説明

コンピュータ装置、情報収集方法及び情報収集プログラム

【課題】解析対象のコンピュータ装置内において収集される動的相互依存性情報のデータ量を削減することができるコンピュータ装置を提供する。
【解決手段】システムの更新の影響を解析するために、相互依存性情報を記憶する情報記憶手段と、コンピュータ装置が稼働中である所定の時間内において、相互依存性情報を検出し、検出した相互依存性情報を情報記憶手段に記憶する情報検出手段とを備え、動的に相互依存性情報を収集するコンピュータ装置であって、情報検出手段は、新たに検出された相互依存性情報と完全一致する相互依存性情報が既に情報記憶手段に記憶されている場合に、新たに検出した相互依存性情報を情報記憶手段に記憶しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータ装置、情報収集方法及び情報収集プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
企業等に設置される大量のコンピュータ装置(コンピュータ装置)を効率的に運用するために、コンピュータ装置に対するパッチ(OSカーネル、ドライバ、共有ライブラリその他ソフトウェア等の更新ソフトウェア)管理の効率化は重要な課題である。コンピュータ装置のOS(オペレーティング・システム)等のソフトウェアメーカは、定期的に自社製品向けにパッチをリリースしている。コンピュータ装置の運用者は、ソフトウェアメーカがリリースするパッチについて、管理対象の各コンピュータ装置における必要性と、適用影響や副次影響を事前に解析し、適用可否や適用時期を判断する必要があるため、これまで、このような解析・判断に要する工数が運用管理の現場で課題となっている。
【0003】
このような問題を解決するために、従来からパッチの影響の解析作業を半自動化し運用者を支援する影響解析ソフトウェアが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。特に動的相互依存性解析も含めた高度な影響解析を実現するソフトウェアが提供され始めており、その解析範囲の広さから今後有望な手段である。ここで動的相互依存性解析とは、管理対象コンピュータ装置上で動作するソフトウェアが稼働中において実際に操作したファイル、呼び出したライブラリ等を特定する情報(以下、動的相互依存性情報という)を抽出し、この抽出した動的相互依存性情報に基づいて、特定のパッチが管理対象コンピュータ装置に与える影響を解析する手法である。尚、相互依存性情報には前記動的相互依存性情報の他、運用者やソフトウェアメーカが作成する静的な相互依存性情報がある。
【0004】
図5に示すように、従来の相互依存性解析作業は、パッチ影響解析の対象となるコンピュータ装置(解析対象のコンピュータ装置)内に、パッチ影響解析に必要な情報(動的相互依存性情報)を収集するデータコレクタ(以下、DCという)と呼ばれるソフトウェアをインストールしておき、各解析対象のコンピュータ装置が使用されている時に、DCが動的相互依存性情報を収集する。そして、所定のタイミングにおいて、収集した動的相互依存性情報を影響解析サーバへ送信する。これを受けて、影響解析サーバ上の影響解析マネージャは、多数の解析対象のコンピュータ装置から、動的相互依存性情報を受信し、適用しようとするパッチの影響度を解析して表示する。このとき、運用者はDCに対して必要な設定情報(情報収集の開始・終了時間等)を指定し、影響解析サーバから解析対象のコンピュータ装置に対してこのDCを遠隔操作でインストールするのが一般的である。
【非特許文献1】John Dunagan, et al.,“Towards a self-managing software patching process using black-box persistent-state manifests,” MSR-TR-2004-23, ftp://ftp.research.microsoft.com/pub/tr/TR-2004-23.pdf, March 2004.
