ゴムボタン
【課題】ゴム材の表面の清掃(消毒)作業を容易に行わせることができるとともに、部品点数を削減して製造コストの低減及び管理の容易化を図ることができるゴムボタンを提供する。
【解決手段】血液回路に接続され、スリット1aが形成されたゴム材1を有するとともに、ゴム材1のスリット1aに挿通可能なコネクタ4が先端に形成されて当該コネクタ4をスリット1aに挿通させて血液回路を流れる流体を採取或いは別個の流体を当該血液回路に注入し得る接続ライン3を接続可能とされたゴムボタンにおいて、ゴム材1の上部を筒状に覆った閉塞状態と当該ゴム材1の上部を開放した開放状態とで任意切り換え可能とされるとともに、当該閉塞状態でスリット1aに挿通したコネクタ4を係止して抜け止め可能とされた接続部2a、2bを具備したものである。
【解決手段】血液回路に接続され、スリット1aが形成されたゴム材1を有するとともに、ゴム材1のスリット1aに挿通可能なコネクタ4が先端に形成されて当該コネクタ4をスリット1aに挿通させて血液回路を流れる流体を採取或いは別個の流体を当該血液回路に注入し得る接続ライン3を接続可能とされたゴムボタンにおいて、ゴム材1の上部を筒状に覆った閉塞状態と当該ゴム材1の上部を開放した開放状態とで任意切り換え可能とされるとともに、当該閉塞状態でスリット1aに挿通したコネクタ4を係止して抜け止め可能とされた接続部2a、2bを具備したものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体の流通ラインに接続され、当該流通ライン内と連通可能なスリットが形成されたゴム材を有するとともに、当該ゴム材のスリットに挿通可能なコネクタが先端に形成されて当該コネクタをスリットに挿通させて当該流通ラインを流れる流体を採取或いは別個の流体を当該流通ラインに注入し得る接続ラインを接続可能とされたゴムボタンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
透析治療時に使用され、患者の血液を体外循環させる血液回路は、一般に、ダイアライザやドリップチャンバ等の各構成要素間を連結する可撓性チューブから主に構成されており、かかる血液回路の所定の位置には、ゴム材を有するゴムボタンが接続されている。このゴムボタンのゴム材には、血液の流通ラインの内外を連通したスリットが形成されており、かかるスリットに穿刺管やシリンジの先端等を挿通し、血液回路を流れる血液を採取したり、或いは当該血液回路中に薬剤又は生理食塩水を注入し得るよう構成されている。
【0003】
ところで、例えば投与すべき薬剤の量や種類によっては、シリンジをゴムボタンに接続するのに代えて、薬剤投与のためのチューブ先端をゴムボタンに接続する場合がある。すなわち、血液回路を流れる血液に対し、少量の薬剤を短時間で注入する場合は、シリンジ等で注入するのが好ましい一方、薬剤を持続的に長時間かけて注入する場合は、シリンジに代えて、薬剤を収容した容器から接続ラインを構成するチューブを延設し、該チューブの先端をゴムボタンに接続することにより、輸液ポンプなどの送液手段を用いて容器内の薬剤を血液回路に一定量ずつ注入することが行われる。
【0004】
このような接続ラインの先端には、ゴムボタンにおけるゴム材のスリットに挿通可能なコネクタが形成されるとともに、薬剤投与中にコネクタがゴムボタンから外れてしまうのを防止するためのロック手段が取り付けられている。かかるロック手段は、接続ラインの先端に形成されたコネクタとは別途設けられ、内周面に雌ネジ部が形成された部材から成り、該雌ネジ部がゴムボタンに形成された雄ネジ部に螺合して係止可能とされたものである。
【0005】
このように、スリットが形成されたゴム材を具備するとともに、接続された接続ラインの先端部を係止して抜け止め可能とされた所謂ロック式のゴムボタンとして、従来、ゴム材を保持したキャップに対して圧入にて取付可能とされるとともに、ロック手段の雌ネジ部と螺合可能な雄ネジ部が形成されたハウジングを有したものが提案されている(例えば特許文献1参照)。このハウジングは、ゴムボタンのキャップとは別体とされ、その内部にコネクタと連結可能なフロートを具備するものとされ、当該ゴムボタンから取り外すことにより、ゴム材の表面を外部に臨ませることができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−339877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来のゴムボタンにおいては、ハウジングを取り外すことによりゴム材の表面を外部に臨ませることができ、消毒等の清掃作業を容易に行わせることができるものの、当該ハウジングが別体であるため、部品点数が増加してしまうとともに、ゴムボタン本体とハウジングとをそれぞれ管理する必要があり、特にハウジングが紛失してしまう虞があった。また、従来のゴムボタンにおいては、ハウジング内にフロートを有する構造であるため、当該フロートによっても部品点数が増加してしまい、製造コストが嵩んでしまうという問題もあった。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、ゴム材の表面の清掃(消毒)作業を容易に行わせることができるとともに、部品点数を削減して製造コストの低減及び管理の容易化を図ることができるゴムボタンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の発明は、流体の流通ラインに接続され、当該流通ライン内と連通可能なスリットが形成されたゴム材を有するとともに、当該ゴム材のスリットに挿通可能なコネクタが先端に形成されて当該コネクタをスリットに挿通させて当該流通ラインを流れる流体を採取或いは別個の流体を当該流通ラインに注入し得る接続ラインを接続可能とされたゴムボタンにおいて、前記ゴム材の上部を筒状に覆った閉塞状態と当該ゴム材の上部を開放した開放状態とで任意切り換え可能とされるとともに、当該閉塞状態で前記スリットに挿通した前記コネクタを係止して抜け止め可能とされた接続部を具備したことを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のゴムボタンにおいて、前記接続部は、筐体を構成するケース部材に一体成形され、前記閉塞状態と開放状態とで切り換え可能とされたことを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1記載のゴムボタンにおいて、前記接続部は、筐体を構成するケース部材とは別体として形成されるとともに、当該ケース部材に連結されて前記閉塞状態と開放状態とで切り換え可能とされたことを特徴とする。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3の何れか1つに記載のゴムボタンにおいて、前記接続ラインの先端部には、前記閉塞状態の接続部を覆い得るとともに内周面に雌ネジ部が形成されたロック手段が取り付けられるとともに、前記接続部には、外周面に前記雌ネジ部と螺合し得る雄ネジ部が形成され、当該雌ネジ部と雄ネジ部との螺合により前記接続部がロックされて当該接続部の閉塞状態が保持されることを特徴とする。
【0013】
請求項5記載の発明は、請求項4記載のゴムボタンにおいて、前記コネクタには、外方に突出して前記ロック手段の抜け止めを図るためのストッパ部が形成されるとともに、前記接続部には、当該ストッパ部と係止可能な係止部が形成されたことを特徴とする。
【0014】
請求項6記載の発明は、請求項2〜5の何れか1つに記載のゴムボタンにおいて、前記接続部は、筒状部材を半割りにした2つの部位で構成され、当該2つの部位は、互いを合致させることにより前記閉塞状態となる位置と、互いを離間させて前記開放状態となる位置との間で揺動自在に前記ケース部材に接続されて成ることを特徴とする。
【0015】
請求項7記載の発明は、請求項1〜6の何れか1つに記載のゴムボタンにおいて、前記流通ラインは、患者の血液を体外循環させつつ浄化するための血液回路から成ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、ゴム材の上部を筒状に覆った閉塞状態と当該ゴム材の上部を開放した開放状態とで任意切り換え可能とされるとともに、当該閉塞状態でスリットに挿通したコネクタを係止して抜け止め可能とされた接続部を具備したので、ゴム材の表面の清掃(消毒)作業を容易に行わせることができるとともに、部品点数を削減して製造コストの低減及び管理の容易化を図ることができる。
