説明

コールドパーマの施術方法及びその器具

【課題】頭髪量を豊かに見せる。
【解決手段】頭髪HAを髪巻付軸1に巻付け、コールドパーマの還元剤からなる第一薬剤にて処理した後、コールドパーマの酸化剤からなる第二薬剤にて処理することにより、頭髪HAにパーマネントウェーブを形成するコールドパーマの施術方法であり、頭髪HAを髪巻付軸1に巻付ける際、毛流の分け目において、一束の頭髪HAの根元にして頭部HE上に髪巻付軸1を起立状態にて配置し、かかる髪巻付軸1の下端に前記一束の頭髪HAの根元側を固定し、かかる頭髪HAを根元側から順次先端側へと螺旋状に髪巻付軸1に巻付け、巻付けた頭髪HAの先端側を髪巻付軸1の上端側に固定することによって、頭髪HAを根元から立ち上げさせ、毛流の分け目を幾分覆い隠すと共に、頭髪HAに量感を醸し出させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄毛であっても頭髪量を豊かに見せるコールドパーマの施術方法及びその器具に関する。
【背景技術】
【0002】
頭髪は、年齢を重ねるにつれ、本数が減少し、また細くなり、この現象は、加齢に伴う代謝機能の低下が主な原因と考えられ、頭頂部や旋毛の付近でより顕著に生じる。
そこで、頭髪の薄い部分を隠すために、部分カツラを利用したり、コールドパーマにより頭髪にパーマネントウェーブを施し、頭髪量を豊かに見せることが行われていた。
【0003】
ところが、部分カツラは、その装着感が従前より随分改善されているとは云え、夏季には発汗により蒸れて不快感を伴い、またコールドパーマによる対策にも問題があった。
即ち、コールドパーマは、頭髪を髪巻付軸に巻付け、かかる頭髪に還元剤からなる第一薬剤を塗布し、頭髪を構成する蛋白質の結合の一部を切断すると共に、蛋白質構造に位置ずれを生じさせ、第一薬剤を洗い流した後、酸化剤から成る第二薬剤を塗布し、蛋白質を再結合させ、第二薬剤を洗い流して仕上げるのだが、例えば、下記特許文献の各図に示される様に、頭髪は毛先の方から根元側へと巻付けられ、また頭髪は髪巻付軸の軸線と直交させ、髪巻付軸の中央に積層され、髪巻付後の髪巻付軸は、頭部上に横臥状態にて配置され、頭髪の根元近くでは巻きが太くなることから、頭皮間際までは頭髪を巻付けることが出来ず、そのため毛流の分かれ目付近では、ウゥーブが弱く、頭髪を立ち上がらせることが出来ないため、むしろ毛流の分け目が目立っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−14648号公報(図1及び図4)
【特許文献2】特許第2833958号公報(図1のB、図2及び図4のB)
【特許文献3】特許第3159967号公報(図6〜図9)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に薄毛の人は、頭髪が寝ているため、髪型や旋毛による毛流の分け目が目立ち、この様子が薄毛を一層強く印象付けているが、本発明は、コールドパーマにより、毛流の分け目において、頭髪を立ち上げ、毛流の分け目を目立たなくすると共に、頭髪量を豊かに見せる様にしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、頭髪を髪巻付軸に巻付け、コールドパーマの還元剤からなる第一薬剤にて処理した後、コールドパーマの酸化剤からなる第二薬剤にて処理することにより、頭髪にパーマネントウェーブを形成するコールドパーマの施術方法であり、頭髪を髪巻付軸に巻付ける際、毛流の分け目において、一束の頭髪の根元にして頭部上に髪巻付軸を起立状態にて配置し、かかる髪巻付軸の下端に前記一束の頭髪の根元側を固定し、かかる頭髪を根元側から順次先端側へと螺旋状に髪巻付軸に巻付け、巻付けた頭髪の先端側を髪巻付軸の上端側に固定することによって、頭髪を根元から立ち上げさせ、毛流の分け目を幾分覆い隠すと共に、頭髪に量感を醸し出させる様にして、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
