説明

コンパクト高圧放電ランプ及びその製造方法

高圧放電ランプが、イオン化可能な充填物が設けられた放電空間(13)を囲む放電容器(11)が内設された外側エンベロープ(1)を持つ。放電容器は、2つの互いに対向する首状部(2、3)を持ち、電流供給導体(4、5)が、首状部を通って、放電空間内の一対の電極(6、7)まで延在する。電気絶縁材料の口金が放電容器を支持する。口金は外側エンベロープも支持する。2cc以下の容積を持つ外側エンベロープが、電流供給導体を囲み、気密に口金に接続される。放電ランプの密封後、放電ランプの動作前に外側エンベロープから残留窒素をポンピングするためのゲッタ(10)が、外側エンベロープ内に設けられている。ゲッタ(10)は少なくとも2.5mbar.mlの窒素を含む。好ましくは、ゲッタは、ジルコニウムとアルミニウムの合金又はジルコニウムとコバルトの合金を含む。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外側エンベロープを有し、該外側エンベロープ内に放電容器が配設され、前記放電容器は、イオン化可能な充填物が設けられた放電空間を気密に囲む高圧放電ランプに関する。
【0002】
本発明はまた、高圧放電ランプを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
35〜150Wの範囲の高圧放電ランプが、照明の小売り分野において大勢を占める者となっている。より低いルーメンパッケージ(lumen packages)及び/又はより低いワット数に向けて範囲を拡張する積極的な状況を生み出す傾向が現れている。より低い光レベル(light level)は、エリアを投光照明する代わりに光を商品に集中させる、例えば高級品店で用いられている。市場のエンドユーザは、均一な質の光に益々興味を抱くようになり、低ルーメンパッケージ及びアクセント照明のためにハロゲンランプを用いる代わりに高圧放電ランプを用いることを好むであろう。
【0004】
一般に、冒頭の段落で述べられた類の高圧放電ランプは、セラミック壁部を備える放電容器を持つか、又は石英ガラスの放電容器を持つ。斯かる高圧放電ランプは、実際に広く用いられており、高い発光効率と好ましい色特性とを兼ね備える。ランプの放電容器は、水銀(Hg)及び希ガス充填物に加えて1つ又は幾つかの金属ハロゲン化物を収容する。
【0005】
本願明細書及び特許請求の範囲における放電容器のセラミック壁部は、単結晶金属酸化物(例えばサファイア)、半透明高密度焼結多結晶金属酸化物(例えばAl2O3、YAG)及び半透明高密度焼結多結晶金属窒化物(例えばAlN)といった材料のうちの1つから作られた壁部であると理解されたい。
【0006】
冒頭段落に述べた類のランプは、独国特許出願第DE-A 33 24 081号から既知である。80W未満の電力消費量を持つ既知の高圧放電ランプの熱収支は、放電容器が高い質の真空により囲まれる場合大幅に改善される。高い質の真空は、少なくとも5×10-5 Paであり、排気方向(outlet direction)がランプの足に向けられたボンバードゲッタ(bombardment getter)により作り出される。
【0007】
既知の高圧放電ランプは、放電ランプの製造が比較的複雑であるという不利な点を持つ。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、上述の不利な点を全面的に又は部分的に取り除くことにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、この目的のために冒頭段落に述べた類の高圧放電ランプが、
− 外側エンベロープであって、該外側エンベロープ内に放電容器が長手方向軸の周りに配設され、前記放電容器は、イオン化可能な充填物が設けられた放電空間を気密に囲み、前記放電容器は、互いに対向する第1及び第2首状部を持ち、第1及び第2電流供給導体が、各々、前記第1及び第2首状部を通って、前記放電空間内に配設される一対の電極まで延在し、該外側エンベロープは、前記第1及び第2電流供給導体を囲む、外側エンベロープと、
− 前記第1及び第2電流供給導体を介して前記放電容器を支持する電気絶縁材料の口金であって、前記外側エンベロープも支持する口金と、
− 容積が2cc以下である前記外側エンベロープ内に設けられるゲッタであって、少なくとも2.5mbar.mlの窒素を含むゲッタと、
を有する。
【0010】
