説明

ゴミ袋の保持具

【課題】シンク周りの状態に応じて適切な取付箇所を選択することができ、どのような状態で取り付けた場合であっても、ゴミ袋とシンク底面が接触することがない、ゴミ袋の保持具を提供する。
【解決手段】取付本体部10の孔部16に第2接続部33を着脱自在に嵌め込んだ状態で、吸盤11により、シンク壁面109に吸着させる。使用時、枠体20には図示していないゴミ袋が取り付けられる。このように保持具1を使用した場合でも、枠体20を高い位置に維持できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、台所のシンク等に取り付けて使用するためのゴミ袋の保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
台所用の生ゴミ用の容器としては、従来から、いわゆる三角コーナーと称されているプラスチック製や金属製のものの中にゴミ袋を取り付けたものが汎用されている。しかし、このような三角コーナーは、それ自体が汚れたり、ぬめりを生じたりすることから、見た目や衛生上の観点から、好ましいものではない。
【0003】
三角コーナーに代わるものとして、特許文献1には、袋支持枠とくびれ部を有する袋を組み合わせたゴミ、物品等の投入容器が開示されており、同様の技術が特許文献2にも開示されている。この投入容器は、袋支持枠を流し台上に固定して使用し、ゴミを投入した袋がシンク内に位置するように取り付け、前記袋のみを取り外して廃棄するものであるため、三角コーナーを用いた場合の外観上や衛生上の問題が解決されている点で優れている。このような投入容器は、本願出願人より、「三角コーナーいらず」の商品名で市販されており、改良発明も出願済みである(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平5−20321号公報
【特許文献2】特開平9−2602号公報
【特許文献3】特開2008−120573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記したような従来のゴミ袋の保持具100は、図7(a)、(b)に示すようにして使用されている。ゴミ袋の保持具100は、吸盤103を有する取付本体部101と、取付本体部101の一端面101aから突き出された略楕円形状の枠体102を有している。枠体102の向きは、図7(a)、(b)に示すように、取付状態に応じて、面101a側と面101b側のいずれかの向きに変更できるようになっている。
【0006】
保持具100は、シンク周りの状況に応じて、枠体102に水切り用の孔を有するゴミ袋110を取り付けた状態にて、吸盤103をキッチンシンク105の縁又はそれに続く調理台106に吸着させるか(図7(a))、壁面107に吸着させて使用する(図7(b))。このとき、ゴミ袋110とシンク105の底面107は接触していないので、ゴミ袋110内の生ゴミと洗浄水等が接触することなく、生ゴミの水切りもなされる。
【0007】
しかし最近では、図7(a)のような使用形態の場合、調理台106に模様(凹凸)が施されたものが普及してきており、この型のものでは、調理台106に吸盤103を取り付けることが困難であるため、図7(c)に示すように、シンク壁面109に吸盤103を取り付けることになる。市販されているシンク深さは一様ではないが、図7(c)に示す状態に取り付けた場合には、ゴミ袋110とシンク底面107が接触してしまうことがあり、不衛生で、かつ使用者に不快感を与え、さらに水切り性も悪くなるため、改善が要望されている。
【0008】
本発明は、上記した改善の要望に応えたものであり、シンク周りの状態に応じて適切な取付箇所を選択することができ、どのような状態で取り付けた場合であっても、ゴミ袋とシンク底面が接触することがない、ゴミ袋の保持具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、課題の解決手段として、
厚さ方向の一面に吸盤を有する、略直方体状の取付本体部と、
ゴミ袋を支持するための枠体と、
