説明

コーティング用組成物、それを用いたUVカット性ランプ、および該UVカット性ランプの製造方法

【課題】虫の飛来の防止、紫外線による繊維や紙、その他商品の変色防止あるいは机上の蛍光ランプによる眼精疲労の予防などに大きな効果があり、照度も殆ど低下しないUVカット性ランプを提供することが可能なコーティング用組成物、この組成物を用いて加工されたUVカット性ランプを提供する。
【解決手段】(a)金属アルコキシドおよび金属ヒドロキシドからなる群から選ばれた少なくとも1種を固形分換算で8〜16重量部、(b)平均粒径が0.01〜0.1μmの硫化亜鉛および/または該硫化亜鉛30〜70重量%と平均粒径が0.02〜0・2μmの炭酸亜鉛または酸化亜鉛30〜70重量%の混合物35〜60重量部、および(c)溶剤24〜57重量部[ただし、(a)+(b)+(c)=100重量部]を主成分とするコーティング用組成物、この組成物をランプのガラス管外面および/または内面に塗布して加熱・硬化させたUVカット性ランプ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーティング用組成物、それを用いたUVカット性ランプ、さらには該UVカット性ランプの製造方法に関する。さらに詳しくは、波長200〜400nmの紫外線を98〜100%、さらに401〜440nmの可視光域に含まれる紫外線を60〜80%カットすることができ、400℃以上の耐熱性があり、しかも輝度の低下率を10%前後に保つことのできるコーティング用組成物、およびこのコーティング用組成物をUVが出るランプに塗布し硬化させると、虫の飛来防止、商品の変色防止、食品の鮮度保持、精密部品の酸化防止、眼精疲労の防止、UV硬化樹脂の硬化防止などに大きな効果のあるUVカット性の蛍光灯、水銀灯、メタルハライドランプなどのUVカット性ランプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、不燃性で耐久性が良く、光の透過性があまり損なわれることがなく、波長が400nm以下の紫外線を98%以上、可視光域の波長401〜440nmの紫外線を60%以上カットすることができるコーティング剤が求められている。
例えば、特許文献1(特開2004−241252号公報)には、無機系結合剤と酸化チタンおよび無機系顔料を組み合わせたコーティング用組成物で加工されたUVカット性蛍光ランプが提案されている。しかしながら、この蛍光ランプは、時間の経過により、黄色化、紫外線カット性の低下や照度の低下がおきる場合がある。
また、特許文献2(特開2006−332000号公報)には、酸化亜鉛、またはインジウムや銀、鉄などでドープされた酸化亜鉛などをコーティング用組成物に用いて加工された蛍光ランプが開示されているが、輝度や耐熱性、耐久性などに問題がある。
【特許文献1】特開2004−241252号公報
【特許文献2】特開2006−332000号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上記従来技術の課題を背景になされたものであり、ガラスや透明樹脂に塗装することにより、耐熱性、耐候性(耐久性)が良く、波長400nm以下の紫外線を98%以上、可視光域の波長401〜440nmにある紫外線を65%以上カットし、しかも経時による黄色化や透光度およびUVカット率の低下のないUVカット膜ができて、UVによる種々のトラブルを防止することのできるコーティング用組成物を提供することを目的とする。
また、本発明は、このコーティング用組成物をランプに加工することにより、虫の飛来の防止、紫外線による繊維や紙、その他商品の変色防止、陳列食品の鮮度保持、精密部品などの生産工程での酸化防止、UV硬化樹脂の硬化防止、あるいは机上の蛍光ランプによる眼精疲労の予防などに大きな効果があり、しかも黄色化しない、蛍光灯、水銀灯、メタルハライドランプなどのUVカット性ランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、(a)金属アルコキシドおよび金属ヒドロキシドからなる群から選ばれた少なくとも1種を固形分換算で8〜16重量部、
