コージェネレーションシステムの運転制御装置
【課題】コージェネレーションシステムの運転に好適なコージェネレーションシステムの運転制御装置を提供すること。
【解決手段】給湯負荷と水温又は外気温との相関関係を算出し、算出した相関関係に基づいて発電機8の運転パターンを決定するコージェネレーションシステム1の運転制御装置30Aにおいて、相関関係の決定係数が所定値より小さいときに(S5:NO)、過去の給湯負荷を平均処理し(S9)、平均処理した給湯負荷を賄うように発電機8の運転パターンを決定する(S10)運転制御プログラム35Aを設ける。
【解決手段】給湯負荷と水温又は外気温との相関関係を算出し、算出した相関関係に基づいて発電機8の運転パターンを決定するコージェネレーションシステム1の運転制御装置30Aにおいて、相関関係の決定係数が所定値より小さいときに(S5:NO)、過去の給湯負荷を平均処理し(S9)、平均処理した給湯負荷を賄うように発電機8の運転パターンを決定する(S10)運転制御プログラム35Aを設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予測対象日のエネルギー負荷パターンを予測してコージェネレーションシステムの運転を制御するコージェネレーションシステムの運転制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コージェネレーションシステムは、燃料電池が発電した電力を電力機器に供給して電力負荷を賄うとともに、燃料電池が発電時に発生する排熱を回収して熱機器に供給し、給湯負荷を賄うことから、次世代の省エネ機器として、家庭への実用化・普及が期待されている。コージェネレーションシステムは、発電電力を蓄電することができない。また、コージェネレーションシステムは、燃料電池が発生する排熱で水道水を加熱し、その湯を貯湯タンクに溜めて風呂の蛇口や台所の蛇口、床暖房などに供給するので、給湯負荷発生時刻に合わせて貯湯タンクに湯を溜めないと、放熱ロスを生じ、省エネ性が悪くなる。よって、家庭用のコージェネレーションシステムは、給湯負荷を精度良く予測し、予測給湯負荷を賄うように運転することにより、省エネ効果や経済効果が向上する。
【0003】
従来、コージェネレーションシステムの運転制御装置は、ニューラルネットワークや過去のデータ平均値などを用いてエネルギー負荷パターン(電力負荷パターンと給湯負荷パターン)を予測し、コージェネレーションシステムの運転制御をしていた(特許文献1〜特許文献5参照)。しかし、コージェネレーションシステムの運転制御装置に装備されるメモリ容量には制限があり、ニューラルネットワークやデータベースで取り扱うデータ量に制限があった。また、過去のデータの平均値を用いる場合、電力負荷や給湯負荷の使用条件が急激に変化しないことを前提とするため、使用者の生活パターンが変わる場合や、季節の変わり目で日ごとに給湯負荷が変化するような場合には、図14に示すように実際の給湯負荷と予測した給湯負荷との間に大きなズレが生じることがあった。
【0004】
この点、特許文献6に記載される家庭用コージェネレーションの運転制御装置は、エネルギー負荷と水温との相関関係に基づいて給湯負荷を予測し、コージェネレーションシステムの運転を制御する。給湯負荷は、一般的に、外気温が高ければ消費量が少なく、外気温が低ければ消費量が多くなる傾向がある。そして、水温は外気温に応じて変化する。よって、エネルギー負荷と水温との相関関係を用いれば、少ないデータ量で給湯負荷を精度良く予測することができる。
【0005】
また、特許文献6に記載される家庭用コージェネレーションシステムの運転制御装置は、予測対象日の時間サイクルを変えながら一次エネルギーを算出し、一次エネルギーが最小になる時間サイクルを決定して運転パターンを決定する。そのため、予測対象日の時間サイクルは、使用者の生活パターンに合わせて変更できる。よって、特許文献6に記載される家庭用コージェネレーションシステムの運転制御装置によれば、使用者の生活パターンに従った運転制御を行うことができ、省エネ性や経済性が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−276460号公報
【特許文献2】特開平11−125448号公報
【特許文献3】特開2003−45460号公報
【特許文献4】特開2002−335627号公報
【特許文献5】特開2004−48838号公報
【特許文献6】特開2006−90240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献6に記載される家庭用コージェネレーションシステムの運転制御装置は、以下の問題があった。
(a)例えば、使用者の生活パターンが夜型から朝型に変わった場合や、夏休みなどで子供が帰省して家族が増えた場合には、図14に示すように給湯負荷の予測値と給湯負荷の実際値との間にズレが生じていた。この場合のズレは、水温に関係なく、使用者の生活パターンや構成の変更等に因るところが大きく、図15に示すように、水温と給湯負荷との相関関係が弱い。よって、特許文献6に記載される家庭用コージェネレーションシステムの運転制御装置のように給湯負荷と外気温又は水温との相関式を算出し、その相関式に基づいて給湯負荷を予測しても、給湯負荷予測が外れ、コージェネレーションシステムを効率よく運転できないことがあった。
【0008】
(b)また、風呂負荷は、ある時期(季節)を境に使用、或いは不使用になるが(冬は湯はりを行うが、夏はシャワーのみで湯はりを行わない)、そのタイミングは使用者の感覚による。そのため、特許文献6に記載される家庭用コージェネレーションシステムの運転制御装置は、風呂負荷が変化するタイミングを見誤り、図14に示すように給湯負荷予測が外れることがあった。
【0009】
(c)また、特許文献6に記載される家庭用コージェネレーションシステムの運転制御装置は、時間サイクルを1時間ずつずらして一次エネルギーを計算し、時間サイクルを決定するため、コージェネレーションシステムを効率よく運転するための時間サイクルの決定方法が複雑であった。
【0010】
(d)また、家庭のエネルギー需要は日々変化し、給湯負荷予測が外れることがある。特許文献6に記載される家庭用コージェネレーションシステムの運転制御装置は、エネルギー需要予測が外れたときの対処方法は規定しておらず、予測が外れた際には省エネ性が大きく低下する問題があった。具体的には、例えば、風呂時刻より早く貯湯タンクが満タンになると、放熱ロスを生じ、省エネ性が低下する。一方、風呂時刻に貯湯タンクの湯が不足すると、水道水をバーナで加熱して湯を供給したり、電力負荷が小さいのに発電機8の出力を上げる必要がある。
【0011】
(e)更に、風呂負荷が発生する風呂時刻にバラツキがある場合、予測した風呂負荷が予測した風呂時刻に発生しないことがある。特許文献6に記載される家庭用コージェネレーションシステムの運転制御装置は、かかる不具合について何ら考慮しておらず、風呂時刻の予測が外れた場合には、発電機の出力を頻繁に変えたり、発電機の起動と停止を繰り返すなどして、湯切れやタンク満タン状態を回避していた。
【0012】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、コージェネレーションシステムの運転に最適なコージェネレーションシステムの運転制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係るコージェネレーションシステムの運転制御装置は、次のような構成を有している。
(1)上記課題(a)を解決するために、給湯負荷と水温又は外気温との相関関係を算出し、算出した相関関係に基づいて発電機の運転パターンを決定するコージェネレーションシステムの運転制御装置において、前記相関関係の決定係数が所定値より小さいときに、過去の給湯負荷を平均処理し、平均処理した給湯負荷を賄うように前記発電機の運転パターンを決定する運転制御プログラムを有することを特徴とする。尚、本明細書において、「給湯負荷」は「風呂負荷」を含むものとする。
【0014】
(2)(1)に記載の発明において、前記給湯負荷が風呂負荷であることを特徴とする。
【0015】
(3)上記課題(b)を解決するために、予測対象日のエネルギー負荷パターンを予測して発電機の運転パターンを決定するコージェネレーションシステムの運転制御装置において、前記風呂負荷データを前記データ蓄積手段に蓄積する蓄積有無が変化したときに、喫緊の給湯負荷データの平均値を用いて予測対象日の給湯負荷を予測し、給湯負荷の予測値を賄うように前記発電機の運転パターンを決定する運転制御プログラムを有することを特徴とする。
【0016】
(4)(3)に記載の発明において、前記運転制御プログラムは、前記蓄積有無が変化したときに、前記喫緊の給湯負荷データ以外の給湯負荷データを破棄することを特徴とする。
【0017】
(5)上記課題(c)を解決するために、予測対象日のエネルギー負荷パターンを予測して発電機の運転パターンを決定するコージェネレーションシステムの運転制御装置において、予測対象日翌日の午前中に給湯負荷があるときに、予測対象日の最終給湯負荷時刻から前記午前中の給湯負荷を賄うように前記発電機を運転した場合の一次エネルギー消費量と、前記午前中の給湯負荷が発生する時刻から遡って前記午前中の給湯負荷を賄うように前記発電機を運転した場合の一次エネルギー消費量とを比較し、前記一次エネルギー量が小さくなる時間サイクルを選択し、前記発電機の運転パターンを決定する運転制御プログラムを有することを特徴とする。尚、本明細書において、「時間サイクル」とは、予測対象日の開始時刻から最終時刻までの時間範囲をいう。
【0018】
(6)上記課題(d)を解決するために、予測対象日のエネルギー負荷パターンを予測して発電機の運転パターンを決定するコージェネレーションシステムの運転制御装置において、貯湯タンクのタンク残熱とタンク残熱の予測値との乖離が一定量を超えたときに、前記発電機の出力を変更する運転制御プログラムを有することを特徴とする。
【0019】
(7)(6)に記載の発明において、前記運転制御プログラムは、前記乖離が一定量を超えたときが風呂負荷発生前であり、且つ、前記貯湯タンクが満タンになると判断したときに、前記貯湯タンクが満タンになるタンク満タン時刻から遡って前記発電機の出力を抑制するものであることを特徴とする。
【0020】
(8)(6)に記載の発明において、前記運転制御プログラムは、前記乖離が一定量を超えたときが風呂負荷発生後であり、且つ、予測対象日当日に前記発電機を停止する停止時における前記貯湯タンクのタンク残熱が予測したタンク残熱より大きくなると判断したときに、前記停止時から遡って前記発電機の出力を抑制するものであることを特徴とする。
【0021】
(9)(6)乃至(8)の何れか一つに記載の発明において、前記運転制御プログラムは、前記乖離が小さくなったときに、前記発電機の出力抑制を解除するものであることを特徴とする。
【0022】
(10)上記課題(e)を解決するために、予測対象日のエネルギー負荷パターンを予測して発電機の運転パターンを決定するコージェネレーションシステムの運転制御装置において、風呂時刻のバラツキが大きいときに、風呂時刻の平均値から標準偏差分だけ時間を減算して第1風呂候補時刻を算出し、前記第1風呂候補時刻を風呂時刻に設定して前記発電機の運転パターンを決定する運転制御プログラムを有することを特徴とする。
【0023】
(11)(10)に記載の発明において、前記運転制御プログラムは、前記風呂時刻の平均値を風呂時刻として前記発電機の運転パターンを仮決めしたときの貯湯タンクのタンク残熱を算出し、前記貯湯タンクのタンク残熱が、前記貯湯タンクのタンク満タン量に対して所定の割合を常に超えると判断したときに、前記第1風呂候補時刻から、前記風呂時刻の平均値に標準偏差分だけ時間を加算した第2風呂候補時刻まで、前記発電機を最低出力で運転するものであることを特徴とする。
【0024】
(12)(10)又は(11)に記載の発明において、前記運転制御プログラムは、予測対象日当日に風呂負荷が発生した後、前記発電機を電力負荷追従運転に変更するものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
上記課題(a)を解決するためになされた本発明に係るコージェネレーションシステムの運転制御装置は、給湯負荷と水温又は外気温との相関関係が弱く、給湯負荷予測が外れる可能性が高い場合には、過去の給湯負荷を平均処理して求めた給湯負荷を賄うように発電機の運転パターンを用いる。そのため、例えば、季節の変わり目など、給湯負荷の変動が大きく、給湯負荷を予測しにくい場合でも、給湯負荷の予測が大きく外れることを防いで予測精度を向上させ、コージェネレーションシステムを効率よく運転することができる。
【0026】
特に、家庭にコージェネレーションシステムを導入した場合、風呂負荷が家庭の給湯負荷に対して大きな割合を占める。本発明に係るコージェネレーションシステムの運転制御装置は、風呂負荷と水温又は外気温との相関関係を求め、相関関係が弱いときに平均処理した風呂負荷に基づいて発電機の運転パターンを決定すれば、風呂負荷の予測値が実際の風呂負荷に近づき、予測精度を向上させることができる。
【0027】
また、上記課題(b)を解決するためになされた本発明に係る家庭用コージェネレーションシステムの運転制御装置によれば、例えば、風呂負荷が有る状態から無い状態に変化したとき、或いは、風呂負荷が無い状態から有る状態に変化したときには、喫緊の給湯負荷データの平均値を用いて予測対象日の給湯負荷を予測し、給湯負荷の予測値を賄うように発電機の運転パターンを決定するので、風呂の使用傾向が変わった場合でも、予測対象日に近似する給湯負荷データを用いて予測対象日の給湯負荷を精度良く予測することができ、コージェネレーションシステムを効率良く運転することができる。
【0028】
しかも、風呂負荷データの蓄積の有無が変化したときには、喫緊の風呂負荷データ以外の風呂負荷データを破棄するので、少ない記憶容量でも給湯負荷の精度を向上させることができる。
【0029】
また、上記課題(c)を解決するためになされた本発明に係るコージェネレーションシステムの運転制御装置は、予測対象日翌日の午前中に給湯負荷があるときに、その午前中の給湯負荷を賄うように予測対象日の最終給湯負荷時刻から発電機を運転した場合の一次エネルギー消費量と、予測対象日翌日の午前中に給湯負荷が発生する時刻から遡って発電機を運転した場合の一次エネルギー消費量とを比較し、一次エネルギー消費量が小さくなる時間サイクルを選択して発電機の運転パターンを決定するので、計算回数や取扱データ数を減らしつつ、コージェネレーションシステムを使用する使用者の生活パターンに合わせて発電機の運転パターンを決定することができ、コージェネレーションシステムを効率よく運転することができる。
【0030】
また、上記課題(d)を解決するためになされた本発明に係るコージェネレーションシステムの運転制御装置は、貯湯タンクのタンク残熱を算出し、そのタンク残熱がタンク残熱の予測値と一定量を超えて乖離したときに、発電機の出力を変更する。そのため、本発明に係るコージェネレーションシステムの運転制御装置によれば、発電機の出力を変更することにより給湯負荷の予測外れを事後的に是正し、コージェネレーションシステムを効率よく運転することができる。
【0031】
この場合、一定量を超える乖離が風呂負荷前に発生し、且つ、貯湯タンクが満タンになると判断したときに、貯湯タンクが満タンになるタンク満タン時刻から遡って発電機の出力を抑制するようにすれば、風呂負荷に使用する以外の熱の回収量を減らして放熱損が大きくなることを防ぎ、高い省エネ性を得ることができる。
【0032】
また、一定量を超える乖離が風呂負荷後に発生し、且つ、予測対象日当日に発電機を停止する停止時における貯湯タンクのタンク残熱が予測したタンクタンク残熱より大きくなると判断したときに、当該停止時から遡って発電機の出力を抑制するようにすれば、予測対象日当日に消費できない熱を貯湯タンクに蓄熱して放熱損が大きくなることを防ぎ、高い省エネ性を得ることができる。
【0033】
更に、乖離が小さくなったときに、発電機の出力抑制を解除し、運転パターンに従って貯湯タンクに熱回収するので、貯湯タンクの満タン状態を防ぎつつ、給湯負荷を賄うために必要な熱を回収することができる。
【0034】
また、上記課題(e)を解決するためになされた本発明に係るコージェネレーションシステムの運転制御装置は、風呂時刻のバラツキが大きく、風呂時刻の予測が外れやすいときに、風呂時刻の平均値から標準偏差分だけ時間を減算して第1風呂候補時刻を算出し、第1風呂候補時刻を風呂時刻に設定して発電機の運転パターンを決定するので、発電機の出力を頻繁に変更したり、発電機の起動と停止を繰り返さなくても、湯切れやタンク満タン状態を回避でき、コージェネレーションシステム1を効率よく運転することができる。
【0035】
これに加え、風呂時刻の平均値を風呂時刻として発電機の運転パターンを仮決めして、貯湯タンクのタンク残熱を算出し、その貯湯タンクのタンク残熱が貯湯タンクのタンク満タン量に対して所定の割合を常に超える場合には、第1風呂候補時刻に風呂負荷が発生しないと、貯湯タンクが満タンになって放熱損を生じる恐れがある。この場合には、風呂時刻の平均値に標準偏差分だけ時間を加算して第2風呂候補時刻を設定し、第1風呂候補時刻から第2風呂候補時刻まで発電機を最低出力で運転する。よって、本発明に係るコージェネレーションシステムの運転制御装置によれば、湯切れとタンク満タン状態を防ぎつつ、予測対象日の電力負荷と給湯負荷をコージェネレーションシステムで賄うことができ、高い省エネ性を確保できる。
【0036】
更に、予測対象日当日に風呂負荷が発生した後には、発電機を電力負荷追従運転に変更するので、風呂負荷が発生した後に余分な熱を貯湯タンクに貯めて、放熱損を発生する不具合を回避できる。
【0037】
尚、本願発明は、具体的課題が一見異なるが、予測外れに対する対応策を講じてコージェネレーションシステムの効率的な運転を実現しようとする点では課題が共通している。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の第1実施形態に係るコージェネレーションシステムの概略構成図である。
