説明

コークス切出し動作において使用される遠隔制御デコーキングツール

本発明は、コークスドラムと呼ばれる大型の円筒形容器から固体炭素質残渣を除去する間に、切削と穴開けを操作者が遠隔操作で切り替えることを可能にするシステムに関する。このシステムは、コークスベッド内に高圧流体を噴射する切削ヘッドと、流路変更装置と、変位装置とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体炭素質残渣(以下「コークス」と呼ぶ)を、コークスドラムと呼ばれる大型の円筒容器から除去するためのシステムに関する。より詳細には、本発明は、コークスドラム内の切削と穴開けを操作者が遠隔操作で切り替えることを可能にするシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ガソリン、ディーゼル燃料、潤滑油などを生産するために、原油を加工する石油精製動作は、残油を頻繁に生成する。有益な炭化水素製品を産出するために、ディレードコーカユニットを使用して、残油を加工することができる。ディレードコーカ内で加工されるとき、残油は、分解蒸留を生じるのに十分な温度まで炉内で加熱される。分解蒸留では、残油のかなりの部分が、有用な炭化水素製品へと変換または「分解」され、残りの部分は、大部分が炭素で構成される材料である石油コークスを産出する。
【0003】
一般に、ディレードコーキング工程は、分別蒸留ユニットからの重炭化水素原料を加熱することと、次いで、加熱された重原料を、一般にコークスドラムとして知られる大型の鋼鉄容器内へと給送することとを含む。加熱された重原料の気化しない部分は、コークスドラムの底部に沈降し、そこで滞留時間および温度の複合効果により、コークスの形成が生じる。コークス容器の頂部からの蒸気は、さらに加工して所望の軽炭化水素製品にするために、分別蒸留ユニットの基部に戻される。デコーキング中のコークスドラム内の通常の動作圧力は、25〜50psiの範囲である。さらに、原料投入温度は、800°F〜1000°Fの間で変えることができる。
【0004】
コークスドラムの構造のサイズおよび形状は、それぞれの設備によってかなり異なる。ただし、コークスドラムは一般に、大型で直立した円柱形の金属容器であり、高さが90フィート〜100フィート、直径が20フィート〜30フィートである。コークスドラムは、頂部ヘッドと、底部ヘッドに嵌められた底部分とを有する。コークスドラムは通常、交互に動作することができるように対で存在する。コークスは、容器が満たされるまで容器内に沈降および蓄積し、容器が満たされたときに、加熱された原料が、代わりの空のコークスドラムへと切り替えられる。一方のコークスドラムが、加熱された残油で満たされる間に、もう一方の容器が冷却され、コークスが取り除かれる。
【0005】
デコーキングとしても知られるコークスの除去は、急冷ステップで始まり、急冷ステップでは、揮発性の軽炭化水素の回収を完了し、コークスの固まりを冷却するために、それぞれ水蒸気、次いで水が、コークスで満たされた容器内に導入される。コークスドラムが満たされ、ストリッピングされ、急冷された後に、コークスは固体状態となり、温度が適当なレベルまで下げられる。次いで急冷水は、ドラムの安全なヘッド取外しを可能にするために、管機構を通りドラムから排水される。ドラムは次いで、底部開口部のヘッド取外しが行われるとき通気されて大気圧となり、コークスの除去を可能にする。ヘッド取外しが完了すると、ドラム内のコークスは、高圧水噴射によってドラムから切り出される。
【0006】
デコーキングは、ほとんどのプラントにおいて、水圧式システムを用いて実現される。水圧式システムは、高圧の水をコークスベッド内へと向けるドリルステムおよびドリルビットで構成される。切削ツールと呼ばれる回転する組合せドリルビットは、通常、直径約22インチであり、複数のノズルを有しており、直径約7インチの長い中空ドリルステムの下端部上に取り付けられる。ドリルステム上のドリルビットは、容器頂部の開口部を通り、容器内へと下降させられる。水平から約66°下がった角度で高圧の水を吐出するノズルを用いて、「ボア穴」が、コークスを貫通して穿孔される。これにより、それを通してコークスを落とすための、直径約2フィート〜3フィートのパイロットボア穴が作り出される。
【0007】
最初のボア穴が完成した後に、ドリルビットは、ドラムの全直径に延びる「切出し」穴の切削に備えて、少なくとも2つの水平ノズルに機械的に切り替えられる。切削モードでは、ノズルは、水噴射を水平方向外向きに発射し、ドリルロッドとともにゆっくりと回転し、これらの噴射は、コークスを切削して小片にし、小片は容器の開いた底部を出て、コークスを受容領域内へと送る落し口へと落ちる。ドリルロッドは次いで、容器頂部のフランジ付き開口から引き出される。最後に、容器の頂部および底部が、容器ユニット上で使用されるヘッドユニット、フランジ、または別の閉鎖装置を、再び配置することによって閉じられる。こうして容器は、空になり、次の重炭化水素原料を満たすサイクルの準備完了となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来のシステムでは、ボア穴が作られた後に、ドリルステムを、コークスドラムから取り出し、切削モードに設定し直さなければならない。これは、時間がかかり、不便であり、かつ潜在的に危険であり、ドリルステムがドラムの頂部開口部から持ち上げられる前に水圧式切削システムが遮断されていない場合、操作者が高圧の水噴射に曝され、四肢切断を含む重大な損傷が生じる。
【0009】
別のシステムでは、モードが自動的に切り替えられる。しかし、自動切替システムでは、すべての変化がドラム内で行われるので、ドリルステムが切削または穴開けモードであるかどうかを判断することが困難であることが多い。高圧水が切削または穴開けを行っているかどうかの誤った識別は、切削ツールが切削モードと穴開けモードの切替に失敗したときに生じることが多く、これは重大な事故をもたらすおそれがある。すなわち、切替操作者は切出し工程が完了したかどうかがわからないので、コークス切出し効率が損なわれる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のこれらおよび別の特徴および利点は、以下の説明および添付の特許請求の範囲において説明され、より完全に明らかになるであろう。特徴および利点は、添付の特許請求の範囲において具体的に指摘される機器および組合せによって、実現および獲得することができる。さらに、本発明の特徴および利点は、本発明を実行することによって理解することができ、または以下で説明されるような説明から明らかになるであろう。