(b)平均粒径が0.01〜0.1μmの硫化亜鉛および/または該硫化亜鉛30〜70重量%と平均粒径が0.02〜0・2μmの炭酸亜鉛または酸化亜鉛30〜70重量%の混合物35〜60重量部、および
(c)溶剤24〜57重量部[ただし、(a)+(b)+(c)=100重量部]
を主成分とするコーティング用組成物に関する。
次に、本発明は、ランプのガラス管外面および/または内面に、上記コーティング用組成物からなる塗膜を有するUVカット性ランプに関する。
ここで、ランプとしては、蛍光灯、水銀灯、またはメタルハライドランプが挙げられる。
次に、本発明は、ランプのガラス管外面および/または内面に、上記コーティング用組成物を塗布し、60〜180℃で、10〜90分、加熱・硬化させることを特徴とするUVカット性ランプの製造方法に関する。
【発明の効果】
【0005】
本発明のコーティング用組成物は、ガラスや透明樹脂に塗布し、硬化させることにより、波長300〜400nmの紫外線を98〜100%、さらに401〜440nmの可視光域に含まれる紫外線を60〜80%カットすることができ、400℃以上の耐熱性があり、しかも輝度の低下率を10%前後に保つことができる。また、このコーティング用組成物をUVが出るランプに塗布し硬化させると、虫の飛来防止、商品の変色防止、食品の鮮度保持、精密部品の酸化防止、眼精疲労の防止、UV硬化樹脂の硬化防止などに大きな効果を発揮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
コーティング用組成物
(a)金属アルコキシド、金属ヒドロキシド;
本発明のコーティング用組成物において、(a)成分は、バインダーとしての役目を果たして、ガラス、透明樹脂などの基材表面への塗膜の接着強度を向上させ、また得られる塗膜の硬度を高めるとともに、さらに耐汚染性、ガラス飛散防止、耐久性などの作用をなすものである。
本発明のコーティング用組成物に用いられる(a)金属アルコキシド、金属ヒドロキシドとしては、下記の式(1)〜(3)が例示される。これらは、1種単独でもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
(1)R1i1(OR2j(式中、R1 は炭素数1〜3のアルキル基またはビニル基、R2 は水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、またはt−ブチル基、M1
はカルシウムまたはバリウム、iは0または1、jは1また2の整数を示す)で表される化合物。
(2)R3k2(OR4l(式中、R3 は炭素数1〜3のアルキル基またはビニル基、R4 は水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、またはt−ブチル基、M2
はアルミニウム、イットリウムまたはランタン、kは0または1、lは1,2または3の整数を示す)で表される化合物。
(3)R5m3(OR6n(式中、R5 は炭素数1〜3のアルキル基またはビニル基、R6 は水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、またはt−ブチル基、M3 はチタン、ジルコニウム、マンガン、スズ、ケイ素またはストロンチウム、mは0または1、nは3または4の整数を示す)で表される化合物。
これらの化合物は、1種単独で使用することも、あるいは2種以上を組み合わせて用いることもでき、また、2種以上が縮合しているものを用いてもよい。
【0007】
