説明

コンパクト眼底カメラ

眼底を画像化するコンパクトカメラが開示される。幾つかの形態では、カメラは、軽量のハンドヘルドカメラであり、眼底の複数の画像を取得する。カメラは、手動又は自動によって画像を取得するように構成される。可動結像レンズ又は可動画像検出器は、最も望ましい焦点の画像を得るため、連続画像を提供する。カメラは、一連の画像を取得し、手動又は自動による最も望ましい画像の選択を可能とする。幾つかの形態では、カメラは、基部ステーションを備える画像化システムの一部である。基部ステーションは、カメラとデータを交換し、カメラの画像検出器が生成した画像データを受ける。この基部は、画像データがネットワーク上を、又は他の通信若しくは演算装置に分配されるように、ネットワーク機能を更に備えてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示に係る形態は、医療用画像装置の分野、特に眼底の画像化に用いる装置の分野において有用である。
【背景技術】
【0002】
眼疾患のスクリーニングは、米国及び世界中の人口の高齢化に従って益々重要になっている。回復不能の失明の主な原因には、糖尿病性網膜症、黄斑変性及び緑内障がある。視力検査又は眼圧測定といった標準的なスクリーニング手法は、これらの検査が疾患の過程の終期に至って初めて患者を同定するものであることから、適切ではない。
【0003】
このような制限にも拘わらず、眼疾患の早期のインジケータについて患者を検査することが一層求められている。例えば、健康維持機構(HMO)及び政府機関は、網膜症のために毎年の糖尿病検査を奨励している。マルチビタミンを用いた治療によって黄斑変性を効果的に予防し又はその進行を遅らせ得ることから、早期の発見が有効である。視神経乳頭の杯形成が緑内障における壊滅的な視力喪失の前兆であることも、充分に立証されている。
【0004】
従来は、眼の検査は、検眼鏡を用いて行われていた。より最近では、眼の内部を画像化するカメラシステムが開発されている。これまでの検眼カメラでは、瞳孔を通じて網膜上に投じられるビーム光によって眼底が照射される。網膜から反射した光は、観察用マイクロスコープ及び/又は観察若しくは記録用カメラに向けられる。ここで、眼ケアの専門家は、記録された画像によって眼疾患の徴候を調べることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
全てではないにしても、大半の眼疾患の治療における最も望ましい成果は、早期の診断にかかっている。早期の診断は、眼底の詳細な検査によってのみなされ得る。眼底を検査する一つの方法は、直像検眼鏡を用いることによる。残念なことに、検眼鏡検査は、眼疾患を検査する際に、特に散大していない瞳孔が平常であることについて、技術的に厳しい条件を要する。おそらくは、直像検眼鏡を用いて有効に眼を検査することができるのは、眼科医又は検眼士でない人であれば、その10%にも満たないほどであろう。これに加え、直像検眼鏡は、倍率が非常に高く、視野も狭いことから、疾患の過程を判別することは、訓練を受けた者にとっても問題の多いところである。さらに、これまでの検眼鏡は、画像を記録する手段を持たないため、検査実施者の記録又は記憶によらなければ、疾患の進行の正確なフォローアップを、時間を追って行うことができない。
【0006】
スクリーニングの設定において眼疾患の早期診断の必要性に応えるため、場合に応じて遠隔医療アプリケーションソフトウェアを用いた非散瞳型の眼底カメラ等の画像化技術が重要視されてきている。検眼鏡の使用に固有の問題の幾つかを回避する眼底カメラが開発されている。その幾つかの例として、Richards等に対する米国特許第4238142号は、視神経乳頭の小さい部分のみの照明を可能とするように設計された物理開口部を用いることで、眼底写真撮影用設備の並びを揃えることを開示しており、Billeに対する米国特許第4579430号は、レーザビームによって網膜を走査し、その反射光を光電受信器に向けてテレビ画像を生成する装置を開示しており、Sekine等に対する米国特許第4854691号は、眼底によって反射されたレーザ光を受けるとともに、眼底で励起された蛍光を案内する第1及び第2の受光部と、眼底の画像をテレビモニタ上に映し出す電子回路とを備える、レーザビーム走査型の眼底カメラを開示しており、Fleischmanに対する米国特許第5225859号は、間接検眼鏡検査及び蛍光血管造影による、眼及び網膜の解剖学的構造のデジタル又はアナログ画像の取得、処理及びアーカイブによる記録のための複合装置を開示しており、Nakamura等に対する米国特許第5745163号は、眼底カメラ、及び光成分を画像信号に変換するCCDを備える装置を開示しており、更にZeimerに対する米国特許第5943116号は、ビーム光を眼底部分に向ける照明装置と、眼底から光が反射した部分を記録するビデオカメラとを備える、眼底の画像を取得するシステムを開示している。他の例は、Zeimer等によってInvestigative Ophthalmology and Visual Science, 43: 1581-1587, 2002に記載されるような、一次診療医の医院での糖尿病性網膜症のスクリーニングに専用の眼底カメラである。以上の参照例の全ては、それらの全体が参照によってこの明細書に組み入れられる。
【0007】
写真による文書化は、正確な観察及び照合可能な診断を含め、多くの問題を解決する。しかしながら、既存の装置に関する問題点は、それらが高価(例えば、20000ドル以上)であり、かつその操作に相当な技術的専門知識を必要とする傾向にあるということである。さらに、最近の眼底カメラ装置は、大型の設備であるため、通常持ち運びができない。結果として、スクリーニング手段としての眼底の写真撮影は、ごく限られた範囲でのみ、通常は、大きな総合病院で導入されているに過ぎない。従って、眼底撮影の広範囲に及ぶ導入、即ち遠く離れた地域又は眼ケアの専門家の居ない地域での使用は、これまでのところ実用されていない。
【0008】
眼疾患の診断スクリーニングの方法における制約のため、正確な観察及び照合可能な診断といった利点を有する低倍率及び広視野型の非散瞳眼底カメラを用いた、潜在的失明病の早期診断スクリーニングを提供することは、有益と考えられる。コンパクト、かつ比較的低コストであり、その操作に専門知識又は訓練を殆ど必要としない装置を提供することは、より有益と考えられる。直像検眼鏡に代えて、そのような装置を導入及び使用することも、有益と考えられる。電子送信又は保存に適した画像を生成するデジタル画像化技術を用いたカメラの実現もまた、有益と考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
ここに記載する幾つかの形態は、眼底の画像を捉えるように構成された画像検出器をもって眼底を画像化する、コンパクトなハンドヘルドカメラを提供するものである。この画像検出器は、デジタル画像出力を提供するCCD又はCMOSチップであってよい。このカメラは、そのハウジングの一端に、眼の角膜に接触し、眼底から反射した光を前記画像検出器に送信する接触部材を備える。このカメラは、眼底の照明のための光源を更に含んで構成される。このカメラは、眼底の画像の焦点を画像検出器上に合わせる結像レンズを備えることもできる。
【0010】
従って、幾つかの形態では、眼底の少なくとも一部を画像化するコンパクト眼底カメラが提供される。ここで、このカメラは、カメラの遠位側端部に配置され、眼の角膜の少なくとも一部に接するようにその一部が構成された接触部材であって、実質的な光の透過性を有する接触部材と、この接触部材に対して基端側に配置され、眼底の少なくとも一部の画像を取得するとともに、眼底に関するデータを出力するように構成された画像検出モジュールと、接触部材及び画像検出モジュールの間に配置され、前記画像を画像検出モジュールに向ける結像レンズと、画像検出モジュールに電力を供給する電源と、を含んで構成される。
【0011】
幾つかの形態では、カメラを備え、眼底の少なくとも一部を画像化するコンパクト眼底カメラシステムが提供される。このカメラは、基端側及び遠位側の端部を有するカメラハウジングと、このカメラハウジングの遠位側端部又はこの端部よりも遠位に配置され、眼の角膜の少なくとも一部に接するようにその一部が構成された接触部材であって、実質的に光が透過可能な接触部材と、この接触部材に対して基端側に配置され、眼底の少なくとも一部の画像を取得するとともに、この画像を示すデータを出力するように構成された画像検出モジュールと、接触部材及び画像検出モジュールの間に配置され、前記画像を画像検出モジュールに向ける結像レンズと、を含んで構成される。画像検出モジュール及び結像レンズは、カメラハウジングに結合され、画像検出モジュール及び結像レンズのうち少なくとも一方は、実質的にカメラハウジングの光軸に沿って移動可能である。