従前のコールドパーマの施術方法では、髪巻付軸に巻回された頭髪の下層側は毛先であり、頭髪の根元側は上層側に下層側より緩やかな湾曲状態にて巻付けられているが、これに対し、本発明では、髪巻付軸を頭部上に起立状態にて配置するため、頭髪の頭皮間際に髪巻付軸下端を近づけ、頭髪の根元側を髪巻付軸に直接(又はペーパーを介して)巻付けられ、頭髪の根元側を小さく巻いて、曲率の大きなパーマネントウェーブを形成することが出来る。
又、髪巻付軸の下端に一束の頭髪の根元側を固定し、かかる頭髪を根元側から順次先端側へと螺旋状に髪巻付軸に巻付け、巻付けた頭髪の先端側を髪巻付軸の上端側に固定する様にしたので、螺旋の緻密度、巻数を加減することで、得られるパーマネントウェーブの曲率を調整でき、例えば、髪巻付軸の径を小さく細いものにし、根元側でほぼ水平に巻いて、先端側では、傾斜の大きい螺旋状に巻けば、頭髪の根元側を立ち上げ、先端側には緩やかなパーマネントウェーブを形成することが出来る。
従って、頭髪は、根元側が立ち上げられ、毛流の分け目が幾分覆い隠され、また先端側では緩やかに湾曲していることから、全体として、頭髪量が豊かに見える。
【0008】
髪巻付軸の下端に鉤状に櫛歯を設けたので、一束の頭髪の根元に櫛歯を差し込むだけで、容易に頭部上に髪巻付軸を起立状態にて配置でき、また髪巻付軸の下端に頭髪の根元側を迅速に固定することが出来、本発明の方法を実施するのにとても有用である。
【0009】
髪巻付軸に巻付けた頭髪の先端側を髪巻付軸に固定する髪固定手段を備えたので、本発明の方法を効率良く実施することができ、また髪固定手段は、髪巻付軸を頭髪ごと挟持し、バネ付勢により、頭髪を髪巻付軸に押圧するクランプとしたので、より簡便に実施することが出来る。
【0010】
極短いショートカットの髪型であっても、髪固定手段として、髪巻付軸に微小突起を群設し、該微小突起群に頭髪を絡み付かせて保持させる様にしたので、頭髪を髪巻付軸に一周させなくても、簡単に固定することが出来る等その実用的効果甚だ大である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係るコールドパーマの施術器具を示す正面図である。
【図2】図1の施術器具の平面図である。
【図3】図1の施術器具の使用状態図であり、(a)は髪固定手段の未装着状態、 (b)は髪固定手段を装着した状態である。
【図4】施術器具の他例を示す正面図である。
【図5】図4の施術器具の平面図である。
【図6】図4の施術器具の使用状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のコールドパーマの施術器具は、図1及び2に示す様に、髪巻付軸1の下端に鉤状に櫛歯2を設けている。
又、髪巻付軸1の上端に、該髪巻付軸1に巻付けた頭髪の先端側を固定する髪固定手段3として、髪巻付軸1を頭髪ごと挟持し、バネ付勢により、頭髪を髪巻付軸1に押圧するクランプを備えている。
【0013】
図1及び2では、円柱形状の髪巻付軸1を例示したが、髪巻付軸1の形状は円柱形状に限定されるものではなく、例えば、五角柱形状、六角柱形状等の多角形柱形状でも良く、また筒状であっても良く、径の大小も問わない。
つまり、頭髪を巻回可能であれば良く、所望のパーマネントウェーブの形状を考慮し、適宜選択すれば良い。
【0014】
