説明

コンベアチェーンの清掃装置

【課題】左右一対のガイドローラがそれぞれのコンベアレールを走行する構成のコンベアチェーンに関して、コンベアチェーンの両側面を一対の回転ブラシで清掃するにあたり、1つの回転駆動源で済み、さらにコンベアレール間の距離寸法やコンベアチェーン自体の幅寸法の仕様変更にも容易に対応可能な清掃装置を提供する。
【解決手段】コンベアチェーン1を左右方向両側から挟み込む一対の回転ブラシ8A、8Bと、各回転ブラシ8A、8Bを軸支し、各コンベアレール4A、4Bにボルト9により着脱自在に取り付けられる一対の支持ブラケット10A、10Bと、回転ブラシ8A、8Bの駆動源11と、各支持ブラケット10A、10Bに取り付けたスプロケット12A、12B間に駆動伝達チェーン13を掛け回した構成からなり、回転ブラシ8A、8Bを同期回転させる駆動機構14と、を備える清掃装置7とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベアチェーンの清掃装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ブラシを用いたコンベアチェーンの清掃装置の従来例として特許文献1、2に記載のものが挙げられる。各特許文献には、ブラシを回転させてコンベアチェーンに付着したゴミ等を除去する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−60133号公報
【特許文献2】特開2001−253532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1、2に記載された清掃装置はコンベアチェーンの一側面のみをブラシで清掃する構造であり、他側面に付着したゴミについては除去しにくいという問題がある。当該問題はコンベアチェーンの両側面にブラシを配設することで容易に解決できるが、その場合、各ブラシ毎に回転駆動源を設けることは不経済であることから、1つの回転駆動源で両ブラシを同期回転させる構造とすることが望ましい。
【0005】
本発明は、アタッチメントに軸支した左右一対のガイドローラがそれぞれのコンベアレールを走行する構成のコンベアチェーンに関して、コンベアチェーンの両側面を一対の回転ブラシで清掃するにあたり、1つの回転駆動源で済み、さらにコンベアレール間の距離寸法やコンベアチェーン自体の幅寸法の仕様変更にも容易に対応可能なコンベアチェーンの清掃装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するため、アタッチメントに軸支した左右一対のガイドローラがそれぞれのコンベアレールを走行する構成のコンベアチェーンに関し、コンベアチェーンを左右方向両側から挟み込む一対の回転ブラシと、各回転ブラシを軸支し、前記各コンベアレールにボルトにより着脱自在に取り付けられる一対の支持ブラケットと、前記回転ブラシの駆動源と、前記各支持ブラケットに取り付けたスプロケット間に駆動伝達チェーンを掛け回した構成からなり、両回転ブラシを同期回転させる駆動機構と、を備える清掃装置からなる。
【0007】
本発明の清掃装置は、コンベアチェーンを一対の回転ブラシで両側から清掃するにあたり、各コンベアレールにそれぞれ支持ブラケットをボルトにより着脱自在に取り付ける構造としたため、コンベアレールのどの延設部位にも迅速かつ容易に清掃装置を装着でき、所望の場所でコンベアチェーンを清掃することができる。
また、コンベアレールと支持ブラケットとの間にスペーサなどを介在させることにより、支持ブラケット同士間の距離、すなわち回転ブラシ間の距離を簡単に調節できるため、コンベアレール間の距離寸法やコンベアチェーン自体の幅寸法の仕様の違いに拘わらず清掃装置を装着できる。
さらに、本発明の清掃装置は1つの駆動源で2つの回転ブラシを同期回転させることが可能であり、同期回転させる駆動機構として各支持ブラケットのスプロケット間に駆動伝達チェーンを掛け回す構成としたため、支持ブラケット同士間の距離が変更になった場合には、駆動伝達チェーンの長さを変更するだけで済み、駆動機構の緻密な調整作業を要しない。
【0008】
また、本発明は、前記駆動源をエアモータとした清掃装置からなる。
【0009】
自動車関連部品の製造工場の作業エリアには圧縮エアの供給口が多数設けられていることが多く、このような場合、駆動源をエアモータから構成することにより、清掃装置の配設位置に拘わらず動力源を容易に確保できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、コンベアチェーンを一対の回転ブラシで両側から清掃するにあたり、各コンベアレールにそれぞれ支持ブラケットをボルトにより着脱自在に取り付ける構造としたため、コンベアレールのどの延設部位にも迅速かつ容易に清掃装置を装着でき、所望の場所でコンベアチェーンを清掃することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係るコンベアチェーンの清掃装置の外観斜視図である。
