説明

コーヒーメーカー

【課題】よりおいしいコーヒーをつくる。
【解決手段】コーヒーパウダーを収容する抽出チャンバーが設けられ、給水部に接続される抽出装置と、給水部の水を抽出用として抽出チャンバー内へ供給するためのポンプと、抽出の間コーヒーパウダに作用する抽出圧を調整可能とする制御/調整装置とを備えている。更に望ましくは、状況に応じて自動変更が可能な調整を行うことができる。例えば、エスプレッソ等特においしいコーヒー飲料をつくるために、第1抽出段階において比較的高い抽出圧でエスプレッソがつくられ、第2抽出段階において比較的低い抽出圧を維持することができれば効果的である。第1抽出段階の比較的高い抽出圧により、高品質なクレーマがつくられる。一方、第2抽出段階で低下した抽出圧により、芳醇なコーヒーの香りが十分放出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分に記載された給水部に接続される抽出ユニットを備えたコーヒーメーカーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
欧州特許第0427666号明細書(特許文献1)に記載されるように、給水配管に接続される抽出ユニットを備えたコーヒーメーカーが一般に知られている。上記抽出ユニットには、コーヒーパウダーを収容する抽出チャンバーが設けられている。更に、上記コーヒーメーカーには、上記給水配管内の水を抽出用として抽出チャンバーへ供給するポンプが設けられている。エスプレッソやまた一方で普通のコーヒーをつくるためには、一定条件の下、水温以外に加熱された水の単位時間あたりの流量を調整する必要がある。これらに基づき、欧州特許第0427666号明細書では、例えば、ふるいやフィルタ等の抽出装置に対して一定の運転モードを的確に定めることが提案されている。上記特許文献1の発明を実施すると、同じボイラーまたは給水装置を用いた同一のコーヒーメーカーに対し、作業者はコーヒーメーカーの運転パラメータを手動調整する必要がなく、加圧製法のエスプレッソに限らず非加圧製法のフィルターコーヒーの両方をつくることができる。
【0003】
欧州特許出願公開第0902653号明細書(特許文献2)に記載されるように、エスプレッソをつくるためにポンプの出力が制御されるコーヒーメーカーが、同様に一般に知られている。更に、上記一般的なコーヒーメーカーには、熱湯が抽出チャンバー内にあるコーヒーパウダーを通過して抽出チャンバーへ供給されるように、熱湯に作用する背圧を記録する装置または方法が設けられている。上記周知のコーヒーメーカーでは、抽出中コーヒーパウダーまたはその挽き粉により最初に発生する背圧に応じて抽出チャンバー内のコーヒーパウダーが特定され、コーヒー飲料のつくり方が決定される。そして、上記コーヒーメーカーでは、所望のコーヒー飲料をつくるための要求に対し自動調整を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許第0427666号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第0902653号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明では、従来のコーヒーメーカーに対し、更においしいコーヒーをつくることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、上記課題は独立請求項1の内容により解決される。更に有効な具体例は、従属請求項の内容である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、全般的に、飲料水用の配管または内部/外部タンク等の給水部に接続される抽出装置と、上記給水部の水を抽出用として抽出チャンバーへ供給するためのポンプとを備えたそれ自体周知のコーヒーメーカーに、制御/調整装置を備えるというアイデアに基づく。実際の抽出の間、抽出チャンバー内のコーヒーパウダーに作用する抽出圧は、制御/調整装置により変更が可能であり、更に望ましくは、状況に応じて自動変更が可能な調整を行うことができる。例えば、エスプレッソ等特においしいコーヒー飲料をつくるために、第1抽出段階において比較的高い抽出圧でエスプレッソがつくられ、第2抽出段階において比較的低い抽出圧を維持することができれば効果的である。第1抽出段階の比較的高い抽出圧により、高品質なクレーマがつくられる。一方、第2抽出段階で低下した抽出圧により、芳醇なコーヒーの香りが十分放出される。クレーマは濃厚な金茶色の泡の名称である。クレーマーは正しくつくられたエスプレッソの上に形成され、通常油やタンパク質、砂糖から成り、エスプレッソの香りの大部分を形成する。このように、本発明の制御/調整装置では、抽出中に抽出圧を変更、望ましくは、制御或いは調整を行うことにより、初めて、個々に調整された抽出圧を発生させることができる。
【0008】
本発明に従った更に有効な解決策として、制御/調整装置では、抽出中ポンプの出力が制御/調整される。ポンプは抽出チャンバーへ水を供給するため、間接的ではあるが、抽出中の抽出圧はポンプの出力の制御/調整により影響を受ける。そのため、ポンプの出力を制御/調整することで、抽出圧を容易に変化させることができる。
【0009】
