ゴムマット
【課題】優れた落下物破損防止機能を有するゴムマットを提供する。
【解決手段】台ゴムシート部3を有するゴムマット10において、台ゴムシート部3が、シート本体32と多数の突起部31とからなっており、突起部31は、シート本体32の表面に、シート本体32と一体に、形成されており、敷設した台ゴムシート部3の表面に、1kgの鉄球を、85cmの高さから自由落下させた場合に、台ゴムシート部3が受ける衝撃力が、500G以下となるような、衝撃吸収性能を、有しており、シート本体32の厚さTと突起部31の高さHとの和Sが、8mm以下である。
【解決手段】台ゴムシート部3を有するゴムマット10において、台ゴムシート部3が、シート本体32と多数の突起部31とからなっており、突起部31は、シート本体32の表面に、シート本体32と一体に、形成されており、敷設した台ゴムシート部3の表面に、1kgの鉄球を、85cmの高さから自由落下させた場合に、台ゴムシート部3が受ける衝撃力が、500G以下となるような、衝撃吸収性能を、有しており、シート本体32の厚さTと突起部31の高さHとの和Sが、8mm以下である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた落下物破損防止機能を有するゴムマットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
表面に多数の突起部を有するゴムマットは、従来から知られている。例えば、発泡ゴムからなり、且つ、突起部の表面に薄い非発泡ゴム層を有する、ゴムマットが、知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3450775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかるに、特許文献1のゴムマットは、落下物の破損を防止するためのものではない。また、仮に、特許文献1のゴムマットは、落下物の破損を防止する用途に用いたとしても、突起部の強度が十分ではなく、したがって、十分な落下物破損防止機能を発揮できない、という問題点がある。
【0005】
本発明は、優れた落下物破損防止機能を有するゴムマットを、提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、台ゴムシート部を有するゴムマットにおいて、台ゴムシート部が、シート本体と多数の突起部とからなっており、上記突起部は、シート本体の表面に、シート本体と一体に、形成されており、台ゴムシート部が、JIS−A−6519の床硬さ試験方法による最大衝撃加速度が90G以下、好ましくは80G以下、となるような、衝撃吸収性能を、有しており、シート本体の厚さと突起部の高さとの和が、6mm以下である、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明のゴムマットによれば、優れた衝撃吸収性能を有しているので、十分な落下物破損防止機能を発揮できる。しかも、シート本体の厚さと突起部の高さとの和が、6mm以下、好ましくは5mm以下、であるので、床面からゴムマット上に移る際に、違和感を感じたり躓いてしまう危険性を、低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1実施形態のゴムマットの一部を示す断面図である。
【図2】図1のゴムマットの平面部分図である。
【図3】床硬さ試験に用いる測定装置わ示す正面断面図である。
【図4】図1のゴムマットの製造方法を示す断面図である。
【図5】第2実施形態のゴムマットの一部を示す断面図である。
【図6】図4のゴムマットの製造方法を示す断面図である。
【図7】第7実施形態のゴムマットの一部を示す断面図である。
【図8】図7のゴムマットの製造方法を示す断面図である。
【図9】別の実施形態のゴムマットの平面部分図である。
【図10】図9のゴムマットを製造するための多孔板の平面部分図である。
【図11】別の例の多孔板の平面部分図である。
【図12】更に別の例の多孔板の平面部分図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1実施形態]
図1は、本実施形態のゴムマットの一部を示す断面図である。
【0010】
本実施形態のゴムマット10は、本体部101とエッジ部102とからなっている。エッジ部102は、本体部101の周縁に形成されている。本体部101は、例えば、平面視矩形を有している。
【0011】
本体部101は、台ゴムシート部3からなっている。台ゴムシート部3は、シート本体32と多数の突起部31とからなっている。多数の突起部31は、シート本体32の表面に、シート本体32と一体に、形成されている。
【0012】
台ゴムシート部3は、非発泡ゴムからなっている。また、エッジ部102も、非発泡ゴムからなっている。非発泡ゴムとしては、例えば、NBRを使用できる。
【0013】
図2は、ゴムマット10の平面部分図である。突起部31は、円柱形を有している。なお、突起部31は略円柱形でもよい。突起部31が円柱形又は略円柱形を有していることにより、突起部31の耐久性を向上できる。多数の突起部31は、等間隔に配置されており、且つ、隣接する列3A、3Bにおいて千鳥状となるように配置されている。図2の配置では、列3Aの突起部31と列3Bの突起部とで構成される三角形Zの頂角αが60度である。すなわち、図2の千鳥状配置は、「60度千鳥配置」と称される。
【0014】
シート本体32の厚さTは、2.5〜4mmが好ましい。2.5mm未満である場合には、衝撃吸収性能が十分でない場合がある。一方、4mmを超える場合には、マットを折り曲げたり巻いたりして保管することが難しくなり、取り扱い難くなる。
【0015】
突起部31の高さHは、1.5〜3mmが好ましい。突起部31の高さHが、1.5mm未満である場合には、マットが品疎になり、また、マットの衝撃吸収性能が十分でない場合があり、一方、3mmを超える場合には、突起部31の耐久性が劣る場合がある。
【0016】
シート本体32の厚さTと突起部31の高さHとの和Sは、6mm以下、好ましくは5mm以下である。この和Sが6mmより大きい場合には、床面からゴムマット10上に移る際に、違和感を感じたり躓いてしまう危険性が、増大する。このような傾向は、和Sが6mm以下、特に5mm以下である場合には、小さい。
【0017】
更に、突起部31の上端面310の直径D(図2)は、2〜4mmが好ましい。直径Dが、2mm未満である場合には、突起部31の耐久性が劣る場合があり、一方、4mmを超える場合には、十分な衝撃吸収性能を発揮するのに必要な数だけの突起部31を、作ることができない場合があり、また、コップや皿などの什器などがマット上に落下した場合に、跳ね返りが大きくなる場所が生じる恐れがある。
【0018】
突起部31は、上端面310に、シボ目又は切り込みを有しているのが好ましい。これによれば、落下物破損防止効果の他に、スリップ抑制効果などを、高めることができる。
【0019】
本体部101の平面視における総面積に対する、突起部31の上端面310の合計面積の割合は、20〜35%が好ましい。20%未満の場合には、十分な衝撃吸収性能を発揮できない場合があり、一方、35%を超える場合には、マット上に落下した什器の跳ね返り高さが高くなり、落下した什器がマット外に飛び出して床に当って破損する恐れがある。
【0020】
台ゴムシート部3は、耐オゾン剤を含有しているのが好ましい。これによれば、特にNBRのような耐オゾン性の低いゴムを用いた場合でも、耐久性の良いマットを得ることができる。
【0021】
更に、台ゴムシート部3は、抗菌剤及び/又は抗カビ剤を含有してもよい。これによれば、衛生性を更に高めることができる。
【0022】
上記構成のゴムマット10は、ゴムマット10をコンクリート床に敷設した状態で、台ゴムシート部3が、JIS−A−6519の床硬さ試験方法による最大衝撃加速度が90G以下となるような、衝撃吸収性能を、有している。なお、JIS−A−6519の床硬さ試験は、図3に示される測定装置80を用いて行われる。具体的には、ゴムシート部3の上にゴム板81を置き、高さ20cmから重量3.85kgのジグ82を自由落下させ、ゴム板81に衝突した時の加速度の最大値を測定する。
【0023】
更に、上記構成のゴムマット10は、1kgの鉄球を自由落下させた場合の台ゴムシート部3の反発係数が0.2以下であるような、弾力性を、有している。なお、この反発係数は、次のようにして求めた。すなわち、ゴムマット10をコンクリート床に敷設した状態で、台ゴムシート部3の表面に、1kgの鉄球を85cmの高さから自由落下させ、鉄球の跳ね返り高さを測定し、その跳ね返り高さから算出した。
