ネジ、偏心ネジ、差動ネジ、調整可能なウエッジ(adjustable wedge)、レバー、または円錐ペグ(conical peg)などの力またはトルクを加えるための適切な調整可能な設定手段を備えることもできる。
【0052】
理想的には、平行案内機構の動作位置での固定脚部は、本質的に真っ直ぐな垂直の円形の円柱である。したがって、切り口は、円周上の任意の場所に配置できる。
【0053】
しかし、固定平行脚部は、正方形、六角形、または八角形の管状を有することもできる。好ましくは、固定平行脚部は一体構造の管状の区画として構成され、材料の部分は、フライス削り、研削、穴開け、放電加工などによって除去される。平行案内機構の全体の高さを低く保つために、除去された材料部分が狭い切り口として構成されれば有利である。
【0054】
重量測定機器の設計に応じて、力測定セルを平行案内機構の平行脚部の間に配置することが可能である。力測定セルに、また、適用可能であれば、信号処理ユニットの構成要素に、制約のないアクセスができるようにするために、固定平行脚部は側方のアクセス開口を有する。
【0055】
しかし、場合によってはこの種のアクセスは、重量測定機器での認証されていない操作を防止する必要がある場合に望ましくない可能性がある。表示器ユニットを除いた重量測定機器の全ての部品、すなわち上記に定めた意味でのはかりモジュール全体は、平行案内機構の内側に配置できる。力測定セルおよびその電子部品へのアクセスを得るために、最初に平行案内機構を分解する必要があり、それによって平行案内機構の調整を解除することが不可避になる。不正に開放されたはかりモジュールは、コーナ荷重精度を点検することによって特定でき、稼働を停止することができる。
【0056】
本発明の主題の知識に基づいて、以下の変形が同様に想定でき、開示された発明の一部分であると判断される。
【0057】
本発明の主題を明確に説明するために、もう一方の平行脚部を囲む平行脚部は、上記に一貫して可動平行脚部を囲む固定平行脚部と呼称してきた。明らかであるように、力測定セルおよび荷重受けに機能的に連結された場合、周囲の平行脚部は、可動平行脚部であることもでき、それによって囲まれた平行脚部が、固定平行脚部として剛体の地面に装着できる。
【0058】
さらに、明確にするために、端部の調整可能な傾斜は、固定平行脚部の適切な構成によって達成されることを一貫して述べてきた。当然ではあるが、そのような適切な構成は、可動平行脚部で実現することもできる。
【0059】
たとえば、傾斜調整を可能にする別の要素が端部の間に配置され、たとえば、互いに対する端部の位置が固定手段によって調整される、想定可能な変形は、同様に本発明の一部分であると見なされる。一例として、平行案内機構は、変形可能な金属製の蛇腹またはゴム製のリングを備えることができ、調整を設定および固定するために端部の間に少なくとも1つの固定手段を備えることができる。
【0060】
重量測定機器、特に本発明による平行案内機構、および機構を調整するための方法の詳細は、以下の図面に基づいてより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明による平行案内機構の斜視図である。
【図2】コーナ荷重誤差の決定のための試験用重りの移動を示す、第1の傾斜軸の方向での平面図で見た、図1の平行案内機構を示す図である。
【図3】固定手段を同時に示す、傾斜して調整される第1の端部および変形された曲げ領域を有する平面図での図1の平行案内機構を本質的に示す図である。
【図4】曲げ領域の代わりに、球面継手がハウジングの主要部分と第1の端部の間に配置された、傾斜して調整される第1の端部を有する平面図での図3の平行案内機構を本質的に示す図である。
【図5】上部環状端部が図面の平面に直交するy軸の周りで傾斜して調整可能であり、下部環状端部が図面の平面にあるx軸の周りで傾斜して調整可能である、前述の図の平行案内機構の変形を示す図である。
【図6】互いに60°偏る一対の曲げ領域によって形成された3つの傾斜軸を有する平行案内機構の実施形態を示す図である。
【図7】上部環状部分が、固定平行脚部に形成された環状の薄い壁の同様に塑性変形可能な狭窄部によって、全ての方向に調整可能であるように作製された平行案内機構の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0062】
