説明

コーティング用置換ポリカプロラクトン

置換ポリカプロラクトンで形成されるコーティング及び前記コーティングを調製及び使用する方法を開示する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[発明の分野]
本発明は、一般に、ステントのコーティング等の生物医学用途向け置換ポリカプロラクトンに関する。
【0002】
[背景の説明]
血管閉塞は、一般に、ステントの使用等によって、罹患した血管の血流を機械的に増進することにより治療される。ステントは機械的介入の目的だけでなく、生物学的治療を提供するための媒体としても使われている。ステント投薬での活性薬剤の制御送達を達成するために、ステントを生体適合ポリマーコーティングを使ってコーティングすることができる。生体適合ポリマーコーティングは、透過層としてか、或いは薬剤の制御送達を可能にする担体として機能することができる。
【0003】
ステントは機械的には良好に働くが、再狭窄及びそれより程度は低いが、ステント血栓症という慢性的な問題は残っている。薬物送達ステント方式での薬物治療は、これらの問題に取り組むための実行可能な手段であるように見える。ステント上に配置されたポリマーコーティングは、薬物貯蔵体としてと、薬物の放出を制御する目的との両方の働きをする。ポリマーコーティングした市販の製品の1つは、Boston Scientific社が製造したステントである。例えば、Boston Scientific Corporation社に譲渡された米国特許第5869127号、第6099563号、第6179817号及び第6197051号の明細書には、医療デバイスのコーティングのための種々の組成物が記述されている。これらの組成物は、そこに記述されたステントに向上した生体適合性を付与し、場合によっては生理活性剤を含むこともできる。Scimed Life Systems Inc.社の米国特許第6231590号明細書には、コーティング組成物が記載されており、その組成物には、生理活性剤、コラーゲン材料、又は場合により他の生理活性剤を含有するか、又は他の生理活性剤でコーティングされているコラーゲンコーティングが含まれている。
【0004】
コーティングポリマーの性質は、コーティングの表面特性を規定する上で重要な役割を果たす。例えば、コーティングの完全性は、コーティングを形成するポリマーの性質に主に依存する。形態、Tg、弾性及び親水性等のポリマーの固有特性は全て、重要な特性に影響を及ぼし、例えば、高Tg又は高結晶のコーティング材は、ステント型の高緊張領域で、脆性破壊を誘導する可能性がある。
【0005】
したがって、医療デバイスのコーティングの必要を満たすように適合化したポリマー材料が必要とされている。
【0006】
本明細書に開示するポリマー及びポリマー作成方法は、上述の問題に対処する。
【0007】
[発明の概要]
本明細書で提供されるのは、置換ポリカプロラクトンを含むコーティング又は送達媒体である。置換ポリカプロラクトンは大抵、非晶質であり、側鎖基はコーティング又は送達媒体からの薬物の制御放出を提供する役に立つことができる。一部の実施形態では、送達媒体は微粒子又はナノ粒子を有することができる。
【0008】
一部の実施形態では、コーティング又は送達媒体は生理活性剤を含むことができる。生理活性剤は、任意の診断用薬、治療薬又は予防薬とすることができる。このような生理活性剤の例としては、これに限定されないが、パクリタキセル、ドセタキセル、エストラジオール、17−β−エストラジオール、一酸化窒素供与体、スーパーオキシドジスムターゼ、スーパーオキシドジスムターゼ模倣体、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(4−アミノ−TEMPO)、タクロリムス、デキサメタゾン、ラパマイシン、ラパマイシン誘導体、40−O−(2−ヒドロキシ)エチル−ラパマイシン(エベロリムス)、40−O−(3−ヒドロキシ)プロピル−ラパマイシン、40−O−[2−(2−ヒドロキシ)エトキシ]エチル−ラパマイシン及び40−O−テトラゾール−ラパマイシン、40−エピ−(N1−テトラゾリル)−ラパマイシン(ABT−578)、γ−ヒルジン(hiridun)、クロベタゾール、モメタゾン、ピメクロリムス、メシル酸イマチニブ、若しくはミドスタウリン、又はプロドラッグ、コドラッグ若しくはこれらの組合せが含まれる。一部の実施形態では、親水性生理活性剤はペプチド(例えばRGD、cRGD又はそれらの模倣剤)又は電荷を持つ薬物とすることができる。
【0009】
本明細書に記述するコーティング又は送達媒体を備えた医療デバイスは、アテローム性動脈硬化、血栓症、再狭窄、出血、血管解離又は穿孔、血管動脈瘤、不安定プラーク、慢性完全閉塞、跛行、吻合増殖(静脈及び人工移植片に対して)、胆管閉塞、尿道閉塞、腫瘍による閉塞及びそれらの組合せ等の病状を治療、予防又は改善する目的に使用することができる。

【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の実施形態の置換ポリカプロラクトンのブロックコポリマーの調製を示す。
【図2】図2は、本発明の実施形態の分岐置換ポリカプロラクトンのブロックコポリマーの調製を示す。
【0011】
[詳細な説明]
本明細書に提供するのは、置換ポリカプロラクトンを含むコーティング又は送達媒体である。置換ポリカプロラクトンは、大抵、非晶質であり、側鎖基はコーティング又は送達媒体からの薬物の制御放出を提供する役に立つことができる。一部の実施形態では、送達媒体は微粒子又はナノ粒子を有することができる。
【0012】
一部の実施形態では、コーティング又は送達媒体は生理活性剤を含むことができる。生理活性剤は任意の診断用薬、治療薬又は予防薬とすることができる。そのような生理活性剤の例には、これに限定されないが、パクリタキセル、ドセタキセル、エストラジオール、17−β−エストラジオール、一酸化窒素供与体、スーパーオキシドジスムターゼ、スーパーオキシドジスムターゼ模倣体、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(4−アミノ−TEMPO)、タクロリムス、デキサメタゾン、ラパマイシン、ラパマイシン誘導体、40−O−(2−ヒドロキシ)エチル−ラパマイシン(エベロリムス)、40−O−(3−ヒドロキシ)プロピル−ラパマイシン、40−O−[2−(2−ヒドロキシ)エトキシ]エチル−ラパマイシン、及び40−O−テトラゾール−ラパマイシン、40−エピ−(N1−テトラゾリル)−ラパマイシン(ABT−578)、γ−ヒルジン(hiridun)、クロベタゾール、モメタゾン、ピメクロリムス、メシル酸イマチニブ、若しくはミドスタウリン、又はプロドラッグ、コドラッグ若しくはこれらの組合せが含まれる。一部の実施形態では、親水性生理活性剤はペプチド(例えばRGD、cRGD又はそれらの模倣剤)又は電荷を持つ薬物とすることができる。
【0013】
本明細書に記述するコーティング又は送達媒体を有する医療デバイスは、アテローム性動脈硬化、血栓症、再狭窄、出血、血管解離又は穿孔、血管動脈瘤、不安定プラーク、慢性完全閉塞、跛行、吻合増殖(静脈及び人工移植片に対して)、胆管閉塞、尿道閉塞、腫瘍による閉塞及びそれらの組合せ等の病状の治療、予防又は改善に使用することができる。
【0014】
置換ポリカプロラクトン
本明細書に記述するコーティング又は送達媒体の形成に有用な置換ポリカプロラクトンポリマーは、任意の置換ポリカプロラクトンポリマーとすることができ、ホモポリマー又はコポリマーとすることができる。コポリマーはランダム、交互又はブロックコポリマーとすることができる。
【0015】
一部の実施形態では、置換ポリカプロラクトンポリマーは、下記の式Iの一般構造を有することができる:
【0016】
【化1】

