説明

コンベヤテークアップ機構

【課題】テークアップ調整時にコンベヤケース内の塵芥を確実に封止して漏出を阻止するとともに簡便なテークアップ操作を実現するコンベヤテークアップ機構を提供すること。
【解決手段】コンベヤケース110のケース側壁111にチェーン張力方向に沿って設けたケース長穴111aからテークアップ軸130を突出させた状態でケース長穴111aを被覆する防塵板140と、この防塵板140から突出するテークアップ軸130を軸支した軸受スライダーと、この軸受スライダーをチェーン張力方向に沿って進退自在に移動させるテークアップスピンドル160とを備え、テークアップスピンドル160に連結される防塵板押さえ部材180が防塵板140と面接触して押圧する防塵板固定位置とこの防塵板固定位置からチェーン張力方向に離間して防塵板140と離脱する防塵板解放位置との間で移動するように設けられているコンベヤテークアップ機構100。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀類の粉体、流体、その他粉粒物などの粉粒体をコンベヤケース内で循環走行するコンベヤチェーンに取り付けた掻取板もしくはバケットを使って搬送するコンベヤにおいてコンベヤチェーンの張力や軸位置を調節するコンベヤテークアップ機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、粉粒体をコンベヤケース内で循環走行するコンベヤチェーンに取り付けた掻取板を使って搬送するコンベヤにおいて、図7に示すように、コンベヤケース502内のコンベヤチェーン517を掛け回すスプロケット509を装着したテークアップ軸として機能する従動軸508と、コンベヤケース502のケース側壁505にチェーン張力方向に沿って設けた従動スライド用長穴519から従動軸508を突出させた状態で軸支する軸受スライダーからなる軸受510と、この軸受510を可動部材511を介してチェーン張力方向に沿って進退自在に移動させるテークアップスピンドルとして機能するスクリューロッド512を備えて、コンベヤチェーン517の張力や従動軸位置を調節するコンベヤテークアップ機構500は、広く知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
そして、このような従来のコンベヤテークアップ機構500には、テークアップの操作で可動部材511が動いても従動スライド用長穴519を常に覆ってコンベヤケース502内の塵芥が外に漏れ出さないように、図示しないが防塵板が可動部材511に取り付けられている。
また、コンベヤケース502のケース側壁には、テークアップの動作で移動した可動部材511を移動しないように固定する押さえねじ522を4カ所にそれぞれ設けた、所謂、押さえねじ方式により、可動部材511を固定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−204210号公報(第1頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述したような従来のコンベヤテークアップ機構500では、テークアップ調整を行う際に、まず、4カ所の押さえねじ522を緩めて可動部材511を移動することにより、テークアップ軸として機能する従動軸508を変位させてコンベヤチェーン517の張力を調節した後に、4カ所の押さえねじ522を締め付けて可動部材511を固定しなければならないという多段階の作業工数を必要とするというテークアップ操作上の厄介な問題があった。
【0006】
特に、4カ所の押さえねじ522が均一に締め付けられていない場合には、従動スライド用長穴519を覆っていた可動部材511が不用意にズレ動いてコンベヤケース502内の塵芥が外に漏れ出すという虞れがあるという問題があり、しかも、押さえねじ522の先端が4カ所で図示しない防塵板を不均一に押さえ込んでいるため、テークアップ調整を行う毎に防塵板が損傷し易くなるという部品取り扱い上の厄介な問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、従来の問題を解決するものであって、すなわち、本発明の目的は、テークアップ調整時にコンベヤケース内の塵芥を確実に封止して漏出を阻止するとともに簡便なテークアップ操作を実現するコンベヤテークアップ機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る本発明は、コンベヤケース内のコンベヤチェーンを掛け回すスプロケットを装着したテークアップ軸と前記コンベヤケースのケース側壁にチェーン張力方向に沿って設けたケース長穴からテークアップ軸を突出させた状態でケース長穴を被覆する防塵板と該防塵板から突出するテークアップ軸を軸支した軸受スライダーと該軸受スライダーをチェーン張力方向に沿って進退自在に移動させるテークアップスピンドルとを備えたコンベヤテークアップ機構において、前記テークアップスピンドルに連結される防塵板押さえ部材が、前記防塵板と面接触して押圧するケース側壁の防塵板固定位置と該防塵板固定位置からチェーン張力方向に離間して防塵板と離脱するケース側壁の防塵板解放位置との間で移動するように設けられていることにより、前述した課題を解決したものである。