高圧放電ランプの製造中、窒素をかなり含む雰囲気が、外側エンベロープ内に作り出される。次のステップとして、外側エンベロープは、気密に封じられる。外側エンベロープを封じた後、放電ランプが点弧される前に、外側エンベロープ内の残留窒素が、ゲッタを作用させる(activate)ことにより除去される。ゲッタは、残留窒素を結合し(bind)、高圧放電ランプの寿命の間適切なランプ動作を保証するに足りるような真空を外側エンベロープ内に作り出す。外側エンベロープ、即ち、外側バルブ内の雰囲気を制御することにより、電流供給導体が、酸化に対し十分に保護される。
【0011】
既知の放電ランプにおいては、外側エンベロープが、該外側エンベロープから残留ガスをポンピング(pump)するための(ガラス)排気管を具備する。比較的長いポンピング時間が、外側エンベロープ内の所望の真空状態を得るために必要とされる。ひとたび所望の真空(レベル)が外側エンベロープ内に実現されると、排気管は密封される。さらに、チップオフ排気管を具備する外側エンベロープは、高圧放電ランプに望ましくない外観を与える。実際のところ、残留ガスの除去が、かなり小型のランプ、とりわけ、2cc以下の容積の外側エンベロープを持つランプについてかなり困難であるように見えた。
【0012】
本発明による高圧放電ランプでは、外側エンベロープの"ポンピング(pumping)"が、外側エンベロープ内でゲッタを作用させることにより達成される。このポンピングは、比較的短期間のうちに且つ放電ランプが動作状態にされる前になされ得る。ゲッタを施すことにより、ポンピングのメカニズムが、従来のポンピング方式と比較してより効果的且つ素早くなされ得る。その後、ゲッタは、ランプの動作中に放出されることがある水素に対して作用し続ける。ゲッタの有効性は、ガス分析(質量分析)と併用して熱伝導度セルを用いて、作用後のゲッタ材料の窒素含有量を測定することにより検出される。典型的には、作用前の搬入を受けたままの状態の材料では、ゲッタは実質的に窒素を含まない。前述した作用の後、ゲッタの窒素含有量は、少なくとも2.5mbar.mlの窒素となる。
【0013】
本発明による高圧放電ランプの好ましい実施例においては、前記ゲッタが、少なくとも5mbar.mlの窒素を含む。このようにして、高圧放電ランプの長寿命を保証する真空状態が、外側エンベロープ内に実現される。
【0014】
外側エンベロープをポンピングするためにゲッタを用いることにより、高圧放電ランプにチップオフガラス排気管を設けることが避けられる。このため、本発明による高圧放電ランプの好ましい実施例は、前記外側エンベロープに、封じられた排気管がないことを特徴とする。
【0015】
高圧放電ランプの製造中に外側エンベロープ内の窒素を結合するゲッタを設けることにより、単純化されたコンパクトな高圧放電ランプが得られる。とりわけ、高圧放電ランプの長さを相当に短くすることができる。
【0016】
本発明による高圧放電ランプの好ましい実施例は、前記ゲッタの材料が、イットリウム、タンタル、ニオブ、チタン、トリウム、ハフニウム、ジルコニウム及びバナジウムにより形成される群から選択されることを特徴とする。これらの材料は、比較的高温のゲッタの作用中に窒素を効果的に結合する。好ましくは、ゲッタは、ジルコニウムとアルミニウムの合金又はジルコニウムとコバルトの合金を含む。ジルコニウムとアルミニウム又はコバルトのこれら合金は窒素を効果的に結合する。
【0017】
ゲッタを取り付けるのに非常に適した場所は、放電容器の近傍且つ外側エンベロープの中心の近傍である。このため、本発明による高圧放電ランプの好ましい実施例においては、前記ゲッタが、前記第2電流供給導体に接続され、前記放電容器沿いを走る接続導体に設けられる。
【0018】
本発明による高圧放電ランプの好ましい実施例においては、前記口金が、当該高圧放電ランプの製造中に前記外側エンベロープ内に窒素雰囲気を設けるための管状部を有する。これは、外側エンベロープ内の雰囲気が、放電容器及び外側エンベロープが高圧放電ランプの口金に取り付けられた後、前記管状部を介して制御され得るという利点を持つ。
【0019】
本発明による高圧放電ランプの好ましい実施例は、前記口金が、石英ガラス、硬質ガラス、軟質ガラス、又はセラミック材料から作られることを特徴とする。好ましくは、口金は、焼結体、好ましくは、ガラス、ガラスセラミック又はセラミック体である。好ましくは、口金は、有用なビーム角において追加となる光を反射させるように、白っぽく色付けられる。これは、ランプの発光効率を効果的に高める。好ましくは、口金は板状である。
【0020】