【非特許文献2】“Windows Application Compatibility," http://technet.microsoft.com/en-us/desktopdeployment/bb414773.aspx, March 2004.「Windows」は登録商標。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、動的依存性解析を可能とした影響解析を大量の台数のコンピュータ装置の更新作業に適用する場合、詳細かつ包括的な動的相互依存性情報の収集を図るほど、多量のデータを解析対象のコンピュータ装置上に一時的蓄積した後に影響解析マネージャ側に転送する必要がある。従って、解析対象のコンピュータ装置や影響解析マネージャのメモリ、CPU負荷、ストレージ容量、解析対象のコンピュータ装置と影響解析マネージャとの間のネットワーク通信帯域が多く消費されてしまうという問題がある。このため解析対象のコンピュータ装置上のDC以外のソフトウェアプログラムの動作速度、通信速度、安定性の低下、および影響解析マネージャの収容可能な解析対象のコンピュータ装置の台数低下といった影響を生じるという問題がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、解析対象のコンピュータ装置内において収集される動的相互依存性情報のデータ量を削減することができるコンピュータ装置、情報収集方法及び情報収集プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、システムの更新の影響を解析するために、相互依存性情報を記憶する情報記憶手段と、コンピュータ装置が稼働中である所定の時間内において、前記相互依存性情報を検出し、検出した前記相互依存性情報を前記情報記憶手段に記憶する情報検出手段とを備え、動的に相互依存性情報を収集するコンピュータ装置であって、前記情報検出手段は、新たに検出された前記相互依存性情報と完全一致する前記相互依存性情報が既に前記情報記憶手段に記憶されている場合に、新たに検出した前記相互依存性情報を前記情報記憶手段に記憶しないことを特徴とする。
【0008】
本発明は、システムの更新の影響を解析するために、相互依存性情報を記憶する情報記憶手段と、前記コンピュータ装置が稼働中である所定の時間内において、前記相互依存性情報を検出し、検出した前記相互依存性情報を前記情報記憶手段に記憶する情報検出手段とを備え、動的に相互依存性情報を収集するコンピュータ装置であって、所定の相互依存性情報が予め記憶されたフィルタ情報記憶手段をさらに備え、前記情報検出手段は、新たに検出された前記相互依存性情報と完全一致する前記相互依存性が前記フィルタ情報記憶手段に記憶されている場合は、新たに検出した前記相互依存性情報を前記情報記憶手段に記憶しないことを特徴とする。
【0009】
本発明は、前記システムの更新は、新規ソフトウェアのインストール、インストール済みのソフトウェアの更新、新たなハードウェア機器のネットワーク接続、ネットワーク接続されているハードウェア機器の更新及び前記コンピュータ装置を動作させるために内部に保持している情報の更新のいずれかであることを特徴とする。
【0010】
本発明は、システムの更新の影響を解析するために、相互依存性情報を記憶する情報記憶手段と、コンピュータ装置が稼働中である所定の時間内において、前記相互依存性情報を検出し、検出した前記相互依存性情報を前記情報記憶手段に記憶する情報検出手段とを備え、動的に相互依存性情報を収集する前記コンピュータ装置における情報収集方法であって、前記情報検出手段は、新たに検出された前記相互依存性情報と完全一致する前記相互依存性が既に前記情報記憶手段に記憶されている場合に、新たに検出した前記相互依存性情報を前記情報記憶手段に記憶しないことを特徴とする。
【0011】
本発明は、システムの更新の影響を解析するために、相互依存性情報を記憶する情報記憶手段と、コンピュータ装置が稼働中である所定の時間内において、前記相互依存性情報を検出し、検出した前記相互依存性情報を前記情報記憶手段に記憶する情報検出手段とを備え、動的に相互依存性情報を収集する前記コンピュータ装置における情報収集方法であって、前記コンピュータ装置は、所定の相互依存性情報が予め記憶されたフィルタ情報記憶手段をさらに備え、前記情報検出手段は、新たに検出された前記相互依存性情報と完全一致する前記相互依存性が前記フィルタ情報記憶手段に記憶されている場合は、新たに検出した前記相互依存性情報を前記情報記憶手段に記憶しないことを特徴とする。