【図2】本発明に係るコンベアチェーンの清掃装置の正断面図である。
【図3】コンベアレール周りの側断面図である。
【図4】コンベアチェーンおよび回転ブラシの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の清掃対象となるコンベアチェーン1は、図1、図2に示すように、アタッチメント2に軸支した左右一対のガイドローラ3A、3Bがそれぞれのコンベアレール4A、4Bを走行する構成からなる。ここでいう「左右一対のガイドローラ」とは、図2に示すようにコンベアチェーン1を挟んで左右に位置するガイドローラ3A、3Bを意味するものであり、図3のように1つのコンベアレール4A内に位置するガイドローラ3A、3Aを指すものではない。
【0013】
図2において、コンベアチェーン1(上リンクプレート1A)の上面には所定間隔毎に前記アタッチメント2が取り付けられており、アタッチメント2の一側面にガイドローラ3A、3Aが軸支され、他側面にガイドローラ3B、3Bが軸支される。コンベアレール4A、4Bは例えば溝形鋼からなり、各ウェブ4Aa、4Baを鉛直にして互いの開口部が対向するように配設されている。アタッチメント2の上端には、図示しない搬送トロリのドグに係合して搬送パレット等を押圧搬送するためのプッシャ5が形成されている。
【0014】
コンベアチェーン1は、例えば上リンクプレート1A、下リンクプレート1Bとアーム状のセンターリンク1Cとを交互にピン結合した構造からなる。金属摩耗を防止するためにこのコンベアチェーン1には定期的に給油が行われるが、その油によってチェーンの表面にはゴミ等が付着しやすくなり、次回の給油の際にはそのゴミが弊害となってピン結合部の奥に油が浸透しにくくなる。
【0015】
このようなチェーンの表面に付着したゴミ等を効率的に除去するために、本発明に係るコンベアチェーン1の清掃装置7は、コンベアチェーン1を左右方向両側から挟み込む一対の回転ブラシ8A、8Bと、各回転ブラシ8A、8Bを軸支し、各コンベアレール4A、4Bにボルト9により着脱自在に取り付けられる一対の支持ブラケット10A、10Bと、回転ブラシ8A、8Bの駆動源11と、各支持ブラケット10A、10Bに取り付けたスプロケット12A、12B間に駆動伝達チェーン13を掛け回した構成からなり、両回転ブラシ8A、8Bを同期回転させる駆動機構14と、を備える。
【0016】
一方の支持ブラケット10Aは断面コ字形状を呈しており、その開口部がコンベアチェーン1に臨むように位置している。支持ブラケット10Aの上面には、断面L字形状を呈した連結ブラケット15の一面(水平面)が複数の固定ボルト16により締結固定されている。連結ブラケット15の他面(鉛直面)は、コンベアレール4Aのウェブ4Aaの外面に固設してある平板状の取付け座17に複数の六角孔付きのボルト9により着脱自在に取り付けられる。
【0017】
支持ブラケット10Aのコ字形状部の内部空間には、回転ブラシ8Aが鉛直軸周りに回転自在に収装されている。回転ブラシ8Aは、その回転軸18の外周に合成繊維等からなるフィラメントを放射状に植設した構造からなり、略円柱形状を呈している。回転軸18は軸受を介して支持ブラケット10Aに支承される。回転軸18の下端周りは支持ブラケット10Aの下面からさらに下方に延設されており、その延設部は駆動用のスプロケット12Aが軸着されたうえでジョイント19を介して駆動源11の出力軸に連結している。
【0018】
本実施形態では、前記駆動源11を、圧縮エアの供給を受けてその出力軸が回転するエアモータ6から構成している。前記支持ブラケット10Aの下面には駆動源支持ブラケット20が固設されており、エアモータ6はこの駆動源支持ブラケット20に取り付けられている。
【0019】
他方の支持ブラケット10Bも、回転ブラシ8Bの収装周りとコンベアレール4Bに対する取付け周りの構造については一方の支持ブラケット10Aと同様であり、コンベアチェーン1を挟んで支持ブラケット10Aと左右対称となるように位置したコ字形状部の内部空間には、回転ブラシ8Bが鉛直軸周りに回転自在に収装されている。そして、支持ブラケット10Bの上面には、断面L字形状を呈した連結ブラケット15の一面(水平面)が固定ボルト16により締結固定されている。連結ブラケット15の他面(鉛直面)は、コンベアレール4Bのウェブ4Baの外面に固設した取付け座17にボルト9により着脱自在に取り付けられる。
【0020】
支持ブラケット10Bには、回転ブラシ8Bを収装するコ字形状部の下方に別途のコ字形状部が形成されており、この下方のコ字形状部の内部空間には鉛直状の従動軸21が回転自在に収装されている。従動軸21には従動用のスプロケット12Bが軸着されており、このスプロケット12Bと前記スプロケット12Aとの間に駆動伝達チェーン13が掛け回されている。これらスプロケット12A、12B、駆動伝達チェーン13は、回転ブラシ8A、8Bを同期回転させる駆動機構14を構成する。また、回転ブラシ8Bの回転方向の変換機構として、従動軸21には第1ギヤ22が軸着されており、この第1ギヤ22は回転ブラシ8Bの回転軸18の下端に軸着した第2ギヤ23と噛合している。