図1は、本発明による平行案内機構1を3次元図で示す。記号2によって識別される固定平行脚部は、その上端部に、2つの狭い材料のブリッジ5(そのうちの1つのみが図1で認識可能である)のみが適所に残されるように、固定平行脚部2にほぼ半分まで切れ目を入れ、直径4付近で終端する、第1の水平の切り口3を有する。第2の水平の切り口6、および直径7の両端にある(そのうちの1つのみが図1で認識可能である)材料のブリッジ8が、第1の水平の切り口3の下に配置され、第1の水平の切り口3に対して90°偏っている。固定平行脚部2の開口9が、固定平行脚部2の内側の空間、たとえば、そこに配置できる力測定セル(図1に示されない)へのアクセスを可能にする。さらなる可能性として、この内側の空間内に信号処理ユニット全体、またはたとえば調整データを有するメモリモジュール(EAROM)、アナログ/デジタルコンバータ回路、および位置検出器などの信号処理ユニットの構成要素を配置することもできる。調整データは、本質的に、力測定セルに連結された信号処理ユニットによって使用するための修正値である。それらは個々の力測定セルに固有のものであり、工場から配送する直前に決定される。内側の空間が十分広い場合、表示ユニットもその中に収容できる。
【0063】
材料のブリッジ5および8、ならびにそれらの間にある環状部分10は、固定平行脚部2の環状端部11の(カルダンサスペンションとも呼ばれる)ある種のジンバル式の支持を形成する。環状端部11は、上部ダイアフラムガイドスプリング12の境界装着部(border mount)を形成する。固定平行脚部2の下端部13の内側には、下部ダイアフラムガイドスプリング14が同様の配置で装着される。固定平行脚部2の中心に配置された垂直に可動な平行脚部15が、2つのダイアフラムガイドスプリング12および14に連結され、制限された範囲内で垂直の移動ができるように、それらによって制約される。さらに、垂直に可動な平行脚部15は、荷重受け16と、固定平行脚部2の内側に配置された力測定セルとの間に力伝達部材を形成する。
【0064】
図2および3は、切り口および曲げ領域を有する固定平行脚部2の上部の前面側の概略図を示す。デカルト座標系が参照のために示され、x方向が図面の平面内にあり、2つの第2の曲げ領域8を通過し、y方向が図平面の後部の方向に直角に向けられ、2つの第1の曲げ領域5を通過し、z軸が円筒の固定平行脚部2の対称軸として、図平面での垂直方向に延出する。曲げ領域によって定められた傾斜軸が異なる水平面にあることを除いて、調整挙動に関する幾何学的または機械的な観点から、この配置でのx方向とy方向の間には違いがない。x方向でのコーナ荷重誤差(すなわち、たとえば図2に示されるように左から右へのx方向に、試験用重り17が荷重受け16上で移動されたときのそれぞれの重りの読み取り値の間の差)がy軸の周りで環状端部11を傾斜して調整することによって修正される。同様に、y方向でのコーナ荷重誤差(すなわち試験用重りが前から後ろにy方向にはかり皿の上で移動された場合のそれぞれの重りの読み取り値の間の差)が、x軸の周りで環状端部11を傾斜して調整することによって修正される。傾斜調整は、調整設定手段27によって行われ、または図3に示されるように固定手段26によって直接的に行うこともでき、その場合、固定手段は傾斜角度を固定する目的で、平行案内機構の適所に残る。コーナ荷重誤差の成分の代数的な量(大きさおよび記号)と修正に必要な傾斜調整、すなわち角偏位の大きさおよび方向の間に、所与のはかりモジュールの設計に特有である、またはかりモジュールの開発中の経験的な実験および/または分析的な計算によって決定される、再現可能な相関関係がある。
【0065】
たとえば、図1、2、および3に示される平行案内機構1では、x方向に左から右への試験用重り17の移動(図2を参照されたい)が、負のコーナ荷重誤差(重りの右手位置に関する重量の読み取り値が、左手位置に関してよりも小さいことを意味する)を生じる場合、これはコーナ荷重誤差の大きさに依存する量だけ、環状端部11の傾斜角を調整することによって修正でき、y軸の周りの負の方向の回転に(すなわち図3に示されるように反時計回りに)方向付けられる。
【0066】
図4に示される平行案内機構は、材料のブリッジの代わりに上部環状端部11と中間の環状部分10の間に固定手段26を有する球面継手25を含む点で、前述の例とは異なる。球面継手25は、中間の環状領域10に形成された環状球面領域、および環状球面領域に配置される環状端部11の内側縁部によって形成される。この内側の縁部は接触円19を表す。中間の環状部分10と環状端部11の間の固定された連結のために、固定手段26が設けられ、それは調整可能なことから、同時にコーナ荷重誤差を調整する役割を果たすことができる。固定手段26の数は、任意の特定の要件によって決定されない。しかし、理想的には、静的な過剰決定による不均一の応力を回避するために、環状端部11の円周上に3つの固定手段26のみが分配される。当然ではあるが、固定手段はコーナ荷重調整の結果生じる角度の位置合わせ不良に適合できる必要もある。これは、傾斜して調整可能な接触要素28によって図4に象徴的に示される。
【0067】