前記枠体と一体となり、前記枠体を前記取付本体部に対して着脱自体に取り付けるための連結部を有しているゴミ袋の保持具であり、
前記取付本体部が長辺方向の一端面に孔部を有しており、
前記連結部が、一端側が前記枠体と接続された枠体接続部で、他端側が前記孔部に嵌め込まれる、二股に分離された第1接続部と第2接続部であり、
前記取付本体部の吸盤を水平面に対して吸着させるときは、前記第1接続部前記取付本体部の孔部に嵌め込んで使用し、
前記取付本体部の吸盤を鉛直面に対して吸着させるときは、前記第2接続部前記取付本体部の孔部に嵌め込んで使用する、ゴミ袋の保持具を提供する。
【0010】
本発明において「鉛直面」と「水平面」は厳密な意味ではなく、鉛直面はキッチンシンクの壁面のような垂直面(シンク底面に対して垂直面)を意味し、水平面は前記キッチンシンク壁面(垂直面)に対して垂直な面(キッチンシンクに続く調理台)を意味する。
【0011】
本発明のゴミ袋の保持具は、鉛直面(キッチンシンクの壁面等)及び水平面(調理台等)に取り付けるかに応じて、取付本体部に接続する第1接続部と第2接続部を選択することにより、上記した図7(c)に示すような問題が生じることを防止して、ゴミ袋とシンク底面が常に図7(a)、(b)に示すような状態になるようにすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明のゴミ袋の保持具を使用することにより、シンク及びシンク周りの状態に拘わらず、ゴミ袋とシンク底面が接触することがなく、図7(c)に示す状態になって消費者に不快感を与えることがない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】ゴミ袋の保持具を取り付けた状態の平面図。
【図2】ゴミ袋の保持具の枠体と連結部の側面図であり、(a)は枠体を折り畳んだ状態の図であり、(b)は枠体を開いた状態の図である。
【図3】(a)は連結部端部の第1接続部側の部分斜視図、(b)は連結部端部の第2接続部側の部分斜視図である。
【図4】(a)は、取付本体部の一部断面図を含む一側面図(鉛直面に取り付けたときの一側面図)、(b)は、取付本体部の一部断面図を含む一側面図(水平面に取り付けたときの一側面図)、(c)は、取付本体部の孔部が形成された面側からの正面図である。
【図5】(a)は、鉛直面に取り付けた状態の本体部と連結部(一部のみ図示)の状態を示す側面図、(b)は、水平面に取り付けた状態の本体部と連結部(一部のみ図示)の状態を示す側面図である。
【図6】(a)は、ゴミ袋の保持具をシンク壁面(鉛直面)に取り付けた状態の側面図、(b)は、ゴミ袋の保持具を調理台(水平面)に取り付けた状態の側面図である。
【図7】従来のゴミ袋の保持具100の使用状態を説明するための図であり、(a)は調理台(水平面)に取り付けた状態、(b)はシンク周りの壁面(鉛直面)に取り付けた状態、(c)はシンク壁面(鉛直面)に取り付けた状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<図1>
図1は、本発明のゴミ袋の保持具1を調理台106上に取り付けた状態(図7(a)と同じ取付状態)の平面図である。
【0015】
保持具1は、吸盤11を有する取付本体部10、ゴミ袋を着脱自在に取り付けるための枠体20、枠体20を取付本体部10に着脱自在に取り付けるための連結部30とを有している。
【0016】
<図2及び図3>
図2(a)、(b)は、枠体20と連結部30の側面図であり、図3(a)は連結部端部の第1接続部側の部分斜視図、(b)は連結部端部の第2接続部側の部分斜視図である。
【0017】
枠体20は、製品として販売するときの外袋が小さくできるように、図2(a)、(b)に示すように折り畳み式になっており、第1枠部21と第2枠部22、それらを折り畳み自在に連結する勘合部23とを有している。
【0018】
連結部30は板状のものであり、一端側が枠体20(第1枠部21)と一体になった枠体接続部31であり、他端部側は、二股に分離された第1接続部32と第2接続部33である。
【0019】
第1接続部32と第2接続部33の対向する面がなす角度α1は90°であるか、それに近似した角度(90°±5°以下)であることが好ましい。