【図2】図1に示すコージェネレーションシステムの運転を制御する運転制御装置の電気ブロック図である。
【図3】図2に示す運転制御プログラムのフロー図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係るコージェネレーションシステムの運転を制御する運転制御装置に格納される運転制御プログラムのフロー図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係るコージェネレーションシステムの運転を制御する運転制御装置に格納される運転制御プログラムのフロー図である。
【図6】風呂負荷の実際値と予測値との関係の一例を示す図であり、縦軸に風呂負荷(MJ)を示し、横軸に日付を示す。
【図7】本発明の第4実施形態に係るコージェネレーションシステムの運転を制御する運転制御装置に格納される運転制御プログラムのフロー図である。
【図8】図5に示す運転制御プログラムの実行時に予測対象日翌日の午前中に発生する給湯負荷を賄う運転の概念図であり、縦軸に電力(W)を示し、横軸に時刻を示す。
【図9】本発明の第5実施形態に係るコージェネレーションシステムの運転を制御する運転制御装置に格納される運転制御プログラムのフロー図である。
【図10】本発明の第6実施形態に係るコージェネレーションシステムの運転を制御する運転制御装置に格納される運転制御プログラムのフロー図である。
【図11】風呂時刻の標準正規分布の一例を示す図であり、縦軸に発生確率を示し、横軸に時刻を示す。
【図12】図10に示す運転制御プログラム35Fにより決定された運転パターンの一例を示す図であり、縦軸にタンク残熱を示し、横軸に時刻を示す。
【図13】図10に示す運転制御プログラム35Fにより決定された運転パターンの一例を示す図であり、縦軸にタンク残熱を示し、横軸に時刻を示す。
【図14】総給湯負荷の実際値と予測値との関係の一例を示す図であり、縦軸に総給湯負荷(MJ)を示し、横軸に日付を示す。
【図15】水温と給湯負荷との関係の一例を示す図であり、縦軸に給湯負荷(MJ)を示し、横軸に水温(℃)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
次に、本発明に係るコージェネレーションシステムの運転制御装置の実施形態について図面を参照して説明する。
【0040】
(第1実施の形態)
図1は、コージェネレーションシステム1の概略構成図である。
第1実施形態に係るコージェネレーションシステム1の運転制御装置30Aは、予測対象日の給湯負荷を予測して発電機8(燃料電池、ガスエンジンなど)の運転パターンを作成し、コージェネレーションシステム1の運転制御を行うものである。運転制御装置30Aは、特に、水温と給湯負荷との間に相関関係がないときに、喫緊の給湯負荷を平均処理して運転パターンを作成する点に特徴を有している。
【0041】
(コージェネレーションシステムの概略構成)
図1に示すコージェネレーションシステム1は、容量が100〜200Lの貯湯タンク2を備える。貯湯タンク2は、底部に接続する水道管3から水道水を供給されて常時満水状態にされている。貯湯タンク2の底部と頂部には、循環配管4が接続し、循環配管4に設置された第1ポンプ5を駆動することにより、貯湯タンク2の水を底部から取り出して上部に戻すようになっている。循環配管4は、第1ポンプ5の下流側に熱交換器6が設置され、熱交換器6を介して熱回収用循環配管7と連結している。熱回収用循環配管7は、発電機8に接続し、第2ポンプ9を駆動することにより熱回収用循環配管7を循環する循環水が発電機8の排熱を回収するようになっている。従って、発電機8が発電しているときに、第1ポンプ5と第2ポンプ9を駆動すれば、発電機8の排熱により熱回収用循環配管7の循環水を加熱し、熱交換器6において熱回収用循環配管7の循環水から循環配管4の水に熱伝達して、給湯水を貯湯タンク2に貯めることができる。
【0042】
貯湯タンク2の上部には、給湯管10が接続している。給湯管10は、汎用給湯管10Aと風呂専用給湯管10Bとを備える。
【0043】
汎用給湯管10Aは、台所11A、洗面台11Bなど、風呂16以外の熱機器に給湯水を供給するようになっている。汎用給湯管10Aの給湯温度は、給湯温度センサ12により検出され、給湯温度が設定温度より高温の場合には、三方弁13で常温の水道水を加え、また、給湯温度が設定温度より低温の場合には、ガスボイラ14で給湯水を加熱するようにしている。このとき、熱機器11が消費する湯量(汎用給湯負荷)は、三方弁13の下流側に設置された流量計15によって計測される。
【0044】
風呂専用給湯管10Bは、風呂16に給湯水を供給するようになっている。風呂専用給湯管10Bの給湯温度は、給湯温度センサ12により検出され、給湯温度が設定温度より高温の場合には、三方弁13で常温の水道水を加え、また、給湯温度が設定温度より低温の場合には、ガスボイラ14で給湯水を加熱するようにしている。このとき、風呂16が消費する湯量(風呂負荷)は、流量計19によって計測される。
尚、第1実施形態において、汎用給湯負荷と風呂負荷とを合わせたものを「給湯負荷」というものとする。
【0045】
一方、貯湯タンク2の貯湯量は、給湯水と水道水の境界面を貯湯温度センサ20で感知することにより検出される。また、水道水の温度は、水道管3に取り付けられた水温計21によって検出されている。
【0046】
発電機8には、発電出力を取り出す電力線22が接続され、分電盤23に接続されている。分電盤23は、商用電力を供給する商用電力線24にも接続し、発電出力と商用電力とを連系して照明器具、テレビ、エアコン、パソコンなどの電力機器25に発電出力又は商用電力を供給するようになっている。分電盤23には、電力計26が設置され、電力機器25が消費した電力量(電力負荷)を計測している。
【0047】
上記発電機8、給湯温度センサ12、三方弁13、ガスボイラ14、流量計15、給湯温度センサ17、三方弁18、流量計19、貯湯温度センサ20、水温計21、分電盤23、電力計26等には、運転制御装置30Aが接続している。
【0048】
(運転制御装置の制御ブロック)
図2は、運転制御装置30Aの電気ブロック図である。
運転制御装置30Aは、周知のマイクロコンピュータであって、入出力インターフェース31、CPU32、ROM33、RAM34を内蔵する。入出力インターフェース31は、給湯温度センサ12、流量計15、給湯温度センサ17、流量計19、貯湯温度センサ20、水温計21、電力計26などに接続し、信号を入力する。ここで、「入力データ」とは、エネルギー負荷データ、貯湯温度データ、給湯量データ、水温(外気温)データ、給湯温度データ等の各センサが検出したデータ、及び、初期データなど使用者等によって入力されたデータをいうものとする。 「エネルギー負荷データ」には、電力負荷を測定した電力負荷データと給湯負荷を測定した給湯負荷データが含まれるものとする。
【0049】
また、入出力インターフェース31は、発電機8、三方弁13、ガスボイラ14、三方弁18、分電盤23などに接続し、信号を出力する。ここで、「出力データ」とは、発電機8を運転制御する運転制御データ、三方弁13,18やガスボイラ14、分電盤23など制御機器の動作を制御するデータ、他の制御装置に送信される送信データなど、運転制御装置30Aの外部に出力されるデータをいうものとする。
【0050】
ROM33には、コージェネレーションシステム1を運用する上で必要な各種プログラムを記憶する読み込み専用の不揮発性メモリである。第1実施形態では、運転制御プログラム35AがROM33に格納されている。運転制御プログラム35Aについては後述する。
RAM34は、ROM33のプログラム等を実行する上で必要なデータやプログラムを一時的に格納したり、各種データを蓄積して記憶する読み書き可能な揮発性メモリである。
HDD37は、データやプログラムを読み書き可能な不揮発性メモリである。HDD37には、データベース36が設けられている。データベース36には、電力負荷データや給湯負荷データ、風呂負荷データなど各種データが蓄積して記憶される。この意味で、データベース36は、「データ蓄積手段」に相当する。
【0051】
(運転制御プログラム)
図3は、図2に示す運転制御プログラムのフロー図である。
運転制御装置30Aは、予測対象日前日の所定時間になると、運転制御プログラム35AをROM33から読み出して実行する。
【0052】
運転制御プログラム35Aは、先ずステップ1(以下「S1」と略記する。)において、所定間隔の積算(平均)データとして、流量計15,19が計測する給湯負荷データと、水温形21が計測する水温データを蓄積してデータベース36に記憶する。所定間隔は、任意に設定することが可能であり、一般的なマイクロコンピュータのデータ容量を考慮すると、30分〜2時間に設定することが望ましい。第1実施形態では、所定間隔を1時間に設定する。
【0053】
そして、S2において、予測対象日と同曜日の給湯負荷データと水温データをデータベース36から所定期間の分だけ読み込む。ここで、「予測対象日」とは、発電機8を運転パターンに従って運転制御する予定の日をいう。第1実施形態では、運転パターン作成日の翌日を予測対象日とする。予測対象日と同曜日のデータを読み込むのは、家庭生活が曜日毎にパターン化されていると考えられるからである。「所定期間の分」は、任意に設定することができるが、過去の給湯負荷データと水温データのバラツキや気候変動、計算回数などを考慮すると、過去4〜12週分であることが望ましい。第1実施形態では、所定期間を4週間に設定している。
【0054】
そして、S3において、予測対象日の喫緊の水温データをデータベース36から読み込む。「予測対象日の喫緊の水温データ」とは、季節の変わり目など気候が大きく変動することを考慮して、予測対象日から3日〜1週間前までの水温データをいう。第1実施形態では、予測対象日から5日前までの水温データを読み込む。
【0055】
そして、S4において、S2で読み込んだ給湯負荷データと水温データとから最小二乗法を用いて各時間帯の相関式(給湯負荷=a×水温+b)を算出する。水温データ及び給湯負荷データは、曜日や時間毎にバラツキを生じるからである。そして、S5において、当該時間帯の決定係数を算出し、その決定係数が所定値以上であるか否かを判断する。「所定値」は、給湯負荷と水温との相関の強さを決めるために任意に設定可能であり、第1実施形態では、0.5とする。
【0056】
決定係数が0.5以上である場合には(S5:YES)、S6において、予測対象日の水温として、S3で読み込んだ喫緊の水温データを平均化したものを予測対象日の水温として使用する。この理由は、例えば季節の変わり目など気候が急激に変わるときには、水温変動が大きく、過去数週間前の水温データを使用すると、予測対象日の水温の予測値が実際の水温から大きく外れる恐れがあるため、喫緊の水温データを平均化して使用することにより、水温の予測値が実際の水温から大きく外れしないようにするためである。そして、S7において、S4で算出した相関式と、S6で算出した予測対象日の水温から、予測対象日の当該時間帯の給湯負荷を算出する。そして、S8において、予測対象日の最終時刻まで給湯負荷を算出したか否かを判断する。予測対象日の最終時刻まで給湯負荷を算出していない場合には(S8:NO)、S4に戻り、次の時間帯における給湯負荷を算出する。
【0057】
これに対して、決定係数が0.5以上でないと判断した場合には(S5:NO)、給湯負荷と水温との相関関係が強くないので、上述したように相関関数を用いて予測対象日の給湯負荷を予測しても、予測外れする可能性が高い。そこで、この場合には、S9において、予測対象日の生活パターンが同様であると考えられる予測対象日と同曜日の4週分に対応する給湯負荷データをデータベース36から読み込んで平均処理し、予測対象日の給湯負荷を予測する。すなわち、水温データを用いずに給湯負荷データのみで給湯負荷を予測する。それから、S8において、予測対象日の最終時刻まで給湯負荷を算出したか否かを判断する。予測対象日の最終時刻まで給湯負荷を算出していない場合には(S8:NO)、S4に戻り、次の時間帯における給湯負荷を算出する。
【0058】
上記のようにして、予測対象日の開始時刻から終了時刻までの各時間帯について給湯負荷を算出していく。予測対象日の最終時刻まで給湯負荷を算出し終わったら(S8:YES)、S10へ進み、S4〜S9の処理で算出した給湯負荷を用いて、運転制御の基本ロジックに基づいて発電機8の予測対象日の運転パターンを決定する。ここで、運転制御の基本ロジックは、従来より種々のものが提案されているため(例えば従来技術1〜5など)、詳細な説明を省略する。一例を挙げて簡単に説明すると、例えば、予測対象日の給湯負荷を賄うように発電機8の起動・停止時刻をずらしながら運転パターンを複数仮決定して、各運転パターンの一次エネルギー量を算出し、一次エネルギー量が最小となる運転パターンを予測対象日の運転パターンに本決定する。こうして予測対象日における発電機8の運転パターンを決定したら、処理を終了する。
【0059】
(作用効果)
従って、第1実施形態のコージェネレーションシステム1の運転制御装置30Aは、図15に示すように給湯負荷と水温又は外気温との相関関係が弱く、給湯負荷予測が外れる可能性が高い場合には、過去の給湯負荷を平均処理して求めた給湯負荷を賄うように発電機8の運転パターンを用いる(図3のS5:NO,S9、S10参照)。そのため、例えば、季節が春から夏へ移り変わる時期や、子供が夏休みに帰省して家族構成が変わった場合など、給湯負荷の変動が大きく、給湯負荷を予測しにくい場合でも、給湯負荷を平均処理したものを用いて発電機8の運転パターンを決定することにより、給湯負荷の予測が実際の給湯負荷から大きく外れることを防いで給湯負荷の予測精度を向上させ、コージェネレーションシステム1を効率よく運転することができる。
【0060】
(第2実施形態)
次に、本発明に係るコージェネレーションシステムの運転制御装置の第2実施形態について図面を参照して説明する。図4は、第2実施形態に係るコージェネレーションシステム1の運転制御装置30Bに格納される運転制御プログラム35Bのフロー図である。
第2実施形態の運転制御装置30Bは、風呂負荷と水温との相関関係を基準に給湯負荷を予測する点が第1実施形態と相違する。よって、ここでは、第1実施形態と相違する点を中心に説明し、第1実施形態と同一の構成には同一符号を図面に用いて説明を適宜省略する。
【0061】
風呂負荷は、給湯負荷に占める割合が大きく、風呂負荷の予測が外れると、給湯負荷の予測が外れる可能性が高い。そのため、図4に示す運転制御プログラム35Bは、風呂負荷に着目して発電機8の運転パターンを決定する。
【0062】
(運転制御プログラム)
具体的には、運転制御プログラム10Bは、図4に示すS11において、流量計19の計測結果に基づいて、半日或いは1日の積算(平均)データとして風呂負荷を蓄積してデータベース化する。第1実施形態と比べてデータ数が少なくてよいのは、風呂負荷は、1日に1回〜数回程度しか発生しないため、第1実施形態のように給湯負荷を基準とする制御のように積算時間を細かく区分する必要がないからである。
【0063】
そして、S12において、予測対象日と同曜日の風呂負荷データ、水温データ(過去4〜12週分)をデータベース36から読み込む。尚、データは、予測対象日に対して喫緊の一週間のデータをデータベース36から読み込んでもよい。そして、S13において、予測対象日の喫緊の水温データ(3日分〜1週間分)をデータベース36から読み込む。そして、S14において、S12にて読み込んだ風呂負荷データと水温データから積算時間帯毎に最小二乗法等を用いて相関式を算出する。このとき、水温データは、風呂負荷の発生した時間帯の平均水温とする。
【0064】
そして、S15において、S14で求めた相関式から決定係数を算出し、その決定係数が所定値以上か否かを判断する。「所定値」は、風呂負荷データと水温データとの相関の強さを調べるために任意に設定可能であり、第2実施形態では0.5とする。
【0065】
決定係数が0.5以上である場合には(S15:YES)、風呂負荷と水温との相関が強く、過去のデータを使用して風呂負荷を予測しても外れにくい。そこで、S16において、S13でデータベース36から読み込んだ喫緊の水温データを平均化して各時間帯の水温を求め、求めた水温をS14で算出した相関式に当てはめ、予測対象日の風呂負荷を算出する。その後、S17において、S16で算出した風呂負荷を賄うように、運転制御ロジックに基づいて予測対象日における発電機8の運転パターンを決定し、処理を終了する。運転制御ロジックは、既知であるので、説明を省略する。
【0066】
これに対して、決定係数が0.5未満である場合には(S15:NO)、風呂負荷と水温との相関が弱く、S14で算出した相関式を用いて風呂負荷を予測しても、予測が外れる可能性が高い。そこで、S18において、喫緊(例えば予測対象日前の3日分)の給湯負荷データをデータベース36から読み込んで平均処理し、予測対象日の風呂負荷を算出する。そして、S17において、平均処理で求めた予測対象日の風呂負荷を賄うように、運転制御の基本ロジックに基づいて発電機8の翌日の運転パターンを決定し、処理を終了する。尚、運転制御の基本ロジックは既知であるので説明を省略する。
【0067】
(作用効果)
家庭にコージェネレーションシステム1を導入した場合、風呂負荷が家庭の給湯負荷に対して大きな割合を占める。そのため、例えば、季節が春から夏に移行するときには、使用者が風呂16に湯張りをする入浴方法から湯張りしない入浴方法に移行し、風呂16の使用形態が変化するときがある。また例えば、季節が夏から秋に移行するときには、使用者が風呂16に湯張りをしない入浴方法から湯張りする入浴方法に移行し、風呂16の使用形態が変化するときがある。これら使用傾向の変化は、水温や外気温と必ずしも関係なく、使用者の感覚によるところが大きく、予測しにくい。
【0068】
この点、第2実施形態に係るコージェネレーションシステム1の運転制御装置30Bは、風呂負荷と水温との相関が弱いときに、風呂負荷データを平均処理して求めた風呂負荷予測値に基づいて発電機8の運転パターンを決定する(図4のS15:YES、S18,S19参照)。そのため、第2実施形態に係るコージェネレーションシステム1の運転制御装置30Bによれば、季節の変わり目で風呂負荷を予測しにくい場合でも、風呂負荷の予測値を実際の風呂負荷に近づけ、給湯負荷の予測精度を向上させることができる。