【0011】
本発明のいくつかの実施形態は、切削ツールに結合されたドリルステムを備え、ドリルステムは、流体がドリルステムの内部を通り切削ツールへと移動することを可能にする。いくつかの実施形態では、切削ツールは、切削ノズルおよび穴開けノズルを備える。いくつかの実施形態では、ドリルステムは、高圧流体を、ドリルステムの内部を通して切削ツール、および穴開けノズルの外へと送る。あるいは、流体は、ドリルステムを通り、切削ヘッド、および切削ノズルの外へと送ることができる。
【0012】
いくつかの実施形態では、本発明は、液体の流れを穴開けノズルまたは切削ノズルのいずれかへと送る、流路変更装置を備える。
【0013】
別の実施形態では、流路変更装置は、本体、流路変更キャップ、および変位装置で構成される。
【0014】
本発明のいくつかの実施形態では、ドリルステムを通る切削ヘッド内への流体の流れを、流路変更装置の位置に応じて切削ノズルまたは穴開けノズルのいずれかに送ることができるように、変位装置は、流路変更装置の移動を促進するように流路変更装置に結合される。
【0015】
本発明は、「コークス」と呼ばれる固体炭素質残渣を、コークスドラムと呼ばれる大型の円筒形容器から除去するためのシステムに関する。本発明は、操作者が、コークスドラム内のコークスの切出しを、遠隔操作で作動させることと、コークスドラム内のコークスを確実に切削しながら、ドリルビットを機械的な変更または点検のためにコークスドラムの外に持ち上げずに、穴開けモードと切削モードの間を遠隔操作で切り替えることとを可能にするシステムに関する。したがって、本発明は、より高い安全性、効率性、および簡便さを有する、コークスドラム内のコークスを切り出すためのシステムを提供する。
【0016】
本発明の上述ならびに別の特徴および利点が得られる方法のために、添付の図面で示されるその特定の実施形態を参照することにより、本発明のより具体的な説明を行う。図面は本発明の典型的な実施形態のみを示すものであり、したがって本発明の範囲を限定するものとは見なされないことを理解しながら、添付の図面を使用することにより、本発明をさらなる特徴および詳細とともに図示および説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明は、コークスドラムからコークスを除去するためのシステムに関する。この除去工程は、「デコーキング」と呼ばれること多い。より詳細には、本発明は、切削ツールの穴開けモードと切削モードとを、操作者が遠隔操作で切り替えることを可能にするシステムに関する。
【0018】
本発明の現在好ましい実施形態は、同様の部品が全体を通して同様の番号によって指示される図面を参照することによって、最もよく理解されるであろう。さらに、本発明の以下の開示は、2つの小見出し、すなわち「ディレードコーキングおよびコークス切出しの簡潔かつ一般的な説明」および「本発明の詳細な説明」に分けられる。小見出しの使用は、読者への便宜上のものに過ぎず、決して限定として解釈されるべきではない。
【0019】
ここで図において全体的に説明され示されるような本発明の構成要素は、多種多様な異なる構成で構成および設計することができることが、容易に理解されるであろう。すなわち、本発明の、また図1〜図6に示す、システム、装置、および方法の、実施形態の以下のより詳細な説明は、特許請求されるような本発明の範囲を限定することが意図されておらず、本発明の現在好ましい実施形態を単に表すに過ぎない。
【0020】
1.ディレードコーキングおよびコークス切出しの簡潔かつ一般的な説明
典型的なディレードコーキング工程では、高沸点の石油残渣が、1つまたは複数のコークスドラム内に給送され、それらはそこで、軽産物と固体残渣すなわち石油コークスとに、熱で分解される。コークスを収容するコークスドラムは、通常、大型の円筒形容器である。デコーキング工程は、石油精製工程における最終工程であり、「ヘッド取外し」として知られる工程が行われると、コークスは、コークス切出し手段によってこれらのドラムから除去される。
【0021】
典型的なディレードコーキング工程では、新しい原料と再生原料が組み合わされ、精留塔の底部から管を通して供給される。組み合わされた原料は、コークスヒータを通して給送され、約800°F〜1000°Fの間の温度まで加熱される。組み合わされた原料は、部分的に気化させられ、1対のコークスドラム内に交互に入れられる。コークスドラムの頂部から排出される高温の蒸気は、管によって精留塔の底部へと再循環される。コークス加熱装置排水の気化しない部分は、動作中のコークドラム内に沈降し(コークスになり)、ここで温度および滞留時間の複合効果により、動作中の容器が満たされるまでコークスが生み出される。動作中の容器が満たされると、加熱された重炭化水素原料は、空のコーカ容器へと向け直され、上記で説明した工程がそこで繰り返される。次いでコークスは、まず高温のコークスを水蒸気および水で急冷し、次いで、容器頂部に封止された閉鎖ユニットを開き、容器の頂部からコークスを水圧で穿孔し、穿孔されたコークスを、容器から、開いたコーカ底部ユニットを通し、取り付けられたコーク落し口を通してコーク受容領域へと送ることによって、満たされた容器から除去される。閉鎖ユニットの開放は、離隔配置された制御ユニットによって安全に実現される。
【0022】
デコーキングは、ほとんどのプラントにおいて、高圧の水噴射をコークスベッド内へと向けるドリルステムおよびドリルビットで構成される、水圧式システムを用いて実現される。切削ツールと呼ばれる回転する組合せドリルビットは通常、直径約22インチであり、複数のノズルを有し、直径約7インチの長い中空ドリルステムの下端部上に取り付けられる。ドリルビットはドリルステム上で、フランジ付き容器頂部の開口部を通り、容器内へと下降させられる。「ボア穴」が、水平から約66°下がった角度で高圧の水を吐出するノズルを用いて、コークスを貫通して穿孔される。これにより、それを通してコークスを落とすための、直径約2フィート〜3フィートのパイロットボア穴が作り出される。
【0023】