【0017】
請求項2の発明によれば、接続部は、筐体を構成するケース部材に一体成形され、閉塞状態と開放状態とで切り換え可能とされたので、筐体部と接続部とを別個製造するものに比べ、製造工程を削減することができ、製造コストをより低減させることができる。
【0018】
請求項3の発明によれば、接続部は、筐体を構成するケース部材とは別体として形成されるとともに、当該ケース部材に連結されて閉塞状態と開放状態とで切り換え可能とされたので、筐体部と接続部との連結状態を種々設定することができ、接続部の閉塞状態と開放状態との切り換えをより円滑に行わせるよう設定することができる。
【0019】
請求項4の発明によれば、接続ラインの先端部には、閉塞状態の接続部を覆い得るとともに内周面に雌ネジ部が形成されたロック手段が取り付けられるとともに、接続部には、外周面に雌ネジ部と螺合し得る雄ネジ部が形成され、当該雌ネジ部と雄ネジ部との螺合により接続部がロックされて当該接続部の閉塞状態が保持されるので、より強固に接続部の閉塞状態を保持でき、且つ、コネクタを係止することができる。
【0020】
請求項5の発明によれば、コネクタには、外方に突出して前記ロック手段の抜け止めを図るためのストッパ部が形成されるとともに、接続部には、当該ストッパ部と係止可能な係止部が形成されたので、当該ストッパ部材が、ロック手段の抜け止め機能と接続部に対するコネクタの係止機能とを兼ね備えることができる。
【0021】
請求項6の発明によれば、接続部は、筒状部材を半割りにした2つの部位で構成され、当該2つの部位は、互いを合致させることにより閉塞状態となる位置と、互いを離間させて開放状態となる位置との間で揺動自在にケース部材に接続されて成るので、接続部を備えたゴムボタンの構成を簡素化することができる。
【0022】
請求項7の発明によれば、流通ラインは、患者の血液を体外循環させつつ浄化するための血液回路から成ることから、一般に種々の採血作業や薬剤注入作業がなされる血液回路に本ゴムボタンを接続したので、ゴム材の表面の清掃(消毒)作業を容易に行わせることにより複数回に分けて採血作業や薬剤注入作業が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るゴムボタン(接続部が閉塞状態)を示す正面図
【図2】同ゴムボタン(接続部が閉塞状態)を示す側面図
【図3】同ゴムボタンにおける接続部が閉塞状態とされた第1ケース部材を示す斜視図
【図4】同ゴムボタン(接続部が開放状態)を示す正面図
【図5】同ゴムボタン(接続部が開放状態)を示す側面図
【図6】同ゴムボタンにおける接続部が開放状態とされた第1ケース部材を示す斜視図
【図7】図4におけるVII−VII線断面図
【図8】図5におけるVIII−VIII線断面図
【図9】同ゴムボタンに接続される接続ライン及びコネクタを示す側面図
【図10】図9におけるX−X線断面図
【図11】同ゴムボタンにおける接続部が閉塞状態とされ、コネクタが係止された状態であって、ロック手段によるロックがなされていない状態を示す(a)正面図(b)側面図
【図12】図11におけるXII−XII線断面図
【図13】同ゴムボタンにおける接続部が閉塞状態とされ、コネクタが係止された状態であって、ロック手段によるロックがなされた状態を示す(a)正面図(b)側面図
【図14】図13におけるXIV−XIV線断面図
【図15】図13におけるXV−XV線断面図
【図16】本発明の第2の実施形態に係るゴムボタン(接続部が閉塞状態)を示す3面図
【図17】同ゴムボタン(接続部が閉塞状態)を示す斜視図
【図18】同ゴムボタン(接続部が開放状態)を示す3面図
【図19】同ゴムボタン(接続部が開放状態)を示す斜視図
【図20】図18におけるXX−XX線断面図
【図21】図18におけるXXI−XXI線断面図
【図22】同ゴムボタンにおける接続部が閉塞状態とされ、コネクタが係止された状態であって、ロック手段によるロックがなされていない状態を示す(a)正面図(b)側面図
【図23】図22におけるXXIII−XXIII線断面図
【図24】同ゴムボタンにおける接続部が閉塞状態とされ、コネクタが係止された状態であって、ロック手段によるロックがなされた状態を示す(a)正面図(b)側面図
【図25】図24におけるXXV−XXV線断面図
【図26】図24におけるXXVI−XXVI線断面図
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
第1の実施形態に係るゴムボタンは、患者の血液を体外循環させつつ浄化するための血液回路(流体の流通ライン)に接続され、当該血液回路内と連通可能なスリットが形成されたゴム材を有したもので、図1〜8に示すように、本ゴムボタンの筐体Fと、一対の接続部2a、2bとから主に構成されている。
【0025】
筐体Fは、それぞれ樹脂製部材から成る第1ケース部材f1、第2ケース部材f2及び第3ケース部材f3で構成されており、このうち第2ケース部材f2及び第3ケース部材f3によりゴム材1が保持されている。かかるゴム材1は、弾力を有して内部の流路を液密に保持し得るもので、略中央には、スリット1aが形成されている。このスリット1aを後述する接続ライン3のコネクタ4にて押し広げることにより、当該コネクタ4の先端部4aを内部の流路に連通可能とされている。
【0026】
また、第3ケース部材f3には、ゴム材1の表面を外部に臨ませる孔f3aが形成されており、当該孔f3aを介してコネクタ4をゴム材1のスリット1aに挿通可能とされている。第2ケース部材f2の両端部には、流体の流通ラインを構成する血液回路αを接続可能な接続部f2aがそれぞれ形成されており、当該血液回路αを流れる血液等の液体が筐体F内の流路(特に第1ケース部材f1と第2ケース部材f2とで構成される流路)を流通し得るようになっている。
【0027】
ここで、第1ケース部材f1は、第2ケース部材f2及び第3ケース部材f3の外側を覆って連結されたもので、一対の接続部2a、2bが一体成形されている。すなわち、第1ケース部材f1における接続部2a、2bとの境界部位には、他の部位より肉厚が小さい薄肉部aが形成されており、かかる薄肉部aにより接続部2a、2bが第1ケース部材f1に対して折れ曲がって動作し得るようになっている。
【0028】
本実施形態に係る接続部2a、2bは、筒状部材を半割りにした2つの部材で構成されており、それぞれが薄肉部aを中心に折れ曲がって揺動自在とされたもので、図1〜3に示すように、互いに合致させることにより、ゴム材1の上部を筒状に覆った閉塞状態と、図4〜6に示すように、互いに離間させることにより、ゴム材1の上部を開放した開放状態とで任意切り換え可能とされている。これにより、接続部2a、2bが開放状態のとき、図7、8に示すように、ゴム材1の表面を外部に臨ませることが可能とされており、後述する接続ライン3の接続やゴム材1の表面の清掃(消毒)等が容易に行われるようになっている。
【0029】
また、接続部2a、2bのそれぞれの内部には、当該接続部2a、2bが閉塞状態とされたとき、接続ライン3のコネクタ4に形成されたストッパ4b(図9、10参照)を係止して抜け止め可能な係止部g(図12、14参照)が形成されている。すなわち、接続部2a、2bを合致させて閉塞状態とすることにより、ゴム材1のスリット1aに挿通したコネクタ4を係止部gにて係止して抜け止め可能とされているのである。さらに、接続部2a、2bの外周面には、当該接続部2a、2bが閉塞状態とされたとき、後述するロック手段5の雌ネジ部5a(図10、14参照)と螺合可能な雄ネジ部2aa、2baが形成されている。
【0030】
一方、接続ライン3は、可撓性チューブから成るもので、ゴム材1のスリット1aに挿通可能なコネクタ4(所謂「オスルアーコネクタ」と称されるもの)が先端に形成されており、当該コネクタ4をスリット1aに挿通させて血液回路αを流れる血液等の流体を採取或いは投与すべく薬剤等の別個の流体を当該血液回路αに注入し得るものである。すなわち、接続ライン3は、図9、10に示すように、先端に樹脂製のコネクタ4が取り付けられており、このコネクタ4をゴム材1のスリット1aに挿通させることにより、本ゴムボタンに接続可能な構成とされている。
