説明

ゴマ及び/またはゴマ香料含有液状食品

【課題】 ゴマ及び/またはゴマ香料を含有する液状食品において、脂質量や熱量をさほど上げることなくゴマ様の外観、食感およびゴマ香気を付与することを課題とする。また、ゴマ使用量を抑制した液状食品であるにも関わらずゴマの外観や食感、香気の満足のいく食品を提供することを課題とする。
【解決手段】 ゴマ及び/またはゴマ香料と、穎果の果皮を含有することを特徴とする液状食品、;前記穎果の果皮が小麦ふすまである液状食品、;前記穎果の果皮が1mmメッシュパス、0.5mmメッシュオンの大きさのものであり、前記穎果の果皮を0.5質量%以上10質量%以下の割合で含有する液状食品、;前記穎果の果皮が焙煎されたものである液状食品、;;前記穎果の果皮が小麦ふすま及び/または米糠である液状食品、;前記液状食品が、脂質含有量が3質量%未満であるかまたは100g当たりの熱量が40kcal以下の液状調味料、;を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴマ及び/またはゴマ香料を含有する液状食品に関する。詳しくは、ゴマ使用量が少ないにも関わらず、ゴマの外観や食感、香気の満足のいく、ゴマ及び/またはゴマ香料を含有する液状食品(特には調味料)に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴマは、その香味のよさやリグナン類の健康成分を含有することから、サラダや和え物、煮物など、さまざまな料理に広く使用されており、ゴマを使った「ドレッシング」「たれ」などの液状調味料も広く流通している。
近年は健康志向の高まりから、ノンオイルや低カロリーを謳う液状調味料が増えているが、これらの調味料では法規上の制約から使用できるゴマの量が限られる。ゴマの使用量を減少すると、ゴマの香気や風味が減少するだけでなく、ゴマの外観から得られる具材感や口に含んだときに感じる食感が不足してしまうという問題があった。
【0003】
ゴマの香気を高める方法として、種々の方法が提案されている。例えば、焙煎ゴマを水蒸気蒸留して得られる留出液を、中鎖脂肪酸トリグリセライドで抽出したフレーバーおよびそのフレーバーを含有した酸性調味料が提案されている(特許文献1、2参照)。しかし、これらの方法によれば、長期に渡って安定したゴマの香気は付与できるものの、その香りは自然なゴマの香りとはやや異なっており、満足のいくものではなかった。
また、2−プロピオニルチアゾールや2−アセチルピリジンを含有させることで胡麻風味を維持する方法も提案されている(特許文献3、4参照)。これらの方法では、2−プロピオニルチアゾールや2−アセチルピリジン自体にゴマの香りがあるわけではないため、ゴマの香りを十分に付与するものではなく、満足のいくゴマの香りを付与するためには、ゴマを多く添加したり、別に香料を添加する必要があった。
この他、ゴマの粉砕物と脱脂卵黄の酸加水分解物、あるいは酸分解および酵素分解を併用した分解物と、平均分子量300〜5000の卵白酵素分解物とを含有させることで、長期保存においてもゴマ風味を維持させる方法が提案されているが(特許文献5を参照)、満足なゴマの香りを付与するには至らなかった。
【0004】
従って、これらの従来のいずれの方法によっても、ゴマの「香り」を満足に付与することができず、また、ゴマ様の「外観」や「食感」を付与することはできないものであった。なお、従来、食品にゴマ様の外観や食感を付与する技術は提案されていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−112432号公報
【特許文献2】特開2001−95525号公報
【特許文献3】特開2008−154474号公報
【特許文献4】特開2008−154475号公報
【特許文献5】特開2008−154486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、ゴマ及び/またはゴマ香料を含有する液状食品において、脂質量や熱量をさほど上げることなくゴマ様の外観、食感およびゴマ香気を付与することにある。そして、それによって、ゴマ使用量を抑制した液状食品であるにも関わらずゴマの外観や食感、香気の満足のいく食品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は上記課題を解決するにあたり鋭意検討をした結果、小麦ふすまに代表される穎果の果皮をゴマ代替物として液状食品に含有することで、ゴマ様の外観や食感を付与することができ、さらには、ゴマの香気を向上する効果もあることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、請求項1に係る本発明は、ゴマ及び/またはゴマ香料と、穎果の果皮を含有することを特徴とする液状食品に関する。
