説明

コード構成音表示盤

【課題】コード表の参照や譜面を頻繁に捲る煩雑な作業を不要とし、かつ、邪魔になることのないようにコードの構成音を容易かつ安価に特定する。
【解決手段】第1鍵盤表示領域21、第2鍵盤表示領域22、および第2音階名表示領域24が上下方向に並んで設けられた表示盤本体2と、構成音表示領域31、コードネーム表示領域32および根音指定用孔34が設けられたスライド盤3とを備え、指定用孔34によっていずれかの文字を指定したときに領域22の各白鍵表示のうちの指定した文字を根音とするコードの根音に対応する白鍵表示を露出させる複数の構成音表示用孔35aと、領域22の各白鍵表示および各黒鍵表示のうちの指定した文字を根音とするコードの根音を除く各構成音に対応する表示を露出させる複数の構成音表示用孔35bとが上下方向に対応付けた各コード毎に上下方向に並んで構成音表示領域31に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数種類のコードのそれぞれの構成音を特定するための技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポピュラー音楽などの楽譜のなかには、旋律を表す音符に対応させて、その旋律に合致するコード(和音)を表す「C」や「Dm」等のコードネームを表す文字列が記されたものが存在する。この場合、コードの種類の数が多数であるため、すべてのコードについて、その構成音を記憶するのは困難となっている。したがって、この種の楽譜を利用する者(例えば、ピアノやオルガン等の鍵盤楽器で伴奏する伴奏者)は、各コードの構成音をコードネームに対応付けて一覧化したコード表を参照して、楽譜に記されているコードネームのコードの構成音を特定する煩雑な作業を強いられているという現状がある。
【0003】
一方、特開2007−304307号公報には、旋律を表す音符およびコードネームを示す文字列に対応させて、鍵盤楽器の鍵盤の平面形状(鍵盤を模した表示:以下、「鍵盤表示」ともいう)を譜面上に記すと共に、鍵盤表示の各白鍵および各黒鍵のうちのコードの構成音に対応する鍵の位置に星印等の鍵盤指定表示を付した演奏習得用教材が開示されている。この演奏習得用教材によれば、コードネームに対応するコードの構成音を記憶していなくても、譜面上の鍵盤表示に付された鍵盤指定表示に基づき、コードの構成音に対応する鍵の位置を視覚的に認識することが可能となっている。これにより、コード表を参照して構成音を特定する煩雑な作業を行うことなく、コードネームに対応するコードの構成音の鍵を特定して鍵盤楽器を演奏することが可能となる。
【0004】
また、特開平5−73059号公報には、所望のコードを指定することにより、そのコードの構成音に対応する鍵の上方に配置されているLEDが点灯するように構成されたコード辞書装置が開示されている。このコード辞書装置では、まず、鍵盤部の各鍵のうちから1鍵だけを選択して操作することで、構成音を特定したいコードの根音(ルート)を指定する。次いで、テンキーを操作することによって所望のコードの根音以外の部分(コード種)を指定する。これにより、所望のコードの構成音に対応する鍵のLEDが点灯する。したがって、このコード辞書装置によれば、コード表を参照して構成音を特定する煩雑な作業を行うことなく、コードネームに対応するコードの構成音の鍵盤を特定して鍵盤楽器を演奏することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−304307号公報(第4−9頁、第1−5図)
【特許文献2】特開平5−73059号公報(第3−10頁、第1−17図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、従来の演奏習得用教材やコード辞書装置には、以下の解決すべき問題点が存在する。具体的には、従来の演奏習得用教材では、音符やコードネームと共に鍵盤表示に鍵盤指定表示を付して譜面上に記すことによって、コードの構成音に対応する鍵の位置を特定させる構成が採用されている。しかしながら、従来の演奏習得用教材では、この演奏習得用教材の発明に係る楽譜を使用するときには、コード表を参照することなく、コードの構成音に対応する鍵の位置を特定することができるものの、鍵盤表示および鍵盤指定表示が記されていない通常の楽譜を使用するときには、依然として、コード表を参照して構成音を特定する煩雑な作業が必要になるという問題点がある。また、従来の演奏習得用教材では、各コード毎に鍵盤表示および鍵盤指定表示をそれぞれ記さなくてはならないため、この鍵盤表示および鍵盤指定表示によって譜面上の広い面積が専有されて音符を記すことができる領域が狭くなる結果、1曲分の音符が複数ページに跨って記されることとなる。このため、演奏中にページを捲る作業を頻繁に行わなくてはならないという問題点もある。
【0007】
