説明

コンピュータシステム、コンピュータシステムにおける命令リトライ方法及びプログラム

【課題】各ユニットに最適なリトライ間隔を設定する。
【解決手段】ユニット105−1〜105−3に対する命令の実行が失敗したと判断された場合に該命令をリトライするOS101が搭載され、ユニット105−1〜105−3にて継続動作可能な障害が発生した場合、ユニット105−1〜105−3を識別可能な識別情報に予め対応付けられた復旧処理時間が障害制御ユニット106からOS101に通知され、OS101にて通知された復旧処理時間に基づいてリトライする間隔が決定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基本ソフトウェアであるOS(Operating System)が搭載されたコンピュータシステム、コンピュータシステムにおける命令リトライ方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、基本ソフトウェアであるOS(Operating System)が搭載されたコンピュータシステムにおいては、OSによって発行された命令が命令対象であるユニットにて実行されなかった(命令失敗)場合、当該命令が再度発行(リトライ)される。ここで、命令が実行されたかどうかを判断するには、命令対象ユニットから送信される命令が実行不可能(有効ではない)である旨が示された情報がリプライとして用いられる。この命令が実行不可能(有効ではない)である旨が示された情報がOSにて受信された場合、当該命令が実行されなかったと判断される。
【0003】
また、リトライの結果、さらに命令が実行されなかったと判断された場合、命令対象のユニットに障害が発生したと判断され、OSによって当該ユニットが切り離されるものが一般的である。
【0004】
また、コマンド送信装置から送信されるコマンドが実行されるコマンド受信装置にてコマンド実行中に、受信されたコマンドが実行されるための最大実行時間情報がコマンド受信装置からコマンド送信装置へ送信される技術が考えられている(例えば、特許文献1参照。)。この最大実行時間情報を用いれば、コマンド受信装置にて当該コマンドが実行されている時間内は、コマンド送信装置からリトライを行うことを避けることができる。これにより、様々な能力を有するコマンド受信装置に対して、命令を発行してからリトライを行うまでの時間を柔軟に設定することができる。
【0005】
また、コンピュータからその周辺装置へコマンドが送出されてから当該コマンドに対する応答があるまでの応答待ち時間が、発生した障害の種類や障害発生部位に基づいて算出される技術が考えられている(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
また、複数の障害復旧ツール毎に予想処理時間が予め設定されたテーブルを用いることにより、センタにて障害が発生したときの復旧時間をセンタに接続された端末に通知する技術が考えられている(例えば、特許文献3参照。)。
【特許文献1】特開2005−346175号公報
【特許文献2】特開2000−132413号公報
【特許文献3】特開昭57−018148号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した従来の技術においては、命令対象ユニットに継続動作可能な障害が発生した場合、上位装置から、または当該ユニットにて行われる当該ユニットの障害復旧処理にかかる時間よりも、最初の命令発行からリトライされるまでの時間が短い時間であると、当該ユニットが復旧する前にリトライされてしまう。そのため、リトライされた命令は再度ユニットが有効では無いというリプライがOSにて受信され、OSにてリトライも失敗したと判断され、障害が発生したユニットが誤って切り離されてしまうという問題点がある。
【0008】
そこで、OSが障害復旧処理時間よりも長い時間リトライを繰り返すか、またはリトライ発行間隔を障害復旧処理時間よりも長くすることにより、障害が発生したユニットが誤って切り離されるという問題を回避することが可能である。
【0009】
しかしながら、接続ユニットの障害復旧処理はHW(ハードウェア)に依存するため、それぞれのHWに基づいてOSのリトライ発行間隔を変更する対策が必要となってしまうという問題点がある。また、OSが障害復旧処理時間よりも長い時間リトライを繰り返す場合には、リトライの命令が繰り返し発行されるため余計なトランザクションが増えてしまい、装置にかかる負荷が増加してしまうという問題点がある。また、リトライ発行間隔を障害復旧処理時間よりも長くした場合には、プロセッサが長い時間占有されるため、装置全体の性能が悪化してしまうという問題点がある。
【0010】