最初のボア穴が完成した後に、ドリルビットは、ドラムの全直径に延びる「切出し」穴の切削に備えて、少なくとも2つの水平ノズルに切り替えられる。切削モードでは、ノズルは、水噴射を水平方向外向きに発射し、ドリルロッドとともにゆっくりと回転し、これらの噴射は、コークスを切削して小片にし、小片は容器の開いた底部を出て、コークスを受容領域内へと送る落し口へと落ちる。ドリルロッドは次いで、容器頂部のフランジ付き開口から引き出される。最後に、容器の頂部および底部が、容器ユニット上で使用されるヘッドユニット、フランジ、または別の閉鎖装置を、再び配置することによって閉じられる。こうして容器は、空になり、次の重炭化水素原料を満たすサイクルの準備完了となる。
【0024】
コークス切出しシステムによっては、ボア穴が作られた後に、ドリルステムをコークスドラムから除去し、切削モードに設定し直さなければならない。これは、時間がかかり、不便であり、潜在的に危険である。別のシステムでは、モードが自動的に切り替えられる。コークドラム内の自動切替は、ドリルステムの動きを悪くすることが多く、これにより、コークス切出し工程の完了前に、ドリルステムを清浄化のために取外すことがさらに必要となる。自動切替システムでは、すべての変化がドラム内で行われるので、ドリルステムが切削または穴開けモードであるかどうかを判断することが困難であることが多い。高圧の水が切削中であるか穴開け中であるかの識別を誤ると、重大な事故が生じる。
【0025】
本発明は、コークドラム内でのコークス製造に続く、その中でのコークス切出しのための方法およびシステムを説明する。本発明は、特にデコーキング工程で使用するようになされるので、以下の説明は、特にこの製造の範囲に関する。ただし、本発明は、コークス以外の様々な要素を生産する別の製造工程の一体部分となるように適合させることができ、すなわちそのような工程は、本出願の範囲に含まれると考えられることが予想される。
【0026】
2.本発明の詳細な説明
したがって、本発明のいくつかの実施形態の一目的は、離れた場所から自動切替機構によって制御される、コークスを切り出すためのシステムを提供することである。本発明は、ドリルステム2を穴開けモードから切削モードへの変更のために取り出す必要がなく、遠隔操作でモードを変更することができる、コークス切出しのためのシステムを提供する。本発明は、穴開けモードと切削モードとを変更するためにドリルステムを取り出す必要がない、コークス切出しのための方法を提供する。本発明は、現在のコークス切出し技術とともに使用することができる、コークス切出しのためのシステムおよび方法を提供する。
【0027】
図1は、取付け手段3によって切削ツール1に結合されたドリルステムを示す。図1に示すドリルステムおよび切削ツールは、コークスをコークスドラムから除去するために、本発明のいくつかの実施形態において使用される。図1は、切削ノズル4および穴開けノズル6をさらに示す。図1はさらに、本発明のいくつかの実施形態において、ドリルステムと穴開けノズルとの間で流体が流れる通路である、穴開け用通路48の外部の図を示す。本発明のいくつかの実施形態では、ドリルステムから切削ノズルへと流体が流れることを可能にするいくつかの通路が、切削ツールの内側に存在する。
【0028】
図1には、さらに、コークスドラムの内側からコークスを切り出すための手段の一実施形態が示される。この実施形態では、取付け手段3によって切削ツール1に結合されたドリルステムが備えられている。図1に示すドリルステムおよび切削ツールは、コークスをコークスドラムから除去するために、本発明のいくつかの実施形態において使用される。図1は、切削ノズル4および穴開けノズル6を備える切削手段をさらに示す。
【0029】
図2は、本発明のいくつかの実施形態の切削ツールの破断図を示す。上述したように、高圧流体が、ドリルステムを通って切削ツール1へと移動し、穴開けノズル6または切削ノズル4からの噴射が可能になる。いくつかの実施形態では、本発明のシステムおよび方法は、流体の流れを、穴開けノズルと切削ノズルとの間で自動的に切り替えることを可能にし、そのため、切削ツールから噴射されている流体の流れを、デコーキング工程によって決まるように穴開けノズル6または切削ノズル4のいずれかから交互に噴射するために、操作者が遠隔操作で切り替えることが可能になる。例えば、いくつかの実施形態では、本発明のシステムおよび方法を利用する操作者は、穴開け穴を作り出すために、流体がドリルステムを通り、切削ツール1内へと流れ、穴開けノズル6を出て流れることを可能にすることができる。いくつかの実施形態では、本発明のシステムおよび方法は、遠隔位置に位置する操作者が、穴開けノズル6から噴射されている流体の流れを停止し、また切削ノズル4から流体を噴射し始めることを可能にする。
【0030】
図2は、本発明のいくつかの実施形態の、システムのいくつかの要素を示す。図2は、取付け手段3によって切削ツール1に結合されたドリルステムを示す。図2に示すような切削ツールは、いくつかの要素で構成される。図2に示すような切削ツールは、切削用ノズル4および穴開け用ノズル6で構成される。切削ツールのいくつかの実施形態において、切削ツールの内部チャンバはチャネルを備える。流体は、チャネルを通って、ドリルステムから切削ツール内へと、また穴開けノズル6または切削ノズル4内へと流れることができる。本発明のいくつかの実施形態では、切削ノズル4内または穴開け6ノズル内への流体の動きを選択的に可能にするために、流路変更装置8が使用される。より具体的には、本発明のいくつかの実施形態では、流路変更装置8は、切削ステムを通って切削ツール1内へと流れる流体が、穴開けノズル6内のみ、または切削ノズル4内のみに流れることが可能なるように、切削ノズル4または穴開けノズル4に続く通路内への水の流れを遮断する。
【0031】
いくつかの実施形態では、本発明の流路変更装置8は、流路変更装置8の本体10、および流路変更キャップ14で構成されている。流路変更装置8の本体10は、流路変更装置8の本体10の回転が流路変更キャップ14の位置を回転軸内で変位させるように、流路変更キャップ14に結合される。流路変更装置8の本体10に結合された流路変更キャップ14は、流路変更キャップ14が切削ツール1の内部要素に対して付勢されるように、流路変更装置8の本体10内に収容された加力装置12によって、切削ツールの内部要素に対して付勢される。いくつかの実施形態では、流路変更キャップ14は、傾斜縁部15を備える。