上記金属アルコキシドや金属ヒドロキシドの具体例としては、Ca(OCH32、Ca(OC252、Ca(OC372、Ca(OC492、Ba(OCH32、Ba(OC252、Ba(OC372、Ba(OC492、Al(OCH33、Al(OC253、Al(OC373、Al(OC493、CH3Al(OCH32、CH3Al(OC252、CH3Al(OC372、CH3Al(OC492、Ti(OCH34、Ti(OC254、Ti(OC374、Ti(OC494、CH3Ti(OCH33、CH3Ti(OC253、CH3Ti(OC373、CH3Ti(OC493、C25Ti(OCH33、C25Ti(OC253、C25Ti(OC373、C25Ti(OC493、Si(OCH34、Si(OC254、Si(OC374、Si(OC494、CH3Si(OCH33、CH3Si(OC253、CH3Si(OC373、CH3Si(OC493、C25Si(OCH33、C25Si(OC253、C25Si(OC373、C25Si(OC493、Zr(OCH34、Zr(OC254、Zr(OC374、Zr(OC494、CH3Zr(OCH33、CH3Zr(OC253、CH3Zr(OC373、CH3Zr(OC493、C25Zr(OCH33、C25Zr(OC253、C25Zr(OC373、C25Zr(OC493、Y(OCH34、Y(OC254、Y(OC374、Y(OC494、La(OCH34、La(OC254、La(OC374、La(OC494、Mn(OCH34、Mn(OC254、Mn(OC374、Mn(OC494、Sn(OCH34、Sn(OC254、Sn(OC374、Sn(OC494、Sr(OCH34、Sr(OC254、Sr(OC374、Sr(OC494、Ca(OH)2、Ba(OH)2、Al(OH)3、CH3Al(OH)2、Ti(OH)4、CH3Ti(OH)3、C25Ti(OH)3、Si(OH)4、CH3Si(OH)3、C25Si(OH)3、Zr(OH)4、CH3Zr(OH)3、C25Zr(OH)3、Y(OH)4、La(OH)4、Mn(OH)4、Sn(OH)4、Sr(OH)4などを挙げることができる。
【0008】
また、これらの化合物を組み合わせた縮合物としては、上記の化合物の任意の組み合わせにより自由に縮合でき、分子量も適宜選択できる。例えば、ZrOSi(OC256、AlOSi(OC256、TiOSi(OC256、(C37O)3ZrOSi(OC253、(C49O)3ZrOSi(OC253、(C37O)3TiOSi(OC253、(C49O)3TiOSi(OC253、(C37O)2AlOSi(OC253、(C49O)2AlOSi(OC253などを挙げることができる。
【0009】
本発明のコーティング用組成物(a)〜(c)の合計100重量部中における(a)成分の配合割合は、固形分換算で8〜16重量部であり、好ましくは10〜14重量部である。8重量部未満では、接着力が不足したり、硬度が低すぎ、一方、16重量部を超えると、コーティング層に亀裂が入ったり、剥離して好ましくない。
【0010】
(b)硫化亜鉛、炭酸亜鉛、酸化亜鉛;
本発明において、(b)成分は、波長400nm以下の紫外線を98〜100%カットし、さらに波長401〜440nmの可視光域に含まれる紫外線を60%以上カットするために、しかもランプの輝度低下率を15%以下に抑えるために使用される。
【0011】
(b)成分のうち、平均粒径が0.01〜0.1μmの硫化亜鉛は、例えば硫酸亜鉛などの亜鉛塩の水溶液に硫化アンモニウムを加えるか、または酢酸アンモニウムなどの酢酸イオンの存在下で硫化水素を通じると、無定形の白色沈殿物(硫化亜鉛)として生成される。さらに、この沈殿物を、長時間、硫化水素水に浸漬すると、平均粒径0.01〜0.05μmの微粒子ができる。硫化亜鉛は、白色度が高いため、輝度低下率を抑えるために、平均粒径が0.1μm以下、通常、0.01〜0.1μm、好ましくは0.02〜0.05μmの微粒子が求められる。硫化亜鉛の平均粒径は、以上のように、生成微粒子の硫化水素水への浸漬時間などにより、容易に調整することができる。
【0012】
また、(b)成分のうち、炭酸亜鉛は、硫化亜鉛などの亜鉛塩の水溶液に炭酸ソーダなどの炭酸塩を加えてできる塩基性炭酸亜鉛でもよいが、好ましくは例えば亜鉛塩の○○○○溶液に炭酸ガスを飽和した重炭酸塩の溶液を加える方法により得ることができる中性の炭酸亜鉛である。炭酸塩の平均粒径は、0.02〜0.2μm、好ましくは0.02〜0.1μmである。
炭酸塩の平均粒径は、例えば(株)日板研究所製、W型粉砕機により、調整することができる。
