説明

コンパクトディスクホルダー

【目的】 CD(1) を、嵩張ることなく、多数枚収容できるコンパクトディスク用のホルダーに関するものであり、多数のCDを小さなスペースで嵩低く収容・保管できるとともに、使い勝手の良いホルダーを提供すること。
【構成】 CD(1) を収容・保管する為のコンパクトディスクホルダーにおいて、周縁部が相互に溶着一体化された表裏の軟質合成樹脂製の被覆シート(21)(22)と、これら被覆シート(21)(22)間に介在され且これらに略一致する大きさ形状の不織布シート(3) とからなり、前記表裏の被覆シート(21)(22)の対向する複数箇所に、CD(1) の直径より長い範囲にわたってスリット(20)(20)を形成し、前記各スリット(20)の下方域には、CD(1) より僅かに大径な円の下半周に沿った区間に、被覆シート(21)(22)と不織布シート(3) とを溶着してなる溶着支持部(33)を形成したこと。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、多数のコンパクトディスクを、嵩張ることなく収容・保管することのできるコンパクトディスクホルダーに関するものである。
【0002】
【従来技術及びその問題点】従来のレコードに代わって普及されて来たコンパクトディスク(以下、CDという)は、直径12センチメートルの薄肉円板状の光ディスクであり、一般に硬質樹脂製の矩形ケースに収容されて流通されている。そして、購入後も普通は前記ケースに収容させたまま保管されている。よって、CD自体は薄肉シートであるにもかかわらず、多数のそれを整理・保管するには前記ケースごと並べなければならない為、相当なスペースが必要である。
【0003】CDホルダーとして種々考案されているものは、何れもラック式の家具的要素が強いもので、室内で嵩張る上にホルダーごと持ち運びすることはできない。
【0004】
【技術的課題】本発明は、『CD(1) を収容・保管するためのコンパクトディスクホルダー』において、多数のCDを小さなスペースで嵩低く収容・保管できるようにするために、CD(1) を従来の硬質樹脂製ケースに収容させない状態でも、CD(1) 自体を損傷させることなく且安定した状態で収容・保管できるCD収容部(10)を設けることを技術的課題とする。
[請求項1について]
【0005】
【技術的手段】上記課題を解決するための請求項1の発明の技術的手段は、『周縁部が相互に溶着一体化された表裏の軟質合成樹脂製の被覆シート(21)(22)と、これら被覆シート(21)(22)間に介在され且これらに略一致する大きさ形状の不織布シート(3)とからなり、前記表裏の被覆シート(21)(22)の対向する複数箇所に、CD(1) の直径より長い範囲にわたってスリット(20)(20)を形成し、前記各スリット(20)の下方域には、CD(1) より僅かに大径な円の下半周に沿った区間に、被覆シート(21)(22)と不織布シート(3) とを溶着してなる溶着支持部(33)を形成した』ことである。
【0006】
【作用】上記技術的手段は次のように作用する。2枚の被覆シート(21)(22)の間に、これらと略一致する大きさ形状の不織布シート(3) を介在させてCDホルダーを構成したことから、被覆シート(21)(22)がその表裏面となり、不織布シート(3) がこれらの仕切り壁として機能することとなる。
【0007】前記被覆シート(21)(22)の所定位置には、CD(1) の直径より長い複数のスリット(20)(20)が形成されており、このスリットから、専用ケースから取り出したCD(1) を、被覆シート(21)と不織布シート(3) との間又は被覆シート(22)と不織布シート(3) との間に挿入させることができる。尚、前記各スリット(20)の下方域で且、CD(1) より僅かに大径な円の下半周に沿った区間における被覆シート(21)(22)と不織布シート(3) とを溶着して溶着支持部(33)(33)を形成したから、前記スリット(20)から、被覆シート(21)(22)の内側へ挿入されたCD(1) は、この溶着支持部(33)(33)によって囲まれた範囲内にそれぞれ収容されることとなる。すなわち、前記被覆シート(21)と不織布シート(3) との間及び被覆シート(22)と不織布シート(3) との間であって、且、前記溶着支持部(33)(33)によって囲まれた範囲がそれぞれCD収容部(10)(10)として機能することとなる。
【0008】又、被覆シート(21)と被覆シート(22)の周縁部は全域にわたって溶着一体化されているから、これら周縁部も、前記CD収容部(10)の一部として利用することができる。尚、前記スリット(20)(20)は被覆シート(21)(22)の対向する各位置に形成されており、前記スリット(20)(20)を含む所定箇所を不織布シート(3) を介して相互に溶着せしめていることから、前記CD収容部(10)(10)は、不織布シート(3) の表裏において背中合わせの同じ位置に形成されることとなる。