【0032】
本発明のいくつかの実施形態において、傾斜縁部15は、流路変更キャップ14が存在するところを覆っている通路を、封止するように作用する。いくつかの実施形態では、ドリルステム2を通り切削ツール1に流入する高圧流体は、傾斜縁部15の頂縁部を押し、流路変更キャップ14が存在するところを覆う通路内を流体が通過することが不可能となるように、流路変更キャップ14の傾斜縁部15を、切削ツール1の内部要素と強制的に接触させる。
【0033】
さらに図2は、流体の流れを、独占的に穴開け手段内へ進路変更する流路変更手段、または、独占的に切削手段内へと進路変更する流路変更手段の一実施形態を示す。流体の流れを進路変更する手段は、いくつかの実施形態において、流路変更装置8の本体10、および流路変更キャップ14を備える。流路変更装置8の本体10は、流路変更装置8の本体10の回転によって流路変更キャップ14の位置を回転軸内で変位させるように、流路変更キャップ14に結合される。流体の流れを変更する手段のいくつかの実施形態において、流路変更装置8の本体10に結合された流路変更キャップ14は、流路変更キャップ14が切削ツール1の内部要素に対して付勢されるように、流路変更装置8の本体10内に収容された加力装置12によって、切削ツールの内部要素に対して付勢される。流体の流れを進路変更する手段のいくつかの実施形態では、流路変更キャップ14は、傾斜縁部15を備える。流体の流れを進路変更する手段のいくつかの実施形態において、傾斜縁部15は、流路変更キャップ14が存在するところを覆っている通路を、封止するように作用する。流体の流れを進路変更する手段のいくつかの実施形態では、ドリルステム2を通り切削ツール1に流入する高圧流体は、傾斜縁部15の頂縁部を押し、流路変更キャップ14が存在するところを覆う通路内を流体が通過することが不可能となるように、流路変更キャップ14の傾斜縁部15を、切削ツール1の内部要素と強制的に接触させる。
【0034】
本発明のいくつかの実施形態では、流路変更装置8の本体10は、変位装置18に結合される。本発明のいくつかの実施形態では、変位装置18は、流路変更装置を90°ずつ回転させ、それにより、流路変更装置8は、穴開けノズルからの流体の噴射を可能にする通路48内への流体の流れを遮断し、または、切削ノズル4内への流体の流入を可能にする通路46を遮断する。
【0035】
図2に示すように、いくつかの実施形態では、変位装置18は、少なくとも1つのばね20、および好ましくは2つのばね20、22で構成される。2つのばね20、22が使用されるシステムでは、変位装置に対してばねを位置合せするための好ましい方法は、変位装置18の底部上のばねシステム20、22のねじり作用が最小限に抑えられるように、外側ばね20および内側ばね22を、外部ばね20の回転が内部ばね22の回転の反対方向となるように向けることである。いくつかの実施形態では、変位装置18のばね20、22は、螺旋状スプライン24の底部上にかかる回転力を低減させるように作用するスラスト軸受け26によって、螺旋状スプライン24の底部に接触する。いくつかの実施形態では、ばね20、22は、切削ツール1の内部要素に対して、かつ、螺旋状スプライン24の底部に対して付勢される。いかなる下向きの力も存在しない状態で、ばね20、22は、螺旋状スプライン24を、切削ツール1の底部から垂直方向上向きに押す。
【0036】
本発明のいくつかの実施形態は、回転ラチェット機構28をさらに備える。本発明の好ましい一実施形態において、2つの回転ラチェット機構28、30は、反対方向で使用され、一方が時計回りの回転を可能にし、もう一方が反時計回りの回転を可能にする。いくつかの実施形態では、第1の回転ラチェット28は、螺旋状スプライン24に機能的に連結される。いくつかの実施形態では、第2の回転ラチェット30は、垂直スプライン付き柱部32に機能的に連結される。本発明のいくつかの実施形態の二重ラチェット機構は、変位装置18の要素が上方向に動くとき、変位装置18が図2に示されるような流路変更装置8を反時計回り方向に回転させるが、流路変更装置8を時計回り方向に回転させずに、変位装置18の要素を下向きに動かすことを可能にする。したがって、本発明のいくつかの実施形態では、螺旋状スプライン24が上向きに動くとき螺旋状スプライン24が反時計回り方向に回転するように、第1の回転ラチェット28は、螺旋状スプライン24が上向きに動かされるときに係止される。
【0037】
いくつかの実施形態では、螺旋状スプライン24が反時計回り方向に回転するとき、垂直スプライン付き柱部32の垂直スプラインが、螺旋状スプライン24の内部垂直スプラインと動作可能に相互作用し、垂直スプライン付き柱部を反時計回り方向に回す。いくつかの実施形態の垂直スプライン付き柱部32は、流路変更装置の本体10に結合されるので、流路変更装置8も同様に反時計周り方向に回転させられ、好ましい実施形態では、流路変更装置は、ちょうど90°回転し、そのため、流路変更装置8の本体10に動作可能に連結された流路変更キャップ14は、切削ノズル4内への流体の通路46を有効に覆い穴開けノズル内への流体の流入を可能にする位置から、切削ノズル4への流体の流入が可能にされるが穴開けノズル6内への流入は可能にされない位置へと変位する。
【0038】
いくつかの実施形態では、流体が再導入されるとき、またはドリルステム2を通る切削ツール1内への流体の圧力が増大されるときに、流体は、ドリルステム2を通って切削ツール1に流入し、垂直スプライン付き柱部32内の小チャネルを通って流れる。そのため、流体は、切削ツール1内へ再導入される高圧流体が小チャネルを通って移動し、螺旋状スプライン36の頂部に力を加える。螺旋状スプライン36の頂部に力が加えられるとき、螺旋状スプライン24は、下方向に押される。螺旋状スプライン24が、システム内に導入される流体の圧力によって下方向に押されるとき、第1の回転ラチェット28を自由に動かすことが可能になり、そのため螺旋状スプライン24は、2重ばね付勢システム20、22に逆らって回転することなく下向きに動かされる。垂直スプライン付きナット32に動作可能に連結された第2の回転ラチェット機構30は、螺旋状スプライン24が下向き方向に動く間に、垂直スプライン付きナット32を回転させないよう係止するように動作する。
【0039】