また、特許文献1に記載された技術においては、コマンド受信装置から最大実行時間情報をコマンド送信装置へ送信しなければならないという問題点がある。
【0011】
また、特許文献2に記載された技術においては、周辺装置からの応答があるまでの待ち時間が算出されるものであり、コンピュータから当該周辺装置へリトライを行う間隔が算出されるものではない。
【0012】
また、特許文献3に記載された技術においては、センタから端末へ復旧時間を通知しなければならないという問題点がある。
【0013】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、各ユニットに最適なリトライ間隔を設定することができるコンピュータシステム、コンピュータシステムにおける命令リトライ方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために本発明は、
基本ソフトウェアが搭載され、該基本ソフトウェアは配下に接続されたユニットに対する命令の実行が失敗したと判断された場合に、該命令をリトライするコンピュータシステムであって、
前記ユニットにて継続動作可能な障害が発生した場合、当該ユニットを識別可能な識別情報に予め対応付けられた復旧処理時間を前記基本ソフトウェアに通知する障害制御ユニットを有し、
前記基本ソフトウェアは、前記復旧処理時間に基づいてリトライする間隔を決定する。
【0015】
また、前記識別情報と前記復旧処理時間との対応付けを予め格納した復旧処理時間テーブルを有し、
前記障害制御ユニットは、前記ユニットにて継続動作可能な障害が発生した場合、前記復旧処理時間テーブルから当該ユニットを識別可能な識別情報に予め対応付けられた復旧処理時間を読み出すことを特徴とする。
【0016】
また、前記ユニットは、前記継続動作可能な障害が発生した場合、その旨を示した情報を前記識別情報とともに当該コンピュータシステムに搭載されたファームウェアに通知し、
前記ファームウェアは、前記識別情報に対応付けられた前記復旧処理時間の読み出しを前記障害制御ユニットに指示することを特徴とする。
【0017】
また、基本ソフトウェアとファームウェアが搭載され、該基本ソフトウェアは配下に接続されたユニットに対する命令の実行が失敗したと判断された場合に、該命令をリトライするコンピュータシステムであって、
前記ユニットにて継続動作可能な障害が発生した場合、当該ユニットを識別可能な識別情報に予め対応付けられた復旧処理時間を前記ファームウェアに通知する障害制御ユニットを有し、
前記ファームウェアは、前記復旧処理時間が経過後、前記リトライを前記基本ソフトウェアに要求する。
【0018】
また、前記識別情報と前記復旧処理時間との対応付けを予め格納した復旧処理時間テーブルを有し、
前記障害制御ユニットは、前記ユニットにて継続動作可能な障害が発生した場合、前記復旧処理時間テーブルから当該ユニットを識別可能な識別情報に予め対応付けられた復旧処理時間を読み出すことを特徴とする。
【0019】
また、前記ユニットは、前記継続動作可能な障害が発生した場合、その旨を示した情報を前記識別情報とともに前記ファームウェアに通知し、
前記ファームウェアは、前記識別情報に対応付けられた前記復旧処理時間の読み出しを前記障害制御ユニットに指示することを特徴とする。
【0020】
また、基本ソフトウェアが搭載され、該基本ソフトウェアは配下に接続されたユニットに対する命令の実行が失敗したと判断された場合に、該命令をリトライするコンピュータシステムにおける命令リトライ方法であって、
前記ユニットにて継続動作可能な障害が発生した場合、当該ユニットを識別可能な識別情報に予め対応付けられた復旧処理時間を前記基本ソフトウェアに通知する処理と、
前記基本ソフトウェアが、前記復旧処理時間に基づいてリトライする間隔を決定する処理とを有する。
【0021】
また、前記ユニットにて継続動作可能な障害が発生した場合、前記識別情報と前記復旧処理時間との対応付けを予め格納した復旧処理時間テーブルから当該ユニットを識別可能な識別情報に予め対応付けられた復旧処理時間を読み出す処理を有することを特徴とする。
【0022】
また、基本ソフトウェアとファームウェアが搭載され、該基本ソフトウェアは配下に接続されたユニットに対する命令の実行が失敗したと判断された場合に、該命令をリトライするコンピュータシステムにおける命令リトライ方法であって、
前記ユニットにて継続動作可能な障害が発生した場合、当該ユニットを識別可能な識別情報に予め対応付けられた復旧処理時間を前記ファームウェアに通知する処理と、
前記ファームウェアが、前記復旧処理時間が経過後、前記リトライを前記基本ソフトウェアに要求する処理とを有する。
【0023】