【0069】
(第3実施形態)
次に、本発明に係るコージェネレーションシステムの運転制御装置の第3実施形態について図面を参照して説明する。図5は、第3実施形態に係るコージェネレーションシステム1の運転を制御する運転制御装置30Cに格納される運転制御プログラム35Cのフロー図である。図6は、風呂負荷の実際値と予測値との関係の一例を示す図であり、縦軸に風呂負荷(MJ)を示し、横軸に日付を示す。
【0070】
例えば、季節の変わり目になり、使用者が湯張りする入浴方法から湯張りしない入浴方法に変えると、図6に示すように、ある日突然に実際の風呂負荷がなくなり、風呂16の使用傾向が変化することがある。この変化は、必ずしも水温と関係せず、使用者の感覚によるところが大きい。そこで、第3実施形態の運転制御装置30Cは、風呂負荷の有無によって給湯負荷に使用するデータを変える点が第1実施形態と相違し、その他の点は共通する。よって、ここでは、第1実施形態と相違する運転制御プログラム35Cを詳細に説明し、第1実施形態と共通する点については第1実施形態と同じ符号を図面に使用し、説明を適宜省略する。
【0071】
(運転制御プログラム)
図5に示すように、運転制御プログラム35Bは、S21において、半日或いは1日の積算(平均)データとして風呂負荷データを蓄積してデータベース化する。そして、S22において、予測対象日と同曜日の風呂負荷データ(過去4〜12週分)をHDD37のデータベース36から読み込む。或いは喫緊の一週間の風呂負荷データをデータベース36から読み込む。そして、S23において、読み込んだ風呂負荷データの積算値(1日分)を算出する。
【0072】
そして、S24において、過去の風呂負荷が発生しているか否かを判断する。過去の風呂負荷が発生している場合には(S24:YES)、更にS25において、喫緊のX日間に風呂負荷が発生しているか否かを判断する。「喫緊のX日間」とは、気候などの外部環境が予測対象日と同じと考えられる予測対象日直前の数日間をいう。第3実施形態では、予測対象日直前の3日間をいうものとする。予測対象日直前の3日間にも風呂負荷が発生している場合には(S25:YES)、使用者が風呂16に湯張りする入浴方法を継続し、風呂16の使用傾向が変化しないことを意味する。そこで、S26において、予測対象日と同曜日の給湯負荷データをデータベース36から読み込み、予測対象日の給湯負荷を各時間帯毎に算出する。そして、S29において、S26で算出した給湯負荷予測に基づいて発電機8の運転パターンを決定した後、処理を終了する。
【0073】
一方、予測対象日直前の3日間に風呂負荷が発生していない場合には、使用者が風呂16に湯張りする入浴方法を風呂16に湯張りしない入浴方法に変えたと考えられ、過去の積算(平均)データを使用して給湯負荷を予測しても予測外れする可能性が高い。このような積算(平均)データは今後の給湯負荷予測で使用されないと考えられるので、S27において、予測対象日直前の3日間以外のデータを破棄する。これにより、過去の給湯負荷データを使用できなくなり、HDD37の記憶容量が増える。
【0074】
そして、S28において、予測対象日直前の3日間の給湯負荷データをデータベース36から読み込んで平均値を算出し、算出した平均値を用いて、予測対象日の給湯負荷を各時間帯毎に予測する。これにより、予測対象日の使用傾向に最も近似する給湯負荷データを用いて予測対象日の給湯負荷を予測でき、給湯負荷の予測精度が向上する。そして、S29において、S28で算出した給湯負荷予測に基づいて発電機8の運転パターンを決定した後、処理を終了する。
【0075】
ところで、過去の風呂負荷が発生していない場合には(S24:NO)、更にS30において、予測対象日直前の3日間に風呂負荷が発生しているか否かを判断する。予測対象日直前の3日間に風呂負荷が発生していない場合には(S30:NO)、使用者が風呂16に湯張りしない入浴方法を継続し、風呂16の使用傾向が変化しないので、S31において、過去の給湯負荷データをデータベース36から読み込んで予測対象日の給湯負荷を算出する。そして、S29において、S31で算出した給湯負荷予測に基づいて発電機8の運転パターンを決定した後、処理を終了する。
【0076】
一方、予測対象日直前の3日間に風呂負荷が発生した場合には(S30:YES)、使用者が風呂16に湯張りしない入浴方法を風呂16に湯張りする入浴方法へ変え、風呂16の使用傾向が変化したことを意味する。そこで、S27以降の処理を実行する。S27以降の処理については上述したので説明を省略する。
【0077】
(作用効果)
従って、第3実施形態のコージェネレーションシステムの運転制御装置30Cは、例えば図6に示すように、7月16日までは風呂負荷があったにもかかわらず、7月17日以降は風呂負荷がなくなった場合には、予測対象日直前の3日間に発生した給湯負荷データの平均値を用いて予測対象日(7月20日)の給湯負荷を各時間帯毎に予測し、給湯負荷の予測値を賄うように発電機8の運転パターンを決定する(図5のS24:YES,S25:NO,S27〜S29,S24:NO,S30:YES、S27〜S29参照)。そのため、第3実施形態のコージェネレーションシステムの運転制御装置30Cは、例えば図6に示すように、7月16日までは風呂負荷があったにもかかわらず、7月17日以降は風呂負荷がなくなった場合のように風呂16の使用傾向が変化した場合でも、予測対象日である7月20日に近似すると考えられる予測対象日直前の3日間(7月17,18,19日)に実際に発生した給湯負荷データを用いて、予測対象日の給湯負荷を精度良く予測することができ、コージェネレーションシステム1を効率良く運転することができる。
【0078】
しかも、第3実施形態に係るコージェネレーションシステム1の運転制御装置30Cによれば、風呂負荷データを3日間連続して取得し、データベース36に記憶しないときには、風呂負荷の有無が変化したと判断し、予測対象日直前の3日間分の給湯負荷データを除いた7月16日以前の給湯負荷データを破棄するので(図5のS27参照)、HDD37の記憶容量が少ないでも給湯負荷の精度を向上させることができる。
【0079】
(第4実施形態)
次に、本発明に係るコージェネレーションシステムの運転制御装置の第4実施形態について図面を参照して説明する。図7は、第4実施形態に係るコージェネレーションシステム1の運転を制御する運転制御装置30Dに格納される運転制御プログラム35Dのフロー図である。図8は、図5に示す運転制御プログラム35Dの実行時に予測対象日翌日の午前中に発生する給湯負荷HIAを賄う運転の概念図であり、縦軸に電力(W)を示し、横軸に時刻を示す。
【0080】
第4実施形態の運転制御装置30Dは、図8に示すように予測対象日翌日の午前中に発生する給湯負荷HIAを、予測対象日の最終給湯負荷時刻後に発電機8を運転して賄う場合(図中Y1参照)の一次エネルギー消費量と、予測対象日翌日の午前中に給湯負荷が発生する時刻から遡って発電機8を運転して賄う場合(図中Y2参照)の一次エネルギー消費量の何れが小さくなるかを判断して、予測対象日の時間サイクルを可変とする点が、第1実施形態と相違する。よって、ここでは、第1実施形態と相違する点を中心に説明し、共通する点は図面に同一符号を付し、説明を適宜省略する。
【0081】
(運転制御プログラム)
図7に示すように、運転制御プログラム35Dは、S41において、30分〜2時間程度の積算(平均)データとして、流量計15,19が計測した給湯負荷データと、電力計26が計測した電力負荷データを蓄積してHDD37のデータベース36に保存する。そして、S42において、予測対象日の給湯負荷と電力負荷を各時間帯毎に予測する。この予測方法は、既知であるので説明を省略する。
【0082】
そして、S43において、予測対象日翌日の午前中に給湯負荷HIAが発生するか否かを調べる。予測対象日翌日の午前中に給湯負荷HIAが発生しない場合には(S43:NO)、予測対象日に発電機8を運転して予測対象日翌日の給湯負荷を賄う必要がない。そこで、S49において、予測対象日の電力負荷の予測値と給湯負荷の予測値を賄うように発電機8の運転パターンを決定するときに、最も一次エネルギー消費量が小さくなる運転時間を選択し、発電機8の運転パターンを決定する。
【0083】
これに対して、予測対象日翌日の午前中に給湯負荷HIAが発生すると予測されるときには(S43:YES)、S44において、予測対象日翌日の午前中に発生する給湯負荷HIAを、予測対象日の最終給湯負荷時刻から発電機8を運転して運転で賄う場合(図8のY1参照)の一次エネルギー消費量を算出する。図8のY1を例に挙げて説明すると、予測対象日の最終給湯負荷時刻(22:00)から、予測対象日翌日の午前中に発生すると考えられる給湯負荷HIAの熱量分だけ、発電機8を運転したときの発電機8の燃料使用量を、予測対象日翌日の午前中に発生する給湯負荷HIAを予測対象日の発電機8の運転で賄うときの一次エネルギー消費量とする。この場合、予測対象日翌日の午前中に発生する給湯負荷HIAの使用時刻と、発電機8の発電時刻との間に時間差があるため、その間の放熱損を見込んだ熱量分(HIA+放熱損)も発電機8を発電させて貯湯タンク2に回収するものする。
【0084】
そして、S45において、予測対象日翌日の午前中に発生する給湯負荷HIAを、予測対象日翌日の午前中に給湯負荷HIAが発生する時刻から遡って、発電機8の運転で賄う場合(図8のY2参照)の一次エネルギー消費量を算出する。図8のY2を例に挙げて説明すると、予測対象日翌日の午前中に発生する給湯負荷HIAの発生時刻(8:00)から遡って、予測対象日翌日の午前中に発生する給湯負荷HIAの熱量分だけ発電機8を運転したときに発電機8が消費する燃料使用量を、予測対象日翌日の午前中に発生する給湯負荷HIAを予測対象日翌日の午前中に給湯負荷HIAが発生する時刻から遡って発電機8の運転で賄う場合の一次エネルギー消費量とする。
【0085】
そして、S46において、S44で算出した予測対象日に発電機8の運転に使用する一次エネルギー消費量が、S45で算出した予測対象日翌日に発電機8の運転に使用する一次エネルギー消費量より小さいか否かを判断する。すなわち、予測対象日と予測対象日翌日の何れに発電機8を運転して予測対象日翌日の午前中に発生する給湯負荷を賄うのが省エネ上好ましいかを判断する。
【0086】
S44で算出した予測対象日に発電機8の運転に使用する一次エネルギー消費量が、S45で算出した予測対象日翌日に発電機8の運転に使用する一次エネルギー消費量より小さいと判断した場合には(S46:YES)、予測対象日1日の時間サイクルを0:00〜36:00とする。すなわち、予測対象日翌日の12:00までを予測対象日の時間サイクルに含める。そして、S49において、0:00〜36:00の範囲で予測対象日の電力負荷と給湯負荷及び予測対象日翌日の午前中に発生する給湯負荷HIAを賄うように発電機8の運転時間を変えながら一次エネルギー消費量を計算し、最も一次エネルギー消費量が小さくなる発電機8の運転時間を選択して発電機8の運転パターンに決定する。
【0087】
これに対して、S44で算出した予測対象日に発電機8の運転に使用する一次エネルギーが、S45で算出した予測対象日翌日に発電機8の運転に使用する一次エネルギーより小さくないと判断した場合には(S46:NO)、S48において、予測対象日1日の時間サイクルを0:00〜24:00とする。すなわち、予測対象日翌日を時間サイクルに含めない。そして、S49において、0:00〜24:00の範囲で予測対象日の電力負荷と給湯負荷を賄うように発電機8の運転時間を変えながら一次エネルギー消費量を計算し、最も一次エネルギー消費量が小さくなる発電機8の運転時間を選択して発電機8の運転パターンに決定する。尚、この場合には、予測対象日翌日の午前中に発生する給湯負荷HIAは、予測対象日翌日の時間サイクルに発電機8を運転する際に賄う。
【0088】
(作用効果)
従って、第4実施形態に係るコージェネレーションシステム1の運転制御装置30Dは、例えば図8に示すように予測対象日翌日の8:00から給湯負荷HIAがあるときに、その給湯負荷HIAを賄うように、予測対象日の最終給湯負荷時刻22:00から発電機8を運転した場合(図中Y1参照)の一次エネルギー消費量と、予測対象日翌日の午前中に給湯負荷HIAが発生する時刻8:00から遡って発電機8を運転した場合(図中Y2参照)の一次エネルギー消費量とを比較し、一次エネルギー消費量が小さくなる時間サイクル0:00〜36:00又は0:00〜24:00を選択して発電機8の運転パターンを決定する(図7のS43:YES、S44〜S49参照)。よって、第4実施形態に係るコージェネレーションシステム1の運転制御装置30Dによれば、少ない計算回数や取扱データ数で発電機8を運転する時間サイクルを可変としつつ、コージェネレーションシステム1を使用する使用者の生活パターンに合わせて発電機8の運転パターンを決定することができ、コージェネレーションシステムを効率よく運転することができる。
【0089】
具体的には、使用者の生活パターンが夜型の場合、予測対象日の最終給湯負荷時刻後に生じる電力負荷を発電機8の発電で賄いつつ、その発電時に発生する排熱を利用して予測対象日翌日の午前中に発生する給湯負荷HIAを賄うことが可能になり、一次エネルギー消費量が少なくて済む。よって、この場合には、発電機8の時間サイクルを0:00〜36:00に設定し、24:00を跨いで発電機8を運転制御することにより、コージェネレーションシステム1の省エネ性を高めることができる。
【0090】
一方、使用者の生活パターンが朝型の場合、予測対象日の最終給湯負荷時刻から発電機8を運転して、午前中の給湯負荷HIAを賄うように貯湯タンク2に蓄熱すると、放熱損が大きくなり、一次エネルギー消費量が大きくなる。よって、この場合には、発電機8の時間サイクルを0:00〜24:00に設定し、予測対象日翌日に発電機8を運転して予測対象日翌日の午前中に発生する給湯負荷HIAを賄う方が、コージェネレーションシステム1の省エネ性を高めることができる。
【0091】
(第5実施形態)
次に、本発明に係るコージェネレーションシステムの運転制御装置の第5実施形態について図面を参照して説明する。図9は、本発明の第5実施形態に係るコージェネレーションシステム1の運転を制御する運転制御装置30Eに格納される運転制御プログラム35Eのフロー図である。
第5実施形態の運転制御装置30Eは、風呂時刻のバラツキが大きい場合、予測対象日当日に風呂時刻を再設定して貯湯タンク2が満タンになること或いは湯切れを防止する点で、第1実施形態と相違する。よって、ここでは第1実施形態と相違する点を中心に説明し、共通する点は図面に同一符号を付して説明を適宜省略する。
【0092】
(運転制御プログラム)
図9に示すように、運転制御プログラム35Eは、先ずS51において30分〜2時間程度の積算(平均)データとして給湯負荷データ、電力負荷データを蓄積してHDD37のデータベース36に蓄積する。そして、S52において、既知の方法に従って、予測対象日の給湯負荷及び電力負荷を各時間帯毎に予測し、発電機8の運転パターンを決定する。そして、S53において、所定時間が経過したか否かを判断する。この所定時間は、貯湯タンク2のタンク残熱を監視する時間を設定するものであり、この目的を達成し得れば任意に設定可能である。第5実施形態では、タンク残熱を毎時間監視するように、直前の所定時間計測後から1時間を所定時間とする。1時間が経過するまでは(S53:NO)、待機する。
【0093】
1時間が経過したら(S53:YES)、S54において、貯湯温度センサ20の温度検出結果に基づいて貯湯タンク2のタンク残熱を調べる。そして、タンク残熱を調べた時間に対応するタンク残熱の予測値をHDD37のデータベース36から読み出す。そして、貯湯タンク2の残熱とタンク残熱の予測値との乖離を調べる。その後、S55において、湯切れや貯湯タンク2の満タン状態を調べるために、タンク残熱の実際値とタンク残熱の予測値との乖離が一定量を超えたか否かを確認する。
【0094】
乖離が一定量を超えないと判断した場合には(S55:NO)、そのままS60へ進む。これに対して、乖離が一定量を超えた場合には(S55:YES)、S56において、当該時刻が風呂負荷の発生前か発生後かを調べる。風呂負荷の前後で貯湯タンク2に蓄熱する必要性が異なるからである。
【0095】
風呂負荷の発生前であれば(S56:発生前)、予測対象日当日にタンク残熱を調べた時刻以降のタンク熱を調べる。具体的には、当該時刻において貯湯タンク2に残っている熱を給湯温度センサ20の検出結果に基づいて算出し、タンク残熱Hsaとする。また、当該時刻以降から予測対象日最終時刻までの発電機8の運転パターンを読み込み、当該時刻以降から予測対象日最終時刻までに貯湯タンク2に回収される熱回収量を予測する。また、S52で予測してデータベース37に記憶した給湯負荷の予測値の中から、当該時刻以降から予測対象日最終時刻までの給湯負荷の予測値を読み込む。更に、当該時刻から予測対象日最終時刻までの放熱損を算出する。
【0096】
これらの結果からタンク熱を調べる。すなわち、タンク残熱Hsaに熱回収量の予測値を加算することにより、当該時刻以降から予測対象日最終時刻までに貯湯タンク2に蓄熱される熱量を計算し、その熱量から当該時刻以降から予測対象日最終時刻までに消費される給湯負荷の予測値を減算する。さらに、減算した結果に放熱損を乗算し、予測対象日最終時刻に貯湯タンク2に残ると予測されるタンク熱を算出する。
【0097】
その後、S58において、S57で算出したタンク熱が閾値を超えるか否かを調べ、貯湯タンク2が満タンになるか否かを調べる。
【0098】
一方、タンク熱が閾値を超えると判断した場合には(S58:YES)、S59において、貯湯タンク2が満タンになるタンク満タン時刻を算出し、タンク満タン時刻から遡って発電機8の出力を抑制する。これにより、当該時刻以降に貯湯タンク2に回収される熱を減少させ、貯湯タンク2が満タン状態になることを防止する。その後、S60へ進む。
【0099】
S60では、予測対象日の最終時刻が経過したか否かを判断する。予測対象日の最終時刻が経過していなければ(S60:NO)、S53に戻り、貯湯タンク2のタンク残熱を監視する。一方、予測対象日の最終時刻が経過した場合には(S60:YES)、処理を終了する。