なお、炭酸亜鉛は、白色度が小さいため、平均粒径が0.2μm程度でも、ランプ輝度の低下は大きくならない。
また、(B)成分のうち、酸化亜鉛は、シュウ酸亜鉛を約400℃で加熱分解するか、ヒドロオキシ炭酸亜鉛を加熱脱水するなどの常法により得ることができる。
【0013】
以上の(b)成分(硫化亜鉛、炭酸亜鉛、酸化亜鉛)における平均粒径は、いずれも、下限値未満では、紫外線カット率が低下したり、コーティング用組成物が増粘し、一方、上限値を超えると、照度が低下して好ましくない。
【0014】
本発明のコーティング用組成物(a)〜(c)の合計100重量部中における(b)成分の配合割合は、固形分換算で35〜60重量部であり、好ましくは45〜55重量部である。35重量部未満では、紫外線をカットする効果が充分でなく、一方、60重量部を超えると、照度が低下して好ましくない。
【0015】
(c)溶剤
コーティング用組成物には、上記の成分の他に、アコールや水のような(c)溶剤を含有する。
このアルコールとしては、1価アルコールまたは2価アルコールであるエチレングリコールもしくはこの誘導体が使用でき、このうち1価アルコールとしては炭素数1〜5の低級脂肪族アルコールが好ましく、具体的にはメタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコールなどを挙げることができ、またエチレングリコールもしくはこの誘導体としてはエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテルなどを挙げることができる。
これらのアルコール類は、好ましくはi−プロピルアルコール、n−ブチルアルコールである。これらのアルコール類は、1種でもまた2種以上を併用することもできる。
【0016】
また、水としては、一般水道水、蒸留水、あるいはイオン交換水を用いることができる。特に、コーティング用組成物を高純度にする場合には、蒸留水またはイオン交換水が好ましい。
ここで、上記水やアルコールには、上記金属アルコキシドや金属ヒドロキシドの加水分解による縮合によって生成する水やアルコールなども包含される。
【0017】
本発明のコーティング用組成物中(a)〜(c)の合計100重量部中における(c)成分の配合割合は、24〜57重量部、好ましくは31〜45重量部である。24重量部未満では、コーティング用組成物のゲル化が生起したり、コーティング用組成物の粘度が高くなるため作業性が悪くなり、一方、57重量部を超えると本発明に使用されるコーティング用組成物の安定性が悪化したり、性能が発現できず好ましくない。
【0018】
本発明のコーティング用組成物は、上記(a)〜(c)成分を混合して得られるものであるが、そのpHは3〜6が好ましく、pH調整のため、酢酸などの(d)酸を含有してもよい。さらに、必要により、(e)添加剤も添加することができる。(e)添加剤としては、レベリング剤、キレート剤、界面活性剤、カップリング剤、分散剤、増粘剤、硬化調整剤、顔料などの従来公知の添加剤を必要に応じて用いることができる。上記添加剤は、本発明の目的を損なわない範囲で任意の量を添加することができる。
【0019】
なお、本発明のコーティング用組成物の固形分濃度は、通常、43〜76重量%、好ましくは55〜69重量%であり、43重量%未満では得られる塗膜の厚さが薄すぎて波長300〜440nmの光線のカット効果が減少し、一方、76重量%を超えると照度が低下したり、コーティング用組成物の粘度が上昇しすぎたり、レべリング性が悪くなったりして好ましくない。
【0020】
コーティング用組成物を調製するには、まず第1に以上のような(a)〜(c)成分、あるいは(a)〜(e)成分を混合し、高速撹拌機、ボールミル、その他の分散機により分散させ、ろ過すればよい。このようにして、均一な安定性の良い分散液とすることができる。
【0021】
UVカット性ランプの製造
本発明のUVカット性ランプの製造方法は、上記コーティング用組成物を、蛍光灯、水銀灯、メタルハライドランプなどのランプのガラス管の外面および/または内面に塗布し、乾燥、硬化させ、塗膜を形成させることに特徴があり、従って、この工程以外は従来公知のどのような方法で行ってもよい。