【0012】
本発明は、前記システムの更新は、新規ソフトウェアのインストール、インストール済みのソフトウェアの更新、新たなハードウェア機器のネットワーク接続、ネットワーク接続されているハードウェア機器の更新及び前記コンピュータ装置を動作させるために内部に保持している情報の更新のいずれかであることを特徴とする。
【0013】
本発明は、システムの更新の影響を解析するために、動的に相互依存性情報を収集した相互依存性情報を記憶する情報記憶手段を備えるコンピュータ装置において、前記コンピュータ装置が稼働中である所定の時間内において、前記相互依存性情報を検出し、検出した前記相互依存性情報を前記情報記憶手段に記憶する情報検出ステップをコンピュータに行わせる情報収集プログラムであって、前記情報検出ステップは、新たに検出された前記相互依存性情報と完全一致する前記相互依存性が既に前記情報記憶手段に記憶されている場合に、新たに検出した前記相互依存性情報を前記情報記憶手段に記憶しないことを特徴とする。
【0014】
本発明は、システムの更新の影響を解析するために、動的に相互依存性情報を収集した相互依存性情報を記憶する情報記憶手段を備えるコンピュータ装置において、前記コンピュータ装置が稼働中である所定の時間内において、前記相互依存性情報を検出し、検出した前記相互依存性情報を前記情報記憶手段に記憶する情報検出ステップをコンピュータに行わせる情報収集プログラムであって、前記コンピュータ装置は、所定の相互依存性情報が予め記憶されたフィルタ情報記憶手段をさらに備え、前記情報検出ステップは、新たに検出された前記相互依存性情報と完全一致する前記相互依存性が前記フィルタ情報記憶手段に記憶されている場合は、新たに検出した前記相互依存性情報を前記情報記憶手段に記憶しないことを特徴とする。
【0015】
本発明は、前記システムの更新は、新規ソフトウェアのインストール、インストール済みのソフトウェアの更新、新たなハードウェア機器のネットワーク接続、ネットワーク接続されているハードウェア機器の更新及び前記コンピュータ装置を動作させるために内部に保持している情報の更新のいずれかであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、運用者は大量の管理対象コンピュータ装置に対し、ネットワークの帯域や管理対象コンピュータ装置のストレージに過剰負荷を及ぼすことなく、OSカーネル、ドライバ、共有ライブラリ、ソフトウェアプログラム、およびそれらの設定ファイル等の動的相互依存性情報の検出が可能になるという効果が得られる。これにより、OSカーネル、ドライバ、共有ライブラリ、ソフトウェアプログラム等の更新作業を、安全かつ省力に行うことができる。また、動的相互依存性情報を管理するマネージャ側のコンピュータ装置においては、収集されるデータ量が削減されるため、動的相互依存性情報を利用した安全かつ省力な更新作業を導入する場合に、導入コストを削減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態によるコンピュータ装置を図面を参照して説明する。図1は同実施形態の構成を示すブロック図である。この図において、符号1は、コンピュータ装置の更新作業の影響を解析する影響解析装置であり、影響解析マネージャが動作する影響解析サーバ11を備えている。符号12は、キーボードやマウス等で構成する入力部である。符号13は、ディスプレイ装置で構成する表示部である。符号14は、ハードディスク等で構成し、相互依存性情報を記憶する相互依存性情報記憶部である。
【0018】
符号2は、システム更新の影響を解析する対象のコンピュータ装置である。コンピュータ装置2は、コンピュータネットワークNを介して、影響解析サーバ11と情報通信が可能である。コンピュータネットワークNには、複数のコンピュータ装置2が接続される。コンピュータネットワークNにはまた、ネットワークプリンタやネットワークスキャナのようなハードウェア装置が接続されることも可能である。符号21は、コンピュータ装置2のCPU(Central Processing Unit)である。符号22は、CPU21を動作させるプログラム等を記憶するRAM(Random Access Memory)である。符号23は、コンピュータ装置2内にインストールされて、実行可能な状態になっているDC(データコレクタ)であり、起動するとRAM22にロードされる。符号24は、ハードディスク等で構成し、相互依存性情報を記憶する相互依存性情報記憶部である。
【0019】