請求項2に係る本発明は、前記穎果の果皮が小麦ふすま及び/または米糠である、請求項1の液状食品に関する。
請求項3に係る本発明は、前記穎果の果皮が1mmメッシュパス、0.5mmメッシュオンの大きさのものであり、前記液状食品が前記穎果の果皮を0.5質量%以上10質量%以下の割合で含有するものである、請求項1または2に記載の液状食品に関する。
請求項4に係る本発明は、前記液状食品が、0.5mmメッシュオン以上の粒状または欠片状のゴマを0.5質量%以上10質量%以下の割合で含有するものである、請求項1〜3に記載の液状食品に関する。
請求項5に係る本発明は、前記液状食品が、ゴマの香気を感じる閾値以上の量のゴマ香料を含有するものである、請求項1〜3に記載の液状食品に関する。
請求項6に係る本発明は、前記穎果の果皮が焙煎されたものである、請求項1〜5に記載の液状食品に関する。
請求項7に係る本発明は、前記液状食品が、脂質含有量が3質量%未満であるかまたは100g当たりの熱量が40kcal以下の液状調味料である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の液状食品に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ゴマ及び/またはゴマ香料を含有する液状食品において、脂質量や熱量をさほど上げることなくゴマ様の外観、食感およびゴマ香気を付与することができる。それにより、本発明によれば、ゴマ使用量が少ないにも関わらず、ゴマの外観や食感、香気の満足のいく食品を提供することができる。
特に、ドレッシングやたれなどの調味料においては、ノンオイルや低オイルであるにも関わらず、ゴマを多く含む調味料と同じようにゴマの外観や食感、香気の満足のいく液状調味料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、ゴマ使用量が少ない(脂質量や熱量が多くない)にも関わらず、ゴマの外観や食感、香気の満足のいく、ゴマ及び/またはゴマ香料を含有する液状食品(特には調味料)に関する。
【0011】
〔液状食品について〕
本発明の液状食品は、ゴマ及び/またはゴマ香料を含むものであればよくドレッシング、たれ、麺つゆなどの調味料や、スープ、シチューなどが挙げられる。
調味料としては、特に、脂質が3質量%未満(好ましくは0.5質量%未満)の液状調味料に好適に用いることができる。この調味料は、ノンオイルまたは低オイル調味料であり、ゴマを使用しようとすると使用量が大幅に制限されるので、本発明を用いる必要性が高いからである。同様の理由から、100g当たりの熱量が40kcal以下の液状調味料の場合にも本発明を好適に用いることができる。
なお、「脂質3質量%未満」であることは、健康増進法上、ドレッシングタイプ調味料において「低オイル」を謳うことが当分の間許されている。また、「100g当たりの熱量が40kcal以下」であることは、健康増進法上、カロリーが低い旨を謳うことが許されている。
【0012】
〔ゴマおよびゴマ香料について〕
本発明の液状食品には、ゴマそのものか、またはゴマ香料が用いられているものであればよい。もちろん、両方が用いられているものであっても構わない。
本発明は、ゴマ風味を‘増強’する技術である。そのため、もとよりゴマの風味がない場合、つまりゴマもゴマ香料も使われていない場合には本発明だけでは満足のいくゴマ風味を付与することはできないからである。
【0013】
本発明においては、特には、ゴマ香料単独で用いるよりも、ゴマを含む方が好ましい。ゴマの風味が強く感じられるからである。
また、本発明は、ゴマの外観や食感を‘増強’する技術でもある。穎果の果皮だけでは十分には満足のいくゴマ様の外観や食感は得られず、ゴマそのものの食感と外観を残しておいた方が穎果の果皮による効果が断然に得られやすいからである。
【0014】
本発明の液状調味料に含まれるゴマも特に制限はなく、粒ゴマ・擂りゴマ・練りゴマや皮付きゴマ・皮剥きゴマ、白ゴマ・金ゴマ・黒ゴマなどを用いることができる。なお、練りゴマであってもよいが、粒状または欠片状のゴマの形状が残っているものが好ましく、特に擂りゴマが好ましい。