一方、従来のコード辞書装置では、鍵盤表示および鍵盤指定表示が記されていない通常の楽譜を使用して演奏するときであっても、所望のコードを指定するだけで、コードの構成音の鍵盤を特定して鍵盤楽器を演奏することが可能となっている。しかしながら、従来のコード辞書装置では、その構成が比較的複雑であることに起因して製造コストの低減が困難となっている。このため、通常のピアノやオルガン等の鍵盤楽器を既に所有している者にとっては、コードの構成音を特定するためだけにこのコード辞書装置を別途購入するのが大きな負担になるという問題点がある。また、従来のコード辞書装置では、このコード辞書装置以外の通常の鍵盤楽器(例えば、既存のピアノや、既存のオルガン等)の演奏に際してコードの構成音を特定したいときに、演奏する鍵盤楽器とは別個にコード辞書装置を手元に用意しておく必要がある。このため、このコード装置以外の通常の鍵盤楽器の演奏時には、使用しないコード辞書装置が邪魔になるという問題点もある。
【0008】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、コード表の参照や譜面を頻繁に捲る煩雑な作業を不要とし、かつ、不使用時には邪魔になることのないように、所望のコードの構成音を容易かつ安価に特定し得るコード構成音表示盤を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成すべく請求項1記載のコード構成音表示盤は、複数種類のコードのそれぞれの構成音を特定可能に表示するコード構成音表示盤であって、表示盤本体と、当該表示盤本体に対して左右方向にスライド可能に重ねられたスライド盤とを備え、前記表示盤本体は、ピアノ式鍵盤を模した鍵盤表示を記した第1鍵盤表示領域と、前記鍵盤表示における各白鍵に対応付けた複数の白鍵表示および当該鍵盤表示における各黒鍵に対応付けた複数の黒鍵表示を記した第2鍵盤表示領域と、前記各白鍵表示に対応する前記白鍵の音階名を前記各コードの根音を表す文字として当該各白鍵表示に対応付けた位置に記した根音表示領域とが当該表示盤本体の上下方向に並んで設けられ、前記スライド盤は、前記各コードの種類を上下方向に対応付けると共に前記各白鍵表示および前記各黒鍵表示を前記表示盤本体における前記第2鍵盤表示領域に記したピッチで音程を左右方向に対応付けた構成音表示領域が設けられ、かつ、上下方向に対応付けた前記各コードのコードネームにおける根音を示す文字を除く文字を上下方向に並べて記したコードネーム表示領域が当該構成音表示領域の左方および右方の少なくとも一方の領域外に設けられると共に、前記表示盤本体に対して当該スライド盤を左右方向にスライドさせることで当該表示盤本体における前記根音表示領域の前記文字のうちのいずれかを前記コードの根音を表す文字として指定するための根音指定部が設けられ、前記構成音表示領域には、前記根音指定部によっていずれかの前記文字を指定したときに前記表示盤本体における前記第2鍵盤表示領域の前記各白鍵表示のうちの当該指定した文字を前記根音とするコードの当該根音に対応する当該白鍵表示を露出させる複数の第1開口部と、当該第2鍵盤表示領域の当該各白鍵表示および当該各黒鍵表示のうちの当該指定した文字を当該根音とするコードの当該根音を除く各構成音に対応する表示を露出させる複数の第2開口部とが当該構成音表示領域に対して上下方向に対応付けた前記各コード毎に上下方向に並んで形成されている。
【0010】
また、請求項2記載のコード構成音表示盤は、請求項1記載のコード構成音表示盤において、前記表示盤本体は、前記第1鍵盤表示領域の前記鍵盤表示に対応付けて音階名が記されている。
【0011】
さらに、請求項3記載のコード構成音表示盤は、請求項1または2記載のコード構成音表示盤において、前記表示盤本体および前記スライド盤の少なくとも一方には、当該表示盤本体に対する当該スライド盤のスライドを許容しつつ当該表示盤本体からの当該スライド盤の離脱を規制する離脱規制用係合部が設けられている。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載のコード構成音表示盤では、ピアノ式鍵盤を模した鍵盤表示を記した第1鍵盤表示領域と、鍵盤表示における各白鍵に対応付けた複数の白鍵表示および鍵盤表示における各黒鍵に対応付けた複数の黒鍵表示を記した第2鍵盤表示領域と、各白鍵表示に対応する白鍵の音階名を各コードの根音を表す文字として各白鍵表示に対応付けた位置に記した根音表示領域とを表示盤本体の上下方向に並べて設けた表示盤本体と、各コードの種類を上下方向に対応付けると共に各白鍵表示および各黒鍵表示を表示盤本体における第2鍵盤表示領域に記したピッチで音程を左右方向に対応付けた構成音表示領域を設け、かつ、上下方向に対応付けた各コードのコードネームにおける根音を示す文字を除く文字を上下方向に並べて記したコードネーム表示領域を構成音表示領域の左方および右方の少なくとも一方の領域外に設けると共に、表示盤本体に対して左右方向にスライドさせることで表示盤本体における根音表示領域の文字のうちのいずれかをコードの根音を表す文字として指定するための根音指定部を設けて、表示盤本体に対してスライド可能に表示盤本体上に重ねたスライド盤とを備え、根音指定部によっていずれかの文字を指定したときに表示盤本体における第2鍵盤表示領域の各白鍵表示のうちの指定した文字を根音とするコードの根音に対応する白鍵表示を露出させる複数の第1開口部と、第2鍵盤表示領域の各白鍵表示および各黒鍵表示のうちの指定した文字を根音とするコードの根音を除く各構成音に対応する表示を露出させる複数の第2開口部とを上下方向に対応付けた各コード毎に上下方向に並べて構成音表示領域に形成して、複数種類のコードのそれぞれの構成音を表示可能に構成されている。
【0013】