【0020】
枠体連結部31と第1接続部32がなす角度α2と、枠体接続部31と第2接続部33がなす角度α3は、同じでもよいし、異なっていてもよいが、いずれも鈍角で、好ましくは135°±5°以下の範囲であることが好ましい。α2とα3が前記範囲(好ましくはα2=α3=135°、即ちα1=90°)であると、図2(a)、(b)のいずれの取付状態であっても、枠体20の高さ位置をほぼ同程度にすることができる。
【0021】
第1接続部32の一面側には、長さ方向に2本のリブ35aが形成され、他面側には長さ方向に2本のリブ35bが形成されている。リブ35a、35bは、軽量化と強度付与のために形成されるほか、取付本体部10に対する挿し間違いを防止する効果も得られる。さらにリブ35aは、取付本体部10に対する接続強度を高める作用もする。
【0022】
第2接続部33の一面側には、長さ方向に2本のリブ36が形成されており、2本のリブ36は、枠体接続部31の一面側に形成された2本のリブ31aと連続して形成されている。リブ36、31aは、軽量化と強度付与のために形成されたものであり、リブ36は、取付本体部10に対する接続強度を高める作用もする。
【0023】
<図4>
図4(a)は、取付本体部10を吸盤11により、鉛直面(図6のシンク壁面109)に取り付けて使用する状態を示している。孔部16の孔本体14とリブ孔15は、使用時において上を向いている。
【0024】
図4(b)は、取付本体部10を吸盤11により、水平面(図6の調理台106)に取り付けて使用する状態を示している。孔部16の孔本体14とリブ孔15は、使用時において横を向いている。
【0025】
図4に示す取付本体部10は、外観形状は略直方体状のものであるが、軽量化のため、内部は空洞になっており、吸盤11がある側の面はなく、吸盤11は、面13の裏面に対して、軸11aと適当な固定手段(例えば、裏面から突き出された、軸11aの端部を嵌め込んで固定できる枠状の取付具、必要に応じてネジ等の組み合わせ)により固定されている。
【0026】
孔部16のリブ孔15は、第1接続部32の2本のリブ35aの断面形状及び長さと一致しており、第2接続部33の2本のリブ36の断面形状及び長さとも一致している。なお、孔部16のリブ孔15に正対する面側にも、第1接続部32の2本のリブ35bに対応するリブ孔を形成することができるし、前記リブ孔を形成したときは、第2接続部33のリブ36が形成された反対面側にも同じリブを形成することができる。
【0027】
<図5>
図5(a)は、取付本体部10を吸盤11により、鉛直面(シンク壁面109)に取り付けた状態を示している。図5(a)では、図2(a)に示すとおり、α2=α3=135°となっている。
【0028】
取付本体部10の孔部16には、第2接続部33が嵌め込まれており、2本のリブ36は2本のリブ孔15(図4(a)参照)にぴったりと嵌め込まれているため、第2接続部33がずれたり、がたついたりすることはない。さらに第1接続部32と第2接続部33の対向する面同士がなす角度α1(図2参照)と、孔部16と端面12がなす角度が一致しているため(図面では90°)、第1接続部32の面が端面12に当接されており、上記のずれやがたつき防止作用がより高められている。
【0029】
図5(b)は、取付本体部10を吸盤11により、水平面(調理台106)に取り付けた状態を示している。図5(b)では、図2(b)に示すとおり、α2=α3=135°となっている。
【0030】
取付本体部10の孔部16には、第1接続部32が嵌め込まれており、2本のリブ35aは2本のリブ孔15(図4(b)参照)にぴったりと嵌め込まれているため、第1接続部32がずれたり、がたついたりすることはない。さらに第1接続部32と第2接続部33の対向する面同士がなす角度α1(図2参照)と、孔部16と端面12がなす角度が一致しているため(図面では90°)、第2接続部33の面が端面12に当接されており、上記のずれやがたつき防止作用がより高められている。
【0031】
<図6>
図6(a)は、図5(a)の取付状態にて、ゴミ袋の保持具1をシンク105の壁面109に取り付けた状態を示している。シンク105に接した部分の調理台106には凹凸模様があり、吸盤11を吸着できない。