【0100】
これに対して、タンク熱が閾値を超えない場合には(S58:NO)、S61において、熱不足が生じるか否かを確認する。熱不足は、当該時刻におけるタンク残熱と当該時刻以降から予測対象日の最終時刻までの熱回収量とを加算した値から、当該時刻以降から予測対象日の最終時刻までに消費すると予測される給湯負荷の予測値を減算することにより求められる。熱不足が生じない場合には(S61:NO)、S60へ進む。S60以降の処理は上述したので説明を省略する。
【0101】
熱不足が生じる場合には(S61:YES)、S62において、出力抑制を解除し、予め決定した運転パターンに従って発電機8を運転する。これにより、熱回収量が増加し、給湯負荷の予測値を賄えるように貯湯タンク2に蓄熱される。
【0102】
ところで、タンク残熱の実際と予測値との乖離が一定量を超えた時刻が、風呂負荷の発生後である場合には(S56:発生後)、そのまま運転パターンに従って発電機8を運転すると、貯湯タンク2に溜めた熱を消費できずに放熱損が大きくなる。そこで、S63において、予測対象日当日に発電機8を停止する時刻のタンク残熱を算出し、この運転当日発電機停止時のタンク残熱が、S53で予測した給湯負荷より大きくなるか否かを判断する。運転当日発電機停止時のタンク残熱が給湯負荷の予測値より大きくならない場合には(S63:NO)、S61へ進む。S61以降の処理については上述したので説明を省略する。
【0103】
一方、運転当日発電機停止時のタンク残熱が給湯負荷の予測値より大きくなる場合には(S63:YES)、S64において、予測対象日に発電機8を停止する時刻から遡って出力を抑制することで、給湯負荷の予測値に近づける。これにより、風呂負荷を確保しつつ、風呂負荷以外の給湯負荷を賄うように貯湯タンク2に蓄熱できる。その後、S60へ進む。S60以降の処理は上述したので説明を省略する。
【0104】
(作用効果)
従って、第5実施形態に係るコージェネレーションシステム1の運転制御装置30Eは、貯湯タンク2のタンク残熱を算出し、そのタンク残熱がタンク残熱の予測値と一定量を超えて乖離したときに、発電機8の出力を変更する(図9のS55:YES、S56〜S64参照)。そのため、第5実施形態に係るコージェネレーションシステム1の運転制御装置30Eによれば、発電機8の出力を変更することにより風呂負荷の予測外れを事後的に是正し、コージェネレーションシステム1を効率よく運転することができる。
【0105】
また、第5実施形態に係るコージェネレーションシステム1の運転制御装置30Eによれば、貯湯タンク2のタンク残熱とタンク残熱の予測値との一定量を超える乖離が風呂負荷前に発生し、且つ、貯湯タンク2が満タンになると判断したときに、貯湯タンク2が満タンになるタンク満タン時刻から遡って発電機8の出力を抑制するので(図9のS56:発生前、S57、S58:YES、S59参照)、風呂負荷に使用する以外の熱の回収量を減らして放熱損が大きくなることを防ぎ、高い省エネ性を得ることができる。
【0106】
また、第5実施形態に係るコージェネレーションシステム1の運転制御装置30Eによれば、貯湯タンク2のタンク残熱とタンク残熱の予測値との一定量を超える乖離が風呂負荷後に発生し、且つ、予測対象日当日に発電機8を停止する停止時における貯湯タンク2のタンク残熱が予測したタンク残熱より大きくなると判断したときに、当該停止時から遡って発電機8の出力を抑制するので(図9のS56:発生後、S63,S64参照)、予測対象日当日に消費できない湯を貯湯タンク2に貯めて放熱損が大きくなることを防ぎ、高い省エネ性を得ることができる。
【0107】
更に、第5実施形態に係るコージェネレーションシステム1の運転制御装置30Eによれば、貯湯タンク2のタンク残熱とタンク残熱の予測値との一定量を超える乖離が小さくなったときに、発電機8の出力抑制を解除し、運転パターンに従って貯湯タンク2に熱回収するので(図9のS61:YES,S61参照)、貯湯タンク2の満タン状態を防ぎつつ、給湯負荷を賄うために必要な熱を回収することができる。
【0108】
(第6実施形態)
次に、本発明に係るコージェネレーションシステムの運転制御装置の第6実施形態について図面を参照して説明する。図10は、本発明の第6実施形態に係るコージェネレーションシステム1の運転を制御する運転制御装置30Fに格納される運転制御プログラム35Fのフロー図である。図11は、風呂時刻の標準正規分布の一例を示す図であり、縦軸に発生確率を示し、横軸に時刻を示す。図12は、図10に示す運転制御プログラム35Fにより決定された運転パターンの一例を示す図であり、縦軸にタンク残熱を示し、横軸に時刻を示す。図13は、図10に示す運転制御プログラム35Fにより決定された運転パターンの一例を示す図であり、縦軸にタンク残熱を示し、横軸に時刻を示す。
【0109】
第6実施形態の運転制御装置30Fは、風呂時刻のバラツキが大きいときに、予測した風呂時刻を再設定して貯湯タンク2の満タン状態や湯切れを防止する点が第1実施形態と相違する。よって、ここでは第1実施形態と相違する点を中心に説明し、共通する点は図面に同一符号を付して説明を適宜省略する。
【0110】
(運転制御プログラム)
図10に示すように、運転制御プログラム35Fは、S71において、例えば、予測対象日と同曜日の風呂時刻(過去4〜12週間分)をHDD37のデータベース37から読み込み、過去の風呂時刻の偏差を算出する。そして、S72において、風呂時刻の偏差が所定値以下であるか否かを判断する。「所定値」は、風呂時刻が所定時刻に発生する確率を調べることができるように任意に設定可能である。風呂時刻の偏差が所定値以下であり、風呂時刻のバラツキが小さい場合には(S72:YES)、風呂16の発生時刻が安定し、過去の給湯負荷データを用いて予測対象日の給湯負荷を予測しても予測外れしにくいことを意味するので、そのまま処理を終了する。
【0111】
一方、風呂時刻の偏差が所定値を超え、風呂時刻のバラツキが大きい場合には(S72:NO)、風呂16の発生時刻が安定せず、過去の給湯負荷データのみで予測対象日の給湯負荷を予測すると、予測外れする可能性が高いことを意味する。そこで、S73において、風呂負荷が発生する時間帯を特定するために、例えば図11に示すような風呂時刻の標準正規分布を算出する。
【0112】
そして、図10のS74において、図11に示すように、風呂時刻の標準正規分布から風呂時刻の平均値を求め、風呂負荷の発生確率が最も高い時刻を特定する。そして、その平均値から標準偏差σを減算することにより、図11に示す第1風呂候補時刻を算出する。また、その平均値に標準偏差σ(2時間)を加算することにより、図11に示す第2風呂候補時刻を算出する。よって、図11に示す第1風呂候補時刻から第2風呂候補時刻までの時間帯は、風呂負荷が発生する確率の高い時間帯となる。
【0113】
そして、図10のS75において、風呂時刻の平均値を風呂時刻として運転パターンを仮決めしたときに、予測対象日の各時間帯にどれだけの熱が貯湯タンク2に残るか調べ、そのタンク残熱が、貯湯タンク2の満タン量に対して常にX割以下になるか否かを調べる。「X割」は、風呂負荷が発生しない場合でも貯湯タンク2が満タンにならない割合とすることが好ましい。
【0114】
タンク残熱のタンク満タン量に対する割合が常にX割以下である場合には(S75:YES)、貯湯タンク2が満タンになる可能性が低いので、S76において、図12に示すように、S74で算出した第1風呂候補時刻を風呂時刻に再設定する。そして、図10のS77において、風呂負荷を再設定した後の給湯負荷予測を賄うように、発電機8の運転パターンを決定する。これにより、風呂時刻の平均値より早い時刻である第1風呂候補時刻に風呂負荷が発生した場合でも、貯湯タンク2の貯湯水で風呂負荷及び風呂負荷発生後の汎用給湯負荷を賄うことができる。運転パターンを決定したら、処理を終了する。
【0115】
これに対して、平均値を風呂時刻とし、発電機8の運転パターンを決定したときのタンク残熱が常にタンク満タン量のX割以下でない場合には、貯湯タンク2が満タンになる可能性が高い。そこで、図10のS78において、図13に示すように、第1風呂候補時刻を風呂時刻に再設定する。これにより、風呂時刻の平均値より早い時刻である第1風呂候補時刻に風呂負荷が発生した場合でも、その風呂負荷を貯湯タンク2の貯湯水で賄うことができる。そして、図10のS79において、図13に示すように、第1風呂候補時刻から第2風呂候補時刻までは発電機8を最低出力で運転させるように運転パターンを決定する。これにより、貯湯タンク2が満タンになることを防ぎつつ、発電機8の運転を継続して予測対象日の給湯負荷と電力負荷を賄うことができる。
【0116】
その後、図10のS80において、風呂負荷が発生したか否かを判断する。風呂負荷が発生するまでは(S80:NO)、発電機8を最低出力で運転しながら待機する。一方、風呂負荷が発生した場合には(S80:YES)、その後に大きな給湯負荷がないと考えられるので、S81において発電機8を電力追従運転に変更した後、処理を終了する。
【0117】
(作用効果)
従って、第6実施形態に係るコージェネレーションシステム1の運転制御装置30Fは、風呂時刻のバラツキが大きく、風呂時刻の予測が外れやすいときに、風呂時刻の平均値から標準偏差分だけ時間を減算して第1風呂候補時刻を算出し、第1風呂候補時刻を予測対象日の風呂時刻に設定して発電機8の運転パターンを決定する(図10のS72:YES、S73〜79、図12、図13参照)。これにより、第6実施形態に係るコージェネレーションシステム1の運転制御装置30Fは、発電機8の出力を頻繁に変更したり、発電機8の起動と停止を繰り返さなくても、湯切れやタンク満タン状態を回避でき、コージェネレーションシステム1を効率よく運転することができる。
【0118】
もっとも、風呂時刻の平均値を風呂時刻として発電機8の運転パターンを仮決めして、貯湯タンク2のタンク残熱を算出し、その貯湯タンク2のタンク残熱が貯湯タンク2のタンク満タン量に対して所定の割合を常に超える場合には、第1風呂候補時刻に風呂負荷が発生しないと、貯湯タンク2が満タンになって放熱損を生じる恐れがある。この場合には、風呂時刻の平均値に標準偏差分だけ時間を加算して風呂時刻を遅らせた第2風呂候補時刻を設定し、第1風呂候補時刻から第2風呂候補時刻まで発電機を最低出力で運転する(図10のS75:NO,S78,S79、図13参照)。よって、第6実施形態に係るコージェネレーションシステム1の運転制御装置30Fによれば、湯切れとタンク満タン状態を防ぎつつ、予測対象日の電力負荷と給湯負荷をコージェネレーションシステム1で賄うことができ、高い省エネ性を確保できる。
【0119】
更に、第6実施形態に係るコージェネレーションシステム1の運転制御装置30Fによれば、予測対象日当日に風呂負荷が発生した後には、電力負荷追従運転に変更するので(図10のS80:YES、S81参照)、放熱損を抑制できる。
【0120】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されることなく、色々な応用が可能である。
例えば、上記実施の形態では、家庭に設置したコージェネレーションシステムを対象にして運転制御装置30A〜30Fを説明したが、例えば、従業員数名の企業に設置したコージェネレーションシステムなど、給湯負荷や電力負荷が使用者の使用パターンに応じて変化しやすいものであっても、運転制御装置30A〜30F適用して予測精度の向上を図ることが可能である。
例えば、上記第1,2実施形態では、給湯負荷と水温、又は、風呂負荷と水温との相関関係を基準に説明したが、給湯負荷と外気温、又は、風呂負荷と外気温との相関関係を基準にしてもよい。
例えば、上記第1実施形態では給湯負荷を基準に、また、上記第2実施形態では風呂負荷を基準に、予測対象日の給湯負荷又は風呂負荷を予測した。これに対して、給湯負荷から風呂負荷を除いた汎用給湯負荷を基準に予測対象日の汎用給湯負荷を予測し、発電機8の運転パターンを決定してもよい。例えば、季節の変わり目に、風呂16に湯張りするパターンからシャワーを使用するパターンに風呂16の使用パターンが変わっても、使用パターンの前後で給湯負荷全体の変化が乏しい場合には、給湯負荷や風呂負荷を基準にすると、予測対象日の給湯負荷予測を精度良く行うことができないが、汎用給湯負荷を基準にすれば、風呂16の使用パターンの変化に影響されずに給湯負荷を精度良く予測できる。よって、ユーザの生活パターンに応じて、給湯負荷、風呂負荷及び汎用給湯負荷の何れを基準にするか適宜決定すれば、給湯負荷をより一層精度良く予測できる。
【符号の説明】
【0121】
1 コージェネレーションシステム
8 発電機
30A,30B,30C,30D,30E,30F 運転制御装置
35A,35B,35C,35D,35E,35F 運転制御プログラム
36 データベース
【技術分野】
【0001】
本発明は、予測対象日のエネルギー負荷パターンを予測してコージェネレーションシステムの運転を制御するコージェネレーションシステムの運転制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コージェネレーションシステムは、燃料電池が発電した電力を電力機器に供給して電力負荷を賄うとともに、燃料電池が発電時に発生する排熱を回収して熱機器に供給し、給湯負荷を賄うことから、次世代の省エネ機器として、家庭への実用化・普及が期待されている。コージェネレーションシステムは、発電電力を蓄電することができない。また、コージェネレーションシステムは、燃料電池が発生する排熱で水道水を加熱し、その湯を貯湯タンクに溜めて風呂の蛇口や台所の蛇口、床暖房などに供給するので、給湯負荷発生時刻に合わせて貯湯タンクに湯を溜めないと、放熱ロスを生じ、省エネ性が悪くなる。よって、家庭用のコージェネレーションシステムは、給湯負荷を精度良く予測し、予測給湯負荷を賄うように運転することにより、省エネ効果や経済効果が向上する。
【0003】
従来、コージェネレーションシステムの運転制御装置は、ニューラルネットワークや過去のデータ平均値などを用いてエネルギー負荷パターン(電力負荷パターンと給湯負荷パターン)を予測し、コージェネレーションシステムの運転制御をしていた(特許文献1〜特許文献5参照)。しかし、コージェネレーションシステムの運転制御装置に装備されるメモリ容量には制限があり、ニューラルネットワークやデータベースで取り扱うデータ量に制限があった。また、過去のデータの平均値を用いる場合、電力負荷や給湯負荷の使用条件が急激に変化しないことを前提とするため、使用者の生活パターンが変わる場合や、季節の変わり目で日ごとに給湯負荷が変化するような場合には、図14に示すように実際の給湯負荷と予測した給湯負荷との間に大きなズレが生じることがあった。
【0004】
この点、特許文献6に記載される家庭用コージェネレーションの運転制御装置は、エネルギー負荷と水温との相関関係に基づいて給湯負荷を予測し、コージェネレーションシステムの運転を制御する。給湯負荷は、一般的に、外気温が高ければ消費量が少なく、外気温が低ければ消費量が多くなる傾向がある。そして、水温は外気温に応じて変化する。よって、エネルギー負荷と水温との相関関係を用いれば、少ないデータ量で給湯負荷を精度良く予測することができる。
【0005】
また、特許文献6に記載される家庭用コージェネレーションシステムの運転制御装置は、予測対象日の時間サイクルを変えながら一次エネルギーを算出し、一次エネルギーが最小になる時間サイクルを決定して運転パターンを決定する。そのため、予測対象日の時間サイクルは、使用者の生活パターンに合わせて変更できる。よって、特許文献6に記載される家庭用コージェネレーションシステムの運転制御装置によれば、使用者の生活パターンに従った運転制御を行うことができ、省エネ性や経済性が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−276460号公報
【特許文献2】特開平11−125448号公報
【特許文献3】特開2003−45460号公報
【特許文献4】特開2002−335627号公報
【特許文献5】特開2004−48838号公報
【特許文献6】特開2006−90240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献6に記載される家庭用コージェネレーションシステムの運転制御装置は、以下の問題があった。
(a)例えば、使用者の生活パターンが夜型から朝型に変わった場合や、夏休みなどで子供が帰省して家族が増えた場合には、図14に示すように給湯負荷の予測値と給湯負荷の実際値との間にズレが生じていた。この場合のズレは、水温に関係なく、使用者の生活パターンや構成の変更等に因るところが大きく、図15に示すように、水温と給湯負荷との相関関係が弱い。よって、特許文献6に記載される家庭用コージェネレーションシステムの運転制御装置のように給湯負荷と外気温又は水温との相関式を算出し、その相関式に基づいて給湯負荷を予測しても、給湯負荷予測が外れ、コージェネレーションシステムを効率よく運転できないことがあった。
【0008】
(b)また、風呂負荷は、ある時期(季節)を境に使用、或いは不使用になるが(冬は湯はりを行うが、夏はシャワーのみで湯はりを行わない)、そのタイミングは使用者の感覚による。そのため、特許文献6に記載される家庭用コージェネレーションシステムの運転制御装置は、風呂負荷が変化するタイミングを見誤り、図14に示すように給湯負荷予測が外れることがあった。
【0009】
(c)また、特許文献6に記載される家庭用コージェネレーションシステムの運転制御装置は、時間サイクルを1時間ずつずらして一次エネルギーを計算し、時間サイクルを決定するため、コージェネレーションシステムを効率よく運転するための時間サイクルの決定方法が複雑であった。
【0010】
(d)また、家庭のエネルギー需要は日々変化し、給湯負荷予測が外れることがある。特許文献6に記載される家庭用コージェネレーションシステムの運転制御装置は、エネルギー需要予測が外れたときの対処方法は規定しておらず、予測が外れた際には省エネ性が大きく低下する問題があった。具体的には、例えば、風呂時刻より早く貯湯タンクが満タンになると、放熱ロスを生じ、省エネ性が低下する。一方、風呂時刻に貯湯タンクの湯が不足すると、水道水をバーナで加熱して湯を供給したり、電力負荷が小さいのに発電機8の出力を上げる必要がある。