【0012】
幾つかの形態では、画像検出モジュール及び結像レンズのうち少なくとも一方が、カメラハウジングに結合された付勢部材が蓄えるポテンシャルエネルギーの放出、電磁エネルギー及び手で加えられる力のうち少なくとも1つにより、カメラハウジングの内部で動かされる。
【0013】
幾つかの形態では、画像検出モジュール及び結像レンズのうち少なくとも一方が、カメラハウジングに結合された付勢部材が蓄えるポテンシャルエネルギーの放出によってカメラハウジングの内部で動かされるとともに、このポテンシャルエネルギーの少なくとも一部を放出させるように構成された、オペレータ起動のスイッチを更に含んで構成される。
【0014】
幾つかの形態では、前記手で加えられる力は、画像検出モジュール及び結像レンズのうち少なくとも一方に対し、オペレータによってカメラハウジングの外側に伸びるレバーを用いて伝えられる。
【0015】
幾つかの形態では、カメラモジュールに複数の接触点が更に設けられ、画像検出モジュールは、画像検出モジュール及び結像レンズのうち少なくとも一方に対する前記複数の接触点の相対位置に基づいて複数の画像を取得するように構成される。
【0016】
幾つかの形態では、結像レンズは、接触部材に対して移動可能である。幾つかの形態では、カメラハウジングは、縦長であり、その最も長い寸法が約15cmよりも小さい。特定の形態では、カメラハウジングは、縦長であり、その最も長い寸法が約10cmよりも小さい。幾つかの形態では、このカメラシステムは、カメラとデータを交換し、画像を示す出力データを保存する基部ステーションを備える。幾つかの形態では、接触部材は、この部材が角膜に接する際に角膜の前面に対して実質的に合致するように構成される。
【0017】
幾つかの形態では、結像レンズは、画像検出モジュールによる画像の取得の間に画像検出モジュールに対して移動可能である。幾つかの形態では、結像レンズは、実質的にカメラの光軸に沿って移動可能である。幾つかの形態では、画像検出モジュールは、このモジュールによる画像の取得の間に接触部材に対して移動可能である。
【0018】
幾つかの形態では、結像レンズは、単一エレメントのレンズを含んで構成される。幾つかの形態では、結像レンズは、複合エレメントのレンズを含んで構成される。
幾つかの形態では、接触部材のうち角膜に接する部分は、実質的な凹状部を有する。幾つかの形態では、この接触部材の凹状部は、この部材が接する眼の角膜の曲率半径に略等しい曲率半径を有する。幾つかの形態では、前記接触部材の凹状部は、約0%から約30%までの誤差の範囲内で角膜の曲率半径に一致する曲率半径を有する。
【0019】
幾つかの形態では、接触部材は、この部材が角膜に接する際に角膜の曲率半径と略一致するように構成される。幾つかの形態では、接触部材は、透過性のカバーを更に含んで構成される。幾つかの形態では、接触部材は、角膜のものと略等しい屈折率を有する。
【0020】
幾つかの形態では、カメラは、このカメラに結合された少なくとも1つの光源を更に含んで構成される。幾つかの形態では、前記少なくとも1つの光源は、紫外光、可視光及び赤外光のいずれかを放出する。幾つかの形態では、前記少なくとも1つの光源は、発光ダイオード(LED)を含んで構成される。幾つかの形態では、前記少なくとも1つの光源からの光は、光ファイバーによって眼に向けられる。
【0021】
幾つかの形態では、カメラは、画像検出器による画像の取得を制御する制御モジュールを更に含んで構成される。
幾つかの形態では、カメラは、このカメラと、このカメラ周辺の少なくとも1つの装置との間で情報を交換するデータ送信モジュールを更に含んで構成される。幾つかの形態では、このデータ送信モジュールは、データ送信ケーブル及び無線トランシーバのうち少なくとも一方を更に含んで構成される。
【0022】
幾つかの形態では、カメラは、眼底に関する情報を保存する記憶モジュールを更に含んで構成される。
幾つかの形態では、電源は、使い捨てのバッテリー及び充電式のバッテリーのうち少なくとも一方を含んで構成される。
【0023】
幾つかの形態では、眼底の少なくとも一部を画像化するように構成されたコンパクト眼底カメラを含んで構成される、眼底カメラ式の画像化システムが提供される。ここで、このカメラは、カメラの遠位側端部に配置され、眼の角膜の少なくとも一部に接するように構成された接触部材であって、実質的な光の透過性を有する接触部材と、この接触部材に対して基部側に配置され、眼底の少なくとも一部の画像を取得して、取得した画像のデータを出力するように構成された画像検出モジュールと、接触部材及び画像検出モジュールの間に配置され、画像の焦点を実質的に画像検出モジュール上に合わせるように構成された結像レンズと、インターフェースを含んで構成される基部ステーションであって、このインターフェースは、基部ステーションをカメラに結合する構成である基部ステーションと、を含んで構成される。
【0024】
幾つかの形態では、基部ステーションは、取得した画像の出力データを保存するデータ保存モジュールを更に含んで構成される。幾つかの形態では、基部ステーションは、基部ステーション機能を制御するマイクロプロセッサを更に含んで構成される。幾つかの形態では、基部ステーションは、前記マイクロプロセッサに結合されたユーザインターフェースを更に含んで構成される。
【0025】
幾つかの形態では、前記インターフェースは、基部ステーションとカメラとの間でデータを交換するように構成される。幾つかの形態では、前記インターフェースは、カメラに電力を供給するように構成される。
【0026】
幾つかの形態では、基部ステーションは、表示モジュールを更に含んで構成される。幾つかの形態では、前記表示モジュールは、ビデオディスプレイ、LCDディスプレイ、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ、LEDディスプレイ及びプリンタのうち少なくとも1つを含んで構成される。
【0027】
幾つかの形態では、カメラは、電源から電磁誘導によって電力を受ける誘導コイルを含んで構成される。
幾つかの形態では、カメラは、ネットワークインターフェースを更に含んで構成され、このネットワークインターフェースは、基部ステーションと、インターネット、イントラネット、広域ネットワーク(WAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、構内ネットワーク(LAN)、仮想プライベートネットワーク(VPN)及び無線ネットワークのうち少なくとも1つとの間でデータを交換するように構成される。
【0028】
幾つかの形態では、患者の眼底を観察する方法が提供される。この方法は、コンパクト眼底カメラを提供するステップと、眼の角膜を接触部材と接触させるステップと、接触部材が眼の角膜と接している間に、画像検出モジュールに対して眼底の複数の画像を取得するように指示するステップと、前記複数の画像を少なくとも1つの画像データファイルに出力するステップと、を含んで構成される。ここで、前記眼底カメラは、カメラの遠位側端部に配置され、眼の角膜の少なくとも一部に接するように構成された接触部材であって、実質的に光の透過性を有する接触部材と、カメラの基端側に配置され、眼底の少なくとも一部の画像を取得して、画像データを出力するように構成された画像検出モジュールと、接触部材及び画像検出モジュールの間に配置され、眼底の画像の焦点を実質的に画像検出モジュール上に合わせるように構成された結像レンズと、画像検出モジュールに電力を供給する電源と、を含んで構成される。
【0029】
幾つかの形態では、患者の眼底を観察する方法は、コンパクト眼底カメラを提供することを含み、この眼底カメラは、カメラハウジングと、カメラの遠位側端部に配置され、眼の角膜の少なくとも一部に接するように構成された接触部材であって、実質的な光の透過性を有する接触部材と、この部材に対して基端側に配置され、眼底の少なくとも一部の画像を取得して、画像データを出力するように構成された画像検出モジュールと、接触部材及び画像検出モジュールの間に配置され、眼底の画像の焦点を実質的に画像検出モジュール上に合わせる結像レンズと、を備え、画像検出モジュールと結像レンズとは、カメラハウジングに結合され、画像検出モジュール及び結像レンズのうち少なくとも一方は、実質的にカメラの光軸に沿って移動可能である。幾つかの形態では、この方法は、眼の角膜を接触部材と接触させ、接触部材が眼の角膜と接している間に、画像検出モジュールに対して眼底の複数の画像を取得するように指示し、前記複数の画像を少なくとも1つの画像データファイルに出力することを更に含む。