また、前記ユニットにて継続動作可能な障害が発生した場合、前記識別情報と前記復旧処理時間との対応付けを予め格納した復旧処理時間テーブルから当該ユニットを識別可能な識別情報に予め対応付けられた復旧処理時間を読み出す処理を有することを特徴とする。
【0024】
また、基本ソフトウェアが搭載され、該基本ソフトウェアは配下に接続されたユニットに対する命令の実行が失敗したと判断された場合に、該命令をリトライするコンピュータに、
前記ユニットにて継続動作可能な障害が発生した場合、当該ユニットを識別可能な識別情報に予め対応付けられた復旧処理時間を前記基本ソフトウェアに通知する手順と、
前記復旧処理時間に基づいてリトライする間隔を決定する手順とを実行させる。
【0025】
また、前記ユニットにて継続動作可能な障害が発生した場合、前記識別情報と前記復旧処理時間との対応付けを予め格納した復旧処理時間テーブルから当該ユニットを識別可能な識別情報に予め対応付けられた復旧処理時間を読み出す手順をコンピュータに実行させる。
【0026】
また、基本ソフトウェアとファームウェアが搭載され、該基本ソフトウェアは配下に接続されたユニットに対する命令の実行が失敗したと判断された場合に、該命令をリトライするコンピュータに、
前記ユニットにて継続動作可能な障害が発生した場合、当該ユニットを識別可能な識別情報に予め対応付けられた復旧処理時間を前記ファームウェアに通知する手順と、
前記復旧処理時間が経過後、前記ファームウェアから前記リトライを前記基本ソフトウェアに要求する手順をコンピュータに実行させる。
【0027】
また、前記ユニットにて継続動作可能な障害が発生した場合、前記識別情報と前記復旧処理時間との対応付けを予め格納した復旧処理時間テーブルから当該ユニットを識別可能な識別情報に予め対応付けられた復旧処理時間を読み出す手順をコンピュータに実行させる。
【0028】
上記のように構成された本発明においては、ユニットに対する命令の実行が失敗したと判断された場合に該命令をリトライする基本ソフトウェアが搭載され、ユニットにて継続動作可能な障害が発生した場合、当該ユニットを識別可能な識別情報に予め対応付けられた復旧処理時間が障害制御ユニットから基本ソフトウェアに通知され、基本ソフトウェアにて通知された復旧処理時間に基づいてリトライする間隔が決定される。
【0029】
これにより、リトライ命令の多発による装置の負荷の増加を防ぐことができ、それにより、2次障害を誘発することが抑えることができる。また、ハードウェアを更新する度に基本ソフトウェアを修正するという必要が無くなる。
【発明の効果】
【0030】
以上説明したように本発明においては、ユニットに対する命令の実行が失敗したと判断された場合に該命令をリトライする基本ソフトウェアが搭載され、ユニットにて継続動作可能な障害が発生した場合、当該ユニットを識別可能な識別情報に予め対応付けられた復旧処理時間を障害制御ユニットから基本ソフトウェアに通知し、基本ソフトウェアにて通知された復旧処理時間に基づいてリトライする間隔を決定する構成としたため、各ユニットに最適なリトライ間隔を設定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0032】
図1は、本発明のコンピュータシステムの実施の一形態を示す図である。
【0033】
本形態は図1に示すように、OS101と、FW102と、プロセッサ103と、チップセット104と、ユニット105−1〜105−3と、障害制御ユニット106と、復旧処理時間テーブル107とから構成されている。
【0034】
OS101は、本コンピュータシステム全体を管理する基本ソフトウェアである。
【0035】
FW102は、ユニット105−1〜105−3等のハードウェアの基本制御を行うプロセッサ103上で動作するファームウェアである。
【0036】
プロセッサ103は、本コンピュータシステム全体を制御するCPUである。
【0037】
チップセット104は、プロセッサ103の周辺回路が搭載されたチップ群であり、配下のユニット105−1〜105−3と接続されている。
【0038】
ユニット105−1〜105−3は、チップセット104に接続された処理装置であり、OS101からの指示により本コンピュータシステムから切り離すことが可能なものである。また、継続動作可能な障害(以下、動作可障害と称する)が発生した場合、動作可障害が発生した旨を示す情報を障害制御ユニット106へ送信する。この情報には少なくとも、ユニット105−1〜105−3に固有に予め付与された識別情報が含まれる。また、チップセット104とユニット105−1〜105−3との接続は1対1(それぞれの個別線)で示しているが、チップセット104をマスターとしたバス構成を用いて接続されるものであってもかまわない。
【0039】