その大きさとしては、0.5mmメッシュオン以上のものが好ましい。本来のゴマの風味、外観及び食感を感じやすくなり、本発明の効果を感じやすくするためである。
また、ゴマの大きさは1mm以下が好ましい。これより大きいゴマであると、穎果の果皮との違いが明確となりやすく、穎果の果皮によるゴマ感が感じる効果が低減するからである。
ここで、ゴマの大きさは、乾燥状態にてメッシュを通して分類したものである。なお、一旦膨潤したとしても、乾燥状態にして同様に大きさを分類することが可能である。
【0015】
そして、液状食品当たり0.5質量%以上10質量%以下、さらには5質量%以下の割合で含むことが好ましい。0.5質量%以上含有することで、本来のゴマの風味、外観及び食感を感じやすくなり、本発明の効果を感じやすくするためである。
一方、5質量%より多く含有すると、脂質を3質量%未満に抑えることが難しくなり、ノンカロリーや低カロリーの食品にしにくいためである。また、穎果の果皮を用いなくとも十分にゴマの風味と外観、食感を感じることができるためである。
【0016】
また、液状食品に含まれるゴマ香料としては、食品にゴマの香り付与するものであればよい。例えば、ゴマ油を用いたり、ゴマそのものやゴマ油から各種の抽出法によって得た抽出物を用いたり、さらには各種の化学物質を用いたりすることによって製造することができる。ゴマ香料は力価がさまざまであるため使用量は一概には特定しがたいが、液状食品において‘ゴマの香気を感じる閾値以上の量’が含まれていれば十分である。
使用量としては、例えば、0.05〜0.5質量%、好ましくは0.1〜0.2質量%の量で用いるとよい。
【0017】
〔穎果の果皮について〕
穎果とは、イネ科植物に見られる果実を指す。本発明における「穎果の果皮」としては、例えば、小麦ふすま、米糠、麦糠などを用いることができる。また、これらの各種果皮を、混合して用いてもよい。
これらのうち、好ましくは、小麦ふすまや米糠(特には小麦ふすま)が、原料が入手しやすいという面においても、ゴマ様の外観、食感、香気を付与する効果が高いという面においても、最も好ましい。
穎果の果皮の大きさは0.5mmメッシュオン、1mmメッシュパスの大きさであることが好ましい。これより小さいと見た目食感ともに目立たなくなり、ゴマ様の外観、食感を感じ難い。またこれより大きいと、ゴマ様の外観、食感を感じ難いためである。
ここで、穎果の果皮の大きさは、乾燥状態にてメッシュを通して分類したものである。なお、一旦膨潤したとしても、乾燥状態にして同様に大きさを分類することが可能である。
【0018】
本発明においては、この穎果の果皮を、液状食品当たり、0.05質量%以上10質量%以下の割合で含むことが好ましい。これより少ないと、ゴマ様の外観、食感、香気を感じ難い。一方、これより多いと、穎果の果皮の持つ特有の臭いが際立ってきてしまい、ゴマ風味を却って阻害して好ましくないからである。
また、本発明においては、穎果の果皮は、炒ったもの(焙煎したもの)が好ましい。穎果の果皮の持つ特有の臭が低減するため、液状食品に穎果の果皮の臭いが付与されにくくなり、さらに焙煎による香ばしい香りが付与できるためである。
【0019】
なお、本発明におけるゴマ及び穎果の果皮の大きさ及び含有量は、乾燥状態での大きさを指しており、また乾燥質量による含有量を指している。液状食品に含有することで膨潤するが、本発明においてはこの状態の大きさや質量を指すのではなく、製造段階でゴマ及び穎果の果皮を添加する際の大きさや質量であり、または液状食品内で膨潤したゴマ及び穎果の果皮を乾燥させた状態での大きさや質量である。
【実施例】
【0020】
本発明を実施例により詳細に説明する。なお、本発明は実施例に限定されるものではない。
<実施例1>小麦ふすまのあり/なしによる調味料(たれ)の品質への影響
(1)調味料の製造
表1に示す原料を混合し、90℃10分間加熱したものをガラス容器へ充填し、その後常温まで水冷することによって調味料1〜3(小麦ふすま添加/非添加のゴマ風味たれ)を製造した。
ここで、焙煎小麦ふすまは、1mmメッシュパス、0.5mmメッシュオンのものを使用した。また、調味料1には‘非焙煎の小麦ふすま’を、調味料2には‘焙煎した小麦ふすま’(フライパンと家庭用のガスコンロを用いて行い、香ばしい香りが十分に出てくるまで空煎りしたもの)を用いて調味料を製造した。
なお、擂りゴマは、1mmメッシュパス、0.5mmメッシュオン品を使用した。
【0021】
【表1】