髪固定手段3は、上記クランプ3の他、図4〜6に示す様に、髪巻付軸1に微小突起4、4a…を群設し、該微小突起4、4a…群に頭髪HAを絡み付かせて保持させる様にしても良く、図示例のものは、微小突起4、4a…として湾曲起毛4、4a…を多数本植設したシート体5を髪巻付軸1に巻着しており、また図示しないが、例えば、先端に傘部を有する茸形の微小突起4、4a…としても良く、つまり微小突起4、4a…を数多く設けることにより、微小突起4、4a…に頭髪HAが絡み付いて、保持されるものであれば良い。
【0015】
次に本発明の方法について説明する。
先ず、図3(a)に示す様に、髪型や旋毛による頭髪HAの分け目において、適宜量の頭髪HAを一束分け取り、かかる頭髪HAの根元に上記施術器具の櫛歯2を差し込んで固定し、頭部HE上に髪巻付軸1を起立状態にて配置する。
次に、髪巻付軸1の下端に前記一束の頭髪HAの根元側を巻付けて固定し、かかる頭髪HAを根元側から順次先端側へと螺旋状に髪巻付軸1に巻付け、図3(b)に示す様に、頭髪HAの先端側をクランプ3にて髪巻付軸1の上端側に挟み付けて固定する。
【0016】
又、図6に示す様に、微小突起4、4a…群を髪固定手段3とした施術器具を用いる場合は、微小突起4、4a…に頭髪HAを絡み付かせるだけで良い。
尚、図示しないが、髪巻付軸1と頭髪HAの間に後説の第一薬剤及び第二薬剤の吸収保持用のペーパーを巻き込む様にしても良い。
【0017】
次に、髪巻付軸1に固定した頭髪HAにコールドパーマの還元剤からなる第一薬剤を塗布し、これを洗い流した後、酸化剤から成る第二薬剤を塗布し、適宜時間の経過後、巻付けた頭髪HAをほぐし、施術器具を取り外し、第二薬剤を洗い流して仕上げる。
【0018】
以上の通り、本発明によれば、頭髪HAの根元にして頭皮間際にパーマネントウェーブを形成し、頭髪HAを立ち上げさせることが可能である。
【符号の説明】
【0019】
1 髪巻付軸
2 櫛歯
3 髪固定手段
4、4a… 微小突起
5 シート体
HA 頭髪
HE 頭部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭髪を髪巻付軸に巻付け、コールドパーマの還元剤からなる第一薬剤にて処理した後、コールドパーマの酸化剤からなる第二薬剤にて処理することにより、頭髪にパーマネントウェーブを形成するコールドパーマの施術方法であり、頭髪を髪巻付軸に巻付ける際、毛流の分け目において、一束の頭髪の根元にして頭部上に髪巻付軸を起立状態にて配置し、かかる髪巻付軸の下端に前記一束の頭髪の根元側を固定し、かかる頭髪を根元側から順次先端側へと螺旋状に髪巻付軸に巻付け、巻付けた頭髪の先端側を髪巻付軸の上端側に固定する様にしたことを特徴とするコールドパーマの施術方法。
【請求項2】
髪巻付軸の下端に鉤状に櫛歯を設けたことを特徴とするコールドパーマの施術器具。
【請求項3】
髪巻付軸に巻付けた頭髪の先端側を髪巻付軸に固定する髪固定手段を備えたことを特徴とする請求項2記載のコールドパーマの施術器具。
【請求項4】
髪固定手段は、髪巻付軸を頭髪ごと挟持し、バネ付勢により、頭髪を髪巻付軸に押圧するクランプとしたことを特徴とする請求項3記載のコールドパーマの施術器具。
【請求項5】
髪固定手段として、髪巻付軸に微小突起を群設し、該微小突起群に頭髪を絡み付かせて保持させる様にしたことを特徴とする請求項3記載のコールドパーマの施術器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−67607(P2011−67607A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−163522(P2010−163522)
【出願日】平成22年7月21日(2010.7.21)
【出願人】(309031156)
【出願人】(506266920)
【出願人】(509242336)
【出願人】(509242347)
【Fターム(参考)】