本発明のいくつかの実施形態では、第1の回転ラチェット28は、螺旋状スプライン24を強制的に回転させる水圧が存在しない状態で、変位装置18が上向きに動くときに係止され、第2の回転ラチェット30は、反時計回り方向に自由に動くことが可能になり、変位装置18の垂直スプライン付き柱部32が反時計回り方向に回転することを可能にする。水圧がシステム内に再導入され、螺旋状スプライン24が下向き方向に動くとき、第1の回転ラチェット28は、自由に動くことが可能になり、第2の回転ラチェット30は係止され、螺旋状スプライン24の下向き運動中に、流路変更装置の回転を妨げる。
【0040】
本発明のいくつかの実施形態は、回転ラチェット手段28をさらに備える。本発明の好ましい一実施形態において、2つの回転ラチェット機構28、30は、反対方向で使用され、一方が時計回りの回転を可能にし、もう一方が反時計回りの回転を可能にする。いくつかの実施形態では、第1の回転ラチェット手段28は、螺旋状スプライン24に機能的に連結される。いくつかの実施形態では、第2の回転ラチェット手段30は、垂直スプライン付き柱部32に機能的に連結される。本発明のいくつかの実施形態の二重ラチェット機構は、変位装置18の要素が上方向に動くとき、変位装置18が図2に示されるような流路変更装置8を反時計回り方向に回転させることを可能にするが、流路変更装置8を時計回り方向に回転させずに、変位装置18の要素を垂直方向下向きに動かすことを可能にする。
【0041】
図2および図3は、流路変更手段を切削モードと穴開けモードの間で遠隔操作で変位させる手段の、一実施形態をさらに示す。いくつかの実施形態では、遠隔操作で変位させる手段は、少なくとも1つのばね20、および好ましくは2つのばね20、22を備える。2つのばね20、22が使用されるシステムでは、変位装置に対してばねを位置合せするための好ましい方法は、変位装置18の底部上のばねシステム20、22のねじり作用が最小限に抑えられるように、外側ねじ20および内側ねじ22を、外側ばね20の回転が内側ばね22の回転方向と反対になるように向けることである。
【0042】
流路変更手段を切削モードと穴開けモードの間で遠隔操作で変位させる手段の、いくつかの実施形態では、変位装置18のばね20、22は、螺旋状スプライン24の底部上にかかる回転力を低減させるように作用するスラスト軸受け26によって、螺旋状スプライン24の底部に接触する。流路変更手段を切削モードと穴開けモードの間で遠隔操作で変位させる手段の、いくつかの実施形態では、ばね20、22は、切削ツール1の内部要素に対して、かつ螺旋状スプライン24の底部に対して付勢される。いかなる下向きの力も存在しない状態で、ばね20、22は、螺旋状スプライン24を、切削ツール1の底部から垂直方向上向きに押す。
【0043】
流路変更手段を切削モードと穴開けモードの間で遠隔操作で変位させる手段のいくつかの実施形態は、回転ラチェット機構28をさらに備える。いくつかの実施形態では、第1の回転ラチェット28は、螺旋状スプライン24に機能的に連結される。流路変更手段を切削モードと穴開けモードの間で遠隔操作で変位させる手段のいくつかの実施形態では、第2の回転ラチェット30は、垂直スプライン付き柱部32に機能的に連結される。流路変更手段を切削モードと穴開けモードの間で遠隔操作で変位させる手段のいくつかの実施形態の二重ラチェット機構は、変位装置18の要素が上方向に動くとき、変位装置18が図2に示されるような流路変更装置8を反時計回り方向に回転させることを可能にするが、流路変更装置8を時計回り方向に回転させずに、変位装置18の要素が下向きに動くことを可能にする。
【0044】
流路変更手段を切削モードと穴開けモードの間で遠隔操作で変位させる手段のいくつかの実施形態では、螺旋状スプライン24が上方向に動くとき、螺旋状スプライン24が反時計回り方向に回転するように、第1の回転ラチェット28は、螺旋状スプライン24が上方向に動かされるとき係止される。流路変更手段を切削モードと穴開けモードの間で遠隔操作で変位させる手段のいくつかの実施形態では、螺旋状スプライン24が反時計回り方向に回転するとき、垂直スプライン付き柱部32の垂直スプラインが、螺旋状スプライン24の内部垂直スプラインと動作可能に相互作用し、垂直スプライン付き柱部を反時計回り方向に回す。いくつかの実施形態における垂直スプライン付き柱部32は、流路変更手段の本体10に結合されるので、流路変更装置8も同様に反時計周り方向に回転させられる。好ましい実施形態では、流路変更装置は、ちょうど90°回転し、そのため、流路変更装置8の本体10に動作可能に連結された流路変更キャップ14は、切削ノズル4内への流体の通路46を有効に覆い穴開けノズル内への流体の流入を可能にする位置から、切削ノズル4への流体の流入が可能にされるが穴開けノズル6内への流入は可能にされない位置へと変位する。
【0045】
流路変更手段を切削モードと穴開けモードの間で遠隔操作で変位させる手段のいくつかの実施形態では、流体が再導入されるとき、またはドリルステム2を通る切削ツール1内への流体の圧力が増大されるときに、流体は、ドリルステム2を通って切削ツール1に流入し、垂直スプライン付き柱部32内の小チャネルを通って流れる。そのため、流体は、切削ツール1内へ再導入される高圧流体が、小チャネルを通って移動し、螺旋状スプライン36の頂部に力を加える。螺旋状スプライン36の頂部に力が加えられるとき、螺旋状スプライン24は、下方向に押される。螺旋状スプライン24が、システム内に導入される流体の圧力によって下方向に押されるとき、第1の回転ラチェット28を自由に動かすことが可能になり、そのため螺旋状スプライン24は、2重ばね付勢システム20、22に逆らって回転することなく下向きに動かされる。垂直スプライン付きナット32に動作可能に連結された第2の回転ラチェット機構30は、螺旋状スプライン24が下向き方向に動く間に、垂直スプライン付きナット32を回転させないよう係止するように動作する。すなわち、流路変更手段を切削モードと穴開けモードの間で遠隔操作で変位させる手段のいくつかの実施形態では、第1の回転ラチェット手段28は、螺旋状スプライン24を強制的に回転させる水圧が存在しない状態で、変位装置18が上向きに動くときに係止され、第2の回転ラチェット30は、反時計回りに自由に動くことが可能になり、変位装置18の垂直スプライン付き柱部32が反時計回り方向に回転することを可能にする。水圧がシステム内に再導入され、螺旋状スプライン24が下向き方向に動くとき、第1の回転ラチェット手段28は、自由に動くことが可能になり、第2の回転ラチェット30は係止され、螺旋状スプライン24の下向き運動中に、流路変更手段の回転を妨げる。