【0024】
次に、上記構成のゴムマット10の製造方法を、図4を参照しながら説明する。
【0025】
[i]まず、未加硫非発泡ゴムシート3Aを用意する。ゴムシート3Aは、所定のゴム配合物からなっている。そのゴム配合物におけるゴム成分としては、ニトリルゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、エチレンブタジエンゴム、シリコーンゴム、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴムなどを、使用でき、特に、コスト及び耐油性の観点から、ニトリルゴムを好ましく使用できる。
【0026】
[ii]次に、ゴムシート3Aの周縁に、一部102Bを重ねるように、ゴムシート3Aと同じゴム配合物からなる未加硫非発泡ゴムテープ102Aを載せる。なお、ゴムテープ102Aは、ゴムシート3Aとは異なるゴム配合物からなってもよい。
【0027】
[iii]次に、ゴムシート3Aの表面に、及び、ゴムテープ102Aの一部102Cの表面に、多孔板5を押し付けた状態で、これらを、厚さ方向に、加圧し且つ加熱して、ゴムシート3A及びゴムテープ102Aを加硫させる。このとき、ゴムシート3Aの一部が多孔板5の孔51に流れ込んで加硫され、突起部31が形成される。なお、図4において、一部102Cの幅寸法X1は5〜10mmが好ましく、一部102Bの幅寸法X2は10〜20mmが好ましい。また、多孔板5の上面には、離型シート(図示せず)を重ねておく。多孔板5としては、パンチングメタルや、シリコーンゴム製の多孔シートなどを、好ましく使用できる。
【0028】
[iv]次に、多孔板5を取り外す。
【0029】
[v]そして、加硫されたゴムテープ102Aを適宜の幅にトリミングして、エッジ部102を得る。
【0030】
これにより、表面に多数の突起部31を有する、ゴムマット10が、得られる。
【0031】
上記構成のゴムマット10は、優れた衝撃吸収性能を有しているので、次のような効果を発揮できる。
(1)マット上に、コップや皿などの什器などが落下した場合に、好適な破損防止効果を発揮できる。すなわち、上記構成のゴムマット10は、優れた落下物破損防止機能を有している。
(2)マットを踏んだ時やマット上で長時間立ち仕事をする時などに、好適な疲労軽減効果を発揮できる。
【0032】
また、上記構成のゴムマット10は、表面に多数の突起部31を有しているので、マット上を歩行する際に、好適なスリップ抑制効果を発揮できる。
【0033】
[第2実施形態]
図4は、本実施形態のゴムマットの一部を示す断面図である。
【0034】
本実施形態のゴムマット10は、次の点のみが第1実施形態のゴムマット10とは異なっている。すなわち、台ゴムシート部3のシート本体32が、突起部31と一体の上層部33と、下層部34と、からなっている。また、下層部34の硬度が、突起部31及び上層部33の硬度より、低い。なお、突起部31及び上層部33と、下層部34とは、非発泡ゴムからなっているが、異なる配合や異なるポリマー種の非発泡ゴムからなってもよい。非発泡ゴムとしては、例えば、NBRを使用できる。
【0035】
上記構成のゴムマット10も、ゴムマット10をコンクリート床に敷設した状態で、台ゴムシート部3が、JIS−A−6519の床硬さ試験方法による最大衝撃加速度が90G以下となるような、衝撃吸収性能を、有している。
【0036】
更に、上記構成のゴムマット10も、1kgの鉄球を自由落下させた場合の台ゴムシート部3の反発係数が0.2以下であるような、弾力性を、有している。
【0037】
次に、上記構成のゴムマット10の製造方法を、図6を参照しながら説明する。
【0038】
[i]まず、未加硫非発泡ゴムシート3A及び未加硫非発泡ゴムシート3Bを用意する。ゴムシート3A、3Bは、所定のゴム配合物からなっており、同じポリマー種でもよく又は異なるポリマー種でもよい。そのゴム配合物におけるゴム成分としては、ニトリルゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、エチレンブタジエンゴム、シリコーンゴム、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴムなどを、使用でき、特に、コスト及び耐油性の観点から、ニトリルゴムを好ましく使用できる。
【0039】
[ii]次に、ゴムシート3Bの上に、ゴムシート3Aを積層して、積層体100を形成する。このとき、積層体100の周縁には、第1実施形態と同様に、一部102Bを積層体100に重ねるように、未加硫非発泡ゴムテープ102Aを載せる。なお、ゴムテープ102Aは、ゴムシート3A、3Bとは異なるゴム配合物からなってもよい。
【0040】
[iii]次に、積層体100の表面に、及び、ゴムテープ102Aの一部102Cの表面に、多孔板5を押し付けた状態で、これらを、厚さ方向に、加圧し且つ加熱して、ゴムシート3A、3B及びゴムテープ102Aを加硫させる。このとき、ゴムシート3Aの一部が多孔板5の孔51に流れ込んで加硫され、突起部31が形成される。
【0041】
[iv]次に、多孔板5を取り外す。
【0042】
[v]そして、加硫されたゴムテープ102Aを適宜の幅にトリミングして、エッジ部102を得る。
【0043】
これにより、表面に多数の突起部31を有する、ゴムマット10が、得られる。
【0044】
上記構成のゴムマット10によれば、上層部33の下側に、上層部33よりも低い硬度を有する下層部34を有しているので、上層部33が受ける衝撃が、下層部34に伝わる時に下層部34の広い面積で受けられることとなる。したがって、第1実施形態のゴムマット10と同様の効果を、より効果的に発揮できる。
【0045】
[第3実施形態]
本実施形態のゴムマット10は、次の点のみが第1実施形態のゴムマット10とは異なっている。すなわち、台ゴムシート部3のシート本体32が、突起部31と一体の上層部33と、下層部34と、からなっている。また、突起部31及び上層部33が非発泡ゴムからなっており、下層部34が発泡ゴムからなっている。非発泡ゴム及び発泡ゴムとしては、例えば、NBRを使用できる。
【0046】
上記構成のゴムマット10も、ゴムマット10をコンクリート床に敷設した状態で、台ゴムシート部3が、JIS−A−6519の床硬さ試験方法による最大衝撃加速度が90G以下となるような、衝撃吸収性能を、有している。
【0047】
更に、上記構成のゴムマット10も、1kgの鉄球を自由落下させた場合の台ゴムシート部3の反発係数が0.2以下であるような、弾力性を、有している。
【0048】
上記構成のゴムマット10は、未加硫非発泡ゴムシート3Bの代わりに未加硫発泡ゴムシートを用い、その他は第2実施形態と同様にして、得ることができる。
【0049】
上記構成のゴムマット10によれば、次のような効果を発揮できる。
(1)非発泡ゴムからなる上層部33の下側に発泡ゴムからなる下層部34を有しているので、上層部33が受ける衝撃が、下層部34に伝わる時に下層部34の広い面積で受けられることとなる。したがって、第1実施形態のゴムマット10と同様の効果を、より効果的に発揮できる。
【0050】
(2)発泡ゴムからなる下層部34を有しているので、非発泡ゴムのみからなるゴムマットに比して、単位面積当りの重量を小さくできる。したがって、取り扱い易い。
【0051】
[第4実施形態]
図7は、本実施形態のゴムマットの一部を示す断面図である。
【0052】
本実施形態のゴムマット10は、次の点のみが第1実施形態のゴムマット10とは異なっている。すなわち、台ゴムシート部3のシート本体32が、突起部31と一体の上層部33と、下層部34と、からなっている。また、突起部31及び上層部33が非発泡ゴムからなっており、下層部34が発泡ゴムからなっている。非発泡ゴム及び発泡ゴムとしては、例えば、NBRを使用できる。更に、上層部33と下層部34との間に、補強シート2を有している。
【0053】
補強シート2は、繊維構造体からなっていることが好ましく、特にメッシュ構造を有しているのが好ましい。繊維としては、合成繊維、天然繊維、再生繊維などを、使用できる。メッシュ構造の場合には、軽量であり、しかも、上層部33の非発泡ゴムと下層部34の発泡ゴムとが、メッシュ構造の各目を通して、接触して、確実に接合される、という利点がある。すなわち、非発泡ゴムと発泡ゴムとを、好適に一体化できるので、より耐久性の良いマットを得ることができる。なお、補強シート2に接着剤処理又は粘着剤処理を施せば、非発泡ゴムと発泡ゴムとを、すなわち、上層部33と下層部34とを、更に好適に一体化できる。