【0030】
幾つかの形態では、この方法は、眼底の少なくとも一部を光源によって照らすことを更に含んで構成される。幾つかの形態では、前記光源は、LEDを含んで構成される。幾つかの形態では、前記光源は、紫外光、可視光及び赤外光のいずれかを発する。
【0031】
幾つかの形態では、画像検出器は、接触部材が角膜と接すると、前記複数の画像を自動的に取得する。幾つかの形態では、オペレータは、画像検出器に対し、前記複数の画像を取得するように手動によって指示する。
【0032】
幾つかの形態では、この方法は、眼底の少なくとも1つの画像の焦点が画像検出モジュール上に合わされるように、前記複数の画像の取得の間に結像レンズを実質的に眼底カメラの光軸に沿って動かすことを更に含んで構成される。幾つかの形態では、結像レンズの移動は、自動的になされる。
【0033】
幾つかの形態では、この方法は、前記複数の画像から最も望ましい画像を選択することを更に含んで構成される。幾つかの形態では、前記選択は、画像ソフトウェアによって実行される。
【0034】
幾つかの形態では、この方法は、接触部材の少なくとも一部に透過性のカバーをかけることを更に含んで構成される。幾つかの形態において、前記カバーは、実質的に半透明である。
【0035】
幾つかの形態では、この方法は、角膜を接触部材と接触させる前に、患者の眼に局所麻酔を施すことを更に含んで構成される。
幾つかの形態では、この方法は、画像データをカメラの記憶部に保存することを更に含んで構成される。幾つかの形態では、この方法は、カメラから周辺機器へ画像データを出力することを更に含んで構成される。
【0036】
幾つかの形態では、前記周辺機器は、コンピュータ、個人情報端末(PDA)、携帯電話及び基部ステーションのうち少なくとも1つを含んで構成される。
幾つかの形態では、この方法は、前記少なくとも1つの画像データファイルをネットワークに出力することを更に含んで構成される。幾つかの形態では、前記ネットワークは、インターネット、イントラネット、広域ネットワーク、メトロポリタンエリアネットワーク、構内ネットワーク、仮想プライベートネットワーク及び無線ネットワークのうち少なくとも1つを含んで構成される。
【0037】
幾つかの形態では、前記周辺機器は、カメラと結合される構成の基部ステーションを含んで構成される。
幾つかの形態では、この方法は、画像データを表示モジュール上に表示することを更に含んで構成される。幾つかの形態では、前記表示モジュールは、ビデオディスプレイ、LCDディスプレイ及びプリンタのうち少なくとも1つを含んで構成される。
【0038】
幾つかの形態では、この方法は、画像データを基部ステーションの記憶部に保存することを更に含んで構成される。
幾つかの形態では、この方法は、充電式のバッテリーを備えるカメラを提供することを更に含んで構成される。
【0039】
幾つかの形態では、カメラと基部ステーションとを結合することにより、充電式のバッテリーを充電すること及び基部ステーションとカメラとの間でデータを交換することのうち少なくとも一方がなされる。
【0040】
幾つかの形態では、患者の眼底を観察する方法は、コンパクト眼底カメラを提供することを含み、この眼底カメラは、基端側及び遠位側の端部を有するカメラハウジングと、このカメラハウジングの遠位側端部又はこの端部よりも遠位に配置され、眼の角膜の少なくとも一部に接するようにその一部が構成された接触部材であって、実質的に光が透過可能な接触部材と、接触部材に対して基端側に配置され、眼底の少なくとも一部の画像を取得するとともに、前記画像を示すデータを出力するように構成された画像検出モジュールと、接触部材及び画像検出モジュールの間に配置され、前記画像を画像検出モジュールに向ける結像レンズと、を備える。画像検出モジュール及び結像レンズは、幾つかの形態において、カメラハウジングに結合される。幾つかの形態では、接触部材が眼の角膜と接している間に、接触部材に対して画像検出モジュール及び結像レンズのうち少なくとも一方をカメラの光軸に沿って動かしながら、眼底の複数の画像を取得することで、複数の画像のそれぞれは、画像検出モジュールにより、この複数の画像のうち他のそれぞれとは異なる焦点をもって取得される。この方法は、前記複数の画像から他の画像に対して望ましい焦点を有する選択画像を選択し、この選択画像を少なくとも1つの画像データファイルに出力することを更に含む。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1A】本発明の一実施形態に係るコンパクト眼底カメラの断面図
【図1B】コンパクト眼底カメラの制御スイッチ及びインジケータの構成例を示す図
【図1C】眼底からの反射光の光軸を示すコンパクト眼底カメラの断面図
【図1D】眼底からの反射光の光軸を示すコンパクト眼底カメラの断面図
【図2】遠視用に配置された結像レンズを備えるコンパクト眼底カメラの説明図
【図3】近視用に配置された結像レンズを備えるコンパクト眼底カメラの説明図
【図4】コンパクト眼底カメラの基部ステーション及び関連要素の概略図
【発明を実施するための形態】
【0042】
眼底の検査に用いられる方法及び装置は、その使用が難しいか(例えば、検眼鏡)、又はその設備が高価で、かつ持ち運びができないかのいずれかである(例えば、市販の眼底カメラシステム)。
【0043】
本開示に係る実施形態は、使用が容易であり、かつその全体としての持ち運びが可能なコンパクト眼底カメラである。一般的な言い方をすると、このカメラは、患者の眼の角膜に接するように適合された接触面と、眼底を照らす光源と、眼から反射した光から眼底の画像を受け、画像データファイルを出力する画像検出器と、眼底から反射した光の焦点を画像検出器の画像面上に合わせるように動作可能な結像レンズと、を少なくとも備える。このカメラは、少なくとも1つの周辺機器への画像データの送信を可能とする有線又は無線の通信機能をも有する。幾つかの実施形態では、このカメラは、製造が簡単、かつ安価であるので、使い捨て用に製造することが可能である。
【0044】
幾つかの実施形態では、例えば、図1Aに示すように、眼底カメラ10は、画像部品を収容し、保護するカメラハウジング20を備える。カメラハウジング20は、軽量で、弾力のある素材で作成することが可能である。幾つかの実施形態では、眼底カメラ10は、略ペンサイズの、コンパクトなハンドヘルド装置を備える。幾つかの実施形態において、この装置は、約24mm×約24mm×約125mmであり、約100gよりも軽量である。都合のよいことに、簡単に手に持って使用することのできるコンパクトな寸法及び重さの眼底カメラであれば、いずれであっても適する。従って、このカメラの正確な寸法は、本開示の範囲を限定するものではない。
【0045】
コンパクト眼底カメラ10は、電源30を備える。幾つかの実施形態では、電源30は、使い捨てのバッテリー、例えば、限定するものではないが、3Vのリチウムバッテリーであってよい。当然のことながら、広い電圧帯の多数のバッテリーを使用可能であり、バッテリーの選択は、バッテリーが交換を要するまでに必要な使用の回数と、カメラの様々な電子回路が負わす負荷とによって定められる。幾つかの実施形態では、このカメラは、バッテリーが交換を要するまでに約200回の眼の検査を行うことができる。
【0046】
電源30を充電式のバッテリーとすることも可能である。充電のための電源は、家庭用電源の電圧を内蔵バッテリーの充電に適した電圧に変換する、標準的なACアダプター装置であってよい。幾つかの実施形態では、コンピュータのUSBポートを、電源30を充電するための電源として機能させることもできる。充電式のバッテリーを用いる場合は、好都合なことに、カメラに、電源(図示せず。)をバッテリーに接続するプラグ40を設けることができる。充電式のバッテリーは、NiCd、NiMH又は他のいかなる適切な充電式のバッテリーであってよい。幾つかの実施形態では、例えば、Rohdeに対する米国特許第5959433号に開示されるように、電磁誘導によってバッテリーを充電することが可能であり、その全体の内容は、参照によってこの明細書に組み入れられる。
【0047】
カメラの全ての電子部品は、少なくとも電源(例えば、バッテリー)に対して電子的に結合されていることが理解される。幾つかの実施形態では、これらの電子部品は、バッテリー及び他の部品の双方に対して電子的に結合することが可能である。
【0048】