【0022】
(2)官能評価と考察
官能検査員によって「ゴマの香り」、「食感」、「外観」について3段階評価を行なった。官能評価の各項目の評価は、満足のいくものを「○」、許容範囲のものを「△」、満足でないものを「×」で示した。なお、本発明においては、全項目が△以上であれば、製品として用いるのに十分であると判断できる。結果を表2に示す。
その結果、調味料3(小麦ふすま非添加)はゴマとしての香り、食感、外観が乏しいものであった。
それに対して、調味料1、2(小麦ふすま添加)はゴマの香りがしっかりと感じられ、またゴマ様の食感も外観も十分に感じられ、満足のいくものであった。特に、調味料2(焙煎小麦ふすま添加)はゴマの香りをより強く感じた。
以上より、小麦ふすまを加えることで、ゴマの香り、食感、外観が増強できることが確認できた。また、焙煎小麦ふすまを用いると香りの面でより好ましいこともわかった。
【0023】
【表2】

【0024】
<実施例2>焙煎小麦ふすまの配合量の違いによる品質への影響
(1)調味料の製造
調味料の配合を表3のようにする他は実施例1と同様にして調味料4〜7(焙煎小麦ふすまの配合量が異なるゴマ風味たれ)を製造した。なお、焙煎小麦ふすまは、1mmメッシュパス、0.5mmメッシュオン品を使用した。
【0025】
【表3】

【0026】
(2)官能能評価と考察
官能検査員によって「ゴマの香り」、「食感」、「外観」について実施例1と同様にして官能評価を行なった。結果を表4に示す。
その結果、調味料4(小麦ふすま0.02質量%配合)は、ゴマとしての香り、食感、外観が若干物足りないものであった。
調味料5(小麦ふすま0.5質量%配合)は、ゴマの香りがしっかりと感じられ、またゴマ様の食感も外観も十分に感じられ、満足のいくものであった。
調味料6(小麦ふすま10質量%配合)は小麦ふすまの風味が若干感じられるが許容できる範囲であり、ゴマの香りはしっかりと感じられ、またゴマ様の食感も外観も十分に感じられ、満足のいくものであった。
調味料7(小麦ふすま15質量%配合)はゴマ様の食感、外観は十分に感じられるものであったが、小麦ふすまの風味が強く出ていた。
以上より、小麦ふすまの量としては、0.50〜10質量%程度が好ましいことがわかった。
【0027】
【表4】

【0028】
<実施例3>焙煎小麦ふすまの大きさの違いによる品質への影響
(1)調味料の製造
小麦ふすまの大きさを表5のようにした以外は調味料5と同様の配合(焙煎小麦ふすま0.5質量%配合)にて調味料8〜10(配合した焙煎小麦ふすまの大きさが異なるゴマ風味たれ)を製造した。
【0029】
【表5】