したがって、請求項1記載のコード構成音表示盤によれば、コード表を参照してコードの構成音を特定する煩雑な作業を行うことなく、表示盤本体に対してスライド盤をスライドさせて所望のコードの根音を示す文字に根音指定部を合わせるだけで、その文字の音程を根音とする各種コードの構成音が構成音表示領域に表示されるため、第1鍵盤表示領域の鍵盤表示と対応して参照することで、そのコードの構成音を容易に特定することができる。このため、このコード構成音表示盤によれば、従来の演奏習得用教材やコード辞書装置とは異なり、鍵盤指定表示が付された鍵盤表示が記されていない既存の一般的な楽譜を用いた演奏時や、コード辞書装置の発明に係る鍵盤楽器以外の鍵盤楽器の演奏時であっても、所望のコードの構成音を特定することができる。また、従来の演奏習得用教材とは異なり、鍵盤表示および鍵盤指定表示によって譜面上の広い面積が専有されることがないため、1曲分の音符が少数ページに記される結果、演奏中にページを捲る作業の頻度を十分に低減することができる。さらに、従来のコード辞書装置とは異なり、構成音を特定するための高価な装置を別途購入する必要がないため、経済的負担を十分に低減することができるだけでなく、楽譜と並べて譜面台に載置できる程度に十分に小さく構成することができるため、演奏中には使用することのない構成音特定用の道具が邪魔になる事態を回避することができる。
【0014】
請求項2記載のコード構成音表示盤によれば、第1鍵盤表示領域の鍵盤表示に対応付けて音階名を記したことにより、第1鍵盤表示領域の鍵盤表示(白鍵表示や黒鍵表示)だけに基づいてコードの構成音や、その構成音に対応する鍵の位置を特定する構成と比較して、鍵盤表示に対応付けて記された音階名に基づき、コードの構成音や鍵の位置を一層容易に特定することができる。
【0015】
請求項3記載のコード構成音表示盤によれば、表示盤本体に対するスライド盤のスライドを許容しつつ表示盤本体からのスライド盤の離脱を規制する離脱規制用係合部を表示盤本体およびスライド盤の少なくとも一方に設けたことにより、例えば楽譜などと並べて譜面台に載置して使用する際に、表示盤本体に対してスライド盤を一体化した状態を維持することができるため、コードの構成音を特定しようとしたときに、表示盤本体に対するスライド盤の上下方向の位置合わせを行うことなく、表示盤本体に対してスライド盤を左右方向にスライドさせるだけで所望のコードの構成音を構成音表示領域に表示させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】コード構成音表示盤1の正面図である。
【図2】コード構成音表示盤1における表示盤本体2単体の正面図である。
【図3】コード構成音表示盤1の断面図である。
【図4】コード構成音表示盤1におけるスライド盤3単体の正面図である。
【図5】根音として「E」を指定した状態のコード構成音表示盤1の正面図である。
【図6】根音として「B」を指定した状態のコード構成音表示盤1の正面図である。
【図7】コード構成音表示盤1Aの正面図である。
【図8】コード構成音表示盤1Bの正面図である。
【図9】コード構成音表示盤1Cの正面図である。
【図10】コード構成音表示盤1Dの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、コード構成音表示盤の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0018】
最初に、コード構成音表示盤1の構成について、図面を参照して説明する。
【0019】
図1に示すコード構成音表示盤1は、各種コードの構成音を特定可能に樹脂板や厚紙などの板体で製作された表示盤であって、表示盤本体2およびスライド盤3を備えて構成されている。表示盤本体2は、図2に示すように、第1鍵盤表示領域21および第2鍵盤表示領域22が上下方向に並んで設けられると共に、第1鍵盤表示領域21および第2鍵盤表示領域22の間に第1音階名表示領域23が設けられ、かつ、第2鍵盤表示領域22の上方に第2音階名表示領域24が設けられて構成されている。第1鍵盤表示領域21には、ピアノ式鍵盤を模して、複数の白鍵表示21aおよび複数の黒鍵表示21bからなる鍵盤表示が記されている。
【0020】
また、第2鍵盤表示領域22には、第1鍵盤表示領域21における鍵盤表示の各白鍵表示21aに対応付けた複数の白鍵表示22aと、第1鍵盤表示領域21における鍵盤表示の各黒鍵表示21bに対応付けた複数の黒鍵表示22bとが記されている。この場合、このコード構成音表示盤1では、第1鍵盤表示領域21におけるC音の白鍵表示21aの左端部から、そのC音の1オクターブ上(完全8度上)のC音の白鍵表示21aにおける左端部までの間(同図に矢印Lで示す範囲)を12等分して、表示盤本体2の上下方向に長い複数の帯状領域を設け、白鍵表示21aの上方に位置する帯状領域に白鍵表示22aを記すと共に、黒鍵表示21bの上方に位置する帯状領域に黒鍵表示22bを記すことで、各白鍵表示21aに各白鍵表示22aを対応付け、かつ各黒鍵表示21bに各黒鍵表示22bを対応付けている。
【0021】