なお、システム更新とは、コンピュータ装置2に対し新規ソフトウェアのインストールを行うこと、コンピュータ装置2内にインストール済みのソフトウェアの更新を行うこと、コンピュータネットワークNに新たなハードウェア機器や他のコンピュータ装置を接続すること、コンピュータネットワークNに既に接続されているハードウェア機器や他のコンピュータ装置を取り外すこと、及びコンピュータ装置2を動作させるために内部に保持している情報の更新を行うことなどである。
【0020】
次に、図2を参照して、図1示すコンピュータ装置2が相互依存性情報を動的に収集する動作を説明する。図2は、図1示すコンピュータ装置2が相互依存性情報を動的に収集する動作を示すフローチャートである。
【0021】
まず運用者は、入力部12を操作して、各コンピュータ装置2にインストールするDC(データコレクタ)に対して、使用する検索アルゴリズムと、フィルタ情報と、情報収集時間とを設定する。検索アルゴリズムは、既に記憶されている相互依存性情報の中から、新たに検出された相互依存性情報と完全に一致する情報を検索する場合に用いる検索アルゴリズムであり、例えば、順次検索、バイナリツリー検索、ハッシュテーブル検索等の中から一つを選択して設定する。フィルタ情報は、影響解析対象のシステム更新を行った場合に、DCによって検出されることが予め判明している相互依存性情報を定義しておくものであり、このフィルタ情報に定義された相互依存性情報を収集しないようにするものである。情報収集時間は、コンピュータ装置2内において、相互依存性情報を収集する時間を設定するものであり、例えば、所定時刻から10分間という設定や起動してから30分間という設定を行うものである。
【0022】
次に、運用者は、影響解析サーバ11から、使用する検索アルゴリズムと、フィルタ情報と、情報収集時間が設定されたDCをコンピュータネットワークNに接続されている全てのコンピュータ装置2に遠隔操作によってインストールするともに、インストールしたDCを起動させる。なお、インストールされたDCは、各コンピュータ装置2が起動された場合に、同時に起動されるように設定してもよい。
【0023】
DC23がRAM22内にロードされる(起動される)と、DC23は、相互依存性情報収集の開始からの経過時間を参照して(ステップS1)、終了時間になったか否かを判定する(ステップS2)。この判定の結果、終了時間になっていなければ、DC23は、相互依存性情報の検出を行う(ステップS3)。そして、DC23は、相互依存性情報が検出されたか否かを判定する。この判定の結果、相互依存性情報が検出されなかった場合は、ステップS1に戻る。一方、相互依存性情報が検出された場合、DC23は、自己内に設定されているフィルタ情報内を検索し(ステップS5)、新たに検出された相互依存性情報が完全一致する情報が定義されているか否かを判定する(ステップS6)。この検索の結果、新たに検出された相互依存性情報と完全一致する情報がフィルタ情報内に定義されていれば、新たに検出された相互依存性情報を相互依存性情報記憶部24に記憶することなくステップS1へ戻る。これにより、フィルタ情報内に定義されている相互依存性情報が検出された場合は、新たに検出された相互依存性情報を相互依存性情報記憶部24に記憶しない。
【0024】
次に、新たに検出された相互依存性情報と完全に一致する情報が、フィルタ情報内に定義されていない場合、DC23は、相互依存性情報記憶部24内を検索し(ステップS7)、新たに検出された相互依存性情報が完全一致する情報が記憶されているか否かを判定する(ステップS8)。この検索の結果、新たに検出された相互依存性情報が既に相互依存性情報記憶部24内に記憶されていれば、新たに検出された相互依存性情報を相互依存性情報記憶部24に記憶することなくステップS1へ戻る。これにより、既に相互依存性情報記憶部24内に記憶されている情報と完全一致する相互依存性情報が検出された場合は、新たに検出された相互依存性情報を相互依存性情報記憶部24に記憶しない。一方、新たに検出された相互依存性情報が、相互依存性情報記憶部24内に記憶されていなければ、新たに検出された相互依存性情報を相互依存性情報記憶部24に記憶し(ステップS9)、ステップS1へ戻る。
【0025】