【0017】
式中、
x、y及びzは、0〜20までの値、例えば0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19及び20の値を有する独立した整数であり、
nは、1から約100,000までの整数、例えば約5から50,000、約10から約10,000、約100から約5,000、約500から約2,000又は約1,000である;
【0018】
及びRは、独立に水素、又はC1〜C20置換基のいずれかである。R及びRの例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル又はイソブチル等の直鎖又は分枝鎖のアルキル基、シクロヘキシル又は1,4−ジメチルシクロヘキシル等のシクロアルキル又は置換シクロアルキル基、メトキシ、エトキシ、ブトキシ又はイソブトキシ等の直鎖又は分枝鎖のアルコキシ基、フェニル、フェノキシ、アリール、アリールオキシ、ケトン、エステル、オレフィン、エーテル、不飽和、チオエーテル、チオエステル、アミド、アミン、チオール/メルカプタン、フェノール、その他のアルコールを挙げることができる。一部の実施形態では、R及びRは、独立に
【化2】


の基を1個又は複数含むことができ、mは、1から100までの正の整数、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20である。一部の実施形態では、R及びRは、独立に酸素、(1個又は複数の)ハロ原子(F、Cl、Br又はI)、S及びN等のヘテロ原子置換基(複数可)を含むことができる。一部の実施形態では、R及びRは、独立にメチル、エチル又はフェニル等の炭素置換基を1個又は複数含むことができる;
【0019】
及びRは、両方が水素となることはできない;
【0020】
、R、x、y及びzは、式Iの構造が、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリヒドロキシ酪酸(PBH)、ポリヒドロキシ吉草酸、バレロラクトン、カプロラクトン、ジオキサノン又はそれらのコポリマーにならないように選択される。
【0021】
一部の実施形態では、置換ポリカプロラクトンポリマーは、下記の式IIの一般構造を有することができる:
【0022】
【化3】

【0023】
式中、
xは、0〜20までの値、例えば0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19及び20の値を有する独立した整数である;
【0024】
nは、1から約100,000までの整数、例えば約5から約50,000、約10から約10,000、約100から約5,000、約500から約2,000又は約1,000である;
【0025】
2つのR基は、独立に水素、又はC1〜C20置換基のいずれかである。Rの例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル又はイソブチル等の直鎖又は分枝鎖のアルキル基、シクロヘキシル又は1,4−ジメチルシクロヘキシル等のシクロアルキル又は置換シクロアルキル基、メトキシ、エトキシ、ブトキシ又はイソブトキシ等の直鎖又は分枝鎖のアルコキシ基、フェニル、フェノキシ、アリール、アリールオキシ、ケトン、エステル、オレフィン、エーテル、不飽和、チオエーテル、チオエステル、アミド、アミン、チオール/メルカプタン、フェノール、その他のアルコールを挙げることができる。一部の実施形態では、2つのR基は、独立に
【化4】


の基を1個又は複数含むことができ、mは、1から100までの正の整数、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20である。一部の実施形態では、R基は、独立に酸素、(1個又は複数の)ハロ原子(F、Cl、Br又はI)、S及びN等のヘテロ原子置換基(複数可)を含むことができる。一部の実施形態では、Rは、独立にメチル、エチル又はフェニル等の炭素置換基を1個又は複数含むことができる;
【0026】
2つのRは両方が水素となることはできない;
【0027】
2つのR基及びxは、式IIの構造を有するポリマーが、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリヒドロキシ酪酸(PBH)、ポリヒドロキシ吉草酸、バレロラクトン、カプロラクトン、ジオキサノン又はそれらのコポリマーにならないように選択される。
【0028】
一部の実施形態では、前述の置換ポリカプロラクトンの式I又はIIのR、R、x、y及びzは、式I又はIIの構造体が、同時にポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリヒドロキシ酪酸(PBH)、ポリヒドロキシ吉草酸、バレロラクトン、カプロラクトン、ジオキサノン又はそれらのコポリマーにならないように選択される。
【0029】
式I又は式IIの構造を有する置換ポリカプロラクトンの例の一部を、以下の表1に示す。
【0030】
【表1】

【0031】
表1で、nは、1から約100,000までの整数、例えば約5から50,000、約10から約10,000、約100から約5,000、約500から約2,000又は約1,000であり、R’は、水素又は保護基等の有機基である。
【0032】
一部の実施形態では、置換ポリカプロラクトンはブロックコポリマーであり得る。このようなブロックコポリマーは、置換ポリカプロラクトンブロックのブロックを複数含むことができる。このような置換ポリカプロラクトンブロックの例には、上で定義した式I又は式IIの構造を持つものもある。置換ポリカプロラクトンのブロックコポリマーの例のいくつかを下記の表2に示す。これらのブロックコポリマーは、開始剤としてビス−MPAを使用せずに、より従来的な連続的な方法でも合成することができ、直鎖状のブロックコポリマーが生成される。
【0033】
【表2】

【0034】
表2で、n及びmは、1から約100,000までの独立した整数、例えば約5から50,000、約10から約10,000、約100から約5,000、約500から約2,000又は約1,000であり、R’は、水素又は保護基等の有機基である。
【0035】
一部の実施形態では、置換ポリカプロラクトンは、分岐コポリマー、ブロックコポリマー又はランダムコポリマーであり得る。置換カプロラクトンのそのような分岐コポリマー、ブロックコポリマー又はランダムコポリマーの例のいくつかを図1及び2に示す。
【0036】
置換ポリカプロラクトンポリマーは、確立された方法に従って容易に合成することができる。例えば一部の実施形態では、置換ポリカプロラクトンは、置換カプロラクトンの開環重合(ROP)を介して容易に合成することができる。重合は触媒、例えばSn(Oct)等の有機スズ化合物と開始剤とを使って実施することができる。開始剤はROP重合を開始する分子である。このような開始剤は、一般に、活性な末端ヒドロキシル基(複数可)を含み、一般に、INT−OHとして表すことができる。このような開始剤の1つの例として、2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸(ビス−MPA)を挙げることができる。ポリカプロラクトンを形成する一般的なスキームを下記のスキームIに示すが、このスキームでは、式Iの一般構造を有する置換ポリカプロラクトンが形成される:
【0037】
【化5】

【0038】
スキームIで、
触媒は、置換カプロラクトンの開環重合を触媒する任意の触媒とすることができる;
【0039】
x、y及びzは、0〜20までの値、例えば0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19及び20の値を有する独立した整数である;
【0040】
nは、1から約100,000までの整数、例えば約5から50,000、約10から約10,000、約100から約5,000、約500から約2,000又は約1,000である;
【0041】
及びRは、独立に水素、又はC1〜C20置換基のいずれかである。R及びRの例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル又はイソブチル等の直鎖又は分枝鎖のアルキル基、シクロヘキシル又は1,4−ジメチルシクロヘキシル等のシクロアルキル又は置換シクロアルキル基、メトキシ、エトキシ、ブトキシ又はイソブトキシ等の直鎖又は分枝鎖のアルコキシ基、フェニル、フェノキシ、アリール又はアリールオキシ、ケトン、エステル、オレフィン、エーテル、不飽和、チオエーテル、チオエステル、アミド、アミン、チオール/メルカプタン、フェノール、その他のアルコールを挙げることができる。一部の実施形態では、R及びRは、独立に
【化6】