【0009】
【効果】被覆シート(21)(22)は軟質合成樹脂から構成されているが、両者間には不織布シート(3) が介在せしめられているため、夏季等気温の高い時期においても相互に密着してしまう不都合はなく、被覆シート(21)と不織布シート(3) 及び被覆シート(22)と不織布シート(3) からなるCD収容部(10)は確実に確保される。
【0010】被覆シート(21)(22)と不織布シート(3) の3枚の薄肉シートから構成されるとともにこれら被覆シート(21)(22)と不織布シート(3) との間に、複数枚のCD(1) をケースから取り出した状態で収容させることができるので、多数のCD(1)を嵩低く収容・保管できることとなる上に、そのまま持ち運びも可能となる。スリットから、被覆シート(21)と不織布シート(3) との間或は被覆シート(22)と不織布シート(3) との間に挿入されたCD(1) は、溶着支持部(33)(33)で囲まれた範囲内(CD収容部)に納まり、該CD収容部(10)(10)相互間で不用意に移動することはないから、CD(1) の姿勢は常時安定した状態で収容させることができる。
【0011】被覆シート(21)と(22)とを不織布シート(3) を介して相互に溶着せしめてなる溶着支持部(33)(33)は、CD(1) よりも僅かに大径な円の下半周に沿った区間を部分的又は全域的に溶着することにより形成されていることから、CD(1) は、CD収容部(10)内に略密嵌状態に収容されることとなる。よって、CD(1) は不用意にCD収容部(10)から脱落する恐れはない。
【0012】又、収容時に外部から衝撃を受けても、不織布シート(3) がクッションとしても機能することとなるから、CD(1) 自体の損傷を防止することができる。
[請求項2について]請求項2の発明のCDホルダーは、請求項1の課題と同様の課題を解決するとともにCD(1) をさらに確実に保護した状態で収容できるようにするものである。そのために講じた技術的手段は、『スリット(20)を、略水平方向に形成された水平スリット(2a)と、該水平スリット(2a)の両端から上方へ延長する一対の延長スリット(2b)(2c)とから構成し、該水平スリット(2a)と延長スリット(2b)(2c)とで囲まれた範囲を覆片(2) とし、該覆片(2) を介して対向する上下左右の各位置に、被覆シート(21)(22)の周縁溶着部又は溶着支持部(33)のどちらかを位置させ、これら溶着部相互間の長さをCD(1) の直径よりも僅かに大きく設定するとともに、前記延長スリット(2b)(2c)を、各覆片(2) の上方の溶着部近傍まで略垂直方向に延長させた』ことである。
【0013】
【作用】スリット(20)は、略水平方向に形成された水平スリット(2a)と、該水平スリット(2a)の両端から上方へ延長する一対の延長スリット(2b)(2c)とから構成されているから、全体において、略U字状である。よって、覆片(2) の下端部を手前に引き上げれば、該覆片(2) が開放する。この開放部から、被覆シート(21)(22)と不織布シート(3) との間にCD(1) を挿入することができる。
【0014】前記覆片(2) を介して対向する上下左右の各位置には、被覆シート(21)(22)の周縁溶着部か溶着支持部(33)のどちらかを位置させているとともにそれら溶着部間の長さは、CD(1) の直径よりも僅かに大きく設定してあることから、前記開放部から挿入させた前記CD(1) は、前記水平スリット(2a)から下方の溶着部までの範囲にまず収容されることとなる。これら溶着部間の長さは、CD(1) の直径よりも僅かに大きく設定されているとともに前記延長スリット(2b)(2c)の延長端は、上方に位置する溶着部近傍にまで略垂直方向に延長せしめているから、CD(1) を前記開放部から収容させる際に、覆片(2) が邪魔になることはなく、前記覆片(2) を閉塞させると、CD(1) において、前記水平スリット(2a)から上方へ露出している部分も前記覆片(2) によって被覆されるとともに、CD(1) は上下左右の溶着部に囲まれる態様で収容されることとなる。
【0015】
【効果】水平スリット(2a)は、略水平方向に形成したから、水平スリット(2a)の上方からCD(1) を収容できることとなり、CD(1) が収容し易い。さらに、CD(1) の上部域は、覆片(2) によって、被覆されることとなるので、CD収容部(10)からのCD(1) の脱落は防止できるとともに、該覆片(2) は、CD収容部(10)の蓋としても機能することとなるので、収容中のCD(1) への埃等の付着を防止できる。
【0016】
