説明

コーヒーマシンの蒸気ノズル用の交換可能な先端部品

【課題】従来の問題を解消するコーヒーマシンのノズル用の交換可能な先端部品を提供する。
【解決手段】ミルクを加熱して泡立てるためのコーヒーマシンの蒸気ノズル6の付与端部5に接続されうる交換可能な先端部品が提供される。付与端部5には接続手段7が形成される。先端部品はスリーブ1を備えており、スリーブ1の第1の端部3は開放されていて、ノズルの付与端部5の接続手段7に対応するリバーシブルの接続手段8を備えている。スリーブ1は、長手方向の軸線X−Xに沿って延在する窪み1aを内側部に形成している。スリーブ1の第2の端部4は開放されていて、胴部2を備えており、胴部2には、窪みと、外部環境とを接続する複数のチャネル12が形成される。また、胴部2には、スリーブ1の第2の端部4の領域においてミルクの温度を検出する温度センサ14,15を受容する空間部13が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気ノズルが導入されるジャグ内に収容される所定量のミルクを加熱して泡立てるために使用されるコーヒーマシンの蒸気ノズルの交換可能な先端部品であって、接続手段が形成される付与端部に連結されうる先端部品に関する。
【背景技術】
【0002】
公知であるように、コーヒーマシンによって提供されるサービスのうちの1つは、飲料を加熱するため、特にミルクを加熱するため、そして任意に、極めて微細な泡によってミルクを泡立ててカプチーノを調製するために、過熱された蒸気を付与することである。
【0003】
ミルクの加熱処理及び泡立処理をもたらす従来の方法は、蒸気発生器に接続された導管からの蒸気を遮断する弁に接続されていて特定の技術分野においてノズルと称されるチューブを、加熱されるべきミルクが収容されたジャグ内に導入することを含む。
【0004】
弁によって解放される蒸気はノズルの先端部品によって放出され、ジャグ内の低温のミルクに接触すると、凝縮して顕熱及び潜熱を発生する。それと同時に、操作者は、ジャグを適切に動作させることによって、蒸気発生器の内部圧力によって付勢されて所定の流速でミルク内に導入される蒸気の運動エネルギを利用して、空気を混ぜ入れるとともに、極めて微細な泡が形成されるまで空気とミルクとの混合物を混合させることによって泡立作用を発生させる。
【0005】
ノズルの先端部品は、加熱処理及び泡立処理を最適化するのに重要である。実際に、カプチーノを生産するのに必要な質感及び粘り気の性質を備えたミルクの泡を形成するためには、ミルクが摂氏30度と摂氏60度との間の範囲でありながら、ミルクと空気との混合物を少なくとも15秒の時間の間混合させることが必要である。
前述した条件に適合するように動作するように、ノズルの先端部品には、所定の断面及び方向性を有する蒸気放出孔が形成される。
【0006】
ミルクを飲む習慣は国によって異なる。1杯分の飲料として、例えば米国では250cm3よりも多い量が使用されるが、イタリアでは、カプチーノ用におよそ80cm3から100cm3の量が使用される。結果的に、それぞれの個別の処理のために加熱されるべきミルクの量は、例えば1杯のカプチーノを調製するための100cm3から、4杯のラテアメリカーノのタイプの飲料を調整するための1リットルまで異なりうる。効率的なサービスを提供するために、蒸気の流量を加熱されるべきミルクの量に適応させる必要がある。それにより、大量に加熱するとき、そして少量の場合においてサービスの迅速さを損ねることなく、摂氏60度の臨界温度を超える前にミルクを泡立たせるようになり、ミルクと空気との混合物を混合させるための時間が足りなくなって泡立たせるための臨界閾値を超える温度にならないようにする。
【0007】
手動で処理が実行される場合において、操作者は、調整制御ノブを利用して弁の蒸気の流量に影響を加えることによってこの調整を実行する。しかしながら、ノズル内部の流量及び圧力の変化を伴うこの操作によっても、先端部品の孔から放出される蒸気の速度が変化し、混ぜ入れられて混合される空気の作用の効率が結果的に損なわれる。
【0008】
したがって、得られる泡立ちの品質は、先端部品及び先端部品の孔が寸法決めされている量に対して加熱される量がより少なくなるのに従って、理想からますます遠ざかる傾向にある。しかしながら、先端部品の孔が寸法決めされる加熱量に対して加熱される量が多くなると、許容できなくなるほどに時間がかかるようになる。
【0009】
例えば、それぞれ2mmの直径を有する4つの孔が形成された先端部品を備えていて、1リットルのミルクを約1分間で加熱して泡立てるように寸法決めされたノズルを備えたマシンにおいて、代わりにこのノズルを用いて100cm3の量のみを加熱して泡立てるのが望ましい場合、ミルクと空気とを15秒以上の時間で混合させるとともにミルクの温度が摂氏60度を超えて上昇しないようにするためには、関連する弁を制御して、4つの2mmの孔を通る蒸気の速度が、空気の移送作用及び混合作用の効率を犠牲にするほど小さな流量まで蒸気の量を減少させることが必要になり、結果として低品質の泡立作用をもたらす。
【0010】