【0009】
請求項2に係る本発明は、請求項1に係る発明の構成に加えて、前記防塵板押さえ部材が、前記ケース側壁の防塵板固定位置に固設した押圧助成片に摺接して防塵板に向けて押圧される突起部分を備えていることにより、前述した課題をさらに解決したものである。
【0010】
請求項3に係る本発明は、請求項1または請求項2に係る発明の構成に加えて、前記防塵板押さえ部材の突起部分が、前記防塵板固定位置の押圧助成片にチェーン張力方向に沿って摺接する摺接曲面で構成されていることにより、前述した課題をさらに解決したものである。
【0011】
請求項4に係る本発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1つに係る発明の構成に加えて、前記防塵板押さえ部材が、前記テークアップスピンドルに螺合したリセット用ナットをスピンドル軸方向で挟み込んだ一対の軸支ブラケットを備えていることにより、前述した課題をさらに解決したものである。
【0012】
請求項5に係る本発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか1つに係る発明の構成に加えて、前記テークアップ軸が、前記防塵板押さえ部材のチェーン張力方向に沿って設けたスライド長穴に挿通されていることにより、前述した課題をさらに解決したものである。
【0013】
請求項6に係る本発明は、請求項1乃至請求項5のいずれか1つに係る発明の構成に加えて、前記テークアップ軸に嵌挿するパッキン板が、前記コンベヤケースのケース側壁と防塵板との間に介在していることにより、前述した課題をさらに解決したものである。
【発明の効果】
【0014】
そこで、本発明のコンベヤテークアップ機構は、コンベヤケース内のコンベヤチェーンを掛け回すスプロケットを装着したテークアップ軸と前記コンベヤケースのケース側壁にチェーン張力方向に沿って設けたケース長穴からテークアップ軸を突出させた状態でケース長穴を被覆する防塵板とこの防塵板から突出するテークアップ軸を軸支した軸受スライダーとこの軸受スライダーをチェーン張力方向に沿って進退自在に移動させるテークアップスピンドルとを備えていることにより、コンベヤチェーンの張力やテークアップ軸の軸支位置を調節することができるばかりでなく、以下のような本発明に特有の効果を奏することができる。
【0015】
すなわち、請求項1に係る本発明のコンベヤテークアップ機構は、テークアップスピンドルに連結される防塵板押さえ部材が、防塵板と面接触して押圧するケース側壁の防塵板固定位置とこの防塵板固定位置からチェーン張力方向に離間して防塵板と離脱するケース側壁の防塵板解放位置との間で移動するように設けられていることにより、通常の搬送稼働時には防塵板押さえ部材がケース側壁の防塵板固定位置で防塵板と全面で面接触してケース側壁のケース長穴を覆うように押圧しているため、従来のような4本の押さえねじ方式によるコンベヤテークアップ機構に比較すると、コンベヤケース内の塵芥を確実に封止して漏出を阻止し、また、テークアップ調整時にはテークアップスピンドルに連動する防塵板押さえ部材がケース側壁の防塵板解放位置へ移動して防塵板と離脱すると同時に、防塵板押さえ部材から解放された防塵板がテークアップスピンドルと軸受スライダーを介して連動するテークアップ軸に嵌挿されたままチェーン張力方向にスライド移動するため、コンベヤケース内の塵芥を確実に封止して漏出を阻止するとともに簡便なテークアップ操作を実現することができる。
【0016】
請求項2に係る本発明のコンベヤテークアップ機構によれば、請求項1に係る発明が奏する効果に加えて、防塵板押さえ部材がケース側壁の防塵板固定位置に固設した押圧助成片に摺接して防塵板に向けて押圧される突起部分を備えていることにより、通常の搬送稼働時に防塵板押さえ部材の突起部分と押圧助成片との簡素な摺接状態で防塵板と防塵板押さえ部材との全面接触による均一な押圧状態が達成されるため、防塵板がケース側壁のケース長穴を隙間なく完全に覆うように押圧してコンベヤケース内の塵芥をより確実に封止することができる。
【0017】