【0031】
かかるコネクタ4の先端部4aは、テーパ形状とされており、ゴム材1のスリット1aに対する挿通を容易に行わせ得るようになっている。また、接続ライン3の先端部(すなわち、コネクタ4が形成された部位)には、コネクタ4の長手方向に移動自在とされたカップ状のロック手段5(所謂「ロックリング」と称されるもの)が取り付けられている。かかるロック手段5は、閉塞状態の接続部2a、2bを覆い得る(図14参照)とともに内周面に雌ネジ部5aが形成された樹脂製部品から成り、当該雌ネジ部5aと接続部2a、2bに形成された雄ネジ部2aa、2baとの螺合により、接続部2a、2bがロックされて当該接続部2a、2bの閉塞状態が強固に保持されるようになっている。
【0032】
さらに、コネクタ4の所定部位には、外方に円環状に突出してロック手段5の抜け止めを図るためのストッパ部4bが形成されている。このストッパ部4bにより、ロック手段5が干渉してコネクタ4から抜け落ちてしまうのを防止し得るとともに、接続部2a、2bを閉塞状態とした際、ゴム材1のスリット1aに挿通したコネクタ4のストッパ部4bを係止部gにて係止させることができ、これにより当該コネクタ4のゴム材1からの抜け止めを可能としている。なお、本実施形態に係るストッパ部4bは、円環状に突出したものとされているが、一部のみ外方に突出したもの或いは周方向に間欠的に外方に突出したもの等であってもよい。
【0033】
次に、本実施形態に係るゴムボタンにおける接続ライン3との接続方法について説明する。
先ず、図4〜8に示すように、接続部2a、2bを開放状態としておくとともに、接続ライン3の先端に形成されたコネクタ4の先端部4aをゴム材1のスリット1aに挿通させる。その後、接続部2a、2bを閉塞状態に切り換えて、図11、12に示すように、コネクタ4を当該接続部2a、2bで囲む如く覆うようにする。このとき、図12に示すように、コネクタ4のストッパ部4bを係止部gにて係止させておく。
【0034】
そして、ロック手段5を下方に移動させ、図13〜15に示すように、当該ロック手段5の雌ネジ部5aと接続部2a、2bに形成された雄ネジ部2aa、2baとを螺合させる。これにより、接続部2a、2bがロック(閉塞状態から開放状態に移動するのを規制)されて当該接続部2a、2bの閉塞状態が強固に保持されることとなる。しかして、コネクタ4が強固に固定されることとなり、接続ライン3の接続状態を確実に維持させることができる。
【0035】
一方、本ゴムボタンに対する接続ライン3の接続を解きたい場合は、雌ネジ部5aと雄ネジ部2aa、2baとの螺合を解きながらロック手段5を上方へ移動させ、接続部2a、2bのロックを解く。その後、接続部2a、2bを互いに離間させて開放状態として、コネクタ4のストッパ部4bと係止部gとの係止を解くとともに、当該コネクタ4をスリット1aから引き抜き、ゴム材1から取り外す。これにより、接続ライン3を本ゴムボタンから取り外すことができ、その取り外された状態においては、接続部2a、2bが開放状態であるため、シリンジ等の先端をゴム材1に挿通させたり或いはゴム材1の表面の清掃(消毒)を容易に行わせることが可能とされている。
【0036】
本実施形態によれば、接続部2a、2bは、筐体Fを構成する第1ケース部材f1に一体成形され、閉塞状態と開放状態とで切り換え可能とされたので、筐体部Fと接続部2a、2bとを別個製造するものに比べ、製造工程を削減することができ、製造コストをより低減させることができる。なお、本実施形態においては、薄肉部aを形成することにより接続部2a、2bの閉塞状態と開放状態との間の切り換えが可能とされているが、例えば間欠的なスリットや切欠き、ノッチ或いはヒンジ等を形成しておき、接続部2a、2bの閉塞状態と開放状態との間の切り換えを行わせるようにしてもよい。
【0037】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
本実施形態に係るゴムボタンは、第1の実施形態と同様、患者の血液を体外循環させつつ浄化するための血液回路(流体の流通ライン)に接続され、当該血液回路内と連通可能なスリットが形成されたゴム材を有したもので、図16〜21に示すように、本ゴムボタンの筐体F’と、一対の接続部7a、7bとから主に構成されている。なお、本ゴムボタンに接続するための接続ラインについては、第1の実施形態と同様(図9、10参照)であるため、詳細な説明を省略する。
【0038】
筐体F’は、それぞれ樹脂製部材から成る第1ケース部材f4、第2ケース部材f5で構成されており、これら第1ケース部材f4及び第2ケース部材f5によりゴム材6が保持されている。かかるゴム材6は、弾力を有して内部の流路を液密に保持し得るもので、第1の実施形態におけるゴム材1と同様、その略中央には、スリット6aが形成されている。このスリット6aを後述する接続ライン3のコネクタ4にて押し広げることにより、当該コネクタ4の先端部を内部の流路に連通可能とされている。
【0039】
また、第2ケース部材f5には、ゴム材6の表面を外部に臨ませる孔f5aが形成されており、当該孔f5aを介してコネクタ4をゴム材6のスリット6aに挿通可能とされている。第1ケース部材f4の両端部には、流体の流通ラインを構成する血液回路αを接続可能な接続部f4aがそれぞれ形成されており、当該血液回路αを流れる血液等の液体が筐体F’内の流路(第1ケース部材f4と第2ケース部材f5とで構成される流路)を流通し得るようになっている。
【0040】
ここで、本実施形態においては、一対の接続部7a、7bが筐体F’を構成する第2ケース部材f5とは別体として形成されるとともに、当該第2ケース部材f5の所定部位に連結部bにて連結されて閉塞状態と開放状態とで切り換え可能とされている。すなわち、接続部7a、7bには、連結部bが延設されているとともに、当該連結部bの先端が第2ケース部材f5の所定部位に固定(例えば、接着剤による接着、超音波や高周波ウェルダによる溶着、嵌め込み嵌合などにより固定)されて一対の接続部7a、7bが第2ケース部材と一体とされており、かかる連結部bにより接続部7a、7bが第2ケース部材f5に対して動作し得るようになっている。
【0041】
本実施形態に係る接続部7a、7bは、筒状部材を半割りにした2つの部材で構成されており、それぞれが連結部bを介して動作自在とされたもので、図16、17に示すように、互いに合致させることにより、ゴム材6の上部を筒状に覆った閉塞状態と、図18〜21に示すように、互いに離間させることにより、ゴム材6の上部を開放した開放状態とで任意切り換え可能とされている。これにより、接続部7a、7bが開放状態のとき、図20、21に示すように、ゴム材6の表面を外部に臨ませることが可能とされており、接続ライン3の接続やゴム材6の表面の清掃(消毒)等が容易に行われるようになっている。
【0042】
また、接続部7a、7bのそれぞれの内部には、当該接続部7a、7bが閉塞状態とされたとき、接続ライン3のコネクタ4に形成されたストッパ4b(図9、10参照)を係止して抜け止め可能な係止部h(図23、26参照)が形成されている。すなわち、接続部7a、7bを合致させて閉塞状態とすることにより、ゴム材6のスリット6aに挿通したコネクタ4を係止部hにて係止して抜け止め可能とされているのである。さらに、接続部7a、7bの外周面には、当該接続部7a、7bが閉塞状態とされたとき、ロック手段5の雌ネジ部5a(図10、25参照)と螺合可能な雄ネジ部7aa、7baが形成されている。
【0043】
次に、本実施形態に係るゴムボタンにおける接続ライン3との接続方法について説明する。
先ず、図18〜21に示すように、接続部7a、7bを開放状態としておくとともに、接続ライン3の先端に形成されたコネクタ4の先端部4aをゴム材6のスリット6aに挿通させる。その後、接続部7a、7bを閉塞状態に切り換えて、図22、23に示すように、コネクタ4を当該接続部7a、7bで囲む如く覆うようにする。このとき、図23に示すように、コネクタ4のストッパ部4bを係止部hにて係止させておく。
【0044】