さらに、第1音階名表示領域23には、第1鍵盤表示領域21に記された鍵盤表示に対応付けて音階名が記されている。この場合、このコード構成音表示盤1では、第1鍵盤表示領域21における鍵盤表示の各白鍵表示21aの上方に、その白鍵表示21aに対応する白鍵の音階名を表す「C」、「D」、「E」、「F」、「G」、「A」および「B」の7種類の文字が記されている。なお、第1鍵盤表示領域21における各黒鍵表示21bに対応付けて「D♭(C♯)」等の文字を第1音階名表示領域23に記すこともできる。また、第2音階名表示領域24は、「根音表示領域」に相当し、第2鍵盤表示領域22の各白鍵表示22aに対応付けて各白鍵表示22aに対応する白鍵の音階名を表す「C」、「D」、「E」、「F」、「G」、「A」および「B」の7種類の文字が記されている。この場合、このコード構成音表示盤1では、各白鍵表示22aに対応付ける音階名が各白鍵表示22aおよび各黒鍵表示22bを記したピッチ(上記の各帯状領域を設けたピッチ)の例えば2つ分だけ左方にずれて(オフセットして)記されている。
【0022】
また、図3に示すように、このコード構成音表示盤1では、一例として、表示盤本体2が板体11a〜11cの3枚を貼り合わせて構成されて、板体11aと板体11cとの間に、表示盤本体2に対するスライド盤3のスライドを許容しつつ、表示盤本体2からのスライド盤3の離脱を規制するための離脱規制用係合溝10(「離脱規制用係合部」の一例)が形成されている(「表示盤本体およびスライド盤の少なくとも一方」が「表示盤本体」である構成の例)。この場合、このコード構成音表示盤1では、上記の第1鍵盤表示領域21および第1音階名表示領域23が板体11cの表面に設けられると共に、第2鍵盤表示領域22および第2音階名表示領域24が板体11aの表面に設けられて構成されている。
【0023】
一方、スライド盤3は、表示盤本体2に対して左右方向にスライド可能に表示盤本体2上に重ねられる板体であって、黒色および白色以外の(白鍵表示22aや黒鍵表示21bを記した色以外の)任意の不透明色を有するように平板状に形成されている。このスライド盤3は、図4に示すように、構成音表示領域31、コードネーム表示領域32および音程表示領域33が設けられると共に、表示盤本体2に対してスライド盤3を左右方向にスライドさせることで表示盤本体2における第2音階名表示領域24の各文字(根音としての音階名を示す文字)のうちのいずれかをコードの根音として指定するための根音指定用孔34(「根音指定部」の一例が設けられている。
【0024】
構成音表示領域31は、このコード構成音表示盤1によって特定するコードの構成音を表示する領域であって、スライド盤3を表示盤本体2に重ねた状態において表示盤本体2の第2鍵盤表示領域22に重なる位置に設けられている。この構成音表示領域31は、このコード構成音表示盤1によって構成音を特定可能なコードの種類が上下方向に対応付けられると共に、各白鍵表示22aおよび各黒鍵表示22bを表示盤本体2における第2鍵盤表示領域22に記したピッチで音程が左右方向に対応付けられている。
【0025】
また、構成音表示領域31には、根音指定用孔34によって表示盤本体2における第2音階名表示領域24に記された各文字のうちのいずれかを指定したときに、第2鍵盤表示領域22における各白鍵表示22aのうちの指定した文字を根音とする各コードの根音に対応する白鍵表示22aを露出させる複数の構成音表示用孔35a(「第1開口部」の一例)が上下方向に並んで各コード毎に形成されている。さらに、構成音表示領域31には、根音指定用孔34によって第2音階名表示領域24に記された各文字のうちのいずれかを指定したときに、第2鍵盤表示領域22における各白鍵表示22aおよび各黒鍵表示22bのうちの指定した文字を根音とする各コードの根音を除く各構成音に対応する表示を露出させる複数の構成音表示用孔35b(「第2開口部」の一例)が各構成音の根音に対する音程に応じた長さだけ各構成音表示用孔35aの右方に各コード毎に形成されている。
【0026】
コードネーム表示領域32には、構成音表示領域31の左方の領域外に設けられると共に(「構成音表示領域の左方および右方の少なくとも一方の領域外」が「左方の領域外だけ」の構成の例であり、構成音表示領域31の右方の領域外に設けることもできる。)、構成音表示領域31において上下方向に対応付けた各コードのコードネームにおける根音を示す文字を除く文字(この例では、「m」、「m(♭5)」および「aug」等)が上下方向に並べて記されている。また、コードネーム表示領域32には、後述するように、根音指定用孔34内に表示される(根音指定用孔34を介して目視される)文字をコードネームの根音を示す文字として当て嵌めてコードネームとして読み取るための四角形(以下、「□」と表す)が上記の「m」や「m(♭5)」等の文字の左方に破線で記されている。
【0027】
音程表示領域33には、構成音表示領域31において左右方向に対応付けた音程を示す文字(この例では、「完全1度」、「短2度」および「長2度」等)が左右方向に並べて記されている。なお、構成音表示領域31の上記の各構成音表示用孔35aは、音程表示領域33における「完全1度」に対応する位置に開口され、各構成音表示用孔35bは、「短2度」から「長9度」までの範囲(この例では、「短2度」から「長7度」、および「長9度」に対応する位置)に開口されている。
【0028】