口金は、高い寸法精度で製造され得る。口金は、放電容器から見て遠い方を向いている表面において平坦であることが有利である。この表面は、(ランプ)ホルダ、例えば担持体(carrier)に対して取り付けられることがあり、従って、放電容器の位置に対する基準となるのに適当な表面である。
【0021】
本発明による高圧放電ランプの好ましい実施例は、前記外側エンベロープが、エナメルによって前記口金に固定されることを特徴とする。好ましくは、エナメルは、予め成形されたリングの形態で設けられる。予め成形されたリングの使用は、高圧放電ランプの製造をかなり単純化する。
【0022】
本発明による高圧放電ランプは、ランプが点灯される際、放電容器が光学的に非常にコンパクトな見掛けの寸法(virtual dimension)を持ち、これにより、当該ランプがコンパクトな照明器具での使用に非常に適しているという利点がある。
【0023】
本発明はまた、高圧放電ランプを製造する方法に関する。本発明によれば、
− 外側エンベロープであって、該外側エンベロープ内に放電容器が長手方向軸の周りに配設され、前記放電容器は、イオン化可能な充填物が設けられた放電空間を気密に囲み、前記放電容器は、互いに対向する第1及び第2首状部を持ち、第1及び第2電流供給導体が、各々、前記第1及び第2首状部を通って、前記放電空間内に配設される一対の電極まで延在し、該外側エンベロープは、前記第1及び第2電流供給導体を囲む、外側エンベロープと、
− 前記第1及び第2電流供給導体を介して前記放電容器を支持する電気絶縁材料の口金であって、前記外側エンベロープも支持する口金と、
− 2cc以下の容積を持つ前記外側エンベロープ内に設けられるゲッタと、
を有する高圧放電ランプを製造する方法であって、
− 前記外側エンベロープ内の窒素の量を減らすために前記ゲッタを作用させ、
− 作用後、前記ゲッタは少なくとも2.5mbar.mlの窒素を含む。
【0024】
高圧放電ランプの製造中、窒素をかなり含む雰囲気が、外側エンベロープ内に作り出される。次のステップとして、外側エンベロープは、気密に封じられる。外側エンベロープを封じた後、放電ランプが点弧される前に、ゲッタが作用され、該ゲッタは、外側エンベロープ内の窒素の量を減らす。ゲッタは、残留窒素を結合し、高圧放電ランプの寿命の間適切なランプ動作を保証するに足りるような真空を外側エンベロープ内に作り出す。外側エンベロープ、即ち、外側バルブ内の雰囲気を制御することにより、電流供給導体が、酸化に対し十分に保護される。
【0025】
本発明による高圧放電ランプを製造する方法では、外側エンベロープの"ポンピング"が、外側エンベロープ内でゲッタを作用させることにより達成される。このポンピングは、比較的短期間のうちになされ得る。小型のゲッタを用いた試験が行なわれた。封止後、残留窒素は、誘導加温によりゲッタを作用させることにより除去される。約30秒間ゲッタを作用させた場合に全ての窒素を除去できることが確認された。その後、ゲッタは、ランプの動作中に放出されることがある水素に対して作用し続ける。ゲッタの有効性は、熱伝導度セルを用いて、作用後のゲッタ材料の窒素含有量を測定することにより検出される。典型的には、作用前の搬入を受けたままの状態の材料では、ゲッタは実質的に窒素を含まない。前述した作用の後、ゲッタの窒素含有量は、少なくとも2.5mbar.mlの窒素となる。
【0026】
本発明による高圧放電ランプを製造する方法の好ましい実施例は、作用後、前記ゲッタが、少なくとも5mbar.mlの窒素を含むことを特徴とする。このようにして、高圧放電ランプの長寿命を保証する真空状態が、外側エンベロープ内に実現される。
【0027】
本発明による高圧放電ランプを製造する方法の好ましい実施例においては、前記ゲッタの材料が、イットリウム、タンタル、ニオブ、チタン、トリウム、ハフニウム、ジルコニウム及びバナジウムにより形成される群から選択される。
【0028】
図面及び多くの実施例を参照して以下に本発明をより詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
図は、単に概略的なものであって、縮尺通りには描かれていない。幾つかの寸法は、理解しやすいようにとりわけ強く誇張されている。これらの図においては、同等の構成要素には可能な限り同じ参照符号が付与されている。
【0030】