の基を1個又は複数含むことができ、mは、1から100までの正の整数、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20である。一部の実施形態では、R及びRは、独立に酸素、(1個又は複数の)ハロ原子(F、Cl、Br又はI)、S及びN等のヘテロ原子置換基(複数可)を含むことができる。一部の実施形態では、R及びRは、独立にメチル、エチル又はフェニル等の炭素置換基を1個又は複数含むことができる;
【0042】
及びRは、両方が水素となることはできない;
【0043】
、R、x、y及びzは、スキームIIで生成されるポリマーが、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリヒドロキシ酪酸(PBH)、ポリヒドロキシ吉草酸、バレロラクトン、カプロラクトン、ジオキサノン又はそれらのコポリマーにならないように選択される。
【0044】
一部の実施形態では、カプロラクトンはヒドロキシ酸の二量体とすることができる。二量体のROPは、下記のスキームIAに示すようにポリマーを生成することができ、式IAの一般構造を有する置換ポリカプロラクトンを形成する:
【0045】
【化7】

【0046】
スキームIAで、
触媒は前述の定義に倣い、
x、y及びzは、0〜20までの値、例えば0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19及び20の値を有する独立した整数である;
【0047】
nは、1から約100,000までの整数、例えば約5から50,000、約10から約10,000、約100から約5,000、約500から約2,000又は約1,000である;
【0048】
2つのR基は、独立に水素、又はC1〜C20置換基のいずれかである。Rの例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル又はイソブチル等の直鎖又は分枝鎖のアルキル基、シクロヘキシル又は1,4−ジメチルシクロヘキシル等のシクロアルキル又は置換シクロアルキル基、メトキシ、エトキシ、ブトキシ又はイソブトキシ等の直鎖又は分枝鎖のアルコキシ基、フェニル、フェノキシ、アリール又はアリールオキシ、アリールオキシ、ケトン、エステル、オレフィン、エーテル、不飽和、チオエーテル、チオエステル、アミド、アミン、チオール/メルカプタン、フェノール、その他のアルコールを挙げることができる。一部の実施形態では、2つのR基は、独立に
【化8】