この場合、このスライド盤3では、構成音表示領域31における「完全1度」の音程の位置(各構成音表示用孔35aが形成されている位置:音程表示領域33に「完全1度」と記されている位置)に対して1度分だけ(半音2つ分だけ)左方にオフセットして根音指定用孔34が開口されている。このため、前述したように、表示盤本体2の第2音階名表示領域24には、第2鍵盤表示領域22における各白鍵表示22aに対応付ける音階名を各白鍵表示22aおよび各黒鍵表示22bを記したピッチ(上記の各帯状領域を設けたピッチ)の2つ分だけ(すなわち、1度分だけ)左方にずれて(オフセットされて)記されている。
【0029】
次に、コード構成音表示盤1の使用方法について、図面を参照して説明する。
【0030】
このコード構成音表示盤1によって所定のコードの構成音を特定する際には、図3に示すように、まず、スライド盤3の下端部を表示盤本体2の離脱規制用係合溝10内に嵌入するようにして表示盤本体2に対してスライド盤3を重ねて配置する。これにより、表示盤本体2からスライド盤3が離脱することなく、表示盤本体2に対するスライド盤3の左右方向(同図における紙面奥行き方向)へのスライドが許容される状態となる。この状態において、一例として、楽譜と共にコード構成音表示盤1を譜面台に載置する。
【0031】
次いで、例えば、「Em」とのコードネームのコードの構成音を特定する際には、図5に示すように、スライド盤3の根音指定用孔34内に、表示盤本体2の第2音階名表示領域24における各文字のうちの「E」との文字が位置するように表示盤本体2に対してスライド盤3をスライドさせる(構成音を特定したいコードの根音を指定する作業)。この場合、スライド盤3における構成音表示領域31の「□m」のコードに対応する位置には、根音を示す構成音表示用孔35aが「完全1度」の位置に開口されると共に、根音を除く構成音を示す構成音表示用孔35bが「短3度」および「完全5度」の位置に開口されている。
【0032】
したがって、スライド盤3の根音指定用孔34を表示盤本体2における第2音階名表示領域24の「E」に合わせた状態においては、図5に示すように、「完全1度」の位置に開口された構成音表示用孔35aを介して表示盤本体2における第2鍵盤表示領域22のE音に対応する白鍵表示22aが露出し、この構成音表示用孔35aの位置が白色となって恰も白色の丸形マーク(以下、「○」と表す)が表示されたかのような状態となる。また、「短3度」の位置に開口された構成音表示用孔35bを介して表示盤本体2における第2鍵盤表示領域22のG音に対応する白鍵表示22aが露出し、この構成音表示用孔35bの位置が白色となって恰も「○」が表示されたかのような状態となる。同様にして、「完全5度」の位置に開口された構成音表示用孔35bを介して表示盤本体2における第2鍵盤表示領域22のB音に対応する白鍵表示22aが露出し、この構成音表示用孔35bの位置が白色となって恰も「○」が表示されたかのような状態となる。
【0033】
これにより、このコード構成音表示盤1の利用者は、構成音表示領域31の上記の構成音表示用孔35a,35b,35bの位置に見える3つの「○」により、「Em」とのコードネームのコードの構成音が鍵盤楽器における白鍵の音であるのを直感的に認識する。また、3つの「○」の位置から視線を下方に移動させて第1音階名表示領域23や第1鍵盤表示領域21を参照することで、この3つの「○」がE音、G音およびB音であることを認識すると共に、E音、G音およびB音の3音の鍵の位置を直感的に認識する。
【0034】
一方、例えば、「Em6」とのコードネームのコードの構成音を特定する際には、図5に示すように、スライド盤3の根音指定用孔34内に、表示盤本体2の第2音階名表示領域24における各文字のうちの「E」との文字が表示された状態(根音としてE音が指定された状態)を維持しつつ、構成音表示領域31の「□m6」のコードに対応する位置の構成音表示用孔35a,35bを参照する。この場合、スライド盤3における構成音表示領域31の「□m6」のコードに対応する位置には、根音を示す構成音表示用孔35aが「完全1度」の位置に開口されると共に、根音を除く構成音を示す構成音表示用孔35bが「短3度」、「完全5度」および「長6度」の位置に開口されている。
【0035】
したがって、スライド盤3の根音指定用孔34を表示盤本体2における第2音階名表示領域24の「E」に合わせた状態においては、図5に示すように、「完全1度」の位置に開口された構成音表示用孔35aを介して表示盤本体2における第2鍵盤表示領域22のE音に対応する白鍵表示22aが露出し、この構成音表示用孔35aの位置が白色となりって恰も「○」が表示されたかのような状態となる。また、「短3度」の位置および「完全5度」の位置に開口された構成音表示用孔35b,35bを介して表示盤本体2における第2鍵盤表示領域22のG音およびB音に対応する白鍵表示22a,22aが露出し、これらの構成音表示用孔35b,35bの位置が白色となって恰も「○」がそれぞれ表示されたかのような状態となる。さらに、「長6度」の位置に開口された構成音表示用孔35bを介して表示盤本体2における第2鍵盤表示領域22のD♭(C♯)音に対応する黒鍵表示22bが露出し、この構成音表示用孔35bの位置が黒色となって恰も黒色の丸形マーク(以下、「●」と表す)が表示されたかのような状態となる。
【0036】