【0011】
(e)更に、風呂負荷が発生する風呂時刻にバラツキがある場合、予測した風呂負荷が予測した風呂時刻に発生しないことがある。特許文献6に記載される家庭用コージェネレーションシステムの運転制御装置は、かかる不具合について何ら考慮しておらず、風呂時刻の予測が外れた場合には、発電機の出力を頻繁に変えたり、発電機の起動と停止を繰り返すなどして、湯切れやタンク満タン状態を回避していた。
【0012】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、コージェネレーションシステムの運転に最適なコージェネレーションシステムの運転制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係るコージェネレーションシステムの運転制御装置は、次のような構成を有している。
(1)上記課題(a)を解決するために、給湯負荷と水温又は外気温との相関関係を算出し、算出した相関関係に基づいて発電機の運転パターンを決定するコージェネレーションシステムの運転制御装置において、前記相関関係の決定係数が所定値より小さいときに、過去の給湯負荷を平均処理し、平均処理した給湯負荷を賄うように前記発電機の運転パターンを決定する運転制御プログラムを有することを特徴とする。尚、本明細書において、「給湯負荷」は「風呂負荷」を含むものとする。
【0014】
(2)(1)に記載の発明において、前記給湯負荷が風呂負荷であることを特徴とする。
【0015】
(3)上記課題(b)を解決するために、予測対象日のエネルギー負荷パターンを予測して発電機の運転パターンを決定するコージェネレーションシステムの運転制御装置において、前記風呂負荷データを前記データ蓄積手段に蓄積する蓄積有無が変化したときに、喫緊の給湯負荷データの平均値を用いて予測対象日の給湯負荷を予測し、給湯負荷の予測値を賄うように前記発電機の運転パターンを決定する運転制御プログラムを有することを特徴とする。
【0016】
(4)(3)に記載の発明において、前記運転制御プログラムは、前記蓄積有無が変化したときに、前記喫緊の給湯負荷データ以外の給湯負荷データを破棄することを特徴とする。
【0017】
(5)上記課題(c)を解決するために、予測対象日のエネルギー負荷パターンを予測して発電機の運転パターンを決定するコージェネレーションシステムの運転制御装置において、予測対象日翌日の午前中に給湯負荷があるときに、予測対象日の最終給湯負荷時刻から前記午前中の給湯負荷を賄うように前記発電機を運転した場合の一次エネルギー消費量と、前記午前中の給湯負荷が発生する時刻から遡って前記午前中の給湯負荷を賄うように前記発電機を運転した場合の一次エネルギー消費量とを比較し、前記一次エネルギー量が小さくなる時間サイクルを選択し、前記発電機の運転パターンを決定する運転制御プログラムを有することを特徴とする。尚、本明細書において、「時間サイクル」とは、予測対象日の開始時刻から最終時刻までの時間範囲をいう。
【0018】
(6)上記課題(d)を解決するために、予測対象日のエネルギー負荷パターンを予測して発電機の運転パターンを決定するコージェネレーションシステムの運転制御装置において、貯湯タンクのタンク残熱とタンク残熱の予測値との乖離が一定量を超えたときに、前記発電機の出力を変更する運転制御プログラムを有することを特徴とする。
【0019】
(7)(6)に記載の発明において、前記運転制御プログラムは、前記乖離が一定量を超えたときが風呂負荷発生前であり、且つ、前記貯湯タンクが満タンになると判断したときに、前記貯湯タンクが満タンになるタンク満タン時刻から遡って前記発電機の出力を抑制するものであることを特徴とする。
【0020】
(8)(6)に記載の発明において、前記運転制御プログラムは、前記乖離が一定量を超えたときが風呂負荷発生後であり、且つ、予測対象日当日に前記発電機を停止する停止時における前記貯湯タンクのタンク残熱が予測したタンク残熱より大きくなると判断したときに、前記停止時から遡って前記発電機の出力を抑制するものであることを特徴とする。
【0021】
(9)(6)乃至(8)の何れか一つに記載の発明において、前記運転制御プログラムは、前記乖離が小さくなったときに、前記発電機の出力抑制を解除するものであることを特徴とする。
【0022】
(10)上記課題(e)を解決するために、予測対象日のエネルギー負荷パターンを予測して発電機の運転パターンを決定するコージェネレーションシステムの運転制御装置において、風呂時刻のバラツキが大きいときに、風呂時刻の平均値から標準偏差分だけ時間を減算して第1風呂候補時刻を算出し、前記第1風呂候補時刻を風呂時刻に設定して前記発電機の運転パターンを決定する運転制御プログラムを有することを特徴とする。
【0023】
(11)(10)に記載の発明において、前記運転制御プログラムは、前記風呂時刻の平均値を風呂時刻として前記発電機の運転パターンを仮決めしたときの貯湯タンクのタンク残熱を算出し、前記貯湯タンクのタンク残熱が、前記貯湯タンクのタンク満タン量に対して所定の割合を常に超えると判断したときに、前記第1風呂候補時刻から、前記風呂時刻の平均値に標準偏差分だけ時間を加算した第2風呂候補時刻まで、前記発電機を最低出力で運転するものであることを特徴とする。
【0024】
(12)(10)又は(11)に記載の発明において、前記運転制御プログラムは、予測対象日当日に風呂負荷が発生した後、前記発電機を電力負荷追従運転に変更するものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
上記課題(a)を解決するためになされた本発明に係るコージェネレーションシステムの運転制御装置は、給湯負荷と水温又は外気温との相関関係が弱く、給湯負荷予測が外れる可能性が高い場合には、過去の給湯負荷を平均処理して求めた給湯負荷を賄うように発電機の運転パターンを用いる。そのため、例えば、季節の変わり目など、給湯負荷の変動が大きく、給湯負荷を予測しにくい場合でも、給湯負荷の予測が大きく外れることを防いで予測精度を向上させ、コージェネレーションシステムを効率よく運転することができる。
【0026】
特に、家庭にコージェネレーションシステムを導入した場合、風呂負荷が家庭の給湯負荷に対して大きな割合を占める。本発明に係るコージェネレーションシステムの運転制御装置は、風呂負荷と水温又は外気温との相関関係を求め、相関関係が弱いときに平均処理した風呂負荷に基づいて発電機の運転パターンを決定すれば、風呂負荷の予測値が実際の風呂負荷に近づき、予測精度を向上させることができる。
【0027】
また、上記課題(b)を解決するためになされた本発明に係る家庭用コージェネレーションシステムの運転制御装置によれば、例えば、風呂負荷が有る状態から無い状態に変化したとき、或いは、風呂負荷が無い状態から有る状態に変化したときには、喫緊の給湯負荷データの平均値を用いて予測対象日の給湯負荷を予測し、給湯負荷の予測値を賄うように発電機の運転パターンを決定するので、風呂の使用傾向が変わった場合でも、予測対象日に近似する給湯負荷データを用いて予測対象日の給湯負荷を精度良く予測することができ、コージェネレーションシステムを効率良く運転することができる。
【0028】
しかも、風呂負荷データの蓄積の有無が変化したときには、喫緊の風呂負荷データ以外の風呂負荷データを破棄するので、少ない記憶容量でも給湯負荷の精度を向上させることができる。
【0029】
また、上記課題(c)を解決するためになされた本発明に係るコージェネレーションシステムの運転制御装置は、予測対象日翌日の午前中に給湯負荷があるときに、その午前中の給湯負荷を賄うように予測対象日の最終給湯負荷時刻から発電機を運転した場合の一次エネルギー消費量と、予測対象日翌日の午前中に給湯負荷が発生する時刻から遡って発電機を運転した場合の一次エネルギー消費量とを比較し、一次エネルギー消費量が小さくなる時間サイクルを選択して発電機の運転パターンを決定するので、計算回数や取扱データ数を減らしつつ、コージェネレーションシステムを使用する使用者の生活パターンに合わせて発電機の運転パターンを決定することができ、コージェネレーションシステムを効率よく運転することができる。
【0030】
また、上記課題(d)を解決するためになされた本発明に係るコージェネレーションシステムの運転制御装置は、貯湯タンクのタンク残熱を算出し、そのタンク残熱がタンク残熱の予測値と一定量を超えて乖離したときに、発電機の出力を変更する。そのため、本発明に係るコージェネレーションシステムの運転制御装置によれば、発電機の出力を変更することにより給湯負荷の予測外れを事後的に是正し、コージェネレーションシステムを効率よく運転することができる。
【0031】
この場合、一定量を超える乖離が風呂負荷前に発生し、且つ、貯湯タンクが満タンになると判断したときに、貯湯タンクが満タンになるタンク満タン時刻から遡って発電機の出力を抑制するようにすれば、風呂負荷に使用する以外の熱の回収量を減らして放熱損が大きくなることを防ぎ、高い省エネ性を得ることができる。
【0032】
また、一定量を超える乖離が風呂負荷後に発生し、且つ、予測対象日当日に発電機を停止する停止時における貯湯タンクのタンク残熱が予測したタンクタンク残熱より大きくなると判断したときに、当該停止時から遡って発電機の出力を抑制するようにすれば、予測対象日当日に消費できない熱を貯湯タンクに蓄熱して放熱損が大きくなることを防ぎ、高い省エネ性を得ることができる。
【0033】
更に、乖離が小さくなったときに、発電機の出力抑制を解除し、運転パターンに従って貯湯タンクに熱回収するので、貯湯タンクの満タン状態を防ぎつつ、給湯負荷を賄うために必要な熱を回収することができる。
【0034】
また、上記課題(e)を解決するためになされた本発明に係るコージェネレーションシステムの運転制御装置は、風呂時刻のバラツキが大きく、風呂時刻の予測が外れやすいときに、風呂時刻の平均値から標準偏差分だけ時間を減算して第1風呂候補時刻を算出し、第1風呂候補時刻を風呂時刻に設定して発電機の運転パターンを決定するので、発電機の出力を頻繁に変更したり、発電機の起動と停止を繰り返さなくても、湯切れやタンク満タン状態を回避でき、コージェネレーションシステム1を効率よく運転することができる。
【0035】
これに加え、風呂時刻の平均値を風呂時刻として発電機の運転パターンを仮決めして、貯湯タンクのタンク残熱を算出し、その貯湯タンクのタンク残熱が貯湯タンクのタンク満タン量に対して所定の割合を常に超える場合には、第1風呂候補時刻に風呂負荷が発生しないと、貯湯タンクが満タンになって放熱損を生じる恐れがある。この場合には、風呂時刻の平均値に標準偏差分だけ時間を加算して第2風呂候補時刻を設定し、第1風呂候補時刻から第2風呂候補時刻まで発電機を最低出力で運転する。よって、本発明に係るコージェネレーションシステムの運転制御装置によれば、湯切れとタンク満タン状態を防ぎつつ、予測対象日の電力負荷と給湯負荷をコージェネレーションシステムで賄うことができ、高い省エネ性を確保できる。
【0036】
更に、予測対象日当日に風呂負荷が発生した後には、発電機を電力負荷追従運転に変更するので、風呂負荷が発生した後に余分な熱を貯湯タンクに貯めて、放熱損を発生する不具合を回避できる。
【0037】
尚、本願発明は、具体的課題が一見異なるが、予測外れに対する対応策を講じてコージェネレーションシステムの効率的な運転を実現しようとする点では課題が共通している。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の第1実施形態に係るコージェネレーションシステムの概略構成図である。
【図2】図1に示すコージェネレーションシステムの運転を制御する運転制御装置の電気ブロック図である。
【図3】図2に示す運転制御プログラムのフロー図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係るコージェネレーションシステムの運転を制御する運転制御装置に格納される運転制御プログラムのフロー図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係るコージェネレーションシステムの運転を制御する運転制御装置に格納される運転制御プログラムのフロー図である。
【図6】風呂負荷の実際値と予測値との関係の一例を示す図であり、縦軸に風呂負荷(MJ)を示し、横軸に日付を示す。
【図7】本発明の第4実施形態に係るコージェネレーションシステムの運転を制御する運転制御装置に格納される運転制御プログラムのフロー図である。
【図8】図5に示す運転制御プログラムの実行時に予測対象日翌日の午前中に発生する給湯負荷を賄う運転の概念図であり、縦軸に電力(W)を示し、横軸に時刻を示す。
【図9】本発明の第5実施形態に係るコージェネレーションシステムの運転を制御する運転制御装置に格納される運転制御プログラムのフロー図である。
【図10】本発明の第6実施形態に係るコージェネレーションシステムの運転を制御する運転制御装置に格納される運転制御プログラムのフロー図である。
【図11】風呂時刻の標準正規分布の一例を示す図であり、縦軸に発生確率を示し、横軸に時刻を示す。
【図12】図10に示す運転制御プログラム35Fにより決定された運転パターンの一例を示す図であり、縦軸にタンク残熱を示し、横軸に時刻を示す。
【図13】図10に示す運転制御プログラム35Fにより決定された運転パターンの一例を示す図であり、縦軸にタンク残熱を示し、横軸に時刻を示す。
【図14】総給湯負荷の実際値と予測値との関係の一例を示す図であり、縦軸に総給湯負荷(MJ)を示し、横軸に日付を示す。
【図15】水温と給湯負荷との関係の一例を示す図であり、縦軸に給湯負荷(MJ)を示し、横軸に水温(℃)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
次に、本発明に係るコージェネレーションシステムの運転制御装置の実施形態について図面を参照して説明する。
【0040】
(第1実施の形態)
図1は、コージェネレーションシステム1の概略構成図である。
第1実施形態に係るコージェネレーションシステム1の運転制御装置30Aは、予測対象日の給湯負荷を予測して発電機8(燃料電池、ガスエンジンなど)の運転パターンを作成し、コージェネレーションシステム1の運転制御を行うものである。運転制御装置30Aは、特に、水温と給湯負荷との間に相関関係がないときに、喫緊の給湯負荷を平均処理して運転パターンを作成する点に特徴を有している。
【0041】
(コージェネレーションシステムの概略構成)
図1に示すコージェネレーションシステム1は、容量が100〜200Lの貯湯タンク2を備える。貯湯タンク2は、底部に接続する水道管3から水道水を供給されて常時満水状態にされている。貯湯タンク2の底部と頂部には、循環配管4が接続し、循環配管4に設置された第1ポンプ5を駆動することにより、貯湯タンク2の水を底部から取り出して上部に戻すようになっている。循環配管4は、第1ポンプ5の下流側に熱交換器6が設置され、熱交換器6を介して熱回収用循環配管7と連結している。熱回収用循環配管7は、発電機8に接続し、第2ポンプ9を駆動することにより熱回収用循環配管7を循環する循環水が発電機8の排熱を回収するようになっている。従って、発電機8が発電しているときに、第1ポンプ5と第2ポンプ9を駆動すれば、発電機8の排熱により熱回収用循環配管7の循環水を加熱し、熱交換器6において熱回収用循環配管7の循環水から循環配管4の水に熱伝達して、給湯水を貯湯タンク2に貯めることができる。
【0042】
貯湯タンク2の上部には、給湯管10が接続している。給湯管10は、汎用給湯管10Aと風呂専用給湯管10Bとを備える。
【0043】
汎用給湯管10Aは、台所11A、洗面台11Bなど、風呂16以外の熱機器に給湯水を供給するようになっている。汎用給湯管10Aの給湯温度は、給湯温度センサ12により検出され、給湯温度が設定温度より高温の場合には、三方弁13で常温の水道水を加え、また、給湯温度が設定温度より低温の場合には、ガスボイラ14で給湯水を加熱するようにしている。このとき、熱機器11が消費する湯量(汎用給湯負荷)は、三方弁13の下流側に設置された流量計15によって計測される。
【0044】
風呂専用給湯管10Bは、風呂16に給湯水を供給するようになっている。風呂専用給湯管10Bの給湯温度は、給湯温度センサ12により検出され、給湯温度が設定温度より高温の場合には、三方弁13で常温の水道水を加え、また、給湯温度が設定温度より低温の場合には、ガスボイラ14で給湯水を加熱するようにしている。このとき、風呂16が消費する湯量(風呂負荷)は、流量計19によって計測される。
尚、第1実施形態において、汎用給湯負荷と風呂負荷とを合わせたものを「給湯負荷」というものとする。
【0045】
一方、貯湯タンク2の貯湯量は、給湯水と水道水の境界面を貯湯温度センサ20で感知することにより検出される。また、水道水の温度は、水道管3に取り付けられた水温計21によって検出されている。
【0046】
発電機8には、発電出力を取り出す電力線22が接続され、分電盤23に接続されている。分電盤23は、商用電力を供給する商用電力線24にも接続し、発電出力と商用電力とを連系して照明器具、テレビ、エアコン、パソコンなどの電力機器25に発電出力又は商用電力を供給するようになっている。分電盤23には、電力計26が設置され、電力機器25が消費した電力量(電力負荷)を計測している。
【0047】
上記発電機8、給湯温度センサ12、三方弁13、ガスボイラ14、流量計15、給湯温度センサ17、三方弁18、流量計19、貯湯温度センサ20、水温計21、分電盤23、電力計26等には、運転制御装置30Aが接続している。
【0048】
(運転制御装置の制御ブロック)
図2は、運転制御装置30Aの電気ブロック図である。
運転制御装置30Aは、周知のマイクロコンピュータであって、入出力インターフェース31、CPU32、ROM33、RAM34を内蔵する。入出力インターフェース31は、給湯温度センサ12、流量計15、給湯温度センサ17、流量計19、貯湯温度センサ20、水温計21、電力計26などに接続し、信号を入力する。ここで、「入力データ」とは、エネルギー負荷データ、貯湯温度データ、給湯量データ、水温(外気温)データ、給湯温度データ等の各センサが検出したデータ、及び、初期データなど使用者等によって入力されたデータをいうものとする。 「エネルギー負荷データ」には、電力負荷を測定した電力負荷データと給湯負荷を測定した給湯負荷データが含まれるものとする。