前述の図面による平行案内機構1の変形として、xおよびyの方向のコーナ荷重誤差成分の同じ調整可能性を図5による配置によって達成することもできる。上部ダイアフラムガイドスプリング12を保持する上部環状端部11が、y方向に延出する傾斜軸の周りで(すなわち描画平面に垂直に)曲げ領域5によって傾斜して調整可能であるように設計され、下部ダイアフラムガイドスプリング14を保持する下部環状端部13は、x方向に延出する傾斜軸の周りで(すなわち描画平面に)傾斜して調整可能であるように設計され、曲げ領域8によって形成される。x方向のコーナ荷重誤差の修正は、上部環状端部11の傾斜調整によってここで達成され、y方向のコーナ荷重誤差の修正は、下部環状端部13の傾斜調整によって達成される。
【0068】
図6は、本発明の概念が3対の切り口、したがって互いに60°偏った3対の曲げ領域21、22、23によって実現できるさらなる可能な方法を示す。参照記号によって示されたその他の要素は、図1から3による実施形態に一致する。さらに多くの数の等しく偏った複数の対の曲げ領域を有する同様の配列が、同様に想定可能である。
【0069】
図7は、固定平行脚部が上部ダイアフラムガイドスプリングの下に密接して深い狭窄部を有する実施形態を示し、薄い壁の環状狭窄部18が塑性および/または弾性変形可能な曲げ領域を形成し、それによって固定平行脚部の環状上端部11が、下部ダイアフラムガイドスプリング14を囲む下端部13に対して任意の水平の向きの任意の軸の周りで傾斜して調整できる。環状狭窄部18は、荷重受け16を可動平行脚部15の上端に取り付けることができるように、可動平行脚部15が通過する穴を有する必要がある。
【0070】
図1から5の実施形態では、デカルト軸の方向は複数の対の曲げ領域5および8、または固定要素26によって決定される。図6の実施形態では、第1の対の曲げ領域21の連結の方向は、x方向として選択できる。図7の場合には、x方向は自由に選択でき、y方向は90°反時計回りの回転によってx方向から得られ、z軸は平行案内機構の垂直の対称軸によって定められる。図1から6の実施形態では、複数の対の曲げ領域によって、および/または固定要素26によって定められる特定の方向があり、それは、それ自体で明らかにxおよびy方向を示す。固定平行脚部のz軸に対する全ての実施形態の幾何学的形状の中央の対称性により、コーナ荷重誤差と上部ダイアフラムガイドスプリングに対する下部ダイアフラムガイドスプリングのそれぞれの傾斜調整との間の修正は、z軸の周りのx/y格子の回転に対して等方性を有する。したがって、原理的に、(平行案内機構の動作位置に対して)任意の水平方向をx軸、関連する直交する水平方向をy方向と言うことが可能である。しかし実際には、調整プロセスを正確に再現可能かつ確認可能にするために、たとえば複数の対の曲げ領域によって決定された特定の方向を重りの移動およびコーナ荷重調整でのトルクの付加に関する方向として指定することが好ましい可能性がある。
【0071】
例示された実施形態では、回転対称の平行案内機構による好ましい設計を例示および説明してきた。上述したように、固定平行脚部の中央の縦方向軸は、必ずしも固定平行脚部の中央の縦方向軸と一致する必要がなく、傾斜軸が固定平行脚部の中央の縦方向軸と交差する必要もない。
【0072】
実施形態の例に示した好ましい平行案内要素は、ダイアフラムガイドスプリングであった。当然ではあるが、可動平行脚部をダイアフラムガイドスプリングとして構成されない平行案内要素によって固定平行脚部に連結することが同様に可能である。特に、これは、可動平行脚部および固定平行脚部の中央の縦方向軸が、平行であるが、互いに離れて配置される設計の場合に当てはまる。
【符号の説明】
【0073】
1 平行案内機構
2 固定平行脚部
3 第1の水平の切り口
4 第1の直径、第1の傾斜軸
5 第1の材料のブリッジまたは曲げ領域
6 第2の水平の切り口
7 第2の直径、第2の傾斜軸
8 第2の材料のブリッジまたは曲げ領域
9 側方のアクセス開口
10 中間環部
11 2の上端部
12 11によって囲まれた上部ダイアフラムガイドスプリング
13 2の下端部
14 13によって囲まれた下部ダイアフラムガイドスプリング
15 可動平行脚部
16 荷重受け、はかり皿
17 試験用重り
18 環状狭窄部
19 接触円
21 1対の曲げ領域
22 1対の曲げ領域
23 1対の曲げ領域
25 球面継手
26 固定手段
27 調整設定手段
28 傾斜して調整可能な接触要素

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平行案内機構の動作状態では垂直に向けられ、上端部および下端部(11、13)を有する固定平行脚部(2)を備え、前記固定平行脚部(2)が、前記動作状態にある場合、その中央の縦方向軸が垂直に向けられる可動平行脚部(15)を囲み、前記上端部(11)に取り付けられた第1の平行案内要素(12)と、前記下端部(13)に取り付けられた第2の平行案内要素(14)とをさらに備え、前記平行案内要素(12、14)によって、前記可動平行脚部(15)が前記固定平行脚部(2)に連結され、垂直の移動に案内され、前記可動平行脚部(15)が荷重受け(16)から力測定セルへの力伝達の連結を形成するように設計された平行案内機構(1)において、前記上端部(11)および前記下端部(13)が少なくとも1対の曲げ領域(5、8、21、22、23)および/または少なくとも1つの球面継手(25)および/または少なくとも1つの環状狭窄部(18)によって互いに連結され、それによってコーナ荷重誤差の修正に関して、前記端部(11、13)が少なくとも1つの傾斜軸の周りで互いに対して傾斜して調整でき、