請求項3に係る本発明は、請求項1または請求項2に記載の発明が奏する効果に加えて、防塵板押さえ部材の突起部分が防塵板固定位置の押圧助成片にチェーン張力方向に沿って摺接する摺接曲面で構成されていることにより、防塵板押さえ部材の突起部分と押圧助成片とが摺接曲面上のチェーン張力方向に沿った円滑な押し引きを達成するため、動力負担の少ない円滑なテークアップ操作を実現することができる。
【0018】
請求項4に係る本発明のコンベヤテークアップ機構によれば、請求項1乃至請求項3のいずれか1つに係る発明が奏する効果に加えて、防塵板押さえ部材がテークアップスピンドルに螺合したリセット用ナットをスピンドル軸方向で挟み込んだ一対の軸支ブラケットを備えていることにより、手動で工具などを用いて回動するリセット用ナットがスピンドル軸方向に沿って移動すると、このリセット用ナットに連動する軸支ブラケットを備えた防塵板押さえ部材がチェーン張力方向に移動するため、防塵板押さえ部材を防塵板と離脱した防塵板解放位置から防塵板と面接触して押圧する防塵板固定位置へ復帰させることができる。
【0019】
請求項5に係る本発明のコンベヤテークアップ機構によれば、請求項1乃至請求項4のいずれか1つに係る発明が奏する効果に加えて、テークアップ軸が防塵板押さえ部材のチェーン張力方向に沿って設けたスライド長穴に挿通されていることにより、防塵板押さえ部材を防塵板と離脱した防塵板解放位置から防塵板と面接触して押圧する防塵板固定位置へ復帰させる際に、テークアップ軸を防塵板押さえ部材のスライド長穴に挿通させたままで、防塵板押さえ部材チェーン張力方向に円滑にスライド移動することができる。
【0020】
請求項6に係る本発明のコンベヤテークアップ機構によれば、請求項1乃至請求項5の1つに係る発明が奏する効果に加えて、テークアップ軸に嵌挿するパッキン板がコンベヤケースのケース側壁と防塵板との間に介在していることにより、パッキン板がコンベヤケースのケース側壁と防塵板との間に生じがちな隙間を埋め尽くすため、通常の搬送稼働時にコンベヤケース内の塵芥を確実に封止して漏出を阻止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施例であるコンベヤテークアップ機構の側面図。
【図2】図1に示すコンベヤテークアップ機構のX1−X1方向から見た断面図。
【図3】図1に示すコンベヤテークアップ機構のX2−X2方向から見た断面図。
【図4】図1に示すコンベヤテークアップ機構の組み立て分解図。
【図5】軸受スライダーとテークアップスピンドルを分解したコンベヤテークアップ機構の斜視図。
【図6】図1に示すコンベヤテークアップ機構のテークアップ動作手順を示す図。
【図7】従来のコンベヤテークアップ機構の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、コンベヤケース内のコンベヤチェーンを掛け回すスプロケットを装着したテークアップ軸と前記コンベヤケースのケース側壁にチェーン張力方向に沿って設けたケース長穴からテークアップ軸を突出させた状態でケース長穴を被覆する防塵板とこの防塵板から突出するテークアップ軸を軸支した軸受スライダーとこの軸受スライダーをチェーン張力方向に沿って進退自在に移動させるテークアップスピンドルとを備えたコンベヤテークアップ機構において、テークアップスピンドルに連結される防塵板押さえ部材が防塵板と面接触して押圧するケース側壁の防塵板固定位置とこの防塵板固定位置からチェーン張力方向に離間して防塵板と離脱するケース側壁の防塵板解放位置との間で移動するように設けられ、テークアップ調整時にコンベヤケース内の塵芥を確実に封止して漏出を阻止するとともに簡便なテークアップ操作を実現するものであれば、その具体的な態様は、如何なるものであっても構わない。
【0023】
すなわち、本発明のコンベヤテークアップ機構は、穀類の粉体、流体、その他粉粒物などの粉粒体をコンベヤケース内で循環走行するコンベヤチェーンで搬送するコンベヤであれば適用することが可能であり、例えば、掻取板を取り付けたコンベヤチェーンで搬送するコンベヤ、あるいは、バケットを取り付けたコンベヤチェーンで搬送するコンベヤのいずれであっても何ら構わない。
【0024】
そして、本発明のコンベヤテークアップ機構を用いる掻取板を取り付けたコンベヤチェーンで搬送するコンベヤ、あるいは、バケットを取り付けたコンベヤチェーンで搬送するコンベヤの具体的な搬送経路は、垂直搬送、水平搬送の何れであっても良い。
【0025】
また、本発明のコンベヤテークアップ機構におけるテークアップ軸については、コンベヤケース内のコンベヤチェーンを掛け回すスプロケットを装着する駆動軸または従動軸の何れであっても良いが、保守メンテナンス操作上、従動軸であることが好ましい。
【0026】