【0032】
図6(b)は、図5(b)の取付状態にて、ゴミ袋の保持具1をシンク105の調理台106に取り付けた状態を示している。
【0033】
図6(a)、(b)を対比すれば明らかなとおり、調理台106面を基準とすると、枠体20の高さ位置には差が無く、枠体20にゴミ袋を取り付けたときには、図7(a)、(b)と同じように、ゴミ袋とシンク底面107の間に隙間が形成された状態になる。図2、図5にて説明したとおり、α1=90°、α2=α3=135°となっている。
【0034】
そして、図5の説明において記載しているとおり、第1接続部32、第2接続部33、取付本体部10の孔部16による作用により、連結部30と枠体20がずれたり、がたついたりすることがない。
【0035】
さらに図6(a)の場合において、枠体20にゴミ袋を取り付け、中に生ゴミを入れたとき、生ゴミの重さにより、枠体20に対して鉛直方向への力が加えられることになる。この鉛直方向の力を受け、第2接続部33は孔部16をシンク壁面109側に押すため、吸盤11もシンク壁面109側に押されることになり、保持具1全体がより強くシンク壁面109に固定されることになる。
【0036】
本発明のゴミ袋の保持具1は、キッチンシンク及びその周辺の状態に応じて、図6(a)及び図6(b)に示す使用形態を選択することができ、どちらの使用形態であっても、枠体20の高さ位置を同じ位置に維持することができる。このため、図7(a)〜(c)のいずれの使用形態であっても、ゴミ袋がシンク底面に接触することがなく、図7(c)のような状態になるという問題に対する消費者の改善要望を満足することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 ゴミ袋の保持具
10 取付本体部
11 吸盤
14 孔本体
15 リブ孔
16 孔部
20 枠体
30 連結部
32 第1接続部
33 第2接続部
105 キッチンシンク
106 調理台
107 シンク底面
109 シンク壁面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さ方向の一面に吸盤を有する、略直方体状の取付本体部と、
ゴミ袋を支持するための枠体と、
前記枠体と一体となり、前記枠体を前記取付本体部に対して着脱自体に取り付けるための連結部を有しているゴミ袋の保持具であり、
前記取付本体部が長辺方向の一端面に孔部を有しており、
前記連結部が、一端側が前記枠体と接続された枠体接続部で、他端側が前記孔部に嵌め込まれる、二股に分離された第1接続部と第2接続部であり、
前記取付本体部の吸盤を水平面に対して吸着させるときは、前記第1接続部前記取付本体部の孔部に嵌め込んで使用し、
前記取付本体部の吸盤を鉛直面に対して吸着させるときは、前記第2接続部前記取付本体部の孔部に嵌め込んで使用する、ゴミ袋の保持具。
【請求項2】
前記第1接続部と前記第2接続部が、前記第1接続部を前記孔部に嵌め込んだとき、前記第2接続部の表面が、前記孔部が形成された面に当接され、前記第2接続部を前記孔部に嵌め込んだとき、前記第1接続部の表面が、前記孔部が形成された面に当接されるように形成されている、請求項1記載のゴミ袋の保持具。
【請求項3】
前記第1接続部と前記第2接続部が、その表面において長さ方向に1又は2以上のリブを有するものであり、
前記取付本体部の孔部が、前記第1接続部と前記第2接続部と一致する形状のものである、請求項1又は2記載のゴミ袋の保持具。
【請求項4】
前記連結部が、前記枠体連結部と前記第1接続部がなす角度と、前記枠体接続部と前記第2接続部がなす角度がいずれも鈍角である、請求項1〜3のいずれか1項記載のゴミ袋の保持具。
【請求項5】
前記連結部の内、少なくとも第1接続部と第2接続部が板状のものである、請求項1〜4のいずれか1項記載のゴミ袋の保持具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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