前記少なくとも1つの傾斜軸が、1対の曲げ領域(5、8、21、22、23)のうちの2つの曲げ領域を通過し、前記可動平行脚部(15)の前記中央の縦方向軸が、1対の曲げ領域(5、8、21、22、23)うちの2つの曲げ領域の間の垂直平面に配置され、または、
前記少なくとも1つの傾斜軸が、前記球面継手(25)の接触円(19)を含む平面に配置され、前記可動平行脚部(15)の前記中央の縦方向軸が前記球面継手(25)の前記接触円(19)の内側に配置され、または、
前記少なくとも1つの傾斜軸が前記環状狭窄部(18)の中立素分を含む平面に配置され、前記可動平行脚部(15)の前記中央の縦方向軸が前記環状狭窄部の通過穴内に配置されることを特徴とする平行案内機構(1)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの傾斜軸、および前記可動平行脚部(15)の前記中央の縦方向軸が、共通の交差点を有することを特徴とする、請求項1に記載の平行案内機構(1)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの傾斜軸が、前記可動平行脚部(15)の前記中央の縦方向軸に直交して配置されることを特徴とする、請求項1または2に記載の平行案内機構(1)。
【請求項4】
少なくとも1つの固定手段(26)が、互いに対して傾斜して調整可能な前記端部(11、13)の間に配置され、前記固定手段(26)が、前記傾斜して調整可能な端部(11、13)を互いに対して固定し、調整する役割を果たすことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の平行案内機構(1)。
【請求項5】
前記固定平行脚部(2)が回転対称の構成のものであり、前記平行案内要素が柔軟なダイアフラムガイドスプリング(12、14)として構成されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の平行案内機構(1)。
【請求項6】
前記固定平行脚部(2)の前記中央の縦方向軸、および前記可動平行脚部(15)の前記中央の縦方向軸が互いに一致することを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の平行案内機構(1)。
【請求項7】
少なくとも1対の曲げ領域(5、8、21、22、23)が、前記固定平行脚部(2)の前記上端部(11)と前記下端部(13)の間の少なくとも2つの側方の切り口(3、6)によって形成されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の平行案内機構(1)。
【請求項8】
前記端部(11、13)の間に配置され、前記平行案内機構(1)の前記動作状態で水平に向けられた第1の平面に、前記固定平行脚部(2)の正反対の点から始まり、前記固定平行脚部(2)の第1の直径(4)の付近で終端する、2つの第1の切り口(3)があり、それによって、2つの狭い第1の材料のブリッジ(5)が前記2つの第1の切り口(3)の間に形成され、さらに、前記平行案内機構(1)の前記動作状態において、前記第1の水平面の下に位置する第2の水平面内には、前記第1の材料のブリッジ(5)の垂直方向に下の正反対の点から始まり、前記固定平行脚部(2)の第2の直径(7)の付近で終端する、2つの第2の切り口(6)があり、それによって、前記2つの第2の切り口(6)の間に同様に狭い第2の材料のブリッジ(8)しか適所に残らなくなり、それにより、前記第1と第2の切り口(3、6)の間に、中間環部(10)が形成され、それによって前記上端部(11)が、前記2つの第1の材料のブリッジ(5)、および前記2つの第2の材料のブリッジ(8)によって前記下端部(13)に連結され、前記第1および第2の材料のブリッジ(5、8)が前記中間環部(10)と共に、前記端部(11、13)の間にジンバル式の連結を形成することを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の平行案内機構(1)。
【請求項9】