【0049】
また、入出力インターフェース31は、発電機8、三方弁13、ガスボイラ14、三方弁18、分電盤23などに接続し、信号を出力する。ここで、「出力データ」とは、発電機8を運転制御する運転制御データ、三方弁13,18やガスボイラ14、分電盤23など制御機器の動作を制御するデータ、他の制御装置に送信される送信データなど、運転制御装置30Aの外部に出力されるデータをいうものとする。
【0050】
ROM33には、コージェネレーションシステム1を運用する上で必要な各種プログラムを記憶する読み込み専用の不揮発性メモリである。第1実施形態では、運転制御プログラム35AがROM33に格納されている。運転制御プログラム35Aについては後述する。
RAM34は、ROM33のプログラム等を実行する上で必要なデータやプログラムを一時的に格納したり、各種データを蓄積して記憶する読み書き可能な揮発性メモリである。
HDD37は、データやプログラムを読み書き可能な不揮発性メモリである。HDD37には、データベース36が設けられている。データベース36には、電力負荷データや給湯負荷データ、風呂負荷データなど各種データが蓄積して記憶される。この意味で、データベース36は、「データ蓄積手段」に相当する。
【0051】
(運転制御プログラム)
図3は、図2に示す運転制御プログラムのフロー図である。
運転制御装置30Aは、予測対象日前日の所定時間になると、運転制御プログラム35AをROM33から読み出して実行する。
【0052】
運転制御プログラム35Aは、先ずステップ1(以下「S1」と略記する。)において、所定間隔の積算(平均)データとして、流量計15,19が計測する給湯負荷データと、水温形21が計測する水温データを蓄積してデータベース36に記憶する。所定間隔は、任意に設定することが可能であり、一般的なマイクロコンピュータのデータ容量を考慮すると、30分〜2時間に設定することが望ましい。第1実施形態では、所定間隔を1時間に設定する。
【0053】
そして、S2において、予測対象日と同曜日の給湯負荷データと水温データをデータベース36から所定期間の分だけ読み込む。ここで、「予測対象日」とは、発電機8を運転パターンに従って運転制御する予定の日をいう。第1実施形態では、運転パターン作成日の翌日を予測対象日とする。予測対象日と同曜日のデータを読み込むのは、家庭生活が曜日毎にパターン化されていると考えられるからである。「所定期間の分」は、任意に設定することができるが、過去の給湯負荷データと水温データのバラツキや気候変動、計算回数などを考慮すると、過去4〜12週分であることが望ましい。第1実施形態では、所定期間を4週間に設定している。
【0054】
そして、S3において、予測対象日の喫緊の水温データをデータベース36から読み込む。「予測対象日の喫緊の水温データ」とは、季節の変わり目など気候が大きく変動することを考慮して、予測対象日から3日〜1週間前までの水温データをいう。第1実施形態では、予測対象日から5日前までの水温データを読み込む。
【0055】
そして、S4において、S2で読み込んだ給湯負荷データと水温データとから最小二乗法を用いて各時間帯の相関式(給湯負荷=a×水温+b)を算出する。水温データ及び給湯負荷データは、曜日や時間毎にバラツキを生じるからである。そして、S5において、当該時間帯の決定係数を算出し、その決定係数が所定値以上であるか否かを判断する。「所定値」は、給湯負荷と水温との相関の強さを決めるために任意に設定可能であり、第1実施形態では、0.5とする。
【0056】
決定係数が0.5以上である場合には(S5:YES)、S6において、予測対象日の水温として、S3で読み込んだ喫緊の水温データを平均化したものを予測対象日の水温として使用する。この理由は、例えば季節の変わり目など気候が急激に変わるときには、水温変動が大きく、過去数週間前の水温データを使用すると、予測対象日の水温の予測値が実際の水温から大きく外れる恐れがあるため、喫緊の水温データを平均化して使用することにより、水温の予測値が実際の水温から大きく外れしないようにするためである。そして、S7において、S4で算出した相関式と、S6で算出した予測対象日の水温から、予測対象日の当該時間帯の給湯負荷を算出する。そして、S8において、予測対象日の最終時刻まで給湯負荷を算出したか否かを判断する。予測対象日の最終時刻まで給湯負荷を算出していない場合には(S8:NO)、S4に戻り、次の時間帯における給湯負荷を算出する。
【0057】
これに対して、決定係数が0.5以上でないと判断した場合には(S5:NO)、給湯負荷と水温との相関関係が強くないので、上述したように相関関数を用いて予測対象日の給湯負荷を予測しても、予測外れする可能性が高い。そこで、この場合には、S9において、予測対象日の生活パターンが同様であると考えられる予測対象日と同曜日の4週分に対応する給湯負荷データをデータベース36から読み込んで平均処理し、予測対象日の給湯負荷を予測する。すなわち、水温データを用いずに給湯負荷データのみで給湯負荷を予測する。それから、S8において、予測対象日の最終時刻まで給湯負荷を算出したか否かを判断する。予測対象日の最終時刻まで給湯負荷を算出していない場合には(S8:NO)、S4に戻り、次の時間帯における給湯負荷を算出する。
【0058】
上記のようにして、予測対象日の開始時刻から終了時刻までの各時間帯について給湯負荷を算出していく。予測対象日の最終時刻まで給湯負荷を算出し終わったら(S8:YES)、S10へ進み、S4〜S9の処理で算出した給湯負荷を用いて、運転制御の基本ロジックに基づいて発電機8の予測対象日の運転パターンを決定する。ここで、運転制御の基本ロジックは、従来より種々のものが提案されているため(例えば従来技術1〜5など)、詳細な説明を省略する。一例を挙げて簡単に説明すると、例えば、予測対象日の給湯負荷を賄うように発電機8の起動・停止時刻をずらしながら運転パターンを複数仮決定して、各運転パターンの一次エネルギー量を算出し、一次エネルギー量が最小となる運転パターンを予測対象日の運転パターンに本決定する。こうして予測対象日における発電機8の運転パターンを決定したら、処理を終了する。
【0059】
(作用効果)
従って、第1実施形態のコージェネレーションシステム1の運転制御装置30Aは、図15に示すように給湯負荷と水温又は外気温との相関関係が弱く、給湯負荷予測が外れる可能性が高い場合には、過去の給湯負荷を平均処理して求めた給湯負荷を賄うように発電機8の運転パターンを用いる(図3のS5:NO,S9、S10参照)。そのため、例えば、季節が春から夏へ移り変わる時期や、子供が夏休みに帰省して家族構成が変わった場合など、給湯負荷の変動が大きく、給湯負荷を予測しにくい場合でも、給湯負荷を平均処理したものを用いて発電機8の運転パターンを決定することにより、給湯負荷の予測が実際の給湯負荷から大きく外れることを防いで給湯負荷の予測精度を向上させ、コージェネレーションシステム1を効率よく運転することができる。
【0060】
(第2実施形態)
次に、本発明に係るコージェネレーションシステムの運転制御装置の第2実施形態について図面を参照して説明する。図4は、第2実施形態に係るコージェネレーションシステム1の運転制御装置30Bに格納される運転制御プログラム35Bのフロー図である。
第2実施形態の運転制御装置30Bは、風呂負荷と水温との相関関係を基準に給湯負荷を予測する点が第1実施形態と相違する。よって、ここでは、第1実施形態と相違する点を中心に説明し、第1実施形態と同一の構成には同一符号を図面に用いて説明を適宜省略する。
【0061】
風呂負荷は、給湯負荷に占める割合が大きく、風呂負荷の予測が外れると、給湯負荷の予測が外れる可能性が高い。そのため、図4に示す運転制御プログラム35Bは、風呂負荷に着目して発電機8の運転パターンを決定する。
【0062】
(運転制御プログラム)
具体的には、運転制御プログラム10Bは、図4に示すS11において、流量計19の計測結果に基づいて、半日或いは1日の積算(平均)データとして風呂負荷を蓄積してデータベース化する。第1実施形態と比べてデータ数が少なくてよいのは、風呂負荷は、1日に1回〜数回程度しか発生しないため、第1実施形態のように給湯負荷を基準とする制御のように積算時間を細かく区分する必要がないからである。
【0063】
そして、S12において、予測対象日と同曜日の風呂負荷データ、水温データ(過去4〜12週分)をデータベース36から読み込む。尚、データは、予測対象日に対して喫緊の一週間のデータをデータベース36から読み込んでもよい。そして、S13において、予測対象日の喫緊の水温データ(3日分〜1週間分)をデータベース36から読み込む。そして、S14において、S12にて読み込んだ風呂負荷データと水温データから積算時間帯毎に最小二乗法等を用いて相関式を算出する。このとき、水温データは、風呂負荷の発生した時間帯の平均水温とする。
【0064】
そして、S15において、S14で求めた相関式から決定係数を算出し、その決定係数が所定値以上か否かを判断する。「所定値」は、風呂負荷データと水温データとの相関の強さを調べるために任意に設定可能であり、第2実施形態では0.5とする。
【0065】
決定係数が0.5以上である場合には(S15:YES)、風呂負荷と水温との相関が強く、過去のデータを使用して風呂負荷を予測しても外れにくい。そこで、S16において、S13でデータベース36から読み込んだ喫緊の水温データを平均化して各時間帯の水温を求め、求めた水温をS14で算出した相関式に当てはめ、予測対象日の風呂負荷を算出する。その後、S17において、S16で算出した風呂負荷を賄うように、運転制御ロジックに基づいて予測対象日における発電機8の運転パターンを決定し、処理を終了する。運転制御ロジックは、既知であるので、説明を省略する。
【0066】
これに対して、決定係数が0.5未満である場合には(S15:NO)、風呂負荷と水温との相関が弱く、S14で算出した相関式を用いて風呂負荷を予測しても、予測が外れる可能性が高い。そこで、S18において、喫緊(例えば予測対象日前の3日分)の給湯負荷データをデータベース36から読み込んで平均処理し、予測対象日の風呂負荷を算出する。そして、S17において、平均処理で求めた予測対象日の風呂負荷を賄うように、運転制御の基本ロジックに基づいて発電機8の翌日の運転パターンを決定し、処理を終了する。尚、運転制御の基本ロジックは既知であるので説明を省略する。
【0067】
(作用効果)
家庭にコージェネレーションシステム1を導入した場合、風呂負荷が家庭の給湯負荷に対して大きな割合を占める。そのため、例えば、季節が春から夏に移行するときには、使用者が風呂16に湯張りをする入浴方法から湯張りしない入浴方法に移行し、風呂16の使用形態が変化するときがある。また例えば、季節が夏から秋に移行するときには、使用者が風呂16に湯張りをしない入浴方法から湯張りする入浴方法に移行し、風呂16の使用形態が変化するときがある。これら使用傾向の変化は、水温や外気温と必ずしも関係なく、使用者の感覚によるところが大きく、予測しにくい。
【0068】
この点、第2実施形態に係るコージェネレーションシステム1の運転制御装置30Bは、風呂負荷と水温との相関が弱いときに、風呂負荷データを平均処理して求めた風呂負荷予測値に基づいて発電機8の運転パターンを決定する(図4のS15:YES、S18,S19参照)。そのため、第2実施形態に係るコージェネレーションシステム1の運転制御装置30Bによれば、季節の変わり目で風呂負荷を予測しにくい場合でも、風呂負荷の予測値を実際の風呂負荷に近づけ、給湯負荷の予測精度を向上させることができる。
【0069】
(第3実施形態)
次に、本発明に係るコージェネレーションシステムの運転制御装置の第3実施形態について図面を参照して説明する。図5は、第3実施形態に係るコージェネレーションシステム1の運転を制御する運転制御装置30Cに格納される運転制御プログラム35Cのフロー図である。図6は、風呂負荷の実際値と予測値との関係の一例を示す図であり、縦軸に風呂負荷(MJ)を示し、横軸に日付を示す。
【0070】
例えば、季節の変わり目になり、使用者が湯張りする入浴方法から湯張りしない入浴方法に変えると、図6に示すように、ある日突然に実際の風呂負荷がなくなり、風呂16の使用傾向が変化することがある。この変化は、必ずしも水温と関係せず、使用者の感覚によるところが大きい。そこで、第3実施形態の運転制御装置30Cは、風呂負荷の有無によって給湯負荷に使用するデータを変える点が第1実施形態と相違し、その他の点は共通する。よって、ここでは、第1実施形態と相違する運転制御プログラム35Cを詳細に説明し、第1実施形態と共通する点については第1実施形態と同じ符号を図面に使用し、説明を適宜省略する。
【0071】
(運転制御プログラム)
図5に示すように、運転制御プログラム35Bは、S21において、半日或いは1日の積算(平均)データとして風呂負荷データを蓄積してデータベース化する。そして、S22において、予測対象日と同曜日の風呂負荷データ(過去4〜12週分)をHDD37のデータベース36から読み込む。或いは喫緊の一週間の風呂負荷データをデータベース36から読み込む。そして、S23において、読み込んだ風呂負荷データの積算値(1日分)を算出する。
【0072】
そして、S24において、過去の風呂負荷が発生しているか否かを判断する。過去の風呂負荷が発生している場合には(S24:YES)、更にS25において、喫緊のX日間に風呂負荷が発生しているか否かを判断する。「喫緊のX日間」とは、気候などの外部環境が予測対象日と同じと考えられる予測対象日直前の数日間をいう。第3実施形態では、予測対象日直前の3日間をいうものとする。予測対象日直前の3日間にも風呂負荷が発生している場合には(S25:YES)、使用者が風呂16に湯張りする入浴方法を継続し、風呂16の使用傾向が変化しないことを意味する。そこで、S26において、予測対象日と同曜日の給湯負荷データをデータベース36から読み込み、予測対象日の給湯負荷を各時間帯毎に算出する。そして、S29において、S26で算出した給湯負荷予測に基づいて発電機8の運転パターンを決定した後、処理を終了する。
【0073】
一方、予測対象日直前の3日間に風呂負荷が発生していない場合には、使用者が風呂16に湯張りする入浴方法を風呂16に湯張りしない入浴方法に変えたと考えられ、過去の積算(平均)データを使用して給湯負荷を予測しても予測外れする可能性が高い。このような積算(平均)データは今後の給湯負荷予測で使用されないと考えられるので、S27において、予測対象日直前の3日間以外のデータを破棄する。これにより、過去の給湯負荷データを使用できなくなり、HDD37の記憶容量が増える。
【0074】
そして、S28において、予測対象日直前の3日間の給湯負荷データをデータベース36から読み込んで平均値を算出し、算出した平均値を用いて、予測対象日の給湯負荷を各時間帯毎に予測する。これにより、予測対象日の使用傾向に最も近似する給湯負荷データを用いて予測対象日の給湯負荷を予測でき、給湯負荷の予測精度が向上する。そして、S29において、S28で算出した給湯負荷予測に基づいて発電機8の運転パターンを決定した後、処理を終了する。
【0075】
ところで、過去の風呂負荷が発生していない場合には(S24:NO)、更にS30において、予測対象日直前の3日間に風呂負荷が発生しているか否かを判断する。予測対象日直前の3日間に風呂負荷が発生していない場合には(S30:NO)、使用者が風呂16に湯張りしない入浴方法を継続し、風呂16の使用傾向が変化しないので、S31において、過去の給湯負荷データをデータベース36から読み込んで予測対象日の給湯負荷を算出する。そして、S29において、S31で算出した給湯負荷予測に基づいて発電機8の運転パターンを決定した後、処理を終了する。
【0076】
一方、予測対象日直前の3日間に風呂負荷が発生した場合には(S30:YES)、使用者が風呂16に湯張りしない入浴方法を風呂16に湯張りする入浴方法へ変え、風呂16の使用傾向が変化したことを意味する。そこで、S27以降の処理を実行する。S27以降の処理については上述したので説明を省略する。
【0077】
(作用効果)
従って、第3実施形態のコージェネレーションシステムの運転制御装置30Cは、例えば図6に示すように、7月16日までは風呂負荷があったにもかかわらず、7月17日以降は風呂負荷がなくなった場合には、予測対象日直前の3日間に発生した給湯負荷データの平均値を用いて予測対象日(7月20日)の給湯負荷を各時間帯毎に予測し、給湯負荷の予測値を賄うように発電機8の運転パターンを決定する(図5のS24:YES,S25:NO,S27〜S29,S24:NO,S30:YES、S27〜S29参照)。そのため、第3実施形態のコージェネレーションシステムの運転制御装置30Cは、例えば図6に示すように、7月16日までは風呂負荷があったにもかかわらず、7月17日以降は風呂負荷がなくなった場合のように風呂16の使用傾向が変化した場合でも、予測対象日である7月20日に近似すると考えられる予測対象日直前の3日間(7月17,18,19日)に実際に発生した給湯負荷データを用いて、予測対象日の給湯負荷を精度良く予測することができ、コージェネレーションシステム1を効率良く運転することができる。
【0078】
しかも、第3実施形態に係るコージェネレーションシステム1の運転制御装置30Cによれば、風呂負荷データを3日間連続して取得し、データベース36に記憶しないときには、風呂負荷の有無が変化したと判断し、予測対象日直前の3日間分の給湯負荷データを除いた7月16日以前の給湯負荷データを破棄するので(図5のS27参照)、HDD37の記憶容量が少ないでも給湯負荷の精度を向上させることができる。
【0079】
(第4実施形態)
次に、本発明に係るコージェネレーションシステムの運転制御装置の第4実施形態について図面を参照して説明する。図7は、第4実施形態に係るコージェネレーションシステム1の運転を制御する運転制御装置30Dに格納される運転制御プログラム35Dのフロー図である。図8は、図5に示す運転制御プログラム35Dの実行時に予測対象日翌日の午前中に発生する給湯負荷HIAを賄う運転の概念図であり、縦軸に電力(W)を示し、横軸に時刻を示す。