これにより、このコード構成音表示盤1の利用者は、構成音表示領域31の上記の構成音表示用孔35a,35b,35b,35bの位置に見える3つの「○」および1つの「●」により、「Em6」とのコードネームのコードの構成音が鍵盤楽器における白鍵の音と黒鍵の音との組み合せであるのを直感的に認識する。また、3つの「○」および1つの「●」の位置から視線を下方に移動させて第1音階名表示領域23や第1鍵盤表示領域21を参照することで、3つの「○」がE音、G音およびB音であり、1つの「●」がD♭(C♯)音であることを認識すると共に、E音、G音、B音およびD♭(C♯)音の4音の鍵の位置を直感的に認識する。
【0037】
また、例えば、「Bm7」とのコードネームのコードの構成音を特定する際には、図6に示すように、スライド盤3の根音指定用孔34内に、表示盤本体2の第2音階名表示領域24における各文字のうちの「B」との文字が位置するように表示盤本体2に対してスライド盤3をスライドさせる(構成音を特定したいコードの根音を指定する作業)。この場合、スライド盤3における構成音表示領域31の「□m7」のコードに対応する位置には、根音を示す構成音表示用孔35aが「完全1度」の位置に開口されると共に、根音を除く構成音を示す構成音表示用孔35bが「短3度」、「完全5度」および「短7度」の位置に開口されている。
【0038】
したがって、スライド盤3の根音指定用孔34を表示盤本体2における第2音階名表示領域24の「B」に合わせた状態においては、図6に示すように、「完全1度」の位置に開口された構成音表示用孔35aを介して表示盤本体2における第2鍵盤表示領域22のB音に対応する白鍵表示22aが露出し、この構成音表示用孔35aの位置が白色となって恰も「○」が表示されたかのような状態となる。また、「短3度」の位置に開口された構成音表示用孔35bを介して表示盤本体2における第2鍵盤表示領域22のD音に対応する白鍵表示22aが露出し、この構成音表示用孔35bの位置が白色となって恰も「○」が表示されたかのような状態となる。さらに、「完全5度」の位置に開口された構成音表示用孔35bを介して表示盤本体2における第2鍵盤表示領域22のG♭(F♯)音に対応する黒鍵表示22bが露出し、この構成音表示用孔35bの位置が黒色となって恰も「●」が表示されたかのような状態となる。また、「短7度」の位置に開口された構成音表示用孔35bを介して表示盤本体2における第2鍵盤表示領域22のA音に対応する白鍵表示22aが露出し、この構成音表示用孔35bの位置が白色となって恰も「○」が表示されたかのような状態となる。
【0039】
これにより、このコード構成音表示盤1の利用者は、構成音表示領域31の上記の構成音表示用孔35a,35b,35b,35bの位置に見える3つの「○」および1つの「●」により、「Bm7」とのコードネームのコードの構成音が鍵盤楽器における白鍵の音と黒鍵の音との組み合せであるのを直感的に認識する。また、3つの「○」および1つの「●」の位置から視線を下方に移動させて第1音階名表示領域23や第1鍵盤表示領域21を参照することで、この3つの「○」および1つの「●」がB音、D音、G♭(F♯)音およびA音であることを認識すると共に、B音、D音、G♭(F♯)音およびA音の4音の鍵の位置を直感的に認識する。
【0040】
このように、このコード構成音表示盤1では、ピアノ式鍵盤を模した鍵盤表示を記した第1鍵盤表示領域21と、鍵盤表示における各白鍵(白鍵表示21a)に対応付けた複数の白鍵表示22aおよび鍵盤表示における各黒鍵(黒鍵表示21b)に対応付けた複数の黒鍵表示22bを記した第2鍵盤表示領域22と、各白鍵表示22aに対応する白鍵の音階名を各コードの根音を表す文字として各白鍵表示22aに対応付けた位置に記した第2音階名表示領域24とを表示盤本体2の上下方向に並べて設けた表示盤本体2と、各コードの種類を上下方向に対応付けると共に各白鍵表示22aおよび各黒鍵表示22bを表示盤本体2における第2鍵盤表示領域22に記したピッチで音程を左右方向に対応付けた構成音表示領域31を設け、かつ、上下方向に対応付けた各コードのコードネームにおける根音を示す文字を除く文字を上下方向に並べて記したコードネーム表示領域32を構成音表示領域31の左方の領域外に設けると共に、表示盤本体2に対して左右方向にスライドさせることで表示盤本体2における第2音階名表示領域24の文字のうちのいずれかをコードの根音を表す文字として指定するための根音指定用孔34を設けて、表示盤本体2に対してスライド可能に表示盤本体2上に重ねたスライド盤3とを備え、根音指定用孔34によっていずれかの文字を指定したときに表示盤本体2における第2鍵盤表示領域22の各白鍵表示22aのうちの指定した文字を根音とするコードの根音に対応する白鍵表示22aを露出させる複数の構成音表示用孔35aと、第2鍵盤表示領域22の各白鍵表示22aおよび各黒鍵表示22bのうちの指定した文字を根音とするコードの根音を除く各構成音に対応する表示を露出させる複数の構成音表示用孔35bとを上下方向に対応付けた各コード毎に上下方向に並べて構成音表示領域31に形成して、複数種類のコードのそれぞれの構成音を表示可能に構成されている。
【0041】