【0054】
上記構成のゴムマット10も、ゴムマット10をコンクリート床に敷設した状態で、台ゴムシート部3が、JIS−A−6519の床硬さ試験方法による最大衝撃加速度が90G以下となるような、衝撃吸収性能を、有している。
【0055】
更に、上記構成のゴムマット10も、1kgの鉄球を自由落下させた場合の台ゴムシート部3の反発係数が0.2以下であるような、弾力性を、有している。
【0056】
次に、上記構成のゴムマット10の製造方法を、図8を参照しながら説明する。
【0057】
[i]まず、未加硫非発泡ゴムシート3A及び未加硫発泡ゴムシート3Cを用意する。両ゴムシート3A、3Cは、何れも、所定のゴム配合物からなっている。そのゴム配合物におけるゴム成分としては、ニトリルゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、エチレンブタジエンゴム、シリコーンゴム、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴムなどを、使用でき、特に、コスト及び耐油性の観点から、ニトリルゴムを好ましく使用できる。なお、ゴムシート3Cのゴム配合物には、発泡剤が含まれている。
【0058】
[ii]次に、ゴムシート3Cの上に、補強シート2、更には、ゴムシート3Aを、積層して、積層体100を形成する。このとき、積層体100の周縁には、第1実施形態と同様に、一部102Bを積層体100に重ねるように、ゴムシート3Aと同じゴム配合物からなる未加硫非発泡ゴムテープ102Aを載せる。なお、ゴムテープ102Aは、ゴムシート3Aとは異なるゴム配合物からなってもよい。
【0059】
[iii]次に、積層体100の表面に、及び、ゴムテープ102Aの一部102Cの表面に、多孔板5を押し付けた状態で、これらを、厚さ方向に、加圧し且つ加熱して、ゴムシート3A、3C及びゴムテープ102Aを加硫させる。このとき、ゴムシート3Aの一部が多孔板5の孔51に流れ込んで加硫され、突起部31が形成される。
【0060】
[iv]次に、多孔板5を取り外す。
【0061】
[v]そして、加硫されたゴムテープ102Aを適宜の幅にトリミングして、エッジ部102を得る。
【0062】
これにより、表面に多数の突起部31を有する、ゴムマット10が、得られる。
【0063】
上記構成のゴムマット10によれば、次のような効果を発揮できる。
(1)非発泡ゴムからなる上層部33の下側に補強シート2を有しているので、上層部33が受けた衝撃を、更に緩和できる。したがって、第2及び第3実施形態のゴムマット10と同様の効果を、より効果的に発揮できる。
【0064】
(2)補強シート2によってマット全体を補強できるので、マットの耐久性を向上できる。
【0065】
なお、下層部34は、突起部31及び上層部33よりも低い硬度を有する非発泡ゴムからなってもよい。この場合は、未加硫発泡ゴムシート3Cの代わりに、未加硫非発泡ゴムシート3Aよりも低い硬度を有する未加硫非発泡ゴムシート3Cを用いて製造する。
【0066】
[別の実施形態]
本実施形態は、上記実施形態に比して、突起部31の配置だけが異なっている。すなわち、本実施形態においては、平面視において、突起部は、その中心が、正六角形又は略正六角形の、全ての頂点位置又は略頂点位置に、及び、中心位置又は略中心位置に、在るよう、配置されて、7個の突起部31からなる第1ユニットを構成しており、第1ユニットは、その中心が、正六角形又は略正六角形の、全ての頂点位置又は略頂点位置に、及び、中心位置又は略中心位置に、在るよう、配置されて、7個の第1ユニットからなる第2ユニットを構成しており、第2ユニットは、互いに重ならないように且つ四方に並んで、配置されており、これにより、突起部の配置形態が構成されている。
【0067】
具体的には、突起部31の配置は、図9に示されるような「六角形配置」である。すなわち、突起部31は、一点鎖線Aで示されるように、小さい正六角形の各頂点位置とその中心位置とに配置されており、それによって、7個の突起部31からなるユニットXが、構成されている。そして、更に、ユニットXが、一点鎖線Bで示されるように、大きい正六角形の各頂点位置とその中心位置とに配置されており、それによって、7個のユニットX(すなわち、49個の突起部31)からなるユニットYが、構成されている。そして、ユニットYが、互いに重ならないように且つ四方に並んで、配置されている。
【0068】
突起部31の上記配置においては、突起部31は、平面視において、隣接する突起部31の間隙30を通る、幅1mmの直線の線分Eを、描いた場合に、どの位置からどの方向に描いても、線分Eが有限の長さを有するように、配置されている。特に、線分Eの長さは、全て20mm以下になることが好ましい。
【0069】
本実施形態によれば、上記実施形態の効果に加えて、更に、次のような効果を発揮できる。
(1)隣接する突起部31の間隙30の寸法Cが第1実施形態の配置(図2)と同じである場合において、第1実施形態に比して、単位面積当たりの突起部31の数を少なくできる。したがって、第1実施形態に比して、生産コストを低減できると共に、マットの軽量化を図ることができる。
【0070】
(2)突起部31は、上述のように、線分Eが有限の長さを有するように、配置されているので、マットのどの直線方向においても略隙間無く配置されている。したがって、マットは、どの直線方向においても、優れたグリップ力を発揮できる。なお、線分Eの幅が1mm未満の場合には、幅の寸法に関わらず、略同等のグリップ力を発揮できる。一方、線分Eの幅が1mmより大きい場合には、特にマットに水や油が付着した状態においてグリップ力の弱い直線方向が、生じる傾向がある。特に、全ての線分Eの長さが20mm以下である場合には、より優れたグリップ力を発揮できる。一方、線分Eの長さが20mmより長い部位では、特にマットに水や油が付着した状態において上記の場合よりグリップ力の弱い直線方向が、生じる傾向がある。
【0071】
(3)最長の線分Eより長い寸法Lを有する長尺物200の全てが、隣接する突起部31の間隙30中に嵌り込んでしまうのを、防止できる。ちなみに、第1実施形態の場合では、図2に示されるように、長尺物200が、間隙30中に嵌り込んでしまう。例えば、薄い皿が面を垂直にした状態でマット上に落下した場合において、皿のエッジ部分の長さがL以上である場合には、本実施形態によれば、皿のエッジ部分が隣接する突起部31の間隙30中に嵌り込むのを防止でき、したがって、破損防止効果を発揮できる。しかしながら、第1実施形態によれば、皿のエッジ部分が隣接する突起部31の間隙30中に嵌り込む危険性を回避できない。なお、線分Eの長さが20mm以下である場合には、エッジ部分が鋭角な皿であっても、エッジ部分の大部分が間隙30中に嵌り込むのを防止できる。
【実施例】
【0072】
以下、本発明の実施例について説明する。表1は、実施例1、2及び比較例1、2のゴムマットの、構成及び物性を、示している。表2は、実施例3〜7のゴムマットの、構成及び物性を、示している。
【0073】
【表1】
【0074】
【表2】
【0075】
[実施例1、2]
実施例1、2は、第1実施形態に該当している。
【0076】
実施例1、2のゴムマット10は、第1実施形態の製造方法により、製造した(図4参照)。具体的には、次のとおりである。
【0077】
(a)未加硫非発泡ゴムシート3Aとしては、NBRポリマーに、加硫促進助剤、活性剤、補強剤、充填剤、可塑剤、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤などを配合してなる、ゴム配合物を、用いた。ゴムシート3Aの硬度は、表1に示されるとおりである。
【0078】
(b)多孔板5として、アルミニウム製のパンチングメタルを用いた。多孔板5は、図10に示されるように、多数の孔51を上述した「60度千鳥配置」で有しており、隣接する孔51のピッチPは5mm、孔51の径Dは3mmである。したがって、この多孔板5を用いて製造されたゴムマット10の、突起部31の直径Dは3mm、隣接する突起部31の間隙30の寸法C(図9)は2mmである。
【0079】
(c)加硫させる際の、加圧の強さは0.2MPaとし、加熱温度は180℃とした。
【0080】