次に、DC23は、ステップS2において、終了時間になっていれば、相互依存性情報記憶部24に記憶されている情報を影響解析サーバ11へ送信する(ステップS10)。これを受けて、影響解析サーバ11は、この相互依存性情報を受信し、コンピュータ装置2を識別する識別情報と受信した相互依存性情報とを関係付けて相互依存性情報記憶部14へ記憶する。そして、影響解析サーバ11は、相互依存性情報記憶部14に記憶されている情報を参照して、各コンピュータ装置2毎にシステム更新の影響を解析して、この解析結果を表示部13に表示する。影響解析サーバ11が行う影響解析処理は、公知の方法を用いるため、ここでは詳細な処理動作の説明を省略する。
【0026】
次に、図3、図4を参照して、図2に示す処理動作を具体例を挙げて説明する。図3(A)は、相互依存性情報記憶部24のテーブル構造を示す図である。図3において、「key1」は解析対象のコンピュータ装置2上のソフトウェアプログラム名、「key2」は「key1」のソフトウェアプログラムがアクセスしたファイル名、「rowid」は各相互依存性情報の識別番号である。
【0027】
図3(A)に示す状態から、さらにDC23が相互依存性情報(図3(B)を検出したとする。DC23は、相互依存性情報記憶部24内を検索して、新たに検出された相互依存性情報が、相互依存性情報記憶部24に記憶されている情報と完全一致するか否かを判定する。このとき、DC23は、予め設定されている検索アルゴリズムを用いて、新たに検出された相互依存性情報が、相互依存性情報記憶部24に記憶されている情報と完全一致するか否かを判定するための検索を行う。
【0028】
例えば、設定されている検索アルゴリズムが順次検索である場合、図4に示す処理動作により検索処理を行う。まず、「key1」を基にソート(並べ替え)しておく。これによって、検索アルゴリズムの検索速度を高めることができる。このソート動作は、相互依存性情報を相互依存性情報記憶部24に新たに記憶する際に毎回行う。そして、「key1」が(/usr/bin/sendmail)である相互依存性情報が既に記憶されているかを相互依存性情報記憶部24内の情報1つ1つと順次比較する。この比較の結果、「key1」が(/usr/bin/sendmail)である情報が見つかる(図4(1))。
【0029】
続いて、DC23は、「key2」が(/etc/aliases)である相互依存性情報が既に記憶されているかを、「key1」が(/usr/bin/sendmail)である識別番号1003、1004、1005の情報1つ1つと順次比較する。この比較の結果、「key2」が(/etc/aliases)である情報が見つかる(図4(2))。これにより、新たに検出した相互依存性情報と完全一致する情報の識別番号1004を得ることができる。
【0030】
次に、DC23は、検索の結果、空でない識別番号(rowid)が得られた場合、すなわち完全一致する情報が検出された場合、新たに検出された相互依存性情報を破棄し、相互依存性情報記憶部24に記憶しない。一方、完全一致する情報が見つからない場合、DC23は、未使用でかつ最小の識別番号(rowid)を新たに検出された相互依存性情報に対して与え、相互依存性情報記憶部24に記憶する。
【0031】
このように、コンピュータ装置2のOSカーネル、ドライバ、共有ライブラリその他ソフトウェアや接続機器の更新作業を行う際、コンピュータネットワークNの帯域やコンピュータ装置2のストレージに過剰負荷を及ぼすことなく、事前にOSカーネル、ドライバ、共有ライブラリ、ソフトウェアプログラム、およびそれらの設定ファイル等の動的な依存関係を把握するための情報収集を迅速かつ確実に行うことで、大量のコンピュータ装置2に対する更新作業の安全性を高め、作業工数を削減することができる。これにより、OSやソフトウェアプログラムの更新管理を省力かつ安全にする効果が期待できる。
【0032】
システムの更新がコンピュータ装置2に与える影響を解析するためには、コンピュータ装置2内において使用されたファイル等を特定することが重要であり、特定のファイルに対する使用頻度の情報は必要がないため、既に相互依存性情報記憶部24内に記憶されている情報と完全に一致する情報が検出された場合は、この新たに検出された情報を記憶することなく、破棄しても影響解析結果においては問題は発生しない。
【0033】
動的な相互依存性情報を収集する場合、コンピュータ装置2が実際に使用されている場合に情報収集する必要があるが、収集時間を短くすれば、収集される情報量を小さくすることができるが、特異な使用時の相互依存性情報が収集される可能性が低くなってしまう。一方、収集時間を長くすると、特異な使用時の相互依存性情報を収集することができるが、収集される情報量が膨大になってしまう。前述したように、完全一致する情報を記憶しないようにすることによって、このような問題を解決することができる。