幾つかの実施形態では、眼底カメラ10は、カメラの遠位側端部に接触部材50が備わる構成とすることが可能である。このカメラ10を使用するときに、接触部材50は、角膜の表面に接するように配置される。最も広い接触面積、及びそれによる最良の画像品質を与えるため、眼に接する接触部材50の部分は、実質的に凹面状とすることができ、角膜の曲率半径に略等しい曲率半径に設定することができる。患者が違えば角膜の曲率及び半径も異なることから、接触部材の曲率半径は、カメラによって画像化される患者の眼の曲率半径の10%、20%、30%又は他のあらゆる適した割合であってよく、眼底の有用な画像を常に提供する。幾つかの実施形態では、接触部材を眼に押し付けることによって画像検出器80に伝わる眼底からの反射光の経路が形成されるように、接触部材を実質的に平坦とすることが可能である。
【0049】
幾つかの実施形態では、接触部材50は、この部材50が僅かな圧力によって変形して、患者の角膜の形状に合致するように、柔軟な素材によって構成することができる。幾つかの実施形態では、接触部材50は、人間の角膜が有するものと略同一の屈折率を有するように構成される。動作に際し、接触部材50は、角膜の屈折力(約42ジオプトリー)を相殺するように機能する。
【0050】
接触部材50は、使い捨て用に作成することが可能である。この場合に、ユーザは、各検査の前にカメラ10に新しい接触部材50を取り付ける。使い捨ての接触部材50は、無菌状態で提供され、このことにより、各回の眼検査の間に接触部材を洗浄する必要をなくし、ある患者から他の患者への、又は同じ患者の片方の眼から他方の眼への微生物若しくはウィルスの伝染による眼の感染の危険性を低減する。
【0051】
或いは、幾つかの実施形態では、接触部材50は、取り外しができないようにカメラに取り付けられる。これらの実施形態では、接触部材50に、交換可能なカバー60を更に備えることが可能である。カバー60は、感染の拡大の危険性を減じるため、眼の検査のたびに取り外すことができる。さらに、カバー60は、使い切りのアイテムとして無菌パッケージで提供することができ、検査のたびに接触部材を洗浄することを不要とする。
【0052】
さらに、使い捨ての接触部材50又はカバー60のいずれかが使用される場合は、そのいずれもが、広範囲に及ぶ曲率の複数の接触部材50又はカバー60を包含するセットの一部として提供することが可能である。画像化作業の準備として、オペレータは、初めに標準的な角膜曲率計を用いて患者の眼の曲率を測定した後、接触部材50と患者の眼とが最もよく適合するように、最も近く対応する接触部材50又はカバー60を選択する。
【0053】
カメラは、眼底の照明を提供可能な光源70を更に備えることができる。幾つかの実施形態では、照明は、LEDによって提供されるが、この光源の選択は、限定を意図したものではない。幾つかの実施形態では、複数のLEDを提供し、これらのそれぞれにより、電磁スペクトルの異なる部分で照らすことが可能である。例えば、幾つかの実施形態では、紫外域、可視域又は赤外域近傍の電磁スペクトルの光をもって眼底を照らすことのできるLEDが提供され、異なる方式の眼底分析が可能となる。例えば、紫外光をフルオレセインと組み合わせて用いたり(Chen et al., Clin Exp. Ophthalmol. 34: 600-605 (2006))、赤外光をインドシアニングリーン(Brown et al., Br. J. Ophthalmol. 57: 797-802 (1973))と組み合わせて用いたりして、眼底の血管造影を行うことができる。
【0054】
1以上の光源70は、眼底に充分な光が向けられるように、その方向を設定することが可能である。幾つかの実施形態では、光源によって画像検出器80が眩しくならないように、光源の一部に遮蔽を施して、散乱光を削減する。幾つかの実施形態では、光源70は、光ファイバー90又はファイバーの束を介して伝えられる光とともに、その全体を収めることが可能である。この場合に、光ファイバー90の放出端は、接触部材50の近くに位置させるのが便利であり、眼底の有効な照明がなされる向きに設定される。さらに、必要であれば、眼底の特定部位に光を向けるためにオペレータが光ファイバー90の角度を変えることのできるように、前記光ファイバーの放出端は、更に可動ホルダー100に結合される。幾つかの実施形態では、光ファイバーに、接触部材50の外周端周りに配置される光ファイバーリングを設けることもできる。
【0055】
様々な波長の照明を提供する複数の光源がカメラに設けられる場合は、カメラに、各光源を選択するモードセレクタを更に設けることが可能である。例えば、図1Bに示されるように、カメラハウジングの背面に設けられるスライドスイッチ110を、紫外光、可視光又は赤外光を放出する個別のLEDをユーザが選択するように構成することができる。他の構成のモードセレクタ、例えば、2以上の光源の選択を同時に許容するモードセレクタも可能である。
【0056】
幾つかの実施形態では、カメラは、結像レンズ120を更に備える。結像レンズ120は、眼底からの反射光を受け、画像検出器80上に画像の焦点を合わせる機能を有する。幾つかの実施形態では、結像レンズ120は、その光軸(OA)がカメラの長手方向軸と大方一列に並ぶ向きに設定される。この光軸は、画像検出器80の画像面に対して略垂直な向きであるのが一般的である。幾つかの実施形態では、この光軸を他の向きに設定してもよく、よって、カメラにおける前記正確な光路は、本開示の範囲を限定するものではない。
【0057】
幾つかの実施形態では、結像レンズ120に、眼底の画像が画像検出器80上でその焦点を結ぶように選択されたジオプターを有する、単一のレンズ素子を設けることが可能である。幾つかの実施形態では、より広い視野の結像画像を形成するため、結像レンズ120に複数素子のレンズを設けてもよい。幾つかの実施形態では、カメラの光学的な特性を変化させるため、例えば、拡大画像又はより広い視野を提供するため、第2の結像レンズ121を設けることができる。幾つかの実施形態では、第2の結像レンズをコリメートレンズとして機能させることも可能である。幾つかの実施形態では、第2の結像レンズは、例えば、倍率又は視野を変化させるため、可動にすることができる。
【0058】
以上に示したように、一実施形態に係るカメラは、結像レンズ、第2の結像レンズ及び画像検出器を可動として提供することが可能である。幾つかの実施形態では、結像レンズ、第2の結像レンズ及び画像検出器は、互いに対して及び/又はカメラハウジングに対して移動可能である。結像レンズ、第2の結像レンズ及び画像検出器のそれぞれは、互いに対して又は1つの組として移動可能とすることもできる。従って、幾つかの実施形態では、結像レンズを第2の結像レンズ及び/又は画像検出器に対して動かすことができる。幾つかの実施形態では、第2の結像レンズを結像レンズ及び/又は画像検出器に対して動かすことができる。幾つかの実施形態では、画像検出器を結像レンズ及び/又は第2の結像レンズに対して動かすことができる。
【0059】
例えば、天文機器用の接眼レンズでは、球面収差を最小限に抑える一方で視野の幅を改善するため、複数素子のレンズによる多くの設計が開発されている。Kellner、Ramsden及びPlosslは、天文学の分野では約50°もの広視野を提供することで知られた例示的なレンズ構造である。眼底カメラでは、同様の光学設計を用いて、眼底からの反射光を収集し、画像検出器80上に広視野の画像を形成することができる。単一又は複数素子のレンズの全ての可能な組み合わせは、この明細書で用いられる用語「結像レンズ」の範囲に属する。画像の質及び光伝達の効率を改善するため、結像レンズの素子及び他の光伝達部材に、眩輝又は反射抑制用のコーティングを更に設けることもできる。
【0060】
眼の構造、ならびに角膜及びレンズの適合性における違いにより、全ての眼が同じ光学特性を有するわけではない。従って、眼底から反射した画像は、それぞれの眼について同じ平面内で焦点が合わせられる必要はない。よって、固定された結像レンズでは、眼底の画像の焦点を画像検出器上に合わせるため、カメラを全体として前後に移動させることが必要となる場合がある。従って、本開示の幾つかの実施形態では、結像レンズ120を大方カメラ10の光軸に沿って移動可能とすることにより、更なる利点が提供される。結像レンズ120を前記光軸に沿って動かすことで、被検対象の眼の光学特性に拘わらず、いずれかの位置において、眼底の画像の焦点を画像検出器80上に合わせることができる。
【0061】