実施例1、2のゴムマット10の衝撃加速度は、88G、75Gであった。また、実施例1、2のゴムマット10の反発係数は、0.14、0.19であった。
【0081】
[実施例3]
実施例3は、第2実施形態に該当している。
【0082】
実施例3のゴムマット10は、第2実施形態の製造方法により、製造した(図6参照)。具体的には、次のとおりである。
【0083】
(a)未加硫非発泡ゴムシート3Aとしては、実施例1、2と同様の配合物からなっているが配合比率が異なっており、硬度が78である、ゴム配合物を、用いた。
【0084】
(b)未加硫非発泡ゴムシート3Bとしては、実施例1、2と同様の配合物からなっているが配合比率が異なっており、硬度が48である、ゴム配合物を、用いた。
【0085】
(c)その他は、実施例1、2と同様である。
【0086】
実施例3のゴムマット10の衝撃加速度は、76Gであった。また、実施例3のゴムマット10の反発係数は、0.06であった。
【0087】
[実施例4]
実施例4は、第3実施形態に該当している。
【0088】
実施例4のゴムマット10は、第3実施形態の製造方法により、製造した。具体的には、次のとおりである。
【0089】
(a)未加硫非発泡ゴムシート3Aとしては、実施例1、2と同じゴム配合物を、用いた。
【0090】
(b)未加硫発泡ゴムシート3Cとしては、NBRポリマーに、加硫促進助剤、活性剤、補強剤、充填剤、可塑剤、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、発泡剤などを配合してなる、ゴム配合物を、用いた。ゴムシート3Cは、加硫によって、2倍に発泡するように、発泡剤を含有している。
【0091】
(c)その他は、実施例1、2と同様である。
【0092】
実施例4のゴムマット10の衝撃加速度は、76Gであった。また、実施例3のゴムマット10の反発係数は、0.11であった。
【0093】
[実施例5]
実施例5は、第3実施形態に該当している。
【0094】
実施例5のゴムマット10は、第3実施形態の製造方法により、製造した。具体的には、次のとおりである。
【0095】
(a)未加硫非発泡ゴムシート3Aとしては、実施例3と同じゴム配合物を、用いた。
【0096】
(b)その他は、実施例4と同様である。
【0097】
実施例5のゴムマット10の衝撃加速度は、73Gであった。また、実施例3のゴムマット10の反発係数は、0.06であった。
【0098】
[実施例6]
実施例6は、第4実施形態に該当している。
【0099】
実施例6のゴムマット10は、第4実施形態の製造方法により、製造した(図8参照)。具体的には、次のとおりである。
【0100】
(a)未加硫非発泡ゴムシート3A及び未加硫発泡ゴムシート3Cとしては、実施例4と同じゴム配合物を、用いた。
【0101】
(b)補強シート2として、ポリエステル繊維で構成されたネット構造のシート(具体的には、倉敷紡績株式会社製の商品名「クレネットE4500」)を用いた。
【0102】
(c)その他は、実施例4と同様である。
【0103】
実施例6のゴムマット10の衝撃加速度は、72Gであった。また、実施例3のゴムマット10の反発係数は、0.08であった。
【0104】
[実施例7]
実施例7は、第4実施形態に該当している。
【0105】
実施例7のゴムマット10は、第4実施形態の製造方法により、製造した(図8参照)。具体的には、次のとおりである。
【0106】
(a)未加硫非発泡ゴムシート3A及び未加硫発泡ゴムシート3Cとしては、実施例5と同じゴム配合物を、用いた。
【0107】
(b)その他は、実施例6と同様である。
【0108】
実施例7のゴムマット10の衝撃加速度は、70Gであった。また、実施例3のゴムマット10の反発係数は、0.05であった。
【0109】
[比較例1]
比較例1のゴムマットは、衝撃加速度が115Gである点で、本発明から逸脱している。その他の基本的構成は、実施例1と同じである。
【0110】
[比較例2]
比較例2のゴムマットは、台ゴムシート部の厚さが8mmである点で、本発明から逸脱している。その他の基本的構成は、実施例2と同じである。
【0111】
[効果]
実施例1〜7及び比較例1、2のゴムマットについて、下記の(I)〜(V)の効果を、次のように実験して評価した。その結果は、表3に示されるとおりである。
【0112】
(I)「落下物破損防止効果」
市販のガラスコップ10個を、飲み口を下に向けて、85cmの高さから、マット上に自由落下させ、破損したガラスコップの数を求めた。0個の場合は「○」、1〜2個の場合は「△」、3〜5個の場合は「□」、6個以上の場合は「×」、と判定した。
【0113】
(II)「跳ね返り高さ(最大垂直距離、cm)」
上記(I)の実験において、ガラスコップの跳ね返った高さ(垂直距離)を、測定した。なお、ガラスコップが割れた場合には、測定不能として「破壊」とした。
【0114】
(III)「跳ね飛び距離(最大水平距離、cm)」
上記(I)の実験において、ガラスコップの跳ね飛んだ距離(水平距離)を、測定した。なお、ガラスコップが割れた場合には、測定不能として「破壊」とした。
【0115】
(IV)「マットと床との高低差に起因した不快感の防止効果」
床からマットに上がる際に高低差に起因した不快感をどの程度感じたかを、10人の被験者によって求めた。全く感じなかった場合は「○」、若干感じた場合は「△」、大きく感じた場合は「×」、と判定した。
【0116】
(V)「エッジ部の躓き難さ」
床からマットに上がる際にマットのエッジ部に足が引っ掛かることがあるかを、10人の被験者に20回ずつ(すなわち合計200回)試して貰った。200回中1回も引っ掛かることがなかった場合は「○」、1〜2回引っ掛かった場合は「□」、3回以上引っ掛かった場合は「×」、と判定した。
【0117】
【表3】
【0118】
[変形例]
(1)図11に示されるような、多数の孔51を「並列配置」で有する多孔板5を、用いてもよい。これによれば、形成された多数の突起部31は、縦方向及び横方向に、等間隔に且つ平行に、並んでいる。
【0119】
(2)図12に示されるような、多数の孔51を「角千鳥配置」で有する多孔板5を、用いてもよい。これによれば、形成された多数の突起部31において、列3Aの突起部31と列3Bの突起部31とで構成される二等辺三角形Zの頂角βが90度である。
【産業上の利用可能性】
【0120】
本発明のゴムマットは、優れた落下物破損防止機能を有しているので、産業上の利用価値が大である。
【符号の説明】
【0121】
2 補強シート 3 台ゴムシート部 31 突起部 32 シート本体 33 上層部 34 下層部 101 本体部 102 エッジ部
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた落下物破損防止機能を有するゴムマットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
表面に多数の突起部を有するゴムマットは、従来から知られている。例えば、発泡ゴムからなり、且つ、突起部の表面に薄い非発泡ゴム層を有する、ゴムマットが、知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3450775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかるに、特許文献1のゴムマットは、落下物の破損を防止するためのものではない。また、仮に、特許文献1のゴムマットは、落下物の破損を防止する用途に用いたとしても、突起部の強度が十分ではなく、したがって、十分な落下物破損防止機能を発揮できない、という問題点がある。
【0005】
本発明は、優れた落下物破損防止機能を有するゴムマットを、提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、台ゴムシート部を有するゴムマットにおいて、台ゴムシート部が、シート本体と多数の突起部とからなっており、上記突起部は、シート本体の表面に、シート本体と一体に、形成されており、台ゴムシート部が、JIS−A−6519の床硬さ試験方法による最大衝撃加速度が90G以下、好ましくは80G以下、となるような、衝撃吸収性能を、有しており、シート本体の厚さと突起部の高さとの和が、6mm以下である、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明のゴムマットによれば、優れた衝撃吸収性能を有しているので、十分な落下物破損防止機能を発揮できる。しかも、シート本体の厚さと突起部の高さとの和が、6mm以下、好ましくは5mm以下、であるので、床面からゴムマット上に移る際に、違和感を感じたり躓いてしまう危険性を、低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1実施形態のゴムマットの一部を示す断面図である。