そして、ロック手段5を下方に移動させ、図24〜26に示すように、当該ロック手段5の雌ネジ部5aと接続部7a、7bに形成された雄ネジ部7aa、7baとを螺合させる。これにより、接続部7a、7bがロック(閉塞状態から開放状態に移動するのを規制)されて当該接続部7a、7bの閉塞状態が強固に保持されることとなる。しかして、コネクタ4が強固に固定されることとなり、接続ライン3の接続状態を確実に維持させることができる。
【0045】
一方、本ゴムボタンに対する接続ライン3の接続を解きたい場合は、雌ネジ部5aと雄ネジ部7aa、7baとの螺合を解きながらロック手段5を上方へ移動させ、接続部7a、7bのロックを解く。その後、接続部7a、7bを互いに離間させて開放状態として、コネクタ4のストッパ部4bと係止部hとの係止を解くとともに、当該コネクタ4をスリット6aから引き抜き、ゴム材6から取り外す。これにより、接続ライン3を本ゴムボタンから取り外すことができ、その取り外された状態においては、接続部7a、7bが開放状態であるため、シリンジ等の先端をゴム材6に挿通させたり或いはゴム材6の表面の清掃(消毒)を容易に行わせることが可能とされている。
【0046】
本実施形態によれば、接続部7a、7bは、筐体F’を構成する第2ケース部材f5とは別体として形成されるとともに、当該第2ケース部材f5に連結部bを介して連結されて一体化され、閉塞状態と開放状態とで切り換え可能とされたので、筐体部F’と接続部7a、7bとの連結状態を種々設定することができ、接続部7a、7bの閉塞状態と開放状態との切り換えをより円滑に行わせるよう設定することができる。すなわち、連結部bの材質や寸法を種々変更することにより、筐体部F’と接続部7a、7bとの連結状態を任意に設定することができるのである。
【0047】
上記第1の実施形態及び第2の実施形態によれば、ゴム材(1、6)の上部を筒状に覆った閉塞状態と当該ゴム材(1、6)の上部を開放した開放状態とで任意切り換え可能とされるとともに、当該閉塞状態でスリット(1a、6a)に挿通したコネクタ4を係止して抜け止め可能とされた接続部(2a、2b)(7a、7b)を具備したので、ゴム材(1、6)の表面の清掃(消毒)作業を容易に行わせることができるとともに、部品点数を削減して製造コストの低減及び管理の容易化を図ることができる。特に、本実施形態においては、接続部(2a、2b)(7a、7b)により、閉塞状態でスリット(1a、6a)に挿通したコネクタ4を係止して抜け止め可能とされたので、従来の如き別個にフロート等を必要とせず、部品点数を削減することができる。
【0048】
また、接続ライン3の先端部(本実施形態においてはコネクタ4が形成された部位)には、閉塞状態の接続部(2a、2b)(7a、7b)を覆い得るとともに内周面に雌ネジ部5aが形成されたロック手段5が取り付けられるとともに、接続部(2a、2b)(7a、7b)には、外周面に雌ネジ部5aと螺合し得る雄ネジ部(2aa、2ba)(7aa、7ba)が形成され、当該雌ネジ部5aと雄ネジ部(2aa、2ba)(7aa、7ba)との螺合により接続部(2a、2b)(7a、7b)がロックされて当該接続部(2a、2b)(7a、7b)の閉塞状態が保持されるので、より強固に接続部(2a、2b)(7a、7b)の閉塞状態を保持でき、且つ、コネクタ4を係止することができる。
【0049】
さらに、コネクタ4には、外方に突出してロック手段5の抜け止めを図るためのストッパ部4bが形成されるとともに、接続部(2a、2b)(7a、7b)には、当該ストッパ部4bと係止可能な係止部(g、h)が形成されたので、当該ストッパ部材4bが、ロック手段5の抜け止め機能と接続部(2a、2b)(7a、7b)に対するコネクタ4の係止機能とを兼ね備えることができる。
【0050】
また、接続部(2a、2b)(7a、7b)は、筒状部材を半割りにした2つの部位で構成され、当該2つの部位は、互いを合致させることにより閉塞状態となる位置と、互いを離間させて開放状態となる位置との間で揺動自在にケース部材(第1ケース部材f1、第2ケース部材f5)に接続されて成るので、接続部(2a、2b)(7a、7b)を備えたゴムボタンの構成を簡素化することができる。また更に、流通ラインは、患者の血液を体外循環させつつ浄化するための血液回路αから成ることから、一般に種々の採血作業や薬剤注入作業がなされる血液回路αに本ゴムボタンを接続したので、ゴム材(1、6)の表面の清掃(消毒)作業を容易に行わせることにより複数回に分けて採血作業や薬剤注入作業が可能になる。
【0051】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されず、例えば接続部を3つ以上の部材から成るものとし、それらを互いに合致させることによりゴム材の上部を筒状に覆った閉塞状態とされるとともに、それら互いに離間させることによりゴム材の上部を開放した開放状態とし得るものとしてもよい。また、閉塞状態でゴム材のスリットに挿通したコネクタを係止して抜け止め可能とされた接続部を具備したものであれば、当該閉塞状態の接続部をロックする手段がロック手段5とは構成上相違するものとしてもよい。
【0052】
さらに、ゴムボタンの形状や部品は、本実施形態にものに限定されず、種々形態のもの(例えば、スリットやキャップの形状が異なるもの等)に適用することができる。また更に、本実施形態に適用されるゴムボタンは、患者の血液を体外循環させつつ浄化するための血液回路に接続されているが、他の流体の流路(輸液ライン等)に接続されたゴムボタンとすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
ゴム材の上部を筒状に覆った閉塞状態と当該ゴム材の上部を開放した開放状態とで任意切り換え可能とされるとともに、当該閉塞状態でスリットに挿通したコネクタを係止して抜け止め可能とされた接続部を具備したゴムボタンであれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0054】
1 ゴム材
1a スリット
2a、2b 接続部
2aa、2ba 雄ネジ部
3 接続ライン
4 コネクタ
4b ストッパ部
5 ロック手段
5a 雌ネジ部
6 ゴム材
6a スリット
7a、7b 接続部
7aa、7ba 雄ネジ部
g、h 係止部
F、F’ 筐体
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体の流通ラインに接続され、当該流通ライン内と連通可能なスリットが形成されたゴム材を有するとともに、当該ゴム材のスリットに挿通可能なコネクタが先端に形成されて当該コネクタをスリットに挿通させて当該流通ラインを流れる流体を採取或いは別個の流体を当該流通ラインに注入し得る接続ラインを接続可能とされたゴムボタンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
透析治療時に使用され、患者の血液を体外循環させる血液回路は、一般に、ダイアライザやドリップチャンバ等の各構成要素間を連結する可撓性チューブから主に構成されており、かかる血液回路の所定の位置には、ゴム材を有するゴムボタンが接続されている。このゴムボタンのゴム材には、血液の流通ラインの内外を連通したスリットが形成されており、かかるスリットに穿刺管やシリンジの先端等を挿通し、血液回路を流れる血液を採取したり、或いは当該血液回路中に薬剤又は生理食塩水を注入し得るよう構成されている。
【0003】
ところで、例えば投与すべき薬剤の量や種類によっては、シリンジをゴムボタンに接続するのに代えて、薬剤投与のためのチューブ先端をゴムボタンに接続する場合がある。すなわち、血液回路を流れる血液に対し、少量の薬剤を短時間で注入する場合は、シリンジ等で注入するのが好ましい一方、薬剤を持続的に長時間かけて注入する場合は、シリンジに代えて、薬剤を収容した容器から接続ラインを構成するチューブを延設し、該チューブの先端をゴムボタンに接続することにより、輸液ポンプなどの送液手段を用いて容器内の薬剤を血液回路に一定量ずつ注入することが行われる。
【0004】