【実施例】次に、上記した本発明の実施例を図面に従って詳述する。本発明の実施例のCDホルダーは、軟質合成樹脂製の2枚の被覆シート(21)(22)の間に、不織布シート(3) を挟み込んで構成するもので、前記被覆シート(21)(22)の大きさはA4版とし、前記不織布シート(3) は前記被覆シート(21)(22)よりも僅かに小さく形成されている。これら被覆シート(21)(22)の周縁部全域を溶着して、前記被覆シート(21)と不織布シート(3) との間及び前記被覆シート(22)と不織布シート(3) との間にそれぞれ空間を形成するとともに、被覆シート(21)(22)上における所定箇所を部分的に不織布シート(3) を介して溶着させて、前記不織布シート(3) の表裏の空間をそれぞれ3つのCD収容部(10a)(10b)(10c) に分割する構成のものとする。
【0017】尚、各被覆シート(21)(22)の一側辺側には、綴じ片(11)が突出形成せしめられており、該綴じ片(11)にはバインダーに綴じる為の複数の綴じ孔(12)(12)が形成されている。各被覆シート(21)(22)の上部域、中間域、下部域には、それぞれ、図1に示すように、下向き円弧状の水平スリット(2a)と、該水平スリット(2a)の両端から垂直に上方へ延長する左右の延長スリット(2b)(2c)からなる略U字状のスリット(20a)(20b)(20c) が予め形成されており、前記水平スリット(2a)の両端間の長さは、CD(1) の直径よりも長く設定しておく。
【0018】上部に位置する第1スリット(20a) の水平スリット(2a)から被覆シート(21)(22)の上辺迄の距離、及び、下部に位置する第3スリット(20c) の水平スリット(2a)から被覆シート(21)(22)の下辺迄の距離は、それぞれCD(1) の半径よりも僅かに長く設定するとともに、これら2つのスリット(20a)(20c)における一方の延長スリット(2b)(2b)が前記綴じ片(11)に近接するように位置決めされており、他方、これらの中間に位置する第2スリット(20b) の水平スリット(2a)は、前記上下のスリット(20a)(20c)の水平スリット(2a)(2a)からほぼ同距離離れて位置するとともにその一方の延長スリット(2c)が被覆シート(21)(22)の他側辺寄り(綴じ片(11)非形成側)に位置するように形成する。
【0019】これら3つの第1,第2,第3スリット(20a)(20b)(20c) が相互に対向するように、2枚の被覆シート(21)(22)を重ね合わせるとともに、該被覆シート(21)(22)及び綴じ片(11)の周縁部を溶着して溶着部(34)とする。さらに、被覆シート(21)(22)において、前記第1,第2,第3スリット(20a)(20b)(20c) を包囲する所定箇所を不織布シート(3) を介して部分的に溶着させて、溶着支持部(33)(33)を形成する。具体的には、前記第1スリット(20a) の下方及び他方の延長スリット(2c)の近傍、第2スリット(20b) の上下方及び延長スリット(2b)の近傍、第3スリットの(20c) の上方及び延長スリット(2c)の近傍の合計7箇所に、溶着支持部(33)(33)を形成する。
【0020】尚、前記各水平スリット(2a)を挟んで上下に対向する被覆シート(21)(22)の上下の周縁溶着部(34)とそれに対向する溶着支持部(33)間、或は、溶着支持部(33)(33)相互間の距離、及び、該水平スリット(2a)を挟んで左右に対向する溶着支持部(33)と被覆シート(21)(22)の側辺0の溶着部(34)との距離は、それぞれCD(1) の直径よりも僅かに大きく設定しておく。
【0021】これにより、被覆シート(21)(22)の上辺、綴じ片(11)が形成されている側の一側辺、これら上辺及び一側辺に対向する位置にそれぞれ形成した2つの溶着支持部(33)(33)で囲まれる範囲が第1CD収容部(10a) となり、この第1CD収容部(10a) の斜め下方に位置し且、綴じ片(11)が形成されていない側の被覆シート(21)(22)の他側辺とこれに対向する位置及び水平スリット(2a)の上下の対向する各位置に形成した3つの溶着支持部(33)(33)で囲まれた範囲が第2CD収容部(10b) となり、この第2CD収容部(10b) の斜め下方に位置し且、被覆シート(21)(22)の下辺、前記綴じ片(11)側の側辺及びこれらに対向する位置に形成した2つの溶着支持部(33)(33)で囲まれる範囲が、第3CD収容部(10c) として機能することとなる。
【0022】このように、被覆シート(21)が被覆する不織布シート(3) の片面側に3つのCD収容部(10a)(10b)(10c) が形成されるとともに、被覆シート(22)が被覆する不織布シート(3) の他面側にも3つのCD収容部(10a)(10b)(10c) が形成されることとなるから、1枚のCDホルダーにおいて、合計6つのCD収容部が形成され、6枚のCD(1) が収容可能となる。