ガラス管内面にコーティング用組成物を塗布する場合、従来の拡散膜に替えて、拡散と紫外線カットを兼ねて、塗布することができる。
ガラス管内面に拡散膜が加工されていて、ガラス管外面に塗布する場合は、ガラス管に電極が装着された口金を装着した蛍光ランプ完成品の外面に塗布しても、口金装着前のガラス管に塗布してもよい。
【0022】
上記コーティング用組成物の塗布は、特に限定はなく、例えば、デイッピング、スプレーなどの塗装手段を採用することができる。
塗布後、コーティング用組成物を乾燥、硬化する。硬化は、常温下でも進行するが、低温加熱することによって、ゲル化時間が短縮され、また重合密度が上がって、塗膜がより緻密化する。加熱は60〜180℃が好ましく、さらに好ましくは80〜100℃程度で、時間は好ましくは10〜90分、さらに好ましくは30〜60分程度である。60℃未満の場合、硬化時間がほとんど短縮されず、一方、180℃を超えると、冷却時間が長くなって好ましくない。また、コーティング用組成物の塗布は、乾燥後、さらに1層または複層行ってもよい。
【0023】
以上のコーティング用組成物のガラス管への塗布量は、乾燥目付で、40〜120g/mが好ましく、さらに好ましくは50〜80g/mである。40g/m未満では、塗膜が薄すぎて目的とする性能が発現せず、一方、120g/mを超えると、照度が低下したり、塗膜が割れたり、剥離したりして好ましくない。
また、得られる塗膜の厚みは、乾燥膜厚で、通常、2〜6μm、好ましくは3〜4μm程度である。
【0024】
以上のようにして得られた本発明のUVカット性ランプは、従来の拡散膜と併用されていても、いなくてもよい。拡散膜を備えていなくとも、これに替わって拡散膜と同様の機能を有する。また、コーティング用組成物を塗布しても照度が殆ど低下することが無い。
また、本発明に用いられるコーティング用組成物から得られる塗膜は不燃で500℃以上の耐熱性があり、蛍光水銀灯のような高温になるものにも使用することができる。
【実施例】
【0025】
以下、実施例を挙げ本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、特許請求の範囲を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
なお、実施例中、部および%は、特に断らないかぎり重量基準である。
【0026】
実施例中における各種の評価は、次のようにして測定した。
<平均粒径>
キーエンス社製、走査型電子顕微鏡VE−8800を用いて、一次粒子の平均粒径を求めた。
<分光透過度>
日本分光(株)製の分光光度計であるV−600を用いて測定した。
<輝度>
コニカ・ミノルタ社製の輝度計であるCS−100Aを用いて、高さ40cmより測定した。
【0027】
参考例1
コーティング用組成物A,Bの調製
表1に示すコーティング用組成物A,Bを作製した。このコーティング用組成物は、攪拌タンクに、(a)成分および(c)、(d)成分を入れ、軽く混合攪拌したのち、約15時間、熟成した。次に、(b)成分および(e)成分を加えて、1,000rpmで10分間攪拌したのち、高速撹拌機を用いて18,000rpmで5分間撹拌し、これを300メッシュでろ過して調製した。
【0028】
【表1】

【0029】
*1)(株)日板研究所製
*2)(株)日板研究所製
*3)楠本化成社製、ディスパロン
【0030】
実施例1
本発明のコーティング用組成物を使用して、ランプのUVカット性能および輝度の変化を調べた。
市販の水銀灯(岩崎電気社製、HF 400W)を用意し、発光面をサンドブラスト処理したのち、参考例1で調製した組成物Aを約5g塗布し、150℃で10分間、加熱して厚さ約5μmのUVカット膜を加工した。
この加工水銀灯の分光透過度、輝度を測定した。なお、未加工の水銀灯を対照とした。
結果を図1(本発明の加工水銀灯の分光透過度)、図2(未加工水銀灯の分光透過度)、および表2に示す。


【0031】
【表2】