復旧処理時間テーブル107には、ユニット105−1〜105−3に動作可障害が発生した場合の動作可障害発生から復旧するまでの時間である復旧処理時間が、ユニット105−1〜105−3毎に対応付けられて格納されている。この復旧処理時間テーブル107は、ハードウェア回路で実現されるレジスタであっても良いし、メモリデバイスであっても良い。
【0040】
図2は、図1に示した復旧処理時間テーブル107に格納された情報の一例を示す図である。
【0041】
図1に示した復旧処理時間テーブル107には図2に示すように、ユニット105−1〜105−3にそれぞれ固有に付与された識別情報と、ユニット105−1〜105−3に動作可障害が発生した場合の動作可障害発生から復旧するまでの時間である復旧処理時間とがそれぞれ対応付けられて格納されている。ここで、ユニット105−1には「A001」の識別情報が、またユニット105−2には「A002」の識別情報が、またユニット105−3には「A003」の識別情報が、それぞれ予め付与されている。例えば、識別情報「A001」と、復旧処理時間「300マイクロ秒」とが対応付けられて格納されている。これは、識別情報が「A001」であるユニット105−1に動作可障害が発生した場合、当該動作可障害が発生してから復旧処理を行うことにより復旧するまでにかかる時間が「300マイクロ秒」であることを示す。また、識別情報「A002」と、復旧処理時間「200マイクロ秒」とが対応付けられて格納されている。これは、識別情報が「A002」であるユニット105−2に動作可障害が発生した場合、当該動作可障害が発生してから復旧処理を行うことにより復旧するまでにかかる時間が「200マイクロ秒」であることを示す。また、識別情報「A003」と、復旧処理時間「400マイクロ秒」とが対応付けられて格納されている。これは、識別情報が「A003」であるユニット105−3に動作可障害が発生した場合、当該動作可障害が発生してから復旧処理を行うことにより復旧するまでにかかる時間が「400マイクロ秒」であることを示す。また、復旧処理時間テーブル107には、上述した識別情報及び復旧処理時間以外の情報が格納されているものであっても良い。
【0042】
障害制御ユニット106は、チップセット104及びユニット105−1〜105−3と接続され、ユニット105−1〜105−3の識別情報に基づいて復旧処理時間テーブル107に格納されている復旧処理時間を読み出す。また、ユニット105−1〜105−3と障害制御ユニット106との接続は1対1(それぞれの個別線)で示しているが、障害制御ユニット106をマスターとしたバス構成を用いて接続されるものであってもかまわない。
【0043】
また、ユニット105−1〜105−3の数が3つの場合を例に挙げたが、この数については3つに限定しない。また、ユニット105−1〜105−3や、障害制御ユニット106にチップセット104が含まれているものであっても良い。また、ユニット105−1〜105−3に障害制御ユニット106が含まれているものであっても良い。
【0044】
以下に、図1に示したコンピュータシステムにおける命令リトライ方法についてフローチャートを用いて説明する。
【0045】
図3は、図1に示したコンピュータシステムにおける命令リトライ方法の一例を説明するためのフローチャートである。ここでは、ユニット105−1に動作可障害が発生した場合を例に挙げて説明する。
【0046】
ユニット105−1に動作可障害が発生すると(ステップS1)、動作可障害が発生した旨がFW102に通知される。この通知方法については、一般的な割り込み通知や例外報告を用いるもので良く、ここでは特に限定しない。
【0047】
ユニット105−1にて動作可障害が発生したことがFW102にて認識されると、FW102から障害制御ユニット106に復旧処理時間テーブル107からユニット105−1の復旧処理時間情報の読み出しが指示される。そして、障害制御ユニット106によって復旧処理時間テーブル107からユニット105−1の復旧処理時間である復旧処理時間情報が読み出される(ステップS2)。図2に示した対応付けを例に挙げると、「300マイクロ秒」が読み出される。
【0048】
このとき、FW102から障害制御ユニット106へユニット105−1〜105−3のいずれかで動作可障害が発生した旨が通知され、ユニット105−1〜105−3のいずれかで動作可障害が発生した旨が通知された障害発生ユニット106からユニット105−1〜105−3の状態が確認されるものであっても良い。これにより、どのユニット105−1〜105−3にて動作可障害が発生したかが障害制御ユニット106にて判断される。ユニット105−1〜105−3の状態の確認方法としては、ユニット105−1〜105−3が有するメモリやレジスタの1ビットに動作可障害が発生したかどうかを示す状態フラグを予め設定し、そのフラグを障害制御ユニット106が予め設定された周期で周期的にリードするものが挙げられる。このようにして、障害制御ユニット106にて動作可障害が発生したユニット105−1が認識され、復旧処理時間テーブル107からユニット105−1の復旧処理時間である復旧処理時間情報が読み出されるものであっても良い。