【0023】尚、前記延長スリット(2b)(2c)は、各CD収容部の上端に至るまで延長せしめられているものとする。上記CD収容部におけるスリット(20a)(20b)(20c) の形成位置及び寸法関係は上述したとおりであるから、各スリットの水平スリット(2a)は各CD収容部(10)のほぼ中間に位置することとなり、CD収容部(10)にCD(1) を収容するには、図2に示すように、水平スリット(2a)と延長スリットで囲まれた覆片(2) を開放させて、まず、CD(1) の下半分のみをCD収容部(10)内に収容し、その後、CD(1) の上半分を前記覆片(2) (2) で被覆させることにより、CD(1) 全体がCD収容部(10)内に収容させることができる。
【0024】この実施例のものでは、被覆シート(21)(22)の大きさをA4版とし、その一側辺側に、複数の綴じ孔(12)(12)を形成した綴じ片(11)を設けているので、該綴じ片(11)を利用してA4版の市販のバインダーに収容することができる。これにより、CD(1) をファイルやポケットアルバム等に綴じ込むように収容保持することができるので、場所を取らず、持ち運びも容易である。
【0025】尚、ホルダーの大きさ形状はA4版に限定されることはなく、他の大きさ・形状でも良いとともに、1枚のホルダー内に構成するCD収容部(10)の数も被覆シート(21)(22)の大きさ形状に合わせて適宜設定できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例のコンパクトディスクホルダーの説明図。
【図2】CD(1) を収容させた状態のX−X断面図。
【符号の説明】
(1) ・・・・・コンパクトディスク(CD)
(21)(22)・・・被覆シート
(20)・・・・・スリット
(3) ・・・・・不織布シート
(33)・・・・・溶着支持部
(2a)・・・・・水平スリット
(2b)(2c)・・・延長スリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】 CD(1) を収容・保管する為のコンパクトディスクホルダーにおいて、周縁部が相互に溶着一体化された表裏の軟質合成樹脂製の被覆シート(21)(22)と、これら被覆シート(21)(22)間に介在され且これらに略一致する大きさ形状の不織布シート(3) とからなり、前記表裏の被覆シート(21)(22)の対向する複数箇所に、CD(1) の直径より長い範囲にわたってスリット(20)(20)を形成し、前記各スリット(20)の下方域には、CD(1) より僅かに大径な円の下半周に沿った区間に、被覆シート(21)(22)と不織布シート(3) とを溶着してなる溶着支持部(33)を形成したコンパクトディスクホルダー。
【請求項2】 スリット(20)を、略水平方向に形成された水平スリット(2a)と、該水平スリット(2a)の両端から上方へ延長する一対の延長スリットとから構成し、該水平スリット(2a)と延長スリット(2b)(2c)とで囲まれた範囲を覆片(2)とし、該覆片(2) を介して対向する上下左右の各位置に、被覆シート(21)(22)の周縁溶着部又は溶着支持部(33)のどちらかを位置させ、これら溶着部相互間の長さをCD(1) の直径よりも僅かに大きく設定するとともに、前記延長スリット(2b)(2c)を、各覆片(2) の上方の溶着部近傍まで略垂直方向に延長させてなる請求項1に記載のコンパクトディスクホルダー。
【請求項3】 被覆シート(21)(22)の一側辺に、複数の綴じ孔(12)(12)が形成された綴じ片(11)を外方へ延長形成し、各被覆シート(21)(22)の上辺近傍で且前記綴じ片(11)側の側辺寄りと、これの斜め下方で且他側辺寄りと、さらにこれの斜め下方の下辺近傍で且前記綴じ片(11)側の側辺寄りの3箇所に、それぞれ第1、第2、第3スリット(20a)(20b)(20c) を形成し、前記第1スリット(20a) の下方及び綴じ片(11)に対向する一側方と、前記第2スリット(20b) の上下方及び綴じ片(11)寄りの一側方と、前記第3スリット(20c) の上方及び綴じ片(11)に対向する一側方の各位置に、溶着支持部(33)(33)を形成し、被覆シート(21)(22)の周縁溶着部と前記溶着支持部(33)間、或は、溶着支持部(33)(33)相互間の長さを、CD(1) の直径よりも僅かに大きく設定した請求項2に記載のコンパクトディスクホルダー。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開平8−26367
【公開日】平成8年(1996)1月30日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平6−161495
【出願日】平成6年(1994)7月13日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第3項適用申請有り 平成6年5月17日〜5月20日 社団法人日本経営協会主催の「ビジネスショウ ’94TOKYO」に展示
【出願人】(000108052)セキセイ株式会社 (4)