【0046】
図3は、切削ツール1の一実施形態を示す。図3は、いくつかの実施形態で垂直スプライン付き柱部32と流路変更装置8の本体との間に存在する動作可能な関係に、特徴を加える。いくつかの実施形態では、垂直スプライン付き柱部32の回転を流路変更装置8の本体10の回転に変換する1組の垂直スプラインによって、流路変更装置8の本体10を、垂直スプライン付き柱部32に動作可能に連結させることができる。図3は、変位装置カラー部38の一実施形態をさらに示す。いくつかの実施形態で、変位装置カラー部38は、垂直スプライン付き柱部32を取り囲み、第2の回転ラチェット30を、垂直スプライン付き柱部32に接触させて保持する。いくつかの実施形態では、変位装置カラー部38は、切削ヘッド1内の流体が螺旋状スプライン36の頂面と接触することを可能にする小チャネル34を備えることができる。いくつかの実施形態では、変位装置38はまた、流路変更装置の本体10の底部を支持するように作用し、切削ツール1の本体内の特定の垂直公差を維持する。
【0047】
図3は、いくつかの実施形態で流路変更キャップ14に下向きの力を加えるために使用される、ばね作動されるシステム12をさらに示す図である。本発明のいくつかの実施形態における加力装置12は、流路変更装置の本体10および流路変更キャップ14の頂部に対して付勢されるばねで構成される。これにより、ばねは、流路変更キャップ14上に持続的な下向きの力を与える。流路変更キャップは、本発明のいくつかの実施形態において、加力装置12によって持続的に下向きに押されるので、回転的に変位する運動によって、流路変更キャップ14の傾斜縁部15の底部は、切削ツール1の本体を横切る径方向運動によって研磨される。この研磨効果は、時間が経つにつれて、流路変更キャップの封止能力を上昇させる。すなわち、いくつかの実施形態では、ツールを機能させるように切り替える能力は、時間が経っても低下しない。
【0048】
図4は、位置指標キー42の使用を示す図である。この位置指標キー42は、螺旋状スプライン24の本体から延びる1つまたは複数の柱部であり、変位装置18内または切削ヘッド1自体の本体内にあるノッチ44と動作可能に相互作用する。変位装置18の底部にある位置指標キー42は、本発明の実施形態の流路変更キャップ14が、穴開けおよび切削に対応する通路と適当に位置合せされるように、変位装置18が正確な回転位置へと回転することを保証する。変位装置18の適当な回転運動を保証するための、位置指標キー42/ノッチ44のシステムは、本発明のいかなる実施形態において、使用してもよく、使用しなくてもよい。
【0049】
図5は、本発明で使用することができるノズルを示す。ノズルは、穴開けノズル6または切削ノズル4として使用することができる。図示されるノズルは、切削ツール1に結合され、切削通路46または穴開け通路48から流体が流れることを可能にする。これにより、ノズルは、ドリルステム2を通って切削ツール1内に導入される流体を、切削ツール1の内部通路からノズル4、6を通して流し、コークスをコークスドラムから切り出すために使用することを可能にすることができる。図5に示すように、いくつかの実施形態では、ノズルの内部は、一連のより小さいストロー様の管によって特徴付けられる。本発明のいくつかの実施形態では、ストロー様の管の長さは、ノズル4、6を出る流体の層流を最大化するように改変される。すなわち、本発明のいくつかの実施形態では、穴開けノズル6または切削ノズル4を出る流体の層流が増大され、それにより、ドラム内のコークスの穴開けまたは切削ステップの効率を上昇させる。
【0050】
図5、図6、図6a、図6bは、本発明の第1のラチェット28および第2の回転ラチェット30の、好ましい実施形態を示す。いくつかの実施形態では、本発明の(1つまたは複数の)回転ラチェットは、外部レース50、係止ローラ52、および案内ディスク54、内部レース56、およびばね装荷されたプランジャ58で構成することができる。
【0051】
図7は、本発明の切削ツールの一実施形態を示す。特に、図7は、変位装置18を垂直に動かすために使用することができるばねシステムの追加の一実施形態に、特徴を加える。図7は、本発明の好ましい実施形態において使用することができる、窒素ばね23を示す。好ましい実施形態では、窒素ばねは、螺旋状スプライン24の底部上に上向きの力を加えるために使用される、チャンバ内に収容された高圧の不活性気体で構成される。好ましい実施形態では、窒素ばね内の圧力は、螺旋状スプライン24の上下運動が指定された所定の圧力を生じるように、慎重に計算される。いくつかの実施形態では、窒素ばね23は、より一定の圧力が変位装置の底部上にかけられるという、さらなる利点をもたらす。したがって、図7に示すような窒素ばね23は、穴開けおよび切削モードの間のより滑らかな変位を可能にするために、使用することができる。
【0052】
図8は、本発明による、流路変更装置および変位装置の一実施形態を示す。特に、図8は、小チャネル34内への流体の流れを制御するために、スリットを有するワッシャ50を使用することができる本発明の一実施形態に、特徴を加える。小チャネル34を通って流れることが可能な流体の速度を制御することによって、スリットを有するワッシャ50は、螺旋状スプライン36の頂部上に圧力がかけられる速度を制御する。したがって、いくつかの実施形態では、スリットを有するワッシャの使用により、本発明における穴開けモードと切削モードの間の、より滑らかでより制御された変位が可能になる。本発明のいくつかの実施形態は、いくつかの切削ツールでは、螺旋状スプライン36の頂部上に、より多くの水が流れ作用することを可能にすることができる。また、いくつかの実施形態では、螺旋状スプライン36上により少ない流体が作用することを可能にするように、ワッシャ50内のスリットの数およびサイズを利用および制御することを意図する。
【0053】