【0049】
障害制御ユニット106によって読み出されたユニット105−1の復旧処理時間情報は、FW102に通知される。
【0050】
その後、FW102からOS101へユニット105−1においては命令が実行できない旨がリプライとしてコンディションコードや例外報告を用いて通知される。この通知はリトライ要求となる。そのとき、ユニット105−1の復旧処理時間情報も通知される(ステップS3)。
【0051】
ユニット105−1の復旧処理時間情報が通知されたOS101にて、通知された復旧処理時間情報に基づいてリトライ間隔が決定される(ステップS4)。これは、通知された復旧処理時間がそのままリトライ間隔とされても良いし、復旧処理時間に所定の時間が加算された時間がリトライ間隔とされても良い。
【0052】
その後、決定されたリトライ間隔でユニット105−1へ命令がリトライされる(ステップS5)。
【0053】
また、上述したFW102の処理がチップセット104にて行われるものであっても良い。
【0054】
図4は、図1に示したコンピュータシステムにおける命令リトライ方法の他の例を説明するためのフローチャートである。ここでは、図3のフローチャートを用いて説明した命令リトライ方法と同様に、ユニット105−1に動作可障害が発生した場合を例に挙げて説明する。
【0055】
ユニット105−1に動作可障害が発生すると(ステップS11)、動作可障害が発生した旨がFW102に通知される。この通知方法については、一般的な割り込み通知や例外報告を用いるもので良く、ここでは特に限定しない。
【0056】
ユニット105−1にて動作可障害が発生したことがFW102にて認識されると、FW102から障害制御ユニット106に復旧処理時間テーブル107からユニット105−1の復旧処理時間情報の読み出しが指示される。そして、障害制御ユニット106によって復旧処理時間テーブル107からユニット105−1の復旧処理時間である復旧処理時間情報が読み出される(ステップS12)。図2に示した対応付けを例に挙げると、「300マイクロ秒」が読み出される。
【0057】
このとき、FW102から障害制御ユニット106へユニット105−1〜105−3のいずれかで動作可障害が発生した旨が通知され、ユニット105−1〜105−3のいずれかで動作可障害が発生した旨が通知された障害発生ユニット106からユニット105−1〜105−3の状態が確認されるものであっても良い。これにより、どのユニット105−1〜105−3にて動作可障害が発生したかが障害制御ユニット106にて判断される。ユニット105−1〜105−3の状態の確認方法としては、ユニット105−1〜105−3が有するメモリやレジスタの1ビットに動作可障害が発生したかどうかを示す状態フラグを予め設定し、そのフラグを障害制御ユニット106が予め設定された周期で周期的にリードするものが挙げられる。このようにして、障害制御ユニット106にて動作可障害が発生したユニット105−1が認識され、復旧処理時間テーブル107からユニット105−1の復旧処理時間である復旧処理時間情報が読み出されるものであっても良い。
【0058】
障害制御ユニット106によって読み出されたユニット105−1の復旧処理時間情報は、FW102に通知される。
【0059】
FW102にユニット105−1の復旧処理時間情報が通知されると、FW102が有する減算タイマ(不図示)に300マイクロ秒がセットされ(ステップS13)、カウント(減算)が開始される。この減算タイマは、FW102のプログラムで組まれたものであり、プロセッサ103やチップセット104のハードウェアから供給されるクロックを用いて動作するものである。
【0060】
その後、減算タイマが「0」になったと判断されたとき(ステップS14)、FW102からOS101へリトライが要求される(ステップS15)。これは、FW102からOS101へユニット105−1においては命令が実行できない旨がリプライとしてコンディションコードや例外報告を用いて通知されるものである。
【0061】
そして、OS101からユニット105−1へ命令がリトライされる(ステップS16)。
【0062】
ここで、300マイクロ秒をカウントするために減算タイマを用いるものではなく、加算タイマを用いるものであっても良い。この場合、FW102にユニット105−1の復旧処理時間情報が通知されると、加算タイマが起動し、加算タイマが300マイクロ秒になったかどうかが判断される。そして、加算タイマが300マイクロ秒になったと判断されたとき、FW102からOS101へリトライが要求されるものとなる。また、一般的なタイマ(時計)を用いるものであっても良い。この場合、FW102にユニット105−1の復旧処理時間情報が通知されると、その時刻から300マイクロ秒経過したときにFW102からOS101へリトライが要求されるものとなる。