前記平行案内機構(1)の前記動作状態で水平に向けられた第1の平面に、前記固定平行脚部(2)の正反対の点から始まり、前記固定平行脚部(2)の第1の直径の付近で終端する、2つの第1の切り口があり、それによって、2つの狭い第1の材料のブリッジ(21)のみが前記2つの第1の切り口の間の適所に残り、前記平行案内機構(1)の前記動作状態で前記第1の水平面の下に配置されたさらなる平面には、さらなる対の切り口があり、各対の前記切り口が、正反対の点から始まり、前記固定平行脚部(2)の直径付近で終端し、それによって、別の対の切り口を設けた結果、同様に、さらなる対の正反対の材料のブリッジ(22、23)が形成され、前記対が、等しい角度間隔で互いに偏り、前記材料のブリッジ(21、22、23)が、前記切り口によって生成された前記中間の環形状区画と共に支持部を形成し、その上で、それによって枠を付けられた前記ダイアフラムガイドスプリング(12、14)を有する前記上端部(11、13)が全ての方向に傾斜して調整できることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の平行案内機構(1)。
【請求項10】
前記固定平行脚部(2)が、前記上端部(11)または前記下端部(13)、あるいは適用可能であれば、中間部分(10)で剛体の地面に支持されることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の平行案内機構(1)。
【請求項11】
前記少なくとも1対の曲げ領域(5、8、18、21、22、23)が力またはトルクを加えることによって塑性変形させることができ、それによって、前記複数の対の曲げ領域(5、8、18、21、22、23)の前記塑性変形の結果、互いに対する前記端部(11、13)の永久的な傾斜調整が前記少なくとも1つの傾斜軸(4、7)の周りで行うことができ、それによって前記コーナ荷重誤差の永久的な修正を達成することができることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の平行案内機構(1)。
【請求項12】
前記平行案内機構(1)の前記動作位置での前記固定平行脚部(2)が、本質的に真っ直ぐな垂直の円形の中空の円筒であることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の平行案内機構(1)。
【請求項13】
前記固定平行脚部(2)が側方のアクセス開口(9)を有し、前記側方のアクセス開口(9)は、前記平行案内部(12、14)の間に配置された力測定セルに、適合可能であれば、信号処理ユニットの構成要素にアクセスできるようにすることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の平行案内機構(1)。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の平行案内機構を有する重量測定機器、特に、はかりまたははかりモジュール。
【請求項15】
力測定セルおよび荷重受けに機能的に連結された、前記請求項1から13のいずれか一項に記載の平行案内機構(1)の前記コーナ荷重精度を設定する調整方法であって、前記力測定セルが、前記力測定セルの測定信号を処理する役割を果たす信号処理ユニットに連結され、
第1のステップでは、試験用重り(17)が前記荷重受け(16)の中央に配置され、表示器が「テアーされ」(ゼロにリセットされ)、
第2のステップでは、前記試験用重り(17)が、適用可能であれば、第1の傾斜軸(7)に対して好ましくは垂直な方向に移動され、前記荷重受け(16)の縁部に配置され、
第3のステップでは、前記上端部(11)が、表示器がゼロの値を示すまで前記第1の傾斜軸(7)の周りで前記下端部(13)に対して傾斜して調整され、
第4のステップでは、前記試験用重り(17)が前記第1の傾斜軸(7)の方向に移動され、前記荷重受け(18)の縁部に配置され、
第5のステップでは、前記上端部(11)が、表示器がゼロの値を示すまで、前記第1の傾斜軸(7)に対して直角に向けられた第2の傾斜軸(4)の周りで前記下端部(13)に対して傾斜して調整されることによって特徴づけられる調整方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−529424(P2010−529424A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−509761(P2010−509761)
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【国際出願番号】PCT/EP2008/053083
【国際公開番号】WO2008/145427
【国際公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(599082218)メトラー−トレド アクチェンゲゼルシャフト (130)
【住所又は居所原語表記】Im Langacher, 8606 Greifensee, Switzerland