【0080】
第4実施形態の運転制御装置30Dは、図8に示すように予測対象日翌日の午前中に発生する給湯負荷HIAを、予測対象日の最終給湯負荷時刻後に発電機8を運転して賄う場合(図中Y1参照)の一次エネルギー消費量と、予測対象日翌日の午前中に給湯負荷が発生する時刻から遡って発電機8を運転して賄う場合(図中Y2参照)の一次エネルギー消費量の何れが小さくなるかを判断して、予測対象日の時間サイクルを可変とする点が、第1実施形態と相違する。よって、ここでは、第1実施形態と相違する点を中心に説明し、共通する点は図面に同一符号を付し、説明を適宜省略する。
【0081】
(運転制御プログラム)
図7に示すように、運転制御プログラム35Dは、S41において、30分〜2時間程度の積算(平均)データとして、流量計15,19が計測した給湯負荷データと、電力計26が計測した電力負荷データを蓄積してHDD37のデータベース36に保存する。そして、S42において、予測対象日の給湯負荷と電力負荷を各時間帯毎に予測する。この予測方法は、既知であるので説明を省略する。
【0082】
そして、S43において、予測対象日翌日の午前中に給湯負荷HIAが発生するか否かを調べる。予測対象日翌日の午前中に給湯負荷HIAが発生しない場合には(S43:NO)、予測対象日に発電機8を運転して予測対象日翌日の給湯負荷を賄う必要がない。そこで、S49において、予測対象日の電力負荷の予測値と給湯負荷の予測値を賄うように発電機8の運転パターンを決定するときに、最も一次エネルギー消費量が小さくなる運転時間を選択し、発電機8の運転パターンを決定する。
【0083】
これに対して、予測対象日翌日の午前中に給湯負荷HIAが発生すると予測されるときには(S43:YES)、S44において、予測対象日翌日の午前中に発生する給湯負荷HIAを、予測対象日の最終給湯負荷時刻から発電機8を運転して運転で賄う場合(図8のY1参照)の一次エネルギー消費量を算出する。図8のY1を例に挙げて説明すると、予測対象日の最終給湯負荷時刻(22:00)から、予測対象日翌日の午前中に発生すると考えられる給湯負荷HIAの熱量分だけ、発電機8を運転したときの発電機8の燃料使用量を、予測対象日翌日の午前中に発生する給湯負荷HIAを予測対象日の発電機8の運転で賄うときの一次エネルギー消費量とする。この場合、予測対象日翌日の午前中に発生する給湯負荷HIAの使用時刻と、発電機8の発電時刻との間に時間差があるため、その間の放熱損を見込んだ熱量分(HIA+放熱損)も発電機8を発電させて貯湯タンク2に回収するものする。
【0084】
そして、S45において、予測対象日翌日の午前中に発生する給湯負荷HIAを、予測対象日翌日の午前中に給湯負荷HIAが発生する時刻から遡って、発電機8の運転で賄う場合(図8のY2参照)の一次エネルギー消費量を算出する。図8のY2を例に挙げて説明すると、予測対象日翌日の午前中に発生する給湯負荷HIAの発生時刻(8:00)から遡って、予測対象日翌日の午前中に発生する給湯負荷HIAの熱量分だけ発電機8を運転したときに発電機8が消費する燃料使用量を、予測対象日翌日の午前中に発生する給湯負荷HIAを予測対象日翌日の午前中に給湯負荷HIAが発生する時刻から遡って発電機8の運転で賄う場合の一次エネルギー消費量とする。
【0085】
そして、S46において、S44で算出した予測対象日に発電機8の運転に使用する一次エネルギー消費量が、S45で算出した予測対象日翌日に発電機8の運転に使用する一次エネルギー消費量より小さいか否かを判断する。すなわち、予測対象日と予測対象日翌日の何れに発電機8を運転して予測対象日翌日の午前中に発生する給湯負荷を賄うのが省エネ上好ましいかを判断する。
【0086】
S44で算出した予測対象日に発電機8の運転に使用する一次エネルギー消費量が、S45で算出した予測対象日翌日に発電機8の運転に使用する一次エネルギー消費量より小さいと判断した場合には(S46:YES)、予測対象日1日の時間サイクルを0:00〜36:00とする。すなわち、予測対象日翌日の12:00までを予測対象日の時間サイクルに含める。そして、S49において、0:00〜36:00の範囲で予測対象日の電力負荷と給湯負荷及び予測対象日翌日の午前中に発生する給湯負荷HIAを賄うように発電機8の運転時間を変えながら一次エネルギー消費量を計算し、最も一次エネルギー消費量が小さくなる発電機8の運転時間を選択して発電機8の運転パターンに決定する。
【0087】
これに対して、S44で算出した予測対象日に発電機8の運転に使用する一次エネルギーが、S45で算出した予測対象日翌日に発電機8の運転に使用する一次エネルギーより小さくないと判断した場合には(S46:NO)、S48において、予測対象日1日の時間サイクルを0:00〜24:00とする。すなわち、予測対象日翌日を時間サイクルに含めない。そして、S49において、0:00〜24:00の範囲で予測対象日の電力負荷と給湯負荷を賄うように発電機8の運転時間を変えながら一次エネルギー消費量を計算し、最も一次エネルギー消費量が小さくなる発電機8の運転時間を選択して発電機8の運転パターンに決定する。尚、この場合には、予測対象日翌日の午前中に発生する給湯負荷HIAは、予測対象日翌日の時間サイクルに発電機8を運転する際に賄う。
【0088】
(作用効果)
従って、第4実施形態に係るコージェネレーションシステム1の運転制御装置30Dは、例えば図8に示すように予測対象日翌日の8:00から給湯負荷HIAがあるときに、その給湯負荷HIAを賄うように、予測対象日の最終給湯負荷時刻22:00から発電機8を運転した場合(図中Y1参照)の一次エネルギー消費量と、予測対象日翌日の午前中に給湯負荷HIAが発生する時刻8:00から遡って発電機8を運転した場合(図中Y2参照)の一次エネルギー消費量とを比較し、一次エネルギー消費量が小さくなる時間サイクル0:00〜36:00又は0:00〜24:00を選択して発電機8の運転パターンを決定する(図7のS43:YES、S44〜S49参照)。よって、第4実施形態に係るコージェネレーションシステム1の運転制御装置30Dによれば、少ない計算回数や取扱データ数で発電機8を運転する時間サイクルを可変としつつ、コージェネレーションシステム1を使用する使用者の生活パターンに合わせて発電機8の運転パターンを決定することができ、コージェネレーションシステムを効率よく運転することができる。
【0089】
具体的には、使用者の生活パターンが夜型の場合、予測対象日の最終給湯負荷時刻後に生じる電力負荷を発電機8の発電で賄いつつ、その発電時に発生する排熱を利用して予測対象日翌日の午前中に発生する給湯負荷HIAを賄うことが可能になり、一次エネルギー消費量が少なくて済む。よって、この場合には、発電機8の時間サイクルを0:00〜36:00に設定し、24:00を跨いで発電機8を運転制御することにより、コージェネレーションシステム1の省エネ性を高めることができる。
【0090】
一方、使用者の生活パターンが朝型の場合、予測対象日の最終給湯負荷時刻から発電機8を運転して、午前中の給湯負荷HIAを賄うように貯湯タンク2に蓄熱すると、放熱損が大きくなり、一次エネルギー消費量が大きくなる。よって、この場合には、発電機8の時間サイクルを0:00〜24:00に設定し、予測対象日翌日に発電機8を運転して予測対象日翌日の午前中に発生する給湯負荷HIAを賄う方が、コージェネレーションシステム1の省エネ性を高めることができる。
【0091】
(第5実施形態)
次に、本発明に係るコージェネレーションシステムの運転制御装置の第5実施形態について図面を参照して説明する。図9は、本発明の第5実施形態に係るコージェネレーションシステム1の運転を制御する運転制御装置30Eに格納される運転制御プログラム35Eのフロー図である。
第5実施形態の運転制御装置30Eは、風呂時刻のバラツキが大きい場合、予測対象日当日に風呂時刻を再設定して貯湯タンク2が満タンになること或いは湯切れを防止する点で、第1実施形態と相違する。よって、ここでは第1実施形態と相違する点を中心に説明し、共通する点は図面に同一符号を付して説明を適宜省略する。
【0092】
(運転制御プログラム)
図9に示すように、運転制御プログラム35Eは、先ずS51において30分〜2時間程度の積算(平均)データとして給湯負荷データ、電力負荷データを蓄積してHDD37のデータベース36に蓄積する。そして、S52において、既知の方法に従って、予測対象日の給湯負荷及び電力負荷を各時間帯毎に予測し、発電機8の運転パターンを決定する。そして、S53において、所定時間が経過したか否かを判断する。この所定時間は、貯湯タンク2のタンク残熱を監視する時間を設定するものであり、この目的を達成し得れば任意に設定可能である。第5実施形態では、タンク残熱を毎時間監視するように、直前の所定時間計測後から1時間を所定時間とする。1時間が経過するまでは(S53:NO)、待機する。
【0093】
1時間が経過したら(S53:YES)、S54において、貯湯温度センサ20の温度検出結果に基づいて貯湯タンク2のタンク残熱を調べる。そして、タンク残熱を調べた時間に対応するタンク残熱の予測値をHDD37のデータベース36から読み出す。そして、貯湯タンク2の残熱とタンク残熱の予測値との乖離を調べる。その後、S55において、湯切れや貯湯タンク2の満タン状態を調べるために、タンク残熱の実際値とタンク残熱の予測値との乖離が一定量を超えたか否かを確認する。
【0094】
乖離が一定量を超えないと判断した場合には(S55:NO)、そのままS60へ進む。これに対して、乖離が一定量を超えた場合には(S55:YES)、S56において、当該時刻が風呂負荷の発生前か発生後かを調べる。風呂負荷の前後で貯湯タンク2に蓄熱する必要性が異なるからである。
【0095】
風呂負荷の発生前であれば(S56:発生前)、予測対象日当日にタンク残熱を調べた時刻以降のタンク熱を調べる。具体的には、当該時刻において貯湯タンク2に残っている熱を給湯温度センサ20の検出結果に基づいて算出し、タンク残熱Hsaとする。また、当該時刻以降から予測対象日最終時刻までの発電機8の運転パターンを読み込み、当該時刻以降から予測対象日最終時刻までに貯湯タンク2に回収される熱回収量を予測する。また、S52で予測してデータベース37に記憶した給湯負荷の予測値の中から、当該時刻以降から予測対象日最終時刻までの給湯負荷の予測値を読み込む。更に、当該時刻から予測対象日最終時刻までの放熱損を算出する。
【0096】
これらの結果からタンク熱を調べる。すなわち、タンク残熱Hsaに熱回収量の予測値を加算することにより、当該時刻以降から予測対象日最終時刻までに貯湯タンク2に蓄熱される熱量を計算し、その熱量から当該時刻以降から予測対象日最終時刻までに消費される給湯負荷の予測値を減算する。さらに、減算した結果に放熱損を乗算し、予測対象日最終時刻に貯湯タンク2に残ると予測されるタンク熱を算出する。
【0097】
その後、S58において、S57で算出したタンク熱が閾値を超えるか否かを調べ、貯湯タンク2が満タンになるか否かを調べる。
【0098】
一方、タンク熱が閾値を超えると判断した場合には(S58:YES)、S59において、貯湯タンク2が満タンになるタンク満タン時刻を算出し、タンク満タン時刻から遡って発電機8の出力を抑制する。これにより、当該時刻以降に貯湯タンク2に回収される熱を減少させ、貯湯タンク2が満タン状態になることを防止する。その後、S60へ進む。
【0099】
S60では、予測対象日の最終時刻が経過したか否かを判断する。予測対象日の最終時刻が経過していなければ(S60:NO)、S53に戻り、貯湯タンク2のタンク残熱を監視する。一方、予測対象日の最終時刻が経過した場合には(S60:YES)、処理を終了する。
【0100】
これに対して、タンク熱が閾値を超えない場合には(S58:NO)、S61において、熱不足が生じるか否かを確認する。熱不足は、当該時刻におけるタンク残熱と当該時刻以降から予測対象日の最終時刻までの熱回収量とを加算した値から、当該時刻以降から予測対象日の最終時刻までに消費すると予測される給湯負荷の予測値を減算することにより求められる。熱不足が生じない場合には(S61:NO)、S60へ進む。S60以降の処理は上述したので説明を省略する。
【0101】
熱不足が生じる場合には(S61:YES)、S62において、出力抑制を解除し、予め決定した運転パターンに従って発電機8を運転する。これにより、熱回収量が増加し、給湯負荷の予測値を賄えるように貯湯タンク2に蓄熱される。
【0102】
ところで、タンク残熱の実際と予測値との乖離が一定量を超えた時刻が、風呂負荷の発生後である場合には(S56:発生後)、そのまま運転パターンに従って発電機8を運転すると、貯湯タンク2に溜めた熱を消費できずに放熱損が大きくなる。そこで、S63において、予測対象日当日に発電機8を停止する時刻のタンク残熱を算出し、この運転当日発電機停止時のタンク残熱が、S53で予測した給湯負荷より大きくなるか否かを判断する。運転当日発電機停止時のタンク残熱が給湯負荷の予測値より大きくならない場合には(S63:NO)、S61へ進む。S61以降の処理については上述したので説明を省略する。
【0103】
一方、運転当日発電機停止時のタンク残熱が給湯負荷の予測値より大きくなる場合には(S63:YES)、S64において、予測対象日に発電機8を停止する時刻から遡って出力を抑制することで、給湯負荷の予測値に近づける。これにより、風呂負荷を確保しつつ、風呂負荷以外の給湯負荷を賄うように貯湯タンク2に蓄熱できる。その後、S60へ進む。S60以降の処理は上述したので説明を省略する。
【0104】
(作用効果)
従って、第5実施形態に係るコージェネレーションシステム1の運転制御装置30Eは、貯湯タンク2のタンク残熱を算出し、そのタンク残熱がタンク残熱の予測値と一定量を超えて乖離したときに、発電機8の出力を変更する(図9のS55:YES、S56〜S64参照)。そのため、第5実施形態に係るコージェネレーションシステム1の運転制御装置30Eによれば、発電機8の出力を変更することにより風呂負荷の予測外れを事後的に是正し、コージェネレーションシステム1を効率よく運転することができる。
【0105】
また、第5実施形態に係るコージェネレーションシステム1の運転制御装置30Eによれば、貯湯タンク2のタンク残熱とタンク残熱の予測値との一定量を超える乖離が風呂負荷前に発生し、且つ、貯湯タンク2が満タンになると判断したときに、貯湯タンク2が満タンになるタンク満タン時刻から遡って発電機8の出力を抑制するので(図9のS56:発生前、S57、S58:YES、S59参照)、風呂負荷に使用する以外の熱の回収量を減らして放熱損が大きくなることを防ぎ、高い省エネ性を得ることができる。
【0106】
また、第5実施形態に係るコージェネレーションシステム1の運転制御装置30Eによれば、貯湯タンク2のタンク残熱とタンク残熱の予測値との一定量を超える乖離が風呂負荷後に発生し、且つ、予測対象日当日に発電機8を停止する停止時における貯湯タンク2のタンク残熱が予測したタンク残熱より大きくなると判断したときに、当該停止時から遡って発電機8の出力を抑制するので(図9のS56:発生後、S63,S64参照)、予測対象日当日に消費できない湯を貯湯タンク2に貯めて放熱損が大きくなることを防ぎ、高い省エネ性を得ることができる。
【0107】
更に、第5実施形態に係るコージェネレーションシステム1の運転制御装置30Eによれば、貯湯タンク2のタンク残熱とタンク残熱の予測値との一定量を超える乖離が小さくなったときに、発電機8の出力抑制を解除し、運転パターンに従って貯湯タンク2に熱回収するので(図9のS61:YES,S61参照)、貯湯タンク2の満タン状態を防ぎつつ、給湯負荷を賄うために必要な熱を回収することができる。
【0108】
(第6実施形態)
次に、本発明に係るコージェネレーションシステムの運転制御装置の第6実施形態について図面を参照して説明する。図10は、本発明の第6実施形態に係るコージェネレーションシステム1の運転を制御する運転制御装置30Fに格納される運転制御プログラム35Fのフロー図である。図11は、風呂時刻の標準正規分布の一例を示す図であり、縦軸に発生確率を示し、横軸に時刻を示す。図12は、図10に示す運転制御プログラム35Fにより決定された運転パターンの一例を示す図であり、縦軸にタンク残熱を示し、横軸に時刻を示す。図13は、図10に示す運転制御プログラム35Fにより決定された運転パターンの一例を示す図であり、縦軸にタンク残熱を示し、横軸に時刻を示す。
【0109】
第6実施形態の運転制御装置30Fは、風呂時刻のバラツキが大きいときに、予測した風呂時刻を再設定して貯湯タンク2の満タン状態や湯切れを防止する点が第1実施形態と相違する。よって、ここでは第1実施形態と相違する点を中心に説明し、共通する点は図面に同一符号を付して説明を適宜省略する。
【0110】
(運転制御プログラム)
図10に示すように、運転制御プログラム35Fは、S71において、例えば、予測対象日と同曜日の風呂時刻(過去4〜12週間分)をHDD37のデータベース37から読み込み、過去の風呂時刻の偏差を算出する。そして、S72において、風呂時刻の偏差が所定値以下であるか否かを判断する。「所定値」は、風呂時刻が所定時刻に発生する確率を調べることができるように任意に設定可能である。風呂時刻の偏差が所定値以下であり、風呂時刻のバラツキが小さい場合には(S72:YES)、風呂16の発生時刻が安定し、過去の給湯負荷データを用いて予測対象日の給湯負荷を予測しても予測外れしにくいことを意味するので、そのまま処理を終了する。
【0111】
一方、風呂時刻の偏差が所定値を超え、風呂時刻のバラツキが大きい場合には(S72:NO)、風呂16の発生時刻が安定せず、過去の給湯負荷データのみで予測対象日の給湯負荷を予測すると、予測外れする可能性が高いことを意味する。そこで、S73において、風呂負荷が発生する時間帯を特定するために、例えば図11に示すような風呂時刻の標準正規分布を算出する。
【0112】