しかしながら、示されたミルクの量のために、最適と考えられる配列体は、1.2mmと1.5mmとの間の直径を有する3つ又は4つの孔が形成された先端部品からなる構成であろう。
【0011】
前記問題を解決するために、ノズルの付与端部に嵌合されるべき付属品の形態を有する蒸気ノズル用の先端部品を備えていて、それにより、先端部品を交換すれば異なる直径を有する異なる数の孔が付与されうるコーヒーマシンを提供することが特定の技術分野において公知である。
【0012】
自動化の発展とともに、ノズルへの蒸気の流量を調節する手動弁に代わって、例えば特許文献1及び特許文献2に開示されるデバイスのように、完全に自動化された態様で加熱処理及び泡立処理を行うデバイスが開発されている。
【0013】
これら自動デバイスにおいては、手動デバイスの機能上の要件に加えて、ノズルの先端部品は、加熱処理及び泡立処理の際にミルクが到達する温度を測定するために、熱電対を受容するようにさらに寸法決めされる必要がある。
【0014】
これら先端部品の構成によって、複雑な機器の使用及び面倒な処理サイクルが必要であり、それにより、交換可能な付属品の形態を有するそれら先端部品が高価なノズル構成要素を、そして結果的には高価なコーヒーマシン構成要素を構成するようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】欧州特許第1501398号明細書
【特許文献2】欧州特許第1706905号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
したがって、本発明の目的は、従来技術に関連して直面する不利点を解消することである。このことは、コーヒーマシンの蒸気ノズル用の交換可能な先端部品構造体を提供することによってなされ、それにより、コーヒーマシンの全体のコストを増大させることなく広範な範囲の構成からなるノズルの先端部品を結果的に提供できるようにする、単純かつ安価な処理サイクル及び処理方法が得られうる。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この目的は、ノズルが導入されるジャグ内に収容される所定量のミルクを加熱して泡立てるためのコーヒーマシンの蒸気ノズルの連結手段を備えた付与端部に接続されうる交換可能な先端部品によって達成される。この先端部品は、2つの端部を有する筒状のスリーブを備えている。2つの端部のうちの第1の端部は開放されていて、ノズルの付与端部の接続手段に対応するリバーシブルの接続手段を備えており、スリーブは、長手方向の軸線(X−X)に従って延在する窪みをスリーブの内側部に形成している。それに対して、スリーブの第2の端部は同じく開放されていて、スリーブに挿入される胴部を備えており、この胴部には、窪みと、スリーブの第2の端部に対向する先端部品の外部環境とを接続する複数のチャネルが形成される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る先端部品のスリーブ部の斜視図である。
【図2】図1の先端部品の挿入部の斜視図である。
【図3】ノズルの端部に連結される図1及び図2の先端部品の長手方向の断面図であって、挿入部がスリーブ部に設置されるとともに熱電対の端部が先端部品に設置された状態を示す図である。
【図4】本発明に係る第2の実施形態の先端部品の長手方向の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
ここで、添付図面を参照して本発明をより詳細に説明する。
前記図面、特に図1、図2及び図3を参照すると、本発明に係る先端部品は、筒状のスリーブ1と、胴部2とを備えている。スリーブ1は、長手方向の軸線X−Xに従って延在していて両端部3,4において開放されている窪み1aを内側部に形成している。スリーブ1は、コーヒーマシンの蒸気を付与するためのノズル6の端部5に関連するリバーシブルの接続要素として作用する。コーヒーマシンは従来のものであるので図示されていない。
【0020】
ノズル6の端部5に接続されるように、スリーブ1にはねじ部7が形成されている。ねじ部7はスリーブ1の開放端部3に形成されていて、ノズルの端部5の外壁に形成された対応するねじ部8に係合するようになっている。
【0021】
スリーブ1の外表面におけるファセット9は、ねじ留め動作及びねじ外し動作を容易にする。
胴部2は挿入部の形態を有していて、スリーブ1の開放端部4においてスリーブ1内部に受容され、胴部2は、開放端部4において、環状の肩部10によって同一の端部4の肩部11に対して支持される。
【0022】
先端部品の作用部分、特に符号12が付された蒸気放出チャネルと、温度センサ、特に熱電対14を受容する空間部13とが胴部2に配列される。熱電対14の端部すなわちホットジョイント15は、空間部13の基部17に形成された通路16から延出している。この通路の横方向の寸法は、空間部13の基部17の横方向の寸法よりも小さい。
【0023】
チャネル12は、スリーブ1の窪み1aに向かって開放される環状窪み12aから、スリーブの第2の端部に対向する先端部品の外部環境まで延在している。図3の実施形態において、チャネル12には、筒状のスリーブ1の長手方向の軸線X−Xに対して平行な軸線が形成されるとともに、熱電対14を受容する座部13周りに円をなして形成されている。