図1Aは、本発明による高圧放電ランプの完成予想図を示している。図1Bは、図1Aに示される高圧放電ランプの断面を概略的に示している。高圧放電ランプは、長手方向軸22の周りに配設される放電容器11を有する。放電容器11は、水銀、金属ハロゲン化物及び希ガスを含むイオン化可能な充填物が設けられた放電空間13を気密に囲む。図1A及び1Bの例においては、放電容器11は、第1首状部2及び対向する第2首状部3を持ち、第1電流供給導体4及び第2電流供給導体5が、各々、第1首状部2及び第2首状部3を通って、一対の電極6、7まで延在する。電極6、7は、放電空間13内に配設される。高圧放電ランプはさらに、電気絶縁材料から作られる口金8を具備する。口金8は、第1電流供給導体4及び第2電流供給導体5を介して放電容器11を支持する。口金8は、2.0ccの容積を持つ、外側バルブ、即ち、外側エンベロープ1も支持する。図1A及び1Bの例においては、口金8に、第1電流供給導体4に接続される第1接点部材14が設けられる。さらに、口金8には、放電容器11沿いを走る接続導体16を介して第2供給導体5に接続される第2接点部材15が設けられる。
【0031】
他の実施例においては、少なくとも1つの接点部材が、口金内のフィードスルー管によって形成され、これは、電流供給導体のうちの1つが、該フィードスルー管内で固定されることを可能にする。代替的に、2つのフィードスルー管が口金内に設けられてもよい。これらフィードスルー管における固定は、抵抗溶接、レーザ溶接又は圧着によってなされてもよい。接点部材の代わりにフィードスルー管を用いる利点は、高圧放電ランプの長手方向軸上での放電容器の位置決めにおいてより大きな自由が得られることにある。これは、高圧放電ランプの外側エンベロープ内での放電容器の精密位置決めを更に改善するであろう。
【0032】
外側エンベロープ1は気密に口金8に接続される。外側エンベロープ内の雰囲気を制御することにより、電流供給導体4、5が、酸化に対し十分に保護される。電流供給導体4、5の酸化を防止することにより、電流供給導体4、5は、放電容器11の比較的近くに配置され得る。外側エンベロープ内の雰囲気を制御することにより、プレスシール及び/又はチップオフ(石英)管の作成を省くことができ、その結果、高圧放電ランプは単純且つコンパクトなものとなる。好ましくは、高圧放電ランプの製造中に外側エンベロープ1内に窒素雰囲気を設けるための管状部18が、口金8に設けられる。管状部18の密封後、窒素雰囲気は外側エンベロープ内にとどまる。既知の放電ランプにおいては、外側エンベロープが、該外側エンベロープから残留ガスをポンピングするための(ガラス)排気管を具備する。比較的長いポンピング時間が、外側エンベロープ内の所望の真空状態を得るために必要とされる。ひとたび所望の真空(レベル)が外側エンベロープ内に実現されると、排気管は密封される。さらに、チップオフ排気管を具備する外側エンベロープは、高圧放電ランプに望ましくない外観を与える。口金8における管状部18は、金属又はNiFeCr合金から作られることが有利である。
【0033】
本発明による高圧放電ランプでは、外側エンベロープ1の"ポンピング"は、10mgのゲッタ材料量を有するゲッタ10を外側エンベロープ1内で作用させることにより達成される。このポンピングは、比較的短期間のうちに且つ放電ランプが動作状態にされる前になされ得る。その後、ゲッタ10は、ランプの動作中に放出されることがある水素に対して作用し続ける。上述の作用後、ゲッタ10の窒素含有量は、少なくとも2.5mbar.mlの窒素となる。
【0034】
ゲッタ10を取り付けるのに非常に適した場所は、放電容器11の近傍且つ外側エンベロープ1の中心の近傍である。好ましくは、ゲッタ10は、第2供給導体5に接続され、放電容器11沿いを走る接続導体16に設けられる。
【0035】
好ましくは、ゲッタの材料は、イットリウム、タンタル、ニオブ、チタン、トリウム、ハフニウム、ジルコニウム及びバナジウムにより形成される群から選択される。これらの材料は、ゲッタ作用中の温度(750〜900℃)で窒素を効果的に結合する。非常に好ましい実施例においては、ゲッタ10は、ゲッタ材料として、10mgのジルコニウムとアルミニウムの合金又はジルコニウムとコバルトの合金を含む。ジルコニウムとアルミニウム又はコバルトのこれら合金は窒素を効果的に結合する。ゲッタ10に適当な活性剤は、Zr-Ar(SAESからのSt101)及びジルコニウム−コバルト合金(Zirconium-Cobalt-mixed metal alloy)(SAESからのSt787)である。典型的には、作用前の搬入を受けたままの状態の材料では、1mbar.mlより少ない窒素しか見出されない。作用後、含有量は、典型的には、20mbar.mlの窒素(2ccの容積における10mbarのN2)となる。