さらに、本発明のコンベヤテークアップ機構で用いる防塵板押さえ部材については、防塵板と面接触して押圧するケース側壁の防塵板固定位置とこの防塵板固定位置からチェーン張力方向に離間して防塵板と離脱するケース側壁の防塵板解放位置との間で移動するように設けられるものであれば如何なるものであっても良いが、金属製プレートを用いた場合には、長期のテークアップ操作において防塵板を固定する際に要する優れた弾力性や移動時の摺動熱に対する耐熱性を発揮することができるのでより好ましい。
【実施例】
【0027】
以下、本発明の実施例であるコンベヤテークアップ機構100を図1乃至図6に基づいて説明する。
ここで、図1は、本発明の第1実施例であるコンベヤテークアップ機構の側面図であり、図2は、図1に示すコンベヤテークアップ機構のX1−X1方向から見た断面図であり、図3は、図1に示すコンベヤテークアップ機構のX2−X2方向から見た断面図であり、図4は、図1に示すコンベヤテークアップ機構の組み立て分解図であり、図5は、軸受スライダーとテークアップスピンドルを分解したコンベヤテークアップ機構の斜視図であり、図6は、図1に示すコンベヤテークアップ機構のテークアップ動作手順を示す図である。
【0028】
まず、本発明の第1実施例であるコンベヤテークアップ機構100は、図1乃至図5に示すように、穀類の粉体、流体、その他粉粒物などの粉粒体をコンベヤケース110内で循環走行する左右一対のコンベヤチェーン120、120に取り付けた掻取板121を使って搬送するコンベヤに組付けられたものであって、左右一対のコンベヤチェーン120、120を掛け回す左右一対のスプロケット131、131を装着した従動軸からなるテークアップ軸130と、コンベヤケース110のケース側壁111にチェーン張力方向に沿って設けた左右一対のケース長穴111a、111aからテークアップ軸130の両端をそれぞれ突出させた状態でこれらのケース長穴111aを被覆する矩形短冊状の防塵板140と、これらの防塵板140から突出するテークアップ軸130を軸支した軸受部151を有する左右一対の軸受スライダー150と、これらの軸受スライダー150をチェーン張力方向に沿ってそれぞれ進退自在に移動させるスクリューロッド161を有する左右一対のテークアップスピンドル160とを備えている。
【0029】
なお、図1乃至図5に示す符号141は、矩形短冊状の防塵板140にテークアップ軸130を貫通させる軸穴であり、符号142は、防塵板140に添着して合体したシール板であり、符号152は、前述したテークアップスピンドル160のスクリューロッド161の後端に固着したフォーク状接続体であって軸受スライダー150の一部を構成するものであり、符号162は、前述したテークアップスピンドル160のスクリューロッド161をコンベヤケース110のケース側壁111から抜け止めする抜け止め用カラーである。
【0030】
そして、前述したテークアップスピンドル160は、コンベヤケース110の左右一対のケース側壁111、111にそれぞれ設けられているため、これら左右一対のテークアップスピンドル160、160は、連動チェーン170を介して同期しながら図示してない駆動源により回転し、左右一対の軸受スライダー150、150をチェーン張力方向に沿ってそれぞれ進退自在に移動させてテークアップするようになっている。
【0031】
ここで、本実施例のコンベヤテークアップ機構100が最も特徴とする防塵板押さえ部材180について、以下に説明する。
まず、前述したテークアップスピンドル160に連結される防塵板押さえ部材180は、防塵板140を押圧するケース側壁111の防塵板固定位置T1とこの防塵板固定位置T1からチェーン張力方向に離間して防塵板140と離脱するケース側壁111の防塵板解放位置T2との間で移動するように設けられている。
これにより、通常の搬送稼働時に、防塵板押さえ部材180は、ケース側壁111の防塵板固定位置T1で防塵板140と全面で面接触してケース側壁111のケース長穴111aを覆うように押圧し、また、テークアップ調整時には、テークアップスピンドル160に連動する防塵板押さえ部材180がケース側壁111の防塵板解放位置T2へ移動して防塵板140と離脱すると同時に、防塵板押さえ部材180から解放された防塵板140がテークアップスピンドル160と軸受スライダー150を介して連動するテークアップ軸130に嵌挿されたままチェーン張力方向にスライド移動自在になっている。
【0032】
また、前述した防塵板押さえ部材180は、ケース側壁111の防塵板固定位置T1に固設した2カ所の押圧助成片112、112に摺接して防塵板140に向けて押圧される2つの突起部分181、181を備えている。
これにより、通常の搬送稼働時に、防塵板押さえ部材180の突起部分181、181と押圧助成片112、112との単純な摺接のみで防塵板140と防塵板押さえ部材180との全面接触による均一な押圧状態を達成している。