【図2】図1のゴムマットの平面部分図である。
【図3】床硬さ試験に用いる測定装置わ示す正面断面図である。
【図4】図1のゴムマットの製造方法を示す断面図である。
【図5】第2実施形態のゴムマットの一部を示す断面図である。
【図6】図4のゴムマットの製造方法を示す断面図である。
【図7】第7実施形態のゴムマットの一部を示す断面図である。
【図8】図7のゴムマットの製造方法を示す断面図である。
【図9】別の実施形態のゴムマットの平面部分図である。
【図10】図9のゴムマットを製造するための多孔板の平面部分図である。
【図11】別の例の多孔板の平面部分図である。
【図12】更に別の例の多孔板の平面部分図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1実施形態]
図1は、本実施形態のゴムマットの一部を示す断面図である。
【0010】
本実施形態のゴムマット10は、本体部101とエッジ部102とからなっている。エッジ部102は、本体部101の周縁に形成されている。本体部101は、例えば、平面視矩形を有している。
【0011】
本体部101は、台ゴムシート部3からなっている。台ゴムシート部3は、シート本体32と多数の突起部31とからなっている。多数の突起部31は、シート本体32の表面に、シート本体32と一体に、形成されている。
【0012】
台ゴムシート部3は、非発泡ゴムからなっている。また、エッジ部102も、非発泡ゴムからなっている。非発泡ゴムとしては、例えば、NBRを使用できる。
【0013】
図2は、ゴムマット10の平面部分図である。突起部31は、円柱形を有している。なお、突起部31は略円柱形でもよい。突起部31が円柱形又は略円柱形を有していることにより、突起部31の耐久性を向上できる。多数の突起部31は、等間隔に配置されており、且つ、隣接する列3A、3Bにおいて千鳥状となるように配置されている。図2の配置では、列3Aの突起部31と列3Bの突起部とで構成される三角形Zの頂角αが60度である。すなわち、図2の千鳥状配置は、「60度千鳥配置」と称される。
【0014】
シート本体32の厚さTは、2.5〜4mmが好ましい。2.5mm未満である場合には、衝撃吸収性能が十分でない場合がある。一方、4mmを超える場合には、マットを折り曲げたり巻いたりして保管することが難しくなり、取り扱い難くなる。
【0015】
突起部31の高さHは、1.5〜3mmが好ましい。突起部31の高さHが、1.5mm未満である場合には、マットが品疎になり、また、マットの衝撃吸収性能が十分でない場合があり、一方、3mmを超える場合には、突起部31の耐久性が劣る場合がある。
【0016】
シート本体32の厚さTと突起部31の高さHとの和Sは、6mm以下、好ましくは5mm以下である。この和Sが6mmより大きい場合には、床面からゴムマット10上に移る際に、違和感を感じたり躓いてしまう危険性が、増大する。このような傾向は、和Sが6mm以下、特に5mm以下である場合には、小さい。
【0017】
更に、突起部31の上端面310の直径D(図2)は、2〜4mmが好ましい。直径Dが、2mm未満である場合には、突起部31の耐久性が劣る場合があり、一方、4mmを超える場合には、十分な衝撃吸収性能を発揮するのに必要な数だけの突起部31を、作ることができない場合があり、また、コップや皿などの什器などがマット上に落下した場合に、跳ね返りが大きくなる場所が生じる恐れがある。
【0018】
突起部31は、上端面310に、シボ目又は切り込みを有しているのが好ましい。これによれば、落下物破損防止効果の他に、スリップ抑制効果などを、高めることができる。
【0019】
本体部101の平面視における総面積に対する、突起部31の上端面310の合計面積の割合は、20〜35%が好ましい。20%未満の場合には、十分な衝撃吸収性能を発揮できない場合があり、一方、35%を超える場合には、マット上に落下した什器の跳ね返り高さが高くなり、落下した什器がマット外に飛び出して床に当って破損する恐れがある。
【0020】
台ゴムシート部3は、耐オゾン剤を含有しているのが好ましい。これによれば、特にNBRのような耐オゾン性の低いゴムを用いた場合でも、耐久性の良いマットを得ることができる。
【0021】
更に、台ゴムシート部3は、抗菌剤及び/又は抗カビ剤を含有してもよい。これによれば、衛生性を更に高めることができる。
【0022】
上記構成のゴムマット10は、ゴムマット10をコンクリート床に敷設した状態で、台ゴムシート部3が、JIS−A−6519の床硬さ試験方法による最大衝撃加速度が90G以下となるような、衝撃吸収性能を、有している。なお、JIS−A−6519の床硬さ試験は、図3に示される測定装置80を用いて行われる。具体的には、ゴムシート部3の上にゴム板81を置き、高さ20cmから重量3.85kgのジグ82を自由落下させ、ゴム板81に衝突した時の加速度の最大値を測定する。
【0023】
更に、上記構成のゴムマット10は、1kgの鉄球を自由落下させた場合の台ゴムシート部3の反発係数が0.2以下であるような、弾力性を、有している。なお、この反発係数は、次のようにして求めた。すなわち、ゴムマット10をコンクリート床に敷設した状態で、台ゴムシート部3の表面に、1kgの鉄球を85cmの高さから自由落下させ、鉄球の跳ね返り高さを測定し、その跳ね返り高さから算出した。
【0024】
次に、上記構成のゴムマット10の製造方法を、図4を参照しながら説明する。
【0025】
[i]まず、未加硫非発泡ゴムシート3Aを用意する。ゴムシート3Aは、所定のゴム配合物からなっている。そのゴム配合物におけるゴム成分としては、ニトリルゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、エチレンブタジエンゴム、シリコーンゴム、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴムなどを、使用でき、特に、コスト及び耐油性の観点から、ニトリルゴムを好ましく使用できる。
【0026】
[ii]次に、ゴムシート3Aの周縁に、一部102Bを重ねるように、ゴムシート3Aと同じゴム配合物からなる未加硫非発泡ゴムテープ102Aを載せる。なお、ゴムテープ102Aは、ゴムシート3Aとは異なるゴム配合物からなってもよい。
【0027】
[iii]次に、ゴムシート3Aの表面に、及び、ゴムテープ102Aの一部102Cの表面に、多孔板5を押し付けた状態で、これらを、厚さ方向に、加圧し且つ加熱して、ゴムシート3A及びゴムテープ102Aを加硫させる。このとき、ゴムシート3Aの一部が多孔板5の孔51に流れ込んで加硫され、突起部31が形成される。なお、図4において、一部102Cの幅寸法X1は5〜10mmが好ましく、一部102Bの幅寸法X2は10〜20mmが好ましい。また、多孔板5の上面には、離型シート(図示せず)を重ねておく。多孔板5としては、パンチングメタルや、シリコーンゴム製の多孔シートなどを、好ましく使用できる。
【0028】
[iv]次に、多孔板5を取り外す。
【0029】
[v]そして、加硫されたゴムテープ102Aを適宜の幅にトリミングして、エッジ部102を得る。
【0030】
これにより、表面に多数の突起部31を有する、ゴムマット10が、得られる。
【0031】
上記構成のゴムマット10は、優れた衝撃吸収性能を有しているので、次のような効果を発揮できる。
(1)マット上に、コップや皿などの什器などが落下した場合に、好適な破損防止効果を発揮できる。すなわち、上記構成のゴムマット10は、優れた落下物破損防止機能を有している。
(2)マットを踏んだ時やマット上で長時間立ち仕事をする時などに、好適な疲労軽減効果を発揮できる。
【0032】
また、上記構成のゴムマット10は、表面に多数の突起部31を有しているので、マット上を歩行する際に、好適なスリップ抑制効果を発揮できる。
【0033】
[第2実施形態]
図4は、本実施形態のゴムマットの一部を示す断面図である。
【0034】