したがって、このコード構成音表示盤1によれば、コード表を参照してコードの構成音を特定する煩雑な作業を行うことなく、表示盤本体2に対してスライド盤3をスライドさせて所望のコードの根音を示す文字に根音指定用孔34を合わせるだけで、その文字の音程を根音とする各種コードの構成音が構成音表示領域31に表示されるため、第1鍵盤表示領域21の鍵盤表示と対応して参照することで、そのコードの構成音を容易に特定することができる。このため、このコード構成音表示盤1によれば、従来の演奏習得用教材やコード辞書装置とは異なり、鍵盤指定表示が付された鍵盤表示が記されていない既存の一般的な楽譜を用いた演奏時や、コード辞書装置の発明に係る鍵盤楽器以外の鍵盤楽器の演奏時であっても、所望のコードの構成音を特定することができる。また、従来の演奏習得用教材とは異なり、鍵盤表示および鍵盤指定表示によって譜面上の広い面積が専有されることがないため、1曲分の音符が少数ページに記される結果、演奏中にページを捲る作業の頻度を十分に低減することができる。さらに、従来のコード辞書装置とは異なり、構成音を特定するための高価な装置を別途購入する必要がないため、経済的負担を十分に低減することができるだけでなく、楽譜と並べて譜面台に載置できる程度に十分に小さく構成することができるため、演奏中には使用することのない構成音特定用の道具が邪魔になる事態を回避することができる。
【0042】
また、このコード構成音表示盤1によれば、第1鍵盤表示領域21の鍵盤表示(各白鍵表示21a)に対応付けて第1音階名表示領域23に音階名を記したことにより、第1鍵盤表示領域21の鍵盤表示(白鍵表示21aや黒鍵表示21b)だけに基づいてコードの構成音や、その構成音に対応する鍵の位置を特定する構成と比較して、鍵盤表示に対応付けて記された音階名に基づき、コードの構成音や鍵の位置を一層容易に特定することができる。
【0043】
さらに、このコード構成音表示盤1によれば、表示盤本体2に対するスライド盤3のスライドを許容しつつ表示盤本体2からのスライド盤3の離脱を規制する離脱規制用係合溝10を表示盤本体2に設けたことにより、例えば楽譜などと並べて譜面台に載置して使用する際に、表示盤本体2に対してスライド盤3を一体化した状態を維持することができるため、コードの構成音を特定しようとしたときに、表示盤本体2に対するスライド盤3の上下方向の位置合わせを行うことなく、表示盤本体2に対してスライド盤3を左右方向にスライドさせるだけで所望のコードの構成音を構成音表示領域31に表示させることができる。
【0044】
なお、コード構成音表示盤の構成は、上記の構成に限定されない。例えば、根音指定部の一例として根音指定用孔34をスライド盤3に設けたコード構成音表示盤1を例に挙げて説明したが、根音指定部の構成は、根音指定用孔34のような「孔」に限定されない。例えば、図7に示すコード構成音表示盤1Aにおけるスライド盤3aのように、表示盤本体2における第2音階名表示領域24に記された各文字(根音を示す文字)のうちから所望の文字を指定するための根音指定用切欠き部34aを根音指定部として設けることもできる。なお、このコード構成音表示盤1A、および後に説明するコード構成音表示盤1B〜1Dにおいて前述したコード構成音表示盤1と同様の機能を有する構成要素については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0045】
また、図8に示すコード構成音表示盤1Bにおけるスライド盤3bのように、表示盤本体2bにおける第2音階名表示領域24に記された各文字(根音を示す文字)のうちから所望の文字を指定するための根音指定マーク34bを根音指定部として設けることもできる。この場合、このコード構成音表示盤1Bにおける表示盤本体2bは、前述したコード構成音表示盤1における表示盤本体2よりも第2音階名表示領域24が上方に記されている点を除き、表示盤本体2と同様に構成されている。
【0046】
さらに、図9に示すコード構成音表示盤1Cにおけるスライド盤3cのように、表示盤本体2cにおける第1音階名表示領域23に記された各文字(根音を示す文字)のうちから所望の文字を指定するための根音指定マーク34cを根音指定部として設けることもできる。この場合、このコード構成音表示盤1Cにおける表示盤本体2cは、第2音階名表示領域24が設けられていない点を除き、前述したコード構成音表示盤1における表示盤本体2と同様に構成されている。なお、この表示盤本体2cでは、第1音階名表示領域23が「根音表示領域」に相当する。また、このコード構成音表示盤1Cにおけるスライド盤3cは、前述したコード構成音表示盤1におけるスライド盤3よりも構成音表示領域31、コードネーム表示領域32および音程表示領域33等が上方に設けられて上記の根音指定マーク34cが設けられている点を除き、スライド盤3と同様に構成されている。
【0047】
さらに、コード構成音表示盤1のように根音指定用孔34を根音指定部として設ける構成、コード構成音表示盤1Aのように根音指定用切欠き部34aを根音指定部として設ける構成、およびコード構成音表示盤1Bのように根音指定マーク34bを根音指定部として設ける構成のうちのいずれかと、コード構成音表示盤1Cのように根音指定マーク34cを根音指定部として設ける構成とを組み合せて上下2箇所に根音指定部を設けることもできる(図示せず)。これらのような根音指定部の構成を採用した場合においても、前述したコード構成音表示盤1と同様の効果を奏することができる。
【0048】