【0034】
また、対象のシステム更新を行った場合に、DC23によって検出されることが予め判明している相互依存性情報をフィルタ情報として定義しておくことにより、検出されることが予め判明している相互依存性情報を収集しないようにすることができるため、収集される情報量をさらに削減することができる。システムの更新を行う場合、その更新作業が何に対する更新であるかは事前に分かるため、検出されることが予め判明している相互依存性情報を収集する必要はない。コンピュータ装置2に与える影響を解析するには、予想がつかない相互依存性情報を収集することが重要であり、収集時間を長くして、フィルタ情報に定義された相互依存性情報を収集しないようにすることにより、情報量を大きくすることなく、予想がつかない相互依存性情報を収集することが可能となる。
【0035】
なお、図1に示すDC23の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータ装置に読み込ませ、実行することにより情報収集処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータ装置」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ装置」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータ装置に内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータ装置内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0036】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータ装置から、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータ装置に伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータ装置にすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施形態の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示すコンピュータ装置2の動作を示すフローチャートである。
【図3】相互依存性情報を記憶する動作を示す説明図である。
【図4】相互依存性情報を記憶する動作を示す説明図である。
【図5】従来技術による相互依存性情報を収集する動作を示す説明図である。
【符号の説明】
【0038】
1・・・影響解析装置、11・・・影響解析サーバ、12・・・入力部、13・・・表示部、14・・・相互依存性情報記憶部、2・・・コンピュータ装置、21・・・CPU、22・・・RAM、23・・・DC(データコレクタ)、24・・・相互依存性情報記憶部、N・・・ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムの更新の影響を解析するために、相互依存性情報を記憶する情報記憶手段と、コンピュータ装置が稼動中である所定の時間内において、前記相互依存性情報を検出し、検出した前記相互依存性情報を前記情報記憶手段に記憶する情報検出手段とを備え、動的に相互依存性情報を収集するコンピュータ装置であって、
前記情報検出手段は、新たに検出された前記相互依存性情報と完全一致する前記相互依存性情報が既に前記情報記憶手段に記憶されている場合に、新たに検出した前記相互依存性情報を前記情報記憶手段に記憶しないことを特徴とするコンピュータ装置。
【請求項2】
システムの更新の影響を解析するために、相互依存性情報を記憶する情報記憶手段と、前記コンピュータ装置が稼働中である所定の時間内において、前記相互依存性情報を検出し、検出した前記相互依存性情報を前記情報記憶手段に記憶する情報検出手段とを備え、動的に相互依存性情報を収集するコンピュータ装置であって、
所定の相互依存性情報が予め記憶されたフィルタ情報記憶手段をさらに備え、
前記情報検出手段は、新たに検出された前記相互依存性情報と完全一致する前記相互依存性情報が前記フィルタ情報記憶手段に記憶されている場合は、新たに検出した前記相互依存性情報を前記情報記憶手段に記憶しないことを特徴とするコンピュータ装置。
【請求項3】