本実施形態のゴムマット10は、次の点のみが第1実施形態のゴムマット10とは異なっている。すなわち、台ゴムシート部3のシート本体32が、突起部31と一体の上層部33と、下層部34と、からなっている。また、下層部34の硬度が、突起部31及び上層部33の硬度より、低い。なお、突起部31及び上層部33と、下層部34とは、非発泡ゴムからなっているが、異なる配合や異なるポリマー種の非発泡ゴムからなってもよい。非発泡ゴムとしては、例えば、NBRを使用できる。
【0035】
上記構成のゴムマット10も、ゴムマット10をコンクリート床に敷設した状態で、台ゴムシート部3が、JIS−A−6519の床硬さ試験方法による最大衝撃加速度が90G以下となるような、衝撃吸収性能を、有している。
【0036】
更に、上記構成のゴムマット10も、1kgの鉄球を自由落下させた場合の台ゴムシート部3の反発係数が0.2以下であるような、弾力性を、有している。
【0037】
次に、上記構成のゴムマット10の製造方法を、図6を参照しながら説明する。
【0038】
[i]まず、未加硫非発泡ゴムシート3A及び未加硫非発泡ゴムシート3Bを用意する。ゴムシート3A、3Bは、所定のゴム配合物からなっており、同じポリマー種でもよく又は異なるポリマー種でもよい。そのゴム配合物におけるゴム成分としては、ニトリルゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、エチレンブタジエンゴム、シリコーンゴム、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴムなどを、使用でき、特に、コスト及び耐油性の観点から、ニトリルゴムを好ましく使用できる。
【0039】
[ii]次に、ゴムシート3Bの上に、ゴムシート3Aを積層して、積層体100を形成する。このとき、積層体100の周縁には、第1実施形態と同様に、一部102Bを積層体100に重ねるように、未加硫非発泡ゴムテープ102Aを載せる。なお、ゴムテープ102Aは、ゴムシート3A、3Bとは異なるゴム配合物からなってもよい。
【0040】
[iii]次に、積層体100の表面に、及び、ゴムテープ102Aの一部102Cの表面に、多孔板5を押し付けた状態で、これらを、厚さ方向に、加圧し且つ加熱して、ゴムシート3A、3B及びゴムテープ102Aを加硫させる。このとき、ゴムシート3Aの一部が多孔板5の孔51に流れ込んで加硫され、突起部31が形成される。
【0041】
[iv]次に、多孔板5を取り外す。
【0042】
[v]そして、加硫されたゴムテープ102Aを適宜の幅にトリミングして、エッジ部102を得る。
【0043】
これにより、表面に多数の突起部31を有する、ゴムマット10が、得られる。
【0044】
上記構成のゴムマット10によれば、上層部33の下側に、上層部33よりも低い硬度を有する下層部34を有しているので、上層部33が受ける衝撃が、下層部34に伝わる時に下層部34の広い面積で受けられることとなる。したがって、第1実施形態のゴムマット10と同様の効果を、より効果的に発揮できる。
【0045】
[第3実施形態]
本実施形態のゴムマット10は、次の点のみが第1実施形態のゴムマット10とは異なっている。すなわち、台ゴムシート部3のシート本体32が、突起部31と一体の上層部33と、下層部34と、からなっている。また、突起部31及び上層部33が非発泡ゴムからなっており、下層部34が発泡ゴムからなっている。非発泡ゴム及び発泡ゴムとしては、例えば、NBRを使用できる。
【0046】
上記構成のゴムマット10も、ゴムマット10をコンクリート床に敷設した状態で、台ゴムシート部3が、JIS−A−6519の床硬さ試験方法による最大衝撃加速度が90G以下となるような、衝撃吸収性能を、有している。
【0047】
更に、上記構成のゴムマット10も、1kgの鉄球を自由落下させた場合の台ゴムシート部3の反発係数が0.2以下であるような、弾力性を、有している。
【0048】
上記構成のゴムマット10は、未加硫非発泡ゴムシート3Bの代わりに未加硫発泡ゴムシートを用い、その他は第2実施形態と同様にして、得ることができる。
【0049】
上記構成のゴムマット10によれば、次のような効果を発揮できる。
(1)非発泡ゴムからなる上層部33の下側に発泡ゴムからなる下層部34を有しているので、上層部33が受ける衝撃が、下層部34に伝わる時に下層部34の広い面積で受けられることとなる。したがって、第1実施形態のゴムマット10と同様の効果を、より効果的に発揮できる。
【0050】
(2)発泡ゴムからなる下層部34を有しているので、非発泡ゴムのみからなるゴムマットに比して、単位面積当りの重量を小さくできる。したがって、取り扱い易い。
【0051】
[第4実施形態]
図7は、本実施形態のゴムマットの一部を示す断面図である。
【0052】
本実施形態のゴムマット10は、次の点のみが第1実施形態のゴムマット10とは異なっている。すなわち、台ゴムシート部3のシート本体32が、突起部31と一体の上層部33と、下層部34と、からなっている。また、突起部31及び上層部33が非発泡ゴムからなっており、下層部34が発泡ゴムからなっている。非発泡ゴム及び発泡ゴムとしては、例えば、NBRを使用できる。更に、上層部33と下層部34との間に、補強シート2を有している。
【0053】
補強シート2は、繊維構造体からなっていることが好ましく、特にメッシュ構造を有しているのが好ましい。繊維としては、合成繊維、天然繊維、再生繊維などを、使用できる。メッシュ構造の場合には、軽量であり、しかも、上層部33の非発泡ゴムと下層部34の発泡ゴムとが、メッシュ構造の各目を通して、接触して、確実に接合される、という利点がある。すなわち、非発泡ゴムと発泡ゴムとを、好適に一体化できるので、より耐久性の良いマットを得ることができる。なお、補強シート2に接着剤処理又は粘着剤処理を施せば、非発泡ゴムと発泡ゴムとを、すなわち、上層部33と下層部34とを、更に好適に一体化できる。
【0054】
上記構成のゴムマット10も、ゴムマット10をコンクリート床に敷設した状態で、台ゴムシート部3が、JIS−A−6519の床硬さ試験方法による最大衝撃加速度が90G以下となるような、衝撃吸収性能を、有している。
【0055】
更に、上記構成のゴムマット10も、1kgの鉄球を自由落下させた場合の台ゴムシート部3の反発係数が0.2以下であるような、弾力性を、有している。
【0056】
次に、上記構成のゴムマット10の製造方法を、図8を参照しながら説明する。
【0057】
[i]まず、未加硫非発泡ゴムシート3A及び未加硫発泡ゴムシート3Cを用意する。両ゴムシート3A、3Cは、何れも、所定のゴム配合物からなっている。そのゴム配合物におけるゴム成分としては、ニトリルゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、エチレンブタジエンゴム、シリコーンゴム、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴムなどを、使用でき、特に、コスト及び耐油性の観点から、ニトリルゴムを好ましく使用できる。なお、ゴムシート3Cのゴム配合物には、発泡剤が含まれている。
【0058】
[ii]次に、ゴムシート3Cの上に、補強シート2、更には、ゴムシート3Aを、積層して、積層体100を形成する。このとき、積層体100の周縁には、第1実施形態と同様に、一部102Bを積層体100に重ねるように、ゴムシート3Aと同じゴム配合物からなる未加硫非発泡ゴムテープ102Aを載せる。なお、ゴムテープ102Aは、ゴムシート3Aとは異なるゴム配合物からなってもよい。
【0059】
[iii]次に、積層体100の表面に、及び、ゴムテープ102Aの一部102Cの表面に、多孔板5を押し付けた状態で、これらを、厚さ方向に、加圧し且つ加熱して、ゴムシート3A、3C及びゴムテープ102Aを加硫させる。このとき、ゴムシート3Aの一部が多孔板5の孔51に流れ込んで加硫され、突起部31が形成される。
【0060】
[iv]次に、多孔板5を取り外す。
【0061】
[v]そして、加硫されたゴムテープ102Aを適宜の幅にトリミングして、エッジ部102を得る。
【0062】
これにより、表面に多数の突起部31を有する、ゴムマット10が、得られる。
【0063】
上記構成のゴムマット10によれば、次のような効果を発揮できる。
(1)非発泡ゴムからなる上層部33の下側に補強シート2を有しているので、上層部33が受けた衝撃を、更に緩和できる。したがって、第2及び第3実施形態のゴムマット10と同様の効果を、より効果的に発揮できる。
【0064】
(2)補強シート2によってマット全体を補強できるので、マットの耐久性を向上できる。