このような接続ラインの先端には、ゴムボタンにおけるゴム材のスリットに挿通可能なコネクタが形成されるとともに、薬剤投与中にコネクタがゴムボタンから外れてしまうのを防止するためのロック手段が取り付けられている。かかるロック手段は、接続ラインの先端に形成されたコネクタとは別途設けられ、内周面に雌ネジ部が形成された部材から成り、該雌ネジ部がゴムボタンに形成された雄ネジ部に螺合して係止可能とされたものである。
【0005】
このように、スリットが形成されたゴム材を具備するとともに、接続された接続ラインの先端部を係止して抜け止め可能とされた所謂ロック式のゴムボタンとして、従来、ゴム材を保持したキャップに対して圧入にて取付可能とされるとともに、ロック手段の雌ネジ部と螺合可能な雄ネジ部が形成されたハウジングを有したものが提案されている(例えば特許文献1参照)。このハウジングは、ゴムボタンのキャップとは別体とされ、その内部にコネクタと連結可能なフロートを具備するものとされ、当該ゴムボタンから取り外すことにより、ゴム材の表面を外部に臨ませることができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−339877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来のゴムボタンにおいては、ハウジングを取り外すことによりゴム材の表面を外部に臨ませることができ、消毒等の清掃作業を容易に行わせることができるものの、当該ハウジングが別体であるため、部品点数が増加してしまうとともに、ゴムボタン本体とハウジングとをそれぞれ管理する必要があり、特にハウジングが紛失してしまう虞があった。また、従来のゴムボタンにおいては、ハウジング内にフロートを有する構造であるため、当該フロートによっても部品点数が増加してしまい、製造コストが嵩んでしまうという問題もあった。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、ゴム材の表面の清掃(消毒)作業を容易に行わせることができるとともに、部品点数を削減して製造コストの低減及び管理の容易化を図ることができるゴムボタンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の発明は、流体の流通ラインに接続され、当該流通ライン内と連通可能なスリットが形成されたゴム材を有するとともに、当該ゴム材のスリットに挿通可能なコネクタが先端に形成されて当該コネクタをスリットに挿通させて当該流通ラインを流れる流体を採取或いは別個の流体を当該流通ラインに注入し得る接続ラインを接続可能とされたゴムボタンにおいて、前記ゴム材の上部を筒状に覆った閉塞状態と当該ゴム材の上部を開放した開放状態とで任意切り換え可能とされるとともに、当該閉塞状態で前記スリットに挿通した前記コネクタを係止して抜け止め可能とされた接続部を具備したことを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のゴムボタンにおいて、前記接続部は、筐体を構成するケース部材に一体成形され、前記閉塞状態と開放状態とで切り換え可能とされたことを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1記載のゴムボタンにおいて、前記接続部は、筐体を構成するケース部材とは別体として形成されるとともに、当該ケース部材に連結されて前記閉塞状態と開放状態とで切り換え可能とされたことを特徴とする。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3の何れか1つに記載のゴムボタンにおいて、前記接続ラインの先端部には、前記閉塞状態の接続部を覆い得るとともに内周面に雌ネジ部が形成されたロック手段が取り付けられるとともに、前記接続部には、外周面に前記雌ネジ部と螺合し得る雄ネジ部が形成され、当該雌ネジ部と雄ネジ部との螺合により前記接続部がロックされて当該接続部の閉塞状態が保持されることを特徴とする。
【0013】
請求項5記載の発明は、請求項4記載のゴムボタンにおいて、前記コネクタには、外方に突出して前記ロック手段の抜け止めを図るためのストッパ部が形成されるとともに、前記接続部には、当該ストッパ部と係止可能な係止部が形成されたことを特徴とする。
【0014】
請求項6記載の発明は、請求項2〜5の何れか1つに記載のゴムボタンにおいて、前記接続部は、筒状部材を半割りにした2つの部位で構成され、当該2つの部位は、互いを合致させることにより前記閉塞状態となる位置と、互いを離間させて前記開放状態となる位置との間で揺動自在に前記ケース部材に接続されて成ることを特徴とする。
【0015】
請求項7記載の発明は、請求項1〜6の何れか1つに記載のゴムボタンにおいて、前記流通ラインは、患者の血液を体外循環させつつ浄化するための血液回路から成ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、ゴム材の上部を筒状に覆った閉塞状態と当該ゴム材の上部を開放した開放状態とで任意切り換え可能とされるとともに、当該閉塞状態でスリットに挿通したコネクタを係止して抜け止め可能とされた接続部を具備したので、ゴム材の表面の清掃(消毒)作業を容易に行わせることができるとともに、部品点数を削減して製造コストの低減及び管理の容易化を図ることができる。
【0017】
請求項2の発明によれば、接続部は、筐体を構成するケース部材に一体成形され、閉塞状態と開放状態とで切り換え可能とされたので、筐体部と接続部とを別個製造するものに比べ、製造工程を削減することができ、製造コストをより低減させることができる。
【0018】
請求項3の発明によれば、接続部は、筐体を構成するケース部材とは別体として形成されるとともに、当該ケース部材に連結されて閉塞状態と開放状態とで切り換え可能とされたので、筐体部と接続部との連結状態を種々設定することができ、接続部の閉塞状態と開放状態との切り換えをより円滑に行わせるよう設定することができる。
【0019】
請求項4の発明によれば、接続ラインの先端部には、閉塞状態の接続部を覆い得るとともに内周面に雌ネジ部が形成されたロック手段が取り付けられるとともに、接続部には、外周面に雌ネジ部と螺合し得る雄ネジ部が形成され、当該雌ネジ部と雄ネジ部との螺合により接続部がロックされて当該接続部の閉塞状態が保持されるので、より強固に接続部の閉塞状態を保持でき、且つ、コネクタを係止することができる。
【0020】
請求項5の発明によれば、コネクタには、外方に突出して前記ロック手段の抜け止めを図るためのストッパ部が形成されるとともに、接続部には、当該ストッパ部と係止可能な係止部が形成されたので、当該ストッパ部材が、ロック手段の抜け止め機能と接続部に対するコネクタの係止機能とを兼ね備えることができる。
【0021】
請求項6の発明によれば、接続部は、筒状部材を半割りにした2つの部位で構成され、当該2つの部位は、互いを合致させることにより閉塞状態となる位置と、互いを離間させて開放状態となる位置との間で揺動自在にケース部材に接続されて成るので、接続部を備えたゴムボタンの構成を簡素化することができる。
【0022】
請求項7の発明によれば、流通ラインは、患者の血液を体外循環させつつ浄化するための血液回路から成ることから、一般に種々の採血作業や薬剤注入作業がなされる血液回路に本ゴムボタンを接続したので、ゴム材の表面の清掃(消毒)作業を容易に行わせることにより複数回に分けて採血作業や薬剤注入作業が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るゴムボタン(接続部が閉塞状態)を示す正面図
【図2】同ゴムボタン(接続部が閉塞状態)を示す側面図
【図3】同ゴムボタンにおける接続部が閉塞状態とされた第1ケース部材を示す斜視図
【図4】同ゴムボタン(接続部が開放状態)を示す正面図
【図5】同ゴムボタン(接続部が開放状態)を示す側面図
【図6】同ゴムボタンにおける接続部が開放状態とされた第1ケース部材を示す斜視図
【図7】図4におけるVII−VII線断面図
【図8】図5におけるVIII−VIII線断面図
【図9】同ゴムボタンに接続される接続ライン及びコネクタを示す側面図
【図10】図9におけるX−X線断面図
【図11】同ゴムボタンにおける接続部が閉塞状態とされ、コネクタが係止された状態であって、ロック手段によるロックがなされていない状態を示す(a)正面図(b)側面図
【図12】図11におけるXII−XII線断面図