の基を1個又は複数含むことができ、mは、1から100までの正の整数、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20である。一部の実施形態では、R基は、独立に酸素、(1個又は複数の)ハロ原子(F、Cl、Br又はI)、S及びN等のヘテロ原子置換基(複数可)を含むことができる。一部の実施形態では、Rは、独立にメチル、エチル又はフェニル等の炭素置換基を1個又は複数含むことができる;
【0049】
2つのRは両方が水素となることはできない;
【0050】
2つのR基及びxは、スキームIIで生成されるポリマーが、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリヒドロキシ酪酸(PBH)、ポリヒドロキシ吉草酸、バレロラクトン、カプロラクトン、ジオキサノン又はそれらのコポリマーにならないように選択される。
【0051】
一部の実施形態では、本明細書に記述するコーティング又は送達媒体を形成するための置換ポリカプロラクトンは、上で定義した一般式I又はIIを有する構造を備えた置換ポリカプロラクトンの少なくとも1ブロックを有するブロックコポリマーとすることができる。一部の実施形態では、ブロックコポリマーは、上記に定義した一般式I又はIIを有する構造を備えた置換ポリカプロラクトンのブロックを2個以上含むことができる。異なる置換ポリカプロラクトンのブロックが2個以上ブロックコポリマーに含まれている場合、これらの異なる置換ポリカプロラクトンは異なるモル比を有することができる。これらのブロックそれぞれのモル比は約0.01から約0.99の範囲とすることができる。一部の実施形態では、これらのブロックそれぞれのモル比は、0.01未満から0.99を超えるまでの範囲とすることができる。式I又はIIのブロックを有するブロックコポリマーは、標準のカップリング化学を用いて、異なるブロックをカップリングさせることにより、当業者は容易に調製することができる。
【0052】
一部の実施形態では、置換ポリカプロラクトンのブロックコポリマーは、分岐ブロックコポリマーとすることができる。分岐ブロックコポリマーの構造は、コア分子、置換カプロラクトンのROPの開始剤及び置換カプロラクトンのROPから誘導したポリカプロラクトンに依存する。一部の実施形態では、ポリカプロラクトンは、上で定義した式I又はIIの構造を含むことができる。
【0053】
一部の実施形態では、分岐ブロックコポリマーを作成するために、1つが保護基によって保護されている、少なくとも3つの反応官能基を持つ開始剤を使用することができる。この開始剤を使用した置換カプロラクトンのROPにより、置換カプロラクトンから誘導された2つのブロック及びその2つのブロックの中央に開始剤ユニットを持つ構造のポリカプロラクトンを生成することができる。開始剤ユニットの保護基の脱保護により、ポリカプロラクトンの開始剤ユニットで反応官能基が生成される。少なくとも2つの反応官能基を持つリンカー分子とこのポリカプロラクトンとを開始剤ユニットの反応官能基を介して反応させると、ポリカプロラクトンが少なくとも2腕に分岐した分岐ブロックコポリマーが生成される。この手引きに従えば、当業者は、異なる構造を持つ置換ポリカプロラクトンの異なるブロックを有する、分岐ブロックコポリマーを生成することができる。分岐ブロックコポリマーを作成する例のいくつかをスキームII(図1)及びスキームIII(図2)に示す。スキームII及びスキームIII中、n及びmは上記の定義に倣う整数である。
【0054】
スキームIIに、3つの反応基を有するAB型マクロモノマー(複数可)を介して、置換ポリカプロラクトンブロックコポリマーを合成できることを示す。ポリ(ε−カプロラクトン)及びポリ(L−ラクチド)のAB型マクロモノマーは、スキームI及びスキームIAに準じた方法によって合成することができる(Trollsas,Mら、Macromolecules 1998、31、2756;Trollsas,M.Hedrick,J.L.、Macromolecules 1998、31、4390を参照)。開始剤にある保護基は、脱保護操作により容易に除去することができる(例えば、開始剤にあったベンジル基は、既に報告されているように、接触水素化によりポリマーから除去した)。この変換により、必須のα−カルボキシリック−ω−ジヒドロキシマクロモノマーが生成される。
【0055】
一部の実施形態では、ABマクロモノマーと3つの反応基との共重合は、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)及び4−(ジメチルアミノ)− ピリジニウム4−トルエンスルホン酸(DPTS)を試薬(スキームII、図1)として使用して、CHCl中で実行することができる。大部分、共重合で混合したABマクロモノマーの組成は、低Tg、非晶質成分を連続相に、ポリ(ε−カプロラクトン)又はポリ(L−ラクチド)を分散相に有するように設計することができる。ハイパーブランチ型ポリカプロラクトンコポリマーの特性が、Trollsasら、Macromolecules、32(15)、4917(1999)の表2に示されている。一部の実施形態では、可能な非反応性巨大分子の中身を減らすために、巨大分子は分子量が中から低になるように設計し、共重合後、反応しなかった物質を、メタノールにコポリマーを沈殿させる間に、容易に除去できるようにすることができる。
【0056】
一部の実施形態では、置換ポリカプロラクトンはデンドリマー様の星型ポリマーとすることができる(スキームIII、図2を参照)。このようなブロックコポリマーは、異なる世代又は層が中心コアから広がる高分子量ポリマーから成る放射状の配置で描写することができる。機械特性を考慮し、一部の実施形態では、コポリマーは、放射状コポリマーの内部が低Tg、非晶質成分で構成され、外側ブロックが高Tg又は半結晶性成分で構成されるように設計することができる。例えば、図2に示すポリマーは、例えば、Trollsas,M、Hedrick,J.L.、「J.Am.Chem.Soc.」、1998、120、4644;Trollsas,Mら、「Angew.Chem.1998」、37、3132;Atthoff,B.ら、「Polym.Prepr.(ACS,Div.Polym.Chem)1988」、39(2)、76及びHedrick,J.L.ら、「Macromolecules 1998」、31、8691に記述された手順に従って、例えばバルク条件を用いて、触媒量のSn(Oct)の存在下で、第1世代ヘキサヒドロキシル官能ビス−MPAデンドリマーによって開始された重合により合成することができる(スキーム3、図2)。
【0057】
その他のポリマー
コーティング又は送達媒体は、置換ポリカプロラクトンのみ又は1つ又は複数の他のポリマーと組み合わせて形成することができる。代表的なポリマーとしては、これに限定されないが、ポリ(エステルアミド)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、例えばポリ(3−ヒドロキシプロパノエート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシバレレート)、ポリ(3−ヒドロキシヘキサノエート)、ポリ(3−ヒドロキシヘプタノエート)及びポリ(3−ヒドロキシオクタノエート)等のポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)、例えばポリ(4−ヒドロキシブチレート)、ポリ(4−ヒドロキシバレレート)、ポリ(4−ヒドロキシヘキサノート)、ポリ(4−ヒドロキシヘプタノエート)、ポリ(4−ヒドロキシオクタノエート)等のポリ(4−ヒドロキシアルカノエート)及び本明細書に記載の3−ヒドロキシアルカノエート若しくは4−ヒドロキシアルカノエートモノマー若しくはそれらのブレンドのいずれかを含むコポリマー、ポリ(D,L−ラクチド)、ポリ(L−ラクチド)、ポリグリコリド、ポリ(D,L−ラクチド−co−グリコリド)、ポリ(L−ラクチド−co−グリコリド)、前述以外のポリカプロラクトン、ポリ(ラクチド−co−カプロラクトン)、ポリ(グリコリド−co−カプロラクトン)、ポリ(ジオキサノン)、ポリ(オルトエステル)、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(アンヒドリド)、ポリ(チロシンカーボネート)及びその誘導体、ポリ(チロシンエステル)及びその誘導体、ポリ(イミノカーボネート)、ポリ(グリコール酸−co−トリメチレンカーボネート)、ポリホスホエステル、ポリホスホエステルウレタン、ポリ(アミノ酸)、ポリシアノアクリレート、ポリ(イミノカーボネート)、ポリウレタン、ポリホスファゼン、シリコーン、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリイソブチレン及びエチレン−アルファオレフィンコポリマー、アクリルポリマー及びコポリマー、例えばポリ塩化ビニル等のハロゲン化ビニルポリマー及びコポリマー、例えばポリビニルメチルエーテル等のポリビニルエーテル、例えばポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化ポリビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルケトン、例えばポリスチレン等の芳香族ポリビニル、例えばポリ酢酸ビニル等のポリビニルエステル、例えばエチレン−メチルメタクリレートコポリマー、アクリロニトリルスチレンコポリマー、ABS樹脂及びエチレン−酢酸ビニルコポリマー等のビニルモノマー同士及びオレフィンとのコポリマー、例えばナイロン66及びポリカプロラクタム等のポリアミド、アルキド樹脂、ポリカーボネート、ポリオキシメチレン、ポリイミド、ポリエーテル、ポリ(グリセリルセバケート)、ポリ(プロピレンフマレート)、ポリ(n−ブチルメタクリレート)、ポリ(sec−ブチルメタクリレート)、ポリ(イソブチルメタクリレート)、ポリ(tert−ブチルメタクリレート)、ポリ(n−プロピルメタクリレート)、ポリ(イソプロピルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート)、エポキシ樹脂、ポリウレタン、レーヨン、レーヨン−トリアセテート、酢酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、セロファン、硝酸セルロース、プロピオン酸セルロース、セルロースエーテル、カルボキシメチルセルロース、例えばポリ(エチレングリコール)(PEG)、コポリ(エーテル−エステル)(例、PEO/PLA)等のポリエーテル、例えばポリ(エチレンオキシド)、ポリ(プロピレンオキシド)等のポリアルキレンオキシド、ポリ(エーテルエステル)、ポリアルキレンオキサレート、ポリホスファゼン、ホスホリルコリン、コリン、ポリ(アスピリン)、例えばHEMA、ヒドロキシプロピルメタクリレート(HPMA)、ヒドロキシプロピルメタクリルアミド、PEGアクリレート(PEGA)、PEGメタクリレート、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)及びn−ビニルピロリドン(VP)等のモノマーを有するヒドロキシルのポリマー及びコポリマー、例えばメタクリル酸(MA)、アクリル酸(AA)、アルコキシメタクリレート、アルコキシアクリレート及び3−トリメチルシリルプロピルメタクリレート(TMSPMA)等のモノマーを有するカルボン酸、ポリ(スチレン−イソプレン−スチレン)−PEG(SIS−PEG)、ポリスチレン−PEG、ポリイソブチレン−PEG、ポリカプロラクトン−PEG(PCL−PEG)、PLA−PEG、ポリ(メチルメタクリレート)−PEG(PMMA−PEG)、ポリジメチルシロキサン−co−peg(PDMS−PEG)、ポリ(フッ化ビニリデン)−PEG(PVDF−PEG)、プルロニック(PLURONIC)(商標)界面活性剤(ポリプロピレンオキシド−co−ポリエチレングリコール)、ポリ(テトラメチレングリコール)、ヒドロキシ官能ポリ(ビニルピロリドン)、例えばコラーゲン、キトサン、アルギン酸塩、フィブリン、フィブリノゲン、セルロース、デンプン、コラーゲン、デキストラン、デキストリン、ヒアルロン酸のフラグメント及び誘導体、ヘパリン、ヘパリンのフラグメント及び誘導体、グリコサミノグリカン(GAG)、GAG誘導体、多糖、エラスチン、キトサン、アルギン酸塩又はそれらの組合せ等の生体分子が挙げられる。一部の実施形態では、本明細書に記述するコーティング又は送達媒体は、上述のポリマーのいずれか1つを除外することができる。
【0058】
一部の実施形態では、コーティング又は送達媒体は、さらに生体有益材料を含んでいてもよい。生体有益材料は、重合性又は非重合性とすることができる。生体有益材料は、実質的に無毒性、非抗原性及び非免疫原性であることが好ましい。生体有益材料は、全て薬学的に活性な薬剤の放出に依存することなく、非汚損性、血液適合性、能動的に非血栓形成性又は抗炎症性であることにより、デバイスの生体適合性を高める材料である。
【0059】
代表的な生体有益材料としては、これに限定されないが、ポリ(エチレングリコール)、コポリ(エーテル−エステル)(例、PEO/PLA)等のポリエーテル、例えばポリ(エチレンオキシド)、ポリ(プロピレンオキシド)等のポリアルキレンオキシド、ポリ(エーテルエステル)、ポリアルキレンオキサレート、ポリホスファゼン、ホスホリルコリン、コリン、ポリ(アスピリン)、例えばヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、ヒドロキシプロピルメタクリレート(HPMA)、ヒドロキシプロピルメタクリルアミド、ポリ(エチレングリコール)アクリレート(PEGA)、PEGメタクリレート、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)及びn−ビニルピロリドン(VP)等のモノマーを含むヒドロキシルのポリマー及びコポリマー、例えばメタクリル酸(MA)、アクリル酸(AA)、アルコキシメタクリレート、アルコキシアクリレート及び3−トリメチルシリルプロピルメタクリレート(TMSPMA)等のモノマーを有するカルボン酸、ポリ(スチレン−イソプレン−スチレン)−PEG(SIS−PEG)、ポリスチレン−PEG、ポリイソブチレン−PEG、ポリカプロラクトン−PEG(PCL−PEG)、PLA−PEG、ポリ(メチルメタクリレート)−PEG(PMMA−PEG)、ポリジメチルシロキサン−co−peg(PDMS−PEG)、ポリ(フッ化ビニリデン)−PEG(PVDF−PEG)、プルロニック(商標)界面活性剤(ポリプロピレンオキシド−co−ポリエチレングリコール)、ポリ(テトラメチレングリコール)、ヒドロキシ官能性ポリ(ビニルピロリドン)、例えばフィブリン、フィブリノゲン、セルロース、デンプン、コラーゲン、デキストラン、デキストリン、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸のフラグメント及び誘導体、ヘパリン、ヘパリンのフラグメント及び誘導体、グリコサミノグリカン(GAG)、GAG誘導体、多糖、エラスチン、キトサン、アルギン酸塩、シリコーン、ポリアクティブ(PolyActive)(商標)又はそれらの組合せ等の生体分子が挙げられる。一部の実施形態では、コーティング又は送達媒体は、上記のポリマーのいずれか1つを除外することができる。
【0060】
用語ポリアクティブ(商標)は、可撓性のポリ(エチレングリコール)ブロック及びポリ(ブチレンテレフタレート)ブロック(PEGT/PBT)を有するブロックコポリマーを指す。ポリアクティブ(商標)は、PEG及びPBTのそのようなセグメントを有するAB、ABA、BABコポリマーを含むことが意図されている(例、ポリ(エチレングリコール)−ブロック−ポリ(ブチレンテレフタレート)−ブロックポリ(エチレングリコール)(PEG−PBT−PEG))。
【0061】
好ましい実施形態では、生体有益材料は、ポリ(エチレングリコール)(PEG)又はポリアルキレンオキシド等のポリエーテルとすることができる。
【0062】
生理活性剤
一部の実施形態では、本明細書に記述するコーティング又は送達媒体は、1つ又は複数の生理活性剤を含むことができる。これらの生理活性剤は、任意の治療薬、予防薬、又は診断薬でよい。これらの薬剤は、抗増殖又は抗炎症の特性を有することができ、又は抗腫瘍、抗血小板、抗凝血、抗フィブリン、抗血栓、抗有糸分裂、抗生剤、抗アレルギー若しくは抗酸化等の他の特性を有することができる。さらに、これらの薬剤は、細胞増殖抑制性(cystostatic)薬剤、内皮の治癒を促進する薬剤、又は平滑筋細胞の増殖を抑えながら、内皮細胞の接着、移動及び増殖を促進する薬剤とすることができる。適切な治療薬及び予防薬の例としては、合成無機及び有機化合物、タンパク質及びペプチド、多糖類及び他の糖類、脂質、並びに治療、予防又は診断活性を有するDNA及びRNA核酸配列が挙げられる。核酸配列には、遺伝子、相補DNAに結合して転写を阻害するアンチセンス分子、及びリボザイムが挙げられる。生理活性剤の他のいくつかの例としては、抗体、受容体リガンド、酵素、接着ペプチド、血液凝固因子、ストレプトキナーゼ及び組織プラスミノゲンアクチベーター等の阻害剤又は血栓溶解剤、免疫用の抗原、ホルモン及び増殖因子、アンチセンスオリゴヌクレオチド及びリボザイム等のオリゴヌクレオチド、並びに遺伝子治療に使用するレトロウイルスベクターが挙げられる。抗増殖剤の例としては、ラパマイシン並びにその機能及び構造誘導体、40−O−(2−ヒドロキシ)エチル−ラパマイシン(エベロリムス)並びにその機能及び構造誘導体、パクリタキセル並びにその機能及び構造誘導体が挙げられる。ラパマイシン誘導体の例としては、ABT−578、40−O−(3−ヒドロキシ)プロピル−ラパマイシン、40−O−[2−(2−ヒドロキシ)エトキシ]エチル−ラパマイシン、及び40−O−テトラゾール−ラパマイシンが挙げられる。パクリタキセル誘導体の例としては、ドセタキセルが挙げられる。抗腫瘍薬及び/又は抗有糸分裂薬の例としては、メトトレキセート、アザチオプリン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、フルオロウラシル、塩酸ドキソルビシン(例えば、アドリアマイシン(Adriamycin)(登録商標)、Pharmacia & Upjohn社、ニュージャージ州ピーパック)、及びマイトマイシン(例えば、ムタマイシン(Mutamycin)(登録商標)、Bristol−Myers Squibb Co.