【0024】
図3から分かるように、胴部2は、通路16が形成される部位18のみを外方に突出させた状態で、概ねスリーブ1内部に配列される。部位18は、ノズルがミルクを収容するジャグ内に挿入されるとき、ミルク加熱領域において下方を向く。
【0025】
図3を参照すると、熱電対14は、閉塞部材19と、符号20が付された環状封止部とが介在した状態で座部13において受容されるのが分かる。
環状窪み12aは、チャネル12に向けられる蒸気の温度に対して可能な限り反応しないように、熱電対14に対する断熱室として作用する。
同様に、環状封止部21は、筒状スリーブ1とノズルの端部5の外壁との間に位置決めされる。
【0026】
図1、図2及び図3の要素と同一の要素には同一の参照符号が付されている図4を参照すると、蒸気を付与するためのチャネル12がスリーブ1の軸線X−Xに対して或る角度をなして形成されていて、特に軸線X−Xから逸れているのが分かる。
チャネル12の軸線が軸線X−Xに対して形成する角度αは、80度と100度との間であるのが好ましい。
【0027】
スリーブ1とは別個の挿入部の形態を有していてスリーブ1と組立てられうる胴部2は、例えば食品適合性の観点から適切であって耐熱性を有する熱可塑性材料からスタンピングによって生産可能であり、処理動作において明らかに省力化されることが、前述の説明から認識されるであろう。胴部の好適でありながらも非限定的な実施形態において、胴部は筒状体の形態を有している。
【0028】
特にスリーブ1は、ノズル及びコーヒーマシン両方の元のデザインの形態を再形成可能であるとともに保持可能であるのが有利であり、チャネル12の数と、チャネル12の直径と、任意にスリーブ1の軸線X−Xに対するチャネル12の傾きと、に関連する機能的特徴を、スリーブ1の形態に対して悪影響を与えることなく実施可能にする利点を提供する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルが導入されるジャグ内に収容された所定量のミルクを加熱して泡立てるためのコーヒーマシンの蒸気ノズルの交換可能な先端部品であって、前記ノズルには、蒸気付与端部と、該蒸気付与端部における第1のリバーシブルの接続手段が形成されるとともに、前記ノズルは2つの端部を有する筒状のスリーブを備えており、前記2つの端部のうちの第1の端部は開放されていて、前記ノズルの前記蒸気付与手段の前記第1のリバーシブルの接続手段に対応する第2のリバーシブルの接続手段を備えており、前記スリーブは、長手方向の軸線(X−X)に従って延在する窪みを前記スリーブの内側部に形成しており、前記2つの端部のうちの第2の端部は同じく開放されていて、該第2の端部に挿入される胴部を備えており、該胴部には、前記窪みと、前記スリーブの前記第2の端部に対向する当該先端部品の外部環境とを接続する複数のチャネルが形成されるとともに、前記スリーブの前記第2の端部の領域において前記ミルクが到達する温度を検出可能な温度センサを受容する空間部が形成される、先端部品。
【請求項2】
温度センサを受容する前記空間部は、基部を有する前記筒状のスリーブの前記窪みに向かって開放されており、前記基部には、前記スリーブの前記第2の端部の外側部に向かって開放される通路が形成されており、該通路の横方向の寸法が前記空間部の前記基部の横方向の寸法よりも小さいようにされた、請求項1に記載の先端部品。
【請求項3】
前記胴部は、前記温度センサを受容する前記空間部と、外部環境とを接続する通路が形成される部位によって、前記スリーブの前記第2の端部を越えて延在する、請求項1に記載の先端部品。
【請求項4】
前記胴部の前記複数のチャネルが、前記温度センサを受容する前記空間部の周りに形成されるとともに、前記温度センサを受容する前記空間部の周りに延在する環状の窪みの基部から延在する、請求項1に記載の先端部品。
【請求項5】
前記胴部の前記複数のチャネルの各チャネルが、前記筒状のスリーブの前記窪みの長手方向の軸線(X−X)に対して平行に形成される、請求項1に記載の先端部品。
【請求項6】
前記複数のチャネルの各チャネルが、前記筒状のスリーブの前記窪みの長手方向の軸線(X−X)に対して或る角度をなして配置される、請求項1に記載の先端部品。
【請求項7】
前記複数のチャネルの各チャネルが、前記長手方向の軸線(X−X)から逸れている、請求項6に記載の先端部品。
【請求項8】
前記ノズルの前記付与端部との接続のための接続手段にねじ部が形成される、請求項1に記載の先端部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−96030(P2012−96030A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−235197(P2011−235197)
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【出願人】(506353563)グルッポ チンバリ ソチエタ ペル アツィオニ (7)
【Fターム(参考)】