そして、図10のS74において、図11に示すように、風呂時刻の標準正規分布から風呂時刻の平均値を求め、風呂負荷の発生確率が最も高い時刻を特定する。そして、その平均値から標準偏差σを減算することにより、図11に示す第1風呂候補時刻を算出する。また、その平均値に標準偏差σ(2時間)を加算することにより、図11に示す第2風呂候補時刻を算出する。よって、図11に示す第1風呂候補時刻から第2風呂候補時刻までの時間帯は、風呂負荷が発生する確率の高い時間帯となる。
【0113】
そして、図10のS75において、風呂時刻の平均値を風呂時刻として運転パターンを仮決めしたときに、予測対象日の各時間帯にどれだけの熱が貯湯タンク2に残るか調べ、そのタンク残熱が、貯湯タンク2の満タン量に対して常にX割以下になるか否かを調べる。「X割」は、風呂負荷が発生しない場合でも貯湯タンク2が満タンにならない割合とすることが好ましい。
【0114】
タンク残熱のタンク満タン量に対する割合が常にX割以下である場合には(S75:YES)、貯湯タンク2が満タンになる可能性が低いので、S76において、図12に示すように、S74で算出した第1風呂候補時刻を風呂時刻に再設定する。そして、図10のS77において、風呂負荷を再設定した後の給湯負荷予測を賄うように、発電機8の運転パターンを決定する。これにより、風呂時刻の平均値より早い時刻である第1風呂候補時刻に風呂負荷が発生した場合でも、貯湯タンク2の貯湯水で風呂負荷及び風呂負荷発生後の汎用給湯負荷を賄うことができる。運転パターンを決定したら、処理を終了する。
【0115】
これに対して、平均値を風呂時刻とし、発電機8の運転パターンを決定したときのタンク残熱が常にタンク満タン量のX割以下でない場合には、貯湯タンク2が満タンになる可能性が高い。そこで、図10のS78において、図13に示すように、第1風呂候補時刻を風呂時刻に再設定する。これにより、風呂時刻の平均値より早い時刻である第1風呂候補時刻に風呂負荷が発生した場合でも、その風呂負荷を貯湯タンク2の貯湯水で賄うことができる。そして、図10のS79において、図13に示すように、第1風呂候補時刻から第2風呂候補時刻までは発電機8を最低出力で運転させるように運転パターンを決定する。これにより、貯湯タンク2が満タンになることを防ぎつつ、発電機8の運転を継続して予測対象日の給湯負荷と電力負荷を賄うことができる。
【0116】
その後、図10のS80において、風呂負荷が発生したか否かを判断する。風呂負荷が発生するまでは(S80:NO)、発電機8を最低出力で運転しながら待機する。一方、風呂負荷が発生した場合には(S80:YES)、その後に大きな給湯負荷がないと考えられるので、S81において発電機8を電力追従運転に変更した後、処理を終了する。
【0117】
(作用効果)
従って、第6実施形態に係るコージェネレーションシステム1の運転制御装置30Fは、風呂時刻のバラツキが大きく、風呂時刻の予測が外れやすいときに、風呂時刻の平均値から標準偏差分だけ時間を減算して第1風呂候補時刻を算出し、第1風呂候補時刻を予測対象日の風呂時刻に設定して発電機8の運転パターンを決定する(図10のS72:YES、S73〜79、図12、図13参照)。これにより、第6実施形態に係るコージェネレーションシステム1の運転制御装置30Fは、発電機8の出力を頻繁に変更したり、発電機8の起動と停止を繰り返さなくても、湯切れやタンク満タン状態を回避でき、コージェネレーションシステム1を効率よく運転することができる。
【0118】
もっとも、風呂時刻の平均値を風呂時刻として発電機8の運転パターンを仮決めして、貯湯タンク2のタンク残熱を算出し、その貯湯タンク2のタンク残熱が貯湯タンク2のタンク満タン量に対して所定の割合を常に超える場合には、第1風呂候補時刻に風呂負荷が発生しないと、貯湯タンク2が満タンになって放熱損を生じる恐れがある。この場合には、風呂時刻の平均値に標準偏差分だけ時間を加算して風呂時刻を遅らせた第2風呂候補時刻を設定し、第1風呂候補時刻から第2風呂候補時刻まで発電機を最低出力で運転する(図10のS75:NO,S78,S79、図13参照)。よって、第6実施形態に係るコージェネレーションシステム1の運転制御装置30Fによれば、湯切れとタンク満タン状態を防ぎつつ、予測対象日の電力負荷と給湯負荷をコージェネレーションシステム1で賄うことができ、高い省エネ性を確保できる。
【0119】
更に、第6実施形態に係るコージェネレーションシステム1の運転制御装置30Fによれば、予測対象日当日に風呂負荷が発生した後には、電力負荷追従運転に変更するので(図10のS80:YES、S81参照)、放熱損を抑制できる。
【0120】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されることなく、色々な応用が可能である。
例えば、上記実施の形態では、家庭に設置したコージェネレーションシステムを対象にして運転制御装置30A〜30Fを説明したが、例えば、従業員数名の企業に設置したコージェネレーションシステムなど、給湯負荷や電力負荷が使用者の使用パターンに応じて変化しやすいものであっても、運転制御装置30A〜30F適用して予測精度の向上を図ることが可能である。
例えば、上記第1,2実施形態では、給湯負荷と水温、又は、風呂負荷と水温との相関関係を基準に説明したが、給湯負荷と外気温、又は、風呂負荷と外気温との相関関係を基準にしてもよい。
例えば、上記第1実施形態では給湯負荷を基準に、また、上記第2実施形態では風呂負荷を基準に、予測対象日の給湯負荷又は風呂負荷を予測した。これに対して、給湯負荷から風呂負荷を除いた汎用給湯負荷を基準に予測対象日の汎用給湯負荷を予測し、発電機8の運転パターンを決定してもよい。例えば、季節の変わり目に、風呂16に湯張りするパターンからシャワーを使用するパターンに風呂16の使用パターンが変わっても、使用パターンの前後で給湯負荷全体の変化が乏しい場合には、給湯負荷や風呂負荷を基準にすると、予測対象日の給湯負荷予測を精度良く行うことができないが、汎用給湯負荷を基準にすれば、風呂16の使用パターンの変化に影響されずに給湯負荷を精度良く予測できる。よって、ユーザの生活パターンに応じて、給湯負荷、風呂負荷及び汎用給湯負荷の何れを基準にするか適宜決定すれば、給湯負荷をより一層精度良く予測できる。
【符号の説明】
【0121】
1 コージェネレーションシステム
8 発電機
30A,30B,30C,30D,30E,30F 運転制御装置
35A,35B,35C,35D,35E,35F 運転制御プログラム
36 データベース
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給湯負荷と水温又は外気温との相関関係を算出し、算出した相関関係に基づいて発電機の運転パターンを決定するコージェネレーションシステムの運転制御装置において、
前記相関関係の決定係数が所定値より小さいときに、過去の給湯負荷を平均処理し、平均処理した給湯負荷を賄うように前記発電機の運転パターンを決定する運転制御プログラムを有することを特徴とするコージェネレーションシステムの運転制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載するコージェネレーションシステムの運転制御装置において、
前記給湯負荷が風呂負荷であることを特徴とするコージェネレーションシステムの運転制御装置。
【請求項3】
予測対象日のエネルギー負荷パターンを予測して発電機の運転パターンを決定するコージェネレーションシステムの運転制御装置において、
風呂負荷データを蓄積するデータ蓄積手段と、
前記風呂負荷データを前記データ蓄積手段に蓄積する蓄積有無が変化したときに、喫緊の給湯負荷データの平均値を用いて予測対象日の給湯負荷を予測し、給湯負荷の予測値を賄うように前記発電機の運転パターンを決定する運転制御プログラムを有することを特徴とするコージェネレーションシステムの運転制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載するコージェネレーションシステムの運転制御装置において、
前記運転制御プログラムは、前記蓄積有無が変化したときに、前記喫緊の給湯負荷データ以外の給湯負荷データを破棄することを特徴とするコージェネレーションシステムの運転制御装置。
【請求項5】
予測対象日のエネルギー負荷パターンを予測して発電機の運転パターンを決定するコージェネレーションシステムの運転制御装置において、
予測対象日翌日の午前中に給湯負荷があるときに、予測対象日の最終給湯負荷時刻から前記午前中の給湯負荷を賄うように前記発電機を運転した場合の一次エネルギー消費量と、前記午前中の給湯負荷が発生する時刻から遡って前記午前中の給湯負荷を賄うように前記発電機を運転した場合の一次エネルギー消費量とを比較し、前記一次エネルギー量が小さくなる時間サイクルを選択し、前記発電機の運転パターンを決定する運転制御プログラムを有することを特徴とするコージェネレーションシステムの運転制御装置。
【請求項6】
予測対象日のエネルギー負荷パターンを予測して発電機の運転パターンを決定するコージェネレーションシステムの運転制御装置において、
貯湯タンクのタンク残熱とタンク残熱の予測値との乖離が一定量を超えたときに、前記発電機の出力を変更する運転制御プログラムを有することを特徴とするコージェネレーションシステムの運転制御装置。
【請求項7】
請求項6に記載するコージェネレーションシステムの運転制御装置において、
前記運転制御プログラムは、前記乖離が一定量を超えたときが風呂負荷発生前であり、且つ、前記貯湯タンクが満タンになると判断したときに、前記貯湯タンクが満タンになるタンク満タン時刻から遡って前記発電機の出力を抑制するものであることを特徴とするコージェネレーションシステムの運転制御装置。
【請求項8】
請求項6に記載するコージェネレーションシステムの運転制御装置において、
前記運転制御プログラムは、前記乖離が一定量を超えたときが風呂負荷発生後であり、且つ、予測対象日当日に前記発電機を停止する停止時における前記貯湯タンクのタンク残熱が予測したタンク残熱より大きくなると判断したときに、前記停止時から遡って前記発電機の出力を抑制するものであることを特徴とするコージェネレーションシステムの運転制御装置。
【請求項9】
請求項6乃至請求項8の何れか一つに記載するコージェネレーションシステムの運転制御装置において、
前記運転制御プログラムは、前記乖離が小さくなったときに、前記発電機の出力抑制を解除するものであることを特徴とするコージェネレーションシステムの運転制御装置。
【請求項10】
予測対象日のエネルギー負荷パターンを予測して発電機の運転パターンを決定するコージェネレーションシステムの運転制御装置において、
風呂時刻のバラツキが大きいときに、風呂時刻の平均値から標準偏差分だけ時間を減算して第1風呂候補時刻を算出し、前記第1風呂候補時刻を風呂時刻に設定して前記発電機の運転パターンを決定する運転制御プログラムを有することを特徴とするコージェネレーションシステムの運転制御装置。
【請求項11】
請求項10に記載するコージェネレーションシステムの運転制御装置において、
前記運転制御プログラムは、前記風呂時刻の平均値を風呂時刻として前記発電機の運転パターンを仮決めしたときの貯湯タンクのタンク残熱を算出し、前記貯湯タンクのタンク残熱が、前記貯湯タンクのタンク満タン量に対して所定の割合を常に超えると判断したときに、前記第1風呂候補時刻から、前記風呂時刻の平均値に標準偏差分だけ時間を加算した第2風呂候補時刻まで、前記発電機を最低出力で運転するものであることを特徴とするコージェネレーションシステムの運転制御装置。
【請求項12】
請求項10又は請求項11に記載するコージェネレーションシステムの運転制御装置において、
前記運転制御プログラムは、予測対象日当日に風呂負荷が発生した後、前記発電機を電力負荷追従運転に変更するものであることを特徴とするコージェネレーションシステムの運転制御装置。
【請求項1】
給湯負荷と水温又は外気温との相関関係を算出し、算出した相関関係に基づいて発電機の運転パターンを決定するコージェネレーションシステムの運転制御装置において、
前記相関関係の決定係数が所定値より小さいときに、過去の給湯負荷を平均処理し、平均処理した給湯負荷を賄うように前記発電機の運転パターンを決定する運転制御プログラムを有することを特徴とするコージェネレーションシステムの運転制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載するコージェネレーションシステムの運転制御装置において、
前記給湯負荷が風呂負荷であることを特徴とするコージェネレーションシステムの運転制御装置。
【請求項3】
予測対象日のエネルギー負荷パターンを予測して発電機の運転パターンを決定するコージェネレーションシステムの運転制御装置において、
風呂負荷データを蓄積するデータ蓄積手段と、
前記風呂負荷データを前記データ蓄積手段に蓄積する蓄積有無が変化したときに、喫緊の給湯負荷データの平均値を用いて予測対象日の給湯負荷を予測し、給湯負荷の予測値を賄うように前記発電機の運転パターンを決定する運転制御プログラムを有することを特徴とするコージェネレーションシステムの運転制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載するコージェネレーションシステムの運転制御装置において、
前記運転制御プログラムは、前記蓄積有無が変化したときに、前記喫緊の給湯負荷データ以外の給湯負荷データを破棄することを特徴とするコージェネレーションシステムの運転制御装置。
【請求項5】
予測対象日のエネルギー負荷パターンを予測して発電機の運転パターンを決定するコージェネレーションシステムの運転制御装置において、
予測対象日翌日の午前中に給湯負荷があるときに、予測対象日の最終給湯負荷時刻から前記午前中の給湯負荷を賄うように前記発電機を運転した場合の一次エネルギー消費量と、前記午前中の給湯負荷が発生する時刻から遡って前記午前中の給湯負荷を賄うように前記発電機を運転した場合の一次エネルギー消費量とを比較し、前記一次エネルギー量が小さくなる時間サイクルを選択し、前記発電機の運転パターンを決定する運転制御プログラムを有することを特徴とするコージェネレーションシステムの運転制御装置。
【請求項6】
予測対象日のエネルギー負荷パターンを予測して発電機の運転パターンを決定するコージェネレーションシステムの運転制御装置において、
貯湯タンクのタンク残熱とタンク残熱の予測値との乖離が一定量を超えたときに、前記発電機の出力を変更する運転制御プログラムを有することを特徴とするコージェネレーションシステムの運転制御装置。
【請求項7】
請求項6に記載するコージェネレーションシステムの運転制御装置において、
前記運転制御プログラムは、前記乖離が一定量を超えたときが風呂負荷発生前であり、且つ、前記貯湯タンクが満タンになると判断したときに、前記貯湯タンクが満タンになるタンク満タン時刻から遡って前記発電機の出力を抑制するものであることを特徴とするコージェネレーションシステムの運転制御装置。
【請求項8】
請求項6に記載するコージェネレーションシステムの運転制御装置において、
前記運転制御プログラムは、前記乖離が一定量を超えたときが風呂負荷発生後であり、且つ、予測対象日当日に前記発電機を停止する停止時における前記貯湯タンクのタンク残熱が予測したタンク残熱より大きくなると判断したときに、前記停止時から遡って前記発電機の出力を抑制するものであることを特徴とするコージェネレーションシステムの運転制御装置。
【請求項9】
請求項6乃至請求項8の何れか一つに記載するコージェネレーションシステムの運転制御装置において、
前記運転制御プログラムは、前記乖離が小さくなったときに、前記発電機の出力抑制を解除するものであることを特徴とするコージェネレーションシステムの運転制御装置。
【請求項10】
予測対象日のエネルギー負荷パターンを予測して発電機の運転パターンを決定するコージェネレーションシステムの運転制御装置において、
風呂時刻のバラツキが大きいときに、風呂時刻の平均値から標準偏差分だけ時間を減算して第1風呂候補時刻を算出し、前記第1風呂候補時刻を風呂時刻に設定して前記発電機の運転パターンを決定する運転制御プログラムを有することを特徴とするコージェネレーションシステムの運転制御装置。
【請求項11】
請求項10に記載するコージェネレーションシステムの運転制御装置において、
前記運転制御プログラムは、前記風呂時刻の平均値を風呂時刻として前記発電機の運転パターンを仮決めしたときの貯湯タンクのタンク残熱を算出し、前記貯湯タンクのタンク残熱が、前記貯湯タンクのタンク満タン量に対して所定の割合を常に超えると判断したときに、前記第1風呂候補時刻から、前記風呂時刻の平均値に標準偏差分だけ時間を加算した第2風呂候補時刻まで、前記発電機を最低出力で運転するものであることを特徴とするコージェネレーションシステムの運転制御装置。
【請求項12】
請求項10又は請求項11に記載するコージェネレーションシステムの運転制御装置において、
前記運転制御プログラムは、予測対象日当日に風呂負荷が発生した後、前記発電機を電力負荷追従運転に変更するものであることを特徴とするコージェネレーションシステムの運転制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−42202(P2012−42202A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−221863(P2011−221863)
【出願日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【分割の表示】特願2006−212438(P2006−212438)の分割
【原出願日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【出願人】(000221834)東邦瓦斯株式会社 (440)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【分割の表示】特願2006−212438(P2006−212438)の分割
【原出願日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【出願人】(000221834)東邦瓦斯株式会社 (440)
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