【0063】
また、上述したFW102の処理がチップセット104にて行われるものであっても良い。
【0064】
以上により、動作可障害発生時のリトライ命令が多発しないため、装置の負荷の増加を防ぐことができる。また、それにより、2次障害を誘発することが抑えることができる。また、OS101はハードウェアによらずリトライ間隔を最適に設定することができるため、ハードウェアを更新する度にOSを修正するという必要が無くなる。
【0065】
なお、本発明においては、上述したFW102の処理を実現するためのプログラムをプロセッサ103にて読取可能な記録媒体に記録し、この記録媒体に記録されたプログラムをプロセッサ103に読み込ませ、実行するものであっても良い。プロセッサ103にて読取可能な記録媒体とは、フロッピーディスク(登録商標)、光磁気ディスク、DVD、CDなどの移設可能な記録媒体の他、プロセッサ103やチップセット104に内蔵されたHDD等を指す。この記録媒体に記録されたプログラムは、例えば、プロセッサ103にて読み込まれ、プロセッサ103の制御によって、上述したものと同様の処理が行われる。ここで、OS101、FW102、プロセッサ103及びチップセット104の組み合わせは、プログラムが記録された記録媒体から読み込まれたプログラムを実行するコンピュータとして動作するものである。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明のコンピュータシステムの実施の一形態を示す図である。
【図2】図1に示した復旧処理時間テーブルに格納された情報の一例を示す図である。
【図3】図1に示したコンピュータシステムにおける命令リトライ方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【図4】図1に示したコンピュータシステムにおける命令リトライ方法の他の例を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0067】
101 OS
102 FW
103 プロセッサ
104 チップセット
105−1〜105−3 ユニット
106 障害制御ユニット
107 復旧処理時間テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基本ソフトウェアが搭載され、該基本ソフトウェアは配下に接続されたユニットに対する命令の実行が失敗したと判断された場合に、該命令をリトライするコンピュータシステムであって、
前記ユニットにて継続動作可能な障害が発生した場合、当該ユニットを識別可能な識別情報に予め対応付けられた復旧処理時間を前記基本ソフトウェアに通知する障害制御ユニットを有し、
前記基本ソフトウェアは、前記復旧処理時間に基づいてリトライする間隔を決定するコンピュータシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のコンピュータシステムにおいて、
前記識別情報と前記復旧処理時間との対応付けを予め格納した復旧処理時間テーブルを有し、
前記障害制御ユニットは、前記ユニットにて継続動作可能な障害が発生した場合、前記復旧処理時間テーブルから当該ユニットを識別可能な識別情報に予め対応付けられた復旧処理時間を読み出すことを特徴とするコンピュータシステム。
【請求項3】
請求項2に記載のコンピュータシステムにおいて、
前記ユニットは、前記継続動作可能な障害が発生した場合、その旨を示した情報を前記識別情報とともに当該コンピュータシステムに搭載されたファームウェアに通知し、
前記ファームウェアは、前記識別情報に対応付けられた前記復旧処理時間の読み出しを前記障害制御ユニットに指示することを特徴とするコンピュータシステム。
【請求項4】
基本ソフトウェアとファームウェアが搭載され、該基本ソフトウェアは配下に接続されたユニットに対する命令の実行が失敗したと判断された場合に、該命令をリトライするコンピュータシステムであって、
前記ユニットにて継続動作可能な障害が発生した場合、当該ユニットを識別可能な識別情報に予め対応付けられた復旧処理時間を前記ファームウェアに通知する障害制御ユニットを有し、
前記ファームウェアは、前記復旧処理時間が経過後、前記リトライを前記基本ソフトウェアに要求するコンピュータシステム。
【請求項5】
請求項4に記載のコンピュータシステムにおいて、
前記識別情報と前記復旧処理時間との対応付けを予め格納した復旧処理時間テーブルを有し、