【0030】
(2)官能能評価と考察
官能検査員によって「ゴマの香り」、「食感」、「外観」について実施例1と同様にして官能評価を行なった。結果を表6に示す。
その結果、調味料8(0.5mmメッシュパスの小麦ふすま配合)は、香りは好ましかったものの、外観、食感において若干の物足りなさを感じた。
調味料9(0.5mmメッシュパス1mmメッシュオンの小麦ふすま配合)は、ゴマの香りがしっかりと感じられ、またゴマ様の食感も外観も十分に感じられ、満足のいくものであった。
調味料10(1mmメッシュオンの小麦ふすま配合)は、外観においてゴマより目立って見えてしまい、さらに口に含むと小麦ふすまの食感、風味を強く感じた。
以上より、1mmメッシュパス、0.5mmメッシュオンの小麦ふすまが最も好ましいことがわかった。
【0031】
【表6】

【0032】
<実施例4>ゴマの配合量の違いによる品質への影響
(1)調味料の製造
調味料の配合を表7のようにする他は実施例1と同様にして調味料11〜14(ゴマ及びゴマ香料の配合量が異なるゴマ風味たれ)を製造した。なお、擂りゴマは、1mmメッシュパス、0.5mmメッシュオン品を使用した。また、焙煎小麦ふすまは、1mmメッシュパス、0.5mmメッシュオン品を使用して0.5質量%配合した。
【0033】
【表7】

【0034】
(2)官能評価と考察
官能検査員によって「ゴマの香り」、「食感」、「外観」について実施例1と同様にして官能評価を行なった。結果を表8に示す。
その結果、調味料11(擂りゴマ、ゴマ香料未配合)は、ゴマもゴマ香料も含まれていないため、小麦ふすまを用いたとしても、ゴマの香りを感じることはできなかった。
調味料12(擂りゴマ0.5質量%配合)はゴマの使用量は少ないが、小麦ふすまの効果により、ゴマの香りを十分に感じることができた。
調味料13(擂りゴマ10質量%配合)はもともとのゴマの使用量が多いこともあいまって、ゴマの香りを十分に感じることができた。
調味料14(ゴマ香料0.1質量%配合)はゴマを用いていないが、ゴマ香料を用いているため、ゴマの香味を感じ、さらに小麦ふすまを用いていることで、ゴマの香りだけでなく、ゴマ様の食感も外観も感じられ、満足のいくものであった。
以上より、小麦ふすまによるゴマの香り、食感、外観の効果を満足させるには、ゴマ及び/又はゴマ香料を用いることが必須であり、ゴマを0.5質量%以上用いるか、またはゴマ香料をゴマ香味が感じることができる閾値以上の量で用いることが好ましいことがわかった。
【0035】
【表8】

【0036】
<実施例5>ゴマの大きさの違いによる品質への影響
(1)調味料の製造
ゴマの大きさを表9のようにした以外は調味料12と同様の配合(擂りゴマ10質量%配合)にて調味料15〜17(配合したゴマの大きさが異なるゴマ風味たれ)を製造した。また、焙煎小麦ふすまは、1mmメッシュパス、0.5mmメッシュオン品を使用して0.5質量%配合した。
【0037】
【表9】

【0038】
(2)官能能評価と考察
官能検査員によって「ゴマの香り」、「食感」、「外観」について実施例1と同様にして官能評価を行なった。結果を表10に示す。
その結果、調味料15(0.5mmメッシュパスのゴマ配合)は、ゴマの香りは好ましかったが、用いたゴマが小さいため、許容範囲ではあるものの外観・食感において若干の物足りなさを感じた。
調味料16(0.5mmメッシュパス1mmメッシュオンのゴマ配合)は、ゴマの香りだけでなく、外観、食感においても十分に満足のいくものであった。
調味料17(1mmメッシュオンのゴマ配合)は、ゴマの香り、外観、食感において満足のいくものであったが、若干ゴマと小麦ふすまの大きさの違いを感じた。
以上より、小麦ふすまとともに用いるゴマの大きさは、いずれの大きさでもその効果を実感できるものの、0.5mmメッシュオン以上のものが好ましく、さらには、1mmメッシュパス、0.5mmメッシュオンのものがもっとも好ましいことがわかった。
【0039】
【表10】