【0065】
なお、下層部34は、突起部31及び上層部33よりも低い硬度を有する非発泡ゴムからなってもよい。この場合は、未加硫発泡ゴムシート3Cの代わりに、未加硫非発泡ゴムシート3Aよりも低い硬度を有する未加硫非発泡ゴムシート3Cを用いて製造する。
【0066】
[別の実施形態]
本実施形態は、上記実施形態に比して、突起部31の配置だけが異なっている。すなわち、本実施形態においては、平面視において、突起部は、その中心が、正六角形又は略正六角形の、全ての頂点位置又は略頂点位置に、及び、中心位置又は略中心位置に、在るよう、配置されて、7個の突起部31からなる第1ユニットを構成しており、第1ユニットは、その中心が、正六角形又は略正六角形の、全ての頂点位置又は略頂点位置に、及び、中心位置又は略中心位置に、在るよう、配置されて、7個の第1ユニットからなる第2ユニットを構成しており、第2ユニットは、互いに重ならないように且つ四方に並んで、配置されており、これにより、突起部の配置形態が構成されている。
【0067】
具体的には、突起部31の配置は、図9に示されるような「六角形配置」である。すなわち、突起部31は、一点鎖線Aで示されるように、小さい正六角形の各頂点位置とその中心位置とに配置されており、それによって、7個の突起部31からなるユニットXが、構成されている。そして、更に、ユニットXが、一点鎖線Bで示されるように、大きい正六角形の各頂点位置とその中心位置とに配置されており、それによって、7個のユニットX(すなわち、49個の突起部31)からなるユニットYが、構成されている。そして、ユニットYが、互いに重ならないように且つ四方に並んで、配置されている。
【0068】
突起部31の上記配置においては、突起部31は、平面視において、隣接する突起部31の間隙30を通る、幅1mmの直線の線分Eを、描いた場合に、どの位置からどの方向に描いても、線分Eが有限の長さを有するように、配置されている。特に、線分Eの長さは、全て20mm以下になることが好ましい。
【0069】
本実施形態によれば、上記実施形態の効果に加えて、更に、次のような効果を発揮できる。
(1)隣接する突起部31の間隙30の寸法Cが第1実施形態の配置(図2)と同じである場合において、第1実施形態に比して、単位面積当たりの突起部31の数を少なくできる。したがって、第1実施形態に比して、生産コストを低減できると共に、マットの軽量化を図ることができる。
【0070】
(2)突起部31は、上述のように、線分Eが有限の長さを有するように、配置されているので、マットのどの直線方向においても略隙間無く配置されている。したがって、マットは、どの直線方向においても、優れたグリップ力を発揮できる。なお、線分Eの幅が1mm未満の場合には、幅の寸法に関わらず、略同等のグリップ力を発揮できる。一方、線分Eの幅が1mmより大きい場合には、特にマットに水や油が付着した状態においてグリップ力の弱い直線方向が、生じる傾向がある。特に、全ての線分Eの長さが20mm以下である場合には、より優れたグリップ力を発揮できる。一方、線分Eの長さが20mmより長い部位では、特にマットに水や油が付着した状態において上記の場合よりグリップ力の弱い直線方向が、生じる傾向がある。
【0071】
(3)最長の線分Eより長い寸法Lを有する長尺物200の全てが、隣接する突起部31の間隙30中に嵌り込んでしまうのを、防止できる。ちなみに、第1実施形態の場合では、図2に示されるように、長尺物200が、間隙30中に嵌り込んでしまう。例えば、薄い皿が面を垂直にした状態でマット上に落下した場合において、皿のエッジ部分の長さがL以上である場合には、本実施形態によれば、皿のエッジ部分が隣接する突起部31の間隙30中に嵌り込むのを防止でき、したがって、破損防止効果を発揮できる。しかしながら、第1実施形態によれば、皿のエッジ部分が隣接する突起部31の間隙30中に嵌り込む危険性を回避できない。なお、線分Eの長さが20mm以下である場合には、エッジ部分が鋭角な皿であっても、エッジ部分の大部分が間隙30中に嵌り込むのを防止できる。
【実施例】
【0072】
以下、本発明の実施例について説明する。表1は、実施例1、2及び比較例1、2のゴムマットの、構成及び物性を、示している。表2は、実施例3〜7のゴムマットの、構成及び物性を、示している。
【0073】
【表1】
【0074】
【表2】
【0075】
[実施例1、2]
実施例1、2は、第1実施形態に該当している。
【0076】
実施例1、2のゴムマット10は、第1実施形態の製造方法により、製造した(図4参照)。具体的には、次のとおりである。
【0077】
(a)未加硫非発泡ゴムシート3Aとしては、NBRポリマーに、加硫促進助剤、活性剤、補強剤、充填剤、可塑剤、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤などを配合してなる、ゴム配合物を、用いた。ゴムシート3Aの硬度は、表1に示されるとおりである。
【0078】
(b)多孔板5として、アルミニウム製のパンチングメタルを用いた。多孔板5は、図10に示されるように、多数の孔51を上述した「60度千鳥配置」で有しており、隣接する孔51のピッチPは5mm、孔51の径Dは3mmである。したがって、この多孔板5を用いて製造されたゴムマット10の、突起部31の直径Dは3mm、隣接する突起部31の間隙30の寸法C(図9)は2mmである。
【0079】
(c)加硫させる際の、加圧の強さは0.2MPaとし、加熱温度は180℃とした。
【0080】
実施例1、2のゴムマット10の衝撃加速度は、88G、75Gであった。また、実施例1、2のゴムマット10の反発係数は、0.14、0.19であった。
【0081】
[実施例3]
実施例3は、第2実施形態に該当している。
【0082】
実施例3のゴムマット10は、第2実施形態の製造方法により、製造した(図6参照)。具体的には、次のとおりである。
【0083】
(a)未加硫非発泡ゴムシート3Aとしては、実施例1、2と同様の配合物からなっているが配合比率が異なっており、硬度が78である、ゴム配合物を、用いた。
【0084】
(b)未加硫非発泡ゴムシート3Bとしては、実施例1、2と同様の配合物からなっているが配合比率が異なっており、硬度が48である、ゴム配合物を、用いた。
【0085】
(c)その他は、実施例1、2と同様である。
【0086】
実施例3のゴムマット10の衝撃加速度は、76Gであった。また、実施例3のゴムマット10の反発係数は、0.06であった。
【0087】
[実施例4]
実施例4は、第3実施形態に該当している。
【0088】
実施例4のゴムマット10は、第3実施形態の製造方法により、製造した。具体的には、次のとおりである。
【0089】
(a)未加硫非発泡ゴムシート3Aとしては、実施例1、2と同じゴム配合物を、用いた。
【0090】
(b)未加硫発泡ゴムシート3Cとしては、NBRポリマーに、加硫促進助剤、活性剤、補強剤、充填剤、可塑剤、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、発泡剤などを配合してなる、ゴム配合物を、用いた。ゴムシート3Cは、加硫によって、2倍に発泡するように、発泡剤を含有している。
【0091】
(c)その他は、実施例1、2と同様である。
【0092】
実施例4のゴムマット10の衝撃加速度は、76Gであった。また、実施例3のゴムマット10の反発係数は、0.11であった。
【0093】
[実施例5]
実施例5は、第3実施形態に該当している。
【0094】
実施例5のゴムマット10は、第3実施形態の製造方法により、製造した。具体的には、次のとおりである。
【0095】
(a)未加硫非発泡ゴムシート3Aとしては、実施例3と同じゴム配合物を、用いた。
【0096】
(b)その他は、実施例4と同様である。
【0097】
実施例5のゴムマット10の衝撃加速度は、73Gであった。また、実施例3のゴムマット10の反発係数は、0.06であった。
【0098】
[実施例6]
実施例6は、第4実施形態に該当している。
【0099】
実施例6のゴムマット10は、第4実施形態の製造方法により、製造した(図8参照)。具体的には、次のとおりである。
【0100】
(a)未加硫非発泡ゴムシート3A及び未加硫発泡ゴムシート3Cとしては、実施例4と同じゴム配合物を、用いた。
【0101】
(b)補強シート2として、ポリエステル繊維で構成されたネット構造のシート(具体的には、倉敷紡績株式会社製の商品名「クレネットE4500」)を用いた。