一方、ポンプがいつも同じ出力で作動することも考えられる。このような場合、制御/調整装置では、抽出中バイパス弁が制御/調整され、抽出チャンバー内の抽出圧に変化を与える。当然、制御/調整装置は、抽出チャンバ内の抽出圧に直接または間接的に変化をもたらす他の機構に対して制御することも可能である。
【0010】
本発明に従った更に有効な解決策として、制御/調整装置は、制御される特性値の群である。抽出中に抽出圧を制御/調整するため、飲料に依存した特性値の群がいくつか優先的に与えられ、望ましくは、特性値の群は制御/調整装置に蓄えられる。更に望ましくは、例えば、コーヒーまたはエスプレッソ等、各飲料毎に特性値の群の調整を行うことができる。そのため、コーヒー飲料を選ぶと、抽出中における抽出チャンバー内の圧力は、所望のコーヒー飲料毎に最良の状態に調整される。特性値の群は実験により予め決定される。
【0011】
本発明に従った更に有効な解決策として、制御/調整装置に接続された流量検知装置が確認手段として備えられる。流量検知装置は抽出装置を通過する流量を検知し、制御/調整装置ではその流量に応じて抽出圧を制御/調整する。このため、例えば、抽出装置の抽出圧が大幅に上昇する間は、制御/調整装置を抽出チャンバー内の安全装置として機能させることができ、例えば、制御/調整装置では、ポンプの出力を低下することで上記抽出圧低下の対応をとることができる。その反対の場合についても当然同様に考えられる。例えば、できるだけ目詰まりを抑制するため、抽出チャンバー内の抽出圧上昇とともにポンプの出力は増加される。
【0012】
実際、制御/調整装置では、特性値の群中に蓄えられた流量曲線に従い抽出圧が制御/調整される。また、流量曲線は選ばれたコーヒー飲料毎に対応して特性値の群中に蓄えられる。そのため、例えばエスプレッソを選ぶと、特性値の群中に蓄えられたエスプレッソの流量曲線に従って、抽出チャンバ中の抽出圧の調整または制御が行われる。
【0013】
以上のように、本発明によるコーヒーメーカーは、実際の抽出の間、抽出チャンバ内の抽出圧を直接または間接的に変化させることで、各コーヒー飲料またはエスプレッソに対し、つくる上で直接影響をもたらすことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーヒーパウダーを収容する抽出チャンバーが設けられ、給水部に接続される抽出装置と、上記抽出チャンバーへ上記給水部の水を抽出用として供給するポンプとを備えたコーヒーメーカーであって、
上記コーヒーパウダーに抽出中作用する抽出圧を調整可能とする制御/調整装置を備えていることを特徴とするコーヒーメーカー。
【請求項2】
上記制御/調整装置は、抽出中に少なくとも上記ポンプを制御/調整することを特徴とする請求項1に記載のコーヒーメーカー。
【請求項3】
上記制御/調整装置は抽出中にバイパス弁を制御/調整し、および/または、上記制御/調整装置は抽出中に上記抽出チャンバーの上流側に設けられた絞り機構を制御/調整することを特徴とする請求項1または2に記載のコーヒーメーカー。
【請求項4】
上記制御/調整装置は、制御される特性値の群であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のコーヒーメーカー。
【請求項5】
上記制御/調整装置では、抽出中における抽出圧制御/調整のために、飲料に基づいた特性値の群が複数蓄えられることを特徴とする請求項4に記載のコーヒーメーカー。
【請求項6】
上記制御/調整装置は、エスプレッソをつくるために、ある抽出段階の抽出圧を他の抽出段階よりも高く維持することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のコーヒーメーカー。
【請求項7】
上記制御/調整装置に接続されたセンサーを確認手段として少なくとも1つ備え、上記センサーでは抽出に関するパラメータが少なくとも1つ検知され、上記パラメータは望ましくは流量であり、上記制御/調整装置では少なくとも上記パラメータにより抽出圧を制御/調整することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のコーヒーメーカー。
【請求項8】
上記制御/調整装置に接続された流量検知装置を確認手段として備え、上記流量検知装置では上記抽出装置を通過する流量が検知され、上記制御/調整装置では上記流量により抽出圧を制御/調整することを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のコーヒーメーカー。
【請求項9】
上記制御/調整装置は特性値の群内に記憶された流量曲線により抽出圧を制御/調整することを特徴とする請求項8に記載のコーヒーメーカー。

【公開番号】特開2010−214113(P2010−214113A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−56138(P2010−56138)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(502241800)ヴェーエムエフ ヴュルテンベルギッシェ メタルヴァーレンファブリーク アクチエンゲゼルシャフト (18)
【氏名又は名称原語表記】WMF Wuerttembergische Metallwarenfabrik AG
【住所又は居所原語表記】Eberhardstrasse, 73309 Geislingen/Steige, Die Bundesrepublik Deutschland
【Fターム(参考)】