画像検出器80の平面に対して結像レンズ120を有効に移動させるため、様々なメカニズムを用いることが可能である。例えば、限定するものではないが、カメラの長手方向軸に関して結像レンズを前後に動かすのにトラック、ギア、スライド及び他の装置を有効に用いることができる。幾つかの実施形態では、結像レンズ120は、本分野においてよく知られた顕微鏡又は望遠鏡のフォーカサーに類似したメカニズムを用いて動かすことができ、画像検出器80に対し、結像レンズ120をフォーカサーの回転によって移動させる。このフォーカサーは、手動によって又は自動的に動作させることが可能である。手動操作の実施形態では、結像レンズをトラック等の案内路に沿って前後に移動させるのに、簡単なノブ又は他の回動装置を用いることができる。
【0062】
幾つかの実施形態では、結像レンズ120は、焦点調節装置140によって動かすことのできるトラック130上に設けられる。幾つかの実施形態では、焦点調節装置140は、手動制御である。幾つかの実施形態では、焦点調節装置140は、電気的又は機械的エネルギーによって駆動され、駆動モータ及びギア、又は結像レンズをカメラの光軸に沿って前後に移動させるのに適した他の組み合わせを備える。
【0063】
手動操作のフォーカサーを用いれば、トラック130に結合されたノブ若しくは他の回動可能な部材、又は結像レンズを据え付けることのできる他の近似の部材によって結像レンズ120を容易に動かすことが可能である。
【0064】
手動によって焦点を合わせる実施形態を用いた一つの方法では、カメラの画像検出器80を起動させた後、画像検出器によって多くの画像を取得している間に、手動フォーカサーメカニズムを調整する。画像検出器によって1秒毎に幾枚かの画像を取得することができるので、多くの画像を取得し、更にその後、最良の画像品質を提供するものを分析することが可能である。画像の取得は、多くの方法によって制御することが可能である。幾つかの実施形態では、予め設定された時間インターバルで一連の画像を取得することができ、例えば、限定するものではないが、1秒毎に1枚の画像を取得する。オペレータは、画像を取得している間に、結像レンズをカメラの内部で前後に動かすことができる。
【0065】
幾つかの実施形態では、カメラは、例えば、結像レンズがカメラハウジング内を前後に動かされる際に画像取得モードを起動するように構成された電気接点等の、複数の停止部131、即ち接触点を備える。例えば、停止部131は、結像レンズ130が結合されるトラック130の長さ方向に沿った所定の位置に設けられる。結像レンズが各停止部を通過する際に、機械的、電気的又は電気機械的装置が画像の取得を開始させる。多数の停止点131を介して結像レンズ120を移動させることで、一連の画像が取得される。この場合も先と同様に、結像レンズ120の移動は、手動によって又は自動的に達成することが可能である。
【0066】
幾つかの実施形態では、結像レンズの移動は、移動調節器141によって制御される態様で達成することが可能である。移動調節器141は、制御された連続動作において、不連続のステップにおいて、又は連続及び不連続動作の組み合わせにおいて結像レンズを移動させるように構成することができる。移動調節器141は、限定するものではないが、ラチェット若しくは戻り止め、ソレノイド、スプリング駆動若しくは電気駆動式のギア結合体を有するメカニズムを備える様々な機械的、電気的又は電気機械的装置を備える。幾つかの実施形態では、移動調節器141に、結像レンズ120の速度を抑え又はこれを制限する減衰器を設けることも可能である。例えば、幾つかの実施形態では、結像レンズ120は、圧縮され又は巻き上げられたスプリングが蓄えるポテンシャルエネルギーを放出することによってカメラの光軸に沿って動かされる。カメラ内における結像レンズ120の移動は、結像レンズ120の移動に抗する摩擦等の抵抗力を与える減衰器を備えることによって遅くすることが可能である。幾つかの実施形態では、カメラの起動によって移動調節器141が起動され、結像レンズをカメラの光軸に沿って移動させる。これと同時に、画像検出器80を起動させ、結像レンズが移動している間に画像の取得を開始させることができる。従って、結像レンズが前記光軸に沿ってある距離を移動するのに要する時間内に、一連の画像を取得することが可能である。
【0067】
幾つかの実施形態では、カメラに、画像検出器80に対する画像を調整及び作成するように構成された複数のレンズを設けることが可能である。例えば、幾つかの実施形態では、接触部材50に近い又は隣接する位置のカメラの遠位側端部に第1のレンズが配置され、この第1のレンズよりも基端側の位置に第2のレンズが配置される。例えば、第2のレンズは、ここでの実施形態で述べた結像レンズ120であってよく、カメラの遠位側端部の第1のレンズ及び画像検出器80の双方に対して移動可能である。幾つかの実施形態では、第1のレンズは、他のレンズ及び/又は画像検出器80に対して移動可能とすることができる。
【0068】
例示的な実施形態では、移動調節器141は、結像レンズ120を約2秒の間に予め定められたトラックに沿って移動させるように構成される。この時間のうちに、画像検出器80は、複数の画像を取得する。幾つかの画像検出器では、1〜2秒の間に少なくとも20枚の画像を取得することが可能である。画像は、カメラ内蔵のメモリーに保存して、分析又は画像選択のため、後に周辺装置にダウンロードすることができるし、周辺装置に対してリアルタイムで送信することもできる。
【0069】
周辺装置は、一連の画像から最も望ましいものを検討選択するのに用いることが可能である。幾つかの実施形態では、この検討は、手動によって達成することができ、幾つかの実施形態では、周辺装置は、連続画像のなかから最も望ましい画像を自動的に選択するソフトウェアを更に備える。
【0070】
自動操作のフォーカサーでは、結像レンズ120をカメラ10の光軸に沿って前後に動かすのに駆動モータを用いることが可能である。患者の眼と接触し、画像検出器が起動すると、自動フォーカサーは、画像検出器80が画像を取得する際に結像レンズ120を移動させる。例えば、図面は、遠視眼(図2)又は近視眼(図3)を画像化するための例示的な結像レンズの位置を示している。
【0071】
前述同様に、最良の診断情報を提供し、及び/又は焦点が最もよく合っている画像を選択するため、後に画像を検討することで、1以上の「最も望ましい」画像を選択することが可能である。手動によるか又は自動的な焦点調節の実施形態のいずれにおいても、一連の画像から最も望ましい画像を自動的に選択するソフトウェアを設けることができる。
【0072】
幾つかの実施形態では、結像レンズ120に、図1Cに示されるように、眼底からの反射光を画像検出器80に向けるように構成された反射鏡122を設けることが可能である。例えば、幾つかの実施形態では、画像検出器80は、取得画像の直接の視野に入らず、即ち単一の軸に沿った位置にないようにその向きが定められる。結像レンズ120は、取得画像を画像検出器80に向けて屈折させるように構成することが可能である。幾つかの例では、結像レンズ120は、取得画像を画像検出器80に向けるため、移動の際に回転するように構成することもできる。
【0073】
幾つかの実施形態では、結像レンズ120の位置を固定し、画像検出器80を画像の取得の間に結像レンズに対して移動させることが可能である。例えば、画像検出器80は、焦点調節駆動装置140によって移動可能なトラック130に結合するように構成される。画像検出器80を備えたトラック130は、他の実施形態に関して本開示で述べたのと同様にして起動させ、電気的、機械的又は油圧によって動作させることができ、駆動モータ及びギア、又は結像レンズをカメラの光軸に沿って前後に動かすのに適した他の組み合わせを設けることが可能である。幾つかの実施形態では、カメラに、Nozakiに対する米国特許第7046290号に記載されるような自動焦点機構を設けることができ、その全体は、参照によってこの明細書に組み入れられる。自動フォーカサーを備える幾つかの実施形態では、カメラは、画像検出器上に焦点の合った画像を形成するため、結像レンズの最良の位置を自動的に判別することが可能であり、更に画像を自動的に保存することができる。これにより、最も望ましい画像を得るのに必要とされる時間及びデータ保存量が削減される。
【0074】
画像検出器80は、眼底からの反射光を受け、これを使用可能なフォーム、幾つかの実施形態では、デジタル画像データファイルに変換する。幾つかの実施形態では、画像検出器80からの信号は、表示モジュール、例えば、限定するものではないが、LCD等のディスプレイを直接駆動するように用いることが可能である。画像検出器80は、CMOSチップ、CCDチップ又は他のあらゆる適した感光デバイスであってよい。幾つかの実施形態では、画像検出器は、画素素子が構成する2048×2048の配列を備える。幾つかの実施形態では、より大規模の配列を用いることができる。50°の視野を有するカメラでは、少なくとも3000×3000画素の配列により、度数法1°毎に60個の画素を有する画像が提供される。CCD、CMOS又は他のデジタル出力装置が用いられる場合は、画像は、デジタルデータとして保存し又は送信することができる。使用される検出器に応じて、画像は、カラー、グレースケール、擬似カラー又は他のあらゆる適したフォーマットとすることが可能である。