図7および図8は、いくつかの実施形態において流体が、本発明の移動するまたは機能的な部品のいずれかと接触することが妨げられることをさらに示す。すなわち、本発明の内部部品(例えば垂直スプライン付き柱部など)は、時間が経つにつれて従来技術の内部構成要素に機能不全の問題を生じるおそれがある水および/またはデブリから隔離される。本発明の内部要素は、水およびデブリから隔離されるので、それらの機能性および効率性は、製品の使用または時間とともに損なわれない。
【0054】
本発明のいくつかの実施形態では、本発明の様々な要素がかなりの期間にわたり交換を必要としなくなるように、発明の様々な要素は、耐久性を有する材料から構成される。例えば、本発明の螺旋状スプライン24は、耐久性を有する材料から構成することができ、かなりの期間にわたり、修理、機能不全、または交換なしで、穴開けモードと切削モードとの間で効率的かつ容易に切り替えることができるようにすることができる。同様に、本発明の切削ツールの別の要素も、当業界で知られる耐久性を有する材料から構成することができる。
【0055】
本発明は、ディレードコーカユニットの動作において、切削モードと穴開けモードの間で自動的に切り替わるための方法を提供する。いくつかの実施形態では、この方法は、ドリルステムおよび切削ユニットを手動で変更または点検するためにコークスドラムから持ち上げることを必要とせずに、デコーキング中に切削モードおよび/または穴開けモードを、操作者による遠隔操作で作動させる。したがって、いくつかの実施形態では、説明されるような方法は、デコーキングされるコークスドラムから切削ツールを持ち上げずに、穴開けと切削の間で切り替えることを含む。
【0056】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、高圧流体がディレードコーカユニットのドリルステムを流れ落ち切削ツール1に流入することを、操作者が可能にすることを含み、高圧流体は、切削ツール1内の穴開けノズル6から噴射されることが可能になるように、ドリルステム2を通り切削ツール1内へと、かつ切削ツール1の内部に位置する穴開け通路48内へと移動する。いくつかの実施形態では、切削ツール内に高圧流体が入ることが可能になるとき、高圧流体の一部が、変位装置カラー部38内の小チャネル34を通って切削ツール内に移動し、螺旋状スプライン36の頂部上に下向きの力を加える。螺旋状スプライン36上にかかる高圧力は、螺旋状スプライン24を、多数ばねシステム20、22の圧力に逆らって下向きに押す。本方法のこのステップの間は、切削ツール1の切削ノズルから流体を噴射することができない。
【0057】
本発明のいくつかの実施形態において、操作者は次いで、ドリルステム内への高圧流体の流れを、遮断または低減することができる。したがって、切削ツール1内への高圧流体の流れは、実質的に低減され、または終止される。いくつかの実施形態では、操作者が切削ヘッド1内への流体の流れを遮断または低減すると、変位装置カラー部38内の小チャネル34を通る流体の流れが低減され、ばねシステム20、22によってもたらされる上向きの力が螺旋状スプライン24を上方向に押し上げる程度まで、スプライン付き回転ナット36の頂部に加えられる下向きの圧力が低減される。螺旋状スプラインは、上方向に移動するとき、流路変更装置8の本体10を回転させ、それにより、流路変更装置8は、穴開けノズル内に流体が入ることを可能にする通路48を遮断し、切削ノズル4内に流体が入ることを可能にする切削通路46を開く。
【0058】
続いて、いくつかの実施形態では、操作者は、切削ツール内への流体の流れを増大させ、高圧流体がドリルステム2を通り切削ツール1内へ、かつ切削通路46を通り切削ノズル4へと流れるとき、切削ノズル4から高圧流体を噴射することを可能にすることができる。高圧流体が切削ヘッド内へと再導入されるとき、高圧流体の一部が、小チャネル34を通って変位装置カラー部38内を流れ、螺旋状スプライン36の頂部上に下向きの圧力を加え、それにより螺旋状スプライン24が、下向きに動き、高圧流体が遮断されるまで完全な押下位置に留まる。
【0059】
すなわち操作者の観点からいえば、ドリルステム2および切削ツール1をコークスドラム内に下げることができ、高圧流体を、切削ツール1内の1組の穴開けノズル6から噴射させることができる。操作者が、切削ツール1のモードを切削モードに変位させたい場合、操作者は、切削ツールへの流体の流れを低減または遮断し、本発明の変位装置が穴開けから切削に変位することを可能にし、次いで、高圧流体をドリルステム内に再導入し、切削ツールは、本発明の切削ノズルを通して高圧流体が噴射されることを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】切削ツールに結合されたドリルステムを示す図である。
【図2】本発明の実施形態の破断図であり、本発明のいくつかの実施形態を含むことができる様々な内部構成要素を示す図である。
【図3】本発明の実施形態の他の破断図であり、本発明のいくつかの実施形態の様々な内部構成要素を示す図である。
【図4】本発明の実施形態の他の破断図であり、本発明を構成することができる様々な内部構成要素を示す図である。
【図5】本発明のいくつかの実施形態において使用することができるノズルを示す図である。
【図6】本発明のいくつかの実施形態において使用することができる回転ラチェット機構の一実施形態を示す図である。
【図6a】本発明のいくつかの実施形態において使用することができる回転ラチェット機構の一実施形態を示す図である。
【図6b】本発明のいくつかの実施形態において使用することができる回転ラチェット機構の一実施形態を示す図である。
【図7】窒素ばねの使用を特に示す切削ツールの一実施形態を示す図である。
【図8】変位装置の一実施形態を示す図であり、螺旋状スプラインの頂部に接触する、流体の流れを制御するために使用されるスリットを有するワッシャの追加を特に示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コークスをコークス化容器から除去するためのシステムであって、
切削ヘッドと、
本体および流路変更キャップで構成される流路変更装置と、
変位装置と、