【図13】同ゴムボタンにおける接続部が閉塞状態とされ、コネクタが係止された状態であって、ロック手段によるロックがなされた状態を示す(a)正面図(b)側面図
【図14】図13におけるXIV−XIV線断面図
【図15】図13におけるXV−XV線断面図
【図16】本発明の第2の実施形態に係るゴムボタン(接続部が閉塞状態)を示す3面図
【図17】同ゴムボタン(接続部が閉塞状態)を示す斜視図
【図18】同ゴムボタン(接続部が開放状態)を示す3面図
【図19】同ゴムボタン(接続部が開放状態)を示す斜視図
【図20】図18におけるXX−XX線断面図
【図21】図18におけるXXI−XXI線断面図
【図22】同ゴムボタンにおける接続部が閉塞状態とされ、コネクタが係止された状態であって、ロック手段によるロックがなされていない状態を示す(a)正面図(b)側面図
【図23】図22におけるXXIII−XXIII線断面図
【図24】同ゴムボタンにおける接続部が閉塞状態とされ、コネクタが係止された状態であって、ロック手段によるロックがなされた状態を示す(a)正面図(b)側面図
【図25】図24におけるXXV−XXV線断面図
【図26】図24におけるXXVI−XXVI線断面図
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
第1の実施形態に係るゴムボタンは、患者の血液を体外循環させつつ浄化するための血液回路(流体の流通ライン)に接続され、当該血液回路内と連通可能なスリットが形成されたゴム材を有したもので、図1〜8に示すように、本ゴムボタンの筐体Fと、一対の接続部2a、2bとから主に構成されている。
【0025】
筐体Fは、それぞれ樹脂製部材から成る第1ケース部材f1、第2ケース部材f2及び第3ケース部材f3で構成されており、このうち第2ケース部材f2及び第3ケース部材f3によりゴム材1が保持されている。かかるゴム材1は、弾力を有して内部の流路を液密に保持し得るもので、略中央には、スリット1aが形成されている。このスリット1aを後述する接続ライン3のコネクタ4にて押し広げることにより、当該コネクタ4の先端部4aを内部の流路に連通可能とされている。
【0026】
また、第3ケース部材f3には、ゴム材1の表面を外部に臨ませる孔f3aが形成されており、当該孔f3aを介してコネクタ4をゴム材1のスリット1aに挿通可能とされている。第2ケース部材f2の両端部には、流体の流通ラインを構成する血液回路αを接続可能な接続部f2aがそれぞれ形成されており、当該血液回路αを流れる血液等の液体が筐体F内の流路(特に第1ケース部材f1と第2ケース部材f2とで構成される流路)を流通し得るようになっている。
【0027】
ここで、第1ケース部材f1は、第2ケース部材f2及び第3ケース部材f3の外側を覆って連結されたもので、一対の接続部2a、2bが一体成形されている。すなわち、第1ケース部材f1における接続部2a、2bとの境界部位には、他の部位より肉厚が小さい薄肉部aが形成されており、かかる薄肉部aにより接続部2a、2bが第1ケース部材f1に対して折れ曲がって動作し得るようになっている。
【0028】
本実施形態に係る接続部2a、2bは、筒状部材を半割りにした2つの部材で構成されており、それぞれが薄肉部aを中心に折れ曲がって揺動自在とされたもので、図1〜3に示すように、互いに合致させることにより、ゴム材1の上部を筒状に覆った閉塞状態と、図4〜6に示すように、互いに離間させることにより、ゴム材1の上部を開放した開放状態とで任意切り換え可能とされている。これにより、接続部2a、2bが開放状態のとき、図7、8に示すように、ゴム材1の表面を外部に臨ませることが可能とされており、後述する接続ライン3の接続やゴム材1の表面の清掃(消毒)等が容易に行われるようになっている。
【0029】
また、接続部2a、2bのそれぞれの内部には、当該接続部2a、2bが閉塞状態とされたとき、接続ライン3のコネクタ4に形成されたストッパ4b(図9、10参照)を係止して抜け止め可能な係止部g(図12、14参照)が形成されている。すなわち、接続部2a、2bを合致させて閉塞状態とすることにより、ゴム材1のスリット1aに挿通したコネクタ4を係止部gにて係止して抜け止め可能とされているのである。さらに、接続部2a、2bの外周面には、当該接続部2a、2bが閉塞状態とされたとき、後述するロック手段5の雌ネジ部5a(図10、14参照)と螺合可能な雄ネジ部2aa、2baが形成されている。
【0030】
一方、接続ライン3は、可撓性チューブから成るもので、ゴム材1のスリット1aに挿通可能なコネクタ4(所謂「オスルアーコネクタ」と称されるもの)が先端に形成されており、当該コネクタ4をスリット1aに挿通させて血液回路αを流れる血液等の流体を採取或いは投与すべく薬剤等の別個の流体を当該血液回路αに注入し得るものである。すなわち、接続ライン3は、図9、10に示すように、先端に樹脂製のコネクタ4が取り付けられており、このコネクタ4をゴム材1のスリット1aに挿通させることにより、本ゴムボタンに接続可能な構成とされている。
【0031】
かかるコネクタ4の先端部4aは、テーパ形状とされており、ゴム材1のスリット1aに対する挿通を容易に行わせ得るようになっている。また、接続ライン3の先端部(すなわち、コネクタ4が形成された部位)には、コネクタ4の長手方向に移動自在とされたカップ状のロック手段5(所謂「ロックリング」と称されるもの)が取り付けられている。かかるロック手段5は、閉塞状態の接続部2a、2bを覆い得る(図14参照)とともに内周面に雌ネジ部5aが形成された樹脂製部品から成り、当該雌ネジ部5aと接続部2a、2bに形成された雄ネジ部2aa、2baとの螺合により、接続部2a、2bがロックされて当該接続部2a、2bの閉塞状態が強固に保持されるようになっている。
【0032】
さらに、コネクタ4の所定部位には、外方に円環状に突出してロック手段5の抜け止めを図るためのストッパ部4bが形成されている。このストッパ部4bにより、ロック手段5が干渉してコネクタ4から抜け落ちてしまうのを防止し得るとともに、接続部2a、2bを閉塞状態とした際、ゴム材1のスリット1aに挿通したコネクタ4のストッパ部4bを係止部gにて係止させることができ、これにより当該コネクタ4のゴム材1からの抜け止めを可能としている。なお、本実施形態に係るストッパ部4bは、円環状に突出したものとされているが、一部のみ外方に突出したもの或いは周方向に間欠的に外方に突出したもの等であってもよい。
【0033】
次に、本実施形態に係るゴムボタンにおける接続ライン3との接続方法について説明する。
先ず、図4〜8に示すように、接続部2a、2bを開放状態としておくとともに、接続ライン3の先端に形成されたコネクタ4の先端部4aをゴム材1のスリット1aに挿通させる。その後、接続部2a、2bを閉塞状態に切り換えて、図11、12に示すように、コネクタ4を当該接続部2a、2bで囲む如く覆うようにする。このとき、図12に示すように、コネクタ4のストッパ部4bを係止部gにて係止させておく。
【0034】
そして、ロック手段5を下方に移動させ、図13〜15に示すように、当該ロック手段5の雌ネジ部5aと接続部2a、2bに形成された雄ネジ部2aa、2baとを螺合させる。これにより、接続部2a、2bがロック(閉塞状態から開放状態に移動するのを規制)されて当該接続部2a、2bの閉塞状態が強固に保持されることとなる。しかして、コネクタ4が強固に固定されることとなり、接続ライン3の接続状態を確実に維持させることができる。
【0035】
一方、本ゴムボタンに対する接続ライン3の接続を解きたい場合は、雌ネジ部5aと雄ネジ部2aa、2baとの螺合を解きながらロック手段5を上方へ移動させ、接続部2a、2bのロックを解く。その後、接続部2a、2bを互いに離間させて開放状態として、コネクタ4のストッパ部4bと係止部gとの係止を解くとともに、当該コネクタ4をスリット1aから引き抜き、ゴム材1から取り外す。これにより、接続ライン3を本ゴムボタンから取り外すことができ、その取り外された状態においては、接続部2a、2bが開放状態であるため、シリンジ等の先端をゴム材1に挿通させたり或いはゴム材1の表面の清掃(消毒)を容易に行わせることが可能とされている。
【0036】