前記障害制御ユニットは、前記ユニットにて継続動作可能な障害が発生した場合、前記復旧処理時間テーブルから当該ユニットを識別可能な識別情報に予め対応付けられた復旧処理時間を読み出すことを特徴とするコンピュータシステム。
【請求項6】
請求項5に記載のコンピュータシステムにおいて、
前記ユニットは、前記継続動作可能な障害が発生した場合、その旨を示した情報を前記識別情報とともに前記ファームウェアに通知し、
前記ファームウェアは、前記識別情報に対応付けられた前記復旧処理時間の読み出しを前記障害制御ユニットに指示することを特徴とするコンピュータシステム。
【請求項7】
基本ソフトウェアが搭載され、該基本ソフトウェアは配下に接続されたユニットに対する命令の実行が失敗したと判断された場合に、該命令をリトライするコンピュータシステムにおける命令リトライ方法であって、
前記ユニットにて継続動作可能な障害が発生した場合、当該ユニットを識別可能な識別情報に予め対応付けられた復旧処理時間を前記基本ソフトウェアに通知する処理と、
前記基本ソフトウェアが、前記復旧処理時間に基づいてリトライする間隔を決定する処理とを有する命令リトライ方法。
【請求項8】
請求項7に記載の命令リトライ方法において、
前記ユニットにて継続動作可能な障害が発生した場合、前記識別情報と前記復旧処理時間との対応付けを予め格納した復旧処理時間テーブルから当該ユニットを識別可能な識別情報に予め対応付けられた復旧処理時間を読み出す処理を有することを特徴とする命令リトライ方法。
【請求項9】
基本ソフトウェアとファームウェアが搭載され、該基本ソフトウェアは配下に接続されたユニットに対する命令の実行が失敗したと判断された場合に、該命令をリトライするコンピュータシステムにおける命令リトライ方法であって、
前記ユニットにて継続動作可能な障害が発生した場合、当該ユニットを識別可能な識別情報に予め対応付けられた復旧処理時間を前記ファームウェアに通知する処理と、
前記ファームウェアが、前記復旧処理時間が経過後、前記リトライを前記基本ソフトウェアに要求する処理とを有する命令リトライ方法。
【請求項10】
請求項9に記載の命令リトライ方法において、
前記ユニットにて継続動作可能な障害が発生した場合、前記識別情報と前記復旧処理時間との対応付けを予め格納した復旧処理時間テーブルから当該ユニットを識別可能な識別情報に予め対応付けられた復旧処理時間を読み出す処理を有することを特徴とする命令リトライ方法。
【請求項11】
基本ソフトウェアが搭載され、該基本ソフトウェアは配下に接続されたユニットに対する命令の実行が失敗したと判断された場合に、該命令をリトライするコンピュータに、
前記ユニットにて継続動作可能な障害が発生した場合、当該ユニットを識別可能な識別情報に予め対応付けられた復旧処理時間を前記基本ソフトウェアに通知する手順と、
前記復旧処理時間に基づいてリトライする間隔を決定する手順とを実行させるプログラム。
【請求項12】
請求項11に記載のプログラムにおいて、
前記ユニットにて継続動作可能な障害が発生した場合、前記識別情報と前記復旧処理時間との対応付けを予め格納した復旧処理時間テーブルから当該ユニットを識別可能な識別情報に予め対応付けられた復旧処理時間を読み出す手順をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項13】
基本ソフトウェアとファームウェアが搭載され、該基本ソフトウェアは配下に接続されたユニットに対する命令の実行が失敗したと判断された場合に、該命令をリトライするコンピュータに、
前記ユニットにて継続動作可能な障害が発生した場合、当該ユニットを識別可能な識別情報に予め対応付けられた復旧処理時間を前記ファームウェアに通知する手順と、
前記復旧処理時間が経過後、前記ファームウェアから前記リトライを前記基本ソフトウェアに要求する手順をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項14】
請求項13に記載のプログラムにおいて、
前記ユニットにて継続動作可能な障害が発生した場合、前記識別情報と前記復旧処理時間との対応付けを予め格納した復旧処理時間テーブルから当該ユニットを識別可能な識別情報に予め対応付けられた復旧処理時間を読み出す手順をコンピュータに実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−186352(P2008−186352A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−20938(P2007−20938)
【出願日】平成19年1月31日(2007.1.31)
【出願人】(000168285)エヌイーシーコンピュータテクノ株式会社 (572)
【Fターム(参考)】