また、離脱規制用係合部の一例として離脱規制用係合溝10を表示盤本体2に設けたコード構成音表示盤1を例に挙げて説明したが、離脱規制用係合部の構成はこれに限定されない。例えば、図10に示すコード構成音表示盤1Dのように、表示盤本体2dの上端部を嵌入可能な離脱規制用係合溝15を離脱規制用係合部としてスライド盤3dに設けることができる(「表示盤本体およびスライド盤の少なくとも一方」が「スライド盤」である構成の例)。なお、コード構成音表示盤1Dの表示盤本体2dは、離脱規制用係合溝10が設けられていない点を除き、前述したコード構成音表示盤1の表示盤本体2と同様にして、第1鍵盤表示領域21、第2鍵盤表示領域22、第1音階名表示領域23および第2音階名表示領域24が設けられている。また、スライド盤3dは、離脱規制用係合溝15が設けられている点を除き、前述したコード構成音表示盤1のスライド盤3と同様にして、構成音表示領域31、コードネーム表示領域32、音程表示領域33および根音指定用孔34(または、根音指定用切欠き部34a、根音指定マーク34b)が設けられると共に、構成音表示用孔35a,35bが形成されている。この場合、スライド盤3dは、コード構成音表示盤1のスライド盤3と同様に構成された板体16aの裏面側に板体16b,16cを貼り合わせることによって離脱規制用係合溝15が形成されている。
【0049】
さらに、一例として、コード構成音表示盤1における表示盤本体2と、コード構成音表示盤1Dにおけるスライド盤3dとを組み合せて、「表示盤本体およびスライド盤の双方」に離脱規制用係合部10,15を設ける構成を採用することもできるし、表示盤本体の上下2箇所にスライド盤の上端部および下端部をそれぞれ嵌入可能な離脱規制用係合溝を設けて離脱規制用係合部とする構成を採用することもできる(共に図示せず)。このような構成を採用した場合においても、前述したコード構成音表示盤1と同様の効果を奏することができる。加えて、鍵盤楽器における白鍵に対応する部位を白色で記すと共に、黒鍵に対応する部位を黒色で記した例について説明したが、白鍵に対応する部位を白色以外の明色で記すと共に、黒鍵に対応する部位を黒色以外の暗色で記してもよい。
【符号の説明】
【0050】
1,1A〜1D コード構成音表示盤
2,2b〜2d 表示盤本体
3,3a〜3d スライド盤
10,15 離脱規制用係合溝
21 第1鍵盤表示領域
21a,22a 白鍵表示
21b,22b 黒鍵表示
22 第2鍵盤表示領域
23 第1音階名表示領域
24 第2音階名表示領域
31 構成音表示領域
32 コードネーム表示領域
33 音程表示領域
34 根音指定用孔
34a 根音指定用切欠き部
34b,34c 根音指定マーク
35a,35b 構成音表示用孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類のコードのそれぞれの構成音を特定可能に表示するコード構成音表示盤であって、
表示盤本体と、当該表示盤本体に対して左右方向にスライド可能に重ねられたスライド盤とを備え、
前記表示盤本体は、ピアノ式鍵盤を模した鍵盤表示を記した第1鍵盤表示領域と、前記鍵盤表示における各白鍵に対応付けた複数の白鍵表示および当該鍵盤表示における各黒鍵に対応付けた複数の黒鍵表示を記した第2鍵盤表示領域と、前記各白鍵表示に対応する前記白鍵の音階名を前記各コードの根音を表す文字として当該各白鍵表示に対応付けた位置に記した根音表示領域とが当該表示盤本体の上下方向に並んで設けられ、
前記スライド盤は、前記各コードの種類を上下方向に対応付けると共に前記各白鍵表示および前記各黒鍵表示を前記表示盤本体における前記第2鍵盤表示領域に記したピッチで音程を左右方向に対応付けた構成音表示領域が設けられ、かつ、上下方向に対応付けた前記各コードのコードネームにおける根音を示す文字を除く文字を上下方向に並べて記したコードネーム表示領域が当該構成音表示領域の左方および右方の少なくとも一方の領域外に設けられると共に、前記表示盤本体に対して当該スライド盤を左右方向にスライドさせることで当該表示盤本体における前記根音表示領域の前記文字のうちのいずれかを前記コードの根音を表す文字として指定するための根音指定部が設けられ、
前記構成音表示領域には、前記根音指定部によっていずれかの前記文字を指定したときに前記表示盤本体における前記第2鍵盤表示領域の前記各白鍵表示のうちの当該指定した文字を前記根音とするコードの当該根音に対応する当該白鍵表示を露出させる複数の第1開口部と、当該第2鍵盤表示領域の当該各白鍵表示および当該各黒鍵表示のうちの当該指定した文字を当該根音とするコードの当該根音を除く各構成音に対応する表示を露出させる複数の第2開口部とが当該構成音表示領域に対して上下方向に対応付けた前記各コード毎に上下方向に並んで形成されているコード構成音表示盤。
【請求項2】
前記表示盤本体は、前記第1鍵盤表示領域の前記鍵盤表示に対応付けて音階名が記されている請求項1記載のコード構成音表示盤。
【請求項3】
前記表示盤本体および前記スライド盤の少なくとも一方には、当該表示盤本体に対する当該スライド盤のスライドを許容しつつ当該表示盤本体からの当該スライド盤の離脱を規制する離脱規制用係合部が設けられている請求項1または2記載のコード構成音表示盤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−100039(P2011−100039A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−255675(P2009−255675)
【出願日】平成21年11月9日(2009.11.9)
【出願人】(509309891)
【Fターム(参考)】