【0036】
好ましくは、口金8は、石英ガラス、硬質ガラス、軟質ガラス、ガラスセラミック、又はセラミック材料から作られる。さらに、口金8は、焼結体、好ましくは、セラミック焼結体として設けられる。好ましくは、口金8は板状である。口金8は、高い寸法精度で製造され得る。口金8は、明るい色、例えば白色又は薄灰色で作られ得るという付加的な利点を持つ。明るい色を持つ材料を使用することにより、放電容器11によって発せられる光は、有用なビーム角において反射され、その結果、高圧放電ランプの全体的な効率又は照明器具の効率を高めるであろう。それにより、口金8に入射する光が、反射器によって形成され得る光ビームから失われることが防止される。さらに、口金8は、放電容器11から見て遠い方を向いている表面において(フラットな)平面を持つことが有利である。この表面は、(ランプ)ホルダ、例えば担持体、例えば反射器に対して取り付けられることがあり、従って、放電容器11の位置に対する基準となるのに適当な表面である。別の有利な実施例においては、口金8の、放電容器に面する表面が、中央隆起部を持ち、該中央隆起部は、高圧放電ランプの製造中に口金8に対して放電容器11及びエナメルリングを芯合わせするのに役立つ。
【0037】
好ましくは、外側エンベロープ1は、石英ガラス、硬質ガラス又は軟質ガラスから作られる。外側エンベロープ1は、好ましくは、(ガラス)フリットのエナメルによって口金8に固定される。エナメルは、予め成形されたリングの形態で設けられることが有利である。このような予め成形されたリングの使用は、高圧放電ランプの製造中の放電容器11の位置決めの精度をかなり改善する。エナメルの選択は、外側エンベロープ1の材料及び口金8の材料に依存する。
【0038】
図1A及び1Bの例においては、実質的に円筒状の外側エンベロープ1が設けられている。図2は、放電容器11が石英製である、本発明による高圧放電ランプの他の実施例を示している。この実施例において、放電空間内のイオン化可能な充填物は、水銀、金属ハロゲン化物及び希ガスを含む。図2の例においては、外側エンベロープの一部が、実質的に球形である。
【0039】
高圧放電ランプの製造中に外側エンベロープ1内の窒素を結合するゲッタ10を設けることにより、単純化されたコンパクトな高圧放電ランプが得られる。とりわけ、高圧放電ランプの長さを相当に短くすることができる。
【0040】
上記の実施例は、本発明を限定するものではなく例示するものであり、当業者は、添付されている特許請求の範囲から外れない多くの他の実施例を設計することが出来るであろうことに注意されたい。特許請求の範囲において、括弧内の如何なる参照符号も、特許請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。「有する」という動詞及びその語形変化の使用は、請求項内に記載されている要素又はステップ以外の要素又はステップの存在を除外しない。要素の単数形表記は、このような要素の複数の存在を除外しない。本発明は、幾つかの別個の素子を有するハードウェア、及び適当にプログラムされたコンピュータによって実施され得る。幾つかの手段を列挙している装置クレームにおいては、これらの手段の幾つかは、同一のハードウェア装置によって実施されてもよい。単に、或る方策が、互いに異なる従属項において列挙されているという事実は、これらの方策の組合せが有利に用いられ得ないことを示さない。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1A】図1Aは、本発明による高圧放電ランプを概略的に示す。
【図1B】図1Bは、図1Aに示される高圧放電ランプの断面図である。
【図2】図2は、本発明による高圧放電ランプの他の実施例を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
− 外側エンベロープであって、該外側エンベロープ内に放電容器が長手方向軸の周りに配設され、前記放電容器は、イオン化可能な充填物が設けられた放電空間を気密に囲み、前記放電容器は、互いに対向する第1及び第2首状部を持ち、第1及び第2電流供給導体が、各々、前記第1及び第2首状部を通って、前記放電空間内に配設される一対の電極まで延在し、該外側エンベロープは、前記第1及び第2電流供給導体を囲む、外側エンベロープと、
− 前記第1及び第2電流供給導体を介して前記放電容器を支持する電気絶縁材料の口金であって、前記外側エンベロープも支持する口金と、