本実施形態によれば、接続部2a、2bは、筐体Fを構成する第1ケース部材f1に一体成形され、閉塞状態と開放状態とで切り換え可能とされたので、筐体部Fと接続部2a、2bとを別個製造するものに比べ、製造工程を削減することができ、製造コストをより低減させることができる。なお、本実施形態においては、薄肉部aを形成することにより接続部2a、2bの閉塞状態と開放状態との間の切り換えが可能とされているが、例えば間欠的なスリットや切欠き、ノッチ或いはヒンジ等を形成しておき、接続部2a、2bの閉塞状態と開放状態との間の切り換えを行わせるようにしてもよい。
【0037】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
本実施形態に係るゴムボタンは、第1の実施形態と同様、患者の血液を体外循環させつつ浄化するための血液回路(流体の流通ライン)に接続され、当該血液回路内と連通可能なスリットが形成されたゴム材を有したもので、図16〜21に示すように、本ゴムボタンの筐体F’と、一対の接続部7a、7bとから主に構成されている。なお、本ゴムボタンに接続するための接続ラインについては、第1の実施形態と同様(図9、10参照)であるため、詳細な説明を省略する。
【0038】
筐体F’は、それぞれ樹脂製部材から成る第1ケース部材f4、第2ケース部材f5で構成されており、これら第1ケース部材f4及び第2ケース部材f5によりゴム材6が保持されている。かかるゴム材6は、弾力を有して内部の流路を液密に保持し得るもので、第1の実施形態におけるゴム材1と同様、その略中央には、スリット6aが形成されている。このスリット6aを後述する接続ライン3のコネクタ4にて押し広げることにより、当該コネクタ4の先端部を内部の流路に連通可能とされている。
【0039】
また、第2ケース部材f5には、ゴム材6の表面を外部に臨ませる孔f5aが形成されており、当該孔f5aを介してコネクタ4をゴム材6のスリット6aに挿通可能とされている。第1ケース部材f4の両端部には、流体の流通ラインを構成する血液回路αを接続可能な接続部f4aがそれぞれ形成されており、当該血液回路αを流れる血液等の液体が筐体F’内の流路(第1ケース部材f4と第2ケース部材f5とで構成される流路)を流通し得るようになっている。
【0040】
ここで、本実施形態においては、一対の接続部7a、7bが筐体F’を構成する第2ケース部材f5とは別体として形成されるとともに、当該第2ケース部材f5の所定部位に連結部bにて連結されて閉塞状態と開放状態とで切り換え可能とされている。すなわち、接続部7a、7bには、連結部bが延設されているとともに、当該連結部bの先端が第2ケース部材f5の所定部位に固定(例えば、接着剤による接着、超音波や高周波ウェルダによる溶着、嵌め込み嵌合などにより固定)されて一対の接続部7a、7bが第2ケース部材と一体とされており、かかる連結部bにより接続部7a、7bが第2ケース部材f5に対して動作し得るようになっている。
【0041】
本実施形態に係る接続部7a、7bは、筒状部材を半割りにした2つの部材で構成されており、それぞれが連結部bを介して動作自在とされたもので、図16、17に示すように、互いに合致させることにより、ゴム材6の上部を筒状に覆った閉塞状態と、図18〜21に示すように、互いに離間させることにより、ゴム材6の上部を開放した開放状態とで任意切り換え可能とされている。これにより、接続部7a、7bが開放状態のとき、図20、21に示すように、ゴム材6の表面を外部に臨ませることが可能とされており、接続ライン3の接続やゴム材6の表面の清掃(消毒)等が容易に行われるようになっている。
【0042】
また、接続部7a、7bのそれぞれの内部には、当該接続部7a、7bが閉塞状態とされたとき、接続ライン3のコネクタ4に形成されたストッパ4b(図9、10参照)を係止して抜け止め可能な係止部h(図23、26参照)が形成されている。すなわち、接続部7a、7bを合致させて閉塞状態とすることにより、ゴム材6のスリット6aに挿通したコネクタ4を係止部hにて係止して抜け止め可能とされているのである。さらに、接続部7a、7bの外周面には、当該接続部7a、7bが閉塞状態とされたとき、ロック手段5の雌ネジ部5a(図10、25参照)と螺合可能な雄ネジ部7aa、7baが形成されている。
【0043】
次に、本実施形態に係るゴムボタンにおける接続ライン3との接続方法について説明する。
先ず、図18〜21に示すように、接続部7a、7bを開放状態としておくとともに、接続ライン3の先端に形成されたコネクタ4の先端部4aをゴム材6のスリット6aに挿通させる。その後、接続部7a、7bを閉塞状態に切り換えて、図22、23に示すように、コネクタ4を当該接続部7a、7bで囲む如く覆うようにする。このとき、図23に示すように、コネクタ4のストッパ部4bを係止部hにて係止させておく。
【0044】
そして、ロック手段5を下方に移動させ、図24〜26に示すように、当該ロック手段5の雌ネジ部5aと接続部7a、7bに形成された雄ネジ部7aa、7baとを螺合させる。これにより、接続部7a、7bがロック(閉塞状態から開放状態に移動するのを規制)されて当該接続部7a、7bの閉塞状態が強固に保持されることとなる。しかして、コネクタ4が強固に固定されることとなり、接続ライン3の接続状態を確実に維持させることができる。
【0045】
一方、本ゴムボタンに対する接続ライン3の接続を解きたい場合は、雌ネジ部5aと雄ネジ部7aa、7baとの螺合を解きながらロック手段5を上方へ移動させ、接続部7a、7bのロックを解く。その後、接続部7a、7bを互いに離間させて開放状態として、コネクタ4のストッパ部4bと係止部hとの係止を解くとともに、当該コネクタ4をスリット6aから引き抜き、ゴム材6から取り外す。これにより、接続ライン3を本ゴムボタンから取り外すことができ、その取り外された状態においては、接続部7a、7bが開放状態であるため、シリンジ等の先端をゴム材6に挿通させたり或いはゴム材6の表面の清掃(消毒)を容易に行わせることが可能とされている。
【0046】
本実施形態によれば、接続部7a、7bは、筐体F’を構成する第2ケース部材f5とは別体として形成されるとともに、当該第2ケース部材f5に連結部bを介して連結されて一体化され、閉塞状態と開放状態とで切り換え可能とされたので、筐体部F’と接続部7a、7bとの連結状態を種々設定することができ、接続部7a、7bの閉塞状態と開放状態との切り換えをより円滑に行わせるよう設定することができる。すなわち、連結部bの材質や寸法を種々変更することにより、筐体部F’と接続部7a、7bとの連結状態を任意に設定することができるのである。
【0047】
上記第1の実施形態及び第2の実施形態によれば、ゴム材(1、6)の上部を筒状に覆った閉塞状態と当該ゴム材(1、6)の上部を開放した開放状態とで任意切り換え可能とされるとともに、当該閉塞状態でスリット(1a、6a)に挿通したコネクタ4を係止して抜け止め可能とされた接続部(2a、2b)(7a、7b)を具備したので、ゴム材(1、6)の表面の清掃(消毒)作業を容易に行わせることができるとともに、部品点数を削減して製造コストの低減及び管理の容易化を図ることができる。特に、本実施形態においては、接続部(2a、2b)(7a、7b)により、閉塞状態でスリット(1a、6a)に挿通したコネクタ4を係止して抜け止め可能とされたので、従来の如き別個にフロート等を必要とせず、部品点数を削減することができる。
【0048】
また、接続ライン3の先端部(本実施形態においてはコネクタ4が形成された部位)には、閉塞状態の接続部(2a、2b)(7a、7b)を覆い得るとともに内周面に雌ネジ部5aが形成されたロック手段5が取り付けられるとともに、接続部(2a、2b)(7a、7b)には、外周面に雌ネジ部5aと螺合し得る雄ネジ部(2aa、2ba)(7aa、7ba)が形成され、当該雌ネジ部5aと雄ネジ部(2aa、2ba)(7aa、7ba)との螺合により接続部(2a、2b)(7a、7b)がロックされて当該接続部(2a、2b)(7a、7b)の閉塞状態が保持されるので、より強固に接続部(2a、2b)(7a、7b)の閉塞状態を保持でき、且つ、コネクタ4を係止することができる。
【0049】