【0040】
<実施例6>小麦ふすま以外の穎果の果皮(米糠)による効果確認
(1)調味料の製造
調味料の配合を表11のようにする他は実施例1と同様にして調味料18〜19(米糠添加/非添加のゴマ風味たれ)を製造した。ここで、調味料18に用いた米糠は焙煎したものであり、焙煎小麦ふすまと同様にして焙煎した。なお、焙煎米糠は、1mmメッシュパス、0.5mmメッシュオン品を使用した。
【0041】
【表11】

【0042】
(2)官能評価と考察
官能検査員によって「ゴマの香り」、「食感」、「外観」について実施例1と同様にして官能評価を行なった。結果を表12に示す。
その結果、調味料19(米糠を非添加)はゴマとしての香り、食感、外観が乏しいものであった。
それに対して、調味料18(米糠添加)はゴマの香りがしっかりと感じられ、またゴマ様の食感も外観も十分に感じられ、満足のいくものであった。
以上より、小麦ふすまと同じ穎果の果皮である米糠でも、ゴマの香り、食感、外観が増強できることが確認できた。
【0043】
【表12】

【0044】
<実施例7>別処方の調味料(麺つゆ)での試験
(1)調味料の製造
調味料の配合を表13のようにする他は実施例1と同様にして調味料21〜22(小麦ふすま添加/非添加のゴマ風味麺つゆ)を製造した。なお、焙煎小麦ふすまは、1mmメッシュパス、0.5mmメッシュオン品を使用して0.5質量%配合した。
【0045】
【表13】

【0046】
(2)官能評価と考察
官能検査員によって「ゴマの香り」、「食感」、「外観」について実施例1と同様にして官能評価を行なった。結果を表14に示す。
その結果、調味料22(小麦ふすま非添加)はゴマとしての香り、食感、外観が乏しいものであった。
それに対して、調味料21(小麦ふすま添加)はゴマの香りがしっかりと感じられ、またゴマ様の食感も外観も十分に感じられ、満足のいくものであった。
以上より、麺つゆにおいても、小麦ふすまによって、ゴマの香り、食感、外観が増強できることが確認できた。
【0047】
【表14】

【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明によれば、ノンオイルや低オイルであるにも関わらず、ゴマを多く含む調味料と同じようにゴマの外観や食感、香気の満足のいく液状食品(特に液状調味料であるドレッシングやたれ)を提供することができ、食品分野への応用が期待される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴマ及び/またはゴマ香料と、穎果の果皮を含有することを特徴とする液状食品。
【請求項2】
前記穎果の果皮が小麦ふすま及び/または米糠である、請求項1の液状食品。
【請求項3】
前記穎果の果皮が1mmメッシュパス、0.5mmメッシュオンの大きさのものであり、前記液状食品が前記穎果の果皮を0.5質量%以上10質量%以下の割合で含有するものである、請求項1または2に記載の液状食品。
【請求項4】
前記液状食品が、0.5mmメッシュオン以上の粒状または欠片状のゴマを0.5質量%以上10質量%以下の割合で含有するものである、請求項1〜3に記載の液状食品。
【請求項5】
前記液状食品が、ゴマの香気を感じる閾値以上の量のゴマ香料を含有するものである、請求項1〜3に記載の液状食品。
【請求項6】
前記穎果の果皮が焙煎されたものである、請求項1〜5に記載の液状食品。
【請求項7】
前記液状食品が、脂質含有量が3質量%未満であるかまたは100g当たりの熱量が40kcal以下の液状調味料である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の液状食品。

【公開番号】特開2011−109949(P2011−109949A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−268269(P2009−268269)
【出願日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(398065531)株式会社ミツカングループ本社 (157)
【出願人】(301058355)株式会社ミツカン (32)
【Fターム(参考)】