社、コネチカット州スタンフォード)が挙げられる。こうした抗血小板、抗凝固剤、抗線維化薬、及び抗トロンビンの例としては、ナトリウムヘパリン、低分子量ヘパリン、ヘパリノイド、ヒルジン(hiridun)、アルガトロバン、フォルスコリン、バピプロスト、プロスタサイクリン及びプロスタサイクリン類似体、デキストラン、D−phe−pro−arg−クロロメチルケトン(合成アンチトロンビン)、ジピリダモール、糖タンパク質IIb/IIIa血小板膜受容体アンタゴニスト抗体、組換ヒルジン(hiridun)、アンジオマックス(Angiomax)(Biogen、Inc.社、マサチューセッツ州ケンブリッジ)等のトロンビン阻害剤、(ニフェジピン等の)カルシウムチャネル遮断薬、コルヒチン、線維芽細胞増殖因子(FGF)アンタゴニスト、魚油(ω3−脂肪酸)、ヒスタミンアンタゴニスト、ロバスタチン(HMG−CoA還元酵素の阻害剤、コレステロール低下薬、商標メバコール(Mevacor)(登録商標)、Merck & Co.Inc.社、ニュージャージ州ホワイトハウスステーション)、(血小板由来増殖因子(PDGF)受容体特異抗体等の)モノクローナル抗体、ニトロプルシド、ホスホジエステラーゼ阻害剤、プロスタグランジン阻害剤、スラミン、セロトニン遮断薬、ステロイド薬、チオプロテアーゼ阻害剤、トリアゾロピリミジン(PDGFアンタゴニスト)、スーパーオキシドジスムターゼ、スーパーオキシドジスムターゼ模倣剤、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(4−アミノ−TEMPO)、エストラジオール、抗癌剤、種々のビタミン等の栄養補助食品、及びそれらの組合せが挙げられる。ステロイド系及び非ステロイド系抗炎症剤を含む抗炎症剤の例としては、バイオリムス、タクロリムス、デキサメタゾン、クロベタゾール、コルチコステロイド、又はそれらの組合せが挙げられる。こうした細胞増殖抑制物質の例としては、アンギオペプチン、例えばカプトプリル(例、カポテン(Capoten)(登録商標)及びカポジド(Capozide)(登録商標)、Bristol−Myers Squibb Co.社、コネチカット州スタンフォード)、シラザプリル又はリシノプリル(例、プリニビル(Prinivil)(登録商標)及びプリンジド(Prinzide)(登録商標)、Merck & Co.,Inc.社、ニュージャージ州ホワイトハウスステーション)等のアンジオテンシン変換酵素阻害剤が挙げられる。抗アレルギー薬の一例は、ペルミロラストカリウムである。適切と思われる他の治療物質又は薬剤としては、α−インターフェロン、ピメクロリムス、メシル酸イマチニブ、ミドスタウリン及び遺伝子組換え上皮細胞が挙げられる。前述の物質はまた、それらのプロドラッグ又はコドラッグの形で使用することもできる。前述の物質には、また、それらの代謝産物及び/又はその代謝産物のプロドラッグも含まれる。前述の物質は、一例として列挙しており、制限する意図はない。現在入手可能である、又は将来開発される見込みのある他の活性薬剤も同様に適用できる。
【0063】
一部の実施形態では、本明細書に記載のコーティング又は送達媒体は、上述の薬剤のいずれか1つ又は複数を明確に除外することができる。
【0064】
好ましい治療効果を生み出すために必要とされる生理活性剤の用量又は濃度は、生理活性剤が毒性作用を生み出すレベルより低く、そして治療的結果が得られないレベルより高くなければならない。生理活性剤の用量若しくは濃度は、患者の特定の状況、外傷の性質、所望の療法の性質、投与された成分が血管部位に留まる時間、及び他の活性物質が用いられる場合は、これらの物質若しくは物質の組合せの性質及び種類等の要素に依存する可能性がある。治療有効用量は、例えば、適切な動物モデル系の血管に注入し、その活性剤及びその作用を検出するために、免疫組織化学的な蛍光若しくは電子顕微鏡検査法を用いることにより、又は適切なin vitro試験を実施することにより、実験的に決定できる。用量を決定するための標準的な薬理試験手順は、当業者によって理解されている。
【0065】
医療デバイスの実施例
本明細書で使用する医療デバイスは、ヒト又は獣医学患者の体内に埋め込むことのできる任意の適切な医療基質とすることができる。このような医療デバイスの実施例には、自己拡張性ステント、バルーン拡張性ステント、ステントグラフト、移植片(例、大動脈移植片)、人工心臓弁、脳脊髄液シャント、ペースメーカー電極、カテーテル、及び心内膜リード(例、FINELINE及びENDOTAK、Abbott Vascular社(カリフォルニア州サンタクララ)から入手可能)、吻合器及びコネクター、ネジ等の整形外科用インプラント、脊椎インプラント、及び電気刺激デバイスが含まれる。デバイスの基礎構造は、事実上、任意の設計にすることができる。デバイスはコバルトクロム合金(ELGILOY)、ステンレススチール(316L)、高窒素ステンレススチール、例えばBIODUR 108、コバルトクロム合金L−605、「MP35N」、「MP20N」、ELASTINITE(Nitinol)、タンタル、ニッケル−チタン合金、白金−イリジウム合金、金、マグネシウム、又はそれらの組合せ等であるが、これらに限定されない金属材料又は合金から製造することができる。「MP35N」及び「MP20N」は、Standard Press Steel Co.社、ペンシルベニア州ジェンキンタウンから入手できるコバルト、ニッケル、クロム及びモリブデンの合金に対する商標名である。「MP35N」は、35%のコバルト、35%のニッケル、20%のクロム、及び10%のモリブデンからなる。「MP20N」は、50%のコバルト、20%のニッケル、20%のクロム、及び10%のモリブデンからなる。生体吸収性ポリマーから製造されたデバイス(例、生体吸収性ステント)又は生体安定性ポリマーから製造されたデバイスもまた、本発明の実施形態と共に使用することができる。
【0066】
一部の実施形態では、デバイスは薬物送達媒体又は薬物送達マトリックスとすることができる。
【0067】
使用方法
好ましくは、本医療デバイスはステントである。本明細書に記述するステントは、例えば胆管、食道、気管/気管支及びその他の生物学的通路内での腫瘍を原因とする閉塞の治療を含め、種々の医療処置に有用である。上述のコーティングを有するステントは、脂質の沈着、単球又はマクロファージの浸潤、若しくは機能不全な内皮又はこれらの組合せを原因とする血管の疾患領域、又は平滑筋細胞の異常又は不適切な移動及び増殖、血栓症及び再狭窄を原因とする血管の閉塞領域の治療に特に有用である。ステントは動脈及び静脈の両方の広範囲の血管内に配置することができる。代表的な部位の例としては、腸骨、腎臓、頸動脈及び冠状動脈が挙げられる。
【0068】
ステントを埋め込むためには、最初に血管造影を実施して、ステント療法のための適切な位置を決定する。血管造影は、典型的には、X線撮影を行う際に、動脈又は静脈内に挿入したカテーテルを介して、放射線不透過造影剤を注射することによって実施される。次に、ガイドワイヤを病変部位又は計画治療部位を通して進ませる。ガイドワイヤの上に送達用カテーテルを被せて通すことにより、収縮させた形状のステントを通路内に挿入することが可能になる。送達用カテーテルを経皮的又は手術のいずれかの方法で大腿動脈、橈骨動脈、鰓弓動脈、大腿静脈又は鰓弓静脈内に挿入し、蛍光顕微鏡誘導下でカテーテルを血管系に通して操縦することによって、適切な血管内へ進ませる。次いで、上述したコーティングを有するステントを所望の治療領域で拡張させることができる。位置が適切であることを確認するために、挿入後、血管造影写真を利用することもできる。
【0069】
埋込み型デバイスは、任意の哺乳類、例えば動物又はヒトに埋め込むことができる。一部の実施形態では、埋込み型デバイスは、埋込み型デバイスによる治療を必要とする患者に埋め込むことができる。治療は血管形成術又は埋込み型デバイスを伴う、他の種類の治療にすることができる。
【0070】
本明細書に記述する埋込み型デバイスを受け取る患者は、正常な身体状態(例えば正常体重)又は異常な身体状態(例えば低体重又は肥満)にある男性又は女性とすることができる。患者は任意の年齢とすることができ、好ましくは患者の年齢は、およそ40歳から70歳である。患者の身体状態を測定する指標の1つは、BMI(ボディマス指数)である。患者のBMIは約18から約30以上とすることができる。
【0071】
本明細書に記述する埋込み型デバイスは、アテローム性動脈硬化、血栓症、再狭窄、出血、血管解離又は穿孔、血管動脈瘤、不安定プラーク、慢性完全閉塞、跛行、II型糖尿病、静脈及び人工移植片の吻合増殖、胆管閉塞、尿管閉鎖、腫瘍による閉塞、又はこれらの組合せ等の病状を治療又は改善する目的に使用することができる。
【実施例】
【0072】
本発明の実施形態を以下の実施例によって例示する。全てのパラメータ及びデータは、本発明の実施形態の範囲を過度に限定すると見なされてはならない。
【0073】