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記流路変更装置が、前記流路変更の前記本体と前記流路変更キャップとの間で付勢される加力装置をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記加力装置がばねである、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記流路変更キャップが傾斜縁部を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記変位装置が回転ラチェット機構を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記変位装置が、前記切削ツール内の水圧が低減されるときに前記変位装置を垂直に動かすための加力装置を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記加力装置がばねを備える、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記加力装置が複数のばねを備える、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記回転手段が螺旋状スプラインで構成される、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
コークスをコークス化容器から除去するためのシステムであって、
切削ヘッドと、
流路変更装置と、
前記流路変更装置を回転させるための、螺旋状スプラインおよび垂直スプライン付き柱部を有する変位装置と、
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項11】
前記変位装置が、前記切削ツール内の水圧が低減されるときに前記変位装置を垂直に動かすための加力装置をさらに備える、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記加力装置がばねである、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記加力装置が複数のばねである、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記加力装置が2つのばねであり、第1のばねが第2のばねの外側に巻き付けられる、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記変位装置がスラストベアリングをさらに備える、請求項10に記載のシステム。
【請求項16】
前記変位装置が回転ラチェット機構をさらに備える、請求項10に記載のシステム。
【請求項17】
前記変位装置が第2の回転ラチェット機構をさらに備える、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記変位装置が、前記変位装置を前記切削ツールの内部に結合させる変位装置カラー部をさらに備える、請求項10に記載のシステム。
【請求項19】
前記カラー部が、小チャネルを備え、
前記小チャネルは、流体が前記カラー部を通って流れて前記螺旋状スプラインの頂部に接触することを可能にする、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記変位装置が位置指標キーをさらに備える、請求項10に記載のシステム。
【請求項21】
コークスをコークス化容器から除去するためのシステムであって、
穴開け手段および切削手段を有し、コークスドラム内のコークスを切削する切削手段と、
流体の前記流れを、独占的に前記穴開け手段内へと、または独占的に前記切削手段内へと進路変更する流路変更手段と、
前記流路変更手段を切削モードと穴開けモードの間で遠隔操作で変位させる変位手段と、
を含むことを特徴とするシステム。
【請求項22】
流路変更手段が、
本体と、流路変更キャップと、前記本体と前記流路変更キャップとの間で付勢される加力装置とを備える、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記加力装置がばねである、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記流路変更キャップが傾斜縁部を有する、請求項21に記載のシステム。
【請求項25】
前記変位手段が回転ラチェット手段を備える、請求項21に記載のシステム。
【請求項26】
前記変位手段が前記切削ツール内の水圧が低減されるときに、前記変位手段を垂直に動かすための加力装置を備える、請求項21に記載のシステム。
【請求項27】
前記加力装置がばねを備える、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記加力装置が複数のばねを備える、請求項26に記載のシステム。
【請求項29】
前記回転手段が螺旋状スプラインで構成される、請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
コークスをコークス化ドラムから除去する間に、切削と穴開けを遠隔操作で切り替える方法であって、
切削ツールに流体を流入可能にすることと、
流路変更装置を使用することによって遮断が行われ、前記流体が切削ノズルを通って噴射されることを妨げること、
前記切削ヘッドに結合された穴開けノズルから高圧流体を噴射することと、
前記切削ヘッドへの流体の前記流れを低減することと、
加力装置が変位装置を垂直方向上向きに移動可能にすることと、
前記流路変更装置を変位装置の垂直運動により回転可能にし、その後に、高圧流体が前記穴開けノズルに到達することを妨げることと、
前記切削ヘッドへの流体の前記流れを増大させることと、
前記切削ヘッドに結合された切削ノズルから高圧流体を噴射することと、
を含むことを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−511671(P2009−511671A)
【公表日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−534686(P2008−534686)
【出願日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際出願番号】PCT/US2006/039008
【国際公開番号】WO2007/044477
【国際公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(505080736)カーティス−ライト フロウ コントロール コーポレイション (4)