【0033】
そして、前述した防塵板押さえ部材180の突起部分181、181は、防塵板固定位置T1の押圧助成片112、112にチェーン張力方向に沿って摺接する摺接曲面で構成されている。
これにより、防塵板押さえ部材180の突起部分181、181と押圧助成片112、112とが摺接曲面上のチェーン張力方向に沿った円滑な押し引きを達成し、動力負担の少ない円滑なテークアップ操作を実現している。
【0034】
さらに、前述した防塵板押さえ部材180は、テークアップスピンドル160に螺合したリセット用ナット190をスピンドル軸方向で挟み込んだ一対の軸支ブラケット182、182を備えている。
これにより、手動で回動するリセット用ナット190がスピンドル軸方向に沿って移動すると、このリセット用ナット190に連動する軸支ブラケット182、182を備えた防塵板押さえ部材180がチェーン張力方向に移動するため、防塵板押さえ部材180を防塵板140と離脱した防塵板解放位置T2から防塵板140を押圧する防塵板固定位置T1へ復帰させることが可能になっている。
【0035】
ここで、前述したテークアップ軸130は、防塵板押さえ部材180のチェーン張力方向に沿って設けたスライド長穴183に挿通されている。
これにより、防塵板押さえ部材180を防塵板140と離脱した防塵板解放位置T2から防塵板140を押圧する防塵板固定位置T1へ復帰させる際に、テークアップ軸130を防塵板押さえ部材180のスライド長穴183に挿通させたままで、防塵板押さえ部材180をチェーン張力方向にスライド移動することが可能になっている。
【0036】
また、前述したテークアップ軸130に嵌挿するパッキン板143が、コンベヤケース110のケース側壁111と防塵板140との間に介在するように、ケース側壁111に対向して防塵板140に添着されている。
これにより、パッキン板143は、コンベヤケース110のケース側壁111と防塵板140との間に生じがちな隙間を埋め尽くし、通常の搬送稼働時にコンベヤケース110内の塵芥をより確実に封止して漏出を阻止している。
【0037】
つぎに、本実施例のコンベヤテークアップ機構100のテークアップ操作方法について、図6に基づいて説明する。
まず、通常の搬送稼働時には、図6(a)に示すように、防塵板押さえ部材180が、ケース側壁111の防塵板固定位置T1で防塵板140と全面で面接触してケース側壁111のケース長穴111aを覆うように押圧し、コンベヤケース110内の塵芥を確実に封止して漏出を阻止する。
この時、防塵板押さえ部材180の突起部分181が押圧助成片112に摺接して、この防塵板押さえ部材180と防塵板140との全面接触による均一な押圧状態となり、防塵板140がケース側壁111のケース長穴111aを隙間なく完全に覆う。
【0038】
そして、テークアップ調整時には、図6(b)に示すように、テークアップスピンドル160に連動する防塵板押さえ部材180が、ケース側壁111の防塵板解放位置T2へ移動して防塵板140と離脱すると同時に、防塵板押さえ部材180から解放された防塵板140が、テークアップスピンドル160と軸受スライダー150を介して連動するテークアップ軸130に嵌挿されたままチェーン張力方向にスライド移動する。
この時、防塵板押さえ部材180の突起部分181が摺接曲面で構成されているため、防塵板押さえ部材180の摺接曲面を有する突起部分181が押圧助成片112に対してチェーン張力方向に沿って円滑に移動する。
【0039】
さらに、防塵板押さえ部材180を防塵板140と離脱した防塵板解放位置T2から防塵板140を押圧する防塵板固定位置T1へ復帰させる際には、図6(c)に示すように、手動で工具などを用いてリセット用ナット190を回動させてスピンドル軸方向に沿って移動させると、このリセット用ナット190に連動する軸支ブラケット182を備えた防塵板押さえ部材180が、防塵板140を押圧する防塵板固定位置T1へ復帰し、一連のテークアップ操作が完了する。
【0040】
このようにして得られた本実施例のコンベヤテークアップ機構100は、コンベヤケース110内のコンベヤチェーン120を掛け回すスプロケット131を装着したテークアップ軸130とこのコンベヤケース110のケース側壁111にチェーン張力方向に沿って設けたケース長穴111aからテークアップ軸130を突出させた状態でケース長穴111aを被覆する防塵板140とこの防塵板140から突出するテークアップ軸130を軸支した軸受スライダー150とこの軸受スライダー150をチェーン張力方向に沿って進退自在に移動させるテークアップスピンドル160とを備えていることにより、コンベヤチェーンの張力やテークアップ軸130の軸支位置を調節することができるばかりでなく、テークアップスピンドル160に連結される防塵板押さえ部材180が、防塵板140と面接触して押圧するケース側壁111の防塵板固定位置T1とこの防塵板固定位置T1からチェーン張力方向に離間して防塵板140と離脱するケース側壁111の防塵板解放位置T2との間で移動するように設けられていることにより、従来のような4本の押さえねじ方式によるコンベヤテークアップ機構500に比較すると、コンベヤケース110内の塵芥を確実に封止して漏出を阻止するとともに簡便なテークアップ操作を実現することができる。