実施例1 高分岐ポリカプロラクトンで形成されたコーティング
ポリマー合成
高分岐ポリカプロラクトンのポリマー又はデンドリマーは、Trollsas,M.ら、Macromolecules 1999、32、4917の記述に従って、下記のカプロラクトンモノマーを重合させることにより合成することができる。モノマーの例としては、4−メチルε−カプロラクトン(1)、4−エチルε−カプロラクトン(2)、4−フェニルε−カプロラクトン(3)及び3,5−ジメチルε−カプロラクトン(4)が挙げられる。マクロモノマー及びデンドリマー様の星型ブロックコポリマーは、文献手順(Trollsas,M.らMacromolecules 1997、30、8508;Trollsas,M.、Hedrick,J.L.「J.Am.Chem.Soc.」、1998、120、4644;Trollsas,M.、Atthoff,B.、Claesson,H.、Hedrick,J.L.Macromolecules 1998、31、3439;Trollsas,M.、Hedrick,J.L.Macromolecules 1998、31、4390)に従って調製することができる。
【0074】
上記の表1及び2に挙げた置換ポリカプロラクトンポリマーを合成し、同定した。さらに、スキームII(図1)及びスキームIII(図2)に示したデンドリマーも合成し、同定した。
【0075】
図2に示したスキームIIIの重合では、開始剤は文書化された手順(例えばIhre,H.ら、Macromolecules 1998、31、4061を参照)によって合成した。エチル置換ε−カプロラクトンを、6個のヒドロキシル末端基を含むこの第1世代の星型ポリマーのモノマーとして用い、G−1(60H)と指定した。星型ポリマーの各腕の目標重合度(DP)は30で、H NMRスペクトロスコピーで測定した平均DPは27であった。これは合計分子量23000g/molに換算される。多分散度はSECによって1.27と測定された。この値は、類似のポリ(c−カプロラクトン)の場合よりやや高く、より長い反応時間(48時間)の結果とも思われる。それでも、SECクロマトグラムは単峰性の分布を示し、13C NMRスペクトロスコピーは、全てのヒドロキシル基から定量的開始を示した。次に、乾燥THE中でアゾジカルボン酸ジイソプロピル(DIAD)及びリン酸トリフェニル(TPP)を使うことで、G−1(60H)を、ベンジリデンで保護されたビス−MPAで官能化し、G−1.5(0OH)を生成した。ベンジリデンを接触水素化分解により除去し、ヒドロキシル末端基を12個含む、G−1.5(120H)を生成した。H NMRスペクトルは、2つのポリマー及びそれらの中間体を示す。全てのスペクトルは、モノマー(複数可)の反復単位に割り当てることが可能な大きなピークを示す。G−1(60H)のH NMRスペクトルは、鎖の末端に割り当てることが可能な1つのピーク及び開始剤からの小さなピークを示す。鎖末端がアルコールからエステルに変化すると、H NMRスペクトルの鎖末端のピークがシフトし、保護ビス−MPAから5つの新しいピークが現れ、それらは保護ビス−MPAに割り当てることができる。脱保護は、保護ビス−MPAのベンジリデン部に起因するピークを消去し、ビス−MPA)の−CHのピーク及びビス−MPAの−CHのピークをシフトする。次に、この脱保護したポリマーを、L−ラクチドのROPのマクロ開始剤(開始剤)として使用し、デンドリマー様の星型ポリマー、G−2(120H)を得た。H NMRスペクトルにより、G−2(120H)の形成が確認された。H NMRスペクトロスコピーは、さらに、腕1本につきDPが13(目標15)であることも示したが、これは合計分子量約46500g/molに換算される。多分散度はSECによって1.30と測定された。
【0076】
コーティングの形成
合成又は上述の置換ポリカプロラクトンは、以下の実施例の構造体のコーティングを形成する目的に使用することができる。
【0077】
構造体A。ステントからのパクリタキセルの制御放出のための薬物送達ステントコーティングのトップコートとして。
第一の組成物は、以下の成分を混合することにより調製される。
(a)2.0質量%のポリ(n−ブチルメタクリレート)(PBMA)及び
(b)残量として、アセトンとシクロヘキサノンとの50:50(重量)のブレンド。
【0078】
第一の組成物を何も塗布されていない12mmの小型ビジョン(VISION)(商標)ステント(Abbott Vascular社、カリフォルニア州サンタクララから入手可能)の表面に塗布する。コーティングをスプレーで噴霧し、乾燥させ、プライマー層を形成する。フィード圧2.5psi(0.17atm)、噴霧圧が15psi(1.02atm)で、ほぼ体温に維持した0.014丸ノズルを備えた、スプレーコーターを使用する。コーティングはパス1回につき20μgを塗布し、次のパスまでの間に、50℃の気流で10秒間ステントを乾燥させる。約110μgの液状コーティングを塗布する。ステントを50℃で1時間、焼成し、約100μgのPBMAからなるプライマー層を得る。
【0079】
プライマーを塗布する場合に使用したのと同じ噴霧方法、器具及び処方を使って、薬物貯蔵体層をプライマー層に塗布する。第2の組成物は、以下の成分を混合することにより調製される。
(a)上で合成された2.0質量%の置換ポリカプロラクトンポリマー、
(b)0.67質量%のパクリタキセル、及び
(c)残量として、クロロホルムと1,1,2−トリクロロエタンとの50:50のブレンド。
【0080】
この場合、約220μgの液状コーティングを塗布し、それに続き、例えば50℃で約1時間、焼成することにより、乾燥させ、約200μgの薬物ポリマー貯蔵体層を得る。本発明のポリマーはトップコート層として使用される。薬物貯蔵体で使用されたのと同じ式IIIのポリマーから始めて、分子量3400ダルトンのアミノ末端mPEGを使用して、PEGのグラフティングを実施する。最終組成物が20重量%PEGになるように十分なPEG誘導体を共役させる。この組成物、すなわち、
(a)2.0質量%の上述の(IV)
(b)残量として、クロロホルムと1,1,2−トリクロロエタンとの50:50のブレンド
を使用する。
【0081】
この組成物を薬物貯蔵体層に塗布することで、トップコート層を形成することができる。薬物貯蔵体層を塗布する場合に使用したのと同じ噴霧方法及び器具を使用して、約120μgの液状トップコートを塗布し、それに続き、50℃で1時間、焼成し、生体有益なトップコートとして機能する式IVの100μgのトップコート層を得る。
【0082】
構造体B。ステントからのパクリタキセルの制御放出のための薬物送達ステントコーティングのマトリックスとして。
第一の組成物は、以下の成分を混合することにより調製される。
(a)2.0質量%のポリ(n−ブチルメタクリレート)(PBMA)及び
(b)残量として、アセトンとシクロヘキサノンとの50:50(重量)のブレンド。
【0083】
第一の組成物を何も塗布されていない12mmの小型ビジョン(商標)ステント(Abbott Vascular社、カリフォルニア州サンタクララから入手可能)の表面に塗布する。コーティングをスプレーで噴霧し、乾燥させ、プライマー層を形成する。フィード圧2.5psi(0.17atm)、噴霧圧が約15psi(1.02atm)で、ほぼ体温に維持した0.014丸ノズルを備えた、スプレーコーターを使用する。コーティングはパス1回につき20μgを塗布し、次のパスまでの間に、50℃の気流で10秒間ステントを乾燥させる。約110μgの液状コーティングを塗布した。ステントを50℃で1時間、焼成し、約100μgのPBMAからなるプライマー層を得る。
【0084】
プライマーを塗布する場合に使用したのと同じ噴霧方法、器具及び処方を使って、薬物貯蔵体層をプライマー層に塗布する。同じ置換ポリカプロラクトンポリマーから始めて、分子量550ダルトンのアミノ末端mPEGを使用して、PEGのグラフティングを実施する。最終組成物が5重量%PEGになるように十分なPEG誘導体を共役させる。この組成物、すなわち、
(a)2.0質量%の上述の(IV)
(b)0.5質量%のパクリタキセル
(c)残量として、クロロホルムと1,1,2−トリクロロエタンとの50:50のブレンド
を使用する。
【0085】
この組成物をプライマー層に塗布することで、薬物貯蔵体層を形成することができる。薬物貯蔵体層を塗布する場合に使用したのと同じ噴霧方法及び器具を使用して、約280μgの液を塗布し、それに続き、50℃で1時間焼成し、貯蔵体ポリマーとして機能する置換ポリカプロラクトンポリマーの250μgの貯蔵体層を得る。
【0086】
本発明の特定の実施態様を図示して説明してきたが、当業者には、その広範囲の見地において、本発明から逸脱することなく、変更及び修飾を加えることが可能であることは明白である。このため、添付の特許請求項は、本発明の真の精神及び範囲に含まれる、そのような変更及び修飾の全てをそれらの範囲内に含むものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
置換ポリカプロラクトンを含む、医療デバイス上のコーティングであり、該置換ポリカプロラクトンが
【化1】