【0075】
幾つかの実施形態では、画像検出器は、画像検出器80による画像の取得、又はフレームレート、コントラスト及び明度といった画像検出器機能の他の面を制御するように構成された制御モジュール150と結合される。制御モジュール150は、画像の処理又は分類における使用、例えば、出力画像に求められる許容可能な明度、コントラスト、焦点又は他のあらゆる所要の画像パラメータに従って画像データファイルを分類するのに適合させることもできる。幾つかの実施形態では、制御モジュール150は、ソフトウェアでもファームウェアでもプログラムすることのできるマイクロプロセッサ等のデバイスを備え、画像検出器の動作に加え、限定するものではないが、結像レンズ機構及び光源の動作、データ入力及び出力性能、ならびに画像処理機能を包含するカメラの他の機能をも制御する。
【0076】
画像の取得のためのカメラの位置決めは、比較的単純である。画像化の前に、患者の眼に局所麻酔点滴剤(例えば、プロパリカイン)を適用することができる。患者の角膜に対して接触部材を緩やかに押し付けることで、カメラは、その光軸が目の光軸と略一列に並ぶように向きが定められる。完全に並びが揃うことまでは必要とされず、2つの光軸が完璧に配列されていないとしても、適切な画像を取得することが可能である。
【0077】
カメラが位置決めされた後は、カメラの画像取得機能を起動させることにより、少なくとも1枚のデジタル画像を取り込むことが可能である。画像の取得は、手動により、例えば、カメラ本体に設けられたボタン160をユーザが押すことにより、一般的なデジタルカメラのシャッターボタンを押すようにして起動させることができ、このボタン160は、画像検出器による画像の取得を制御する回路に接続される。
【0078】
幾つかの実施形態では、画像取得機能の起動は、角膜を接触部材50と接触させる際に自動的に達成することが可能である。この場合に、接触部材50は、カメラを角膜に対して押し付けることによってカメラの基端側端部に向かう(即ち、画像検出器に向かう)又はその逆に向かう接触部材の移動が生じるように、トラック170又は他の近似の取付機構に沿って移動可能である。幾つかの実施形態では、接触部材50は、マイクロスイッチ180又は他の適した切換装置に接続させることが可能であり、これにより、所定の圧力がかけられたときに、このマイクロスイッチが、画像取得モードを起動させる回路を閉じる。画像の取得を自動化することにより、ユーザは、カメラを眼の上に適切に配置することに対してより多くの注意を払うことが可能となり、よって、ボタンの起動又は他の制御の間にカメラがずれる可能性が低減される。
【0079】
カメラを眼の表面から離す際に接触部材が外側に動かされ、マイクロスイッチが開回路構成に復帰し、更に画像取得モードが終了するように、マイクロスイッチ又は他のバイアス部材190によってバイアス力をかけることができる。この時点において、カメラは、電源が切れてもよいし、データのダウンロード又は画像の表示等、他の機能を実行してもよい。これらの機能は、オペレータの指示に応じて手動により、又は予めプログラムされた一連の動作の一部として自動的に操作される。
【0080】
幾つかの実施形態では、画像取得モードにあるときに、カメラの光軸に沿った結像レンズの移動と同時に又はこれと連携して、一連の画像が取得される。結像レンズが手動によって動かされようと、自動的に動かされようと、一連の画像を取得する間の結像レンズの移動により、一連の画像のうち少なくとも1つが、充分診断に使えるところまで焦点が絞り込まれる可能性が増大する。手動モードであろうと、自動モードであろうと、結像レンズを所定の距離に亘って移動させる際に画像が取り込まれるように、結像レンズの移動を画像取込(画像キャプチャ)と連携させることが可能である。結像レンズのトラック130に沿った停止部又は戻り止め部を用いて、一連の画像のうち次の画像の取得を開始させるのに用いられる所定の位置レファレンスを提供することもできる。
【0081】
カメラは、画像を取得している場合にそれをユーザに知らせるため、視覚型又は聴覚型報知器等の表示器200を更に備えることが可能である。例えば、画像のキャプチャが行われている間に、カメラハウジング上の容易に目視することのできる位置に設けられたLEDを発光させるとともに、画像の取得が完了した後に、図1Bに示されるように、変換器によって音を発することが可能である。視覚型及び聴覚型の報知器を組み合わせて用いてもよい。カメラは、使用しないときにカメラの電源を切るための手動電源スイッチ230を更に備えることができる。
【0082】
幾つかの実施形態では、画像を取得した後に、それらの画像を、後の使用のためにカメラに内蔵されている記憶モジュール210に保存することができる。幾つかの実施形態では、画像を取得すると、カメラ周辺の電子装置に送信することができる。この電子装置は、限定するものではないが、パーソナルコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ハンドヘルド装置(例えば、個人情報端末)、又は画像及びeメール機能を有する無線電話等を備える。
【0083】
画像を周辺機器に送信する場合に、送信は、接続ケーブルを介して又は無線によって行うことが可能である。ケーブルが使用される場合は、画像を取得する間のカメラの取り扱いをより容易くするため、ケーブルをカメラから取り外し可能に構成してもよい。画像を取得した後に、ケーブルを用いてカメラと周辺装置とを接続し、メモリーに保存されている画像をカメラからダウンロードする。限定するものではないが、USB1.0、USB2.0、ファイヤーワイヤ、イーサネット(登録商標)及び他の類似のデータ転送フォーマット等を含め、多くの伝送フォーマットのうちいずれを用いることも可能である。記憶モジュール210、制御モジュール150及びいかなる出力モジュールも、ある位置から他の位置に、例えば、カメラから周辺装置にデータを移すことのできるように、互いに電子的に接続される。
【0084】
画像は、限定するものではないが、jpeg、tiff、bmp、gif又は他のフォーマットを含め、多くのデジタル画像フォーマットで生成し、保存することが可能である。画像は、圧縮又は非圧縮の画像ファイルとして保存することが可能である。
【0085】
無線伝送が用いられる場合に、カメラは、無線周波数(RF)の信号を介して、光学的、電気光学的、電磁気学的又は他のあらゆる無線通信方法によって作動する無線トランシーバ220を備えることが可能である。トランシーバ220は、更にeメール又は他の無線ネットワーク機能を有する装置(例えば、商品名「Blackberry」及び類似装置)と通信することも可能であり、これにより、カメラからネットワーク装置に画像をダウンロードし、更に他の位置又はユーザに対し、eメール又は他のネットワークデータ転送手段によって中継することができる。このことは、例えば、眼科医の居ない比較的遠隔の地域において患者を検査し、更に評価のため、有資格の眼ケア専門家に対して電子的に画像を送ることを可能とする。
【0086】
幾つかの実施形態では、コンパクト眼底カメラは、図4に示されるように、互換性のある基部ユニット300とともに提供することができる。基部ユニット300は、バッテリー電源式であってもよいし、家庭用の交流(AC)電流を利用するものであってもよい。この基部がバッテリー電源式である場合は、バッテリーは、交換可能とも、充電可能ともすることができる。この基部ステーションは、持ち運びに充分なほどに小さくすることが可能である。
【0087】
基部ユニット300は、表示器310を備えることが可能であり、これにより、カメラによって取得した画像を画面、例えば、限定するものではないが、LCD又はOLED画面上での表示のため、基部ユニットに送信することができる。基部ユニット300は、カメラから取得し若しくは基部ユニットにおいて既に記憶モジュールに保存した画像を印刷するプリンタ320を備えるか、又はプリンタ320に対して画像のプリントアウトを指示するように構成することができる。このプリンタは、インクジェットプリンタ、レーザプリンタ、サーマルプリンタ又は他のあらゆる適した印刷装置であってよい。幾つかの実施形態では、このプリンタは、写真品質の印刷用紙又は他のあらゆる適した媒体に画像を印刷する。
【0088】