【0041】
そして、防塵板押さえ部材180がケース側壁111の防塵板固定位置T1に固設した押圧助成片112に摺接して防塵板140に向けて押圧される突起部分181を備えていることにより、通常の搬送稼働時に防塵板140がケース側壁111のケース長穴111aを隙間なく完全に覆うように押圧してコンベヤケース110内の塵芥をより確実に封止し、さらに、防塵板押さえ部材180の突起部分181が防塵板固定位置T1の押圧助成片112にチェーン張力方向に沿って摺接する摺接曲面で構成されていることにより、動力負担の少ない円滑なテークアップ操作を実現することができるなど、その効果は甚大である。
【符号の説明】
【0042】
100 ・・・ コンベヤテークアップ機構
110 ・・・ コンベヤケース
111 ・・・ ケース側壁
111a・・・ ケース長穴
112 ・・・ 押圧助成片
120 ・・・ コンベヤチェーン
121 ・・・ 掻取板
130 ・・・ テークアップ軸
131 ・・・ スプロケット
140 ・・・ 防塵板
141 ・・・ 軸穴
142 ・・・ シール板
143 ・・・ パッキン板
150 ・・・ 軸受スライダー
151 ・・・ 軸受部
152 ・・・ フォーク状接続体
160 ・・・ テークアップスピンドル
161 ・・・ スクリューロッド
162 ・・・ 抜け止め用カラー
170 ・・・ 連動チェーン
180 ・・・ 防塵板押さえ部材
181 ・・・ 突起部分
182 ・・・ 軸支ブラケット
183 ・・・ スライド長穴
190 ・・・ リセット用ナット
T1 ・・・ 防塵板固定位置
T2 ・・・ 防塵板解放位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベヤケース内のコンベヤチェーンを掛け回すスプロケットを装着したテークアップ軸と前記コンベヤケースのケース側壁にチェーン張力方向に沿って設けたケース長穴からテークアップ軸を突出させた状態でケース長穴を被覆する防塵板と該防塵板から突出するテークアップ軸を軸支した軸受スライダーと該軸受スライダーをチェーン張力方向に沿って進退自在に移動させるテークアップスピンドルとを備えたコンベヤテークアップ機構において、
前記テークアップスピンドルに連結される防塵板押さえ部材が、前記防塵板と面接触して押圧するケース側壁の防塵板固定位置と該防塵板固定位置からチェーン張力方向に離間して防塵板と離脱するケース側壁の防塵板解放位置との間で移動するように設けられていることを特徴とするコンベヤテークアップ機構。
【請求項2】
前記防塵板押さえ部材が、前記ケース側壁の防塵板固定位置に固設した押圧助成片に摺接して防塵板に向けて押圧される突起部分を備えていることを特徴とする請求項1記載のコンベヤテークアップ機構。
【請求項3】
前記防塵板押さえ部材の突起部分が、前記防塵板固定位置の押圧助成片にチェーン張力方向に沿って摺接する摺接曲面で構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載のコンベヤテークアップ機構。
【請求項4】
前記防塵板押さえ部材が、前記テークアップスピンドルに螺合したリセット用ナットをスピンドル軸方向で挟み込んだ一対の軸支ブラケットを備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載のコンベヤテークアップ機構。
【請求項5】
前記テークアップ軸が、前記防塵板押さえ部材のチェーン張力方向に沿って設けたスライド長穴に挿通されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載のコンベヤテークアップ機構。
【請求項6】
前記テークアップ軸に嵌挿するパッキン板が、前記コンベヤケースのケース側壁と防塵板との間に介在していることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1つに記載のコンベヤテークアップ機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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