【0021】
本発明に係る清掃装置7は以上の構成からなり、コンベアチェーン1が走行移動しているときに、エアモータ6に圧縮エアを供給して回転駆動させると、図4に示すように、例えば一方の回転ブラシ8Aは反時計回りに回転し、他方の回転ブラシ8Bは図2に示した駆動機構14および第1ギヤ22、第2ギヤ23の介在により回転ブラシ8Aと同期して時計回りに回転することにより、コンベアチェーン1に付着したゴミ等を両側面から除去する。
【0022】
本発明の清掃装置7は、コンベアチェーン1を一対の回転ブラシ8A、8Bで両側から清掃するにあたり、コンベアレール4A、4Bにそれぞれ支持ブラケット10A、10Bをボルト9により着脱自在に、本実施形態では連結ブラケット15を介してボルト9により着脱自在に取り付ける構造としたため、コンベアレール4A、4Bのどの延設部位にも迅速かつ容易に清掃装置7を装着でき、所望の場所でコンベアチェーン1を清掃することができる。したがって、例えば定期清掃を行うときのみ清掃装置7をコンベアレール4A、4Bに装着し、それ以外はコンベアレール4A、4Bから外しておくという態様の場合でも着脱作業としてさほど手間がかからない。
【0023】
また、コンベアレール4A、4Bと支持ブラケット10A、10Bとの間にスペーサなどを介在させることにより、例えば取付け座17と連結ブラケット15との間に適宜厚さのスペーサを介在させることにより、支持ブラケット10A、10B同士間の距離、すなわち回転ブラシ8A、8B間の距離を簡単に調節できる。したがって、本発明の清掃装置7は、コンベアレール4A、4B間の距離寸法やコンベアチェーン1自体の幅寸法の仕様の違いにも容易に対応可能となる。なお、スペーサを介在させる構造の他、例えば、支持ブラケット10A、10Bと各連結ブラケット15とを長孔を介して固定ボルト16で締結固定し、長孔に対する固定ボルト16の位置を変えることで支持ブラケット10A、10B同士間の距離を調節するようにしてもよい。
【0024】
さらに、本発明の清掃装置7は1つの駆動源11で2つの回転ブラシ8A、8Bを同期回転させる構造のため、製作コストの低減が図れる。そして、回転ブラシ8A、8Bを同期回転させる駆動機構14として、支持ブラケット10A側のスプロケット12Aと支持ブラケット10B側のスプロケット12Bとに駆動伝達チェーン13を掛け回す構成としたため、支持ブラケット10A、10B同士間の距離が変更になった場合には、駆動伝達チェーン13の長さを変更するだけで済むことになり、駆動機構14の緻密な調整作業を要しない。
【0025】
また、自動車関連部品の製造工場の作業エリアには圧縮エアの供給口が多数設けられていることが多いので、このような場合、駆動源11をエアモータ6から構成することにより、清掃装置7の配設位置に拘わらず動力源を容易に確保できる。
【0026】
以上、本発明に係るコンベアチェーン1の清掃装置7の好適な実施形態を説明した。本発明は図面に記載した形態に限られず、趣旨を逸脱しない範囲で様々な設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0027】
1 コンベアチェーン
2 アタッチメント
3A、3B ガイドローラ
4A、4B コンベアレール
6 エアモータ
7 清掃装置
8A、8B 回転ブラシ
9 ボルト
10A、10B 支持ブラケット
11 駆動源
12A、12B スプロケット
13 駆動伝達チェーン
14 駆動機構
18 回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アタッチメントに軸支した左右一対のガイドローラがそれぞれのコンベアレールを走行する構成のコンベアチェーンに関し、
コンベアチェーンを左右方向両側から挟み込む一対の回転ブラシと、
各回転ブラシを軸支し、前記各コンベアレールにボルトにより着脱自在に取り付けられる一対の支持ブラケットと、
前記回転ブラシの駆動源と、
前記各支持ブラケットに取り付けたスプロケット間に駆動伝達チェーンを掛け回した構成からなり、両回転ブラシを同期回転させる駆動機構と、
を備えることを特徴とするコンベアチェーンの清掃装置。
【請求項2】
前記駆動源をエアモータとしたことを特徴とする請求項1に記載のコンベアチェーンの清掃装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−157201(P2011−157201A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−21704(P2010−21704)
【出願日】平成22年2月3日(2010.2.3)
【出願人】(390023917)八千代工業株式会社 (186)