基部ユニット300は、カメラが画像を取り込んでいる際にこの画像を表示するように構成される場合もある。この「生の」表示モードにおいて、カメラは、画像を取得している最中にこれを基部ユニットに送信し、基部ユニットは、画面310上にその画像を表示する。このことは、眼底の実況画像を提供し、眼科医が、検眼鏡を用いるのと同様にして予備調査を行うことを可能とする。しかも、この場合の調査はこれまでよりもずっと簡単であり、これまでの検眼鏡ではすることのできない、データの取得しながらの記録を可能とする。24fpsよりも大きなフレームキャプチャレートにより、カメラは、映像のような滑らかな動画機能を提供することが可能である。カメラから基部ステーションへの画像の送信は、通信ケーブルを介してもよいし、無線によってもよい。基部ユニットは、基部ユニット300の通信ネットワーク又は眼底カメラとの通信を可能とする通信ネットワークインターフェース330を備えることができる。
【0089】
基部ユニット300は、更に通信ネットワーク400(例えば、インターネット、イントラネット、構内ネットワーク、メトロポリタンエリアネットワーク、広域ネットワーク、仮想プライベートネットワーク、無線ネットワーク及び他のあらゆる適したネットワーク又はこれらのネットワークの組み合わせ)を介して画像を他の演算装置及び/又はデジタル記憶装置に送信するように構成することが可能である。画像は、ネットワークを介する送信に先立ち、あらゆる適したデータ圧縮又は画像圧縮アルゴリズムを用いて圧縮することができる。
【0090】
幾つかの実施形態では、基部ユニットは、デジタル画像をデジタル記憶モジュール340に保存するように構成される。これらの画像は、コンパクト眼底カメラから無線ネットワークを介して受信することができ、又は基部ユニットによって通信ネットワークから上記のようにして受信する場合もある。基部ステーション300は、半導体メモリー、磁気媒体、電磁媒体、光学媒体、電気光学媒体若しくは他のあらゆる適した媒体又はこれらの組み合わせに、デジタル方式で画像を保存することが可能である。基部ユニットは、同様に、カメラから受信した画像を、通信ネットワーク400を介して他の周辺演算装置410に、又はマイクロプロセッサから結合された周辺装置420へ直接に、送信することができる。
【0091】
幾つかの実施形態では、基部ステーションは、ハンドヘルド式のコンパクト眼底カメラ用に、滞在ステーションインターフェース350を備える構成としてもよい。滞在ステーションインターフェース350は、カメラから画像をダウンロードし又は基部ユニットからカメラの制御モジュールにプログラム指令をアップロードするため、カメラ及び基部ユニットの間でデータ交換機能を提供することが可能である。このインターフェースは、充電式のバッテリーを備える実施形態のカメラにおいて、カメラを充電するための電力を供給するのに用いることもできる。カメラのプラグ40は、給電及びデータインターフェース機能の双方を提供する構成であるのが便利である。
【0092】
基部ユニットにダウンロードした画像は、処理し又は分類することが可能である。処理し又は分類した画像は、通信ネットワークを介した取得後の送信又は他のあらゆる分析のため、メモリー装置、例えば、DRAM、フラッシュメモリー又は他のあらゆる適したメモリー記憶装置に保存することができる。取得した画像のうち少なくとも1つに画像処理アルゴリズムを適用して、焦点の最もよく合っている画像を特定することが可能である。
【0093】
基部ユニットは、データ転送及び様々な機能要素の動作を管理する中央処理装置350を備えるとともに、ユーザインターフェース360を更に備える。ユーザインターフェース360は、例えば、限定するものではないが、キーボード、タッチスクリーン又は他の適したインターフェースを備えることが可能である。ユーザインターフェース360は、画像を操作する(例えば、分類し、注釈を入れ、保存し、削除する)のに用いることができる。個人情報、患者コード、人口学的情報又は画像に関する他のあらゆる適した情報を、ユーザインターフェース360を用いて入力することも可能である。
【0094】
コンパクト眼底カメラを用いた眼底の画像化方法では、画像化しようとする眼の結膜嚢に、プロパリカイン(proparicaine)剤又は他のあらゆる適した麻酔薬を点滴する。眼底カメラに保護カバーを取り付けることで、被検者の角膜の汚染を防止することが可能である。或いは、接触部材が使い捨てである実施形態では、新しい接触部材を取り付ける。実施形態に応じて、カバー、接触部材又はこれらの双方を無菌パッケージで提供することが可能である。幾つかの実施形態では、カメラのオペレータは、患者の眼の曲率半径を予め決定しておき、広範囲に及ぶ曲率の接触部材又はカバーを包含するセットから、その曲率半径に最もよく合致する接触部材又はカバーを選択してもよい。そして、カメラのオペレータは、カメラが眼と接触した状態となるようにカメラを配置する。
【0095】
続いて、オペレータは、起動ボタンを押し、患者の眼底の画像化を開始する。上記のように、この起動ボタンは、眼底カメラのハウジングに設けることも、画像化処理を開始させる指令をカメラに送信する別個の装置に設けることも可能である。カメラに対するこれらの指令は、直接接続によるか又は無線により、伝達することができる。聴覚又は視覚的な合図を用いて、カメラが患者の眼底を画像化していることをオペレータに知らせることが可能である。幾つかの実施形態では、カメラは、接触部材によって角膜に充分な圧力がかけられると、マイクロスイッチの起動によって自動的に起動する。
【0096】
幾つかの実施形態では、オペレータは、画像モードのオプションを選択して、眼底の画像化を容易にすることができる。これらのオプションは、長い眼若しくは短い眼の画像化に関する設定、又は他のあらゆる適したオプションを含んでよい。画像化処理の間に、被検者は、オペレータによって真っ直ぐ前を見るか又はポイントターゲットの方を見るように告げられる。ハンドヘルド式の眼底カメラは、患者の角膜に対して次第に押し付けられ、略正視眼での三次元距離計測を提供する。
【0097】
眼底カメラは、結像レンズが移動する間に、患者の眼底の連続画像を取得する。収集した画像から最も望ましいものとして少なくとも1つの画像が選択され、保存されるか、又はそうでなければ選別される。何が最も望ましい画像かの定義付けは、最もよく焦点が合っていること、最も視野が広いこと、複数の眼底構造(例えば、網膜血管、斑、視神経乳頭又は他のあらゆる適した特徴)の映りが最もよいこと等の因子に基づいており、よって、最も望ましい画像が何によって決定されるかは、オペレータ又は画像を検討する眼ケアの専門家の判断に委ねられる。最も望ましい画像は、これが決定されると、有線又は無線接続のいずれかによって基部ステーションに転送することが可能である。基部ステーションの画面上にその画像が表示され、注釈、印刷、保存又は転送のためのオプションがオペレータによって実行される。これらの手順は、必要であれば、対側の眼について繰り返すことが可能である。
【0098】
画像化の方法は、同じ眼について、互いに軸のずれた2つの画像を取得することを含んでよい。異なる角度から2つの画像を取得することにより、眼底の立体画像化が可能となる。この技術は、黄斑浮腫等の症状の検出に有用である。
【0099】
当業者は、異なる実施形態の間で様々な特徴要素が交換可能であることを理解するであろう。同様に、以上で述べた様々な特徴要素及び工程ばかりでなく、そのような特徴要素及び工程のそれぞれに関する他の知られた均等物もまた、当業者によって結合及び適合されて、この明細書で述べた原理に従った構成又は方法を達成することができる。本開示は、特定の実施形態及び例との関係において提供したものであるが、当業者によれば、本開示が、具体的に記載した実施形態の範囲を超えて他の代替の実施形態及び/又は使用方法、ならびに自明な変更例及びそれらの均等物にまで拡張するものであることが理解される。従って、本開示は、ここでの実施形態に関する具体的な記載によって限定されるものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラを含んで構成され、眼底の少なくとも一部を画像化するコンパクト眼底カメラシステムであって、
前記カメラは、
基端側及び遠位側の端部を有するカメラハウジングと、
前記カメラハウジングの遠位側端部又はこの端部よりも遠位に配置され、眼の角膜の少なくとも一部に接するようにその一部が構成された接触部材であって、実質的に光が透過可能な接触部材と、
前記接触部材に対して基端側に配置され、前記眼底の少なくとも一部の画像を取得するとともに、この画像を示すデータを出力するように構成された画像検出モジュールと、