− 2cc以下の容積を持つ前記外側エンベロープ内に設けられるゲッタであって、少なくとも2.5mbar.mlの窒素を含むゲッタと、
を有する高圧放電ランプ。
【請求項2】
前記ゲッタは、少なくとも5mbar.mlの窒素を含むことを特徴とする請求項1に記載の高圧放電ランプ。
【請求項3】
前記ゲッタの材料は、イットリウム、タンタル、ニオブ、チタン、トリウム、ハフニウム、ジルコニウム及びバナジウムにより形成される群から選択されることを特徴とする請求項1又は2に記載の高圧放電ランプ。
【請求項4】
前記ゲッタは、ジルコニウムとアルミニウムの合金又はジルコニウムとコバルトの合金を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の高圧放電ランプ。
【請求項5】
前記ゲッタは、前記第2電流供給導体に接続され、前記放電容器沿いを走る接続導体に設けられることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の高圧放電ランプ。
【請求項6】
前記外側エンベロープに、封じられた排気管がないことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の高圧放電ランプ。
【請求項7】
前記口金は、当該高圧放電ランプの製造中に前記外側エンベロープ内に窒素雰囲気を設けるための管状部を有することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の高圧放電ランプ。
【請求項8】
前記管状部は、金属又はNiFeCr合金から作られることを特徴とする請求項7に記載の高圧放電ランプ。
【請求項9】
前記口金は、石英ガラス、硬質ガラス、軟質ガラス、ガラスセラミック、又はセラミック材料から作られることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の高圧放電ランプ。
【請求項10】
前記外側エンベロープは、エナメルによって前記口金に固定されることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の高圧放電ランプ。
【請求項11】
− 外側エンベロープであって、該外側エンベロープ内に放電容器が長手方向軸の周りに配設され、前記放電容器は、イオン化可能な充填物が設けられた放電空間を気密に囲み、前記放電容器は、互いに対向する第1及び第2首状部を持ち、第1及び第2電流供給導体が、各々、前記第1及び第2首状部を通って、前記放電空間内に配設される一対の電極まで延在し、該外側エンベロープは、前記第1及び第2電流供給導体を囲む、外側エンベロープと、
− 前記第1及び第2電流供給導体を介して前記放電容器を支持する電気絶縁材料の口金であって、前記外側エンベロープも支持する口金と、
− 2cc以下の容積を持つ前記外側エンベロープ内に設けられるゲッタと、
を有する高圧放電ランプを製造する方法であって、
− 前記外側エンベロープ内の窒素の量を減らすために前記ゲッタを作用させ、
− 作用後、前記ゲッタは少なくとも2.5mbar.mlの窒素を含む、
高圧放電ランプを製造する方法。
【請求項12】
前記ゲッタは、イットリウム、タンタル、ニオブ、チタン、トリウム、ハフニウム、ジルコニウム及びバナジウムにより形成される群から選択されることを特徴とする請求項11に記載の高圧放電ランプを製造する方法。
【請求項13】
前記ゲッタを誘導加温により作用させることを特徴とする請求項11又は12に記載の高圧放電ランプを製造する方法。
【請求項14】
前記ゲッタは、放電ランプの寿命の間水素に対するゲッタとして作用することを特徴とする請求項11又は12に高圧放電ランプを製造する方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−518226(P2007−518226A)
【公表日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−546465(P2006−546465)
【出願日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【国際出願番号】PCT/IB2004/052915
【国際公開番号】WO2005/073998
【国際公開日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【出願人】(506225134)エス.エイ.イー.エス. ゲッターズ エス.ピー.エイ. (2)
【Fターム(参考)】