前記システムの更新は、新規ソフトウェアのインストール、インストール済みのソフトウェアの更新、新たなハードウェア機器やコンピュータ装置のネットワーク接続およびネットワークからの取り外し、ネットワーク接続されているハードウェア機器やコンピュータ装置のシステムの更新、及び前記コンピュータ装置を動作させるために内部に保持している情報の更新のいずれかであることを特徴とする請求項1または2に記載のコンピュータ装置。
【請求項4】
システムの更新の影響を解析するために、相互依存性情報を記憶する情報記憶手段と、コンピュータ装置が稼働中である所定の時間内において、前記相互依存性情報を検出し、検出した前記相互依存性情報を前記情報記憶手段に記憶する情報検出手段とを備え、動的に相互依存性情報を収集する前記コンピュータ装置における情報収集方法であって、
前記情報検出手段は、新たに検出された前記相互依存性情報と完全一致する前記相互依存性情報が既に前記情報記憶手段に記憶されている場合に、新たに検出した前記相互依存性情報を前記情報記憶手段に記憶しないことを特徴とする情報収集方法。
【請求項5】
システムの更新の影響を解析するために、相互依存性情報を記憶する情報記憶手段と、コンピュータ装置が稼働中である所定の時間内において、前記相互依存性情報を検出し、検出した前記相互依存性情報を前記情報記憶手段に記憶する情報検出手段とを備え、動的に相互依存性情報を収集する前記コンピュータ装置における情報収集方法であって、
前記コンピュータ装置は、所定の相互依存性情報が予め記憶されたフィルタ情報記憶手段をさらに備え、
前記情報検出手段は、新たに検出された前記相互依存性情報と完全一致する前記相互依存性が前記フィルタ情報記憶手段に記憶されている場合は、新たに検出した前記相互依存性情報を前記情報記憶手段に記憶しないことを特徴とする情報収集方法。
【請求項6】
前記システムの更新は、新規ソフトウェアのインストール、インストール済みのソフトウェアの更新、新たなハードウェア機器やコンピュータ装置のネットワーク接続およびネットワークからの取り外し、ネットワーク接続されているハードウェア機器やコンピュータ装置のシステムの更新、及び前記コンピュータ装置を動作させるために内部に保持している情報の更新のいずれかであることを特徴とする請求項4または5に記載の情報収集方法。
【請求項7】
システムの更新の影響を解析するために、動的に相互依存性情報を収集した相互依存性情報を記憶する情報記憶手段を備えるコンピュータ装置において、前記コンピュータ装置が稼働中である所定の時間内において、前記相互依存性情報を検出し、検出した前記相互依存性情報を前記情報記憶手段に記憶する情報検出ステップをコンピュータに行わせる情報収集プログラムであって、
前記情報検出ステップは、新たに検出された前記相互依存性情報と完全一致する前記相互依存性が既に前記情報記憶手段に記憶されている場合に、新たに検出した前記相互依存性情報を前記情報記憶手段に記憶しないことを特徴とする情報収集プログラム。
【請求項8】
システムの更新の影響を解析するために、動的に相互依存性情報を収集した相互依存性情報を記憶する情報記憶手段を備えるコンピュータ装置において、前記コンピュータ装置が稼働中である所定の時間内において、前記相互依存性情報を検出し、検出した前記相互依存性情報を前記情報記憶手段に記憶する情報検出ステップをコンピュータに行わせる情報収集プログラムであって、
前記コンピュータ装置は、所定の相互依存性情報が予め記憶されたフィルタ情報記憶手段をさらに備え、
前記情報検出ステップは、新たに検出された前記相互依存性情報と完全一致する前記相互依存性情報が前記フィルタ情報記憶手段に記憶されている場合は、新たに検出した前記相互依存性情報を前記情報記憶手段に記憶しないことを特徴とする情報収集プログラム。
【請求項9】
前記システムの更新は、新規ソフトウェアのインストール、インストール済みのソフトウェアの更新、新たなハードウェア機器やコンピュータ装置のネットワーク接続およびネットワークからの取り外し、ネットワーク接続されているハードウェア機器やコンピュータ装置のシステムの更新、及び前記コンピュータ装置を動作させるために内部に保持している情報の更新のいずれかであることを特徴とする請求項7または8に記載の情報収集プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−152572(P2010−152572A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−328961(P2008−328961)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】