【0032】
実施例2
市販の蛍光灯(松下電器社製、パルテック 40W)を用意し、ガラス面を脱脂処理したのち、参考例1で調製した組成物Bを約5g塗布し、70℃で30分間、加熱して厚さ約3μmのUVカット膜を加工した。
この加工蛍光灯の分光透過度、輝度を測定した。なお、未加工の蛍光灯を対照とした。
結果を図3(本発明の加工蛍光灯の分光透過度)、図4(未加工蛍光灯の分光透過度)、および表3に示す。
【0033】
【表3】

【0034】
参考例2
コーティング用組成物Cの調製
表4に示すコーティング用組成物Cを作製した。このコーティング用組成物は、表1に示す組成物A,Bと同じ方法で調製した。
【0035】
【表4】

【0036】
*1)(株)日板研究所製
*3)楠本化成社製、ディスパロン
*4)(株)日板研究所製
【0037】
実施例3
本発明のコーティング用組成物を使用して、ランプのUVカット性能および輝度の変化を調べた。
市販の水銀灯(岩崎電気社製、HF 400W)を用意し、発光面をサンドブラスト処理したのち、参考例2で調製した組成物Cを約4g塗布し、120℃で10分間、加熱して厚さ約4μmのUVカット膜を加工した。なお、未加工の水銀灯を対照とした。
この加工水銀灯の分光透過度、輝度を測定した。結果を、図5(本発明の加工水銀灯の分光透過度)、および表5に示す。
【0038】
【表5】

【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明のコーティング用組成物は、蛍光灯、水銀灯、メタルハライドランプなどのランプに加工することにより、虫の飛来の防止、紫外線による繊維や紙、その他商品の変色防止、陳列食品の鮮度保持、精密部品などの生産工程での酸化防止、UV硬化樹脂の硬化防止、あるいは机上の蛍光ランプによる眼精疲労の予防などに大きな効果があるので、得られるUVカット性ランプは、虫の飛来防止、商品の変色防止、食品の鮮度保持、眼精疲労の防止、UV硬化樹脂の硬化防止などの用途に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】実施例1の加工水銀灯の分光透過度測定結果を示すグラフである。
【図2】実施例1の対照で、未加工水銀灯の分光透過度測定結果を示すグラフである。
【図3】実施例2の加工蛍光灯の分光透過度測定結果を示すグラフである。
【図4】実施例2の対照で、未加工蛍光灯の分光透過度測定結果を示すグラフである。
【図5】実施例3の加工水銀灯の分光透過度測定結果を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)金属アルコキシドおよび金属ヒドロキシドからなる群から選ばれた少なくとも1種を固形分換算で8〜16重量部、
(b)平均粒径が0.01〜0.1μmの硫化亜鉛および/または該硫化亜鉛30〜70重量%と平均粒径が0.02〜0・2μmの炭酸亜鉛または酸化亜鉛30〜70重量%の混合物35〜60重量部、および
(c)溶剤24〜57重量部[ただし、(a)+(b)+(c)=100重量部]
を主成分とするコーティング用組成物。
【請求項2】
ランプのガラス管外面および/または内面に、請求項1記載のコーティング用組成物からなる塗膜を有するUVカット性ランプ。
【請求項3】
ランプが、蛍光灯、水銀灯、またはメタルハライドランプである請求項2記載のUVカット性ランプ。
【請求項4】
ランプのガラス管外面および/または内面に、請求項1記載のコーティング用組成物を塗布し、60〜180℃で、10〜90分、加熱・硬化させることを特徴とするUVカット性ランプの製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−126876(P2009−126876A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−300229(P2007−300229)
【出願日】平成19年11月20日(2007.11.20)
【出願人】(591042034)株式会社日板研究所 (10)
【Fターム(参考)】