又はその組合せから選択される構造を含んだ単位を含むコーティング。
(式中、
x、y及びzは、0〜20の範囲の値を有する独立した整数であり、
nは、1から約100,000の範囲の整数であり、
及びRは、独立に水素又はC1〜C20の置換基であり、
及びRは、両方が水素となることはできず、
、R、x、y及びzは、式I又はIIの構造が、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリヒドロキシ酪酸(PBH)、ポリヒドロキシ吉草酸、バレロラクトン、カプロラクトン、ジオキサノン又はそれらのコポリマーに同時にならないように選択される。)
【請求項2】
置換ポリカプロラクトンが以下から選択される構造を含む、請求項1に記載のコーティング。
【化2】


ただし、
【化3】

【請求項3】
置換ポリカプロラクトンが以下から選択される構造を含む、請求項1に記載のコーティング。
【化4】


(式中、R’は、水素、保護基又は短鎖アルキル基であり、
mは1から約100,000の範囲の、nとは独立した整数である。)
【請求項4】
置換ポリカプロラクトンが分岐構造を含む、請求項1に記載のコーティング。
【請求項5】
置換ポリカプロラクトンがブロックコポリマーである、請求項1に記載のコーティング。
【請求項6】
さらに生理活性剤を含む、請求項1に記載のコーティング。
【請求項7】
パクリタキセル、ドセタキセル、エストラジオール、17−β−エストラジオール、一酸化窒素供与体、スーパーオキシドジスムターゼ、スーパーオキシドジスムターゼ模倣体、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(4−アミノ−TEMPO)、タクロリムス、デキサメタゾン、ラパマイシン、ラパマイシン誘導体、40−O−(2−ヒドロキシ)エチル−ラパマイシン(エベロリムス)、40−O−(3−ヒドロキシ)プロピル−ラパマイシン、40−O−[2−(2−ヒドロキシ)エトキシ]エチル−ラパマイシン及び40−O−テトラゾール−ラパマイシン、40−エピ−(N1−テトラゾリル)−ラパマイシン(ABT−578)、γ−ヒルジン(hiridun)、クロベタゾール、モメタゾン、ピメクロリムス、メシル酸イマチニブ、若しくはミドスタウリン、又はプロドラッグ、コドラッグ若しくはこれらの組合せから選択される生理活性剤をさらに含む、請求項6に記載のコーティング。
【請求項8】
生理活性剤がエベロリムスである、請求項7に記載のコーティング。
【請求項9】
医療デバイスがステントである、請求項1に記載のコーティング。
【請求項10】
医療デバイスが生体吸収性ステントである、請求項9に記載のコーティング。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載のコポリマーを含む医療デバイス。
【請求項12】
置換ポリカプロラクトンを含む、生理活性剤を制御送達するための送達媒体であって、該置換ポリカプロラクトンが、
【化5】


又はその組合せから選択される構造を含んだ単位を含む送達媒体。
(式中、x、y及びzは0〜20の範囲の値を有する独立した整数であり、
nは1から約100,000の範囲の整数であり、
及びRは、独立に水素又はC1〜C20の置換基であり、
及びRは、両方が水素となることはできず、
、R、x、y及びzは、式I又はIIの構造が、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリヒドロキシ酪酸(PBH)、ポリヒドロキシ吉草酸、バレロラクトン、カプロラクトン、ジオキサノン又はそれらのコポリマーに同時にならないように選択される。)
【請求項13】
置換ポリカプロラクトンが以下から選択される構造を含む、請求項12に記載の送達媒体。
【化6】


ただし、
【化7】

【請求項14】
置換ポリカプロラクトンが以下から選択される構造を含む、請求項12に記載の送達媒体。
【化8】


(式中、R’は、水素、保護基又は短鎖アルキル基であり、
mは1から約100,000の範囲の、nとは独立した整数である。)
【請求項15】
置換ポリカプロラクトンが分岐構造を含む、請求項12に記載の送達媒体。
【請求項16】
置換ポリカプロラクトンがブロックコポリマーである、請求項12に記載の送達媒体。
【請求項17】
微粒子又はナノ粒子を含む、請求項12に記載の送達媒体。
【請求項18】
生理活性剤をさらに含む、請求項12に記載の送達媒体。
【請求項19】
パクリタキセル、ドセタキセル、エストラジオール、17−β−エストラジオール、一酸化窒素供与体、スーパーオキシドジスムターゼ、スーパーオキシドジスムターゼ模倣体、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(4−アミノ−TEMPO)、タクロリムス、デキサメタゾン、ラパマイシン、ラパマイシン誘導体、40−O−(2−ヒドロキシ)エチル−ラパマイシン(エベロリムス)、40−O−(3−ヒドロキシ)プロピル−ラパマイシン、40−O−[2−(2−ヒドロキシ)エトキシ]エチル−ラパマイシン及び40−O−テトラゾール−ラパマイシン、40−エピ−(N1−テトラゾリル)−ラパマイシン(ABT−578)、γ−ヒルジン(hiridun)、クロベタゾール、モメタゾン、ピメクロリムス、メシル酸イマチニブ、若しくはミドスタウリン、又はプロドラッグ、コドラッグ若しくはこれらの組合せから選択される生理活性剤をさらに含む、請求項18に記載の送達媒体。
【請求項20】
生理活性剤がエベロリムスである、請求項18に記載の送達媒体。
【請求項21】
請求項1に記載のコーティングを含む医療デバイスをヒトに埋め込むことを含む、病状を治療、予防又は改善する方法であって、病状が、アテローム性動脈硬化、血栓症、再狭窄、出血、血管解離又は穿孔、血管動脈瘤、不安定プラーク、慢性完全閉塞、跛行、静脈及び人工移植片に対する吻合増殖、胆管閉塞、尿道閉塞、腫瘍による閉塞、糖尿病性血管疾患及びそれらの組合せから選択される方法。
【請求項22】
請求項19に記載の送達媒体から生理活性剤を放出させるようにすることを含む、病状を治療、予防又は改善する方法であって、病状が、アテローム性動脈硬化、血栓症、再狭窄、出血、血管解離又は穿孔、血管動脈瘤、不安定プラーク、慢性完全閉塞、跛行、静脈及び人工移植片に対する吻合増殖、胆管閉塞、尿道閉塞、腫瘍による閉塞、糖尿病性血管疾患及びそれらの組合せから選択される方法。

【図1】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【公表番号】特表2010−528709(P2010−528709A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−510398(P2010−510398)
【出願日】平成20年5月6日(2008.5.6)
【国際出願番号】PCT/US2008/062790
【国際公開番号】WO2008/147645
【国際公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(507135788)アボット カーディオヴァスキュラー システムズ インコーポレイテッド (92)
【Fターム(参考)】