【0102】
(c)その他は、実施例4と同様である。
【0103】
実施例6のゴムマット10の衝撃加速度は、72Gであった。また、実施例3のゴムマット10の反発係数は、0.08であった。
【0104】
[実施例7]
実施例7は、第4実施形態に該当している。
【0105】
実施例7のゴムマット10は、第4実施形態の製造方法により、製造した(図8参照)。具体的には、次のとおりである。
【0106】
(a)未加硫非発泡ゴムシート3A及び未加硫発泡ゴムシート3Cとしては、実施例5と同じゴム配合物を、用いた。
【0107】
(b)その他は、実施例6と同様である。
【0108】
実施例7のゴムマット10の衝撃加速度は、70Gであった。また、実施例3のゴムマット10の反発係数は、0.05であった。
【0109】
[比較例1]
比較例1のゴムマットは、衝撃加速度が115Gである点で、本発明から逸脱している。その他の基本的構成は、実施例1と同じである。
【0110】
[比較例2]
比較例2のゴムマットは、台ゴムシート部の厚さが8mmである点で、本発明から逸脱している。その他の基本的構成は、実施例2と同じである。
【0111】
[効果]
実施例1〜7及び比較例1、2のゴムマットについて、下記の(I)〜(V)の効果を、次のように実験して評価した。その結果は、表3に示されるとおりである。
【0112】
(I)「落下物破損防止効果」
市販のガラスコップ10個を、飲み口を下に向けて、85cmの高さから、マット上に自由落下させ、破損したガラスコップの数を求めた。0個の場合は「○」、1〜2個の場合は「△」、3〜5個の場合は「□」、6個以上の場合は「×」、と判定した。
【0113】
(II)「跳ね返り高さ(最大垂直距離、cm)」
上記(I)の実験において、ガラスコップの跳ね返った高さ(垂直距離)を、測定した。なお、ガラスコップが割れた場合には、測定不能として「破壊」とした。
【0114】
(III)「跳ね飛び距離(最大水平距離、cm)」
上記(I)の実験において、ガラスコップの跳ね飛んだ距離(水平距離)を、測定した。なお、ガラスコップが割れた場合には、測定不能として「破壊」とした。
【0115】
(IV)「マットと床との高低差に起因した不快感の防止効果」
床からマットに上がる際に高低差に起因した不快感をどの程度感じたかを、10人の被験者によって求めた。全く感じなかった場合は「○」、若干感じた場合は「△」、大きく感じた場合は「×」、と判定した。
【0116】
(V)「エッジ部の躓き難さ」
床からマットに上がる際にマットのエッジ部に足が引っ掛かることがあるかを、10人の被験者に20回ずつ(すなわち合計200回)試して貰った。200回中1回も引っ掛かることがなかった場合は「○」、1〜2回引っ掛かった場合は「□」、3回以上引っ掛かった場合は「×」、と判定した。
【0117】
【表3】
【0118】
[変形例]
(1)図11に示されるような、多数の孔51を「並列配置」で有する多孔板5を、用いてもよい。これによれば、形成された多数の突起部31は、縦方向及び横方向に、等間隔に且つ平行に、並んでいる。
【0119】
(2)図12に示されるような、多数の孔51を「角千鳥配置」で有する多孔板5を、用いてもよい。これによれば、形成された多数の突起部31において、列3Aの突起部31と列3Bの突起部31とで構成される二等辺三角形Zの頂角βが90度である。
【産業上の利用可能性】
【0120】
本発明のゴムマットは、優れた落下物破損防止機能を有しているので、産業上の利用価値が大である。
【符号の説明】
【0121】
2 補強シート 3 台ゴムシート部 31 突起部 32 シート本体 33 上層部 34 下層部 101 本体部 102 エッジ部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
台ゴムシート部を有するゴムマットにおいて、
台ゴムシート部が、シート本体と多数の突起部とからなっており、
上記突起部は、シート本体の表面に、シート本体と一体に、形成されており、
台ゴムシート部が、JIS−A−6519の床硬さ試験方法による最大衝撃加速度が90G以下となるような、衝撃吸収性能を、有しており、
シート本体の厚さと突起部の高さとの和が、6mm以下である、
ことを特徴とするゴムマット。
【請求項2】
台ゴムシート部が、非発泡ゴムからなっている、
請求項1記載のゴムマット。
【請求項3】
シート本体が、突起部と一体の上層部と、下層部と、からなっており、
下層部の硬度が、突起部及び上層部の硬度よりも、低い、
請求項1又は2に記載のゴムマット。
【請求項4】
シート本体が、突起部と一体の上層部と、下層部と、からなっており、
突起部及び上層部が、非発泡ゴムからなっており、
下層部が、発泡ゴムからなっている、
請求項1又は2に記載のゴムマット。
【請求項5】
上層部と下層部との間に、補強シートを有している、
請求項3又は4に記載のゴムマット。
【請求項6】
本体部と、本体部の周縁のエッジ部と、を有しており、
本体部が、台ゴムシート部からなっている、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のゴムマット。
【請求項7】
突起部が、円柱形又は略円柱形を有しており、
突起部の上端面の直径が、2〜4mmであり、
突起部の高さが、1.5〜3mmであり、
最も近接している突起部同士の間隙が、2〜3mmである、
請求項1乃至6のいずれか1項に記載のゴムマット。
【請求項8】
本体部の平面視における総面積に対する、突起部の上端面の合計面積の割合が、20〜35%である、
請求項1乃至7のいずれか1項に記載のゴムマット。
【請求項9】
落下物破損防止機能を有している、
請求項1乃至8のいずれか1項に記載のゴムマット。
【請求項1】
台ゴムシート部を有するゴムマットにおいて、
台ゴムシート部が、シート本体と多数の突起部とからなっており、
上記突起部は、シート本体の表面に、シート本体と一体に、形成されており、
台ゴムシート部が、JIS−A−6519の床硬さ試験方法による最大衝撃加速度が90G以下となるような、衝撃吸収性能を、有しており、
シート本体の厚さと突起部の高さとの和が、6mm以下である、
ことを特徴とするゴムマット。
【請求項2】
台ゴムシート部が、非発泡ゴムからなっている、
請求項1記載のゴムマット。
【請求項3】
シート本体が、突起部と一体の上層部と、下層部と、からなっており、
下層部の硬度が、突起部及び上層部の硬度よりも、低い、
請求項1又は2に記載のゴムマット。
【請求項4】
シート本体が、突起部と一体の上層部と、下層部と、からなっており、
突起部及び上層部が、非発泡ゴムからなっており、
下層部が、発泡ゴムからなっている、
請求項1又は2に記載のゴムマット。
【請求項5】
上層部と下層部との間に、補強シートを有している、
請求項3又は4に記載のゴムマット。
【請求項6】
本体部と、本体部の周縁のエッジ部と、を有しており、
本体部が、台ゴムシート部からなっている、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のゴムマット。
【請求項7】
突起部が、円柱形又は略円柱形を有しており、
突起部の上端面の直径が、2〜4mmであり、
突起部の高さが、1.5〜3mmであり、
最も近接している突起部同士の間隙が、2〜3mmである、
請求項1乃至6のいずれか1項に記載のゴムマット。
【請求項8】
本体部の平面視における総面積に対する、突起部の上端面の合計面積の割合が、20〜35%である、
請求項1乃至7のいずれか1項に記載のゴムマット。
【請求項9】
落下物破損防止機能を有している、
請求項1乃至8のいずれか1項に記載のゴムマット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−244925(P2011−244925A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−119308(P2010−119308)
【出願日】平成22年5月25日(2010.5.25)
【出願人】(000133445)株式会社ダスキン (119)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月25日(2010.5.25)
【出願人】(000133445)株式会社ダスキン (119)
【Fターム(参考)】
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