さらに、コネクタ4には、外方に突出してロック手段5の抜け止めを図るためのストッパ部4bが形成されるとともに、接続部(2a、2b)(7a、7b)には、当該ストッパ部4bと係止可能な係止部(g、h)が形成されたので、当該ストッパ部材4bが、ロック手段5の抜け止め機能と接続部(2a、2b)(7a、7b)に対するコネクタ4の係止機能とを兼ね備えることができる。
【0050】
また、接続部(2a、2b)(7a、7b)は、筒状部材を半割りにした2つの部位で構成され、当該2つの部位は、互いを合致させることにより閉塞状態となる位置と、互いを離間させて開放状態となる位置との間で揺動自在にケース部材(第1ケース部材f1、第2ケース部材f5)に接続されて成るので、接続部(2a、2b)(7a、7b)を備えたゴムボタンの構成を簡素化することができる。また更に、流通ラインは、患者の血液を体外循環させつつ浄化するための血液回路αから成ることから、一般に種々の採血作業や薬剤注入作業がなされる血液回路αに本ゴムボタンを接続したので、ゴム材(1、6)の表面の清掃(消毒)作業を容易に行わせることにより複数回に分けて採血作業や薬剤注入作業が可能になる。
【0051】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されず、例えば接続部を3つ以上の部材から成るものとし、それらを互いに合致させることによりゴム材の上部を筒状に覆った閉塞状態とされるとともに、それら互いに離間させることによりゴム材の上部を開放した開放状態とし得るものとしてもよい。また、閉塞状態でゴム材のスリットに挿通したコネクタを係止して抜け止め可能とされた接続部を具備したものであれば、当該閉塞状態の接続部をロックする手段がロック手段5とは構成上相違するものとしてもよい。
【0052】
さらに、ゴムボタンの形状や部品は、本実施形態にものに限定されず、種々形態のもの(例えば、スリットやキャップの形状が異なるもの等)に適用することができる。また更に、本実施形態に適用されるゴムボタンは、患者の血液を体外循環させつつ浄化するための血液回路に接続されているが、他の流体の流路(輸液ライン等)に接続されたゴムボタンとすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
ゴム材の上部を筒状に覆った閉塞状態と当該ゴム材の上部を開放した開放状態とで任意切り換え可能とされるとともに、当該閉塞状態でスリットに挿通したコネクタを係止して抜け止め可能とされた接続部を具備したゴムボタンであれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0054】
1 ゴム材
1a スリット
2a、2b 接続部
2aa、2ba 雄ネジ部
3 接続ライン
4 コネクタ
4b ストッパ部
5 ロック手段
5a 雌ネジ部
6 ゴム材
6a スリット
7a、7b 接続部
7aa、7ba 雄ネジ部
g、h 係止部
F、F’ 筐体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の流通ラインに接続され、当該流通ライン内と連通可能なスリットが形成されたゴム材を有するとともに、当該ゴム材のスリットに挿通可能なコネクタが先端に形成されて当該コネクタをスリットに挿通させて当該流通ラインを流れる流体を採取或いは別個の流体を当該流通ラインに注入し得る接続ラインを接続可能とされたゴムボタンにおいて、
前記ゴム材の上部を筒状に覆った閉塞状態と当該ゴム材の上部を開放した開放状態とで任意切り換え可能とされるとともに、当該閉塞状態で前記スリットに挿通した前記コネクタを係止して抜け止め可能とされた接続部を具備したことを特徴とするゴムボタン。
【請求項2】
前記接続部は、筐体を構成するケース部材に一体成形され、前記閉塞状態と開放状態とで切り換え可能とされたことを特徴とする請求項1記載のゴムボタン。
【請求項3】
前記接続部は、筐体を構成するケース部材とは別体として形成されるとともに、当該ケース部材に連結されて前記閉塞状態と開放状態とで切り換え可能とされたことを特徴とする請求項1記載のゴムボタン。
【請求項4】
前記接続ラインの先端部には、前記閉塞状態の接続部を覆い得るとともに内周面に雌ネジ部が形成されたロック手段が取り付けられるとともに、前記接続部には、外周面に前記雌ネジ部と螺合し得る雄ネジ部が形成され、当該雌ネジ部と雄ネジ部との螺合により前記接続部がロックされて当該接続部の閉塞状態が保持されることを特徴とする請求項1〜3の何れか1つに記載のゴムボタン。
【請求項5】
前記コネクタには、外方に突出して前記ロック手段の抜け止めを図るためのストッパ部が形成されるとともに、前記接続部には、当該ストッパ部と係止可能な係止部が形成されたことを特徴とする請求項4記載のゴムボタン。
【請求項6】
前記接続部は、筒状部材を半割りにした2つの部位で構成され、当該2つの部位は、互いを合致させることにより前記閉塞状態となる位置と、互いを離間させて前記開放状態となる位置との間で揺動自在に前記ケース部材に接続されて成ることを特徴とする請求項2〜5の何れか1つに記載のゴムボタン。
【請求項7】
前記流通ラインは、患者の血液を体外循環させつつ浄化するための血液回路から成ることを特徴とする請求項1〜6の何れか1つに記載のゴムボタン。
【請求項1】
流体の流通ラインに接続され、当該流通ライン内と連通可能なスリットが形成されたゴム材を有するとともに、当該ゴム材のスリットに挿通可能なコネクタが先端に形成されて当該コネクタをスリットに挿通させて当該流通ラインを流れる流体を採取或いは別個の流体を当該流通ラインに注入し得る接続ラインを接続可能とされたゴムボタンにおいて、
前記ゴム材の上部を筒状に覆った閉塞状態と当該ゴム材の上部を開放した開放状態とで任意切り換え可能とされるとともに、当該閉塞状態で前記スリットに挿通した前記コネクタを係止して抜け止め可能とされた接続部を具備したことを特徴とするゴムボタン。
【請求項2】
前記接続部は、筐体を構成するケース部材に一体成形され、前記閉塞状態と開放状態とで切り換え可能とされたことを特徴とする請求項1記載のゴムボタン。
【請求項3】
前記接続部は、筐体を構成するケース部材とは別体として形成されるとともに、当該ケース部材に連結されて前記閉塞状態と開放状態とで切り換え可能とされたことを特徴とする請求項1記載のゴムボタン。
【請求項4】
前記接続ラインの先端部には、前記閉塞状態の接続部を覆い得るとともに内周面に雌ネジ部が形成されたロック手段が取り付けられるとともに、前記接続部には、外周面に前記雌ネジ部と螺合し得る雄ネジ部が形成され、当該雌ネジ部と雄ネジ部との螺合により前記接続部がロックされて当該接続部の閉塞状態が保持されることを特徴とする請求項1〜3の何れか1つに記載のゴムボタン。
【請求項5】
前記コネクタには、外方に突出して前記ロック手段の抜け止めを図るためのストッパ部が形成されるとともに、前記接続部には、当該ストッパ部と係止可能な係止部が形成されたことを特徴とする請求項4記載のゴムボタン。
【請求項6】
前記接続部は、筒状部材を半割りにした2つの部位で構成され、当該2つの部位は、互いを合致させることにより前記閉塞状態となる位置と、互いを離間させて前記開放状態となる位置との間で揺動自在に前記ケース部材に接続されて成ることを特徴とする請求項2〜5の何れか1つに記載のゴムボタン。
【請求項7】
前記流通ラインは、患者の血液を体外循環させつつ浄化するための血液回路から成ることを特徴とする請求項1〜6の何れか1つに記載のゴムボタン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公開番号】特開2012−254204(P2012−254204A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−129127(P2011−129127)
【出願日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(000226242)日機装株式会社 (383)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(000226242)日機装株式会社 (383)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]