前記接触部材及び前記画像検出モジュールの間に配置され、前記画像を前記画像検出モジュールに向ける結像レンズと、
を含んで構成され、
前記画像検出モジュール及び前記結像レンズは、前記カメラハウジングに結合され、
前記画像検出モジュール及び前記結像レンズのうち少なくとも一方は、実質的に前記カメラハウジングの光軸に沿って移動可能であるカメラシステム。
【請求項2】
前記画像検出モジュール及び前記結像レンズのうち少なくとも一方は、前記カメラハウジングに結合された付勢部材が蓄えるポテンシャルエネルギーの放出、電磁エネルギー及び手動によって与えられる力のうち少なくとも1つによって前記カメラハウジングの内部で動かされる請求項1に記載のカメラシステム。
【請求項3】
前記手動によって与えられる力は、前記画像検出モジュール及び前記結像レンズのうち少なくとも一方に対し、オペレータによって前記カメラハウジングの外側に伸びるレバーを用いて伝えられる請求項2に記載のカメラシステム。
【請求項4】
オペレータ起動のスイッチを更に含んで構成される請求項1に記載のカメラシステムであって、
前記画像検出モジュール及び前記結像レンズのうち少なくとも一方は、前記カメラハウジングに結合された付勢部材が蓄えるポテンシャルエネルギーの放出によって前記カメラハウジングの内部で動かされ、
前記スイッチは、前記ポテンシャルエネルギーの少なくとも一部を放出させるように構成されたカメラシステム。
【請求項5】
複数の接触点を含んで構成され、
前記画像検出モジュールは、前記画像検出モジュール及び前記結像レンズのうち少なくとも一方に対する前記複数の接触点の相対位置に基づいて複数の画像を取得するように構成された請求項1に記載のカメラシステム。
【請求項6】
前記結像レンズは、前記画像検出モジュールに対して移動可能である請求項1に記載のカメラシステム。
【請求項7】
前記結像レンズは、前記接触部材に対して移動可能である請求項1に記載のカメラシステム。
【請求項8】
前記画像検出モジュールは、前記接触部材に対して移動可能である請求項1に記載のカメラシステム。
【請求項9】
前記カメラハウジングは、長く、その最も長い寸法が約15cmよりも小さい請求項1に記載のカメラシステム。
【請求項10】
前記カメラハウジングは、長く、その最も長い寸法が約10cmよりも小さい請求項1に記載のカメラシステム。
【請求項11】
前記カメラとデータを交換し、前記画像を示す出力データを保存する基部ステーションを更に含んで構成される請求項1に記載のカメラシステム。
【請求項12】
ネットワークインターフェースを更に含んで構成される請求項11に記載のカメラシステムであって、
前記ネットワークインターフェースは、前記基部ステーションと、インターネット、イントラネット、広域ネットワーク、メトロポリタンエリアネットワーク、構内ネットワーク、仮想プライベートネットワーク及び無線ネットワークのうち少なくとも1つとの間でデータを交換するように構成されたカメラシステム。
【請求項13】
前記接触部材のうち角膜に接する部分は、実質的な凹状部を有する請求項1に記載のカメラシステム。
【請求項14】
前記接触部材の凹状部は、約0%から約30%までの誤差の範囲内で前記角膜の曲率半径に一致する曲率半径を有する請求項13に記載のカメラシステム。
【請求項15】
前記接触部材は、角膜に接する際に角膜の前面に対して実質的に合致するように構成された請求項1に記載のカメラシステム。
【請求項16】
前記接触部材は、角膜のものと略等しい屈折率を有する請求項1に記載のカメラシステム。
【請求項17】
前記カメラに結合された少なくとも1つの光源を更に含んで構成され、
前記光源は、紫外光、可視光及び赤外光のうち少なくとも1つを発する請求項1に記載のカメラシステム。
【請求項18】
前記カメラと、このカメラ周辺の少なくとも1つの装置との間で情報を交換するデータ送信モジュールを更に含んで構成され、
前記データ送信モジュールは、データ送信ケーブル及び無線トランシーバのうち少なくとも一方を含んで構成される請求項1に記載のカメラシステム。
【請求項19】
患者の眼の眼底を観察する方法であって、
コンパクト眼底カメラを提供するステップであって、
前記眼底カメラが、
カメラハウジングと、
このカメラの遠位側端部に配置され、前記眼の角膜の少なくとも一部に接するように構成された接触部材であって、実質的な光の透過性を有する接触部材と、
前記接触部材に対して基端側に配置され、前記眼底の少なくとも一部の画像を取得するとともに、画像データを出力するように構成された画像検出モジュールと、
前記接触部材及び前記画像検出モジュールの間に配置された、前記眼底の画像の焦点を実質的に前記画像検出モジュール上に合わせる結像レンズと、
を含んで構成され、
前記画像検出モジュールと前記結像レンズとは、前記カメラハウジングに結合され、
更に前記画像検出モジュール及び前記結像レンズのうち少なくとも一方は、実質的にこのカメラの光軸に沿って移動可能であるステップと、
前記眼の角膜を前記接触部材と接触させるステップと、
前記接触部材が前記眼の角膜と接している間に、前記画像検出モジュールに対して前記眼底の複数の画像を取得するように指示するステップと、
前記複数の画像を少なくとも1つの画像データファイルに出力するステップと、
を含んで構成される方法。
【請求項20】
前記眼底の少なくとも一部を光源によって照らすことを更に含んで構成される請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記光源は、LEDを含んで構成される請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記光源は、紫外光、可視光及び赤外光のうち1つを発する請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記画像検出モジュールは、前記接触部材が前記角膜に接すると、前記複数の画像を自動的に取得する請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記画像検出モジュール及び前記結像レンズのうち少なくとも一方を、前記複数の画像を取得する間に、実質的に前記眼底カメラの光軸に沿って動かすことを更に含んで構成される請求項19に記載の方法。
【請求項25】
前記接触部材の少なくとも一部に、実質的に半透明のカバーをかけることを更に含んで構成される請求項19に記載の方法。
【請求項26】
患者の眼の眼底を観察する方法であって、
コンパクト眼底カメラを提供するステップであって、
前記眼底カメラが、
基端側及び遠位側の端部を有するカメラハウジングと、
前記カメラハウジングの遠位側端部又はこの端部よりも遠位に配置され、前記眼の角膜の少なくとも一部に接するようにその一部が構成された接触部材であって、実質的に光が透過可能な接触部材と、
前記接触部材に対して基端側に配置され、前記眼底の少なくとも一部の画像を取得するとともに、前記画像を示すデータを出力するように構成された画像検出モジュールと、
前記接触部材及び前記画像検出モジュールの間に配置され、前記画像を前記画像検出モジュールに向ける結像レンズと、
を含んで構成され、
前記画像検出モジュール及び前記結像レンズは、前記カメラハウジングに結合されるステップと、
前記接触部材が前記眼の角膜と接している間に、前記画像検出モジュール及び前記結像レンズのうち少なくとも一方を前記接触部材に対してこのカメラの光軸に沿って動かしながら、前記眼底の複数の画像を取得するステップであって、前記複数の画像のそれぞれは、前記画像検出モジュールにより、前記複数の画像のうち他のそれぞれとは異なる焦点をもって取得されるステップと、
前記複数の画像から他の画像に対して望ましい焦点を有する選択画像を選択し、この選択画像を少なくとも1つの画像データファイルに出力するステップと、
を含んで構成される方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−505468(P2010−505468A)
【公表日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−530664(P2009−530664)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【国際出願番号】PCT/US2007/080010
【国際公開番号】WO2008/040026
【国際公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(507245021)ユニバーシティー オブ ロチェスター (9)